JP2004022132A - 光ディスク記録方法、光ディスク判別方法、光ディスク記録装置、および光ディスク再生装置 - Google Patents
光ディスク記録方法、光ディスク判別方法、光ディスク記録装置、および光ディスク再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させた光ディスク記録方法を提供する。
【解決手段】光ディスク記録装置1は、本体にセットされている光ディスクDに対するデータの記録時に、記録されたデータの再生信号品位が予め設定されているパターンで変化するように、レーザパワーを制御しながらデータを記録する。このため、光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位の変化から、該光ディスクが適正なマスタディスクであるか、不正に作られたコピーディスクであるかを判別することができ、光ディスクDに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】光ディスク記録装置1は、本体にセットされている光ディスクDに対するデータの記録時に、記録されたデータの再生信号品位が予め設定されているパターンで変化するように、レーザパワーを制御しながらデータを記録する。このため、光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位の変化から、該光ディスクが適正なマスタディスクであるか、不正に作られたコピーディスクであるかを判別することができ、光ディスクDに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法、光ディスクに記録されているデータを判別する光ディスク判別方法、この光ディスク記録方法を適用した光ディスク記録装置、およびこの光ディスク判別方法を適用した光ディスク再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオデータ、コンピュータ用データ、静止画や動画などの画像データなど様々なデータの記録媒体として、CDやDVD等の光ディスクが利用されている。また、上記光ディスクに記録されているデータを読み取り、再生する光ディスク再生装置や、1度だけデータの書き込みが行える追記型光ディスク(CD−R、DVD−Rなど)、何度も繰り返しデータの書き換えが行える書換型光ディスク(CD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなど)にデータを記録する光ディスク記録装置が普及している。
【0003】
ところで、著作権で保護されたデータ(オーディオデータ、コンピュータ用データ、静止画や動画などの画像データ)を記録した光ディスクが従来より流通している。これらの光ディスク(マスタディスク)に記録されているデータ(著作権で保護されたデータ)を、上記光ディスク記録装置で別の光ディスクにコピーし、該データをコピーした光ディスク(コピーディスク)を他人に譲渡したり、販売することは違法行為である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記違法行為の取り締まり、特に友人、知人間におけるコピーディスクの譲渡の取り締まり、が現実的に困難であることから、違法行為であることを知っているにもかかわらず、コピーディスクを友人や知人に譲渡したり、販売する者が絶えず、光ディスクに記録されているデータのセキュリティが低いという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させた光ディスク記録方法、光ディスク判別方法、光ディスク記録装置、および光ディスク再生装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク記録方法は、上記の課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0007】
(1)光ディスクに形成されているトラックにレーザ光を照射して、該光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法において、
上記トラックに記録されたデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する。
【0008】
この構成では、トラックに記録されたデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら光ディスクのトラックにデータを記録する。
【0009】
ここで言う読取条件とは、再生時における光ディスクからの読取信号の状態の変化であって、例えば再生信号品位、再生線速度、データ密度等である。再生信号品位は、例えば記録時に光ディスクに照射するレーザ光のパワー(以下、レーザパワーと言う。)の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクに照射するレーザパワーにかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの再生信号品位を変化させることができる。
【0010】
また、再生線速度やデータ密度は、例えば記録時の光ディスクの回転速度や、光ディスクに対するデータの記録速度の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクの回転速度にかかる記録パラメータ、または光ディスクに対するデータの記録速度にかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの、再生線速度やデータ密度を変化させることができる。
【0011】
すでに普及している従来の光ディスク記録装置は、読取条件が略一定になるように光ディスクにデータを記録する。このため、従来の光ディスク記録装置では、上記方法により予め定められたパターンで読取条件が変化するようにデータを記録した光ディスク(マスタディスク)から記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータを記録(コピー)した別の光ディスク(コピーディスク)を作っても、該コピーディスクに記録されているデータの読取条件は略一定になる。したがって、従来の光ディスク記録装置では、マスタディスクのように記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するコピーディスクを作ることができない。
【0012】
ここで、マスタディスクがゲーム機等、特定の装置で使用される光ディスクである場合について説明する。記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化する光ディスクであるかどうかを判別する機能を該特定の装置に設けると、該特定の装置におけるコピーディスクの使用を制限することができる。これにより、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0013】
また、上記読取条件が変化するパターンは、時間的に連続して変化するパターン、例えば読取条件をsin波やcos波の形状で変化させるパターンや、n次関数(nは1以上)で変化させるパターン、であってもよいし、ステップ状に変化させるパターンであってもよいし、これらのパターンを組み合わせたパターンであってもよい。読取条件を時間的に連続して変化させるパターンは、記録パラメータを時間的に連続して変化させながら光ディスクにデータを記録すればよい。また、読取条件をステップ状に変化させるパターンは、トラックを分割した記録領域毎に記録パラメータを変化させながら光ディスクにデータを記録すればよい。
【0014】
(2)上記読取条件の変化パターンを上記光ディスクの所定の領域に記録する。
【0015】
この構成では、読取条件の変化パターン(以下、単に変化パターンと言う。)が、光ディスクの所定の領域に記録される。
【0016】
ここで、マスタディスクがゲーム機等、特定の装置で使用される光ディスクである場合、光ディスクに記録されているデータの読取条件が、該光ディスクに記録されているパターンで変化する光ディスクであるかどうかを判別する機能を、該特定の装置に設ければ、該特定の装置におけるコピーディスクの使用を制限することができる。これにより、上記(1)で説明したように、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0017】
また、光ディスクに該光ディスクに記録されているデータの読取条件が変化するパターンを記録することにより、光ディスク毎に記録されているデータの読取条件の変化パターンを異ならせることもでき、セキュリティの一層の向上が図れる。
【0018】
また、この発明の光ディスク判別方法は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。この光ディスクの判別方法は、上記ゲーム機等の特定の装置に適用される。
【0019】
なお、読取条件の変化パターンと相関がある、記録パラメータの変化パターンを光ディスクに記録してもよい。記録パラメータの変化パターンを用いて、読み取り条件の変化パターンを算出することができる。
【0020】
(1)光ディスクに記録されているデータについて読取条件の変化パターンを取得する第1のステップと、
上記第1のステップで取得した読取条件の変化パターンと、上記光ディスクに対して予め定められている読取条件の変化パターンとを比較し、その比較結果に基づいて上記光ディスクの真偽を判別する第2のステップと、を備えている。
【0021】
この構成では、第1のステップが光ディスクに記録されているデータの読取条件の変化パターンを取得する。例えば、光ディスクに記録されているデータを実際に読み取り、該読み取ったデータから読取条件の変化パターンを取得する
また、第2のステップが、第1のステップで取得した読取条件の変化パターンと、該光ディスクについて予め設定されている読取条件の変化パターンと、を比較した比較結果に基づいて光ディスクの真偽を判別する。光ディスクについて予め定められている読取条件の変化パターンは、装置本体に記憶させておいてもよいし、また光ディスクに読取条件の変化パターンを記録しておいてもよいし、さらに光ディスクに記録パラメータの変化パターンを記録しておいてもよい。
【0022】
上記のように、従来の光ディスク記録装置で作られたコピーディスクにおけるデータの読取条件は、略一定であるので、上記第2のステップで、光ディスクの真偽(マスタディスクであるか、コピーディスクであるか)を正確に判別することができる。
【0023】
(2)上記第2のステップが上記光ディスクを偽造された光ディスクであると判別した場合に、該光ディスクに記録されているデータの読取を制限する。
【0024】
この構成では、光ディスクをコピーディスクであると判別した場合、該光ディスクに対するデータの読み取りが制限される。
【0025】
また、読み取りの制限に換えて、光ディスクから読み取ったデータの再生(デコード)禁止、光ディスクから読み取りデコードしたデータの出力禁止等、の制限を行うようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態である光ディスク記録装置について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク記録装置の構成を示す図である。光ディスク記録装置1は、光ピックアップ10、スピンドルモータ11、RFアンプ12、サーボ回路13、アドレス検出回路14、デコーダ15、システム制御部16、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19、レーザパワー制御回路20、周波数発生器21、エンベロープ検出回路22、C1エラー検出回路23、信号品位検出回路部24、データ記憶回路25、記憶部26、操作部27、および表示部28を備えている。
【0028】
なお、C1エラー検出回路23は、デコーダ15に設けられている。
【0029】
システム制御部16は、CPU、ROM、及びRAM等から構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って光ディスク記録装置1の各部を制御する。光ピックアップ10は、光ディスクDにレーザ光を照射するレーザダイオード、レンズ、ミラーなどの光学系、光ディスクDからの戻り光(反射光)を検出する受光素子、光ディスクDに対してレーザ光の焦点を合わせるフォーカスサーボ機構、光ディスクDに形成されているトラックに対してレーザ光の照射位置を合わせるトラッキングサーボ機構を有している。スピンドルモータ11は、データを記録する光ディスクDを回転駆動するモータである。また、スピンドルモータ11の回転軸先端部には、光ディスクDを保持するチャッキング機構が設けられている。
【0030】
また、光ピックアップ10には、光ディスクDからの戻り光を検出し、検出した戻り光に応じた信号(以下、モニタ信号と言う。)をレーザパワー制御回路20に入力するモニタダイオードが設けられている。レーザパワー制御回路20は、入力されたモニタ信号、およびシステム制御部16から入力されているレーザパワーの目標値に基づいて、レーザダイオードから照射されるレーザパワーを制御する制御信号をレーザドライバ19に入力する。
【0031】
RFアンプ12は、光ピックアップ10で検出され、該光ピックアップ10から入力されたRF信号を増幅し、出力する。RF信号は、光ディスクDからの戻り光を受光した受光素子の出力であり、EFM(Eight to Fourteen Modulation)変調された信号である。RFアンプ12から出力された信号は、サーボ回路13、アドレス検出回路14、エンベロープ検出回路22、信号品位検出回路部24、及びデコーダ15に入力される。
【0032】
周波数発生器21は、スピンドルモータ11が出力した光ディスクの相対位置信号を検出して、光ディスクの回転角度や回転数を検出するための信号をサーボ回路13に入力する。サーボ回路13は、スピンドルモータ11の回転制御、光ピックアップ10のフォーカス制御、トラッキング制御、及び送り制御を行う。デコーダ15は、再生時、RFアンプ12から入力されたRF信号をEFM復調し、このEFM復調した信号から生成した再生データをデータ記憶回路25に入力する。また、記録時は、テスト記録(OPC)した領域(テスト領域)を再生する際に、RFアンプ12から入力されたRF信号をEFM復調し、EFM復調した信号についてC1エラー検出回路23でC1エラーを検出し、その検出結果をシステム制御部16に入力する。C1エラー検出回路23は、EFM復調された信号に対してCIRC(Cross Interleaved Read Solomon Code)と呼ばれる誤り訂正符号を用いたエラー訂正を行い、1サブコードフレーム(98EFMフレーム)の中で1回目のエラー訂正ができなかったフレームの個数を、C1エラーの個数(C1エラー値)として検出する。
【0033】
データ記憶回路25は、デコーダ15から入力された光ディスクDの再生データや、他の装置から入力されたデータなどを一時的に記憶するための回路である。光ディスクDに対してデータを記録するとき、データ記憶回路25には、該光ディスクDに記録するデータ(以下、記録データと言う。)が記憶されている。記録データは、順次エンコーダ17に入力される。一方、光ディスクDの再生時には、デコーダ15から入力された再生データが順次再生部(不図示)に送信される。再生部は、例えば送信されてきた再生データに基づく、音声、画像の出力や、プログラム処理を実行する。
【0034】
アドレス検出回路14は、RFアンプ12から入力されたEFM信号からウォブル信号成分を抽出し、このウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)やディスクの色素・合金などの光ディスクDの種類を示す情報を復号し、システム制御部16に入力する。
【0035】
信号品位検出回路部24は、光ディスクDのテスト領域を再生している時に、RFアンプ12から入力されたRF信号から再生信号品位に関するパラメータとしてβを算出する。βは、再生信号のアシンメトリと呼ばれることもある。βは、EFM変調された信号波形のピークレベルをa(符号は+)、ボトムレベルをb(符号は−)とすると、
β=(a+b)/(a−b)
により算出される値である。信号品位検出回路24は、算出したβをシステム制御部16に入力する。
【0036】
エンコーダ17は、データ記憶回路25から入力された記録データをEFM変調し、ストラテジ回路18に入力する。ストラテジ回路18は、エンコーダ17から入力されたEFM変調された信号に対して時間軸補正処理などを行い、処理した信号をレーザドライバ19に入力する。レーザドライバ19は、ストラテジ回路18から入力された信号、およびレーザパワー制御回路20から入力される制御信号に応じて光ピックアップ10のレーザダイオードを駆動する。レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のレーザダイオードから照射されるレーザパワーを制御する。具体的には、レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のモニタダイオードから入力されているモニタ信号により光ピックアップ10のレーザダイオードから照射されているレーザパワーを検出する。また、レーザパワー制御回路20には、レーザダイオードから照射するレーザパワーの目標値がシステム制御部16から入力されている。レーザパワー制御回路20は、レーザダイオードから照射されるレーザパワーがシステム制御部16から入力されている目標値になる制御信号をレーザドライバ19に入力する。
【0037】
エンベロープ検出回路22は、光ディスクDに対してテスト記録を行うときに、光ディスクDのテスト領域112aのどの部分からテスト記録を開始するかを検出するために、光ディスクDのカウント領域112bのEFM信号のエンベロープを検出する。光ディスクDのテスト領域112a、およびカウント領域112bについては後述する。
【0038】
記憶部26は、本体の動作制御に用いる各種のパラメータ等を記憶している。操作部27は、装置本体に対して入力操作を行う複数のキーを有している。表示部28は、装置本体の動作状態等を表示する。
【0039】
以上のように構成された光ディスク記録装置1は、パーソナルコンピュータでも実現可能である。具体的には、光ピックアップ10、スピンドルモータ11、及び周波数発生器21は、光ディスクドライブ装置で実現できる。また、RFアンプ12、サーボ回路13、アドレス検出回路14、デコーダ15、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19、レーザパワー制御回路20、エンベロープ検出回路22、C1エラー検出回路23、及び信号品位検出回路部24は、MPUや周辺回路(光ディスクドライブ装置の周辺回路も含む。)で実現できる。システム制御部16は、MPUで実現できる。データ記憶回路25、及び記憶部26は、メモリ、RAM、及びROMで実現できる。操作部27は、キーボードやマウスなどの入力デバイスで実現できる。表示部28は、モニタで実現できる。
【0040】
次に、光ディスクDの領域構成について簡単に説明しておく。図2は、光ディスクの領域構成を示す断面図である。光ディスクDの外径は120mmである。光ディスクDの中心から46〜50mmφの区間がリードイン領域114である。リードイン領域114の外周側には、データを記録するプログラム領域118及び残余領域120が設けられている。また、リードイン領域114の内周側には、内周側PCA112が設けられている。内周側PCA112には、テスト領域112aと、カウント領域112bと、がある。テスト領域112aは、テスト記録が実施される領域である。テスト領域112aは、複数回、テスト記録が行える大きさである。また、カウント領域112bは、テスト記録終了時にテスト領域112aのどの部分まで記録が終了しているかを示すEFM信号を記録する領域である。したがって、光ディスクDに対してテスト記録を行う際、カウント領域112bのEFM信号を読み取ることで、テスト領域112aのどの位置からテスト記録を開始すればよいかが、わかるようになっている。
【0041】
次に、この実施形態の光ディスク記録装置1におけるデータの記録動作について説明する。この実施形態の光ディスク記録装置1は、再生時に光ディスクDに記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながらデータを記録する。ここで言う読取条件とは、再生時における光ディスクDからの読取信号の状態の変化であって、例えば再生信号品位、再生線速度、データ密度等である。
【0042】
再生信号品位は、例えば記録時に光ディスクに照射するレーザ光のパワー(以下、レーザパワーと言う。)の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクに照射するレーザパワーにかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの再生信号品位を変化させることができる。
【0043】
また、再生線速度やデータ密度は、例えば記録時の光ディスクの回転速度や、光ディスクに対するデータの記録速度の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクの回転速度にかかる記録パラメータ、または光ディスクに対するデータの記録速度にかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの、再生線速度やデータ密度を変化させることができる。
【0044】
まず最初に、光ディスクDに記録したデータの再生信号品位を予め定められたパターンで変化させるデータの記録方法について説明する。図3は、光ディスク記録装置におけるデータ記録処理を示すフローチャートである。光ディスク記録装置1(システム制御部16)は、本体に光ディスクD(データを記録する光ディスクD)がセットされているかどうかを判断する(s1)。システム制御部16は、本体に光ディスクDがセットされていると判断すると、該光ディスクDの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s2)。
【0045】
s2では、システム制御部16がサーボ回路13、レーザパワー制御回路20にそれぞれ所定の信号を入力する。これらの信号により、光ピックアップ10のレーザダイオードから光ディスクDにレーザ光が照射され、その戻り光が光ピックアップ10の受光素子で受光され、電気信号に変換されてRFアンプ12に入力される。RFアンプ12で増幅された信号は、アドレス検出回路14に入力される。アドレス検出回路14は、入力された信号から、ウォブル信号成分を抽出し、このウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)やディスクの色素・合金などの光ディスクDの種類を示す情報を復号し、システム制御部16に入力する。システム制御部16は、これらの信号に基づいて光ディスクDの種類を判別する。
【0046】
システム制御部16は、光ディスクDのトラックに記録するデータについて、再生信号品位を変化させるパターン(以下、再生信号品位パターンと言う。)を記憶部26から読み出す(s3)。記憶部26には、予め再生信号品位パターンが記憶されている。この再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであってもよいし、操作部27においてユーザが自由に設定できるパターンであってもよい。ここでは、再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであるとして、以下説明する。
【0047】
再生信号品位パターンは、例えば図4(A)に示すようにステップ状に変化させたパターンであってもよいし、また図4(B)に示すように時間的に連続して変化させたパターンであってもよいし、さらには図4(C)に示すように上記2つのパターンを組み合わせたパターンであってもよい。時間的に連続して変化するパターンは、例えばsin関数、cos関数、n次関数で表すことができる。また、ステップ状に変化させるパターンは、トラックを分割した領域毎に再生信号品位のレベル(定量的なレベル)を設定して表すことができる。また、図5に示すように光ディスクDの領域を半径方向に5分割し、分割した各領域(領域A〜E)に再生信号品位のレベルを設定して表すこともできる。例えば、領域Aの再生信号品位のレベルa、領域Bの再生信号品位のレベルb、領域Cの再生信号品位のレベルc、領域Dの再生信号品位のレベルd、領域Eの再生信号品位のレベルeと設定してもよい。また、図5に示す分割した領域の1つ以上について再生信号品位のレベルを定量的な値に設定するのではなく、上記sin関数、cos関数、n次関数で設定すれば、図4(C)に示す、図4(A)、(B)を組み合わせた再生信号品位パターンが設定できる。
【0048】
なお、光ディスクDの領域の分割数については、図5に示す5分割に制限されることはなく、2分割以上であればよい。また、光ディスクDの領域の分割については、該光ディスクDの半径方向に制限されることもない。
【0049】
システム制御部16は先に判別した光ディスクDの種類に対する、複数の記録パラメータの関係を記憶部26から読み出す(s4)。s4では、記録時のアシンメトリ、ライトストラテジ、HF変調度、振幅など、複数の記録パラメータについて、その関係を読み出す。これらの記録パラメータは、それぞれ独立したものではなく、いずれかの記録パラメータの値を換えると、それに伴って他の記録パラメータの値も変化する関係にある。記憶部26には、光ディスクDの種類毎に実験などで得た複数の記録パラメータの関係が記憶されている。
【0050】
システム制御部16は、s4で得た記録パラメータの関係に基づいて、記録パラメータ毎にその値を設定する(s5)。但し、s5ではレーザパワーにかかるパラメータの値については設定しない。
【0051】
続いて、システム制御部16は、サーボ回路13、レーザパワー制御回路20、エンコーダ17にそれぞれ所定の信号を入力し、テスト記録(OPC)を行う(s6)。テスト記録では、レーザパワーを段階的に変化させて光ディスクDにデータを記録する。システム制御部16は、テスト記録が完了すると、該テスト記録でデータを記録したトラックを再生し、レーザパワーと再生信号品位(実際には上記βの)との関係を取得する(s7)。
【0052】
再生信号品位と上記βとの関係を図6(A)に示す。この図では、縦軸が再生信号品位(上にいくほど再生信号品位が悪い。)であり、横軸がβである。ここでは、β=0であるとき、再生信号品位が最良であるとして以下説明する。また、上記βと記録時のレーザパワーとの関係を図6(B)に示す。この図では縦軸がβであり、横軸がレーザパワーである。さらに、図6(C)にレーザパワーと再生信号品位との関係を示す。この図では、縦軸が再生信号品位であり、横軸がレーザパワーである。
【0053】
s6では、レーザパワーを、図7(A)に示すように段階的に上げていきながらディスクDにデータを記録する。図7(A)に示す横軸はデータが記録されたアドレス(時間軸)である。s7では、テスト記録した領域のデータについてβを検出する。システム制御部16は、テスト記録時におけるレーザパワーと、データの記録領域(アドレス)との関係を記憶している。システム制御部16は、テスト記録を行った領域を再生し、図7(B)に示す、レーザパワーとβの関係を取得する。
【0054】
システム制御部16は、s7で得た、レーザパワーとβとの関係から、再生信号品位が最良となるレーザパワーを算出する(s8)。s8では、β=0となるレーザパワーを算出する。次に、システム制御部16は、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位が、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンになる、記録時におけるレーザパワーの変化パターンを算出する(s9)。
【0055】
光ディスクDに記録されるデータの再生信号品位とレーザパワーとの関係は、図6(C)に示したように2次曲線で近似される。また、レーザパワーとβとの関係は直線で近似される。このため、レーザパワーを、図6(B)に示したaの領域で変化させても、bの領域で変化させても、a、b両方の領域で変化させても、再生信号品位については同じ範囲で変化する。
【0056】
なお、上記aの領域とbの領域における、レーザパワーの変化幅については同じ大きさである。
【0057】
しかし、システム制御部16におけるレーザパワーの制御面から見ると、どちらか一方の領域(aまたはbの領域)でレーザパワーを変化させるほうが制御が簡単である。また、レーザダイオードの寿命を考慮すれば、出力するレーザパワーを低く抑えたほうがよい。これらの理由から、ここでは図6(B)に示したaの領域でレーザパワーを変化させる構成とした。
【0058】
s9で算出されるレーザパワーの変化パターンは、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと相似するパターンを、縦軸方向に反転させたパターンである。例えば、図8(A)(B)(C)に示すパターンがそれぞれ図4(A)(B)(C)に示した再生信号品位の変化パターンに対するレーザパワーの変化パターンとして算出される。
【0059】
システム制御部16は、s9で算出したレーザパワーの変化パターンに基づいて、レーザパワーを制御しながら、データ記憶回路25に記憶されている記録データを光ディスクDに記録する(s10、s11)。s10では、データ記憶回路25に記憶されている記録データが、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19を介して光ピックアップ10からレーザ光として照射され、光ディスクDに記録される。このとき、システム制御部16は、s9で算出したレーザパワーの変化パターンに基づいてレーザパワーの目標値をレーザパワー制御回路20に入力する。これにより、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位パターンが、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンになる。
【0060】
システム制御部16は、光ディスクDに対するデータの記録が終了すると、表示部28にその旨を表示し(s12)、本処理を終了する。
【0061】
上述の処理により、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位は、予め定められたパターン(s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターン)で変化する。
【0062】
従来の光ディスク記録装置は、再生信号品位が略一定になるように、光ディスクDにデータを記録する。このため、予め定められたパターンで再生信号品位が変化するようにデータを記録した光ディスクD(マスタディスク)から記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータを記録(コピー)した別の光ディスク(コピーディスク)を作っても、該コピーディスクに記録されているデータの読取条件は略一定である。したがって、従来の光ディスク記録装置では、マスタディスクのように記録されているデータの再生信号品位が予め定められたパターンで変化するコピーディスクを作ることができない。光ディスクDは、記録されているデータの再生信号品位が予め定められたパターンで変化するかどうかにより真偽(データが不正にコピーされた光ディスクであるかどうか)を判別することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では光ディスクDへのデータの記録時に図6(B)に示したaの領域でレーザパワーを変化させるとしたが、上記のようにbの領域で変化させてもよい。この場合、上記s9で算出されるレーザパワーの変化パターンは、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと相似するパターンである(縦軸方向に反転させていないパターンである。)。
【0064】
また、上記図3では、光ディスクDの種類毎に実験などで得た複数の記録パラメータの関係を記憶部26に記憶しているとしたが、この関係を記憶部26に記憶しておかずに、テスト記録で取得するように構成してもよい。図9は、複数の記録パラメータの関係をテスト記録で取得する光ディスク記録装置におけるデータの記録処理を示すフローチャートである。
【0065】
なお、図9では、図3に示した処理と同じ処理に、同じステップ番号(s**)を付している。
【0066】
システム制御部16は、本体に光ディスクD(データを記録する光ディスクD)がセットされていると、セットされている光ディスクDの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s1、s2)。次に、システム制御部16は、s21でテスト記録を行う。s21で行うテスト記録は、上記s6で説明したテスト記録と少し異なる動作である。具体的には、記録時のアシンメトリ、ライトストラテジ、HF変調度、振幅等、複数の記録パラメータと、再生信号品位と、の関係を取得するために、これらの記録パラメータも変化させてテスト記録を行う。
【0067】
なお、複数の記録パラメータを同時に変化させるのではなく、1つの記録パラメータを変化させたテスト記録を行い、必要であれば別のパラメータを変化させたテスト記録を行う。また、レーザパワーについては、上記s6と同様に段階的に変化させたテスト記録を行う。
【0068】
システム制御部16は、s21にかかるテスト記録を完了すると、テスト記録を行った領域を再生し、再生信号品位と、複数の記録パラメータとの関係を取得する(s22)。システム制御部16は、s22でレーザパワーとβとの関係も取得する。その後、s3で記憶部26に記憶している再生信号品位パターンを読み出し、s22で算出した関係に基づいて装置記録パラメータを設定する(s23)。s23では、再生信号品位が最良となるレーザパワーの算出も行っている。システム制御部16は、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンに対する、レーザパワーの変化パターンを算出し(s9)、s10〜s12の処理を実行する。
【0069】
このようにして、光ディスクDにデータを記録しても、該光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位を予め定められたパターン(s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターン)で変化させることができる。
【0070】
さらに、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンを光ディスクDに記録してもよい。この場合、図10に示すようにs9とs10との間に、s25を設け、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンを光ディスクDの所定の記録領域に記録すればよい。
【0071】
このように、光ディスクDに該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンを記録すれば、光ディスクD毎に記録されているデータの再生信号品位パターンを設定することができる。上記実施形態の説明では、記憶部26に記憶されている再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであるとしたが、s25を設けることにより操作部27においてユーザが自由に設定できるようになる。
【0072】
次に、上記光ディスクDを再生する光ディスク再生装置について説明する。図11は、この実施形態の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。この実施形態の光ディスク再生装置2は、ゲーム機等の特定の装置である。
【0073】
なお、図10では図1と同じ構成については同じ符号を付している。
【0074】
この実施形態の光ディスク再生装置2は、上記図1に示した光ディスク記録装置1から、エンコーダ17、およびストラテジ回路18を除いた構成である。
【0075】
以下、この実施形態の光ディスク再生装置2の動作について説明する。
【0076】
まず、最初に図3、または図9の処理によりデータが記録された光ディスクDを再生する実施形態について説明する。図12は、この実施形態の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
光ディスク再生装置2は、本体に光ディスクDがセットされると(s51)、システム制御部16がセットされた記録用光ディスクの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s52)。s51、およびs52の処理は、上記光ディスク記録装置1で説明したs1、およびs2と同じ処理である。光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDに記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータについて再生信号品位パターンを測定する(s53)。
【0078】
また、光ディスク再生装置2は、予め設定されている再生信号品位パターンを記憶部26から読み出す(s54)。記憶部26には、光ディスク再生装置2で使用される光ディスクDについて、該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンが記憶されている。光ディスク再生装置2は、s53で測定した再生信号品位パターンと、s54で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する(s55)。
【0079】
本体にセットされている光ディスクDがコピーディスクである場合、記録されているデータの再生信号品位パターンは略一定である。s53で測定した再生信号品位パターンが、記憶部26に記憶している再生信号品位パターンで変化しているかどうかにより、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを正確に判別することができる。
【0080】
光ディスク再生装置2は、s55でマスタディスクであると判別すると、該光ディスクDに記録されているデータの再生を開始する(s56)。s56では、光ピックアップ10読み取られたデータが、RFアンプ12、デコーダ15を介してデータ記憶回路25に入力される。再生されたデータ(再生データ)は、データ記憶回路25に一時的に記憶され、該データ記憶回路25から順次出力される。光ディスク再生装置2は、該光ディスクDに記録されているデータの再生が終了すると(s57)、再生動作を停止する(s58)。反対に、s55でコピーディスクであると判別すると、該光ディスクに記録されているデータの再生を開始することなく、本体から光ディスク(コピーディスク)を放出し(s59)、本処理を終了する。
【0081】
なお、s59では本体にセットされている光ディスクがコピーディスクである旨を表示部28に表示し、ユーザに警告してもよい。
【0082】
このように、この実施形態の光ディスク再生装置2では、本体にセットされている光ディスクDが、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別し、コピーディスクであると判別したときに記録されているデータの再生を制限することができる。これにより、光ディスクD(マスタディスク)に記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0083】
なお、上記のように、記録されているデータの再生信号品位を予め定められているパターンで変化させたコピーディスクを作ることは殆ど不可能である。したがって、光ディスク再生装置2で使用可能なコピーディスクが作られるという可能性も極めて低い。
【0084】
次に、図10の処理によりデータが記録された光ディスクDを再生する実施形態について説明する。図13は、この実施形態の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【0085】
なお、図13では図12で説明した処理と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。
【0086】
この実施形態の光ディスク再生装置2は、光ディスク再生装置2は、本体に光ディスクDがセットされると(s51)、システム制御部16がセットされた記録用光ディスクの種類を判別するために、サーボの自動調整を行い(s52)、光ディスクDの所定の領域に記録されている再生信号品位パターンを読み出す(s61)。また、光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDに記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータについて再生信号品位のパターンを測定する(s53)。
【0087】
光ディスク再生装置2は、s61で光ディスクDの所定の領域から読み出した再生信号品位のパターンと、s53で測定した再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する(s55)。
【0088】
本体にセットされている光ディスクDがコピーディスクである場合、記録されているデータの再生信号品位は略一定である。したがって、s53で測定した再生信号品位のパターンが、光ディスクDの所定の領域から読み取った再生信号品位パターンで変化しているかどうかにより、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別し、s56〜s59の処理を実行する。
【0089】
このように、この実施形態の光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDの所定領域に記録されている再生信号品位パターンと、該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する。これにより、再生信号品位パターンを光ディスクD毎に設定することができる。
【0090】
また、上記実施形態の光ディスク記録装置1では、図6(B)に示したa、またはbの一方の領域でレーザパワーを変化させて、光ディスクDにデータを記録するとしたが、a、およびbの両方の領域を用いて光ディスクDにデータを記録してもよい。一般に、記録されているデータのβが大きい場所ほど、色が濃くなる。このことから、図6(B)に示したa、およびbの両方の領域でレーザパワーを制御して光ディスクDにデータを記録すると、記録されているデータの再生信号品位を換えながら、図14に示すように光ディスクDのデータの記録面に画像を描くことができ、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかの判断が視覚的に行える。
【0091】
なお、図6(B)に示したa、またはbの一方の領域でレーザパワーを制御して光ディスクDにデータを記録しても、光ディスクDのデータの記録面に画像を描くことはできるが、この場合にはコントラストが低い画像になる。
【0092】
また、上記実施形態では、再生信号品位を予め定められたパターンで変化させるとしたが、再生線速度(規格では1.2〜1.4m/s)を変化させるようにしてもよい。再生線速度は、光ディスクDのトラックにおけるデータの記録密度に応じて変化する読取条件である。
【0093】
光ディスクDに記録されているデータの再生線速度を予め設定されているパターンで変化させる場合、図15に示すように、図3に示したs9、s10の処理に換えて、s31で光ディスクDに記録されたデータの再生線速度が、s30で記憶部26から読み出した再生線速度のパターンになる、記録時における光ディスクDの回転速度の変化パターンを算出し、ここで算出した光ディスクDの回転速度の変化パターンに基づいて、s32で該光ディスクDの回転速度を制御しながら、データの記録を行えばよい。但し、データの記録速度については一定である。
【0094】
記録時における光ディスクDの回転速度を速めると、データの記録密度は小さくなる。このため、再生線速度は遅くなる。
【0095】
なお、この場合光ディスクDの回転速度をステップ状に変化させることは困難であることから、時間的に連続した変化パターンとするのが好ましい。
【0096】
また、図15に示したs31、s32の処理に換えて、s35で光ディスクDに記録されたデータの再生線速度が、s30で記憶部26から読み出した再生線速度のパターンになる、記録時における光ディスクDに対するデータの記録速度の変化パターンを算出し、ここで算出したる光ディスクDに対するデータの記録速度の変化パターンに基づいて、s36で光ディスクDに対するデータの記録速度を制御しながら、データの記録を行ってもよい(図16参照)。データの記録速度は、エンコーダ17の処理速度、および光ピックアップ10のレーザダイオードからのレーザ光の照射間隔により制御できる。
【0097】
どちらの場合も、光ディスクDに記録されたデータの再生線速度を予め定められたパターンで変化させることができる。
【0098】
また、光ディスク再生装置2は、光ディスクDに記録されているデータの再生線速度の変化(データ密度の変化)から、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判断するように構成すればよい。
【0099】
なお、上記実施形態の説明には、以下に示す(1)〜(4)の発明も含まれている。
【0100】
(1)上記記録パラメータを時間的に連続して変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0101】
(2)上記トラックを分割した記録領域毎に上記記録パラメータを変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0102】
(3)上記トラックを分割した記録領域の少なくとも1つにおいては、上記記録パラメータを時間的に連続して変化させる上記(2)に記載の光ディスク記録方法。
【0103】
(4)上記読取条件の変化のパターンを上記光ディスクの所定の領域に記録する請求項1〜5、および上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、データの読取条件が所定のパターンで変化するように、光ディスクにデータを記録したので、従来普及している光ディスク記録装置でコピーディスクを作ることが殆ど不可能となり、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0105】
また、本体にセットされた光ディスクに記録されているデータの読取条件が予め設定されているパターンで変化するかどうかにより、該光ディスクの真偽を判別することができ、コピーディスクの不正使用が防止できる。これにより、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である光ディスク記録装置の構成を示す図である。
【図2】光ディスクの記録領域を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】光ディスクに記録されるデータの再生信号品位の変化パターンを説明する図である。
【図5】光ディスクに記録されるデータの再生信号品位の変化パターンを説明する図である。
【図6】再生信号品位、β、記録時のレーザパワーの関係を示す図である。
【図7】この発明の実施形態である光ディスク記録装置におけるテスト記録を説明する図である。
【図8】データの記録時におけるレーザパワーの変化パターンを示す図である。
【図9】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である光ディスク再生装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施形態である光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施形態である別の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】光ディスク装置を示す図である。
【図15】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−光ディスク記録装置
2−光ディスク再生装置
16−システム制御部
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法、光ディスクに記録されているデータを判別する光ディスク判別方法、この光ディスク記録方法を適用した光ディスク記録装置、およびこの光ディスク判別方法を適用した光ディスク再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオデータ、コンピュータ用データ、静止画や動画などの画像データなど様々なデータの記録媒体として、CDやDVD等の光ディスクが利用されている。また、上記光ディスクに記録されているデータを読み取り、再生する光ディスク再生装置や、1度だけデータの書き込みが行える追記型光ディスク(CD−R、DVD−Rなど)、何度も繰り返しデータの書き換えが行える書換型光ディスク(CD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなど)にデータを記録する光ディスク記録装置が普及している。
【0003】
ところで、著作権で保護されたデータ(オーディオデータ、コンピュータ用データ、静止画や動画などの画像データ)を記録した光ディスクが従来より流通している。これらの光ディスク(マスタディスク)に記録されているデータ(著作権で保護されたデータ)を、上記光ディスク記録装置で別の光ディスクにコピーし、該データをコピーした光ディスク(コピーディスク)を他人に譲渡したり、販売することは違法行為である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記違法行為の取り締まり、特に友人、知人間におけるコピーディスクの譲渡の取り締まり、が現実的に困難であることから、違法行為であることを知っているにもかかわらず、コピーディスクを友人や知人に譲渡したり、販売する者が絶えず、光ディスクに記録されているデータのセキュリティが低いという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させた光ディスク記録方法、光ディスク判別方法、光ディスク記録装置、および光ディスク再生装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の光ディスク記録方法は、上記の課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0007】
(1)光ディスクに形成されているトラックにレーザ光を照射して、該光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法において、
上記トラックに記録されたデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する。
【0008】
この構成では、トラックに記録されたデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら光ディスクのトラックにデータを記録する。
【0009】
ここで言う読取条件とは、再生時における光ディスクからの読取信号の状態の変化であって、例えば再生信号品位、再生線速度、データ密度等である。再生信号品位は、例えば記録時に光ディスクに照射するレーザ光のパワー(以下、レーザパワーと言う。)の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクに照射するレーザパワーにかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの再生信号品位を変化させることができる。
【0010】
また、再生線速度やデータ密度は、例えば記録時の光ディスクの回転速度や、光ディスクに対するデータの記録速度の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクの回転速度にかかる記録パラメータ、または光ディスクに対するデータの記録速度にかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの、再生線速度やデータ密度を変化させることができる。
【0011】
すでに普及している従来の光ディスク記録装置は、読取条件が略一定になるように光ディスクにデータを記録する。このため、従来の光ディスク記録装置では、上記方法により予め定められたパターンで読取条件が変化するようにデータを記録した光ディスク(マスタディスク)から記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータを記録(コピー)した別の光ディスク(コピーディスク)を作っても、該コピーディスクに記録されているデータの読取条件は略一定になる。したがって、従来の光ディスク記録装置では、マスタディスクのように記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するコピーディスクを作ることができない。
【0012】
ここで、マスタディスクがゲーム機等、特定の装置で使用される光ディスクである場合について説明する。記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化する光ディスクであるかどうかを判別する機能を該特定の装置に設けると、該特定の装置におけるコピーディスクの使用を制限することができる。これにより、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0013】
また、上記読取条件が変化するパターンは、時間的に連続して変化するパターン、例えば読取条件をsin波やcos波の形状で変化させるパターンや、n次関数(nは1以上)で変化させるパターン、であってもよいし、ステップ状に変化させるパターンであってもよいし、これらのパターンを組み合わせたパターンであってもよい。読取条件を時間的に連続して変化させるパターンは、記録パラメータを時間的に連続して変化させながら光ディスクにデータを記録すればよい。また、読取条件をステップ状に変化させるパターンは、トラックを分割した記録領域毎に記録パラメータを変化させながら光ディスクにデータを記録すればよい。
【0014】
(2)上記読取条件の変化パターンを上記光ディスクの所定の領域に記録する。
【0015】
この構成では、読取条件の変化パターン(以下、単に変化パターンと言う。)が、光ディスクの所定の領域に記録される。
【0016】
ここで、マスタディスクがゲーム機等、特定の装置で使用される光ディスクである場合、光ディスクに記録されているデータの読取条件が、該光ディスクに記録されているパターンで変化する光ディスクであるかどうかを判別する機能を、該特定の装置に設ければ、該特定の装置におけるコピーディスクの使用を制限することができる。これにより、上記(1)で説明したように、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0017】
また、光ディスクに該光ディスクに記録されているデータの読取条件が変化するパターンを記録することにより、光ディスク毎に記録されているデータの読取条件の変化パターンを異ならせることもでき、セキュリティの一層の向上が図れる。
【0018】
また、この発明の光ディスク判別方法は、上記課題を解決するために以下の構成を備えている。この光ディスクの判別方法は、上記ゲーム機等の特定の装置に適用される。
【0019】
なお、読取条件の変化パターンと相関がある、記録パラメータの変化パターンを光ディスクに記録してもよい。記録パラメータの変化パターンを用いて、読み取り条件の変化パターンを算出することができる。
【0020】
(1)光ディスクに記録されているデータについて読取条件の変化パターンを取得する第1のステップと、
上記第1のステップで取得した読取条件の変化パターンと、上記光ディスクに対して予め定められている読取条件の変化パターンとを比較し、その比較結果に基づいて上記光ディスクの真偽を判別する第2のステップと、を備えている。
【0021】
この構成では、第1のステップが光ディスクに記録されているデータの読取条件の変化パターンを取得する。例えば、光ディスクに記録されているデータを実際に読み取り、該読み取ったデータから読取条件の変化パターンを取得する
また、第2のステップが、第1のステップで取得した読取条件の変化パターンと、該光ディスクについて予め設定されている読取条件の変化パターンと、を比較した比較結果に基づいて光ディスクの真偽を判別する。光ディスクについて予め定められている読取条件の変化パターンは、装置本体に記憶させておいてもよいし、また光ディスクに読取条件の変化パターンを記録しておいてもよいし、さらに光ディスクに記録パラメータの変化パターンを記録しておいてもよい。
【0022】
上記のように、従来の光ディスク記録装置で作られたコピーディスクにおけるデータの読取条件は、略一定であるので、上記第2のステップで、光ディスクの真偽(マスタディスクであるか、コピーディスクであるか)を正確に判別することができる。
【0023】
(2)上記第2のステップが上記光ディスクを偽造された光ディスクであると判別した場合に、該光ディスクに記録されているデータの読取を制限する。
【0024】
この構成では、光ディスクをコピーディスクであると判別した場合、該光ディスクに対するデータの読み取りが制限される。
【0025】
また、読み取りの制限に換えて、光ディスクから読み取ったデータの再生(デコード)禁止、光ディスクから読み取りデコードしたデータの出力禁止等、の制限を行うようにしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態である光ディスク記録装置について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態である光ディスク記録装置の構成を示す図である。光ディスク記録装置1は、光ピックアップ10、スピンドルモータ11、RFアンプ12、サーボ回路13、アドレス検出回路14、デコーダ15、システム制御部16、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19、レーザパワー制御回路20、周波数発生器21、エンベロープ検出回路22、C1エラー検出回路23、信号品位検出回路部24、データ記憶回路25、記憶部26、操作部27、および表示部28を備えている。
【0028】
なお、C1エラー検出回路23は、デコーダ15に設けられている。
【0029】
システム制御部16は、CPU、ROM、及びRAM等から構成されており、ROMに格納されたプログラムに従って光ディスク記録装置1の各部を制御する。光ピックアップ10は、光ディスクDにレーザ光を照射するレーザダイオード、レンズ、ミラーなどの光学系、光ディスクDからの戻り光(反射光)を検出する受光素子、光ディスクDに対してレーザ光の焦点を合わせるフォーカスサーボ機構、光ディスクDに形成されているトラックに対してレーザ光の照射位置を合わせるトラッキングサーボ機構を有している。スピンドルモータ11は、データを記録する光ディスクDを回転駆動するモータである。また、スピンドルモータ11の回転軸先端部には、光ディスクDを保持するチャッキング機構が設けられている。
【0030】
また、光ピックアップ10には、光ディスクDからの戻り光を検出し、検出した戻り光に応じた信号(以下、モニタ信号と言う。)をレーザパワー制御回路20に入力するモニタダイオードが設けられている。レーザパワー制御回路20は、入力されたモニタ信号、およびシステム制御部16から入力されているレーザパワーの目標値に基づいて、レーザダイオードから照射されるレーザパワーを制御する制御信号をレーザドライバ19に入力する。
【0031】
RFアンプ12は、光ピックアップ10で検出され、該光ピックアップ10から入力されたRF信号を増幅し、出力する。RF信号は、光ディスクDからの戻り光を受光した受光素子の出力であり、EFM(Eight to Fourteen Modulation)変調された信号である。RFアンプ12から出力された信号は、サーボ回路13、アドレス検出回路14、エンベロープ検出回路22、信号品位検出回路部24、及びデコーダ15に入力される。
【0032】
周波数発生器21は、スピンドルモータ11が出力した光ディスクの相対位置信号を検出して、光ディスクの回転角度や回転数を検出するための信号をサーボ回路13に入力する。サーボ回路13は、スピンドルモータ11の回転制御、光ピックアップ10のフォーカス制御、トラッキング制御、及び送り制御を行う。デコーダ15は、再生時、RFアンプ12から入力されたRF信号をEFM復調し、このEFM復調した信号から生成した再生データをデータ記憶回路25に入力する。また、記録時は、テスト記録(OPC)した領域(テスト領域)を再生する際に、RFアンプ12から入力されたRF信号をEFM復調し、EFM復調した信号についてC1エラー検出回路23でC1エラーを検出し、その検出結果をシステム制御部16に入力する。C1エラー検出回路23は、EFM復調された信号に対してCIRC(Cross Interleaved Read Solomon Code)と呼ばれる誤り訂正符号を用いたエラー訂正を行い、1サブコードフレーム(98EFMフレーム)の中で1回目のエラー訂正ができなかったフレームの個数を、C1エラーの個数(C1エラー値)として検出する。
【0033】
データ記憶回路25は、デコーダ15から入力された光ディスクDの再生データや、他の装置から入力されたデータなどを一時的に記憶するための回路である。光ディスクDに対してデータを記録するとき、データ記憶回路25には、該光ディスクDに記録するデータ(以下、記録データと言う。)が記憶されている。記録データは、順次エンコーダ17に入力される。一方、光ディスクDの再生時には、デコーダ15から入力された再生データが順次再生部(不図示)に送信される。再生部は、例えば送信されてきた再生データに基づく、音声、画像の出力や、プログラム処理を実行する。
【0034】
アドレス検出回路14は、RFアンプ12から入力されたEFM信号からウォブル信号成分を抽出し、このウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)やディスクの色素・合金などの光ディスクDの種類を示す情報を復号し、システム制御部16に入力する。
【0035】
信号品位検出回路部24は、光ディスクDのテスト領域を再生している時に、RFアンプ12から入力されたRF信号から再生信号品位に関するパラメータとしてβを算出する。βは、再生信号のアシンメトリと呼ばれることもある。βは、EFM変調された信号波形のピークレベルをa(符号は+)、ボトムレベルをb(符号は−)とすると、
β=(a+b)/(a−b)
により算出される値である。信号品位検出回路24は、算出したβをシステム制御部16に入力する。
【0036】
エンコーダ17は、データ記憶回路25から入力された記録データをEFM変調し、ストラテジ回路18に入力する。ストラテジ回路18は、エンコーダ17から入力されたEFM変調された信号に対して時間軸補正処理などを行い、処理した信号をレーザドライバ19に入力する。レーザドライバ19は、ストラテジ回路18から入力された信号、およびレーザパワー制御回路20から入力される制御信号に応じて光ピックアップ10のレーザダイオードを駆動する。レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のレーザダイオードから照射されるレーザパワーを制御する。具体的には、レーザパワー制御回路20は、光ピックアップ10のモニタダイオードから入力されているモニタ信号により光ピックアップ10のレーザダイオードから照射されているレーザパワーを検出する。また、レーザパワー制御回路20には、レーザダイオードから照射するレーザパワーの目標値がシステム制御部16から入力されている。レーザパワー制御回路20は、レーザダイオードから照射されるレーザパワーがシステム制御部16から入力されている目標値になる制御信号をレーザドライバ19に入力する。
【0037】
エンベロープ検出回路22は、光ディスクDに対してテスト記録を行うときに、光ディスクDのテスト領域112aのどの部分からテスト記録を開始するかを検出するために、光ディスクDのカウント領域112bのEFM信号のエンベロープを検出する。光ディスクDのテスト領域112a、およびカウント領域112bについては後述する。
【0038】
記憶部26は、本体の動作制御に用いる各種のパラメータ等を記憶している。操作部27は、装置本体に対して入力操作を行う複数のキーを有している。表示部28は、装置本体の動作状態等を表示する。
【0039】
以上のように構成された光ディスク記録装置1は、パーソナルコンピュータでも実現可能である。具体的には、光ピックアップ10、スピンドルモータ11、及び周波数発生器21は、光ディスクドライブ装置で実現できる。また、RFアンプ12、サーボ回路13、アドレス検出回路14、デコーダ15、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19、レーザパワー制御回路20、エンベロープ検出回路22、C1エラー検出回路23、及び信号品位検出回路部24は、MPUや周辺回路(光ディスクドライブ装置の周辺回路も含む。)で実現できる。システム制御部16は、MPUで実現できる。データ記憶回路25、及び記憶部26は、メモリ、RAM、及びROMで実現できる。操作部27は、キーボードやマウスなどの入力デバイスで実現できる。表示部28は、モニタで実現できる。
【0040】
次に、光ディスクDの領域構成について簡単に説明しておく。図2は、光ディスクの領域構成を示す断面図である。光ディスクDの外径は120mmである。光ディスクDの中心から46〜50mmφの区間がリードイン領域114である。リードイン領域114の外周側には、データを記録するプログラム領域118及び残余領域120が設けられている。また、リードイン領域114の内周側には、内周側PCA112が設けられている。内周側PCA112には、テスト領域112aと、カウント領域112bと、がある。テスト領域112aは、テスト記録が実施される領域である。テスト領域112aは、複数回、テスト記録が行える大きさである。また、カウント領域112bは、テスト記録終了時にテスト領域112aのどの部分まで記録が終了しているかを示すEFM信号を記録する領域である。したがって、光ディスクDに対してテスト記録を行う際、カウント領域112bのEFM信号を読み取ることで、テスト領域112aのどの位置からテスト記録を開始すればよいかが、わかるようになっている。
【0041】
次に、この実施形態の光ディスク記録装置1におけるデータの記録動作について説明する。この実施形態の光ディスク記録装置1は、再生時に光ディスクDに記録されているデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながらデータを記録する。ここで言う読取条件とは、再生時における光ディスクDからの読取信号の状態の変化であって、例えば再生信号品位、再生線速度、データ密度等である。
【0042】
再生信号品位は、例えば記録時に光ディスクに照射するレーザ光のパワー(以下、レーザパワーと言う。)の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクに照射するレーザパワーにかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの再生信号品位を変化させることができる。
【0043】
また、再生線速度やデータ密度は、例えば記録時の光ディスクの回転速度や、光ディスクに対するデータの記録速度の変化にともなって変化する。このため、データの記録時に光ディスクの回転速度にかかる記録パラメータ、または光ディスクに対するデータの記録速度にかかる記録パラメータを制御することにより、該光ディスクに記録されたデータの、再生線速度やデータ密度を変化させることができる。
【0044】
まず最初に、光ディスクDに記録したデータの再生信号品位を予め定められたパターンで変化させるデータの記録方法について説明する。図3は、光ディスク記録装置におけるデータ記録処理を示すフローチャートである。光ディスク記録装置1(システム制御部16)は、本体に光ディスクD(データを記録する光ディスクD)がセットされているかどうかを判断する(s1)。システム制御部16は、本体に光ディスクDがセットされていると判断すると、該光ディスクDの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s2)。
【0045】
s2では、システム制御部16がサーボ回路13、レーザパワー制御回路20にそれぞれ所定の信号を入力する。これらの信号により、光ピックアップ10のレーザダイオードから光ディスクDにレーザ光が照射され、その戻り光が光ピックアップ10の受光素子で受光され、電気信号に変換されてRFアンプ12に入力される。RFアンプ12で増幅された信号は、アドレス検出回路14に入力される。アドレス検出回路14は、入力された信号から、ウォブル信号成分を抽出し、このウォブル信号成分に含まれる各位置の時間情報(アドレス情報)、及び光ディスクDを識別する識別情報(ディスクID)やディスクの色素・合金などの光ディスクDの種類を示す情報を復号し、システム制御部16に入力する。システム制御部16は、これらの信号に基づいて光ディスクDの種類を判別する。
【0046】
システム制御部16は、光ディスクDのトラックに記録するデータについて、再生信号品位を変化させるパターン(以下、再生信号品位パターンと言う。)を記憶部26から読み出す(s3)。記憶部26には、予め再生信号品位パターンが記憶されている。この再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであってもよいし、操作部27においてユーザが自由に設定できるパターンであってもよい。ここでは、再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであるとして、以下説明する。
【0047】
再生信号品位パターンは、例えば図4(A)に示すようにステップ状に変化させたパターンであってもよいし、また図4(B)に示すように時間的に連続して変化させたパターンであってもよいし、さらには図4(C)に示すように上記2つのパターンを組み合わせたパターンであってもよい。時間的に連続して変化するパターンは、例えばsin関数、cos関数、n次関数で表すことができる。また、ステップ状に変化させるパターンは、トラックを分割した領域毎に再生信号品位のレベル(定量的なレベル)を設定して表すことができる。また、図5に示すように光ディスクDの領域を半径方向に5分割し、分割した各領域(領域A〜E)に再生信号品位のレベルを設定して表すこともできる。例えば、領域Aの再生信号品位のレベルa、領域Bの再生信号品位のレベルb、領域Cの再生信号品位のレベルc、領域Dの再生信号品位のレベルd、領域Eの再生信号品位のレベルeと設定してもよい。また、図5に示す分割した領域の1つ以上について再生信号品位のレベルを定量的な値に設定するのではなく、上記sin関数、cos関数、n次関数で設定すれば、図4(C)に示す、図4(A)、(B)を組み合わせた再生信号品位パターンが設定できる。
【0048】
なお、光ディスクDの領域の分割数については、図5に示す5分割に制限されることはなく、2分割以上であればよい。また、光ディスクDの領域の分割については、該光ディスクDの半径方向に制限されることもない。
【0049】
システム制御部16は先に判別した光ディスクDの種類に対する、複数の記録パラメータの関係を記憶部26から読み出す(s4)。s4では、記録時のアシンメトリ、ライトストラテジ、HF変調度、振幅など、複数の記録パラメータについて、その関係を読み出す。これらの記録パラメータは、それぞれ独立したものではなく、いずれかの記録パラメータの値を換えると、それに伴って他の記録パラメータの値も変化する関係にある。記憶部26には、光ディスクDの種類毎に実験などで得た複数の記録パラメータの関係が記憶されている。
【0050】
システム制御部16は、s4で得た記録パラメータの関係に基づいて、記録パラメータ毎にその値を設定する(s5)。但し、s5ではレーザパワーにかかるパラメータの値については設定しない。
【0051】
続いて、システム制御部16は、サーボ回路13、レーザパワー制御回路20、エンコーダ17にそれぞれ所定の信号を入力し、テスト記録(OPC)を行う(s6)。テスト記録では、レーザパワーを段階的に変化させて光ディスクDにデータを記録する。システム制御部16は、テスト記録が完了すると、該テスト記録でデータを記録したトラックを再生し、レーザパワーと再生信号品位(実際には上記βの)との関係を取得する(s7)。
【0052】
再生信号品位と上記βとの関係を図6(A)に示す。この図では、縦軸が再生信号品位(上にいくほど再生信号品位が悪い。)であり、横軸がβである。ここでは、β=0であるとき、再生信号品位が最良であるとして以下説明する。また、上記βと記録時のレーザパワーとの関係を図6(B)に示す。この図では縦軸がβであり、横軸がレーザパワーである。さらに、図6(C)にレーザパワーと再生信号品位との関係を示す。この図では、縦軸が再生信号品位であり、横軸がレーザパワーである。
【0053】
s6では、レーザパワーを、図7(A)に示すように段階的に上げていきながらディスクDにデータを記録する。図7(A)に示す横軸はデータが記録されたアドレス(時間軸)である。s7では、テスト記録した領域のデータについてβを検出する。システム制御部16は、テスト記録時におけるレーザパワーと、データの記録領域(アドレス)との関係を記憶している。システム制御部16は、テスト記録を行った領域を再生し、図7(B)に示す、レーザパワーとβの関係を取得する。
【0054】
システム制御部16は、s7で得た、レーザパワーとβとの関係から、再生信号品位が最良となるレーザパワーを算出する(s8)。s8では、β=0となるレーザパワーを算出する。次に、システム制御部16は、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位が、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンになる、記録時におけるレーザパワーの変化パターンを算出する(s9)。
【0055】
光ディスクDに記録されるデータの再生信号品位とレーザパワーとの関係は、図6(C)に示したように2次曲線で近似される。また、レーザパワーとβとの関係は直線で近似される。このため、レーザパワーを、図6(B)に示したaの領域で変化させても、bの領域で変化させても、a、b両方の領域で変化させても、再生信号品位については同じ範囲で変化する。
【0056】
なお、上記aの領域とbの領域における、レーザパワーの変化幅については同じ大きさである。
【0057】
しかし、システム制御部16におけるレーザパワーの制御面から見ると、どちらか一方の領域(aまたはbの領域)でレーザパワーを変化させるほうが制御が簡単である。また、レーザダイオードの寿命を考慮すれば、出力するレーザパワーを低く抑えたほうがよい。これらの理由から、ここでは図6(B)に示したaの領域でレーザパワーを変化させる構成とした。
【0058】
s9で算出されるレーザパワーの変化パターンは、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと相似するパターンを、縦軸方向に反転させたパターンである。例えば、図8(A)(B)(C)に示すパターンがそれぞれ図4(A)(B)(C)に示した再生信号品位の変化パターンに対するレーザパワーの変化パターンとして算出される。
【0059】
システム制御部16は、s9で算出したレーザパワーの変化パターンに基づいて、レーザパワーを制御しながら、データ記憶回路25に記憶されている記録データを光ディスクDに記録する(s10、s11)。s10では、データ記憶回路25に記憶されている記録データが、エンコーダ17、ストラテジ回路18、レーザドライバ19を介して光ピックアップ10からレーザ光として照射され、光ディスクDに記録される。このとき、システム制御部16は、s9で算出したレーザパワーの変化パターンに基づいてレーザパワーの目標値をレーザパワー制御回路20に入力する。これにより、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位パターンが、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンになる。
【0060】
システム制御部16は、光ディスクDに対するデータの記録が終了すると、表示部28にその旨を表示し(s12)、本処理を終了する。
【0061】
上述の処理により、光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位は、予め定められたパターン(s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターン)で変化する。
【0062】
従来の光ディスク記録装置は、再生信号品位が略一定になるように、光ディスクDにデータを記録する。このため、予め定められたパターンで再生信号品位が変化するようにデータを記録した光ディスクD(マスタディスク)から記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータを記録(コピー)した別の光ディスク(コピーディスク)を作っても、該コピーディスクに記録されているデータの読取条件は略一定である。したがって、従来の光ディスク記録装置では、マスタディスクのように記録されているデータの再生信号品位が予め定められたパターンで変化するコピーディスクを作ることができない。光ディスクDは、記録されているデータの再生信号品位が予め定められたパターンで変化するかどうかにより真偽(データが不正にコピーされた光ディスクであるかどうか)を判別することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では光ディスクDへのデータの記録時に図6(B)に示したaの領域でレーザパワーを変化させるとしたが、上記のようにbの領域で変化させてもよい。この場合、上記s9で算出されるレーザパワーの変化パターンは、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと相似するパターンである(縦軸方向に反転させていないパターンである。)。
【0064】
また、上記図3では、光ディスクDの種類毎に実験などで得た複数の記録パラメータの関係を記憶部26に記憶しているとしたが、この関係を記憶部26に記憶しておかずに、テスト記録で取得するように構成してもよい。図9は、複数の記録パラメータの関係をテスト記録で取得する光ディスク記録装置におけるデータの記録処理を示すフローチャートである。
【0065】
なお、図9では、図3に示した処理と同じ処理に、同じステップ番号(s**)を付している。
【0066】
システム制御部16は、本体に光ディスクD(データを記録する光ディスクD)がセットされていると、セットされている光ディスクDの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s1、s2)。次に、システム制御部16は、s21でテスト記録を行う。s21で行うテスト記録は、上記s6で説明したテスト記録と少し異なる動作である。具体的には、記録時のアシンメトリ、ライトストラテジ、HF変調度、振幅等、複数の記録パラメータと、再生信号品位と、の関係を取得するために、これらの記録パラメータも変化させてテスト記録を行う。
【0067】
なお、複数の記録パラメータを同時に変化させるのではなく、1つの記録パラメータを変化させたテスト記録を行い、必要であれば別のパラメータを変化させたテスト記録を行う。また、レーザパワーについては、上記s6と同様に段階的に変化させたテスト記録を行う。
【0068】
システム制御部16は、s21にかかるテスト記録を完了すると、テスト記録を行った領域を再生し、再生信号品位と、複数の記録パラメータとの関係を取得する(s22)。システム制御部16は、s22でレーザパワーとβとの関係も取得する。その後、s3で記憶部26に記憶している再生信号品位パターンを読み出し、s22で算出した関係に基づいて装置記録パラメータを設定する(s23)。s23では、再生信号品位が最良となるレーザパワーの算出も行っている。システム制御部16は、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンに対する、レーザパワーの変化パターンを算出し(s9)、s10〜s12の処理を実行する。
【0069】
このようにして、光ディスクDにデータを記録しても、該光ディスクDに記録されたデータの再生信号品位を予め定められたパターン(s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターン)で変化させることができる。
【0070】
さらに、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンを光ディスクDに記録してもよい。この場合、図10に示すようにs9とs10との間に、s25を設け、s3で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンを光ディスクDの所定の記録領域に記録すればよい。
【0071】
このように、光ディスクDに該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンを記録すれば、光ディスクD毎に記録されているデータの再生信号品位パターンを設定することができる。上記実施形態の説明では、記憶部26に記憶されている再生信号品位パターンは、ユーザが設定変更できない特定のパターンであるとしたが、s25を設けることにより操作部27においてユーザが自由に設定できるようになる。
【0072】
次に、上記光ディスクDを再生する光ディスク再生装置について説明する。図11は、この実施形態の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。この実施形態の光ディスク再生装置2は、ゲーム機等の特定の装置である。
【0073】
なお、図10では図1と同じ構成については同じ符号を付している。
【0074】
この実施形態の光ディスク再生装置2は、上記図1に示した光ディスク記録装置1から、エンコーダ17、およびストラテジ回路18を除いた構成である。
【0075】
以下、この実施形態の光ディスク再生装置2の動作について説明する。
【0076】
まず、最初に図3、または図9の処理によりデータが記録された光ディスクDを再生する実施形態について説明する。図12は、この実施形態の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
光ディスク再生装置2は、本体に光ディスクDがセットされると(s51)、システム制御部16がセットされた記録用光ディスクの種類を判別するために、サーボの自動調整を行う(s52)。s51、およびs52の処理は、上記光ディスク記録装置1で説明したs1、およびs2と同じ処理である。光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDに記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータについて再生信号品位パターンを測定する(s53)。
【0078】
また、光ディスク再生装置2は、予め設定されている再生信号品位パターンを記憶部26から読み出す(s54)。記憶部26には、光ディスク再生装置2で使用される光ディスクDについて、該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンが記憶されている。光ディスク再生装置2は、s53で測定した再生信号品位パターンと、s54で記憶部26から読み出した再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する(s55)。
【0079】
本体にセットされている光ディスクDがコピーディスクである場合、記録されているデータの再生信号品位パターンは略一定である。s53で測定した再生信号品位パターンが、記憶部26に記憶している再生信号品位パターンで変化しているかどうかにより、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを正確に判別することができる。
【0080】
光ディスク再生装置2は、s55でマスタディスクであると判別すると、該光ディスクDに記録されているデータの再生を開始する(s56)。s56では、光ピックアップ10読み取られたデータが、RFアンプ12、デコーダ15を介してデータ記憶回路25に入力される。再生されたデータ(再生データ)は、データ記憶回路25に一時的に記憶され、該データ記憶回路25から順次出力される。光ディスク再生装置2は、該光ディスクDに記録されているデータの再生が終了すると(s57)、再生動作を停止する(s58)。反対に、s55でコピーディスクであると判別すると、該光ディスクに記録されているデータの再生を開始することなく、本体から光ディスク(コピーディスク)を放出し(s59)、本処理を終了する。
【0081】
なお、s59では本体にセットされている光ディスクがコピーディスクである旨を表示部28に表示し、ユーザに警告してもよい。
【0082】
このように、この実施形態の光ディスク再生装置2では、本体にセットされている光ディスクDが、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別し、コピーディスクであると判別したときに記録されているデータの再生を制限することができる。これにより、光ディスクD(マスタディスク)に記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0083】
なお、上記のように、記録されているデータの再生信号品位を予め定められているパターンで変化させたコピーディスクを作ることは殆ど不可能である。したがって、光ディスク再生装置2で使用可能なコピーディスクが作られるという可能性も極めて低い。
【0084】
次に、図10の処理によりデータが記録された光ディスクDを再生する実施形態について説明する。図13は、この実施形態の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【0085】
なお、図13では図12で説明した処理と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。
【0086】
この実施形態の光ディスク再生装置2は、光ディスク再生装置2は、本体に光ディスクDがセットされると(s51)、システム制御部16がセットされた記録用光ディスクの種類を判別するために、サーボの自動調整を行い(s52)、光ディスクDの所定の領域に記録されている再生信号品位パターンを読み出す(s61)。また、光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDに記録されているデータを読み取り、該読み取ったデータについて再生信号品位のパターンを測定する(s53)。
【0087】
光ディスク再生装置2は、s61で光ディスクDの所定の領域から読み出した再生信号品位のパターンと、s53で測定した再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する(s55)。
【0088】
本体にセットされている光ディスクDがコピーディスクである場合、記録されているデータの再生信号品位は略一定である。したがって、s53で測定した再生信号品位のパターンが、光ディスクDの所定の領域から読み取った再生信号品位パターンで変化しているかどうかにより、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別し、s56〜s59の処理を実行する。
【0089】
このように、この実施形態の光ディスク再生装置2は、本体にセットされた光ディスクDの所定領域に記録されている再生信号品位パターンと、該光ディスクDに記録されているデータの再生信号品位パターンと、を比較し、本体にセットされている光ディスクDがマスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判別する。これにより、再生信号品位パターンを光ディスクD毎に設定することができる。
【0090】
また、上記実施形態の光ディスク記録装置1では、図6(B)に示したa、またはbの一方の領域でレーザパワーを変化させて、光ディスクDにデータを記録するとしたが、a、およびbの両方の領域を用いて光ディスクDにデータを記録してもよい。一般に、記録されているデータのβが大きい場所ほど、色が濃くなる。このことから、図6(B)に示したa、およびbの両方の領域でレーザパワーを制御して光ディスクDにデータを記録すると、記録されているデータの再生信号品位を換えながら、図14に示すように光ディスクDのデータの記録面に画像を描くことができ、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかの判断が視覚的に行える。
【0091】
なお、図6(B)に示したa、またはbの一方の領域でレーザパワーを制御して光ディスクDにデータを記録しても、光ディスクDのデータの記録面に画像を描くことはできるが、この場合にはコントラストが低い画像になる。
【0092】
また、上記実施形態では、再生信号品位を予め定められたパターンで変化させるとしたが、再生線速度(規格では1.2〜1.4m/s)を変化させるようにしてもよい。再生線速度は、光ディスクDのトラックにおけるデータの記録密度に応じて変化する読取条件である。
【0093】
光ディスクDに記録されているデータの再生線速度を予め設定されているパターンで変化させる場合、図15に示すように、図3に示したs9、s10の処理に換えて、s31で光ディスクDに記録されたデータの再生線速度が、s30で記憶部26から読み出した再生線速度のパターンになる、記録時における光ディスクDの回転速度の変化パターンを算出し、ここで算出した光ディスクDの回転速度の変化パターンに基づいて、s32で該光ディスクDの回転速度を制御しながら、データの記録を行えばよい。但し、データの記録速度については一定である。
【0094】
記録時における光ディスクDの回転速度を速めると、データの記録密度は小さくなる。このため、再生線速度は遅くなる。
【0095】
なお、この場合光ディスクDの回転速度をステップ状に変化させることは困難であることから、時間的に連続した変化パターンとするのが好ましい。
【0096】
また、図15に示したs31、s32の処理に換えて、s35で光ディスクDに記録されたデータの再生線速度が、s30で記憶部26から読み出した再生線速度のパターンになる、記録時における光ディスクDに対するデータの記録速度の変化パターンを算出し、ここで算出したる光ディスクDに対するデータの記録速度の変化パターンに基づいて、s36で光ディスクDに対するデータの記録速度を制御しながら、データの記録を行ってもよい(図16参照)。データの記録速度は、エンコーダ17の処理速度、および光ピックアップ10のレーザダイオードからのレーザ光の照射間隔により制御できる。
【0097】
どちらの場合も、光ディスクDに記録されたデータの再生線速度を予め定められたパターンで変化させることができる。
【0098】
また、光ディスク再生装置2は、光ディスクDに記録されているデータの再生線速度の変化(データ密度の変化)から、マスタディスクであるか、コピーディスクであるかを判断するように構成すればよい。
【0099】
なお、上記実施形態の説明には、以下に示す(1)〜(4)の発明も含まれている。
【0100】
(1)上記記録パラメータを時間的に連続して変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0101】
(2)上記トラックを分割した記録領域毎に上記記録パラメータを変化させる請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0102】
(3)上記トラックを分割した記録領域の少なくとも1つにおいては、上記記録パラメータを時間的に連続して変化させる上記(2)に記載の光ディスク記録方法。
【0103】
(4)上記読取条件の変化のパターンを上記光ディスクの所定の領域に記録する請求項1〜5、および上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光ディスク記録方法。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、データの読取条件が所定のパターンで変化するように、光ディスクにデータを記録したので、従来普及している光ディスク記録装置でコピーディスクを作ることが殆ど不可能となり、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを向上させることができる。
【0105】
また、本体にセットされた光ディスクに記録されているデータの読取条件が予め設定されているパターンで変化するかどうかにより、該光ディスクの真偽を判別することができ、コピーディスクの不正使用が防止できる。これにより、光ディスクに記録されているデータのセキュリティを一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である光ディスク記録装置の構成を示す図である。
【図2】光ディスクの記録領域を示す図である。
【図3】この発明の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】光ディスクに記録されるデータの再生信号品位の変化パターンを説明する図である。
【図5】光ディスクに記録されるデータの再生信号品位の変化パターンを説明する図である。
【図6】再生信号品位、β、記録時のレーザパワーの関係を示す図である。
【図7】この発明の実施形態である光ディスク記録装置におけるテスト記録を説明する図である。
【図8】データの記録時におけるレーザパワーの変化パターンを示す図である。
【図9】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施形態である光ディスク再生装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施形態である光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施形態である別の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図14】光ディスク装置を示す図である。
【図15】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の別の実施形態である光ディスク記録装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1−光ディスク記録装置
2−光ディスク再生装置
16−システム制御部
Claims (12)
- 光ディスクに形成されているトラックにレーザ光を照射して、該光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法において、
上記トラックに記録されたデータの読取条件が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する光ディスク記録方法。 - 上記トラックに記録されたデータの再生信号品位が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する請求項1に記載の光ディスク記録方法。
- 上記記録パラメータは、レーザパワーである請求項2に記載の光ディスク記録方法。
- 上記トラックに記録されたデータの再生線速度が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する請求項1に記載の光ディスク記録方法。
- 上記トラックに記録されたデータのデータ密度が予め定められたパターンで変化するように、記録パラメータを制御しながら上記トラックにデータを記録する請求項1に記載の光ディスク記録方法。
- 光ディスクに記録されているデータについて読取条件の変化パターンを取得する第1のステップと、
上記第1のステップで取得した読取条件の変化パターンと、上記光ディスクに対して予め定められている読取条件の変化パターンとを比較し、その比較結果に基づいて上記光ディスクの真偽を判別する第2のステップと、を備えた光ディスク判別方法。 - 上記第1のステップは、上記光ディスクから実際にデータを読み取り、該読み取ったデータから読取条件の変化パターンを取得する請求項6に記載の光ディスク判別方法。
- 上記第2のステップは、記憶部に記憶している上記光ディスクに対して予め定められている読取条件の変化パターンを用いて、上記光ディスクの真偽を判別する請求項6、または7に記載の光ディスク判別方法。
- 上記第2のステップは、上記光ディスクに対して予め定められている読取条件の変化パターンを、該光ディスクの所定の記録領域から読み取る請求項6、または7に記載の光ディスク判別方法。
- 上記第2のステップが上記光ディスクを偽造された光ディスクであると判別した場合に、該光ディスクに記録されているデータの読取を制限する請求項6〜8のいずれかに記載の光ディスク判別方法。
- 本体にセットされた光ディスクに形成されているトラックにレーザ光を照射し、該光ディスクにデータを記録する記録手段と、
上記記録手段による上記トラックへのデータの記録時に、該トラックに記録されたデータの読取条件を変化させる記録パラメータを制御する制御手段と、を備えた光ディスク記録装置において、
上記制御手段は、上記読取条件を予め定められたパターンで変化させるための上記記録パラメータの変化パターンを算出し、上記記録手段による上記トラックへのデータの記録時に、ここで算出した変化パターンに基づいて上記記録パラメータを制御する光ディスク記録装置。 - 本体にセットされた光ディスクに形成されているトラックにレーザ光を照射し、該光ディスクに記録されているデータを読み取る読取手段と、
上記読取手段が読み取ったデータについて読取条件の変化パターンを取得し、ここで取得した読取条件の変化パターンと、上記光ディスクについて予め定められている読取条件の変化パターンとを比較し、その比較結果に基づいて上記光ディスクの真偽を判別する制御部と、を備えた光ディスク再生装置。
Priority Applications (1)
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JP2002178629A JP2004022132A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | 光ディスク記録方法、光ディスク判別方法、光ディスク記録装置、および光ディスク再生装置 |
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JP2007004843A (ja) * | 2005-06-21 | 2007-01-11 | Taiyo Yuden Co Ltd | 光情報記録装置および方法および信号処理回路 |
-
2002
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