JP2004021118A - プラスチッククラッド光ファイバ - Google Patents
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Abstract
【課題】圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工の際に、クラッドが傷つきにくく、被覆層の除去が容易でクラッドへの傷を防ぐ。
【解決手段】圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工における被覆層除去の際に、裸ファイバ14のクラッドと被覆層15との間の摩擦抵抗を低減することにより、被覆層15を除去する際のクラッド損傷を低減させる。本発明では、被覆層15の材料に潤滑性を付与する顔料を添加する。例えば、ETFEを被覆層15に用いたプラスチッククラッド光ファイバにおいて、被覆層15を長手方向に5cm徐去するための力を20N以下とし、被覆層15の除去後のクラッド表面に傷が付かないようにするためには、カーボン系顔料の量がETFE100重量部に対し0.5重量部以上添加した被覆材料を用いる。
【選択図】 図2
【解決手段】圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工における被覆層除去の際に、裸ファイバ14のクラッドと被覆層15との間の摩擦抵抗を低減することにより、被覆層15を除去する際のクラッド損傷を低減させる。本発明では、被覆層15の材料に潤滑性を付与する顔料を添加する。例えば、ETFEを被覆層15に用いたプラスチッククラッド光ファイバにおいて、被覆層15を長手方向に5cm徐去するための力を20N以下とし、被覆層15の除去後のクラッド表面に傷が付かないようにするためには、カーボン系顔料の量がETFE100重量部に対し0.5重量部以上添加した被覆材料を用いる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧着−カット方式のコネクタ加工を高精度で簡便に実行できるようにしたプラスチック光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチッククラッド光ファイバ(PCF)は、大きいコア径と高いNA(開口数)を有し、光源との接続やファイバ同士の接続特性に優れた特性を有することを特徴とするものである。PCFは、例えばコアに石英ガラス、クラッドにプラスチックを用いて、この周囲に被覆層用樹脂を被覆することによって作製するもので、中・短距離の高速光データリンク等の光伝送路に用途に用いられている。
【0003】
こうしたPCFの普及に伴って、PCFにおける光コネクタの特性の向上が課題となっている。光コネクタを用いた光ファイバの接続には、接着−研磨方式が一般的に採用されている。接着−研磨方式は、フェルールの中に被覆層を除去した光ファイバを挿入し、エポキシ等の接着性材料を用いて固定する。そしてフェルールの先端を光ファイバとともに研磨することによってコネクタを作製している。しかしながら、このような接着−研磨方式は、コネクタ形成のための高度なスキルを要し、生産性も低いという問題がある。
【0004】
一方、近年、上記の接着−研磨方式のように接着剤を使用しない圧着−カット方式のコネクタが実用化されつつあり、この圧着−カット方式に適したPCF光ファイバの開発が強く求められている。
【0005】
図2は、圧着−カット方式の光コネクタについて説明するための図で、図中、10は単心の光ファイバコード、11はPVC外皮、12はテンションメンバ、13はカラー、14はガラスコア及びプラスチッククラッドによりなるファイバ(裸ファイバ)、15は被覆層、20はメタルフェルール本体、21はソフトメタルである。図2に示す光ファイバコード10は、ファイバ14に被覆層15を被覆したPCFの周囲にケブラー(R)(アラミド繊維)によるテンションメンバ12とPVC外皮11とを形成したものである。
【0006】
圧着−カット方式のコネクタの作製に際しては、図2に示すように裸ファイバ14を露出させた光ファイバコード10の先端部にカラー13及びメタルフェルール本体20をセットし、メタルフェルール本体20のA部を専用圧着工具によって圧着する。これにより、PCFのクラッドがメタルフェルール本体20内部のソフトメタル21により締め付けられ固定される。この際に、A’の部分も同時に圧着され、PCFのテンションメンバ12とPVC外皮11もフェルール本体20とカラー13との間で固定される。クラッドに対する締め付け力は、フェルール本体20とソフトメタル21の2種類の金属のSS(Strain−Stress)特性の差異によって維持される。
【0007】
次に専用のファイバカッタを用いることにより、B部において裸ファイバ14のコアに微細な傷を付け、さらにファイバ長手方向に応力を加えて傷を付けた部分をカットする。カットしたファイバの断面は鏡面状になる。以上の圧着工程と端面のカット工程との2工程によって、従来の接着剤を用いた接着−研磨方式に比してコネクタ接続を簡易に行うことができる。
【0008】
上記のような圧着−カット方式によるコネクタ接続において、信頼性の高い光コネクタを実現するには、コネクタの構成材料、構造の選択は勿論のこと、光ファイバについては、特にクラッド材の選択が重要である。また、先端のカット断面の良否は、コアガラスに加える傷の深さに依存して決定されるため、傷の深さを高精度に制御するために、クラッドの薄膜化とコア/クラッドの偏心量の低減が重要である。
【0009】
プラスチッククラッド光ファイバにおいて、マイクロベンドによる伝送損失の増加を抑えるためには光ファイバの被覆層材料を最適化する必要がある。マイクロベンドは、被覆層樹脂材の低温域における収縮が一つの要因となる。例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)は、マイクロベンドによる伝送損失を押さえる被覆層材料として好適に用いられる。ETFEを用いたプラスチック光ファイバは、−40℃においてもマイクロベンドが発生することがない。
【0010】
しかしながらETFEは、他のファイバ被覆層用樹脂であるナイロンやシリコン樹脂に比べて常温での機械的強度が強く、ジャケットリムーバで被覆層を除去する際に、クラッド層近くの深い部分まで刃を入れないと被覆層の除去が難しい。このため、ETFE材料を被覆層に用いた光ファイバケーブルは、クラッドを傷付けやすいという問題がある。
【0011】
図3は、光ファイバの被覆層を除去するためのジャケットリムーバについて説明するための図で、図3(A)はジャケットリムーバの斜視図、図3(B)はジャケットリムーバの刃部の拡大正面図である。図3において、14は裸ファイバ、15は被覆層、30はジャケットリムーバの刃である。被覆層除去には図3(A)に示すようなジャケットリムーバを使用する。例えば、図3(B)に示すような0.3mmの穴径を持つ半円状の刃30によって、0.23mmのクラッド径のファイバにETFEを被覆した0.5mmのPCF心線を挟み、その刃を被覆層15に咬み込ませた後、被覆層15を引き剥す。これにより、光ファイバから所望の長さの被覆層を除去することができる。
【0012】
特に圧着−カット方式コネクタを、PCFに取り付ける加工において、フェルール先端から突出した余分な光ファイバをカットする際には、光ファイバに張力を加える必要がある。このためにフェルールから突出した光ファイバの先端を把持して張力を加える必要があり、その把持しろを確保するために、接着−研磨方式のコネクタの加工時に比べて被覆層の除去長を長くしなければならない。例えば、圧着−カット方式では約45mm必要な被覆層除去長は、接着−研磨方式では約30mmとなる。被覆層除去長が長くなると、ジャケットリムーバを用いて光ファイバに沿って被覆層を引き取り除去する際に、除去すべき被覆層とクラッドとの間の接触面積が大きくなるために、より強い力で被覆層を引き取り除去しなければならず、よりクラッドを傷付けやすくなるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工の際に、クラッドが傷つきにくく、被覆層の除去が容易でクラッドへの傷を防ぐことができ、これにより高品質で簡易なコネクタ加工を行うことができるプラスチッククラッド光ファイバを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラスチッククラッド光ファイバ(PCF)は、プラスチッククラッドを有し、該プラスチッククラッドの周囲に被覆層が形成されてなるプラスチッククラッド光ファイバであって、前記被覆層を前記プラスチッククラッドから長手方向に5cm除去するときに要する応力が20N以下であることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチッククラッド光ファイバは、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工における被覆層除去の際に、クラッドと被覆層との間の密着力を低減させることにより、例えば5cmの被覆層を光ファイバから除去する際に要する引き剥がし力を20N以下としたものである。これにより被覆層除去の際のクラッド損傷を著しく低減することができる。
【0016】
クラッドと被覆層との密着力を低減させるために、被覆層を施す際にクラッドと被覆層とが構造的に密着しないように加工する方法がある。しかしながらこの方法は製造条件に大きく依存するため制御が非常に困難であり、被覆層除去に要する力を安定して20N以下に押さえることは難しい。本発明は、構造的に被覆層がクラッドと密着していてもクラッドと被覆層との間の密着力を低減できるようにしたものである。
【0017】
クラッドと被覆層との密着力を低減させるために、被覆層を形成するための材料に顔料を添加する。このような顔料としては滑性付与に優れるカーボン系顔料が特に好ましい。顔料を添加することにより、滑性を有するカーボン系顔料が界面に分散し、ETFEマトリックスとクラッドガラスとの接触面積が減少してクラッドと被覆層との密着力が減少する。また被覆層のクラッド側界面の粗度が大きくなって界面の摩擦抵抗が低減する効果もあると考えられる。
【0018】
例えば、カーボン系黒色カラーマスターバッチを添加したETFEを、石英コアとプラスチッククラッドからなるPCF素線上に押出被覆することにより、圧着−カット方式のコネクタ加工に好適に適用でき、被覆層除去の際の品質低下を防ぐことができる。
【0019】
上記のごとくの構成において、長手方向に5cmの被覆層を除去するために必要とする力を20N以下とし、被覆層除去後のクラッド表面に傷が付かないようにするためには、ETFE100重量部に対しカーボン系顔料を0.5重量部以上添加した被覆材料を用いることが好ましい。実際の加工においては、カーボン系顔料を配合したカーボン系黒色カラーマスターバッチを使用して被覆材料を配合することができる。
【0020】
(実施例及び比較例)
図1は、本発明に係わるプラスチッククラッド光ファイバ(PCF)の実施例及び比較例における評価結果を示す図である。まず、石英をコアとし、硬質フッ化アクリレート樹脂をクラッドとするコア径200μm、クラッド径230μmのPCF素線上に、ETFE100重量部に対してカーボン系顔料がそれぞれ20.0,10.0,5.0,1.0,0.5,0.3重量部となるように黒色カラーマスターバッチを添加した被覆層材料を押出機により押出して外径が0.5mmとなるように被覆成形した。得られたPCFから、ジャケットリムーバを用いて長手方向に5cmの被覆層を除去し、このときの除去に要した力を測定したところ、図1に示すのごとくの値となった。また、被覆層を除去した各サンプルについて、被覆層の除去部分のクラッド表面を顕微鏡にて観察した。
【0021】
すなわち、カーボン系顔料の添加量が20.0部(実施例1)のときは、被覆層除去に要した応力は3N、以下同様に添加量が10.0部(実施例2)のときは応力が3N、添加量が5.0部(実施例3)のときは応力が5N、添加量が1.0部(実施例4)のときは応力が9N、添加量が0.5部(実施例5)のときは応力が20Nであった。これらの条件においては、クラッドの表面に傷は認められず、良好な被覆層除去がなされた。
【0022】
一方、カーボン系顔料の添加量が0.3部(比較例1)のときは、被覆層除去に要した応力は24Nであり、この条件ではクラッド表面に傷が認められた。
【0023】
また上述の実施例と同じPCF素線上にカラーマスターバッチを添加せずETFEのみを押出機により押し出して外径が0.5mmとなるように被覆成形した(比較例2)。得られたPCFから、ジャケットリムーバにより長手方向に5cmの被覆層を除去する際に要した応力は31Nであった。また被覆層除去後のファイバのクラッド表面を顕微鏡にて観察したところ、クラッド表面に傷が認められた。
【0024】
従って、被覆層を除去した部分のクラッド層の品質を維持するためには、被覆層を引き剥がすときの力を20N以下に制御すればよいことが上記実施例及び比較例から確認できる。このときにエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に対するカーボン系顔料の添加量は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100重量部に対して0.5重量部以上とすればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工の際に、クラッドが傷つきにくく、被覆層の除去が容易でクラッドへの傷を防ぐことができ、これにより高品質で簡易なコネクタ加工を行うことができるプラスチッククラッド光ファイバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係わるプラスチッククラッド光ファイバの実施例及び比較例における評価結果を示す図である。
【図2】圧着−カット方式の光コネクタについて説明するための図である。
【図3】図3は、光ファイバの被覆層を除去するためのジャケットリムーバについて説明するための図である。
【符号の説明】
10…光ファイバコード、11…PVC外皮、12…テンションメンバ、13…カラー、14…裸ファイバ、15…被覆層、20…メタルフェルール本体、21…ソフトメタル、30…刃。
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧着−カット方式のコネクタ加工を高精度で簡便に実行できるようにしたプラスチック光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチッククラッド光ファイバ(PCF)は、大きいコア径と高いNA(開口数)を有し、光源との接続やファイバ同士の接続特性に優れた特性を有することを特徴とするものである。PCFは、例えばコアに石英ガラス、クラッドにプラスチックを用いて、この周囲に被覆層用樹脂を被覆することによって作製するもので、中・短距離の高速光データリンク等の光伝送路に用途に用いられている。
【0003】
こうしたPCFの普及に伴って、PCFにおける光コネクタの特性の向上が課題となっている。光コネクタを用いた光ファイバの接続には、接着−研磨方式が一般的に採用されている。接着−研磨方式は、フェルールの中に被覆層を除去した光ファイバを挿入し、エポキシ等の接着性材料を用いて固定する。そしてフェルールの先端を光ファイバとともに研磨することによってコネクタを作製している。しかしながら、このような接着−研磨方式は、コネクタ形成のための高度なスキルを要し、生産性も低いという問題がある。
【0004】
一方、近年、上記の接着−研磨方式のように接着剤を使用しない圧着−カット方式のコネクタが実用化されつつあり、この圧着−カット方式に適したPCF光ファイバの開発が強く求められている。
【0005】
図2は、圧着−カット方式の光コネクタについて説明するための図で、図中、10は単心の光ファイバコード、11はPVC外皮、12はテンションメンバ、13はカラー、14はガラスコア及びプラスチッククラッドによりなるファイバ(裸ファイバ)、15は被覆層、20はメタルフェルール本体、21はソフトメタルである。図2に示す光ファイバコード10は、ファイバ14に被覆層15を被覆したPCFの周囲にケブラー(R)(アラミド繊維)によるテンションメンバ12とPVC外皮11とを形成したものである。
【0006】
圧着−カット方式のコネクタの作製に際しては、図2に示すように裸ファイバ14を露出させた光ファイバコード10の先端部にカラー13及びメタルフェルール本体20をセットし、メタルフェルール本体20のA部を専用圧着工具によって圧着する。これにより、PCFのクラッドがメタルフェルール本体20内部のソフトメタル21により締め付けられ固定される。この際に、A’の部分も同時に圧着され、PCFのテンションメンバ12とPVC外皮11もフェルール本体20とカラー13との間で固定される。クラッドに対する締め付け力は、フェルール本体20とソフトメタル21の2種類の金属のSS(Strain−Stress)特性の差異によって維持される。
【0007】
次に専用のファイバカッタを用いることにより、B部において裸ファイバ14のコアに微細な傷を付け、さらにファイバ長手方向に応力を加えて傷を付けた部分をカットする。カットしたファイバの断面は鏡面状になる。以上の圧着工程と端面のカット工程との2工程によって、従来の接着剤を用いた接着−研磨方式に比してコネクタ接続を簡易に行うことができる。
【0008】
上記のような圧着−カット方式によるコネクタ接続において、信頼性の高い光コネクタを実現するには、コネクタの構成材料、構造の選択は勿論のこと、光ファイバについては、特にクラッド材の選択が重要である。また、先端のカット断面の良否は、コアガラスに加える傷の深さに依存して決定されるため、傷の深さを高精度に制御するために、クラッドの薄膜化とコア/クラッドの偏心量の低減が重要である。
【0009】
プラスチッククラッド光ファイバにおいて、マイクロベンドによる伝送損失の増加を抑えるためには光ファイバの被覆層材料を最適化する必要がある。マイクロベンドは、被覆層樹脂材の低温域における収縮が一つの要因となる。例えば、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)は、マイクロベンドによる伝送損失を押さえる被覆層材料として好適に用いられる。ETFEを用いたプラスチック光ファイバは、−40℃においてもマイクロベンドが発生することがない。
【0010】
しかしながらETFEは、他のファイバ被覆層用樹脂であるナイロンやシリコン樹脂に比べて常温での機械的強度が強く、ジャケットリムーバで被覆層を除去する際に、クラッド層近くの深い部分まで刃を入れないと被覆層の除去が難しい。このため、ETFE材料を被覆層に用いた光ファイバケーブルは、クラッドを傷付けやすいという問題がある。
【0011】
図3は、光ファイバの被覆層を除去するためのジャケットリムーバについて説明するための図で、図3(A)はジャケットリムーバの斜視図、図3(B)はジャケットリムーバの刃部の拡大正面図である。図3において、14は裸ファイバ、15は被覆層、30はジャケットリムーバの刃である。被覆層除去には図3(A)に示すようなジャケットリムーバを使用する。例えば、図3(B)に示すような0.3mmの穴径を持つ半円状の刃30によって、0.23mmのクラッド径のファイバにETFEを被覆した0.5mmのPCF心線を挟み、その刃を被覆層15に咬み込ませた後、被覆層15を引き剥す。これにより、光ファイバから所望の長さの被覆層を除去することができる。
【0012】
特に圧着−カット方式コネクタを、PCFに取り付ける加工において、フェルール先端から突出した余分な光ファイバをカットする際には、光ファイバに張力を加える必要がある。このためにフェルールから突出した光ファイバの先端を把持して張力を加える必要があり、その把持しろを確保するために、接着−研磨方式のコネクタの加工時に比べて被覆層の除去長を長くしなければならない。例えば、圧着−カット方式では約45mm必要な被覆層除去長は、接着−研磨方式では約30mmとなる。被覆層除去長が長くなると、ジャケットリムーバを用いて光ファイバに沿って被覆層を引き取り除去する際に、除去すべき被覆層とクラッドとの間の接触面積が大きくなるために、より強い力で被覆層を引き取り除去しなければならず、よりクラッドを傷付けやすくなるという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工の際に、クラッドが傷つきにくく、被覆層の除去が容易でクラッドへの傷を防ぐことができ、これにより高品質で簡易なコネクタ加工を行うことができるプラスチッククラッド光ファイバを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラスチッククラッド光ファイバ(PCF)は、プラスチッククラッドを有し、該プラスチッククラッドの周囲に被覆層が形成されてなるプラスチッククラッド光ファイバであって、前記被覆層を前記プラスチッククラッドから長手方向に5cm除去するときに要する応力が20N以下であることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のプラスチッククラッド光ファイバは、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工における被覆層除去の際に、クラッドと被覆層との間の密着力を低減させることにより、例えば5cmの被覆層を光ファイバから除去する際に要する引き剥がし力を20N以下としたものである。これにより被覆層除去の際のクラッド損傷を著しく低減することができる。
【0016】
クラッドと被覆層との密着力を低減させるために、被覆層を施す際にクラッドと被覆層とが構造的に密着しないように加工する方法がある。しかしながらこの方法は製造条件に大きく依存するため制御が非常に困難であり、被覆層除去に要する力を安定して20N以下に押さえることは難しい。本発明は、構造的に被覆層がクラッドと密着していてもクラッドと被覆層との間の密着力を低減できるようにしたものである。
【0017】
クラッドと被覆層との密着力を低減させるために、被覆層を形成するための材料に顔料を添加する。このような顔料としては滑性付与に優れるカーボン系顔料が特に好ましい。顔料を添加することにより、滑性を有するカーボン系顔料が界面に分散し、ETFEマトリックスとクラッドガラスとの接触面積が減少してクラッドと被覆層との密着力が減少する。また被覆層のクラッド側界面の粗度が大きくなって界面の摩擦抵抗が低減する効果もあると考えられる。
【0018】
例えば、カーボン系黒色カラーマスターバッチを添加したETFEを、石英コアとプラスチッククラッドからなるPCF素線上に押出被覆することにより、圧着−カット方式のコネクタ加工に好適に適用でき、被覆層除去の際の品質低下を防ぐことができる。
【0019】
上記のごとくの構成において、長手方向に5cmの被覆層を除去するために必要とする力を20N以下とし、被覆層除去後のクラッド表面に傷が付かないようにするためには、ETFE100重量部に対しカーボン系顔料を0.5重量部以上添加した被覆材料を用いることが好ましい。実際の加工においては、カーボン系顔料を配合したカーボン系黒色カラーマスターバッチを使用して被覆材料を配合することができる。
【0020】
(実施例及び比較例)
図1は、本発明に係わるプラスチッククラッド光ファイバ(PCF)の実施例及び比較例における評価結果を示す図である。まず、石英をコアとし、硬質フッ化アクリレート樹脂をクラッドとするコア径200μm、クラッド径230μmのPCF素線上に、ETFE100重量部に対してカーボン系顔料がそれぞれ20.0,10.0,5.0,1.0,0.5,0.3重量部となるように黒色カラーマスターバッチを添加した被覆層材料を押出機により押出して外径が0.5mmとなるように被覆成形した。得られたPCFから、ジャケットリムーバを用いて長手方向に5cmの被覆層を除去し、このときの除去に要した力を測定したところ、図1に示すのごとくの値となった。また、被覆層を除去した各サンプルについて、被覆層の除去部分のクラッド表面を顕微鏡にて観察した。
【0021】
すなわち、カーボン系顔料の添加量が20.0部(実施例1)のときは、被覆層除去に要した応力は3N、以下同様に添加量が10.0部(実施例2)のときは応力が3N、添加量が5.0部(実施例3)のときは応力が5N、添加量が1.0部(実施例4)のときは応力が9N、添加量が0.5部(実施例5)のときは応力が20Nであった。これらの条件においては、クラッドの表面に傷は認められず、良好な被覆層除去がなされた。
【0022】
一方、カーボン系顔料の添加量が0.3部(比較例1)のときは、被覆層除去に要した応力は24Nであり、この条件ではクラッド表面に傷が認められた。
【0023】
また上述の実施例と同じPCF素線上にカラーマスターバッチを添加せずETFEのみを押出機により押し出して外径が0.5mmとなるように被覆成形した(比較例2)。得られたPCFから、ジャケットリムーバにより長手方向に5cmの被覆層を除去する際に要した応力は31Nであった。また被覆層除去後のファイバのクラッド表面を顕微鏡にて観察したところ、クラッド表面に傷が認められた。
【0024】
従って、被覆層を除去した部分のクラッド層の品質を維持するためには、被覆層を引き剥がすときの力を20N以下に制御すればよいことが上記実施例及び比較例から確認できる。このときにエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に対するカーボン系顔料の添加量は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100重量部に対して0.5重量部以上とすればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、圧着−カット方式のコネクタの取り付け加工の際に、クラッドが傷つきにくく、被覆層の除去が容易でクラッドへの傷を防ぐことができ、これにより高品質で簡易なコネクタ加工を行うことができるプラスチッククラッド光ファイバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係わるプラスチッククラッド光ファイバの実施例及び比較例における評価結果を示す図である。
【図2】圧着−カット方式の光コネクタについて説明するための図である。
【図3】図3は、光ファイバの被覆層を除去するためのジャケットリムーバについて説明するための図である。
【符号の説明】
10…光ファイバコード、11…PVC外皮、12…テンションメンバ、13…カラー、14…裸ファイバ、15…被覆層、20…メタルフェルール本体、21…ソフトメタル、30…刃。
Claims (4)
- プラスチッククラッドを有し、該プラスチッククラッドの周囲に被覆層が形成されてなるプラスチッククラッド光ファイバであって、前記被覆層を前記プラスチッククラッドから長手方向に5cm除去するときに要する力が20N以下であることを特徴とするプラスチッククラッド光ファイバ。
- 前記被覆層を形成するための材料は、プラスチッククラッドとの密着強度を低減させるための顔料がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に分散された樹脂材料であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチッククラッド光ファイバ。
- 前記顔料は、カーボン系顔料であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチッククラッド光ファイバ。
- 前記エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に対する前記カーボン系顔料の添加量は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体100重量部に対して0.5重量部以上であることを特徴とする請求項3に記載のプラスチッククラッド光ファイバ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002178998A JP2004021118A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | プラスチッククラッド光ファイバ |
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JP2002178998A JP2004021118A (ja) | 2002-06-19 | 2002-06-19 | プラスチッククラッド光ファイバ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013221978A (ja) * | 2012-04-13 | 2013-10-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ |
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2002
- 2002-06-19 JP JP2002178998A patent/JP2004021118A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013221978A (ja) * | 2012-04-13 | 2013-10-28 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光ファイバ |
US9229159B2 (en) | 2012-04-13 | 2016-01-05 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Optical fiber |
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