JP2004022279A - 横巻線 - Google Patents

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JP2004022279A
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insulating tape
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Manabu Negishi
根岸 学
Naoki Karasawa
唐沢 直希
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

【課題】切断部分からテープが緩んでほどけることを防止することができる横巻線を提供する。
【解決手段】トランスのコイル等に使用される断面が平角形の線状の導体11と、接着剤12を塗布したクラフト紙等の繊維系材料のテープまたはPET等の有機ポリマーフィルムテープなどの絶縁テープ13とを用い、接着剤12によって絶縁テープ13が導体11に密着するように、導体11に絶縁テープ13を巻き付けて横巻線10を形成する。
【選択図】
図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスのコイル等に使用され、断面が平角形の線状の導体に繊維系材料から成るテープまたは有機ポリマーフィルムから成るテープを巻き付けた横巻線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスのコイルには、断面積を大きくする為に断面が平角形の線状の銅導体やアルミ導体が用いられ、絶縁材料としてクラフト紙、アミン処理紙、アラミド紙等の繊維系材料や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の有機ポリマーフィルムをテープ状にしたものを、導体にそのまま巻き付けた横巻線が広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の横巻線においては、横巻線を用いたコイル巻き作業時に、横巻線を所定の長さ切断するが、この際、切断
部分からテープが緩んでほどけるという問題がある。
【0004】
このように切断部分からテープがほどけると、緩みが伝播してテープに膨れが生じ、擦れた際にテープが切れ易くなる。そこで、ほどけを防ぐために、横巻線を切断後直ちに切断部分を接着テープ等で固定したり、予め切断する部分にテープを貼ってから切断するといった処置が施されるが、この場合、作業効率が低下することになる。
【0005】
また、導体と絶縁材料との密着性を向上させる既知の例として、有機ポリマーフィルムテープに、熱により溶融する樹脂を塗るか、貼り付け、これを導体に巻き付けたのち熱処理を加えることによって絶縁材料と導体とを接着させる方法がある。しかし、この方法は、テープの融点以下で熱処理を行なう必要があるので温度管理が難しく、また、テープ巻きと別の装置が必要なので、設備、コスト面において不利となっている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、切断部分からテープが緩んでほどけることを防止することができる横巻線を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の横巻線は、断面が平角形の線状の導体と、接着剤が塗布された繊維系材料および有機ポリマーフィルムの何れかの絶縁テープとを用い、前記接着剤によって前記絶縁テープが前記導体に密着するように、前記導体に前記絶縁テープを巻き付けて成ることを特徴としている。
【0008】
また、前記絶縁テープに塗布される前記接着剤の量は、前記導体1g当たり0.002mg〜0.4mgであることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る横巻線の構造を示す断面図である。
【0011】
この図1に示す横巻線10は、トランスのコイル等に使用される断面が平角形の線状の導体11と、接着剤12を塗布したクラフト紙等の繊維系材料のテープまたはPET等の有機ポリマーフィルムテープなどの絶縁テープ13とを用い、接着剤12によって絶縁テープ13が導体11に密着するように、導体11に絶縁テープ13を巻き付けて成るものである。
【0012】
この横巻線10を製造する横巻線製造装置の構成を図2に示し、その説明を行う。図2に示す横巻線製造装置は、導体11を送り出すための導体送り出しボビン20と、この導体送り出しボビン20から送り出された導体11に接着剤12が塗布された絶縁テープ13を巻き付けることにより横巻線10を形成する中心式フライヤー装置21と、この装置21で形成された横巻線10を巻き取る製品ボビン22とを備えて構成されている。
【0013】
また、中心式フライヤー装置21は、図3に示すように、充填された接着剤12を供給するための接着剤供給部30と、この接着剤供給部30から供給される接着剤12を搬送するためのパイプ状の搬送部材31と、この搬送部材31を固定するフライヤー基部32と、このフライヤー基部32に固定されており、搬送部材31により搬送されてきた接着剤12が送り込まれるパイプ形状の周囲にフェルト33が固定され、フェルト33の上方部分に、送り込まれた接着剤12を押し出して染み込ませるための多数の貫通孔を有する接着剤塗布部34とを備えて構成されている。また、絶縁テープ13は、フライヤー基部32に回転自在に取り付けられ、接着剤塗布部34を介して導体11に巻き付けられるようになっている。
【0014】
このような構成の横巻線製造装置によって横巻線10が製造される場合の動作を説明する。但し、導体11には銅、接着剤12には液性エポキシ樹脂系の接着剤、絶縁テープ13にはポリエステルフィルム(PET)が用いられているものとする。
【0015】
接着剤供給部30から供給された接着剤12が、搬送部材31の中を通って接着剤塗布部34へ送り込まれる。この送り込まれた接着剤12は、多数の貫通孔を通りフェルト33へ送り出される。これによってフェルト33に所定量の接着剤12が染み込む。一方、導体送り出しボビン20から中心式フライヤー装置21へ送り出された導体11の一面には、そのフェルト33で接着剤12が塗布され、この後、導体11に巻き付けられる。この際、導体11に絶縁テープ13が、テープ幅の1/2ずつ重ね合わされて巻き付けられる。これによって形成された横巻線10が製品ボビン22に巻き取られる。
【0016】
このようにして得られた横巻線10の特性を、下記表1に実施例1として示す。また同表1に比較例1として接着剤を塗布しないで絶縁テープだけを巻き付けした横巻線、比較例2としてプリプレグ処理したポリイミドフィルムテープを同様にして巻き付けした横巻線の特性を示した。
【0017】
但し、表1に示す絶縁破壊電圧(kV)は、長さ300mmの直状試料にアルミ箔を100mm巻付け、導体とアルミ箔間の絶縁破壊電圧を測定した結果である。ほどけ性は、10mmφのマンドレルに、フラットワイズ方向に90°曲げた後、曲げRの部分で線を切断した時、末端(切断部分)のテープが導体の半周以上ほどけるか否かを評価した結果であり、(○:ほどけない、×:ほどける)を表す。製作性は、経済性であり、製品の作り易さ及び製作コストを評価したものであり、(○:優れる、△:普通、×:劣る)を表す。
【0018】
【表1】
Figure 2004022279
この表1から実施例1のものでは、導体11と絶縁テープ13間には、接着剤12が均一に塗布されており、導体11と絶縁テープ13とは密着していることがわかる。また、電気的特性は、比較例1,2の接着剤無しのものと同等であり、絶縁テープ13の接着性についてもプリプレグ処理したホリイミドテープと同等であることがわかる。
【0019】
また、下記表2に、本横巻線10の絶縁テープ13に塗布された接着剤12の量を資料No.1〜5のように変化させた際の絶縁テープ13と導体11のほどけ性を示す。
【0020】
【表2】
Figure 2004022279
この表2から、0.002mg/電線1g以上が切断時に絶縁テープ13が、ほどけない量であると言える。また、0.5mg/電線1gでは、逆に導体11と絶縁テープ13の接着力が強すぎ、テープを剥がすことができなかった。これより接着剤量の最適量としては、0.002mg/電線1g〜0.4mg/電線1gであることが分かった。なお、この接着効果は、絶縁テープ13を1枚突き合わせて巻いた場合、1枚をテープ幅の1/2ずつ重ね合せて巻いた場合、1枚をテープ幅の0〜1/3程度スカシて突き合わせて巻いた後、更に1枚を巻いた場合のいずれにおいても得ることができる。
【0021】
このように、本実施の形態の横巻線によれば、予め接着剤12を塗布した絶縁テープ13を導体11に巻き付け、この際、接着剤12によって絶縁テープ13が導体11に密着するように巻き付けるようにしたので、切断部分から絶縁テープ13が緩んでほどけることを防止することができる。
【0022】
これによって、従来のように、切断部分からテープがほどけ、緩みが伝播してテープに膨れが生じ、擦れた際にテープが切れ易くなるといったことが無くなる。また、ほどけを防ぐために、横巻線を切断後直ちに切断部分を接着テープ等で固定したり、予め切断する部分にテープを貼ってから切断するといった処置を施さなくても良いので、作業効率を従来の横巻線を用いた場合よりも向上させることができる。また、絶縁テープ13を剥がして導体11を露出させたい時にも、必要な部分まで比較的容易に絶縁テープ13を剥がすことが可能であり、電工作業の効率向上を図ることができる。
【0023】
本横巻線10は、上記実施の形態(実施例1)に限定されるものではない。実施例1は特に推奨できる例示ではあるが、絶縁テープ13の材料及び接着剤の種類に制限はない。例えば、実施例1においては絶縁テープ13としてポリエステルフィルムを用いたが、材質はこれに限定されるものではなく、PEN(ポリエチレンナフタレート)テープ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)テープ、ポリイミドテープ等の材質を用いてもよい。また、繊維系材料として、クラフト紙、アミン処理紙、アラミド紙を用いても良い。また、接着剤としては、エポキシ系樹脂だけではなく、アクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ポリアミド樹脂系、フェノール樹脂系、及びそれらの複合系も適用可能である。
【0024】
また、接着剤12を導体11に塗布する手法も、実施例1に限定されるものではない。例えば接着剤をミスと状にして噴霧して塗布する方法、回転式の塗布ロールによりに接着剤を塗布する方法、更にそのロールに溝を施し、網目状や波線状など任意パターン、任意の間隔で接着剤を塗布する方法等があり、必要に応じて接着方法、接着特性を変える事が可能である。また、塗布する面も片面だけではなく、2枚以上テープを横巻きする場合は両面に塗布する事により、テープ同士の密着性を向上させることが可能である。
【0025】
また、横巻線製造装置においても、実施例1では中心式のフライヤーを用いたが、接着剤塗布機構を付ければサイド式フライヤー等でも応用が可能である。また接着剤の乾燥促進の為、導体にテープを巻いた後、線を加熱炉に通してもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、断面が平角形の線状の導体と、接着剤が塗布された繊維系材料および有機ポリマーフィルムの何れかの絶縁テープとを用い、前記接着剤によって前記絶縁テープが前記導体に密着するように、前記導体に前記絶縁テープを巻き付けて成る横巻線を形成したので、切断部分からテープが緩んでほどけることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る横巻線の構造を示す断面図である。
【図2】横巻線を製造するための横巻線製造装置の構成を示す図である。
【図3】横巻線製造装置における中心式フライヤー装置の接着剤塗布機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 横巻線
11 導体
12 接着剤
13 絶縁テープ
20 導体送り出しボビン
21 中心式フライヤー装置
22 製品ボビン
30 接着剤供給部
31 搬送部材
32 フライヤー基部
33 フェルト
34 接着剤塗布部

Claims (2)

  1. 断面が平角形の線状の導体と、接着剤が塗布された繊維系材料および有機ポリマーフィルムの何れかの絶縁テープとを用い、前記接着剤によって前記絶縁テープが前記導体に密着するように、前記導体に前記絶縁テープを巻き付けて成る
    ことを特徴とする横巻線。
  2. 前記絶縁テープに塗布される前記接着剤の量は、前記導体1g当たり0.002mg〜0.4mgである
    ことを特徴とする請求項1に記載の横巻線。
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