JP2007329546A - 広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステム - Google Patents

広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステム Download PDF

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Abstract

【課題】アンテナエレメントと方向性結合器との間の結合損失を低減させ、かつ広帯域な動作を実現する広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムを提供する。
【解決手段】ループ状のアンテナエレメント100を有する広帯域アンテナにおいて、アンテナエレメント100は、アンテナエレメント100の形状を調節することにより、アンテナエレメント100の周長を1波長とする第1の共振周波数と、アンテナエレメント100の周長を2波長とする第2の共振周波数とに対して、略同じ値の入力インピーダンスを持つとともに、伝送線路からの信号の分岐が可能な方向性結合器110と一体化している。
【選択図】図1

Description

本発明は、方向性結合器と一体化した広帯域アンテナ及び該広帯域アンテナを用いて有線・無線複合通信を実現する広帯域アンテナシステムに関する。
従来、信号源や各種情報機器等の多様化が急速に普及していることに伴い、高周波伝送線路から結合部を経て分岐出力を安定良く取り出し、高周波信号の伝送を高密度に行う高周波信号分岐方法が望まれていた。これを実現する一つの方法として、平衡型線路で構成された伝送線路と方向性結合器及びアンテナを用いた有線・無線複合通信システムがある(例えば、特許文献1参照)。
図19は、高周波信号分岐方法の基本を示す構成図である。一対の平行電線1、1′を絶縁体により被覆した平衡な高周波伝送線路を設け、この高周波伝送線路の左端に信号源Sを接続し、右端には終端抵抗ZRを接続してあり、この信号源Sと終端抵抗ZRとの間に結合部を設けてある。
この結合部は、一対の長手小方形状の導体からなる誘起線路3、3′を、上記高周波伝送線路に絶縁体を介して平行に結合し、この誘起線路3、3′の一方の端は整合抵抗Zrを介して接続し、他方の端は平衡入力を不平衡出力に変換する変換器Tを介して、同軸ケーブルCxに接続して構成してある。誘起線路3、3′に誘起された分岐出力は上記同軸ケーブルCxから取り出せる。
上記結合部は、高周波伝送線路に誘起線路を平行に結合するだけで確実な分岐出力を得ることができる。
さらに上記構成の結合部では、高周波伝送線路との電磁界的結合は誘起線路3、3′との間でのみ生じ、それ以外では全く結合を生じないので、同軸ケーブルCxから常に安定した分岐出力を得ることができる。
図20は、高周波分岐方法の実施例を示す斜視図である。一対の平衡電線1、1′をテープ状とし背面には接着テープにて直接建築部材に接着出来るようにした実施例であって、表面を建築内装材などの化粧板9にて覆ってある。誘起線路3、3′も同様にテープ状にし、ある程度相互の隔離があっても充分な結合が得られるようにしてある
このように、一対の平行電線1、1′よりなる平衡な高周波伝送線路に、一対の導体よりなる誘起線路3、3′を平行に結合して、上記誘起線路3、3′の一方の端にいたって簡便にどこの部位からでも整合抵抗Zrを接続し、他方の端に平衡入力を不平衡出力に変換する変換器Tを介して同軸ケーブルを接続して分岐出力を取り出すようになした結合部を設けた分岐方法であって、上記結合部を高周波伝送線路に沿ってそれぞれ結合方向を変えて複数設け、結合部と正結合した高周波信号の分岐出力により伝送を行うようになしてある。このことから、高周波伝送線路のいずれの部位においても、高周波伝送線路を断線することなく、しかも伝送を中断せずに結合部を追加して新たな分岐出力を容易に得ることができるので、高周波信号を高密度に伝送する高周波信号分岐方法を提供できる。
特許2881164号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、方向性結合器、バラン(平衡―非平衡変換器)、アンテナを個別に接続することにより構成されていたため、接続による損失が大きかった。特に平衡線路を用いた方向性結合器と不平衡線路である同軸線路を接続する際に用いられるバランは、外皮に不平衡電流が流れるのを阻止するとともに、インピーダンス整合を行う役目もあるが、損失が発生する要因の一つとなる。
また、共振現象を利用して電磁波を放射あるいは受信するアンテナは、効率は良いが狭い帯域でのみ動作していた。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、アンテナエレメントと方向性結合器との間の結合損失を低減させ、かつ広帯域な動作を実現する広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムを提供することを課題とする。
本発明に係る広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムは、上記課題を解決するために、請求項1記載の発明の広帯域アンテナは、ループ状のアンテナエレメントを有する広帯域アンテナにおいて、前記アンテナエレメントは、前記アンテナエレメントの形状を調節することにより、前記アンテナエレメントの周長を1波長とする第1の共振周波数と、前記アンテナエレメントの周長を2波長とする第2の共振周波数とに対して、略同じ値の入力インピーダンスを持つことを特徴とする。
請求項2記載の発明の広帯域アンテナは、請求項1において、前記アンテナエレメントの形状は、略1:2の縦横比を持つ長方形であることを特徴とする。
請求項3記載の発明の広帯域アンテナは、請求項1または請求項2において、一対の平行な導体からなる結合用線路を有する方向性結合器と、前記結合用線路の一端に接続された終端抵抗とを備え、前記結合用線路の他端は、前記アンテナエレメントに接続されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明の広帯域アンテナは、請求項3において、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、前記方向性結合器の前記結合用線路の特性インピーダンスの値とが略同じであることを特徴とする。
請求項5記載の発明の広帯域アンテナは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項において、前記第1の共振周波数は、420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、前記第2の共振周波数は、880MHzから980MHzまでの間の周波数であることを特徴とする。
請求項6記載の発明の広帯域アンテナは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項において、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値は、略200Ωであることを特徴とする。
請求項7記載の発明の広帯域アンテナシステムは、一対の平行電線よりなる平衡な高周波伝送線路と、請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の広帯域アンテナとを備え、前記結合用線路は、前記高周波伝送線路に平行に電磁的に結合していることを特徴とする。
請求項8記載の発明の広帯域アンテナシステムは、請求項7において、前記方向性結合器の結合度は、前記結合用線路の長さを、前記第1の共振周波数と、前記第2の共振周波数との略中間の周波数の波長の4分の1の長さにすることにより、前記略中間の周波数において最大となるよう調節されていることを特徴とする。
請求項9記載の発明の広帯域アンテナシステムは、請求項7又は請求項8において、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、前記方向性結合器の前記結合用線路の特性インピーダンスの値と、前記高周波伝送線路の特性インピーダンスの値とが略同じであることを特徴とする。
請求項10記載の発明の広帯域アンテナシステムは、請求項7乃至請求項9のいずれか1項において、前記第1の共振周波数は、420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、前記第2の共振周波数は、880MHzから980MHzまでの間の周波数であることを特徴とする。
請求項11記載の発明の広帯域アンテナシステムは、請求項7乃至請求項10のいずれか1項において、前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値は、略200Ωであることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明によれば、通常、1波長共振の入力インピーダンスと2波長共振の入力インピーダンスとは異なるところを、アンテナエレメントの形状を調節することにより、略同じ値の入力インピーダンスをアンテナに持たせることができる。したがって、2つの周波数帯で反射が低く整合のとれた広帯域アンテナを提供することができる。すなわち、2周波動作が可能となる。
本発明の請求項2記載の発明によれば、アンテナエレメントの形状を略1:2の縦横比を持つ長方形にすることにより、1波長共振、2波長共振いずれにおいても、略200Ωの入力インピーダンスを有する広帯域アンテナを提供することができる。また、縦横比をそのままにしてアンテナエレメントの大きさを調節することにより、共振周波数帯を調節することができる。
本発明の請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2の広帯域アンテナと方向性結合器とをバランを介さずに接続して一体化するので、バランによる挿入損失が生じない。さらに、方向性結合器は、平衡伝送線路から信号を分岐し、結合用線路は平衡型アンテナエレメントのフィーダとしても動作させることができる。
本発明の請求項4記載の発明によれば、アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスの値を略同じにすることにより、インピーダンス整合がとれ、損失が少なく効率の良い広帯域アンテナを提供することができる。
本発明の請求項5記載の発明によれば、第1の共振周波数が420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、第2の共振周波数が880MHzから980MHzまでの間の周波数であるため、UHF帯の高周波信号を取り扱うことができる。高周波伝送線路としてUHFケーブルを用いる場合にも都合が良い。
本発明の請求項6記載の発明によれば、アンテナエレメントの入力インピーダンスの値が200Ωであるため、UHFケーブルの特性インピーダンスに等しく、方向性結合器の結合度増加に寄与する。
本発明の請求項7記載の発明によれば、高周波伝送線路に電磁的に結合した方向性結合器を含む広帯域アンテナを用いるため、有線・無線複合通信が可能な広帯域アンテナシステムを構成することができる。
本発明の請求項8記載の発明によれば、方向性結合器の長さを、第1の共振周波数と、第2の共振周波数との略中間の周波数の波長の4分の1の長さにするため、その周波数において方向性結合器の結合度が最大となる。したがって、第1の共振周波数と第2の共振周波数の間の周波数帯においても、伝送損失を低減することができ、広帯域な動作を実現することができる。
本発明の請求項9記載の発明によれば、アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスの値と、高周波伝送線路の特性インピーダンスの値を合わせるため、方向性結合器の結合度を上げるとともに、アンテナエレメントと方向性結合器の間にバランを必要としないため、損失を抑えた効率の良い広帯域アンテナシステムを提供することができる。
本発明の請求項10記載の発明によれば、第1の共振周波数が420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、第2の共振周波数が880MHzから980MHzまでの間の周波数であるため、請求項5の場合と同じく、UHF帯の高周波信号を取り扱うことができる。伝送線路としてUHFケーブルを用いた広帯域アンテナシステムを提供することができる。
本発明の請求項11記載の発明によれば、アンテナエレメントの入力インピーダンスの値が200Ωであるため、UHFケーブルの特性インピーダンスに等しく、方向性結合器の結合度増加に寄与する。
以下、本発明の広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1の基本構成を示す図である。まず、本実施の形態の構成を説明する。アンテナエレメント100は、ループ状であり、方向性結合器110の一端に接続されている。方向性結合器110の結合用線路112は、一対の平行な導体よりなり、例えばコプレーナ線路を用いることができる。方向性結合器110の他端は、終端抵抗120に接続されている。方向性結合器110は、信号140を伝送する平行2線線路130に平行に電磁的に結合している。ここで、平行2線線路130は、本発明の高周波伝送線路に対応し、一対の平行電線よりなる平衡な高周波伝送線路である。
図1において方向性結合器110の結合用線路112は、基板を挟んで平行2線線路130の反対側に設けられているが、平行2線線路130と同じ側にあってもよい。後に記す図5において、方向性結合器110の結合用線路112は、基板を挟まず平行2線線路130に密着するように設けられている。
図2は、有線・無線複合通信の概念図を示す。伝送線路135は、本発明の高周波伝送線路に対応する。カプラー115は、本発明の方向性結合器に対応し、伝送線路135からの信号の分岐あるいは合流を可能とする。アンテナ105は、本発明のアンテナエレメントに対応し、カプラー115に接続されている。また、アンテナ105は、送受信器150と無線通信を行う。このようなシステムを構築することにより、有線・無線複合通信システムを構成することができる。すなわち、電波が透過しにくい障壁(壁160)においては、有線である伝送線路135により信号を伝送し、障壁の無い一定の空間ではアンテナ105を用いた無線通信を行う。本発明である広帯域アンテナシステムは、このようなシステムにおいて、超広帯域(Ultra−Wide Band:UWB)通信を可能にする。
図3は、実施例1における広帯域アンテナシステムの1例を示す。アンテナエレメント100aは、方向性結合器110aの面内に対して直角に接続され、平行2線線路130aであるUHFケーブルと相互に干渉しないように配置されている。結合用線路112aを有する方向性結合器110aがアンテナエレメント100aと終端抵抗120aに接続されているのは、図1と同様である。平行2線線路130aは、方向性結合器110aに平行に電磁的に接続されるように、方向性結合器110aの底部に支えられている。
また図4は、プリント基板上にアンテナ部と方向性結合器部を一体化して構成する場合の構成図である。アンテナ部であるアンテナエレメント100bと、方向性結合器部である結合用線路112bと、終端抵抗120bの接続関係は図1や図3の場合と同様である。
図5は、図1、図3、図4に共通する方向性結合器の断面図を示す。基板115a上に設けられたコプレーナ線路170は、本発明の方向性結合器の結合用線路に対応し、平行2線線路130bに平行に、電磁的に接続されている。このとき平行2線線路130bの特性インピーダンスが200Ωであるならば、方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスも200Ωとする。それにより、方向性結合器の結合度を上げることができる。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。最初にアンテナエレメントの動作を説明する。図6は、ループアンテナの形状を示す図である。図6(a)にフォールデッドダイポール108a、図6(b)に正方形ループ108b、図6(c)に長方形ループ108cを示す。
フォールデッドダイポール108aは、アンテナエレメント周囲の全長約2Lがほぼ1波長となる周波数で共振する。このとき、フォールデッドダイポール108aの入力インピーダンスは約300Ωとなる。フォールデッドダイポール108aは、2波長となる周波数においても共振するが、入力インピーダンスは300Ωとはならずに、通常1Ω以下のかなり低い値となる。
正方形ループ108bは、放射に寄与するアンテナエレメント周囲の全長4Sがほぼ1波長となる周波数で共振する。このとき、正方形ループ108bの入力インピーダンスは約100Ωとなる。正方形ループ108bもフォールデッドダイポール108aの場合と同様、2波長となる周波数においても共振に近い動作をするが、入力インピーダンスは100Ωとはならずに、250Ω程度となり、また若干のリアクタンス分を持つ。
長方形ループ108cは、フォールデッドダイポール108aと正方形ループ108bの結果より、アンテナエレメント周囲の全長2X+2Yがほぼ1波長となる周波数で共振し、入力インピーダンスが100Ωと300Ωの中間である200Ω程度になることが予想される。
図1に示すような本発明の実施例1の形態の広帯域アンテナにおいて、アンテナエレメント100は、アンテナエレメント100の形状を調節することにより、アンテナエレメント100の周長を1波長とする第1の共振周波数と、アンテナエレメント100の周長を2波長とする第2の共振周波数とに対して、略同じ値の入力インピーダンスを持つ。このアンテナエレメント100の1例として、図6(c)に示すような長方形ループ108cの縦横比を略1:2とすることにより、1波長動作(第1の共振周波数)における入力インピーダンスの値は200Ω程度となり、さらに2波長動作(第2の共振周波数)においても入力インピーダンスの値は200Ω程度となる。これについて以下具体的な考察を記す。
図7は、モーメント法による長方形ループアンテナの分割を示す図である。モーメント法とは、一般的に積分方程式を数値計算に適したマトリクス方程式に変換することをいう。計算時間が速く、線状素子のみで構成されたアンテナの表面上の電界分布を求めるのに適している。図7に示すように長方形ループアンテナのエレメントを分割(セグメント)し、モーメント法により、Xの長さとYの長さを変えながら計算した結果、X:Y=230(mm):110(mm)の場合に、第1の共振周波数である450MHzと第2の共振周波数である900MHz付近で200〜250Ωの入力インピーダンスを持つことが確認できる。
図8、図9、図10を用いて長方形ループアンテナにおける1波長共振及び2波長共振について説明する。なお、図8、図9、図10において、長方形ループ上の点a,b,c,d,eはそれぞれ対応する。また、長方形ループの寸法は図7に示すものと同じである。
図8は長方形ループアンテナを示したものである。P1−P2間に1Vの給電電圧がかけられている。図9は、直線状に展開された長方形ループ上の電流分布を示した図であり、実際には左端の点cと右端の点cはつながっている。図9において、長方形ループアンテナは、アンテナエレメント周囲の全長がほぼ1波長となる周波数(ここでは450MHz)で共振している。このような動作を1波長動作とし、このときの入力インピーダンスは約200Ωとなる。また電流の最大値は約5mAである。
図10は、図9と同様に直線状に展開された長方形ループ上の電流分布を示した図である。図10において、長方形ループアンテナは、アンテナエレメント周囲の全長がほぼ2波長となる周波数(ここでは900MHz)で共振している。このような動作を1波長動作とし、このときの入力インピーダンスも約200Ωとなる。また電流の最大値も約5mAである。
図11は、図7におけるモーメント法による長方形ループアンテナの入力インピーダンスの計算結果である。450MHz及び900MHz近辺においてリアクタンスが0Ωとなり共振するとともに、レジスタンスがいずれも約230Ωとなる。
図12は、FDTD(Finite Difference Time Domain)法により設計したアンテナエレメントの寸法である。FDTD法は、マックスウェルの方程式を時間、空間で差分化し、解析空間の電磁界をリープフロッグアルゴリズム(電界と磁界を交互に計算する)を用いて時間的に更新して出力点の時間応答を得る方法である。図12において、アンテナエレメントはプリント基板上に構成され、比誘電率2.17、厚さ1.6mmの基板を用いる。
図13は、図12の寸法のアンテナエレメントについて、FDTD法により計算した反射減衰量S11の大きさを示す。図13より、420MHz〜510MHz範囲と、880MHz〜980MHz範囲との2つの周波数範囲で反射が低く、よく整合することがわかる。420MHz〜510MHzは1波長共振(第1の共振周波数)に対応し、880MHz〜980MHzは2波長共振(第2の共振周波数)に対応する。通常、1波長共振の入力インピーダンスと2波長共振の入力インピーダンスは異なるが、図12のようなX:Yがほぼ1:2となるような長方形ループアンテナでは、共に約200Ωの入力インピーダンスとなる。ただし、510MHz〜880MHzの範囲においては、若干反射が大きい。
図14は、実際に作成したアンテナに対して、ネットワークアナライザを用いて50Ω同軸系で測定した反射減衰量(反射SパラメータS11の大きさ)である。FDTD法を用いて計算した図13の計算結果とほぼ同様の結果が得られる。
次に方向性結合器の動作を説明する。図15は、方向性結合器の結合度測定の構成図である。方向性結合器110bは、結合用線路112cを有する。ここでは結合用線路112cとしてコプレーナ線路を用いている。結合用線路112cは、平行2線線路130cに平行に密着し、電磁的に結合する。ここでは、平行2線線路130cとしてUHFケーブルを用いる。また結合用線路112cは、バラン180を介して図示されていないネットワークアナライザへ接続されており、他端は終端抵抗120cに接続されている。図15のような構成により、方向性結合器110bの順方向と逆方向の結合度(UHFケーブルからコプレーナ線路への伝送SパラメータS21の大きさ)を測定することができる。
図16は、図15の構成により測定した方向性結合器の結合度を示す。結合用線路と伝送線路の間の距離が固定である場合、方向性結合器の結合度は、その長さが波長の4分の1となる周波数で最大となる。波長は方向性結合器110bが誘電体を含むため真空中よりも短くなり、700MHzの波長の4分の1の長さは約7cmとなる。そのため図15の構成において、結合用線路112cの長さは7cmとしている。したがって、図16において、結合度は700MHz付近で最大となる。すなわち、図13に示される反射の大きな周波数帯である510MHz〜880MHz(第1の共振周波数と第2の共振周波数の間の周波数帯)の範囲においてもその結合度の高さから動作が可能となる。すなわち、アンテナエレメントと方向性結合器を一体化することにより、アンテナエレメントが持つ2つの共振周波数と、方向性結合器の結合特性を組み合わせて広帯域な動作を実現できる。
このように、図1に示すような本発明の実施例1の形態の広帯域アンテナシステムにおいて、方向性結合器110の結合度は、結合用線路112の長さを、第1の共振周波数と、第2の共振周波数との略中間の周波数の波長の4分の1の長さにすることにより、略中間の周波数において最大となるよう調節される。
なお、結合用線路112の長さを固定とした場合、方向性結合器110の結合度は、結合用線路112の断面寸法と、高周波伝送線路である平行2線線路130(UHFケーブル)までの距離により変化する。方向性結合器110(コプレーナ線路)から平行2線線路130(UHFケーブル)までの距離が大きくなると、結合度は小さくなる。
結合度が大きすぎるとアンテナへの電力供給が大きくなりすぎ、多くのアンテナを伝送線路上に取り付けられない。また結合度が小さすぎると、アンテナエレメント100から放射及び受信される電力が小さくなる。したがって、方向性結合器110の結合度は−10dBから−15dBの値が適切であり、調節する必要がある。
また、コプレーナ線路の断面寸法は、その特性インピーダンスが200Ωとなるように設計されている。したがって、高周波伝送線路の特性インピーダンス及びアンテナエレメントの入力インピーダンスと略同じ値となり、結合度が大きくなるとともに反射を小さくすることができる。
このように、図1に示すような本発明の実施例1の形態の広帯域アンテナにおいて、第1の共振周波数及び第2の共振周波数に対するアンテナエレメント100の入力インピーダンスの値と、結合用線路112の特性インピーダンスの値と、高周波伝送線路である平行2線線路130の特性インピーダンスの値とは、略同じである。
図17は本発明の実施の形態の広帯域アンテナ210の動作確認実験の構成図である。ネットワークアナライザ190は、広帯域アンテナ210及びLPDA(対数周期ダイポールアレイアンテナ)220に接続されている。広帯域アンテナ210及びLPDA220は、発砲スチロール200により支えられており、その間の距離は1mである。
図18は、図17の構成による実験で測定された、広帯域アンテナ210(送信アンテナ)からLPDA220(受信アンテナ)までの伝送SパラメータS21の大きさを測定したものである。比較のため、従来の400MHz及び900MHz半波長共振フォールデッドダイポールアンテナの測定結果も示す。
図18において、本発明に係る広帯域アンテナ210は、400MHz〜900MHzの全ての周波数にわたって400MHzもしくは900MHz半波長フォールデッドダイポールアンテナと同等以上であることを示す。
上述のとおり、実施例1の形態に係る広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムによれば、通常、1波長共振の入力インピーダンスと2波長共振の入力インピーダンスとは異なるところを、アンテナエレメントの形状を略1:2の縦横比を持つ長方形にすることにより、1波長共振、2波長共振いずれにおいても、略200Ωの入力インピーダンスをアンテナに持たせることができる。したがって、2つの周波数帯で反射が低く整合のとれた広帯域アンテナを提供することができる。すなわち、2周波動作が可能となる。さらに縦横比をそのままにしてアンテナエレメントの大きさを調節することにより、共振周波数帯を調節することができる。また、伝送線路としてUHFケーブルを用いた場合の特性インピーダンスに等しく、方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスも200Ωに設定することにより方向性結合器の結合度増加に寄与する。
またアンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスの値を略同じにすることにより、インピーダンス整合がとれ、バランを介さずに接続して一体化するので、バランによる挿入損失が生じない。さらに方向性結合器の結合用線路の特性インピーダンスの値と、高周波伝送線路の特性インピーダンスの値を合わせるため、方向性結合器の結合度を上げることができる。したがって、損失が少なく効率の良い広帯域アンテナを提供することができる。さらに、結合用線路は、平衡型アンテナエレメントのフィーダとしても動作させることができる。
また実施例1において、図12に示すような寸法のアンテナエレメントを用いることによって、第1の共振周波数が420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、第2の共振周波数が880MHzから980MHzまでの間の周波数となる。したがって、UHF帯の高周波信号を取り扱うことができる。伝送線路としてUHFケーブルを用いる場合にも都合が良い。
また、高周波伝送線路に電磁的に結合した方向性結合器を含む広帯域アンテナを用いるため、図2のような構成をとることにより有線・無線複合通信が可能な広帯域アンテナシステムを構成することができる。
さらに、方向性結合器の結合用線路の長さを、第1の共振周波数と、第2の共振周波数との略中間の周波数の波長の4分の1の長さにするため、その周波数において方向性結合器の結合度が最大となる。したがって、第1の共振周波数と第2の共振周波数の間の周波数帯においても、伝送損失を低減することができ、広帯域な動作を実現することができる。
すなわち、図1に示すような本発明の実施例1の形態の広帯域アンテナシステムにおいて、方向性結合器110と一体化した長方形ループのアンテナエレメント100を用いることにより、400MHzから900MHzという広帯域で動作するアンテナシステムを構成することができる。中心周波数を650MHzとするならば、帯域500MHzは中心周波数の0.77倍であり、UWB通信が充分に可能な広帯域アンテナシステムとなる。さらに長方形ループの大きさを変えることにより、400MHzから900MHzという周波数帯に限らず、広帯域アンテナシステムを構成できる。
本発明に係る広帯域アンテナ及び広帯域アンテナシステムは、UWB(超広帯域)通信に利用可能である。
本発明の実施例1の形態である広帯域アンテナシステムの基本構成図である。 本発明の広帯域アンテナシステムを用いた有線・無線複合通信の概念図である。 本発明の実施例1の形態の広帯域アンテナシステムの構成例である。 本発明のプリント基板上にアンテナ部と方向性結合器部を一体化して構成する場合の広帯域アンテナの構成図である。 本発明の実施例1の形態である広帯域アンテナの方向性結合器の断面図である。 ループアンテナの形状を示す図である。 モーメント法による長方形ループアンテナの分割を示す図である。 長方形ループアンテナを示す図である。 1波長動作時における直線状に展開された長方形ループ上の電流分布を示した図である。 2波長動作時における直線状に展開された長方形ループ上の電流分布を示した図である。 図7におけるモーメント法による長方形ループアンテナの入力インピーダンスの計算結果を示す図である。 FDTD法により設計した本発明の実施例1の形態である広帯域アンテナのアンテナエレメントの寸法である。 FDTD法により計算した反射減衰量S11を示す図である。 本発明の実施例1の形態である広帯域アンテナのアンテナエレメントの反射減衰量を示す図である。 方向性結合器の結合度測定の構成図である。 図15の構成により測定した方向性結合器の結合度を示す図である。 本発明の広帯域アンテナの動作確認実験の構成図である。 図17の構成による伝送SパラメータS21の測定結果を示す図である。 従来の高周波信号分岐方法の基本を示す構成図である。 従来の高周波分岐方法の実施例を示す斜視図である。
符号の説明
1、1′ 電線
2、2′ 絶縁体
3、3′ 誘起線路
100、100a、100b アンテナエレメント
105 アンテナ
108a フォールデッドダイポール
108b 正方形ループ
108c 長方形ループ
110、110a、110b 方向性結合器
112、112a、112b、112c 結合用線路
115、115b カプラー
115a 基板
120、120a、120b、120c 終端抵抗
130、130a、130b、130c 平行2線線路
135 伝送線路
140 信号
150 送受信器
160 壁
170 絶縁体
180 バラン
190 ネットワークアナライザ
200 発砲スチロール
210 広帯域アンテナ
220 LPDA
Cx 同軸ケーブル
P1、P2 給電端子
S 信号源
T 変換器
Zr 整合抵抗
ZR 終端抵抗

Claims (11)

  1. ループ状のアンテナエレメントを有する広帯域アンテナにおいて、
    前記アンテナエレメントは、前記アンテナエレメントの形状を調節することにより、前記アンテナエレメントの周長を1波長とする第1の共振周波数と、前記アンテナエレメントの周長を2波長とする第2の共振周波数とに対して、略同じ値の入力インピーダンスを持つことを特徴とする広帯域アンテナ。
  2. 前記アンテナエレメントの形状は、略1:2の縦横比を持つ長方形であることを特徴とする請求項1記載の広帯域アンテナ。
  3. 一対の平行な導体からなる結合用線路を有する方向性結合器と、
    前記結合用線路の一端に接続された終端抵抗とを備え、
    前記結合用線路の他端は、前記アンテナエレメントに接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の広帯域アンテナ。
  4. 前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、前記方向性結合器の前記結合用線路の特性インピーダンスの値とが略同じであることを特徴とする請求項3記載の広帯域アンテナ。
  5. 前記第1の共振周波数は、420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、前記第2の共振周波数は、880MHzから980MHzまでの間の周波数であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の広帯域アンテナ。
  6. 前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値は、略200Ωであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の広帯域アンテナ。
  7. 一対の平行電線よりなる平衡な高周波伝送線路と、
    請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の広帯域アンテナとを備え、
    前記結合用線路は、前記高周波伝送線路に平行に電磁的に結合していることを特徴とする広帯域アンテナシステム。
  8. 前記方向性結合器の結合度は、
    前記結合用線路の長さを、前記第1の共振周波数と、前記第2の共振周波数との略中間の周波数の波長の4分の1の長さにすることにより、前記略中間の周波数において最大となるよう調節されていることを特徴とする請求項7記載の広帯域アンテナシステム。
  9. 前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値と、前記方向性結合器の前記結合用線路の特性インピーダンスの値と、前記高周波伝送線路の特性インピーダンスの値とが略同じであることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の広帯域アンテナシステム。
  10. 前記第1の共振周波数は、420MHzから510MHzまでの間の周波数であり、前記第2の共振周波数は、880MHzから980MHzまでの間の周波数であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項記載の広帯域アンテナシステム。
  11. 前記第1の共振周波数及び前記第2の共振周波数に対する前記アンテナエレメントの入力インピーダンスの値は、略200Ωであることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項記載の広帯域アンテナシステム。
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WO2019150498A1 (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 日本電業工作株式会社 アンテナ複合体、アンテナ構造体及び通信システム

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