JP2004023066A - 金属−グラファイトシート複合体および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしながら、その使いやすさとしての電気を伝えながら放熱することが確実かつ容易に行うことが出来る金属−グラファイトシート複合体および電子機器を提供すること。
【解決手段】発熱体50に熱的に接続して発熱体50の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体60であり、発熱体50に対して熱的に接続されるグラファイトシート70と、グラファイトシート70の少なくとも一方の面に配置された金属箔71と、グラファイトシート70と金属箔71からなる積層体の少なくともグラファイトシート70をラミネートしている電気絶縁性のラミネート材73と、グラファイトシート70を通じて伝導されてくる発熱体50の熱やノイズを放出するための熱放出対象部分61に対して、金属箔71を熱的に接続する熱的接続部74を備える。
【選択図】 図4
【解決手段】発熱体50に熱的に接続して発熱体50の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体60であり、発熱体50に対して熱的に接続されるグラファイトシート70と、グラファイトシート70の少なくとも一方の面に配置された金属箔71と、グラファイトシート70と金属箔71からなる積層体の少なくともグラファイトシート70をラミネートしている電気絶縁性のラミネート材73と、グラファイトシート70を通じて伝導されてくる発熱体50の熱やノイズを放出するための熱放出対象部分61に対して、金属箔71を熱的に接続する熱的接続部74を備える。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体に熱的に接続して発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体および金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、熱伝導性の材料としては銅やアルミニウム等の金属材料が使われている。これらの材料は、通常の使用においては十分な機能を持ち広く使われている。しかしながら、金属材料はフレキシブルでなく、局所的に大きな熱の発生が避けられず、その放熱は電流供給リード線では到底まかなうことができないため、放熱の機構を電流供給の機構とは別途に組み込む必要があり、電子素子の作成および使用に当たっての大きな妨げになっている。
具体的には、例えば半導体レーザチップの活性層に近い面をシリコンあるいは酸化ベリリウム、炭化シリコン、ダイヤモンドといった熱伝導性の比較的よい結晶性物質の小片に接着させ(この構造はいわゆるサブマウントと呼ばれる。)、放熱をよくしようということが行われている。
【0003】
さらに、半導体レーザチップにおいて高出力動作が必要な場合には、効率よく冷却するためにペルチエ素子の冷却側に、半導体レーザチップの活性層側を張り付けることなども実際に行われている。
炭素質材料は、軽量耐熱材料としてあるいは高強度材料として、各種の構造材料として使われている。このような炭素材料の中で炭素原子が6角形の網の目状に結合したグラファイトは、その高い熱伝導性を利用した放熱・電熱材料としての用途が広がろうとしている。
【0004】
特にシート状のグラファイトは、大きな面積のものを容易に作ることができるとともに、極めて高い熱伝導率を持ち、柔軟性に富んでいるため、熱伝達用の材料としてヒートコンダクターやヒートスプレッダーを必要とするところに用いられている。
このグラファイトシートは、比較的高い電気伝導率を持つため、電磁波ノイズのシールド材にもなりうる。ところが、電磁波ノイズ源にもなるチップから放熱のためにグラファイトシートを貼った場合、熱伝達材のみならずノイズ伝播材になる可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、金属材をシールド材として用いた場合には、配線をはんだ付けしてグランド(GND)に接続する。一方、グラファイトシートは、柔軟性を有しかつ熱伝導率は大きいが、その表面が非常に反応性に乏しいことから、一般的にははんだ付け等の操作は困難でもある。またグラファイトシートをねじ止めしようとしても、シートそのものの強度が弱いため、シートが破損しやすい。
以上のような点が、優れた熱伝導と導電性を持つというグラファイトシートのメリットを実際に利用する上で大きな課題となっていた。
【0006】
これまで、たとえば、特開平10−330177号公報には、グラファイトシートに金属薄膜を積層した構造が説明されている。しかし、金属薄膜は、真空蒸着、スパッタ蒸着、またはメッキによりグラファイトシート上に直接付着されているため、かなり薄い膜であり、ねじ止めなどには強度が低い。
また、特開平8−267647号公報には、レーザー加工により、グラファイトシートに穴を開けて1つの支持部材とを固着積層してなるグラファイトクラッド構造材が提案されている。ただし、この手法ではグラファイトシートの強度を上げることができるものの、プロセス上手間がかかるという難点があった。
そこで本発明は上記課題を解消し、グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしながら、その使いやすさとしての電気を伝えながら放熱することが確実かつ容易に行うことが出来る金属−グラファイトシート複合体および電子機器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体であり、前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、を備えることを特徴とする金属−グラファイトシート複合体である。
【0008】
請求項1では、グラファイトシートは、発熱体に対して熱的に接続される。金属箔は、グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置される。
ラミネート材は、グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートをラミネートしている高分子シートである。
熱的接続部は、グラファイトシートを通じて伝導されてくる発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して金属箔を熱的に接続する部分である。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートおよび金属箔を通じて熱的接続部に伝えられる。熱的接続部は、この伝えられた発熱体の熱を熱放出対象部分に対して放出することができる。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートの特性である良好な熱伝導性を利用して、金属箔に伝えることができ、金属箔に伝えられた熱は熱的接続部を通じて熱放出対象部分に対して放出することができ、発熱体の熱を簡単かつ確実に放出することができる。
グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートが、ラミネート材によりラミネートされているので、グラファイトシートの表面から生じる粉状物が飛散するのを確実に防ぐことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している。
【0010】
請求項2では、金属箔の一部分がラミネート材から外部に露出しているので、直接、金属箔に配線等をはんだ付けすることが可能となる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着剤により接着されている。
【0012】
請求項3では、金属箔は導電性の接着剤によりグラファイトシートの面に対して接着することができるので、金属箔とグラファイトシートは電気的に良好に接続され、かつ金属箔のグラファイトシートに対する配置が簡単に行える。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している。
【0014】
請求項4では、金属箔の突起は、グラファイトシートの面側に熱的に接続されているので、金属箔とグラファイトシート間の熱の伝導をより広い面積で確実に行うことができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0016】
請求項5では、熱的接続部は、金属箔の第1穴とグラファイトシートの第2穴およびラミネート材の第3穴を通じて熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである。
【0018】
請求項7の発明は、請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する。
【0019】
請求項7では、熱的接続部は金属製のねじである。このねじの頭部は金属箔に圧着される。この頭部と一体になっているおねじは、第1穴と第2穴および第3穴を通って熱放出対象部分にねじ込まれるので、グラファイトシートと金属箔は確実に固定できる。
【0020】
請求項8の発明は、発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器であり、前記金属−グラファイトシート複合体は、前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、を備えることを特徴とする電子機器である。
【0021】
請求項8では、グラファイトシートは、発熱体に対して熱的に接続される。金属箔は、グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置される。
ラミネート材は、グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートを断面としている高分子シートである。
熱的接続部は、グラファイトシートを通じて伝導されてくる発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して金属箔を熱的に接続する部分である。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートおよび金属箔を通じて熱的接続部に伝えられる。熱的接続部は、この伝えられた発熱体の熱を熱放出対象部分に対して放出することができる。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートの特性である良好な熱伝導性を利用して、金属箔に伝えることができ、金属箔に伝えられた熱は熱的接続部を通じて熱放出対象部分に対して放出することができ、発熱体の熱を簡単かつ確実に放出することができる。
グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートが、ラミネート材によりラミネートされているので、グラファイトシートの表面から生じる粉状物が飛散するのを確実に防ぐことができる。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している。
【0023】
請求項9では、金属箔の一部分がラミネート材から外部に露出しているので、複合材のその位置にねじ止め等を行うことにより、ねじの頭部と金属箔が電気的に良好に接続されることになる。また、この構造はグラファイトシートに金属箔を貼り付けるときに、グラファイトシートに対する位置決めが簡単に行える。
【0024】
請求項10の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着テープにより接着されている。
【0025】
請求項10では、金属箔は導電性の接着剤によりグラファイトシートの面に対して接着することができるので、金属箔のグラファイトシートに対する配置が簡単に行える。
【0026】
請求項11の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している。
【0027】
請求項11では、金属箔の突起は、グラファイトシートの面側に熱的に接続されているので、金属箔とグラファイトシート間の熱の伝導をより広い面積で確実に行うことができる。
【0028】
請求項12の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0029】
請求項12では、熱的接続部は、金属箔の第1穴とグラファイトシートの第2穴およびラミネート材の第3穴を通じて熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0030】
請求項13の発明は、請求項12に記載の電子機器において、前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである。
【0031】
請求項14の発明は、請求項12に記載の電子機器において、前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する。
【0032】
請求項14では、熱的接続部は金属製のねじである。このねじの頭部は金属箔に圧着される。この頭部と一体になっているおねじは、第1穴と第2穴および第3穴を通って熱放出対象部分にねじ込まれるので、グラファイトシートと金属箔は確実に固定できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0034】
図1は本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器の好ましい実施の形態を示している。
図1に示す電子機器10は、一例としていわゆる携帯情報端末(PDA)である。この電子機器10は、筐体12と表示装置14を有している。
図2は、図1の電子機器10をさらに詳しく示している。
図1の電子機器10は、筐体12、表示装置14、入力装置20、およびパワーキー22、音声のボリューム調整部24、外部のイヤーホンをつなぐためのジャック27、他の機能を発揮させるためのキー26,28を有している。
【0035】
図1の入力装置20は、操作者(使用者)の部位、たとえば手Hの指Fにより操作することでポインタPの座標データを与えるためのものである。指Fは図1の例では人差指を用いているが、これに限らず他の指であっても勿論構わない。図2では、図1の表示画面30に表示した情報40の一例を表示している。図1と図2に示すように表示画面30にはポインタPを表示している。このポインタPは矢印形のポインタである。
【0036】
図2に示すように表示装置14の表示画面30には、ポインタPの他に、情報40や、各種機能を実施するためのキー44,46,48等が表示されている。キー42はキーボードを表示画面30に表示させるためのキーである。キー44は情報の検索に用いるキーである。キー46はメニューを表示画面30に表示するためのキーである。キー48はたとえば表示を英語表示か日本語表示に切り換えることができるキーである。これらのキー42,44,46,48の操作は指Fでタッチすることで行える。
【0037】
図2の筐体12は、第1部分12Aと第2部分12Bを有している。第1部分12Aは上筐体部分とも呼び、第2部分12Bは下筐体部分とも呼ぶ。第1部分12Aと第2部分12Bは重ねることにより、その中に空間を形成している。この空間には表示装置14や回路基板等が収容されている。
筐体12は、たとえばプラスチックであるABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PC+ABS(ポリカーボネート+アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェチレンエーテル)等により作られている。
【0038】
図1に示すように、筐体12の中には、回路基板200が収容されている。この回路基板200は、たとえば表示装置14を駆動するための表示装置駆動回路や、入力装置20の機能を達成するための回路等を搭載している。
図3は、図1に示す回路基板200の一部分を示しており、この回路基板200には、発熱体である発熱素子の一例として、表示装置14の駆動を制御するためのCPU(中央処理装置)50が搭載されている。このCPU50の作動時に発生する熱は、金属−グラファイトシート複合体60により、外部に放出できる構造になっている。
回路基板200の上にはグランド(GND)61が形成されている。このグランド61は、回路基板200の上に形成された導体パターンの一例である。このグランド61と金属−グラファイトシート複合体60は、放熱装置(冷却装置ともいう)62を構成している。
【0039】
金属−グラファイトシート複合体60について、図3と図4を参照しながら説明する。
金属−グラファイトシート複合体60は、グラファイトシート70と、金属箔71と、ラミネート材73と、そして熱的接続部74を有している。
グラファイトシート70は、図5に示すようなカーボンが層状構造を取ったものであり、シートの面内の熱伝導率がたとえば400から1000W/mKであり銅やアルミニウムなどの金属の熱伝導率より高く、かつ密度が1g/cm3程度と軽い材料である。同時にグラファイトシート70は高い電気伝導性をもつ材料である。このグラファイトシート70をヒートコンダクタとして用いることにより、効率良く熱を伝達させることが可能である。
【0040】
このグラファイトシート70は、主として炭素原子同士の結合面の方向、すなわち図5に示す面内方向(a−b方向)に両方に放熱し得るような構成を有しており、このグラファイトシート70は、図4における矢印R方向に沿って熱を伝えやすい。
図4のグラファイトシート70の一端部70Aは、発熱素子であるCPU50の面50Aに対して、たとえば熱伝達部材55を介して熱的に接続もしくは接着されている。この熱伝達部材55はたとえば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化珪素等の熱伝導性フィラーを含有する放熱シートや熱伝導性テープ、またはフェーズチェンジ材等を用いることができる。
【0041】
グラファイトシート70の他端部70Bは、回路基板200のグランド61側に位置している。このグランド61は、熱放出対象部分に相当している。このグランド61を通じて、CPU50の発生する熱は図1の電子機器10の筐体12あるいは筐体12の外部に熱を放出することができる。グラファイトシート70は、良好な電気伝導性と熱伝導性を有している。
【0042】
図3と図4に示す金属箔71は、良好な電気伝導性および熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウム等の一般的な金属を用いることができる。金属箔71がこのような一般的な金属を用いることにより、金属製の熱的接続部74に対するはんだ付け等の作業が可能になる。
金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80に配置されている。この金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80に対して導電性の接着剤により接着して固定することができる。
【0043】
金属箔71は、好ましくは複数個の突起81を有している。この突起81は、図4のX方向、およびX方向とは垂直でかつ紙面に垂直なY方向に沿って、たとえばマトリックス状に配列されている。突起81の図4における断面形状はほぼ長方形状もしくは正方形状である。
このような突起81を複数個金属箔71に形成することにより、金属箔71がグラファイトシート70に対して接着される際に、その接着面積および熱伝導するための面積を、突起81が無い場合に比べて大幅に拡大することができるのである。これによって、金属箔71とグラファイトシート70の熱伝導性(熱伝達性)を向上することができる。
【0044】
この金属箔71はグラファイトシート70の一方の面80、特にグラファイトシート70の他端部70Bの一方の面80に形成されている。
しかしこれに限らず、金属箔71はグラファイトシート70の一端部70Aと他端部70Bの一方の面80に対してその一部又は全面にわたって形成しても良い。また金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80および他方の面81に対してそれぞれ配置することも勿論可能である。
【0045】
図4のラミネート材73は、グラファイトシート70と金属箔71の積層体を、ラミネートしている高分子シートである。
このラミネート材73は、金属箔71とグラファイトシート70の積層体を完全にラミネートして閉じた構造になっている。グラファイトシート70のほぼ全面にわたって閉じるようにラミネート材73がグラファイトシート70と金属箔71をラミネートしている。
【0046】
これにより、金属−グラファイトシート複合体60の強度を保つことができるばかりでなく、グラファイトシート70から生じるいわゆる粉落ち(グラファイトの粉状体の落下)を防ぐことができるという大きなメリットがある。
しかもこのラミネート材73は、グラファイトシート70および金属箔71に対する外部からの電気的な絶縁を確保することができる。そしてこのラミネート材73はグラファイトシート70と金属箔71をラミネートして囲んでいることから、グラファイトシート70および金属箔71により伝えている熱が、図1に示す筐体12内の熱に弱い部位、たとえば熱に弱い他の電子素子に対して逃げないようにして熱的ダメージを与えないというメリットもある。
このラミネート材73は、高分子シートであり、この高分子としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリ塩化ビニール、ポリイミド等や、シリコン等により作ることができるが、これに限るものではない。
【0047】
図4の上述したようにグラファイトシート70と金属箔71は、導電性を有する接着剤、たとえば導電性を有する両面テープまたは銀、金、銅等の導電性フィラーが含有された接着剤を用いて接着して固定している。これにより、グラファイトシート70と金属箔71の間の熱的および電気的な抵抗を小さく抑えて、グラファイトシート70と金属箔71とは良好な状態で熱的にかつ機械的に接着することができる。
【0048】
図3と図4に示す熱的接続部74は、たとえば棒状体であり熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウム等により作られている。この熱的接続部74は、金属箔71とグラファイトシート70およびグランド61を熱的に接続している。この熱的接続部74は、金属箔71の第1穴71H、グラファイトシート70の第2穴70H、およびラミネート材73の第3穴73Hを通って、熱放出対象部分であるグランド61の穴61Hと回路基板200の穴200Hに対してはめ込まれている。これにより、金属箔71、グラファイトシート70およびグランド61は熱的接続部74により熱的に接続することができる。
金属箔71の材質は上述したような銅やアルミニウム等を採用することができるが、この厚みは、目的や用途によって決められるものであって特に制限されるものではない。一例としては金属箔71の厚さは30μmから100μmである。
【0049】
次に、図3と図4に示す金属−グラファイトシート複合体60の作用について説明する。
回路基板200が作動されて、CPU50が動作すると、CPU50は熱を発生する。CPU50の熱は、熱伝達部材55を介してグラファイトシート70の一端部70Aに伝わる。グラファイトシート70はこのCPU50の熱を一端部70AからR方向に沿って他端部70B側に伝える。この熱は、金属箔71に突起81等を介して伝導されるとともに、熱的接続部74を通じてグランド61側に伝えられる。この伝わってくる熱は、グランド61を通じてたとえば図1の筐体12の中の金属部分やあるいは筐体12の外部に放出されることになる。
【0050】
次に、図6は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60の別の実施の形態を示している。
図6の金属−グラファイトシート複合体60が、図4の金属−グラファイトシート複合体60と異なるのは、金属箔71の形状である。この金属箔71は、突起181を有している。この突起181の断面形状は、たとえば三角形状である。
そして、ラミネート部材73の一部分には、開口部73Pが形成されている。このように金属箔71の一部分が開口部73Pにより金属−グラファイトシート複合体60の外部に開放されていることにより、複合材を基板やGND等にねじ止めなどで接続でき、また、ねじの頭部と開口部73Pが直接接触するため、導電性がよい。
【0051】
次に、図7は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。図7の金属−グラファイトシート複合体60では、金属箔71の突起281がたとえば台形状になっている。図6と図7の各実施の形態のその他の構成要素については、図4の実施の形態の対応する構成要素と同じであるので、その説明を用いることにする。
【0052】
図8は、本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示している。
この実施の形態では、開口部73Pにおいて、熱的接続部174が配置されている。この熱的接続部174は、棒状体とは異なる金属製のねじであり、電気伝導性および熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウムあるいはその他の材質で作ることができる。
この熱的接続部174は、頭部175とおねじ176を有している。頭部175は、金属箔71の上面側に対して圧着される。おねじ176は、金属箔71の第1穴71H、グラファイトシート70の第2穴70H、ラミネート材73の第3穴73Hを通り、グランド61の穴61Hと回路基板200の穴200Hに対してねじ込まれている。このように、露出している金属箔71の上部から熱的接続部174をねじ止めすることにより、金属箔71とグランド61は、熱的接続部174を用いて簡単に熱的にかつ機械的に接続することができる。
【0053】
図9は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。
図9の実施の形態では、グラファイトシート70の他端部70Bの一部分には、ラミネート材73は被覆されておらず、開放されている。このラミネート材73に対して、直接金属箔71が熱的に接続されている。この金属箔71は、熱的接続部74を用いてグランド61側に熱的に接続される。この金属箔71と他端部70Bは、上述したような導電性を有する接着剤もしくは粘着剤により貼りつける。
【0054】
図10は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。
図10の金属−グラファイトシート複合体60では、熱的接続部74が金属箔71とグランド61を直接熱的に接続している。
グラファイトシート70の他端部70Bは、接着剤もしくは両面テープ150により回路基板200の面に接着されている。金属箔71は、グラファイトシート70の他端部70Bの一部分70Cに対して、導電性および熱伝導性を有する接着剤156により接着されている。
これによりCPU50の発生する熱は、グラファイトシート70および接着剤156を通じて金属箔71に伝導される。この伝導された熱は、金属箔71、熱的接続部74を通じて熱放出対象部分であるグランド61に伝えられるので、この熱はグランド61を通じて外部に放出される。
【0055】
上述したような本発明の金属−グラファイトシート複合体60は、動作時に発熱し、かつノイズ源ともなる発熱素子(発熱体)であるたとえばCPU50に対して、熱伝達部材55を通じてグラファイトシート70に対して熱およびこのノイズを伝達することができる。そしてこの熱およびノイズは、グラファイトシート70、金属箔71および熱的接続部74を通じて、グランド61側に放出することができる。
また金属−グラファイトシート複合体60は、たとえばCPU50に対応する部分と金属箔71の一部分を除いて、グラファイトシート70および金属箔71の積層体をラミネート材73によりラミネートして覆うことで電気的な絶縁を図っている。したがってラミネート材73と金属箔71が不要な部分で短絡するような問題を解消することができる。
【0056】
本発明の金属−グラファイトシート複合体60では、グラファイトシート70と金属箔71とが良好な接着性をもって接着されており、そしてこのような金属箔71が設けられていることから、発熱素子であるCPU50のアースをとることができると同時に、CPU50の発生する熱を放出することができる。
なお、熱的接続部74と金属箔71は両方とも金属なので容易にはんだ付けなどで電気的に確実に接合することができる。
【0057】
金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面のみならず一方の面および他方の面の両方にそれぞれ配置して、金属箔71がグラファイトシート70を挟み込むような構造にしても勿論構わない。
金属箔71に対して突起を設けることにより、この突起がグラファイトシート70に対して食い込むようにして電気的、機械的および熱的に接続することができる。
金属箔71がグラファイトシート70の一方の面と他方の面の両方に配置されていることにより、熱的接続部74はグラファイトシート70に穴を設けずに、熱的接続部74は金属箔71とグランド61を電気的に接続することができる。これによりグラファイトシート70にねじもしくはたとえば棒状の熱的接続部を通すための穴を設ける手間が省ける。
【0058】
ところで、本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器は、図示した携帯情報端末(PDA)に限らず、他の種類の情報関連機器であるたとえば、携帯電話機やコンピュータあるいはその他の種類の電子機器をも含むものである。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしながら、その使いやすさとしての電気を伝えながら放熱することが確実かつ容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器の一例を示す斜視図。
【図2】図1の電子機器を拡大して示す斜視図。
【図3】電子機器の回路基板に搭載されている金属−グラファイトシート複合体を示す斜視図。
【図4】図3の金属−グラファイトシート複合体の断面を有する側面図。
【図5】グラファイトシートの層構造の例を示す図。
【図6】本発明の金属−グラファイトシート複合体の別の実施の形態を示す図。
【図7】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【図8】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【図9】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す斜視図。
【図10】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【符号の説明】
10・・・電子機器、50・・・CPU(発熱体あるいは発熱素子の一例)、60・・・金属−グラファイトシート複合体、61・・・グランド(熱放出対象部分)、62・・・放熱装置、70・・・グラファイトシート、71・・・金属箔、73・・・ラミネート材、74・・・熱的接続部、81・・・金属箔の突起、200・・・回路基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体に熱的に接続して発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体および金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、熱伝導性の材料としては銅やアルミニウム等の金属材料が使われている。これらの材料は、通常の使用においては十分な機能を持ち広く使われている。しかしながら、金属材料はフレキシブルでなく、局所的に大きな熱の発生が避けられず、その放熱は電流供給リード線では到底まかなうことができないため、放熱の機構を電流供給の機構とは別途に組み込む必要があり、電子素子の作成および使用に当たっての大きな妨げになっている。
具体的には、例えば半導体レーザチップの活性層に近い面をシリコンあるいは酸化ベリリウム、炭化シリコン、ダイヤモンドといった熱伝導性の比較的よい結晶性物質の小片に接着させ(この構造はいわゆるサブマウントと呼ばれる。)、放熱をよくしようということが行われている。
【0003】
さらに、半導体レーザチップにおいて高出力動作が必要な場合には、効率よく冷却するためにペルチエ素子の冷却側に、半導体レーザチップの活性層側を張り付けることなども実際に行われている。
炭素質材料は、軽量耐熱材料としてあるいは高強度材料として、各種の構造材料として使われている。このような炭素材料の中で炭素原子が6角形の網の目状に結合したグラファイトは、その高い熱伝導性を利用した放熱・電熱材料としての用途が広がろうとしている。
【0004】
特にシート状のグラファイトは、大きな面積のものを容易に作ることができるとともに、極めて高い熱伝導率を持ち、柔軟性に富んでいるため、熱伝達用の材料としてヒートコンダクターやヒートスプレッダーを必要とするところに用いられている。
このグラファイトシートは、比較的高い電気伝導率を持つため、電磁波ノイズのシールド材にもなりうる。ところが、電磁波ノイズ源にもなるチップから放熱のためにグラファイトシートを貼った場合、熱伝達材のみならずノイズ伝播材になる可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、金属材をシールド材として用いた場合には、配線をはんだ付けしてグランド(GND)に接続する。一方、グラファイトシートは、柔軟性を有しかつ熱伝導率は大きいが、その表面が非常に反応性に乏しいことから、一般的にははんだ付け等の操作は困難でもある。またグラファイトシートをねじ止めしようとしても、シートそのものの強度が弱いため、シートが破損しやすい。
以上のような点が、優れた熱伝導と導電性を持つというグラファイトシートのメリットを実際に利用する上で大きな課題となっていた。
【0006】
これまで、たとえば、特開平10−330177号公報には、グラファイトシートに金属薄膜を積層した構造が説明されている。しかし、金属薄膜は、真空蒸着、スパッタ蒸着、またはメッキによりグラファイトシート上に直接付着されているため、かなり薄い膜であり、ねじ止めなどには強度が低い。
また、特開平8−267647号公報には、レーザー加工により、グラファイトシートに穴を開けて1つの支持部材とを固着積層してなるグラファイトクラッド構造材が提案されている。ただし、この手法ではグラファイトシートの強度を上げることができるものの、プロセス上手間がかかるという難点があった。
そこで本発明は上記課題を解消し、グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしながら、その使いやすさとしての電気を伝えながら放熱することが確実かつ容易に行うことが出来る金属−グラファイトシート複合体および電子機器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体であり、前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、を備えることを特徴とする金属−グラファイトシート複合体である。
【0008】
請求項1では、グラファイトシートは、発熱体に対して熱的に接続される。金属箔は、グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置される。
ラミネート材は、グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートをラミネートしている高分子シートである。
熱的接続部は、グラファイトシートを通じて伝導されてくる発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して金属箔を熱的に接続する部分である。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートおよび金属箔を通じて熱的接続部に伝えられる。熱的接続部は、この伝えられた発熱体の熱を熱放出対象部分に対して放出することができる。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートの特性である良好な熱伝導性を利用して、金属箔に伝えることができ、金属箔に伝えられた熱は熱的接続部を通じて熱放出対象部分に対して放出することができ、発熱体の熱を簡単かつ確実に放出することができる。
グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートが、ラミネート材によりラミネートされているので、グラファイトシートの表面から生じる粉状物が飛散するのを確実に防ぐことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している。
【0010】
請求項2では、金属箔の一部分がラミネート材から外部に露出しているので、直接、金属箔に配線等をはんだ付けすることが可能となる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着剤により接着されている。
【0012】
請求項3では、金属箔は導電性の接着剤によりグラファイトシートの面に対して接着することができるので、金属箔とグラファイトシートは電気的に良好に接続され、かつ金属箔のグラファイトシートに対する配置が簡単に行える。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している。
【0014】
請求項4では、金属箔の突起は、グラファイトシートの面側に熱的に接続されているので、金属箔とグラファイトシート間の熱の伝導をより広い面積で確実に行うことができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0016】
請求項5では、熱的接続部は、金属箔の第1穴とグラファイトシートの第2穴およびラミネート材の第3穴を通じて熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである。
【0018】
請求項7の発明は、請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体において、前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する。
【0019】
請求項7では、熱的接続部は金属製のねじである。このねじの頭部は金属箔に圧着される。この頭部と一体になっているおねじは、第1穴と第2穴および第3穴を通って熱放出対象部分にねじ込まれるので、グラファイトシートと金属箔は確実に固定できる。
【0020】
請求項8の発明は、発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器であり、前記金属−グラファイトシート複合体は、前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、を備えることを特徴とする電子機器である。
【0021】
請求項8では、グラファイトシートは、発熱体に対して熱的に接続される。金属箔は、グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置される。
ラミネート材は、グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートを断面としている高分子シートである。
熱的接続部は、グラファイトシートを通じて伝導されてくる発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して金属箔を熱的に接続する部分である。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートおよび金属箔を通じて熱的接続部に伝えられる。熱的接続部は、この伝えられた発熱体の熱を熱放出対象部分に対して放出することができる。
これにより、発熱体の発生する熱は、グラファイトシートの特性である良好な熱伝導性を利用して、金属箔に伝えることができ、金属箔に伝えられた熱は熱的接続部を通じて熱放出対象部分に対して放出することができ、発熱体の熱を簡単かつ確実に放出することができる。
グラファイトシートと金属箔からなる積層体の少なくともグラファイトシートが、ラミネート材によりラミネートされているので、グラファイトシートの表面から生じる粉状物が飛散するのを確実に防ぐことができる。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している。
【0023】
請求項9では、金属箔の一部分がラミネート材から外部に露出しているので、複合材のその位置にねじ止め等を行うことにより、ねじの頭部と金属箔が電気的に良好に接続されることになる。また、この構造はグラファイトシートに金属箔を貼り付けるときに、グラファイトシートに対する位置決めが簡単に行える。
【0024】
請求項10の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着テープにより接着されている。
【0025】
請求項10では、金属箔は導電性の接着剤によりグラファイトシートの面に対して接着することができるので、金属箔のグラファイトシートに対する配置が簡単に行える。
【0026】
請求項11の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している。
【0027】
請求項11では、金属箔の突起は、グラファイトシートの面側に熱的に接続されているので、金属箔とグラファイトシート間の熱の伝導をより広い面積で確実に行うことができる。
【0028】
請求項12の発明は、請求項8に記載の電子機器において、前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0029】
請求項12では、熱的接続部は、金属箔の第1穴とグラファイトシートの第2穴およびラミネート材の第3穴を通じて熱放出対象部分に対して熱的に接続されている。
【0030】
請求項13の発明は、請求項12に記載の電子機器において、前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである。
【0031】
請求項14の発明は、請求項12に記載の電子機器において、前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する。
【0032】
請求項14では、熱的接続部は金属製のねじである。このねじの頭部は金属箔に圧着される。この頭部と一体になっているおねじは、第1穴と第2穴および第3穴を通って熱放出対象部分にねじ込まれるので、グラファイトシートと金属箔は確実に固定できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0034】
図1は本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器の好ましい実施の形態を示している。
図1に示す電子機器10は、一例としていわゆる携帯情報端末(PDA)である。この電子機器10は、筐体12と表示装置14を有している。
図2は、図1の電子機器10をさらに詳しく示している。
図1の電子機器10は、筐体12、表示装置14、入力装置20、およびパワーキー22、音声のボリューム調整部24、外部のイヤーホンをつなぐためのジャック27、他の機能を発揮させるためのキー26,28を有している。
【0035】
図1の入力装置20は、操作者(使用者)の部位、たとえば手Hの指Fにより操作することでポインタPの座標データを与えるためのものである。指Fは図1の例では人差指を用いているが、これに限らず他の指であっても勿論構わない。図2では、図1の表示画面30に表示した情報40の一例を表示している。図1と図2に示すように表示画面30にはポインタPを表示している。このポインタPは矢印形のポインタである。
【0036】
図2に示すように表示装置14の表示画面30には、ポインタPの他に、情報40や、各種機能を実施するためのキー44,46,48等が表示されている。キー42はキーボードを表示画面30に表示させるためのキーである。キー44は情報の検索に用いるキーである。キー46はメニューを表示画面30に表示するためのキーである。キー48はたとえば表示を英語表示か日本語表示に切り換えることができるキーである。これらのキー42,44,46,48の操作は指Fでタッチすることで行える。
【0037】
図2の筐体12は、第1部分12Aと第2部分12Bを有している。第1部分12Aは上筐体部分とも呼び、第2部分12Bは下筐体部分とも呼ぶ。第1部分12Aと第2部分12Bは重ねることにより、その中に空間を形成している。この空間には表示装置14や回路基板等が収容されている。
筐体12は、たとえばプラスチックであるABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PC(ポリカーボネート)、PC+ABS(ポリカーボネート+アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェチレンエーテル)等により作られている。
【0038】
図1に示すように、筐体12の中には、回路基板200が収容されている。この回路基板200は、たとえば表示装置14を駆動するための表示装置駆動回路や、入力装置20の機能を達成するための回路等を搭載している。
図3は、図1に示す回路基板200の一部分を示しており、この回路基板200には、発熱体である発熱素子の一例として、表示装置14の駆動を制御するためのCPU(中央処理装置)50が搭載されている。このCPU50の作動時に発生する熱は、金属−グラファイトシート複合体60により、外部に放出できる構造になっている。
回路基板200の上にはグランド(GND)61が形成されている。このグランド61は、回路基板200の上に形成された導体パターンの一例である。このグランド61と金属−グラファイトシート複合体60は、放熱装置(冷却装置ともいう)62を構成している。
【0039】
金属−グラファイトシート複合体60について、図3と図4を参照しながら説明する。
金属−グラファイトシート複合体60は、グラファイトシート70と、金属箔71と、ラミネート材73と、そして熱的接続部74を有している。
グラファイトシート70は、図5に示すようなカーボンが層状構造を取ったものであり、シートの面内の熱伝導率がたとえば400から1000W/mKであり銅やアルミニウムなどの金属の熱伝導率より高く、かつ密度が1g/cm3程度と軽い材料である。同時にグラファイトシート70は高い電気伝導性をもつ材料である。このグラファイトシート70をヒートコンダクタとして用いることにより、効率良く熱を伝達させることが可能である。
【0040】
このグラファイトシート70は、主として炭素原子同士の結合面の方向、すなわち図5に示す面内方向(a−b方向)に両方に放熱し得るような構成を有しており、このグラファイトシート70は、図4における矢印R方向に沿って熱を伝えやすい。
図4のグラファイトシート70の一端部70Aは、発熱素子であるCPU50の面50Aに対して、たとえば熱伝達部材55を介して熱的に接続もしくは接着されている。この熱伝達部材55はたとえば、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化珪素等の熱伝導性フィラーを含有する放熱シートや熱伝導性テープ、またはフェーズチェンジ材等を用いることができる。
【0041】
グラファイトシート70の他端部70Bは、回路基板200のグランド61側に位置している。このグランド61は、熱放出対象部分に相当している。このグランド61を通じて、CPU50の発生する熱は図1の電子機器10の筐体12あるいは筐体12の外部に熱を放出することができる。グラファイトシート70は、良好な電気伝導性と熱伝導性を有している。
【0042】
図3と図4に示す金属箔71は、良好な電気伝導性および熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウム等の一般的な金属を用いることができる。金属箔71がこのような一般的な金属を用いることにより、金属製の熱的接続部74に対するはんだ付け等の作業が可能になる。
金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80に配置されている。この金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80に対して導電性の接着剤により接着して固定することができる。
【0043】
金属箔71は、好ましくは複数個の突起81を有している。この突起81は、図4のX方向、およびX方向とは垂直でかつ紙面に垂直なY方向に沿って、たとえばマトリックス状に配列されている。突起81の図4における断面形状はほぼ長方形状もしくは正方形状である。
このような突起81を複数個金属箔71に形成することにより、金属箔71がグラファイトシート70に対して接着される際に、その接着面積および熱伝導するための面積を、突起81が無い場合に比べて大幅に拡大することができるのである。これによって、金属箔71とグラファイトシート70の熱伝導性(熱伝達性)を向上することができる。
【0044】
この金属箔71はグラファイトシート70の一方の面80、特にグラファイトシート70の他端部70Bの一方の面80に形成されている。
しかしこれに限らず、金属箔71はグラファイトシート70の一端部70Aと他端部70Bの一方の面80に対してその一部又は全面にわたって形成しても良い。また金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面80および他方の面81に対してそれぞれ配置することも勿論可能である。
【0045】
図4のラミネート材73は、グラファイトシート70と金属箔71の積層体を、ラミネートしている高分子シートである。
このラミネート材73は、金属箔71とグラファイトシート70の積層体を完全にラミネートして閉じた構造になっている。グラファイトシート70のほぼ全面にわたって閉じるようにラミネート材73がグラファイトシート70と金属箔71をラミネートしている。
【0046】
これにより、金属−グラファイトシート複合体60の強度を保つことができるばかりでなく、グラファイトシート70から生じるいわゆる粉落ち(グラファイトの粉状体の落下)を防ぐことができるという大きなメリットがある。
しかもこのラミネート材73は、グラファイトシート70および金属箔71に対する外部からの電気的な絶縁を確保することができる。そしてこのラミネート材73はグラファイトシート70と金属箔71をラミネートして囲んでいることから、グラファイトシート70および金属箔71により伝えている熱が、図1に示す筐体12内の熱に弱い部位、たとえば熱に弱い他の電子素子に対して逃げないようにして熱的ダメージを与えないというメリットもある。
このラミネート材73は、高分子シートであり、この高分子としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリ塩化ビニール、ポリイミド等や、シリコン等により作ることができるが、これに限るものではない。
【0047】
図4の上述したようにグラファイトシート70と金属箔71は、導電性を有する接着剤、たとえば導電性を有する両面テープまたは銀、金、銅等の導電性フィラーが含有された接着剤を用いて接着して固定している。これにより、グラファイトシート70と金属箔71の間の熱的および電気的な抵抗を小さく抑えて、グラファイトシート70と金属箔71とは良好な状態で熱的にかつ機械的に接着することができる。
【0048】
図3と図4に示す熱的接続部74は、たとえば棒状体であり熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウム等により作られている。この熱的接続部74は、金属箔71とグラファイトシート70およびグランド61を熱的に接続している。この熱的接続部74は、金属箔71の第1穴71H、グラファイトシート70の第2穴70H、およびラミネート材73の第3穴73Hを通って、熱放出対象部分であるグランド61の穴61Hと回路基板200の穴200Hに対してはめ込まれている。これにより、金属箔71、グラファイトシート70およびグランド61は熱的接続部74により熱的に接続することができる。
金属箔71の材質は上述したような銅やアルミニウム等を採用することができるが、この厚みは、目的や用途によって決められるものであって特に制限されるものではない。一例としては金属箔71の厚さは30μmから100μmである。
【0049】
次に、図3と図4に示す金属−グラファイトシート複合体60の作用について説明する。
回路基板200が作動されて、CPU50が動作すると、CPU50は熱を発生する。CPU50の熱は、熱伝達部材55を介してグラファイトシート70の一端部70Aに伝わる。グラファイトシート70はこのCPU50の熱を一端部70AからR方向に沿って他端部70B側に伝える。この熱は、金属箔71に突起81等を介して伝導されるとともに、熱的接続部74を通じてグランド61側に伝えられる。この伝わってくる熱は、グランド61を通じてたとえば図1の筐体12の中の金属部分やあるいは筐体12の外部に放出されることになる。
【0050】
次に、図6は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60の別の実施の形態を示している。
図6の金属−グラファイトシート複合体60が、図4の金属−グラファイトシート複合体60と異なるのは、金属箔71の形状である。この金属箔71は、突起181を有している。この突起181の断面形状は、たとえば三角形状である。
そして、ラミネート部材73の一部分には、開口部73Pが形成されている。このように金属箔71の一部分が開口部73Pにより金属−グラファイトシート複合体60の外部に開放されていることにより、複合材を基板やGND等にねじ止めなどで接続でき、また、ねじの頭部と開口部73Pが直接接触するため、導電性がよい。
【0051】
次に、図7は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。図7の金属−グラファイトシート複合体60では、金属箔71の突起281がたとえば台形状になっている。図6と図7の各実施の形態のその他の構成要素については、図4の実施の形態の対応する構成要素と同じであるので、その説明を用いることにする。
【0052】
図8は、本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示している。
この実施の形態では、開口部73Pにおいて、熱的接続部174が配置されている。この熱的接続部174は、棒状体とは異なる金属製のねじであり、電気伝導性および熱伝導性を有する金属、たとえば銅やアルミニウムあるいはその他の材質で作ることができる。
この熱的接続部174は、頭部175とおねじ176を有している。頭部175は、金属箔71の上面側に対して圧着される。おねじ176は、金属箔71の第1穴71H、グラファイトシート70の第2穴70H、ラミネート材73の第3穴73Hを通り、グランド61の穴61Hと回路基板200の穴200Hに対してねじ込まれている。このように、露出している金属箔71の上部から熱的接続部174をねじ止めすることにより、金属箔71とグランド61は、熱的接続部174を用いて簡単に熱的にかつ機械的に接続することができる。
【0053】
図9は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。
図9の実施の形態では、グラファイトシート70の他端部70Bの一部分には、ラミネート材73は被覆されておらず、開放されている。このラミネート材73に対して、直接金属箔71が熱的に接続されている。この金属箔71は、熱的接続部74を用いてグランド61側に熱的に接続される。この金属箔71と他端部70Bは、上述したような導電性を有する接着剤もしくは粘着剤により貼りつける。
【0054】
図10は、本発明の金属−グラファイトシート複合体60のさらに別の実施の形態を示している。
図10の金属−グラファイトシート複合体60では、熱的接続部74が金属箔71とグランド61を直接熱的に接続している。
グラファイトシート70の他端部70Bは、接着剤もしくは両面テープ150により回路基板200の面に接着されている。金属箔71は、グラファイトシート70の他端部70Bの一部分70Cに対して、導電性および熱伝導性を有する接着剤156により接着されている。
これによりCPU50の発生する熱は、グラファイトシート70および接着剤156を通じて金属箔71に伝導される。この伝導された熱は、金属箔71、熱的接続部74を通じて熱放出対象部分であるグランド61に伝えられるので、この熱はグランド61を通じて外部に放出される。
【0055】
上述したような本発明の金属−グラファイトシート複合体60は、動作時に発熱し、かつノイズ源ともなる発熱素子(発熱体)であるたとえばCPU50に対して、熱伝達部材55を通じてグラファイトシート70に対して熱およびこのノイズを伝達することができる。そしてこの熱およびノイズは、グラファイトシート70、金属箔71および熱的接続部74を通じて、グランド61側に放出することができる。
また金属−グラファイトシート複合体60は、たとえばCPU50に対応する部分と金属箔71の一部分を除いて、グラファイトシート70および金属箔71の積層体をラミネート材73によりラミネートして覆うことで電気的な絶縁を図っている。したがってラミネート材73と金属箔71が不要な部分で短絡するような問題を解消することができる。
【0056】
本発明の金属−グラファイトシート複合体60では、グラファイトシート70と金属箔71とが良好な接着性をもって接着されており、そしてこのような金属箔71が設けられていることから、発熱素子であるCPU50のアースをとることができると同時に、CPU50の発生する熱を放出することができる。
なお、熱的接続部74と金属箔71は両方とも金属なので容易にはんだ付けなどで電気的に確実に接合することができる。
【0057】
金属箔71は、グラファイトシート70の一方の面のみならず一方の面および他方の面の両方にそれぞれ配置して、金属箔71がグラファイトシート70を挟み込むような構造にしても勿論構わない。
金属箔71に対して突起を設けることにより、この突起がグラファイトシート70に対して食い込むようにして電気的、機械的および熱的に接続することができる。
金属箔71がグラファイトシート70の一方の面と他方の面の両方に配置されていることにより、熱的接続部74はグラファイトシート70に穴を設けずに、熱的接続部74は金属箔71とグランド61を電気的に接続することができる。これによりグラファイトシート70にねじもしくはたとえば棒状の熱的接続部を通すための穴を設ける手間が省ける。
【0058】
ところで、本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器は、図示した携帯情報端末(PDA)に限らず、他の種類の情報関連機器であるたとえば、携帯電話機やコンピュータあるいはその他の種類の電子機器をも含むものである。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしながら、その使いやすさとしての電気を伝えながら放熱することが確実かつ容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器の一例を示す斜視図。
【図2】図1の電子機器を拡大して示す斜視図。
【図3】電子機器の回路基板に搭載されている金属−グラファイトシート複合体を示す斜視図。
【図4】図3の金属−グラファイトシート複合体の断面を有する側面図。
【図5】グラファイトシートの層構造の例を示す図。
【図6】本発明の金属−グラファイトシート複合体の別の実施の形態を示す図。
【図7】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【図8】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【図9】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す斜視図。
【図10】本発明の金属−グラファイトシート複合体のさらに別の実施の形態を示す図。
【符号の説明】
10・・・電子機器、50・・・CPU(発熱体あるいは発熱素子の一例)、60・・・金属−グラファイトシート複合体、61・・・グランド(熱放出対象部分)、62・・・放熱装置、70・・・グラファイトシート、71・・・金属箔、73・・・ラミネート材、74・・・熱的接続部、81・・・金属箔の突起、200・・・回路基板
Claims (14)
- 発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体であり、
前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、
前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、
前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、
前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、
を備えることを特徴とする金属−グラファイトシート複合体。 - 前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着剤により接着されている請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている請求項1に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する請求項5に記載の金属−グラファイトシート複合体。
- 発熱体に熱的に接続して前記発熱体の発生する熱を伝導するための金属−グラファイトシート複合体を有する電子機器であり、
前記金属−グラファイトシート複合体は、
前記発熱体に対して熱的に接続されるグラファイトシートと、
前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に配置された金属箔と、
前記グラファイトシートと前記金属箔からなる積層体の少なくとも前記グラファイトシートをラミネートしている電気絶縁性のラミネート材と、
前記グラファイトシートを通じて伝導されてくる前記発熱体の熱を放出するための熱放出対象部分に対して、前記金属箔を熱的に接続する熱的接続部と、
を備えることを特徴とする電子機器。 - 前記金属箔の一部分は、前記ラミネート材から外部に露出している請求項8に記載の電子機器。
- 前記金属箔は、前記グラファイトシートの面に対して導電性の接着テープにより接着されている請求項8に記載の電子機器。
- 前記金属箔は、前記グラファイトシートの面側に熱的に接続される突起を有している請求項8に記載の電子機器。
- 前記熱的接続部は、前記金属箔の第1穴と、前記グラファイトシートの第2穴と、前記ラミネート材の第3穴を通って、前記熱放出対象部分に対して熱的に接続されている請求項8に記載の電子機器。
- 前記熱放出対象部分は、回路基板のグランドである請求項12に記載の電子機器。
- 前記熱的接続部は、金属製のねじであり、前記ねじは前記金属箔に圧着される頭部と、前記頭部と一体に形成されていて前記第1穴、第2穴、そして前記第3穴を通って前記熱放出対象部分にねじ込まれるおねじとを有する請求項12に記載の電子機器。
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