JP2004023243A - バラン回路およびアンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロストリップ線路のストリップと導体層をテーパ形状にし、且つ滑らかに特性インピーダンスの変換を行うことで、不平衡信号ポートに接続するRF回路と、平衡信号ポートに接続する自己補対アンテナのインピーダンス値の差を緩和し、広帯域な電圧定在波比の特性を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、不平衡信号を平衡信号へ変換または逆変換するバラン回路、およびバラン回路が接続されたアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、Artech Houseが出版しているRF and Microwave Coupled−Line(以下文献1)の419ページに記載された従来のバラン回路の構成図である。
【0003】
図において、1は不平衡信号ポート、2はマイクロストリップ線路、3はマーチャンドバラン部、4は不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部、5は平衡二線線路、6は平衡信号ポートである。
【0004】
次に動作について図を用いて説明する。図における従来の構成において、不平衡信号ポート1から不平衡信号のマイクロ波をマイクロストリップ線路2に入力する。
【0005】
マイクロストリップ線路2に入力された不平衡信号のマイクロ波は前記マイクロストリップ線路2を介してマーチャンドバラン部3へ入力される。前記マーチャンドバラン部3へ入力された不平衡信号のマイクロ波は前記マーチャンドバラン部3の不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部4で平衡信号のマイクロ波に変換され平衡二線線路5へ出力される。
【0006】
さらに、平衡二線線路5へ出力された平衡信号のマイクロ波は前記平衡二線線路5を介して平衡信号ポート6に出力されることにより、不平衡信号を平衡信号に変換するバラン回路となる。
【0007】
例えば、アンテナの給電回路に従来のバラン回路を適用した場合について説明する。なお、アンテナはZ1の特性インピーダンスを有しているものとする。このとき、平衡信号ポート6の特性インピーダンスは前記アンテナが接続されるためZ1と一意で決まり、また平衡二線線路5の特性インピーダンスも平衡信号ポート6との整合を取るためZ1と一意で決まる。
【0008】
一方、不平衡信号ポート1にZ2の特性インピーダンスを有するRF回路が接続された場合、不平衡信号ポート1の特性インピーダンスはRF回路と整合を取るためZ2と一意で決まり、また前記不平衡信号ポート1に接続されるマイクロストリップ線路2の特性インピーダンスは前記不平衡信号ポート1と整合を取るためZ2と一意で決まる。
【0009】
従来のバラン特性において、不平衡信号ポート1から信号が入力された場合のマーチャンドバラン部3における入力インピーダンスZ3は、例えば、上述した文献1の417ページに記載されている式(11.28)に示される。
上記のアンテナの特性インピーダンスであるZ1と、上記RF回路の特性インピーダンスであるZ2を、式(11.28)のZaとZLにそれぞれ代入した場合、数1となる。なお、数1のZ1は平衡信号ポート6に接続されるアンテナの特性インピーダンス、Z2は不平衡信号ポート1に接続されるRF回路の特性インピーダンス、fcはバラン回路の所望周波数帯域の中心周波数、fは周波数、πは円周率である。
【0010】
【数1】
【0011】
数1において、マーチャンドバラン部3における入力インピーダンスZ3は、平衡信号ポート6に接続されるアンテナの特性インピーダンスであるZ1と不平衡信号ポート1に接続されるRF回路の特性インピーダンスであるZ2とで一意に決まる。
【0012】
上記アンテナの特性インピーダンスであるZ1と、上記RF回路の特性インピーダンスであるZ2のインピーダンス比による従来のバラン回路の広帯域特性は、上述した文献1の418ページのFigure11.26に記載されているようになる。例えば、平衡二線線路6側に接続するアンテナの特性インピーダンスZ1が70オーム、また不平衡ポート1側に接続されるRF回路の特性インピーダンスが50オームとなる。このように、前記2つのインピーダンス比が1.5以下となるような前記アンテナの特性インピーダンスZ1と前記RF回路の特性インピーダンスZ2を選択することによって、電圧定在波比が2以下となる周波数帯域をアンテナが動作する周波数帯域としたアンテナ装置に用いる場合、広帯域な電圧定在波比の特性が得られる。
【0013】
なお、上述した文献1のFigure11.26に記載のVSWRは、電圧定在波比と等価なものであり、アンテナの周波数帯域特性を示す一般的なものである。また、バラン回路の不平衡信号ポート1に接続されるRF回路には送信機、受信機等があるが、前記RF回路の特性インピーダンスは50オームが一般的であり、また前記RF回路は不平衡信号のマイクロ波で動作しているのが一般的である。
【0014】
また、上述した文献1の420ページから421ページ、およびFigure11.28に記載されているダイポールアンテナに適用した例においても、不平衡信号ポート1の特性インピーダンスである50オームとダイポールアンテナの特性インピーダンスである80オームとの特性インピーダンスの差を緩和するために、63オームの特性インピーダンスを有するマイクロストリップ線路を介して接続を行っている。例えば、電圧定在波比が2以下となる周波数帯域をアンテナが動作する周波数帯域としたアンテナ装置に用いる場合、11GHz〜16GHzの約1.5倍の周波数帯域で使用可能となる。
【0015】
ところで、多くの情報を伝達するためには、例えば約3倍の周波数帯域を有する広帯域の通信用アンテナ装置が必要となる。上記で説明したダイポールアンテナは、使用可能な周波数帯域が1.5倍の帯域であって帯域不足のため、このような広帯域の通信用アンテナ装置に用いることはできない。
【0016】
このため、広帯域の通信用アンテナ装置には、3倍の周波数帯域で定インピーダンス特性を有し、かつ3倍の周波数帯域で平滑な放射効率を有するアンテナとして、例えば自己補対アンテナを用いる必要がある。自己補対アンテナの例としては、スパイラルアンテナ等がある。
【0017】
従来のバラン回路に、上記自己補対アンテナを適用した例について、数1を用いて説明する。自己補対アンテナは、一般的に虫明の定理により188オームの定インピーダンス特性を有しているため、数1のZ1に自己補対アンテナの特性インピーダンスである188オームを代入し、また数1のZ2にはRF回路の一般的な特性インピーダンスである50オームを代入して、マーチャンドバランの入力インピーダンスであるZ3を計算する。マーチャンドバラン部3の入力における電圧定在波比を、数2を用いて計算すると図10となる。ここで、数2におけるZ2はRF回路の特性インピーダンス、Z3はマーチャンドバラン部3の入力インピーダンス、Γは反射係数、VSWRはVoltage Standing Wave Ratioの略で電圧定在波比を示す。
【0018】
【数2】
【0019】
図10より、例えば電圧定在波比が2以下となる周波数帯域で良好にアンテナが動作するとした場合、図10の従来のバランに自己補対アンテナを接続した場合のアンテナが良好に動作する周波数帯域25が動作可能な周波数帯域となり、fcの2分の1倍の周波数からfcの2分の3倍の所望周波数帯域内では電圧定在波比が2以上となってしまうため、アンテナが良好に動作しない問題が発生する。なお、図11において、所望周波数帯域の中心周波数をfcとした場合、3倍の周波数帯域はfcの2分の1倍の周波数からfcの2分の3倍の周波数帯域を示す。
【0020】
以上のように、ダイポールアンテナを従来のバラン回路に適用する場合、RF回路とダイポールアンテナとの特性インピーダンス比が、1.5以下と比較的小さいため、RF回路とダイポールアンテナの特性インピーダンスとの中間値の特性インピーダンスを有するマイクロストリップ線路を用いることによって、RF回路とダイポールアンテナの特性インピーダンス比が緩和され、アンテナの動作に支障を生じない。
【0021】
しかし、自己補対アンテナを従来のバラン回路に適用する場合、RF回路の特性インピーダンス比が3.5を超えるようなときには、インピーダンス整合の不連続が大きくなり、電圧定在波比の特性が悪くなる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバラン回路は、平衡信号ポートを有した自己補対アンテナ等と、不平衡信号ポートを有し平衡信号ポート側とインピーダンスの異なるRF回路とを接続するインピーダンス変換器として用いる場合、インピーダンス整合において不連続な部分が生じるため、中心周波数の3倍もの広帯域に渡って良好な電圧定在波比の特性を得るように動作させることができないという問題があった。
【0023】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、中心周波数の3倍の帯域で使用可能な広帯域なバラン回路の実現を目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
この発明によるバラン回路は、一端が平衡信号ポートに接続された平衡二線線路と、一端が不平衡信号ポートに接続されたマイクロストリップ線路と、前記平衡二線線路の他端と前記マイクロストップ線路の他端との間で平衡信号と不平衡信号を変換するマーチャンドバラン回路とを備え、
前記マイクロストリップ線路は、テーパ形状のストリップ導体層を有するものである。
【0025】
また、この発明によるバラン回路は、一端が平衡信号ポートに接続された平衡二線線路と、一端が不平衡信号ポートに接続されたマイクロストリップ線路と、前記平衡二線線路の他端と前記マイクロストップ線路の他端との間で平衡信号と不平衡信号を変換するマーチャンドバラン回路とを備え、
前記平衡二線線路はテーパ形状のストリップ導体層を有するものである。
【0026】
また、前記マイクロストリップ線路のテーパ形状のストリップ導体層は、前記マーチャンドバランに接続する側の特性インピーダンスと、前記平衡信号ポートの特性インピーダンスとの比が、1対2のインピーダンス比となるテーパ比率を有したものであってもよい。
【0027】
また、前記平衡二線線路のテーパ形状のストリップ導体層は、前記平衡二線線路のマーチャンドバランに接続する側の特性インピーダンスと、前記平衡二線線路の平衡信号ポート側の特性インピーダンスとの比が、1対2のインピーダンス比となるテーパ比率を有したものであってもよい。
【0028】
この発明によるアンテナ装置は、上記請求項1から請求項4記載のバラン回路と、このバラン回路の平衡信号ポートに接続された自己補対アンテナとを備えたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示すバラン回路の構成を示す図である。
図1において、1は不平衡信号ポート、5は平衡二線線路、6は平衡信号ポート、9はRF回路、10は線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路であって、図ではバラン回路の基板裏面に設けられた状態を破線で示している。11はマイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部、12はマイクロストリップ線路幅が狭まった不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部、13は自己補対アンテナである。また、AAは線路幅をテーパ形状に変化させるマイクロストリップ線路の断面線、BBは平衡二線線路の断面線を示す。
【0030】
図2は、図1の線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路のAA線断面図である。図2における14は、テーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路のストリップ導体層、15はテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路の誘電体層、16はテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路のグランド層である。
【0031】
図3は、図1の平衡二線線路におけるBB線断面図である。17は平衡二線線路のストリップ導体層、18は平衡二線線路の誘電体層である。
【0032】
図2より、テーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10は一般的なマイクロストリップ線路の構成を有しているため、マイクロ波を伝送する動作においても一般的なマイクロストリップ線路と同じである。
【0033】
図3より、平衡二線線路5は平衡二線線路の誘電体層18上に2つのストリップ線路が並行に置かれて構成された平衡二線線路のストリップ導体層17で構成されているが、動作は一般的な平衡二線線路と同じである。
【0034】
次に、動作について図を用いて説明する。図1のバランの構成において、不平衡信号ポート1に接続されたRF回路9から不平衡信号ポート1にマイクロ波が入力され、不平衡信号ポート1を介して不平衡信号のマイクロ波の線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10に入力する。
【0035】
前記線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10に入力された不平衡信号のマイクロ波はテーパ形状によってマイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11に入力される以前に、ストリップ導体層14を伝送されることによって不平衡信号ポート1のインピーダンスから或る特性インピーダンスに変換され、マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11へ入力される。
【0036】
前記マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11へ入力された不平衡信号のマイクロ波は、マイクロストリップ線路幅が狭まった不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部12で平衡信号のマイクロ波に変換され、平衡二線線路5へ出力される。
【0037】
さらに、平衡二線線路5に入力された平衡信号は平衡信号ポート6に出力され、前記平衡信号ポート6に接続された自己補対アンテナ13に平衡二線線路を送り放射される。以上のことから、図1の前記RF回路9と自己補対アンテナ13を除いた部分が不平衡信号を平衡信号に変換するバラン回路となる。
【0038】
次に、自己補対アンテナの給電回路に実施の形態1のバラン回路を適用した場合の電気特性について説明する。なお、自己補対アンテナ13は虫明の定理により定インピーダンスな188オームの特性インピーダンスを有しているものとする。このとき、平衡信号ポート6の特性インピーダンスは前記自己補対アンテナ13が接続されるため188オームと一意で決まり、また平衡二線線路5の特性インピーダンスも平衡信号ポート6との整合を取るため188オームと一意で決まる。
【0039】
一方、不平衡信号ポート1には特性インピーダンス50オームを有するRF回路9が接続された場合、不平衡信号ポート1はRF回路9との整合を取るため、50オームと一意で決まる。また、不平衡信号ポート1に接続される線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10の不平衡信号ポート1に接続される側の特性インピーダンスは前記不平衡信号ポート1と整合を取るため50オームと一意で決まる。
【0040】
線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10のテーパ形状の働きにより、前記線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10の特性インピーダンスは50オームから特性インピーダンスZ4に変換され、マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11に接続され、前記特性インピーダンスZ4は任意に選択できる。
【0041】
不平衡信号ポート1から信号が入力された場合のマイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11における入力インピーダンスのZ3は、従来のバラン回路の説明で示した数1においてZ2をZ4に置き換えた数3となる。よってZ3は不平衡信号ポート1に接続するRF回路9の特性インピーダンスとは無関係となる。なお、数3のZ1は平衡信号ポート6に接続される自己補対アンテナ13の特性インピーダンス、Z4は線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10のマイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11側の任意に選択できる特性インピーダンス、fcはバラン回路が動作する周波数帯域の中心周波数、fは周波数、πは円周率である。
【0042】
【数3】
【0043】
このとき、数3のZ1には虫明の定理より得られる自己補対アンテナ13の特性インピーダンスである188オームを代入する。また、数3のZ4には自己補対アンテナ13の特性インピーダンスの同値となる188オームを選択し、例えば電圧定在波比(VSWR)が2以下となる周波数帯域でアンテナが動作するとした場合、その電圧定在波比は図4に示すとおりとなる。図において、実施の形態1のバラン回路に自己補対アンテナを接続した場合の電圧定在波比が2以下となる周波数帯域19は、所望周波数fcの3倍の周波数帯域内で広範囲に渡って連続な特性となる。
【0044】
よって、この実施の形態1のバラン回路を自己補対アンテナ13に適用した場合、マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11における入力インピーダンスのZ3は、平衡信号ポート6に接続する自己補対アンテナ13の特性インピーダンスであるZ1には依存するが、RF回路9の特性インピーダンスZ2には依存せず、自己補対アンテナ13の特性インピーダンスZ4と同値に選択できる。その結果、自己補対アンテナと同値のインピーダンス値でマイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11にマイクロ波を入力できるため、広帯域な特性を得ることが可能となる。
【0045】
また、テーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路10のストリップ導体が連続的なテーパ形状になっているため、自己補対アンテナ13の特性インピーダンスである188オーム等の高い特性インピーダンスのアンテナを接続した場合にも滑らかにインピーダンス変換ができるため、インピーダンス変換による反射を軽減できる。
【0046】
また、この実施の形態1のバランを自己補対アンテナ13に接続し、図1に示す構成とすることによって、3倍の周波数帯域で良好なアンテナの動作をする広帯域なアンテナ装置を実現できる。
【0047】
ここで、実施の形態1のバランの更なる利点を説明するため、図6および図7に示す他の広帯域アンテナ装置と、この実施の形態1による広帯域アンテナ装置との相違点についても述べる。
この図6、7に示した他の広帯域アンテナ装置では、従来バラン回路としてよく用いられているマイクロストリップテーパバランを用いている。図6はマイクロストリップテーパバランのグランド導体層21側の構成図であり、また、図7はマイクロストリップテーパバランのストリップ導体層23側の構成図である。さらに、図6と図7には、図1と同一の1、6、9、13が接続されているものとする。
【0048】
マイクロストリップテーパバランは、図6に示すマイクロストリップテーパバランのグランド導体層21を不平衡信号ポート1から平衡信号ポート6に向けて狭くすることにより、不平衡信号ポート1近くでは一般的なマイクロストリップ線路として働く。また、平衡信号ポート6へ向かうに従い、緩やかに不平衡信号を平衡信号へ変換し、平衡信号ポート6近くではマイクロストリップテーパバランの誘電体層を挟んだ一般的な平衡二線線路として働くため、不平衡信号を平衡信号へ変換するバラン回路となる。このようなマイクロストリップテーパバラン回路は、テーパバランを構成するストリップ導体層に対して、或る程度の物理長を持たせなくては不平衡信号を平衡信号への連続な変換ができず、反射が悪くなるという欠点がある。このため、この回路を搭載したアンテナ装置が厚くなる。
【0049】
しかし、この実施の形態1による広帯域アンテナ装置では、上記の図6、7に示した広帯域アンテナ装置のような緩やかに不平衡信号を平衡信号へ変換する方式ではなく、図1のマイクロストリップ線路幅が狭まった不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部12のように、表面の導体間の空隙とそれと垂直に置かれた裏側に設けられたストリップ線路との間で、マイクロ波回路として一般的に知られている電磁結合を利用して信号伝送するため、バラン回路の寸法が図6、7に示した広帯域アンテナ装置より薄くできる。
【0050】
以上により、この実施の形態によるバラン回路は、マイクロストリップ線路の線路幅をマーチャンドバランに向かってテーパ形状に変化させたため、自己補対アンテナのような広帯域なアンテナに適用した際に、広帯域な動作を可能にする効果が得られる。また、マイクロストリップ線路をテーパ形状にしたため、連続的なインピーダンス変換となるため、インピーダンス変換に伴う反射劣化が小さくなる。
【0051】
また、この実施の形態によるバラン回路を自己補対アンテナの給電回路に用いることにより、広帯域な特性を有するとともに、比較的薄型のアンテナ装置を実現でき、前記広帯域アンテナ装置の実装空間の小さい場所においても実装が可能となる。
【0052】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2を示すバラン回路の構成図である。
また、図において、1、6は図1と同一のものであり、2、3、4は図9に示す従来のバラン回路と同一のものであり、20は線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路である。また、図には示していないが不平衡信号ポート1には図1と同一のRF回路9が接続され、また、平衡信号ポート6には図1と同一の自己補対アンテナが接続されているものとする。
【0053】
次に動作について図を用いて説明する。図5のバランの構成において、RF回路9から不平衡信号ポート1を介し不平衡信号のマイクロ波をマイクロストリップ線路2に入力する。
【0054】
マイクロストリップ線路2から入力された不平衡信号のマイクロ波は前記マイクロストリップ線路2を介してマーチャンドバラン部3へ入力される。前記マーチャンドバラン部3へ入力された不平衡信号のマイクロ波は不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部4で平衡信号のマイクロ波に変換され線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20へ出力される。
【0055】
前記線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20に入力された平衡信号のマイクロ波はマーチャンドバラン部3の特性インピーダンスから平衡信号ポート6の特性インピーダンスへ変換されて平衡信号ポート6に出力され自己補対アンテナ13よりマイクロ波が放射されることにより不平衡信号を平衡信号に変換するバラン回路となる。
【0056】
例えば、実施の形態1と同様に自己補対アンテナ13の給電回路に従来のバラン回路を適用した場合について説明する。なお、前記自己補対アンテナ13は虫明の定理により広帯域において実施の形態1と同様に定インピーダンスなZ1の特性インピーダンスを有しているものとする。このとき、平衡信号ポート6の特性インピーダンスは前記自己補対アンテナ13が接続されているためZ1と一意で決まる。また、線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20の平衡信号ポート6側の線路インピーダンスも平衡信号ポート6との整合を取るためZ1と一意で決まる。
【0057】
線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20のマーチャンドバラン部3側の特性インピーダンスはテーパ形状の働きにより、特性インピーダンスZ1から特性インピーダンスZ5に変換され、マーチャンドバラン部3に接続される。このとき、特性インピーダンスZ5は任意に選択できる。
【0058】
一方、不平衡信号ポート1には特性インピーダンスがZ2であるRF回路9が接続された場合、不平衡信号ポート1はRF回路9との整合を取るためZ2と一意で決まる。また、不平衡信号ポート1に接続されたマイクロストリップ線路2も不平衡信号ポート1との整合を取るため、Z2と一意で決まる。
【0059】
不平衡信号ポート1から信号が入力された場合のマーチャンドバラン部3における入力インピーダンスのZ3は従来のバラン回路の説明で示した数1においてZ1をZ5に置き換えた数3となる。よってZ3は平衡信号ポート6に接続する自己補対アンテナ13の特性インピーダンスのZ1とは無関係となる。なお、数3のZ2は不平衡信号ポート1に接続されるRF回路9の特性インピーダンス、Z5は線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20のマーチャンドバラン部3に接続する側の任意に選択できる特性インピーダンス、fcはバラン回路が動作する周波数帯域の中心周波数、fは周波数、πは円周率である。
【0060】
【数4】
【0061】
このとき、数4のZ2には不平衡信号ポート1に接続されるRF回路9の特性インピーダンスである50オームを代入し、また数4のZ5にはRF回路9の特性インピーダンスと同値である50オームを選択した場合、その電圧定在波比についても、実施の形態1のバラン回路と同様に図4に示すような広帯域な特性となる。
【0062】
よって、実施の形態2のバラン回路を広帯域アンテナに適用した場合、マーチャンドバラン部3における入力インピーダンスのZ3は不平衡信号ポート1に接続するRF回路9の特性インピーダンスであるZ2には依存するが、平衡信号ポート6に接続する自己補対アンテナ13の特性インピーダンスZ1には依存せず、特性インピーダンスZ5をRF回路9側の特性インピーダンスの同値に選択できるため、実施の形態1と同様に広帯域特性を得ることが可能となる。
【0063】
また、実施の形態1のバラン回路では、MIC基板等の高誘電率基板を用いて小形なバラン回路を実現する場合、テーパ形状のマイクロストリップ線路10における、マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部11側の線路を、自己補対アンテナ13の特性インピーダンスである188オームで構成することによって、その線路幅が細くなる。
【0064】
しかし、実施の形態2におけるバラン回路においては、線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路20に特性インピーダンス変換機能を有しているため、特性インピーダンスが線路幅と線路間の距離の2つのパラメータで決定できることから、高インピーダンスな線路を容易に製造でき、実施の形態1と比べて生産性がより向上する。
【0065】
実施の形態3.
この実施の形態では、実施の形態1による線路幅をテーパ形状にしたマイクロストリップ線路10において、その線路幅をテーパ形状にしたマイクロストリップ線路10による変換後の特性インピーダンスであるZ4と、自己補対アンテナの特性インピーダンスであるZ1とのインピーダンス比が、1:2となるようなテーパ比で構成する。
【0066】
これによって、数3より図8に示すように、実施の形態3の電圧定在波比が2以下となる周波数帯域24が、所望周波数fcの3倍の周波数帯域全てにおいて連続で広帯域な特性が得られる。また、この実施の形態の広帯域アンテナ装置において、実施の形態1のバラン回路をアンテナ装置に用いた場合、最も広い電圧定在波比の特性を得るバラン回路となる。
また、3倍の周波数帯域を超える最も広帯域なアンテナ装置の実現が可能となる。
【0067】
実施の形態4.
さらに、実施の形態2のバラン回路をアンテナ装置に用いた場合、線路幅をテーパ形状にした平衡二線線路20を、RF回路の特性インピーダンスであるZ2と、線路幅をテーパ形状にした平衡二線線路20による変換後の特性インピーダンスであるZ5とのインピーダンス比が、1:2とよるなるようなテーパ比で構成することにより、数4より図8に示すような実施の形態3と同等な電圧定在波比の特性を得ることができ、実施の形態2のバラン回路をアンテナ装置に用いた場合、最も広い電圧定在波比の特性を得ることができる。
また、3倍の周波数帯域を超える最も広帯域なアンテナ装置の実現が可能となる。
【0068】
【発明の効果】
この発明によるバラン回路は、マイクロストリップ線路の線路幅をマーチャンドバランに向かってテーパ形状に変化させることにより、自己補対アンテナのような広帯域なアンテナに適用した際に、広帯域な動作が可能となる。
また、マイクロストリップ線路をテーパ形状にしたため、連続的なインピーダンス変換となるため、インピーダンス変換に伴う反射劣化が小さい。
【0069】
また、この発明によるバラン回路は、平衡二線線路の線路幅をマーチャンドバランに向かってテーパ形状に変化させることにより、広帯域な動作を可能にし、且つMIC基板等の高誘電率基板で製作し易い小型化な回路を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示すバラン回路の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すバラン回路のテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示すバラン回路の平衡二線線路の断面図である。
【図4】実施の形態1と実施の形態2における自己補対アンテナが接続されたバラン回路の電圧定在波比の周波数特性を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示すバラン回路の構成図である。
【図6】他の広帯域アンテナに用いるバラン回路のグランド導体層側の構成図である。
【図7】他の広帯域アンテナに用いるバラン回路のストリップ導体層側の構成図である。
【図8】この発明の実施の形態4における電圧定在波比の周波数特性を示す図である。
【図9】従来のバラン回路を示す構成図である。
【図10】従来のバラン回路における電圧定在波比の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1 不平衡信号ポート、 2 マイクロストリップ線路、 3 マーチャンドバラン部、 4 不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部、 5 平衡二線線路、 6 平衡信号ポート、 9 RF回路、 10 線路幅をテーパ形状に変化させたマイクロストリップ線路、 11 マイクロストリップ線路幅が狭まったマーチャンドバラン部、 12 マイクロストリップ線路幅が狭まった不平衡信号を平衡信号へ変換する変換部、 13 自己補対アンテナ、 20 線路幅をテーパ形状に変化させた平衡二線線路。
Claims (5)
- 一端が平衡信号ポートに接続された平衡二線線路と、
一端が不平衡信号ポートに接続されたマイクロストリップ線路と、
前記平衡二線線路の他端と前記マイクロストップ線路の他端との間で平衡信号と不平衡信号を変換するマーチャンドバラン回路とを備え、
前記マイクロストリップ線路は、テーパ形状のストリップ導体層を有することを特徴とするバラン回路。 - 一端が平衡信号ポートに接続された平衡二線線路と、
一端が不平衡信号ポートに接続されたマイクロストリップ線路と、
前記平衡二線線路の他端と前記マイクロストップ線路の他端との間で平衡信号と不平衡信号を変換するマーチャンドバラン回路とを備え、
前記平衡二線線路はテーパ形状のストリップ導体層を有することを特徴とするバラン回路。 - 前記マイクロストリップ線路のストリップ導体層は、前記マーチャンドバランに接続する側の特性インピーダンスと、前記平衡信号ポートの特性インピーダンスとの比が、1対2のインピーダンス比となるテーパ比率を有したことを特徴とするバラン回路。
- 前記平衡二線線路のストリップ導体層は、前記平衡二線線路のマーチャンドバランに接続する側の特性インピーダンスと、前記平衡二線線路の平衡信号ポート側の特性インピーダンスとの比が、1対2のインピーダンス比となるテーパ比率を有したことを特徴とするバラン回路。
- 上記請求項1から請求項4記載のバラン回路と、このバラン回路の平衡信号ポートに接続された自己補対アンテナとを備えたことを特徴とするアンテナ装置。
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