JP2004022444A - 電磁接触器の操作用電磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来における電磁石鉄心のリベット締め構造を見直し、操作用電磁石としての強度を確保しつつ、鉄損の低減化が図れるように構造を改良する。
【解決手段】電磁石の固定鉄心6,可動鉄心7が珪素鋼板12を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部6a,6bの磁極面相互間に空隙gを残すようにした電磁接触器の操作用電磁石において、積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着動作時に衝撃荷重が加わらない中央脚部のリベット締めを省略し、両側の側脚部6b,6cおよび7b,7cをリベット13c〜13fでかしめ止めし、かつリベットの位置を鉄心の外側寄りにする。これにより、必要な鉄心強度を確保しつつ、リベットを導電路とする珪素鋼板との間のループ回路に電圧が誘起されず、循環電流も流れることがなくなって鉄損の低減化が図れる。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁石の固定鉄心6,可動鉄心7が珪素鋼板12を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部6a,6bの磁極面相互間に空隙gを残すようにした電磁接触器の操作用電磁石において、積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着動作時に衝撃荷重が加わらない中央脚部のリベット締めを省略し、両側の側脚部6b,6cおよび7b,7cをリベット13c〜13fでかしめ止めし、かつリベットの位置を鉄心の外側寄りにする。これにより、必要な鉄心強度を確保しつつ、リベットを導電路とする珪素鋼板との間のループ回路に電圧が誘起されず、循環電流も流れることがなくなって鉄損の低減化が図れる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁接触器に搭載した操作用電磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本発明の実施対象となる電磁接触器の構成を図3に示す。図において、1は電磁接触器の本体ケース(樹脂ケース)、2は固定接触子、3は橋絡形の可動接触子、4は接触子カバー、5が操作用の電磁石であり、該電磁石5は固定鉄心6および可動鉄心7と、固定鉄心6の磁極面に設けた隈取コイル8と、操作コイル9と、可動鉄心7を上方に付勢する復帰ばね10との組立体からなり、可動鉄心7に前記の可動接触子3が連結されている。なお、11は操作コイル8の外部接続端子である。
【0003】
ここで、図示の固定鉄心6,可動鉄心7は、通称“E形コア”と呼ばれる3脚形鉄心で、その中央脚部に操作コイル9が介装されており、個々の鉄心は図4に示すように珪素鋼板12を積層し、これにリベット13を通してかしめ締めした積層鉄心になる。また、この3脚形鉄心には、固定鉄心6と可動鉄心7が吸着した際に、中央脚の端面同志が接触せずにその磁極面相互間に僅かな空隙を保持し、操作コイル9の電流供給を切った場合に残留磁束で可動鉄心7が吸着されたまま復帰不能となるのを回避するようにしている。
【0004】
なお、前記のように電磁石5の鉄心をリベット締めするのは、固定鉄心6と可動鉄心7との衝突による衝撃,交流励磁による電磁振動などで積層した珪素鋼板12がバラバラに分解しないようブロック化するためであり、各珪素鋼板13に開けた穴にリベット13を通してその両端をかしめ止めするようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成になる操作用電磁石には、操作コイルの通電,励磁に伴い発生する損失として操作コイルの抵抗損,隈取りコイルに流れる電流損,および鉄損があり、特に鉄損は全損失のうちの約35%を占め、その鉄損の半分は次記のように鉄心のリベット締め構造に関係している。
【0006】
すなわち、図5(a) は先記した電磁石の3脚形鉄心,およびその鉄心を通る磁束分布を模式的に表した図であり、固定鉄心6,可動鉄心7の中央脚部を6a,7a、該中央脚部の上下両側に並ぶ側脚部を6b,6cおよび7b,7c、中央脚部の中心線上に通してかしめ止めしたリベットを13a,13b、側脚部に通してかしめ止めしたリベットを13c〜13f、中央脚部6aと6bの端面間に残る間隙をgとして、操作コイル(図3参照)に電流(交流)を通電して励磁した状態で、固定鉄心6と可動鉄心7に発生する磁束 (交番磁束) をφ1 〜φ4 で表している。なお、図示の磁束分布はリベット13a〜13fの位置を基準にして描いており、中央脚部6a,7aでは磁束φ1 とφ2 ,φ3 とφ4 がリベット13a,13bの両側を通り、側脚部6b,6cおよび7b,7cでは磁束φ1 とφ2,φ3 とφ4 がリベット13c〜13fを挟んでその内周側,外周側を通るように分布している。
【0007】
ここで、積層鉄心の各脚部にかしめ止めしたリベット13a〜13fはその両端が鉄心の外側に積層した珪素鋼板12と電気的に接触していることから、固定鉄心6(可動鉄心7も同様)の中央脚部6aと側脚部6b,6cとの間には、図5(b) で表すように二つのループ状の電気回路が形成され、この電気回路に鉄心を通る磁束φ1 〜φ4 が図示のように鎖交することになる。この場合に、図示の上下に分けて描いた二つのループ回路について個々に鎖交する磁束をみると、上側のループ回路では互いに逆方向でループと鎖交する磁束φ1 は相殺され、残る磁束φ2 の電磁誘導によって電圧が誘起され、その誘起電圧によりループ回路に循環電流が流れて損失が発生する。同様に下側のループ回路には磁束φ4 による誘起電圧で循環電流が流れて損失が発生する。
【0008】
上記のように、リベット締めによりブロック化した従来の電磁石では、鉄心脚部をかしめ止めするリベットを導電路としてこれに接する珪素鋼板12との間にループ状の電気回路が形成され、電磁石の通電,励磁に伴いこのループ回路には鉄心を通る磁束による電磁誘導で循環電流が流れ、この電流損失が電磁石の鉄損を増加させる要因となる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は従来における鉄心のリベット締め構造を見直し、操作用電磁石として必要な機械的強度を確保しつつ、鉄損の低減化が図れるように構造を改良した電磁接触器の操作用電磁石を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、電磁石の可動鉄心に可動接触子を連繋し、該電磁石の吸引動作で接触子を開閉操作するようにした電磁接触器の操作用電磁石であり、電磁石の固定鉄心,可動鉄心が珪素鋼板を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部もしくはその両側に並ぶ側脚部のいずれか一方の磁極面を非接触としてその相互間に空隙を保持するようにしたものにおいて、
前記積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着状態で磁極面間に空隙を確保する脚部を除く他の脚部にのみリベット締めする(請求項1)ものとし、具体的には次記のような態様で構成する。
【0011】
(1) 3脚形鉄心の中央脚部を非接触脚(固定鉄心と可動鉄心の吸着状態で磁極面の相互間に空隙を残す)とした上で、該中央脚を除いた両側の側脚部のみをリベット締めし、かつその側脚部におけるリベットの通し位置を鉄心の外側寄りに定める(請求項2)。
(2) 3脚形鉄心の側脚部を非接触脚として上で、側脚部を除いた中央脚部のみをリベット締めする(請求項3)。
【0012】
上記構成のように積層鉄心を一体ブロック化するために鉄心脚部をかしめ止めしたリベットの一部を省略することにより、リベットを導電路として鎖交磁束の電磁誘導により発生する電流損を低減して電磁石の低損失化が図れる。しかも、リベット締めしない脚部を電磁石の吸着時に磁極面が非接触となる脚に限定し、かつリベット締めの代替え手段として珪素鋼板を接着剤で貼り合わせたラミネート構造を採用することにより、実用面でも操作用電磁石としての機能を損なわずに所要の機械的強度を確保できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図5に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
〔実施例1〕
図1(a),(b) は本発明の請求項1,2に対応する実施例を示すものである。この実施例においては、珪素鋼板12の積層体になる固定鉄心6,可動鉄心7は、珪素鋼板12に接着剤を塗布して張り合わせブロック化している。なお、珪素鋼板の表面に接着剤を塗布して積層したブロック鉄心は回転機などで実用化されており、その強度,信頼性は実証済である。また、図示のように固定鉄心6と可動鉄心7を吸着した状態では、中央脚部6aと7aとの磁極面が接触しないようにその相互間に空隙gを保持して励磁電流を切った場合の残留磁力を低めるようにした上で、この中央脚部に対しては図5に示したリベット13a,13bを省略し、中央脚部の両側に並ぶ側脚部6bと6c,および7bと7cにのみ、それぞれリベット13c〜13fでかしめ止めしている。しかも、このリベット13c〜13fは側脚部の中央より鉄心の外側位置に寄せている。
【0014】
上記の構成において、電磁石の吸着時には固定鉄心6と可動鉄心7は両側の側脚部同志が接触し、中央脚部6aと7aは空隙gを隔てて接触しないので、この部分に衝突荷重の加わることがない。したがって、この中央脚部のリベットを省略しても、珪素鋼板の貼り合わせ構造により、電磁石鉄心として必要な機械的強度を確保できる。
【0015】
一方、中央脚部のリベット締めを省略したことにより、図5(b) に対応するループ状の電気回路は、図1(b) で表すように両側の側脚部6b,6cをかしめ止めしたリベット13c,13eと鉄心の外側に積層した珪素鋼板12との間に形成されることになる。なお、可動鉄心7にも同様なループ状の電気回路が形成される。しかも、前記のようにリベット13c,13eは脚部の外側寄りに位置決めされているので、このループ回路に鎖交する磁束φ1 〜φ4 は図示のような分布になり、トータル的には磁束φ1 〜φ4 が個々に逆向きに相殺し合ってループ回路には電圧が誘起されず、これにより図5(b) で述べた電流損失分はゼロとなって電磁石の鉄損が低減する。
【0016】
〔実施例2〕
図2(a),(b) は本発明の請求項3に対応する実施例を示すものである。この実施例においては、(a) 図に示すように電磁石の吸着状態で固定鉄心6と可動鉄心7の中央脚部6aと7aが接触し、その両側の側脚部6bと7b,および6cと7cとの間には空隙gを保持して磁極面同志が接触しないようにしている。また、珪素鋼板12の積層体になる固定鉄心6,可動鉄心7は、実施例1と同様に珪素鋼板12に接着剤を塗布して貼り合わせたラミネート構造を採用した上で、電磁石の吸着動作時に衝撃荷重が加わる中央脚部6a,7aにのみリベット13a,13bを通してかしめ止めし、その両側に並ぶ側脚部6b,6cおよび7b,7cのリベットを省略して構成している。
【0017】
これにより、操作用電磁石として必要な機械的強度が確保されるとともに、一方ではリベット13aと鉄心外側の珪素鋼板12との間に形成される電気的な回路は、図2(b) で表すように閉じたループ回路を形成せず、したがって鉄心を通る磁束φ1 〜φ4 によって電圧が誘起されることがなく、リベットを導電路とする循環電流も流れないので、電流損失はゼロとなる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電磁石の可動鉄心に可動接触子を連繋し、該電磁石の吸引動作で接触子を開閉操作するようにした電磁接触器の操作用電磁石であり、電磁石の固定鉄心,可動鉄心が珪素鋼板を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部もしくはその両側に並ぶ側脚部のいずれか一方の磁極面を非接触としてその相互間に空隙を保持するようにしたものにおいて、前記積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着状態で磁極面間に空隙を確保する脚部を除く他の脚部にのみリベット締めしたことにより、
電磁石として機能させるに必要な機械的強度を確保しつつ、一方では鉄心を通る交番磁束の電磁誘導によってリベットと積層鉄心の珪素鋼板との間に形成される電気回路に循環電流が流れることがなく、これにより鉄心に生じる鉄損を低めて電磁接触器の低損失化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応する操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【図2】本発明の実施例2に対応する操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【図3】電磁接触器の構成断面図
【図4】図3における電磁石鉄心の部分断面図
【図5】電磁接触器に採用した従来の操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【符号の説明】
2 固定接触子
3 可動接触子
5 操作用電磁石
6 固定鉄心
7 可動鉄心
6a,7a 中央脚部
6b,6c,7b,7c 側脚部
9 操作コイル
12 珪素鋼板
13,13a〜13f リベット
g 空隙
φ1 〜φ4 磁束
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁接触器に搭載した操作用電磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本発明の実施対象となる電磁接触器の構成を図3に示す。図において、1は電磁接触器の本体ケース(樹脂ケース)、2は固定接触子、3は橋絡形の可動接触子、4は接触子カバー、5が操作用の電磁石であり、該電磁石5は固定鉄心6および可動鉄心7と、固定鉄心6の磁極面に設けた隈取コイル8と、操作コイル9と、可動鉄心7を上方に付勢する復帰ばね10との組立体からなり、可動鉄心7に前記の可動接触子3が連結されている。なお、11は操作コイル8の外部接続端子である。
【0003】
ここで、図示の固定鉄心6,可動鉄心7は、通称“E形コア”と呼ばれる3脚形鉄心で、その中央脚部に操作コイル9が介装されており、個々の鉄心は図4に示すように珪素鋼板12を積層し、これにリベット13を通してかしめ締めした積層鉄心になる。また、この3脚形鉄心には、固定鉄心6と可動鉄心7が吸着した際に、中央脚の端面同志が接触せずにその磁極面相互間に僅かな空隙を保持し、操作コイル9の電流供給を切った場合に残留磁束で可動鉄心7が吸着されたまま復帰不能となるのを回避するようにしている。
【0004】
なお、前記のように電磁石5の鉄心をリベット締めするのは、固定鉄心6と可動鉄心7との衝突による衝撃,交流励磁による電磁振動などで積層した珪素鋼板12がバラバラに分解しないようブロック化するためであり、各珪素鋼板13に開けた穴にリベット13を通してその両端をかしめ止めするようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記構成になる操作用電磁石には、操作コイルの通電,励磁に伴い発生する損失として操作コイルの抵抗損,隈取りコイルに流れる電流損,および鉄損があり、特に鉄損は全損失のうちの約35%を占め、その鉄損の半分は次記のように鉄心のリベット締め構造に関係している。
【0006】
すなわち、図5(a) は先記した電磁石の3脚形鉄心,およびその鉄心を通る磁束分布を模式的に表した図であり、固定鉄心6,可動鉄心7の中央脚部を6a,7a、該中央脚部の上下両側に並ぶ側脚部を6b,6cおよび7b,7c、中央脚部の中心線上に通してかしめ止めしたリベットを13a,13b、側脚部に通してかしめ止めしたリベットを13c〜13f、中央脚部6aと6bの端面間に残る間隙をgとして、操作コイル(図3参照)に電流(交流)を通電して励磁した状態で、固定鉄心6と可動鉄心7に発生する磁束 (交番磁束) をφ1 〜φ4 で表している。なお、図示の磁束分布はリベット13a〜13fの位置を基準にして描いており、中央脚部6a,7aでは磁束φ1 とφ2 ,φ3 とφ4 がリベット13a,13bの両側を通り、側脚部6b,6cおよび7b,7cでは磁束φ1 とφ2,φ3 とφ4 がリベット13c〜13fを挟んでその内周側,外周側を通るように分布している。
【0007】
ここで、積層鉄心の各脚部にかしめ止めしたリベット13a〜13fはその両端が鉄心の外側に積層した珪素鋼板12と電気的に接触していることから、固定鉄心6(可動鉄心7も同様)の中央脚部6aと側脚部6b,6cとの間には、図5(b) で表すように二つのループ状の電気回路が形成され、この電気回路に鉄心を通る磁束φ1 〜φ4 が図示のように鎖交することになる。この場合に、図示の上下に分けて描いた二つのループ回路について個々に鎖交する磁束をみると、上側のループ回路では互いに逆方向でループと鎖交する磁束φ1 は相殺され、残る磁束φ2 の電磁誘導によって電圧が誘起され、その誘起電圧によりループ回路に循環電流が流れて損失が発生する。同様に下側のループ回路には磁束φ4 による誘起電圧で循環電流が流れて損失が発生する。
【0008】
上記のように、リベット締めによりブロック化した従来の電磁石では、鉄心脚部をかしめ止めするリベットを導電路としてこれに接する珪素鋼板12との間にループ状の電気回路が形成され、電磁石の通電,励磁に伴いこのループ回路には鉄心を通る磁束による電磁誘導で循環電流が流れ、この電流損失が電磁石の鉄損を増加させる要因となる。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は従来における鉄心のリベット締め構造を見直し、操作用電磁石として必要な機械的強度を確保しつつ、鉄損の低減化が図れるように構造を改良した電磁接触器の操作用電磁石を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、電磁石の可動鉄心に可動接触子を連繋し、該電磁石の吸引動作で接触子を開閉操作するようにした電磁接触器の操作用電磁石であり、電磁石の固定鉄心,可動鉄心が珪素鋼板を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部もしくはその両側に並ぶ側脚部のいずれか一方の磁極面を非接触としてその相互間に空隙を保持するようにしたものにおいて、
前記積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着状態で磁極面間に空隙を確保する脚部を除く他の脚部にのみリベット締めする(請求項1)ものとし、具体的には次記のような態様で構成する。
【0011】
(1) 3脚形鉄心の中央脚部を非接触脚(固定鉄心と可動鉄心の吸着状態で磁極面の相互間に空隙を残す)とした上で、該中央脚を除いた両側の側脚部のみをリベット締めし、かつその側脚部におけるリベットの通し位置を鉄心の外側寄りに定める(請求項2)。
(2) 3脚形鉄心の側脚部を非接触脚として上で、側脚部を除いた中央脚部のみをリベット締めする(請求項3)。
【0012】
上記構成のように積層鉄心を一体ブロック化するために鉄心脚部をかしめ止めしたリベットの一部を省略することにより、リベットを導電路として鎖交磁束の電磁誘導により発生する電流損を低減して電磁石の低損失化が図れる。しかも、リベット締めしない脚部を電磁石の吸着時に磁極面が非接触となる脚に限定し、かつリベット締めの代替え手段として珪素鋼板を接着剤で貼り合わせたラミネート構造を採用することにより、実用面でも操作用電磁石としての機能を損なわずに所要の機械的強度を確保できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1,図2に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図5に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
〔実施例1〕
図1(a),(b) は本発明の請求項1,2に対応する実施例を示すものである。この実施例においては、珪素鋼板12の積層体になる固定鉄心6,可動鉄心7は、珪素鋼板12に接着剤を塗布して張り合わせブロック化している。なお、珪素鋼板の表面に接着剤を塗布して積層したブロック鉄心は回転機などで実用化されており、その強度,信頼性は実証済である。また、図示のように固定鉄心6と可動鉄心7を吸着した状態では、中央脚部6aと7aとの磁極面が接触しないようにその相互間に空隙gを保持して励磁電流を切った場合の残留磁力を低めるようにした上で、この中央脚部に対しては図5に示したリベット13a,13bを省略し、中央脚部の両側に並ぶ側脚部6bと6c,および7bと7cにのみ、それぞれリベット13c〜13fでかしめ止めしている。しかも、このリベット13c〜13fは側脚部の中央より鉄心の外側位置に寄せている。
【0014】
上記の構成において、電磁石の吸着時には固定鉄心6と可動鉄心7は両側の側脚部同志が接触し、中央脚部6aと7aは空隙gを隔てて接触しないので、この部分に衝突荷重の加わることがない。したがって、この中央脚部のリベットを省略しても、珪素鋼板の貼り合わせ構造により、電磁石鉄心として必要な機械的強度を確保できる。
【0015】
一方、中央脚部のリベット締めを省略したことにより、図5(b) に対応するループ状の電気回路は、図1(b) で表すように両側の側脚部6b,6cをかしめ止めしたリベット13c,13eと鉄心の外側に積層した珪素鋼板12との間に形成されることになる。なお、可動鉄心7にも同様なループ状の電気回路が形成される。しかも、前記のようにリベット13c,13eは脚部の外側寄りに位置決めされているので、このループ回路に鎖交する磁束φ1 〜φ4 は図示のような分布になり、トータル的には磁束φ1 〜φ4 が個々に逆向きに相殺し合ってループ回路には電圧が誘起されず、これにより図5(b) で述べた電流損失分はゼロとなって電磁石の鉄損が低減する。
【0016】
〔実施例2〕
図2(a),(b) は本発明の請求項3に対応する実施例を示すものである。この実施例においては、(a) 図に示すように電磁石の吸着状態で固定鉄心6と可動鉄心7の中央脚部6aと7aが接触し、その両側の側脚部6bと7b,および6cと7cとの間には空隙gを保持して磁極面同志が接触しないようにしている。また、珪素鋼板12の積層体になる固定鉄心6,可動鉄心7は、実施例1と同様に珪素鋼板12に接着剤を塗布して貼り合わせたラミネート構造を採用した上で、電磁石の吸着動作時に衝撃荷重が加わる中央脚部6a,7aにのみリベット13a,13bを通してかしめ止めし、その両側に並ぶ側脚部6b,6cおよび7b,7cのリベットを省略して構成している。
【0017】
これにより、操作用電磁石として必要な機械的強度が確保されるとともに、一方ではリベット13aと鉄心外側の珪素鋼板12との間に形成される電気的な回路は、図2(b) で表すように閉じたループ回路を形成せず、したがって鉄心を通る磁束φ1 〜φ4 によって電圧が誘起されることがなく、リベットを導電路とする循環電流も流れないので、電流損失はゼロとなる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電磁石の可動鉄心に可動接触子を連繋し、該電磁石の吸引動作で接触子を開閉操作するようにした電磁接触器の操作用電磁石であり、電磁石の固定鉄心,可動鉄心が珪素鋼板を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部もしくはその両側に並ぶ側脚部のいずれか一方の磁極面を非接触としてその相互間に空隙を保持するようにしたものにおいて、前記積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着状態で磁極面間に空隙を確保する脚部を除く他の脚部にのみリベット締めしたことにより、
電磁石として機能させるに必要な機械的強度を確保しつつ、一方では鉄心を通る交番磁束の電磁誘導によってリベットと積層鉄心の珪素鋼板との間に形成される電気回路に循環電流が流れることがなく、これにより鉄心に生じる鉄損を低めて電磁接触器の低損失化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応する操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【図2】本発明の実施例2に対応する操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【図3】電磁接触器の構成断面図
【図4】図3における電磁石鉄心の部分断面図
【図5】電磁接触器に採用した従来の操作用電磁石の模式図で、(a) は固定鉄心と可動鉄心の吸着状態を表した図、(b) は(a) のリベットを通る電気回路および磁束の鎖交分布を表す図
【符号の説明】
2 固定接触子
3 可動接触子
5 操作用電磁石
6 固定鉄心
7 可動鉄心
6a,7a 中央脚部
6b,6c,7b,7c 側脚部
9 操作コイル
12 珪素鋼板
13,13a〜13f リベット
g 空隙
φ1 〜φ4 磁束
Claims (3)
- 電磁石の可動鉄心に可動接触子を連繋し、該電磁石の吸引動作で接触子を開閉操作するようにした電磁接触器の操作用電磁石であり、電磁石の固定鉄心,可動鉄心が珪素鋼板を積層してリベット締めした3脚形の積層鉄心になり、かつ固定鉄心と可動鉄心との吸着状態で、その中央脚部もしくはその両側に並ぶ側脚部のいずれか一方の磁極面を非接触としてその相互間に空隙を保持するようにしたものにおいて、
前記積層鉄心の珪素鋼板を接着剤で貼り合わせた上で、電磁石の吸着状態で磁極面間に空隙を確保する脚部を除く他の脚部にのみリベット締めしたことを特徴とする電磁接触器の操作用電磁石。 - 請求項1記載の操作用電磁石において、3脚形鉄心の中央脚部を非接触脚とした上で、該中央脚を除いた両側の側脚部のみをリベット締めし、かつその側脚部におけるリベットの通し位置を鉄心の外側寄りに定めたことを特徴とする電磁接触器の操作用電磁石。
- 請求項1記載の操作用電磁石において、3脚形鉄心の側脚部を非接触脚として上で、側脚部を除いた中央脚部のみをリベット締めしたことを特徴とする電磁接触器の操作用電磁石。
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---|---|---|---|
JP2002178514A JP2004022444A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 電磁接触器の操作用電磁石 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002178514A JP2004022444A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 電磁接触器の操作用電磁石 |
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JP (1) | JP2004022444A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102009019826B4 (de) * | 2009-05-04 | 2016-10-13 | Siemens Aktiengesellschaft | Elektromechanisches Schaltgerät |
JP2019083173A (ja) * | 2017-10-31 | 2019-05-30 | オムロン株式会社 | 電磁継電器 |
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2002
- 2002-06-19 JP JP2002178514A patent/JP2004022444A/ja active Pending
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DE102009019826B4 (de) * | 2009-05-04 | 2016-10-13 | Siemens Aktiengesellschaft | Elektromechanisches Schaltgerät |
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US10892125B2 (en) | 2017-10-31 | 2021-01-12 | Omron Corporation | Electromagnetic relay |
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