JP2004023255A - 縦結合二重モードsawフィルタ - Google Patents
縦結合二重モードsawフィルタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004023255A JP2004023255A JP2002172762A JP2002172762A JP2004023255A JP 2004023255 A JP2004023255 A JP 2004023255A JP 2002172762 A JP2002172762 A JP 2002172762A JP 2002172762 A JP2002172762 A JP 2002172762A JP 2004023255 A JP2004023255 A JP 2004023255A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- saw filter
- idt
- dual mode
- mode saw
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)
Abstract
【課題】1次−3次縦結合二重モードSAWフィルタの帯域幅を拡大する手段を得る。
【解決手段】圧電基板上に表面波の伝搬方向に沿って電極周期λ1の3つのIDT電極と、これら両側に反射器を配置して構成した1次−3次縦結合二重モードSAWフィルタであって、中央のIDT電極と両外側のIDT電極との相隣接する最内側の電極指それぞれ1本を含む電極周期をλ1とし、この電極周期λ1の両側の電極周期をλ2とすると共に、λ2<λ1として構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】圧電基板上に表面波の伝搬方向に沿って電極周期λ1の3つのIDT電極と、これら両側に反射器を配置して構成した1次−3次縦結合二重モードSAWフィルタであって、中央のIDT電極と両外側のIDT電極との相隣接する最内側の電極指それぞれ1本を含む電極周期をλ1とし、この電極周期λ1の両側の電極周期をλ2とすると共に、λ2<λ1として構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は共振子型SAWフィルタに関し、特に1次と3次の縦モードを利用した1次−3次縦結合二重モードSAWフィルタ(以下、二重モードSAWフィルタと称す)の通過帯域幅を改善した二重モードSAWフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、SAWフィルタは通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから、特に携帯電話機等に多く用いられている。その中でも携帯電話機のRF部に用いられるフィルタの1つに、3個のIDT電極を近接配置して、1次と3次の縦モードを強勢に励振し、これらを利用して構成した広帯域の二重モードSAWフィルタがある。
【0003】
図6は従来の二重モードSAWフィルタの構成を示す平面図であって、圧電基板(図示しない)の主表面上に表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極12、13、14を近接配置すると共に、これらIDT電極12、13、14の両側にグレーティング反射器(以下、反射器と称す)15a、15bをそれぞれ配設する。そして、IDT電極12、13、14はそれぞれ互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極から形成され、中央のIDT電極12の一方のくし形電極を入力端子INにワイヤボンディング等を用いて接続すると共に、他方のくし形電極を接地する。さらに、両外側のIDT電極13、14の同じ側のくし形電極同士をそれぞれ接続すると共に、接続した一方を出力端子OUTに接続し、他方を接地して二重モードSAWフィルタを構成する。
【0004】
二重モードSAWフィルタの帯域幅を拡大するために種々の改善がなされ、中央のIDT電極と、両外側のIDT電極との相隣接する電極指同士の中心間間隔をλ/2より小さくすることにより、二重モードSAWフィルタの帯域幅が増大することが実験的に見いだされた。図6は電極指幅(ライン幅)とスペース幅との比を50:50とし、前記電極指中心間間隔をλ/4と設定した場合の電極パターンの平面図であり、中央のIDT電極と両外側のIDT電極との相隣接する電極同士が互いに接し、幅広となっている。
現在では、二重モードSAWフィルタの帯域幅の最大化を図るために、電極指中心間間隔を0.2λから0.3λの間に設定するのが一般的である。幅広の電極指は図6に示すように、中央のIDT電極12の両端に接続しても、また、両外側のIDT電極13 、14の最内側に接続してもよく、全体の電極パターンとしては中央のIDT電極12の中心に対して対称に構成することが望ましい。
【0005】
しかし、図6に示すような二重モードSAWフィルタにおいては、中央のIDT電極12の両端にある幅広の電極指Q1、Q2が、他の電極指幅より広く設定されているため、その部分において電極周期が異なることにより、励起される表面波の連続性が保たれないことになる。そのため、二重モードSAWフィルタの挿入損失が低減できないという問題があった。
【0006】
この問題を改善した手段が特開2002−9588に開示されている。即ち、図7に示すように、中央のIDT電極21と、両外側のIDT電極22、23との相隣接する近傍(以下、隣接区間と称す)、つまり図7でLiにて示す隣接区間における電極指ピッチを、隣接区間以外における電極指ピッチよりも狭くすることにより、弾性表面波の連続性が改善され、二重モードSAWフィルタの帯域幅が広くなり、且つ挿入損失が低減されることになる。
【0007】
少し詳しく説明すると、図8(a)は図6に示した従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンの中央IDT電極12と、外側のIDT電極14との隣接部を拡大して示した平面図、同図(b)はその断面図で白抜きの電極指を、例えば(+)側とし、模様のある電極指を(−)側としている。図8(a)に示すように中央IDT電極12の幅広電極指f2の中央に対して、両側に対称にf1からf3までの3本の電極指を選び、該電極指列の両側にある電極指faの右端の位置から、IDT電極14の電極指fbの左端の位置まで、この間隔をL4とする。隣接区間の選定は、弾性表面波の連続性が崩れる幅広の電極指f2の中心から左右対称に選ぶことにする。この隣接区間L4にある3本の電極指f1、f2、f3に代えて、図8(c)に示すように新たに4本の電極指F1、F2、F3、F4を均等な電極指ピッチLt4にて形成する。当然のことながら、隣接区間以外の電極指ピッチLtとすると、Lt4<Ltとなる。図8(d)は同図(c)の断面図と、その極性とを表す。このように隣接区間L4を均等な電極指ピッチの4本の電極指で置換した場合、弾性表面波の連続性が改善されると考えられる。
【0008】
図9は、図7の電極パターンを使い、AMPS用のRFフィルタを試作した場合の通過域特性であって、圧電基板に39°Y−X LiTaO3を用い、中心周波数を881.5MHz、帯域幅25MHzに設定し、電極指とスペースとの比を65%、中央のIDT電極22の対数を20.5対、両外側のIDT電極23、24の対数を共に14.5対、交叉長Wを36λ(λは電極周期で、2Lt)、反射器15a、15bの本数をそれぞれ120本、電極膜厚を8.0%λ、電極指ピッチ比Lt4/Lt=0.875とした場合である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示した従来の二重モードSAWフィルタにおいては、通過帯域幅は拡大され挿入損失が低減されたものの、客先が要求する帯域幅を満足できないという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、帯域幅を拡大した二重モードSAWフィルタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る縦結合二重モードSAWフィルタの請求項1記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極と外側のIDT電極との相隣接する最外側の電極指を少なくとも1本ずつを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間の両側の短周期区間の電極周期をλ2としたときに、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタである。
請求項2記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極の最外側電極指とその隣の電極指を含む基本周期の電極周期をλ1とし、該基本周期の両側に位置する中央IDT電極および外側IDT電極の短周期区間の電極周期をλ2とするとき、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタである。
請求項3記載の発明は、前記基本周期区間と短周期区間以外の電極指の電極周期がλ1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦結合二重モードSAWフィルタである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本発明に係る二重モードSAWフィルタの構成を示す平面図であって、圧電基板(図示しない)の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って電極周期λ1の3つのIDT電極1、2、3と、これらの両側に反射器4a、4bを配置する。そして、中央のIDT電極1と外側のIDT電極2、3との相隣接する最外側の電極指を少なくとも1本ずつを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間の両側の短周期区間の電極周期をλ2としたときに、λ2<λ1となるように設定する。そして、中央のIDT電極1の一方のくし形電極と、入力端子INとをワイヤボンディング等で接続すると共に、他方のくし形電極を接地する。さらに、両側のIDT電極2、3のそれぞれ一方の側のくし形電極同士を同じ圧電基板上に形成したリード電極にて接続し、該リード電極と出力端子OUTとを接続すると共に、他方の側のくし形電極をそれぞれ接地して、二重モードSAWフィルタを構成する。
【0012】
本実施例の二重モードSAWフィルタの電極パターンは中央のIDT電極1の中心で対称構造となっているので、図中左半分のみを説明する。二重モードSAWフィルタを構成する3つのIDT電極1、2、3の中、図1の領域A、即ち所望する周波数を決定する領域の電極周期をλ1とすると共に、中央のIDT電極1と両側のIDT電極2、3との相隣接する領域をBとする。図1(b)を用いて領域Bについて詳しく説明すると、IDT電極1とIDT電極2との相隣接する最外側の電極指を1a、2aとし、該電極指1a、2a間のスペース及びその両側のスペースを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間に隣接する左右の電極指1b、1c、あるいは2b、2cを含む短周期区間の電極周期をそれぞれλ2をとし、λ2<λ1となるように設定する。このような構成とすることにより、IDT電極1、2、3上に励起される表面波が前述の構成のIDT電極に比べて連続性が改善されるものと推定される。
【0013】
図1に示すように、IDT電極1、2の相隣接する最外側の電極指1a、2a、即ち基本周期区間を構成する電極指が共に接地されている場合には、電極指2aをIDT電極2のバスバーから切り離し、IDT電極1の接地されているバスバーに接続して構成したものが、図2に示す二重モードSAWフィルタである。
【0014】
図3に実線で示すの通過域特性は、図2の電極パターンを用いて、AMPS用RFフィルタを試作した場合の通過域特性であって、圧電基板に39°Y−X LiTaO3を用い、中心周波数を881.5MHz、帯域幅25MHzに設定し、電極指とスペースとの比を65%、中央のIDT電極5の対数を21.5対、両外側のIDT電極6、7の対数を共に15.5対、交叉長Wを36λ1、反射器4a、4bの本数をそれぞれ120本、電極膜厚を8.0%λ1、電極周期比λ2/λ1を0.85とした場合である。比較のために、図9に示した従来の二重モードSAWフィルタの通過域特性を破線にて示す。図3から明らかなように、本発明の二重モードSAWフィルタは従来のものより、3dB帯域幅にて1.5MHzだけ通過帯域幅が拡大されていることが分かる。
【0015】
図4、5に実線で示す曲線は実施例の二重モードSAWフィルタのリターンロスで、図4は中央のIDT電極5から測定したリターンロス、図5は両側のIDT電極6、7から測定したリターンロスである。比較のために図9に示した従来の二重モードSAWフィルタのリターンロスを破線で重ね書きした。図4、5から明らかなようにリターンロスは劣化していないことが判明した。
【0016】
以上では二重モードSAWフィルタの1セクションのみを示したが、図1あるいは図2の二重モードSAWフィルタを複数個縦続接続して高減衰量のSAWフィルタとして用いるのがより一般的である。
また、圧電基板にタンタル酸リチウム(LiTaO3)を用いて説明したが、他の圧電基板、例えばニオブ酸リチウム、四硼酸リチウム、ランガサイト等にも適用できることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、請求項1、2に記載の発明はリターンロスを劣化させることなく通過帯域幅を拡大できるという優れた効果を表す。請求項3に記載の発明は保証減衰量を増大できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る二重モードSAWフィルタの電極構成を示す図、(b)は要部を拡大した断面図である。
【図2】本発明に係る他の二重モードSAWフィルタの電極構成を示す図である。
【図3】本発明に係る二重モードSAWフィルタの通過域特性を従来のフィルタのそれと比較した図である
【図4】中央のIDT電極から測定したリターンロスである。
【図5】両側のIDT電極から測定したリターンロスである。
【図6】従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンを示す図である。
【図7】従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンを示す図である。
【図8】(a)は図6に示した二重モードSAWフィルタの要部の拡大図、(b)はその断面図、(c)は図7に示した二重モードSAWフィルタの要部の拡大図、(d)はその断面図である。
【図9】図7の電極パターンを用いた二重モードSAWフィルタの通過域特性である。
【符号の説明】
1、2、3、5、6、7・・IDT電極
4a、4b・・グレーティング反射器
λ1、λ2・・電極周期(波長)
1a、1b、1c、2a、2b2c・・電極指
【発明の属する技術分野】
本発明は共振子型SAWフィルタに関し、特に1次と3次の縦モードを利用した1次−3次縦結合二重モードSAWフィルタ(以下、二重モードSAWフィルタと称す)の通過帯域幅を改善した二重モードSAWフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、SAWフィルタは通信分野で広く利用され、高性能、小型、量産性等の優れた特徴を有することから、特に携帯電話機等に多く用いられている。その中でも携帯電話機のRF部に用いられるフィルタの1つに、3個のIDT電極を近接配置して、1次と3次の縦モードを強勢に励振し、これらを利用して構成した広帯域の二重モードSAWフィルタがある。
【0003】
図6は従来の二重モードSAWフィルタの構成を示す平面図であって、圧電基板(図示しない)の主表面上に表面波の伝搬方向に沿ってIDT電極12、13、14を近接配置すると共に、これらIDT電極12、13、14の両側にグレーティング反射器(以下、反射器と称す)15a、15bをそれぞれ配設する。そして、IDT電極12、13、14はそれぞれ互いに間挿し合う複数の電極指を有する一対のくし形電極から形成され、中央のIDT電極12の一方のくし形電極を入力端子INにワイヤボンディング等を用いて接続すると共に、他方のくし形電極を接地する。さらに、両外側のIDT電極13、14の同じ側のくし形電極同士をそれぞれ接続すると共に、接続した一方を出力端子OUTに接続し、他方を接地して二重モードSAWフィルタを構成する。
【0004】
二重モードSAWフィルタの帯域幅を拡大するために種々の改善がなされ、中央のIDT電極と、両外側のIDT電極との相隣接する電極指同士の中心間間隔をλ/2より小さくすることにより、二重モードSAWフィルタの帯域幅が増大することが実験的に見いだされた。図6は電極指幅(ライン幅)とスペース幅との比を50:50とし、前記電極指中心間間隔をλ/4と設定した場合の電極パターンの平面図であり、中央のIDT電極と両外側のIDT電極との相隣接する電極同士が互いに接し、幅広となっている。
現在では、二重モードSAWフィルタの帯域幅の最大化を図るために、電極指中心間間隔を0.2λから0.3λの間に設定するのが一般的である。幅広の電極指は図6に示すように、中央のIDT電極12の両端に接続しても、また、両外側のIDT電極13 、14の最内側に接続してもよく、全体の電極パターンとしては中央のIDT電極12の中心に対して対称に構成することが望ましい。
【0005】
しかし、図6に示すような二重モードSAWフィルタにおいては、中央のIDT電極12の両端にある幅広の電極指Q1、Q2が、他の電極指幅より広く設定されているため、その部分において電極周期が異なることにより、励起される表面波の連続性が保たれないことになる。そのため、二重モードSAWフィルタの挿入損失が低減できないという問題があった。
【0006】
この問題を改善した手段が特開2002−9588に開示されている。即ち、図7に示すように、中央のIDT電極21と、両外側のIDT電極22、23との相隣接する近傍(以下、隣接区間と称す)、つまり図7でLiにて示す隣接区間における電極指ピッチを、隣接区間以外における電極指ピッチよりも狭くすることにより、弾性表面波の連続性が改善され、二重モードSAWフィルタの帯域幅が広くなり、且つ挿入損失が低減されることになる。
【0007】
少し詳しく説明すると、図8(a)は図6に示した従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンの中央IDT電極12と、外側のIDT電極14との隣接部を拡大して示した平面図、同図(b)はその断面図で白抜きの電極指を、例えば(+)側とし、模様のある電極指を(−)側としている。図8(a)に示すように中央IDT電極12の幅広電極指f2の中央に対して、両側に対称にf1からf3までの3本の電極指を選び、該電極指列の両側にある電極指faの右端の位置から、IDT電極14の電極指fbの左端の位置まで、この間隔をL4とする。隣接区間の選定は、弾性表面波の連続性が崩れる幅広の電極指f2の中心から左右対称に選ぶことにする。この隣接区間L4にある3本の電極指f1、f2、f3に代えて、図8(c)に示すように新たに4本の電極指F1、F2、F3、F4を均等な電極指ピッチLt4にて形成する。当然のことながら、隣接区間以外の電極指ピッチLtとすると、Lt4<Ltとなる。図8(d)は同図(c)の断面図と、その極性とを表す。このように隣接区間L4を均等な電極指ピッチの4本の電極指で置換した場合、弾性表面波の連続性が改善されると考えられる。
【0008】
図9は、図7の電極パターンを使い、AMPS用のRFフィルタを試作した場合の通過域特性であって、圧電基板に39°Y−X LiTaO3を用い、中心周波数を881.5MHz、帯域幅25MHzに設定し、電極指とスペースとの比を65%、中央のIDT電極22の対数を20.5対、両外側のIDT電極23、24の対数を共に14.5対、交叉長Wを36λ(λは電極周期で、2Lt)、反射器15a、15bの本数をそれぞれ120本、電極膜厚を8.0%λ、電極指ピッチ比Lt4/Lt=0.875とした場合である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示した従来の二重モードSAWフィルタにおいては、通過帯域幅は拡大され挿入損失が低減されたものの、客先が要求する帯域幅を満足できないという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、帯域幅を拡大した二重モードSAWフィルタを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る縦結合二重モードSAWフィルタの請求項1記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極と外側のIDT電極との相隣接する最外側の電極指を少なくとも1本ずつを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間の両側の短周期区間の電極周期をλ2としたときに、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタである。
請求項2記載の発明は、圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極の最外側電極指とその隣の電極指を含む基本周期の電極周期をλ1とし、該基本周期の両側に位置する中央IDT電極および外側IDT電極の短周期区間の電極周期をλ2とするとき、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタである。
請求項3記載の発明は、前記基本周期区間と短周期区間以外の電極指の電極周期がλ1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦結合二重モードSAWフィルタである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本発明に係る二重モードSAWフィルタの構成を示す平面図であって、圧電基板(図示しない)の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って電極周期λ1の3つのIDT電極1、2、3と、これらの両側に反射器4a、4bを配置する。そして、中央のIDT電極1と外側のIDT電極2、3との相隣接する最外側の電極指を少なくとも1本ずつを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間の両側の短周期区間の電極周期をλ2としたときに、λ2<λ1となるように設定する。そして、中央のIDT電極1の一方のくし形電極と、入力端子INとをワイヤボンディング等で接続すると共に、他方のくし形電極を接地する。さらに、両側のIDT電極2、3のそれぞれ一方の側のくし形電極同士を同じ圧電基板上に形成したリード電極にて接続し、該リード電極と出力端子OUTとを接続すると共に、他方の側のくし形電極をそれぞれ接地して、二重モードSAWフィルタを構成する。
【0012】
本実施例の二重モードSAWフィルタの電極パターンは中央のIDT電極1の中心で対称構造となっているので、図中左半分のみを説明する。二重モードSAWフィルタを構成する3つのIDT電極1、2、3の中、図1の領域A、即ち所望する周波数を決定する領域の電極周期をλ1とすると共に、中央のIDT電極1と両側のIDT電極2、3との相隣接する領域をBとする。図1(b)を用いて領域Bについて詳しく説明すると、IDT電極1とIDT電極2との相隣接する最外側の電極指を1a、2aとし、該電極指1a、2a間のスペース及びその両側のスペースを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間に隣接する左右の電極指1b、1c、あるいは2b、2cを含む短周期区間の電極周期をそれぞれλ2をとし、λ2<λ1となるように設定する。このような構成とすることにより、IDT電極1、2、3上に励起される表面波が前述の構成のIDT電極に比べて連続性が改善されるものと推定される。
【0013】
図1に示すように、IDT電極1、2の相隣接する最外側の電極指1a、2a、即ち基本周期区間を構成する電極指が共に接地されている場合には、電極指2aをIDT電極2のバスバーから切り離し、IDT電極1の接地されているバスバーに接続して構成したものが、図2に示す二重モードSAWフィルタである。
【0014】
図3に実線で示すの通過域特性は、図2の電極パターンを用いて、AMPS用RFフィルタを試作した場合の通過域特性であって、圧電基板に39°Y−X LiTaO3を用い、中心周波数を881.5MHz、帯域幅25MHzに設定し、電極指とスペースとの比を65%、中央のIDT電極5の対数を21.5対、両外側のIDT電極6、7の対数を共に15.5対、交叉長Wを36λ1、反射器4a、4bの本数をそれぞれ120本、電極膜厚を8.0%λ1、電極周期比λ2/λ1を0.85とした場合である。比較のために、図9に示した従来の二重モードSAWフィルタの通過域特性を破線にて示す。図3から明らかなように、本発明の二重モードSAWフィルタは従来のものより、3dB帯域幅にて1.5MHzだけ通過帯域幅が拡大されていることが分かる。
【0015】
図4、5に実線で示す曲線は実施例の二重モードSAWフィルタのリターンロスで、図4は中央のIDT電極5から測定したリターンロス、図5は両側のIDT電極6、7から測定したリターンロスである。比較のために図9に示した従来の二重モードSAWフィルタのリターンロスを破線で重ね書きした。図4、5から明らかなようにリターンロスは劣化していないことが判明した。
【0016】
以上では二重モードSAWフィルタの1セクションのみを示したが、図1あるいは図2の二重モードSAWフィルタを複数個縦続接続して高減衰量のSAWフィルタとして用いるのがより一般的である。
また、圧電基板にタンタル酸リチウム(LiTaO3)を用いて説明したが、他の圧電基板、例えばニオブ酸リチウム、四硼酸リチウム、ランガサイト等にも適用できることは言うまでもない。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成したので、請求項1、2に記載の発明はリターンロスを劣化させることなく通過帯域幅を拡大できるという優れた効果を表す。請求項3に記載の発明は保証減衰量を増大できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る二重モードSAWフィルタの電極構成を示す図、(b)は要部を拡大した断面図である。
【図2】本発明に係る他の二重モードSAWフィルタの電極構成を示す図である。
【図3】本発明に係る二重モードSAWフィルタの通過域特性を従来のフィルタのそれと比較した図である
【図4】中央のIDT電極から測定したリターンロスである。
【図5】両側のIDT電極から測定したリターンロスである。
【図6】従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンを示す図である。
【図7】従来の二重モードSAWフィルタの電極パターンを示す図である。
【図8】(a)は図6に示した二重モードSAWフィルタの要部の拡大図、(b)はその断面図、(c)は図7に示した二重モードSAWフィルタの要部の拡大図、(d)はその断面図である。
【図9】図7の電極パターンを用いた二重モードSAWフィルタの通過域特性である。
【符号の説明】
1、2、3、5、6、7・・IDT電極
4a、4b・・グレーティング反射器
λ1、λ2・・電極周期(波長)
1a、1b、1c、2a、2b2c・・電極指
Claims (3)
- 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極と外側のIDT電極との相隣接する最外側の電極指を少なくとも1本ずつを含む基本周期区間の電極周期をλ1とし、該基本周期区間の両側の短周期区間の電極周期をλ2としたときに、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタ。 - 圧電基板の主表面上に表面波の伝搬方向に沿って3つのIDT電極と、該IDT電極の両側にグレーティング反射器を配置して構成した縦結合二重モードSAWフィルタにおいて、
中央のIDT電極の最外側電極指とその隣の電極指を含む基本周期の電極周期をλ1とし、該基本周期の両側に位置する中央IDT電極および外側IDT電極の短周期区間の電極周期をλ2とするとき、λ2<λ1であることを特徴とする縦結合二重モードSAWフィルタ。 - 前記基本周期区間と短周期区間以外の電極指の電極周期がλ1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦結合二重モードSAWフィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002172762A JP2004023255A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 縦結合二重モードsawフィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002172762A JP2004023255A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 縦結合二重モードsawフィルタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004023255A true JP2004023255A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31172235
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002172762A Pending JP2004023255A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 縦結合二重モードsawフィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004023255A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006128926A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Kyocera Corp | 弾性表面波素子および通信装置 |
JP2006333170A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器および弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP2007096428A (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-12 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器及び弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP2007235689A (ja) * | 2006-03-02 | 2007-09-13 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器及び弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP2011030266A (ja) * | 2010-10-04 | 2011-02-10 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器および弾性表面波装置並びに通信装置 |
WO2011024876A1 (ja) * | 2009-08-25 | 2011-03-03 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波装置 |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172762A patent/JP2004023255A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006128926A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Kyocera Corp | 弾性表面波素子および通信装置 |
JP4550549B2 (ja) * | 2004-10-27 | 2010-09-22 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波素子および通信装置 |
JP2006333170A (ja) * | 2005-05-27 | 2006-12-07 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器および弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP4688572B2 (ja) * | 2005-05-27 | 2011-05-25 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波共振器および弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP2007096428A (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-12 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器及び弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP4698362B2 (ja) * | 2005-09-27 | 2011-06-08 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波共振器及び弾性表面波装置並びに通信装置 |
JP2007235689A (ja) * | 2006-03-02 | 2007-09-13 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器及び弾性表面波装置並びに通信装置 |
WO2011024876A1 (ja) * | 2009-08-25 | 2011-03-03 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波装置 |
JP5301671B2 (ja) * | 2009-08-25 | 2013-09-25 | 京セラ株式会社 | 弾性表面波装置 |
US8994479B2 (en) | 2009-08-25 | 2015-03-31 | Kyocera Corporation | Surface acoustic wave device |
JP2011030266A (ja) * | 2010-10-04 | 2011-02-10 | Kyocera Corp | 弾性表面波共振器および弾性表面波装置並びに通信装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2015080278A1 (ja) | 弾性波素子、分波器および通信装置 | |
US8803402B2 (en) | Elastic wave device | |
JP6284800B2 (ja) | 弾性表面波デバイス及びフィルタ | |
US11018650B2 (en) | Acoustic wave device | |
KR100697763B1 (ko) | 탄성 표면파 장치 | |
EP1480336B1 (en) | Elastic surface wave apparatus | |
JP2000165197A (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
US7482895B2 (en) | Surface acoustic wave filter | |
JP2004023255A (ja) | 縦結合二重モードsawフィルタ | |
JP2005159835A (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
JP2004140738A (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
JP3915322B2 (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
JPH05335881A (ja) | 縦型2重モード弾性表面波フィルタ | |
JPH10261935A (ja) | 弾性表面波素子 | |
JP4138093B2 (ja) | 縦結合二重モードsawフィルタ | |
JP3397195B2 (ja) | 端面反射型表面波フィルタ | |
JPH10322161A (ja) | 縦結合3重モードsawフィルタ | |
JP2006261964A (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
JP4504717B2 (ja) | 弾性表面波フィルタ素子、弾性表面波共振器、弾性表面波フィルタ、通信用フィルタ及び携帯電話機 | |
JP4003511B2 (ja) | 縦結合共振子型表面波装置 | |
JP2002111444A (ja) | 複合弾性表面波フィルタ | |
JP2003347895A (ja) | Sawフィルタ | |
JP2003115746A (ja) | 弾性表面波フィルタ | |
JP4710186B2 (ja) | 縦結合二重モードsawフィルタ | |
JP3435641B2 (ja) | 端面反射型表面波フィルタ |