JP2004019466A - エンジンの点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸気温度に起因するノッキングの発生を運転領域毎に有効に回避することができるようにする。
【解決手段】エンジン回転数とエンジン負荷とに基づきマッブを参照して基本点火時期ABASEと基本吸気温度TABASEとを設定し(S1)、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとを比較し(S4)、差分(TA−TABASE)が0以上のときは、差分(TA−TABASE)に基づきテーブルを参照して点火時期補正値ATAを設定し(S5)、基本点火時期ABASEを点火時期補正値ATAで遅角補正して最終点火時期ADVSを設定する(S7)。実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分に応じて点火時期を遅角補正するようにしたので、常に適切な点火時期を設定することができる。
【選択図】図2
【解決手段】エンジン回転数とエンジン負荷とに基づきマッブを参照して基本点火時期ABASEと基本吸気温度TABASEとを設定し(S1)、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとを比較し(S4)、差分(TA−TABASE)が0以上のときは、差分(TA−TABASE)に基づきテーブルを参照して点火時期補正値ATAを設定し(S5)、基本点火時期ABASEを点火時期補正値ATAで遅角補正して最終点火時期ADVSを設定する(S7)。実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分に応じて点火時期を遅角補正するようにしたので、常に適切な点火時期を設定することができる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの点火時期制御装置に関し、特に、吸気温度に起因するノッキングの発生を、運転領域毎に点火時期を遅角補正することで回避するエンジンの点火時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの点火時期制御では、各気筒に供給される吸気温度が高くなるとノッキングが発生し易くなるため、吸気温度センサで実際の吸気温度を検出し、この吸気温度が設定吸気温度を超えた場合、点火時期を遅角補正してノッキングの発生を回避する吸気温度補正制御が知られている。
【0003】
例えば特開平10−169536号公報には、基本点火時期を、吸気温度センサで検出した吸気温に基づいて設定した点火時期補正値で遅角補正する技術が開示されている。
【0004】
すなわち、この点火時期補正値は、吸気温度が高くなるに従い、基本点火時期を遅角させて、吸気温度に起因するノッキングの発生を回避するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した公報に開示されている技術では、点火時期補正値を吸気温度センサで検出した吸気温度に基づいて可変設定しているが、ノッキングの発生し易い吸気温度は運転領域毎に相違している。
【0006】
従って、例えば、低回転高負荷運転等のノッキングの発生し易い領域では、吸気温度に基づいて設定した点火時期補正値で点火時期を遅角補正しても、ノッキングを有効に回避することができない不具合を生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、吸気温度に起因するノッキングの発生を、運転領域毎に有効に回避することができて、常に適正な点火時期を設定することのできるエンジンの点火時期制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明によるエンジンの点火時期制御装置は、エンジン運転状態に基づき基本点火時期を設定する基本点火時期設定手段と、通常のエンジン運転状態に基づく基本吸気温度を運転領域毎に予め設定した基本吸気温度マップと、実吸気温度を検出する実吸気温度設定手段と、上記実吸気温度と上記基本吸気温度マップから得た基本吸気温度との差分に応じた点火時期補正値を設定する点火時期補正手段と、上記基本点火時期を少なくとも上記点火時期補正値で遅角補正して最終点火時期を設定する最終点火時期設定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成では、エンジン運転状態に基づき基本点火時期と基本吸気温度とを設定し、又、吸気温度検出手段にて実際の吸気温度(実吸気温度)を検出する。そして、実吸気温度と予め設定した基本吸気温度マップから得た基本吸気温度との差分に応じた点火時期補正値を設定し、少なくとも点火時期補正値で基本点火時期を遅角補正して最終点火時期を設定する。
【0010】
この場合、この好ましくは、上記エンジン運転状態はエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて設定することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1にはエンジンの要部概略構成図が示されている。
【0012】
同図の符号1はエンジン本体で、このエンジン本体1の燃焼室1aに点火プラグ2が臨まされている。又、シリンダヘッド3には、燃焼室1aに連通する吸気ポート4と排気ポート5とが設けられている。
【0013】
吸気ポート4に吸気通路6が連通され、この吸気通路6の中途に、エアチャンバ8が形成され、このエアチャンバ8の上流にスロットル弁9が配設されている。更に、吸気通路6のスロットル弁9の上流側にインタークーラ10が介装され、その上流にエアクリーナ(図示せず)が連通されている。一方、排気ポート5に排気通路11が連通され、この排気通路11がマフラ(図示せず)に連通されている。
【0014】
又、符号15は過給機の一例であるターボ過給機であり、このターボ過給機15のタービンホイール15aが排気通路11に設けたタービンハウジング15bに収納され、一方、このタービンホイール15aにタービン軸15cを介して連結するコンプレッサホイール15dが吸気通路6のインタークーラ10の上流に設けたコンプレッサハウジング15eに収納されている。尚、図においては、タービン軸15cが吸気通路6と排気通路11とに分離された状態で示されているが、実際には一体で構成されている。
【0015】
又、エンジン本体1にエンジン温度の代表である冷却水温TWを検出する水温センサ17、ノッキングの発生を検出するノックセンサ18が配設され、スロットル弁9にスロットル開度Thを検出するスロットル開度センサ19が連設されている。更に、エアチャンバ8に、スロットル弁9下流の吸気管圧力Pmを絶対圧で検出する吸気管圧力センサ20と、実際の吸気温度(以下「実吸気温度」と称する)TAを検出する吸気温度センサ21とが配設されている。又、クランク軸22に設けられているクランクロータ22aにクランク角センサ23が対設されている。
【0016】
又、符号30は電子制御装置(ECU)で、この電子制御装置30の入力側に、水温センサ17、ノックセンサ18、スロットル開度センサ19、吸気管圧力センサ20、吸気温度センサ21、クランク角センサ23等、エンジン運転状態を検出するセンサ・スイッチ類が接続され、又、出力側に、インジェクタ16を駆動するインジェクタ駆動用アクチュエータ(図示せず)、及び点火プラグ2に対して点火駆動信号を出力する点火駆動回路2a等が接続されている。
【0017】
電子制御装置30では、エンジン運転状態を検出するセンサ・スイッチ類からの信号に基づき、燃料噴射制御、点火時期制御を実行すると共に、点火時期制御では、吸気温度センサ21で検出した実吸気温度TA、エンジン回転数NE、エンジン負荷LOに基づき、点火時期を遅角補正する吸気温度補正値ATAを設定すると共に、ノックセンサ18でノッキングの発生を検出したときは、点火時期を更に遅角補正してノッキングを回避する。
【0018】
電子制御装置30で実行される点火時期制御は、具体的には、図2に示す点火時期制御ルーチンに従って処理される。
【0019】
このルーチンは、イグニッションスイッチをONした後、所定演算周期毎に実行され、先ず、ステップS1で、各センサ・スイッチ類から出力される信号に基づき演算される運転状態パラメータを読込む。この運転状態パラメータは、例えば、スロットル開度センサ19の出力信号に基づいて算出したスロットル開度Th、クランク角センサ23から出力されるクランクパルスに基づいて算出したエンジン回転数NE、吸気管圧力センサ20の出力信号に基づいて算出した吸気管圧力Pm、吸気温度センサ21の出力信号に基づいて算出した実吸気温度TA等である。
【0020】
次いで、ステップS2へ進み、基本点火時期ABASE、基本吸気温度TABASEを算出する。基本点火時期ABASEは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づき、基本点火時期マップ(図示せず)を補間計算付で参照して算出するもので、この基本点火時期ABASEは、エンジン回転数NEが高く、且つエンジン負荷LOが大きくなるに従い進角させる方向に設定される。
【0021】
尚、エンジン負荷LOとして、吸気管圧力Pm、この吸気管圧力Pmとエンジン回転数NEとに基づいて設定する基本燃料噴射量Tp、スロットル開度Th等を代用しても良い。
【0022】
又、基本吸気温度TABASEは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づき、図3に示す基本吸気温度マップを補間計算付で参照して設定される。この基本吸気温度マップは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとの関係からエンジンの運転領域を検出し、各運転領域において通常運転状態での吸気温度を予め実験等から求めて設定したもので、エンジン回転数NEとエンジン負荷LO毎に上記実験等から求めた吸気温度が基本吸気温度TABASEとして記憶されている。
【0023】
その後、ステップS3へ進み、エンジン負荷LOと吸気温度補正制御実施領域判定値Laとを比較する。図3に示すように、吸気温度補正制御実施領域はエンジン負荷LOに基づき、吸気温度が比較的高く、且つ負荷も高いために、運転状態によっては吸気温度補正制御を必要とする領域を予め実験などから求めて設定したもので、吸気温度補正制御実施領域判定値Laは、その境界を示している。
【0024】
そして、La≧LOのときは、エンジン負荷LOが吸気温度補正制御実施領域にあるため、吸気温度補正値ATAを算出すべく、ステップS4へ進む。一方、La<LOのときは、エンジン負荷LOが吸気温度補正制御実施領域から外れているため、ステップS6へ分岐し、吸気温度補正値ATAをクリアし(ATA←0)、ステップS7へ進む。
【0025】
又、ステップS3からステップS4へ進むと、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとを比較し、その差分(TA−TABASE)が0以上か否か、すなわち、実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEよりも高いか否かを調べる。
【0026】
そして、TA−TABASE>0、すなわち実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEよりも高く場合は、実吸気温度TAが通常の運転状態に対して高く、吸気温度補正を行なう必要があるので、ステップS6へ進む。
【0027】
又、TA−TABASE≦0、すなわち実吸気温度TAが基本吸気温度TABASE以下のときは、実吸気温度TAが通常の運転状態よりも高い値を示していないため、吸気温度補正を行なう必要がないので、ステップS6へ進み、吸気温度補正値ATAをクリアする(ATA←0)。
【0028】
ステップS4からステップS5へ進むと、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分(TA−TABASE)に基づき、図4に示す吸気温度補正値テーブルを参照して、吸気温度補正値ATAを設定する。この吸気温度補正値テーブルには、差分(TA−TABASE)が大きな値になるほど大きく遅角補正するように、小さな値(マイナス側)の吸気温度補正値ATAが格納されている。従って、吸気温度補正値テーブルを参照して設定される吸気温度補正値ATAの最大値は、0である。
【0029】
その後、ステップS5或いはステップS6からステップS7へ進むと、基本点火時期ABASEに吸気温度補正値ATAを加算して、最終点火時期(点火進角値)ADVSを算出して(ADVS=ABASE+ATA)、ルーチンを抜ける。尚、この最終点火時期ADVSは、実際には、基本点火時期ABASEを、吸気温度補正値ATA以外に、水温センサ17で検出した冷却水温TWに基づいて設定する水温補正値等のフィードフォワード補正、及びノックセンサ18からのノック検出信号に基づいて設定するフィードバック補正等の各種補正項により補正されて設定される。
【0030】
そして、最終点火時期ADVSは、所定のレジスタにセットされ、そのタイミングで、点火対象気筒の点火駆動回路2aに対して点火信号が出力され、点火プラグ2から点火火花が発生される。
【0031】
次に、上述した図2に示す点火時期制御ルーチンに従って処理される制御状態を、図5に示すタイムチャートに従って説明する。
【0032】
ターボ過給機付エンジンにおいて、区間t0〜t1に示すように、一定の高負荷運転状態でエンジン回転数NEを上昇させると、それに伴い基本点火時期ABASEは進角方向へ設定され、同時に基本吸気温度TABASEも上昇する。
【0033】
そして、実吸気温度TAがある程度上昇したところで、エンジン負荷LOを一定に保持した状態のままシフトアップ操作等によりエンジン回転数NEを低下させると(時間t1)、基本吸気温度TABASEはエンジン回転数NEをパラメータとしているため、エンジン回転数NEに追従して低下するが、実吸気温度TAは急激には低下せず、従って、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分(TA−TABASE)は正の値となり(TA−TABASE>0)、ステップS4からステップS5へ進み、差分(TA−TABASE)に基づいて点火時期補正値ATAを設定するが、差分(TA−TABASE)が高い値を示しているため、点火時期補正値ATAは大きく遅角補正する値(負の値)に設定される。
【0034】
従って、最終点火時期ADVSは、基本点火時期ABASEから点火時期補正値ATA分だけ遅角補正した値に設定される。
【0035】
そして、実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEに近接するに従い、換言すれば、差分(TA−TABASE)が次第に0に近づくに従い、最終点火時期ADVSは徐々に進角される。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、実吸気温度TAが、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づいて設定する基本吸気温度TABASEよりも高い場合には、その差分(TA−TABASE)に応じて点火時期を遅角補正するようにしたので、ノックセンサ18でノックが検出されるよりも早く点火時期を遅角補正することができる。その結果、ノッキングの発生を有効に回避することができ、常に適正な点火時期を設定することができて、良好な運転性能を得ることができる。
【0037】
尚、本発明は上述した実施の形態に限るものではなく、採用するエンジンはターボ過給機付エンジン以外に、通常の自然吸気によるエンジンに採用できることは云うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、吸気温度に起因するノッキングの発生を運転領域毎に有効に回避することができると共に、常に適正な点火時期を設定することができ、良好な運転性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの要部概略構成図
【図2】点火時期制御ルーチンを示すフローチャート
【図3】基本吸気温度マップの説明図
【図4】吸気温度補正値テーブルの説明図
【図5】点火時期の制御状態を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 エンジン本体
ABASE 基本点火時期
ADVS 最終点火時期
ATA 点火時期補正値
LO エンジン負荷
NE エンジン回転数
TA 実吸気温度
TABASE 基本吸気温度
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの点火時期制御装置に関し、特に、吸気温度に起因するノッキングの発生を、運転領域毎に点火時期を遅角補正することで回避するエンジンの点火時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンの点火時期制御では、各気筒に供給される吸気温度が高くなるとノッキングが発生し易くなるため、吸気温度センサで実際の吸気温度を検出し、この吸気温度が設定吸気温度を超えた場合、点火時期を遅角補正してノッキングの発生を回避する吸気温度補正制御が知られている。
【0003】
例えば特開平10−169536号公報には、基本点火時期を、吸気温度センサで検出した吸気温に基づいて設定した点火時期補正値で遅角補正する技術が開示されている。
【0004】
すなわち、この点火時期補正値は、吸気温度が高くなるに従い、基本点火時期を遅角させて、吸気温度に起因するノッキングの発生を回避するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した公報に開示されている技術では、点火時期補正値を吸気温度センサで検出した吸気温度に基づいて可変設定しているが、ノッキングの発生し易い吸気温度は運転領域毎に相違している。
【0006】
従って、例えば、低回転高負荷運転等のノッキングの発生し易い領域では、吸気温度に基づいて設定した点火時期補正値で点火時期を遅角補正しても、ノッキングを有効に回避することができない不具合を生じる場合がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、吸気温度に起因するノッキングの発生を、運転領域毎に有効に回避することができて、常に適正な点火時期を設定することのできるエンジンの点火時期制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明によるエンジンの点火時期制御装置は、エンジン運転状態に基づき基本点火時期を設定する基本点火時期設定手段と、通常のエンジン運転状態に基づく基本吸気温度を運転領域毎に予め設定した基本吸気温度マップと、実吸気温度を検出する実吸気温度設定手段と、上記実吸気温度と上記基本吸気温度マップから得た基本吸気温度との差分に応じた点火時期補正値を設定する点火時期補正手段と、上記基本点火時期を少なくとも上記点火時期補正値で遅角補正して最終点火時期を設定する最終点火時期設定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成では、エンジン運転状態に基づき基本点火時期と基本吸気温度とを設定し、又、吸気温度検出手段にて実際の吸気温度(実吸気温度)を検出する。そして、実吸気温度と予め設定した基本吸気温度マップから得た基本吸気温度との差分に応じた点火時期補正値を設定し、少なくとも点火時期補正値で基本点火時期を遅角補正して最終点火時期を設定する。
【0010】
この場合、この好ましくは、上記エンジン運転状態はエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて設定することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1にはエンジンの要部概略構成図が示されている。
【0012】
同図の符号1はエンジン本体で、このエンジン本体1の燃焼室1aに点火プラグ2が臨まされている。又、シリンダヘッド3には、燃焼室1aに連通する吸気ポート4と排気ポート5とが設けられている。
【0013】
吸気ポート4に吸気通路6が連通され、この吸気通路6の中途に、エアチャンバ8が形成され、このエアチャンバ8の上流にスロットル弁9が配設されている。更に、吸気通路6のスロットル弁9の上流側にインタークーラ10が介装され、その上流にエアクリーナ(図示せず)が連通されている。一方、排気ポート5に排気通路11が連通され、この排気通路11がマフラ(図示せず)に連通されている。
【0014】
又、符号15は過給機の一例であるターボ過給機であり、このターボ過給機15のタービンホイール15aが排気通路11に設けたタービンハウジング15bに収納され、一方、このタービンホイール15aにタービン軸15cを介して連結するコンプレッサホイール15dが吸気通路6のインタークーラ10の上流に設けたコンプレッサハウジング15eに収納されている。尚、図においては、タービン軸15cが吸気通路6と排気通路11とに分離された状態で示されているが、実際には一体で構成されている。
【0015】
又、エンジン本体1にエンジン温度の代表である冷却水温TWを検出する水温センサ17、ノッキングの発生を検出するノックセンサ18が配設され、スロットル弁9にスロットル開度Thを検出するスロットル開度センサ19が連設されている。更に、エアチャンバ8に、スロットル弁9下流の吸気管圧力Pmを絶対圧で検出する吸気管圧力センサ20と、実際の吸気温度(以下「実吸気温度」と称する)TAを検出する吸気温度センサ21とが配設されている。又、クランク軸22に設けられているクランクロータ22aにクランク角センサ23が対設されている。
【0016】
又、符号30は電子制御装置(ECU)で、この電子制御装置30の入力側に、水温センサ17、ノックセンサ18、スロットル開度センサ19、吸気管圧力センサ20、吸気温度センサ21、クランク角センサ23等、エンジン運転状態を検出するセンサ・スイッチ類が接続され、又、出力側に、インジェクタ16を駆動するインジェクタ駆動用アクチュエータ(図示せず)、及び点火プラグ2に対して点火駆動信号を出力する点火駆動回路2a等が接続されている。
【0017】
電子制御装置30では、エンジン運転状態を検出するセンサ・スイッチ類からの信号に基づき、燃料噴射制御、点火時期制御を実行すると共に、点火時期制御では、吸気温度センサ21で検出した実吸気温度TA、エンジン回転数NE、エンジン負荷LOに基づき、点火時期を遅角補正する吸気温度補正値ATAを設定すると共に、ノックセンサ18でノッキングの発生を検出したときは、点火時期を更に遅角補正してノッキングを回避する。
【0018】
電子制御装置30で実行される点火時期制御は、具体的には、図2に示す点火時期制御ルーチンに従って処理される。
【0019】
このルーチンは、イグニッションスイッチをONした後、所定演算周期毎に実行され、先ず、ステップS1で、各センサ・スイッチ類から出力される信号に基づき演算される運転状態パラメータを読込む。この運転状態パラメータは、例えば、スロットル開度センサ19の出力信号に基づいて算出したスロットル開度Th、クランク角センサ23から出力されるクランクパルスに基づいて算出したエンジン回転数NE、吸気管圧力センサ20の出力信号に基づいて算出した吸気管圧力Pm、吸気温度センサ21の出力信号に基づいて算出した実吸気温度TA等である。
【0020】
次いで、ステップS2へ進み、基本点火時期ABASE、基本吸気温度TABASEを算出する。基本点火時期ABASEは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づき、基本点火時期マップ(図示せず)を補間計算付で参照して算出するもので、この基本点火時期ABASEは、エンジン回転数NEが高く、且つエンジン負荷LOが大きくなるに従い進角させる方向に設定される。
【0021】
尚、エンジン負荷LOとして、吸気管圧力Pm、この吸気管圧力Pmとエンジン回転数NEとに基づいて設定する基本燃料噴射量Tp、スロットル開度Th等を代用しても良い。
【0022】
又、基本吸気温度TABASEは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づき、図3に示す基本吸気温度マップを補間計算付で参照して設定される。この基本吸気温度マップは、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとの関係からエンジンの運転領域を検出し、各運転領域において通常運転状態での吸気温度を予め実験等から求めて設定したもので、エンジン回転数NEとエンジン負荷LO毎に上記実験等から求めた吸気温度が基本吸気温度TABASEとして記憶されている。
【0023】
その後、ステップS3へ進み、エンジン負荷LOと吸気温度補正制御実施領域判定値Laとを比較する。図3に示すように、吸気温度補正制御実施領域はエンジン負荷LOに基づき、吸気温度が比較的高く、且つ負荷も高いために、運転状態によっては吸気温度補正制御を必要とする領域を予め実験などから求めて設定したもので、吸気温度補正制御実施領域判定値Laは、その境界を示している。
【0024】
そして、La≧LOのときは、エンジン負荷LOが吸気温度補正制御実施領域にあるため、吸気温度補正値ATAを算出すべく、ステップS4へ進む。一方、La<LOのときは、エンジン負荷LOが吸気温度補正制御実施領域から外れているため、ステップS6へ分岐し、吸気温度補正値ATAをクリアし(ATA←0)、ステップS7へ進む。
【0025】
又、ステップS3からステップS4へ進むと、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとを比較し、その差分(TA−TABASE)が0以上か否か、すなわち、実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEよりも高いか否かを調べる。
【0026】
そして、TA−TABASE>0、すなわち実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEよりも高く場合は、実吸気温度TAが通常の運転状態に対して高く、吸気温度補正を行なう必要があるので、ステップS6へ進む。
【0027】
又、TA−TABASE≦0、すなわち実吸気温度TAが基本吸気温度TABASE以下のときは、実吸気温度TAが通常の運転状態よりも高い値を示していないため、吸気温度補正を行なう必要がないので、ステップS6へ進み、吸気温度補正値ATAをクリアする(ATA←0)。
【0028】
ステップS4からステップS5へ進むと、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分(TA−TABASE)に基づき、図4に示す吸気温度補正値テーブルを参照して、吸気温度補正値ATAを設定する。この吸気温度補正値テーブルには、差分(TA−TABASE)が大きな値になるほど大きく遅角補正するように、小さな値(マイナス側)の吸気温度補正値ATAが格納されている。従って、吸気温度補正値テーブルを参照して設定される吸気温度補正値ATAの最大値は、0である。
【0029】
その後、ステップS5或いはステップS6からステップS7へ進むと、基本点火時期ABASEに吸気温度補正値ATAを加算して、最終点火時期(点火進角値)ADVSを算出して(ADVS=ABASE+ATA)、ルーチンを抜ける。尚、この最終点火時期ADVSは、実際には、基本点火時期ABASEを、吸気温度補正値ATA以外に、水温センサ17で検出した冷却水温TWに基づいて設定する水温補正値等のフィードフォワード補正、及びノックセンサ18からのノック検出信号に基づいて設定するフィードバック補正等の各種補正項により補正されて設定される。
【0030】
そして、最終点火時期ADVSは、所定のレジスタにセットされ、そのタイミングで、点火対象気筒の点火駆動回路2aに対して点火信号が出力され、点火プラグ2から点火火花が発生される。
【0031】
次に、上述した図2に示す点火時期制御ルーチンに従って処理される制御状態を、図5に示すタイムチャートに従って説明する。
【0032】
ターボ過給機付エンジンにおいて、区間t0〜t1に示すように、一定の高負荷運転状態でエンジン回転数NEを上昇させると、それに伴い基本点火時期ABASEは進角方向へ設定され、同時に基本吸気温度TABASEも上昇する。
【0033】
そして、実吸気温度TAがある程度上昇したところで、エンジン負荷LOを一定に保持した状態のままシフトアップ操作等によりエンジン回転数NEを低下させると(時間t1)、基本吸気温度TABASEはエンジン回転数NEをパラメータとしているため、エンジン回転数NEに追従して低下するが、実吸気温度TAは急激には低下せず、従って、実吸気温度TAと基本吸気温度TABASEとの差分(TA−TABASE)は正の値となり(TA−TABASE>0)、ステップS4からステップS5へ進み、差分(TA−TABASE)に基づいて点火時期補正値ATAを設定するが、差分(TA−TABASE)が高い値を示しているため、点火時期補正値ATAは大きく遅角補正する値(負の値)に設定される。
【0034】
従って、最終点火時期ADVSは、基本点火時期ABASEから点火時期補正値ATA分だけ遅角補正した値に設定される。
【0035】
そして、実吸気温度TAが基本吸気温度TABASEに近接するに従い、換言すれば、差分(TA−TABASE)が次第に0に近づくに従い、最終点火時期ADVSは徐々に進角される。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、実吸気温度TAが、エンジン回転数NEとエンジン負荷LOとに基づいて設定する基本吸気温度TABASEよりも高い場合には、その差分(TA−TABASE)に応じて点火時期を遅角補正するようにしたので、ノックセンサ18でノックが検出されるよりも早く点火時期を遅角補正することができる。その結果、ノッキングの発生を有効に回避することができ、常に適正な点火時期を設定することができて、良好な運転性能を得ることができる。
【0037】
尚、本発明は上述した実施の形態に限るものではなく、採用するエンジンはターボ過給機付エンジン以外に、通常の自然吸気によるエンジンに採用できることは云うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、吸気温度に起因するノッキングの発生を運転領域毎に有効に回避することができると共に、常に適正な点火時期を設定することができ、良好な運転性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンの要部概略構成図
【図2】点火時期制御ルーチンを示すフローチャート
【図3】基本吸気温度マップの説明図
【図4】吸気温度補正値テーブルの説明図
【図5】点火時期の制御状態を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 エンジン本体
ABASE 基本点火時期
ADVS 最終点火時期
ATA 点火時期補正値
LO エンジン負荷
NE エンジン回転数
TA 実吸気温度
TABASE 基本吸気温度
Claims (2)
- エンジン運転状態に基づき基本点火時期を設定する基本点火時期設定手段と、
通常のエンジン運転状態に基づく基本吸気温度を運転領域毎に予め設定した基本吸気温度マップと、
実吸気温度を検出する実吸気温度設定手段と、
上記実吸気温度と上記基本吸気温度マップから得た基本吸気温度との差分に応じた点火時期補正値を設定する点火時期補正手段と、
上記基本点火時期を少なくとも上記点火時期補正値で遅角補正して最終点火時期を設定する最終点火時期設定手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの点火時期制御装置。 - 上記エンジン運転状態はエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて設定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの点火時期制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002171729A JP2004019466A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | エンジンの点火時期制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002171729A JP2004019466A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | エンジンの点火時期制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004019466A true JP2004019466A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31171507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002171729A Pending JP2004019466A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | エンジンの点火時期制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004019466A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031948A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の制御方法 |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002171729A patent/JP2004019466A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008031948A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の制御方法 |
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