JP2004022533A - 高圧ランプ - Google Patents

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Masumi Nakajima
中島 真澄
Sumihiko Kurita
栗田 澄彦
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Koransha Co Ltd
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Abstract

【課題】高圧ランプの小型化、軽量化、高輝度にともなって、高圧ランプの出力が上がり、ガラス製凹面鏡内面の温度が上昇し、反射膜の劣化が生じている。また、高圧ランプ爆裂時に凹面鏡がクラックで脱落する。
【解決手段】高圧ランプのガラス製凹面鏡の外側面をメッシュでカバーして、放熱表面積を増すことで凹面鏡内面反射膜の温度上昇を抑制すると同時に、高圧ランプ爆裂時に凹面鏡がクラックで脱落するのを防止する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高輝度高圧ランプにかかわり、更に詳しくは、凹面反射鏡のない、表面温度の上昇を抑止し、ランプが爆裂時にガラス片の脱落を防止できる構造の高圧ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクター装置は、スクリーンに対して均一に、しかも十分な明るい画像を照明するものであり、最近は、より液晶プロジェクター装置に適した光源として、極めて高い水銀圧、例えば200バール(197気圧)以上を持つ高圧ランプが実用化されている。これは水銀蒸気圧を高くすることで、アークの広がりを抑えるとともに一層の光出力の向上を図っている。ここで言う高圧ランプとは内部圧力が100気圧以上のものを指し、メタルハライド、水銀、キセノン等のランプを指す。
【0003】
高輝度を得るためにはランプの出力を上昇する必要があるし、また、持ち運び用(モバイルタイプ)は小型化する必要がある。ランプの出力上昇とランプの小型化により、ランプ光源と凹面反射鏡の距離が接近し、さらに放熱面積の減少に伴って、凹面反射鏡の温度は上昇し、これにより反射鏡表面に被覆した反射膜を劣化させる。高出力を持つ高圧ランプの高温用の凹面反射鏡は結晶化ガラスと石英ガラスが主に用いられている。結晶化ガラスは約550℃から結晶化がおきて、寸法収縮が始まり、耐熱性はこの温度が限度である。石英ガラスの耐熱性は1000℃である。反射膜はチタニアとシリカが交互に多層積層されたものが使用され、可視光を反射し、赤外光を透過させ凹面反射鏡の温度上昇を防いでいる。この反射膜の耐熱性は約500℃である。それ以上の温度上昇を防ぐためランプを空冷して使用しているが、特にランプ光源に近く、面積当たり光量が多い凹面反射鏡低部は、局部的な温度上昇により次第に反射膜にクラックが発生して、光の反射特性が低下し、画像の照度劣化の原因となっている。なお、ここで言う高圧ランプとは内部圧力が100気圧以上のものを指し、メタルハライド、水銀、キセノン等のランプを指す。
【0004】
高圧ランプが爆裂した場合、人体に有害な水銀の放出を防止し、かつランプ取替え作業に危険がないようにするためには、凹面反射鏡にクラックが発生してもその形状が保持されることが必要である。つまり粉々に飛散しないことが必要である。そのためにはガラス凹面反射鏡の厚みは4.5mm以上が必要である。しかしながらガラス凹面反射鏡を厚くすることは、放熱性(冷却)と軽量化の大きな障害となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、第一の目的は、ランプの温度上昇を抑止し、薄肉化と爆裂時の飛散を防止することができる新規な構造を提供せんとするものである。第二の目的は、爆裂時、染み出た水銀を捕捉して外に漏出させない新規な構造を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記(1)〜(2)の手段で解決できる。
(1)ガラス製凹面鏡を持つ高圧ランプにおいて、該凹面鏡外表面に当接させてメッシュ構造のカバーをかぶせたことを特徴とする高圧ランプ。
(2)前記メッシュの開孔率が60%以上で95%未満であることを特徴とする(1)に記載の高圧ランプ。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明は高圧ランプのガラス製凹面反射鏡の外側から、赤外光を透過させるメッシュをかぶせる構造である。メッシュは該凹面反射鏡に当接し、凹面反射鏡の熱がメッシュに伝達され、メッシュをかぶせることで放熱面積が増し、放熱効果で凹面反射鏡の温度が低下する。
凹面反射鏡のメッシュカバーの開孔率が60%より小さいと赤外光の透過が妨げられ、凹面反射鏡の温度が逆に上昇する。また、開孔率が95%以上になるとメッシュの放熱面積が小さくなり、凹面反射鏡の温度低下効果が無くなる。
【0008】
凹面反射鏡の放熱表面積を増すため、凹面反射鏡の表面に凹凸を付けることも考えられるが、複雑形状になるため型のコストアップと成形時の離型性の観点から製造上難点がある。高圧ランプは空冷されており、メッシュカバーに凹凸やリブを付けることで表面積が増し、あまりコストアップにならず放熱効果が出る。
【0009】
水銀と結合する金属材料として亜鉛、銅、錫、鉛、金等の多くの金属材料(白金、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、タングステン以外の金属)がある。これらの水銀と反応する材料からなるメッシュカバーは高圧水銀ランプが爆裂した場合、ランプから放出された水銀を捕捉して外に漏出させない効果がある。
メッシュ材は、不織布、織布、これに粉末を混ぜたものでも良い。また、一枚でもあるいは多層に積層したものでも良い。多層にすると水銀除去効果は更に大きくなる。
【0010】
【実施例】
図1は本発明の高圧ランプの構造を説明する図である。
ショートアーク型高圧水銀ランプ1、電極2、凹面反射鏡3、メッシュカバー4、前面ガラス5、ランプ接着6。
開口径47mmφ、厚み4.5mm、反射膜はチタニアとシリカが交互に多層積層された石英ガラス凹面反射鏡で、電圧75v、定格電力150wの高圧水銀ランプを一定風量空冷した状態で、150wの電力を流し凹面反射鏡3の一定箇所の内面温度を測定した。この内面温度測定は凹面反射鏡内面に線径0.2mmφ白金−白金ロジュウム系R熱電対を無機接着で付着させて行った。
【0011】
同一条件で線径0.2mmφ銅線メッシュの各種開孔率の異なるカバーを凹面反射鏡3の外側に当接させ、凹面反射鏡3の内面温度を測定し、銅線メッシュカバー無しとの温度差を求めた。また、同様の条件で石英ガラス凹面反射鏡の厚み1.5mmのものと厚み4.5mmのものを比較し、石英ガラス凹面反射鏡の温度差を求めた。
【表1】
Figure 2004022533
【0012】
以上より開孔率が60%以上で95%以下のメッシュカバーが放熱効果がある。
メッシュ無し・凹面反射鏡厚み4.5mmと、1.5mmのメッシュ無しの比較では、厚み1.5mmの方が45℃も温度が低い。これは凹面反射鏡厚みが3.0mm薄くなったことで熱伝達が良くなり、放熱効果が出た結果である。また、同様に開孔率80%のメッシュをカバーした凹面反射鏡厚み1.5mmは、メッシュ無し凹面反射鏡厚み4.5mmに比べ81℃も低い。すなわち凹面反射鏡厚み減少による熱伝達の向上と、メッシュカバーによる放熱表面積が増すことによる相乗効果である。開孔率80%のメッシュをカバーした凹面反射鏡厚み1.5mmは、ランプ爆裂実験では、凹面反射鏡に細かく亀裂が入ったが、メッシュカバーがあるためガラス片の脱落は無かった。銅メッシュカバーの水銀を定性分析したところ、水銀の存在が認められた。ランプから放出された水銀がメッシュの銅とアマルガム結合してトラップされたと考えられる。
【0013】
凹面反射鏡(厚み4.5mm)に線形0.2mmφ、開孔率80%の各種金属材料メッシュで同様のテストをした。銅、鉄、真鍮、18−8ステンレスで、銅が最も放熱効果があった。鉄と真鍮はほぼ同じで、18−8ステンレスが放熱効果が少なくなる。熱伝導率の高いメッシュほど効果があることが解った。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係わる高圧ランプのガラス製凹面反射鏡のメッシュカバーは、表面積が増すため放熱効果があり、凹面反射鏡内面の温度を低下することができる。メッシュを用いることにより、爆裂時の衝撃でガラス製凹面反射鏡にクラックが入っても脱落せず形状を保持できる。また、高圧ランプのガラス製凹面反射鏡の厚みは4.5mm必要であったが、メッシュを用いることにより、ガラス製凹面反射鏡の厚みは1.5mmまで薄くすることができ、これによりさらに放熱特性が良くなり、高輝度(高出力)の高圧ランプができるようになり、さらにランプの軽量小型化が可能になった。つまり光学装置の小型化、軽量化、高輝度化に貢献できた。さらに水銀ランプ爆裂時、水銀と結合する(アマルガム)材料のメッシュを用いると、人体に有害である水銀の放出量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明高圧ランプの構造の説明図である。
【符号の説明】
1 ショートアーク型高圧水銀ランプ
2 電極
3 凹面反射鏡
4 メッシュカバー
5 前面ガラス
6 ランプ接着

Claims (2)

  1. ガラス製凹面鏡を持つ高圧ランプにおいて、該凹面鏡外表面に当接させてメッシュ構造のカバーをかぶせたことを特徴とする高圧ランプ。
  2. 前記メッシュの開孔率が60%以上で95%未満であることを特徴とする請求項1に記載の高圧ランプ。
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