JP2004021030A - 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法 - Google Patents

光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004021030A
JP2004021030A JP2002177373A JP2002177373A JP2004021030A JP 2004021030 A JP2004021030 A JP 2004021030A JP 2002177373 A JP2002177373 A JP 2002177373A JP 2002177373 A JP2002177373 A JP 2002177373A JP 2004021030 A JP2004021030 A JP 2004021030A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mirror
optical matrix
switch module
forming
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002177373A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahito Morimoto
森本 政仁
Isanori Sato
佐藤 功紀
Isao Oyama
大山 功
Hiroshi Kawashima
川島 洋志
Kazutaka Nara
奈良 一孝
Kanji Tanaka
田中 完二
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2002177373A priority Critical patent/JP2004021030A/ja
Publication of JP2004021030A publication Critical patent/JP2004021030A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Use Of Switch Circuits For Exchanges And Methods Of Control Of Multiplex Exchanges (AREA)

Abstract

【課題】損失の低減、スイッチの切り替え後における安定性、低消費電力化等を達成することができるMEMS技術を用いた導波路型の光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】平面導波路基板12の格子状に配列されたコア18a、18bの各交差箇所にマトリクス状に形成されたスイッチ用スペース部20上方に、ミラー保持基板24に移動可能な状態で保持されたミラー34aが配置されている。即ち、ミラー34aは、ミラー保持基板24のシリコン基体26に変形可能なスプリング30cを介して接続されたプレート30bの下面に垂下されている。このミラー34aのスイッチ用スペース部20への出し入れには、平面導波路基板12の上面及びプレート30bの下面に相対して形成された第1及び第2の電極22、38間への電圧印加により発生する静電力が用いられる。
【選択図】   図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信システム等に使用される光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法に係り、特にMEMS(Micro Electro Mechanical System;微小電気機械システム)技術を用いた導波路型の光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システム等に使用される光マトリクススイッチモジュールについては、近年、MEMS技術を用いたものが注目されている。このMEMS技術を用いた導波路型の光マトリクススイッチモジュールが、例えば日本光学会(応用物理学会)主催の第28回冬期講習会の「MEMS技術と光技術」p77〜87, OFC2001. WX4−1 Transducers’01 (4A3.04) p1332に報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のMEMS技術を用いた導波路型の光マトリクススイッチモジュールにおいては、平面光導波路の上面に穴加工により所定の大きさの空間が形成され、その空間に空気やオイル等が充填され、その中を光ビームがレンズ作用を受けることなく伝搬するようになっている。このため、この空間の大きさが大きいと、光ビームは大きく広がり、受光側の導波路のコアに入射される際に損失が生じる。従って、平面光導波路の上面に形成された空間の大きさはできるだけ小さいことが望ましい。しかし、この空間の大きさを小さくし過ぎると、その空間へのミラーの出し入れが困難になる。こうしたことから、平面光導波路の上面に形成された空間へのミラーの出し入れを確保しつつ、その空間で生じる損失をできるだけ小さくすることが課題となっている。
【0004】
また、上記の文献に記載された導波路型の光マトリクススイッチモジュールにおいては、ミラーの駆動機構として櫛歯型アクチュエータが用いられている。このため、スイッチの切り替え時に大きな電圧を印加する必要があるのみならず、その切り替え後においても、略同等の大きな電圧を印加し続けるなければならない。従って、消費電力の増大を招くという問題を生じる。
【0005】
本発明は上記した事情を考慮してなされたものであり、MEMS技術を用いた導波路型の光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法において、損失の低減、スイッチの切り替え後における安定性、低消費電力化等を達成することができる光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、周囲をクラッドに囲まれたコアが格子状に配列され、上面が略平坦な平面導波路基板と、コアの交差箇所に対応する平面導波路基板の上面に穴状に設けられた所定の大きさのスイッチ用スペース部と、このスイッチ用スペース部の上方に配置されたミラーと、このミラーを移動可能な状態で保持するミラー保持基板と、ミラーを平面導波路基板の上面に対して垂直方向に移動させる移動機構と、を有し、ミラー保持基板に保持されたミラーを移動機構を用いて前記スイッチ用スペース部に出し入れすることにより、コアを伝搬する光ビームの光路の切り替えを制御することを特徴とする光マトリクススイッチモジュールが提供される。
【0007】
また、本発明においては、周囲をクラッドに囲まれたコアが格子状に配列され、上面が略平坦な平面導波路基板を形成するステップと、コアの交差箇所に対応する前記平面導波路基板の上面に所定の大きさの穴を穿ち、スイッチ用スペース部を形成するステップと、ミラー及びミラーを移動可能な状態で保持するミラー保持基板を一体的に形成するステップと、ミラーを移動させる移動機構を形成するステップと、平面導波路基板とミラー保持基板とを一体化して、スイッチ用スペース部の上方に前記ミラーを出し入れ可能な状態で配置するステップと、を有することを特徴とする光マトリクススイッチモジュールの製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図5に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10は、上面が略平坦な平面導波路基板12を有している。この平面導波路基板12は、基体14を備えている。この基体14上には、クラッド16が形成されおり、このクラッド16中には、コア18a、18bが格子状に配列されている。
【0009】
本実施形態では、N=8本の行方向のコア18aとN=8本の列方向のコア18bがそれぞれに500μmの間隔をおいて配列されている。また、コア18a、18bの直径φは13μmに、コア18a、18bとクラッド16との屈折率差Δnは0.2%に設定されている。このため、周囲をクラッド16に囲まれたコア18a、18bを伝搬する光ビームのモードフィールド径は、波長1550nmにおいて16μmとなる。
【0010】
また、格子状に配列されたコア18a、18bの各交差箇所には、スイッチ用スペース部20がマトリクス状に配置されている。各スイッチ用スペース部20は、平面導波路基板12の上面に形成された穴から構成されている。ここでは、8×8個のスイッチ用スペース部20が配置され、各スイッチ用スペース部20は縦横各50μm、深さ40μmの大きさの空間を有している。このために、コア18a、18bは、各スイッチ用スペース部20で分断された状態となっている。
【0011】
また、スイッチ用スペース部20の周囲の平面導波路基板12の上面上には、例えばAu膜からなる第1の電極22が形成されている。この第1の電極22の外形は、後述する第2の電極の大きさに対応して、縦横各300μm程度の正方形をなしている。また、第1の電極22の表面には、例えば厚さ1μm程度のSiO2 膜からなる絶縁薄膜23が被覆され、第2の電極との電気的な接続を防止している。
【0012】
また、光マトリクススイッチモジュール10は、平面導波路基板12上に固定されたミラー保持基板24を有している。このミラー保持基板24は、平面導波路基板12の上面に対して所定の間隙をおいた支持基体としてのシリコン基体26を備えている。このシリコン基体26の下面、即ち平面導波路基板12と相対する下面の所定の領域に、ポリシリコン膜28、シリコン層30a、ポリシリコン膜32、及びシリコン材からなるスペーサ34bが形成されている。そして、このスペーサ34bの下面と平面導波路基板12の上面とが、例えばSiO2 膜40を介して接続されている。
【0013】
ここで、シリコン基体26、ポリシリコン膜28、シリコン層30a、ポリシリコン膜32、及びスペーサ34bの各厚さは、例えば厚さ625μm、1μm程度、2μm、1μm程度、及び40μmである。このため、ミラー保持基板24のシリコン基体26の下面と平面導波路基板12の上面との間隙は、40数μmになっている。
【0014】
また、ミラー保持基板24は、シリコン材からなるミラー搭載用のプレート30bを備えている。このプレート30bは、シリコン基体26の下面側に所定の空隙をおいて配置され、平面導波路基板12の各スイッチ用スペース部20に相対している。また、プレート30bは、同じくシリコン材からなる変形可能なスプリング30cを介して、シリコン基体26の下面に接続されている。
【0015】
ここで、プレート30bは縦横各300μm、厚さ2μmの四角平板形状をなしている。また、スプリング30cは幅5μm、厚さ2μmで、プレート30bの周囲を取り囲んでいる角形渦巻状をなしている。このため、スプリング30cにおける1ターンの各辺の長さは、外側に周回するにしたがって長くなり、320〜400μm程度となっている。また、シリコン基体26とプレート30bとの空隙は、1μm程度である。
【0016】
また、光マトリクススイッチモジュール10は、ミラー保持基板24に保持されたシリコン材からなるミラー34aを有している。このミラー34aは、プレート30bの下面の中央部にSiO2 膜32aを介して垂下されている。このミラー34aの反射面には、高い反射率を実現するため、例えばAu膜(図示せず)が被覆されている。ここで、ミラー34aは幅50μm、厚さ2μm、及び高さ40μmの板形状をなしていて、スイッチ用スペース部2に完全に挿入することが可能な大きさである。
【0017】
また、プレート30bの下面上には、例えばAu膜からなる第2の電極38が形成されている。この第2の電極38は、平面導波路基板12の上面上の第1の電極22に相対している。これら第1及び第2の電極22、38には、それぞれ配線層(図示せず)が接続されている。これらの配線層は、平面導波路基板12及びシリコン基体26の端部にまで延び、そこで纏められて、フレキシブル配線基板(図示せず)にハンダ付けされている。このフレキシブル配線基板は、給電装置(図示せず)に接続されている。
【0018】
こうして、平面導波路基板12の上面及びプレート30bの下面にそれぞれ相対して形成された第1及び第2の電極22、38、並びにこれら第1及び第2の電極22、38に接続された給電装置等から、ミラー保持基板24のプレート30bの下面に垂下されているミラー34aを移動させる移動機構が構成されている。
【0019】
次に、本実施形態の光マトリクススイッチモジュール10のスイッチング動作について述べる。
先ず、ミラー34aをスイッチ用スペース部20に出し入れする方法を、図4及び図5を用いて説明する。
給電装置を用いて、第2の電極38をアース状態(0V)に保ち、第1の電極22に電圧を印加し、相対する第1及び第2の電極22、38間に静電力を発生させる。このとき、プレート30bには、この静電力によって平面導波路基板12側に引き寄せられる力が働くと同時に、スプリング30cによってシリコン基体26側に引き戻される力が働く。このため、印加電圧を大きくしていくと、静電力が勝り、プレート30bは平面導波路基板12側に引き寄せられ、その下面に垂下されているミラー34aが平面導波路基板12の上面に対して垂直方向に下方に移動する。
【0020】
その結果、図4に示されるように、プレート30bの下面に垂下されているミラー34aがスイッチ用スペース部20上方に位置している状態から、図5に示されるように、スプリング30cの変形を伴って、ミラー34aが平面導波路基板12の上面に対して垂直方向に下方に移動し、スイッチ用スペース部20に挿入された状態になる。
【0021】
プレート30bを平面導波路基板12側に引き寄せるために必要な印加電圧の大きさは、プレート30bの大きさ、第1及び第2の電極22、38間の初期間隔、スプリング30cの強さ等によって異なる。本実施形態においては、電圧印加と同時に、ミラー34aが移動し始め、50V程度でミラー34aがスイッチ用スペース部20の1/3程度の深さまで挿入され、50V以上になると、ミラー34aの移動が加速され、ミラー34aがスイッチ用スペース部20に完全に挿入された状態となった。
【0022】
これは、スプリング30cのプレート30bを元に戻す力がその変形量に比例して大きくなるのに対して、第1及び第2の電極22、38間に働く静電力はこれらの電極間の距離が小さくなるにしたがって急激に大きくなるためである。この現象はプルイン(pull−in)と呼ばれている。こうしたプルイン現象を用いると、ミラー34aをスイッチ用スペース部20に完全に挿入するまでにはそれなりに大きな印加電圧を必要とするが、その後は印加電圧を小さくしてもミラー34aのスイッチ用スペース部20への挿入状態を維持することが可能になるという利点がある。
【0023】
本実施形態では、例えば55Vの印加電圧でミラー34aをスイッチ用スペース部20に完全に挿入した後、3Vまで印加電圧を低下させると、ミラー34aをスイッチ用スペース部20から完全に抜き出すことが可能であった。また、ミラー34aの挿入後においては、3V+αの印加電圧、例えば5Vの印加電圧でミラー34aの挿入状態を保持することが可能であった。しかも、その際に、異常な動作は何ら発生しないことが確認された。なお、このような動作は、MEMS技術を用いた櫛歯型アクチュエータによって実現することは困難である。
【0024】
また、ミラー34aがスイッチ用スペース部20に最も深く挿入された状態では、第1の電極22と第2の電極38とが絶縁薄膜23を介してほぼ接触した状態となる。このため、第1及び第2の電極22、38間の電気的な接続が防止されるのみならず、外部からの何らかの要因によって光マトリクススイッチモジュール10が振動する事態が生じても、挿入状態のミラー34aは安定した状態に保持される。従って、ミラー34aの挿入状態での損失変動が防止される。
【0025】
次いで、ミラー34aのスイッチ用スペース部20への出し入れによる光ビームの光路の切り替え方法を、図1を用いて説明する。
図1(a)において例えば行方向に配列されたコア18aに左方向から波長1550nmの信号光ビームが入射されると、コア18aを伝搬してきた信号光ビームは、各スイッチ用スペース部20において光路の切り替えが行われる。即ち、第1及び第2の電極22、38間に所定の電圧を印加して、ミラー34aをスイッチ用スペース部20から抜き出したり、スイッチ用スペース部20に挿入したりすることにより、信号光ビームがミラー34aの挿入されていないスイッチ用スペース部20をそのまま直進して同じ行列方向のコア18aに向かうのか、スイッチ用スペース部20に挿入されたミラー34aにより反射されて列方向のコア18bに向かうのかが選択される。こうして、行方向のコア18aに入射された信号光ビームの光路を所望のスイッチ用スペース部20において列方向のコア18bに向かう光路に切り替えるスイッチイング動作が行われる。
【0026】
このとき、信号光ビームのモードフィールド径が16μmに制御されているため、縦横各50μmの空間からなるスイッチ用スペース部20を空間伝搬する際の信号光ビームの広がりが抑制され、スイッチ用スペース部20でのコア18a、18b間の結合損失は充分に低く押えられる。
本実施形態では、図1(a)から明らかなように、最も多い数のスイッチ用スペース部20を通過する経路の場合、先ず行方向に7個のスイッチ用スペース部20をそのまま直進し、1個のスイッチ用スペース部20でミラー34aにより反射された後、列方向に7個のスイッチ用スペース部20をそのまま直進することになる。また、最も少ない数のスイッチ用スペース部20を通過する経路の場合、1個のスイッチ用スペース部20でミラー34aにより反射されることになる。前者の場合の損失が2.5dBであったのに対して、後者の場合の挿入損失は0.5dBであった。即ち、信号光ビームの損失はどのような経路をとるかによって異なるものの、その最小値は0.5dBであり、最大値2.5dBとの差は2.0dBとなった。この結果は、従来においては容易に達成することが困難な、非常に良好な特性レベルということができる。
【0027】
次に、本実施形態の光マトリクススイッチモジュール10の製造方法を、図6〜図8を用いて説明する。
一方において、通常の光導波路作製技術を用い、基体14上のクラッド16中にコア18a、18bが8×8本の格子状に配列されている、上面が略平坦な平面導波路基板12を作製する。なお、このとき、コア18a、18bの直径φを13μmにし、コア18a、18bとクラッド16との屈折率差Δnを0.2%にする。また、隣接するコア18a、18bの間隔を500μmにする(図6(a)参照)。
【0028】
次いで、リソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、8×8本のコア18a、18bの交差箇所に対応する平面導波路基板12の上面を選択的にエッチング除去し、縦横各50μm、深さ40μmの穴を穿つ。こうして、8×8個のマトリクス状に配置されたスイッチ用スペース部20を形成する(図6(b)参照)。
【0029】
次いで、リソグラフィ技術及び蒸着技術を用いて、平面導波路基板12の上面にAu膜を選択的に蒸着する。こうして、各スイッチ用スペース部20の周囲にAu膜からなる第1の電極22を形成すると共に、各第1の電極22に接続して平面導波路基板12の端部にまで延びるAu膜からなる配線層(図示せず)を形成する。このとき、第1の電極22の外形を縦横各300μm程度の正方形にする。その後、第1の電極22の表面に、厚さ1μm程度のSiO2 膜からなる絶縁薄膜23を被覆する(図6(c)参照)。
【0030】
他方において、表面マイクロマシーニング法を用い、ミラー保持基板24を作製する。即ち、厚さ625μmのシリコン基体26上に、ポリシリコン膜28を厚さ1μm程度に堆積した後、プレート及びスプリングの形成予定領域のポリシリコン膜28のみを選択的に酸化して、犠牲層としてのSiO2 膜28aを部分的に形成する(図7(a)参照)。
【0031】
続いて、ポリシリコン膜28及びSiO2 膜28a上に、所定の厚さのシリコン基体30を搭載した後、加熱して張り合わせる(図7(b)参照)。更に、シリコン基体30の露出した面を研磨して、厚さ2μmのシリコン層30aを形成する(図7(c)参照)。
続いて、このシリコン層30a上に、ポリシリコン膜32を厚さ1μm程度に堆積した後、SiO2 膜28a上方のポリシリコン膜32のみを選択的に酸化して、SiO2 膜32aを部分的に形成する(図7(d)参照)。更に、このポリシリコン膜32及びSiO2 膜32a上に、所定の厚さのシリコン基体を搭載した後、加熱して張り合わせる。そして、このシリコン基体の露出した面を研磨して、厚さ40μmのシリコン層34を形成する。
【0032】
こうして、シリコン基体26上に、ポリシリコン膜28及びSiO2 膜28a、シリコン層30a、ポリシリコン膜32及びSiO2 膜32a、並びにシリコン層34が順に積層された部分的酸化多層SOI基板36を形成する(図7(e)参照)。
次いで、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、部分酸化多層SOI基板36の最上層のシリコン層34を選択的にエッチング除去する。こうして、SiO2 膜32a上に、幅50μm、厚さ2μm、及び高さ40μmの板形状のミラー34aを立設すると共に、ポリシリコン膜32上に高さ40μmのスペーサ34bを形成する。なお、このときのシリコン層34のドライエッチングにおいて、SiO2 膜32aをエッチストップ層として機能させる(図8(a)参照)。
【0033】
続いて、ミラー34a周囲のSiO2 膜32aを保護するレジストパターンをマスクとし、フッ酸をエッチャントとして、残余の露出したSiO2 膜32aを選択的にエッチング除去し、シリコン層30aを露出させる。その後、レジストパターンを剥離する(図8(b)参照)。
続いて、プレート及びスプリング形成用のマスクを用いたリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて、SiO2 膜28a上のシリコン層30aを選択的にエッチング除去する。こうして、縦横各300μm、厚さ2μmの四角板形状をなすプレート30b及びその周囲を角形渦巻状に取り囲んでいる幅5μm、厚さ2μmのスプリング30cを形成する。なお、このときのドライエッチングにおいては、ミラー34a及びスペーサ34bを所定のレジストパターンで保護しておく。また、SiO2 膜28aをエッチストップ層として機能させる(図8(c)参照)。
【0034】
続いて、プレート30b上のSiO2 膜32aを保護するレジストパターンをマスクとし、フッ酸をエッチャントとして、プレート30b及びスプリング30c下のSiO2 膜28aをエッチング除去する。こうして、プレート30b及びスプリング30cとシリコン基体26との間に、1μm程度の空隙を形成する。続いて、レジストパターンを剥離した後、リソグラフィ技術及び蒸着技術を用いて、ミラー34aの反射面及び露出しているプレート30bの上面を含む所定の箇所にAu膜(図示せず)を選択的に蒸着する。こうして、ミラー34aの反射面をAu膜によって被覆してその反射率を高くする。同時に、プレート30bの上面に第2の電極38を形成すると共に、この第2の電極38に接続してシリコン基体26の端部にまで延びる配線層(図示せず)を形成する。更に、スペーサ34bの上面を選択的に酸化して、SiO2 膜40を形成する。
【0035】
こうして、シリコン基体26の下面に変形可能なスプリング30cを介して接続されミラー搭載用のプレート30b等から構成されるミラー保持基板24を形成すると共に、このプレート30b上にSiO2 膜32aを介して立設されているミラー34aを形成する(図8(d)参照)。
次いで、図4に示されるように、平面導波路基板12とミラー34aが保持されたミラー保持基板24とを一体化する。即ち、図6(b)に示される平面導波路基板12上方において、図8(d)に示されるミラー保持基板24の上下を反転させる。更に、ミラー34aが平面導波路基板12のスイッチ用スペース部20上方にきて、第1の電極22と第2の電極38とが相対するように位置合せをする。その後、平面導波路基板12とミラー保持基板24とを重ね合わせ、両者間に1kV程度の電圧を印加して、平面導波路基板12の上面にSiO2 膜40を介してミラー保持基板24のスペーサ34bの下面を張り合わせる。
【0036】
こうして、コア18a、18bの各交差箇所に対応する平面導波路基板12の上面に設けられた各スイッチ用スペース部20上方に、ミラー34aが出し入れ可能な状態で配置された光マトリクススイッチモジュール10を作製する。
以上のように本実施形態によれば、ミラー34aが出し入れ可能に配置された8×8個の各スイッチ用スペース部20を有しているため、8×8本の格子状に配列されたコア18a、18bに入射された信号光ビームの光路の切り替えを行うことができる。そして、その際に、スイッチ用スペース部20へのミラー34aの出し入れに静電力が用いられるため、安定したスイッチング動作を実現することができる。また、ミラー34aの挿入には55Vの印加電圧を必要とするものの、その後の挿入状態の維持に必要な印加電圧は5V、ミラー34aの抜き出しに必要な印加電圧は3Vとなり、低電圧での状態保持を実現することができる。その結果、消費電力もμWオーダーとなり、低消費電力化を達成することができる。
【0037】
また、各スイッチ用スペース部20の縦横が各50μmであり、コア18a、18bを伝搬する信号光ビームのモードフィールド径が波長1550nmにおいて16μmであるため、スイッチ用スペース部20を空間伝搬する際の信号光ビームの広がりが抑制され、スイッチ用スペース部20でのコア18a、18b間の結合損失を充分に低く押えることができる。具体的には、最短経路の場合の損失が0.5dB、最長経路の場合の損失が2.5dB、その最小値と最大値との差が2.0dBとなり、非常に良好な特性レベルを達成することができる。
【0038】
また、ミラー34aがスイッチ用スペース部20に挿入された状態で、平面導波路基板12の上面の第1の電極22とプレート30bの下面の第2の電極38とがSiO2 膜を介してほぼ接触した状態となり、たとえ外部からの何らかの要因によって光マトリクススイッチモジュール10が振動する事態が生じても、ミラー34aは安定した状態に保持されるため、ミラー34aの挿入状態での損失変動を防止することができる。
【0039】
なお、上記第1の実施形態においては、光マトリクススイッチモジュール10が8×8個のスイッチ部を有する場合について述べたが、このスイッチ部の個数は当然に8×8個に限定されるものではない。例えば1000×1000個のスイッチ部を有する光マトリクススイッチモジュールを作製することも可能である。そして、この場合には、mWオーダーの消費電力でスイッチング動作させることが可能である。
【0040】
また、第1及び第2の電極22、38間の電気的な接続を防止する絶縁手段として、第1の電極22の表面を絶縁薄膜23で被覆する方法を採用したが、これ以外にも種々の方法がある。例えば第2の電極38の表面に絶縁薄膜を被覆してもよいし、第1及び第2の電極22、38双方の表面に絶縁薄膜を被覆してもよい。また、第1及び第2の電極22、38の一方又は双方の表面の一部に所定の厚さの絶縁体を形成し、ミラー34aの挿入時にも両電極間が絶縁される最小必要限の空隙を確保するためのスペーサとして機能させてもよい。
【0041】
また、コア18a、18bの直径φを13μmに、コア18a、18bとクラッド16との屈折率差Δnを0.2%に設定して、コア18a、18bを伝搬する光ビームのモードフィールド径が波長1550nmにおいて16μmとなるようにしているが、モードフィールド径は16μmに限定されなくともよい。コア18a、18bの直径φ及びコア18a、18bとクラッド16との屈折率差Δnを適切な値に設定して、モードフィールド径が12〜20μmの範囲内に入るようにすればよい。
【0042】
また、本実施形態の作製プロセスにおいて、図8(a)に示されるように、シリコン層34を選択的にエッチング除去してミラー34aを形成する際に、ドライエッチング法の代わりに、ウエットエッチング法を用いてもよい。例えばシリコン層34の方位面を(110)面に合わせ、アルカリ溶液による異方性エッチングを行うことにより、垂直な反射面をもつ板形状のミラー34aを形成することが可能である。この場合も、SiO2 膜32aがエッチストップ層として機能する。そして、このウエットエッチング法を用いることにより、ミラー34aの反射面が(111)結晶面となるため、表面が非常に滑らかで垂直性のよい反射面を得ることができる。
【0043】
また、図8(c)に示されるように、シリコン層30aを選択的にエッチング除去してプレート30b及びスプリング30cを形成する際にも、ドライエッチング法の代わりに、ウエットエッチング法を用いてもよい。この場合にも、SiO2 膜28aがエッチストップ層として機能する。但し、このウエットエッチング法を用いることにより、横方向へのサイドエッチングが生じるため、プレート30b及びスプリング30cの断面形状が上下方向に角度をもった台形状になる。
【0044】
また、図7(e)に示されるような2層のSiO2 膜28a、32aを有する部分的酸化多層SOI基板36を用いる代わりに、SiO2 膜32aを省いた1層のSiO2 膜28aを有するSOI基板を用いてもよい。この場合、ポリシリコン膜32及びSiO2 膜32aを形成する工程が省略され、シリコン層30a及びシリコン層34がポリシリコン膜28及びSiO2 膜28a上に張り合わせた1つのシリコン基体を研磨して一体的に形成することになる。従って、工程が簡略化され、製造コストの低減に寄与することができる。
【0045】
但し、この場合、シリコン層34に相当する部分を選択的にエッチング除去して、ミラー34a及びスペーサ34bを形成する際に、エッチストップ層として機能させるSiO2 膜32aが存在しない。このため、シリコン層34に相当する部分をエッチングする際に、プレート30b及びスプリング30cを形成するためのシリコン層30aに相当する部分を残存させる必要が生じることから、エッチング時間を厳しく管理する必要がある。
【0046】
(第2の実施形態)
図9に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10aは、上記第1の実施形態におけるスイッチ用スペース部20に、屈折率n=1.44のマッチングオイル42が充填されているものである。このため、図10に示されるように、ミラー34aがスイッチ用スペース部20に挿入される際には、ミラー34aがマッチングオイル42中に浸漬された状態となる。
【0047】
この光マトリクススイッチモジュール10aにおいては、コア18a、18bを伝搬してきた信号光ビームの光路の切り替えがスイッチ用スペース部20で行われる際に、スイッチ用スペース部20をそのまま直進するにしても、ミラー34aによって反射されるにしても、マッチングオイル42中を伝搬することになる。このため、光マトリクススイッチモジュール10aのスイッチング動作は、上記第1の実施形態の場合と基本的に変わらないものの、スイッチ用スペース部20を伝搬する際の信号光ビームの広がりが一層抑制されることになり、上記第1の実施形態の場合よりも結合損失を小さくすることができるという効果を奏する。
【0048】
なお、マッチングオイル42のスイッチ用スペース部20への充填は次のようにして行われる。即ち、平面導波路基板12とミラー保持基板24とを一体化した際の張り合わせ箇所以外の部分から、両者間の間隙を介してマッチングオイル42を導入し、スイッチ用スペース部20に充填する。
【0049】
(第3の実施形態)
図11に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10bは、上記第2の実施形態におけるミラー保持基板24aのシリコン基体26に、マッチングオイル42をスイッチ用スペース部20に導入するための貫通孔44が設けられたものである。
【0050】
この光マトリクススイッチモジュール10bにおいては、マッチングオイル42をスイッチ用スペース部20に充填する際に、ミラー保持基板24aのシリコン基体26に設けられた貫通孔44からスプリング30cの隙間を介してマッチングオイルをスイッチ用スペース部20に導入することが可能になる。このため、上記第2の実施形態の場合のように平面導波路基板12とミラー保持基板24との間の非常に狭い間隙を介して導入する場合に較べて、マッチングオイル42の充填作業が容易になるという効果を奏する。
【0051】
なお、光マトリクススイッチモジュール10bのスイッチング動作や、スイッチ用スペース部20を伝搬する際の信号光ビームの結合損失は、上記第2の実施形態の場合と同様である。
【0052】
(第4の実施形態)
図12(a)、(b)に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10cは、上記第1の実施形態におけるミラー34aの移動機構とは異なる駆動機構を備えている。
即ち、上記第1の実施形態の場合、ミラー34aの移動機構は、平面導波路基板12の上面及びプレート30bの下面にそれぞれ相対して形成された第1及び第2の電極22、38、並びに第1及び第2の電極22、38に接続された給電装置等から構成されている。これに対して、本実施形態におけるミラー34aの移動機構は、シリコン基体26とミラー搭載用のプレート30bとを接続する変形可能なスプリング30cの下面に設けられた加熱によって伸縮する部材、例えばバイメタル46、及びこのバイメタル46に通電して所定の温度に加熱するための給電装置(図示せず)等から構成されている。
【0053】
ここで、バイメタル46は、スプリング30cの平面導波路基板12と相対する下面に形成された熱膨張率の相対的に大きい第1の金属薄膜46aと、この第1の金属薄膜46aの厚み方向に張り合わされた熱膨張率の相対的に小さい第2の金属薄膜46bとを有する。
この光マトリクススイッチモジュール10cにおいては、バイメタル46に通電して所定の温度にまで加熱すると、第1及び第2の金属薄膜46a、46bの熱膨張率の差によるバイメタル効果によってスプリング30cが変形し、プレート30bが平面導波路基板12側に近付く。こうして、プレート30bの下面に垂下されているミラー34aが平面導波路基板12の上面に対して垂直方向に下方に移動する。
【0054】
本実施形態の場合、ミラー34aをスイッチ用スペース部20に完全に挿入するためには、バイメタル46に対する印加電圧は5Vでよいものの、数mAの電流が必要となるため、消費電力は数十mWとなる。
このように本実施形態においては、ミラー34aの駆動機構として、スプリング30cの下面に設けたバイメタル46の加熱による伸縮効果を利用するため、平面導波路基板12の上面及びプレート30bの下面にそれぞれ相対して形成された第1及び第2の電極22、38間に働く静電力を利用する上記第1の実施形態の場合と比較して、光マトリクススイッチモジュール10cの構造及び製造方法が簡単になるというメリットがある。
【0055】
(第5の実施形態)
図13(a)、(b)に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10dも、上記第1の実施形態におけるミラー34aの移動機構とは異なる駆動機構を備えている。
即ち、本実施形態におけるミラー34aの移動機構は、スプリング30cの下面に設けられた電圧印加によって伸縮する部材、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)層48、このPZT層48を厚み方向に挟んで設けられた2つの電極50a、50b、及びこれら2つの電極50a、50bに所定の電圧を印加するための給電装置(図示せず)等から構成されている。
【0056】
この光マトリクススイッチモジュール10dにおいては、2つの電極50a、50b間に所定の電圧を印加すると、PZT層48が伸張してスプリング30cが変形し、プレート30bが平面導波路基板12側に近付く。こうして、プレート30bの下面に垂下されているミラー34aが平面導波路基板12の上面に対して垂直方向に下方に移動する。
【0057】
本実施形態の場合、ミラー34aをスイッチ用スペース部20に完全に挿入するためには、PZT層48に対する30Vの印加電圧が必要である。また、ミラー34aをスイッチ用スペース部20に挿入した状態を保持するためにも、30Vの印加電圧が必要である。但し、この場合においても、消費電力はμWのオーダーであり、低消費電力化が達成される。
【0058】
このように本実施形態においては、ミラー34aの駆動機構として、スプリング30cに設けたPZT層48の電圧印加による伸縮効果を利用するため、上記第4の実施形態の場合と同様に、光マトリクススイッチモジュール10dの構造及び製造方法が簡単になるというメリットがある。
【0059】
(第6の実施形態)
図14に示されるように、本実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール10eは、上記第1の実施形態におけるミラー34a及びミラー保持基板24の代わりに、樹脂からなるミラー52a及びミラー保持基板52bを用いているものである。ここで、ミラー52a及びミラー保持基板52bの各構成部分は、上記第1の実施形態におけるミラー34a及びミラー保持基板24の各構成部分と材質が異なるのみで、略同様の外形をなしている。
【0060】
即ち、本実施形態におけるミラー保持基板52bは、平面導波路基板12の上面に対して所定の間隙をおいた支持基体としての樹脂基体52cを備えている。この樹脂基体52cの下面の所定の領域に樹脂製のスペーサ52dが形成されており、このスペーサ52dの下面と平面導波路基板12の上面とが例えばエポキシ系の接着剤54を介して接続されている。
【0061】
また、樹脂基体52cの下面側に所定の空隙をおいて樹脂製のミラー搭載用のプレート52eが配置され、平面導波路基板12の各スイッチ用スペース部20に相対している。このプレート52eは、同じく樹脂製の変形可能なスプリング52fを介して、樹脂基体52cの下面に接続されている。
また、ミラー保持基板52bのプレート52eの下面の中央部には、樹脂製のミラー52aが垂下されている。また、プレート52eの下面上には、第2の電極38が平面導波路基板12の上面上の第1の電極22に相対して形成されている。なお、ミラー52aの反射面にも、上記第1の実施形態の場合と同様、Au膜(図示せず)が被覆され、高い反射率を実現している。
【0062】
また、第1及び第2の電極22、38間の電気的な接続を防止するための絶縁薄膜23が第1の電極22の表面に被覆されている。
また、本実施形態におけるミラー52a及びミラー保持基板52bの作製は、次のようにして行う。
先ず、ミラー52a及びミラー保持基板52bの樹脂製の構成部分、即ちミラー52a、並びに樹脂基体52c、スペーサ52d、プレート52e、及びスプリング52fを樹脂の押し出し成型法を用いて一体的に形成する。その後、上記第1の実施形態の場合と同様に、リソグラフィ技術及び蒸着技術を用いて、ミラー52aの反射面にAu膜(図示せず)を蒸着して被覆する。
【0063】
このように本実施形態においては、ミラー保持基板52bのスプリング52fがシリコンよりもヤング率の小さい樹脂を材料として用いているため、ミラー52fをスイッチ用スペース部20に挿入する際に必要な印加電圧が25Vになり、上記第1の実施形態の場合の印加電圧55Vよりも大幅に小さくすることができる。また、ミラー52fの挿入状態を保持するために必要な印加電圧も3Vになり、上記第1の実施形態の場合の印加電圧5Vよりも小さくすることができる。その結果、更なる低消費電力化を達成することができる。
【0064】
また、ミラー52a及びミラー保持基板52bを作製する際に、樹脂の押し出し成型法を用いているため、微細金型を一度作製すれば、複数のコピーを容易に作製することが可能になり、光マトリクススイッチモジュール10eの製造方法が簡略化されるというメリットもある。なお、この樹脂の押し出し成型法の代わりに、微細金型によるプレス加工法を用いていることも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、格子状に配列されたコアの交差箇所に対応する平面導波路基板のの上面に設けられた所定の大きさのスイッチ用スペース部上方に、ミラー保持基板に移動可能な状態で保持されたミラーが配置されているため、このミラーのスイッチ用スペース部への出し入れによって、コアを伝搬する光ビームの光路の切り替えを制御することができる。
【0066】
そして、ミラー及びミラー保持基板がMEMS技術を用いて形成され、ミラーをスイッチ用スペース部に出し入れする移動機構に、静電力、加熱による伸縮効果、又は電圧印加による伸縮効果が用いられているため、安定したスイッチング動作を実現することができると共に、損失の低減、スイッチの切り替え後における安定性、低消費電力化等を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す概略図、(b)は(a)の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールの平面導波路基板を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールのミラー及びミラー保持基板を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図であって、ミラーがスイッチ用スペース部から取り出されている状態を示すものである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図であって、ミラーがスイッチ用スペース部に挿入されている状態を示すものである。
【図6】(a)〜(c)はそれぞれ本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールの製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図7】(a)〜(e)はそれぞれ本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールの製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図8】(a)〜(d)はそれぞれ本発明の第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールの製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図であって、ミラーがスイッチ用スペース部から取り出されている状態を示すものである。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図であって、ミラーがスイッチ用スペース部に挿入されている状態を示すものである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図である。
【図12】(a)は本発明の第4の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図13】(a)は本発明の第5の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュールを示す一部断面図である。
【符号の説明】
10  第1の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
10a  第2の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
10b  第3の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
10c  第4の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
10d  第5の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
10e  第6の実施形態に係る光マトリクススイッチモジュール
12   平面導波路基板
14   基体
16   クラッド
18a、18b  コア
20   スイッチ用スペース部
22   第1の電極
23   絶縁薄膜
24、24a  ミラー保持基板
26   シリコン基体
28   ポリシリコン膜
28a  SiO2 
30   シリコン基体
30a  シリコン層
30b  プレート
30c  スプリング
32   ポリシリコン膜
32a  SiO2 
34   シリコン層
34a  ミラー
34b  スペーサ
36   部分酸化多層SOI基板
38   第2の電極
40   SiO2 
42   マッチングオイル
44   貫通孔
46   バイメタル
46a  第1の金属薄膜
46b  第2の金属薄膜
48   PZT層
50a、50b  電極
52a  ミラー
52b  ミラー保持基板
52c  樹脂基体
52d  スペーサ
52e  プレート
52f  スプリング
54   エポキシ系の接着剤

Claims (22)

  1. 周囲をクラッドに囲まれたコアが格子状に配列され、上面が略平坦な平面導波路基板と、
    前記コアの交差箇所に対応する前記平面導波路基板の上面に穴状に設けられた所定の大きさのスイッチ用スペース部と、
    前記スイッチ用スペース部の上方に配置されたミラーと、
    前記ミラーを移動可能な状態で保持するミラー保持基板と、
    前記ミラーを前記平面導波路基板の上面に対して垂直方向に移動させる移動機構と、を有し、
    前記ミラー保持基板に保持された前記ミラーを前記移動機構を用いて前記スイッチ用スペース部に出し入れすることにより、前記コアを伝搬する光ビームの光路の切り替えを制御することを特徴とする光マトリクススイッチモジュール。
  2. 前記スイッチ用スペース部が、縦横が各50μm以下で所定の深さの大きさであり、前記コアの径及び前記コアと前記クラッドとの屈折率差が、前記コアを伝搬する光ビームのモードフィールド径が波長1550nmにおいて12μm以上20μm以下となるように設定されている、請求項1記載の光マトリクススイッチモジュール。
  3. 前記スイッチ用スペース部に、所定の屈折率のマッチングオイルが充填されている、請求項1記載の光マトリクススイッチモジュール。
  4. 前記ミラー保持基板が、前記平面導波路基板の上面に対して所定の間隙をもって固定された支持基体と、前記支持基体の下面に変形可能なスプリングを介して接続されたプレートと、を有し、前記プレートの前記平面導波路基板に相対する下面に前記ミラーが垂下されている、請求項1記載の光マトリクススイッチモジュール。
  5. 前記駆動機構が、前記平面導波路基板の上面及び前記プレートの下面に相対して設けられた第1及び第2の電極を有し、前記第1及び第2の電極の間に所定の電圧を印加して静電力を発生させ、前記プレートを前記平面導波路基板側に引き寄せることにより、前記プレートの下面に垂下されている前記ミラーを前記スイッチ用スペース部に出し入れする、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  6. 前記第1及び第2の電極の間の電気的な接続を防止するための絶縁手段が設けられている、請求項5記載の光マトリクススイッチモジュール。
  7. 前記駆動機構が、前記スプリングに設けられた加熱により伸縮する部材を有し、前記部材を加熱して伸縮させ、前記スプリングを変形させることにより、前記プレートの下面に垂下されている前記ミラーを前記スイッチ用スペース部に出し入れする、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  8. 前記駆動機構が、前記スプリングに設けられた電圧印加により伸縮する部材を有し、前記部材に所定の電圧を印加して伸縮させ、前記スプリングを変形させることにより、前記プレートの下面に垂下されている前記ミラーを前記スイッチ用スペース部に出し入れする、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  9. 前記支持基体に、前記スイッチ用スペース部にマッチングオイルを導入するための貫通孔が設けられている、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  10. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板が、シリコンを材料として形成されている、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  11. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板が、樹脂を材料として形成されている、請求項4記載の光マトリクススイッチモジュール。
  12. 前記ミラーの反射面が、金属膜によって被覆されている、請求項10又は11に記載の光マトリクススイッチモジュール。
  13. 周囲をクラッドに囲まれたコアが格子状に配列され、上面が略平坦な平面導波路基板を形成するステップと、
    前記コアの交差箇所に対応する前記平面導波路基板の上面に所定の大きさの穴を穿ち、スイッチ用スペース部を形成するステップと、
    ミラー及び前記ミラーを移動可能な状態で保持するミラー保持基板を一体的に形成するステップと、
    前記ミラーを移動させる移動機構を形成するステップと、
    前記平面導波路基板と前記ミラー保持基板とを一体化して、前記スイッチ用スペース部の上方に前記ミラーを出し入れ可能な状態で配置するステップと、
    を有することを特徴とする光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  14. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板を一体的に形成するステップが、シリコン基体上に複数の薄膜を積層し、中間の薄膜をエッチング除去して、立体形状を形成する表面マイクロマシーニング法により、シリコンを材料として、支持基体、前記支持基体に接続される変形可能なスプリング、前記スプリングに接続されるプレート、及び前記プレート上に立設するミラーを形成するステップである、請求項13記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  15. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板を一体的に形成するステップが、支持基体としてのシリコン基体上に、部分的に形成した第1の絶縁膜を介して第1のシリコン層を形成し、前記第1の絶縁膜上方の前記第1のシリコン層上に、部分的に形成した第2の絶縁膜を介して第2のシリコン層を形成する第1のステップと、前記第2の絶縁膜上の前記第2のシリコン層を選択的にエッチングして、前記第1のシリコン層上に前記第2の絶縁膜を介して立設するミラーを形成する第2のステップと、前記第2の絶縁膜を選択的にエッチング除去して、前記第1のシリコン層を露出させた後、前記第1の絶縁膜上の前記第1のシリコン層を選択的にエッチングして、前記シリコン基体に接続する変形可能なスプリングを形成すると共に、前記スプリングに接続するプレートをその上方に前記ミラーを立設した状態で形成する第3のステップと、前記第1の絶縁膜をエッチング除去する第4のステップと、を有する、請求項13記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  16. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板を一体的に形成するステップが、支持基体としてのシリコン基体上に、部分的に形成した絶縁膜を介して第1のシリコン層を形成する第1のステップと、前記絶縁膜上の前記第1のシリコン層を選択的にエッチングして、前記絶縁膜上に所定の厚さの第2のシリコン層を残存させると共に、前記第2のシリコン層上に立設するミラーを形成する第2のステップと、前記絶縁膜上の前記第2のシリコン層を選択的にエッチングして、前記シリコン基体に接続する変形可能なスプリングを形成すると共に、前記スプリングに接続するプレートをその上に前記ミラーを立設した状態で形成する第3のステップと、前記絶縁膜をエッチング除去する第4のステップと、を有する、請求項13記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  17. 前記ミラーを形成する際のエッチングが、ドライエッチング法又はアルカリ溶液によるウエットエッチング法を用いて行われる、請求項15又は16に記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  18. 前記ミラー及び前記ミラー保持基板を一体的に形成するステップが、樹脂の押し出し成型法又はプレス加工法により、樹脂を材料として、支持基体、前記支持基体に接続される変形可能なスプリング、前記スプリングに接続されるプレート、及び前記プレート上に立設するミラーを形成するステップである、請求項13記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  19. 前記支持基体に、前記スイッチ用スペース部にマッチングオイルを導入するための貫通孔を形成するステップを有する、請求項14乃至18のいずれかに記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  20. 前記移動機構を形成するステップが、前記平面導波路基板の上面に第1の電極を形成するステップと、前記プレートの下面に前記第1の電極に相対する第2の電極を形成するステップと、を有する、請求項14乃至19のいずれかに記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  21. 前記移動機構を形成するステップが、前記スプリング上に、熱膨張率の異なる2種の金属薄膜が積層されてなるバイメタルを形成するステップを有する、請求項14乃至19のいずれかに記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
  22. 前記スプリング上に、電圧印加により伸縮する部材からなる層を形成するステップを有する、請求項14乃至19のいずれかに記載の光マトリクススイッチモジュールの製造方法。
JP2002177373A 2002-06-18 2002-06-18 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法 Pending JP2004021030A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002177373A JP2004021030A (ja) 2002-06-18 2002-06-18 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002177373A JP2004021030A (ja) 2002-06-18 2002-06-18 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004021030A true JP2004021030A (ja) 2004-01-22

Family

ID=31175425

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002177373A Pending JP2004021030A (ja) 2002-06-18 2002-06-18 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004021030A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100617787B1 (ko) * 2004-06-29 2006-08-28 삼성전자주식회사 고속 퓨리에 변환을 이용하여 방해전파를 검출하는전세계위치확인 시스템 수신기 및 방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100617787B1 (ko) * 2004-06-29 2006-08-28 삼성전자주식회사 고속 퓨리에 변환을 이용하여 방해전파를 검출하는전세계위치확인 시스템 수신기 및 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6996306B2 (en) Electrostatically operated micro-optical devices and method for manufacturing thereof
JP4456310B2 (ja) 微小電気機械光スイッチ及びその製造方法
US7453182B2 (en) Micro oscillating element
US5367584A (en) Integrated microelectromechanical polymeric photonic switching arrays
US7012752B2 (en) Tunable-wavelength optical filter and method of manufacturing the same
US6839478B2 (en) Optical switching system based on hollow waveguides
TW200414661A (en) Piezoelectric switch for tunable electronic components
JP2003519821A (ja) 微小電気機械システム(mems)光スイッチおよびその製造方法
JP2007299008A (ja) 光空洞からなる物品
JP3942619B2 (ja) 光偏向素子
JP2009214295A (ja) シリコン構造熱分離のためのシステム及び方法
JP2003329946A (ja) 光スイッチ
JP2005519784A (ja) 絶縁物質に具現されたmemsコームアクチュエータとその製造方法
US20030012545A1 (en) Broad-band variable optical attenuator
US20020164111A1 (en) MEMS assemblies having moving members and methods of manufacturing the same
JP3577693B2 (ja) 微小可動デバイスおよびその製造方法
JP2004021030A (ja) 光マトリクススイッチモジュール及びその製造方法
US6961488B2 (en) Optical switch and method of producing the same
US6993218B2 (en) Optical switch and optical switch array
JP3451395B2 (ja) 光スイッチおよびその製造方法
JP4558745B2 (ja) 光学部品およびそれらの製造方法
JP2006187060A (ja) マイクロアクチュエータ及びその製造方法、並びに、光学装置及び光スイッチ
WO2002103432A1 (fr) Commutateur optique
JP4012808B2 (ja) 可変光減衰器
KR100446731B1 (ko) 광스위치용 압전구동형 미소거울 및 그 제조방법