JP2004019322A - 柱と梁との連結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】柱と梁とを必要に応じて容易に解体したり組み直すことも可能な状態で連結する。
【解決手段】外周面に梁2を接合した仕口フレーム3を柱1に装着し、仕口フレームの内周面と柱の外周面との間に、膨張収縮可能なプレッシャーバッグ6を内蔵したプレッシャーボックス5を介装し、プレッシャーバッグを加圧媒体により膨張させてその膨張力によってプレッシャーボックスを内側から押し広げて双方に押圧状態で密着せしめ、その摩擦力によって仕口フレームを柱に対して保持する。プレッシャーボックス内に複数のプレッシャーバッグを独立に内蔵させる。プレッシャーボックス内に砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグを内蔵させる。
【選択図】 図2
【解決手段】外周面に梁2を接合した仕口フレーム3を柱1に装着し、仕口フレームの内周面と柱の外周面との間に、膨張収縮可能なプレッシャーバッグ6を内蔵したプレッシャーボックス5を介装し、プレッシャーバッグを加圧媒体により膨張させてその膨張力によってプレッシャーボックスを内側から押し広げて双方に押圧状態で密着せしめ、その摩擦力によって仕口フレームを柱に対して保持する。プレッシャーボックス内に複数のプレッシャーバッグを独立に内蔵させる。プレッシャーボックス内に砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグを内蔵させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物における柱と梁とを連結しかつその連結を容易に解除することの可能な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建物における柱と梁とは確実強固に接合する必要があることから、S造の建物にあっては鉄骨柱と鉄骨梁とを溶接あるいはボルト締結により接合し、RC造の建物にあっては柱と梁との接合部に鉄筋を密に配してコンクリートにより一体に形成することで充分な接合強度を確保するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の建物には従来においては想定していなかった様々な機能、たとえば容易に解体できるものであること、解体物をそのまま再利用可能であること、建物の内部空間やその使用形態が高度にフレキシブルであること、といった機能が要求されるようになってきており、場合によっては完成後の建物の各階の階高までも変更したいという要請がある。
【0004】
しかし、従来一般の建物では、柱と梁とを強固に接合していることから容易に解体できるものではないし、解体物をそのまま高度に再利用するようなことも困難であり、ましてや階高を変更するために柱に対する梁の接合位置を変更するようなことなど不可能であり、上記のようなニーズに充分に応えることはできないものである。そのため、柱と梁とを強固に接合するのではなく、構造的な安全性を確保しつつも必要に応じて柱と梁とを容易に解体したり組み直すことも可能な状態で連結しておくことが考えられ、そのための有効適切な構造の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、柱と梁とを連結するとともにその連結を解除可能な構造であって、外周面に梁を接合した仕口フレームを柱に装着し、仕口フレームの内周面と柱の外周面との間に、膨張収縮可能なプレッシャーバッグを内蔵しかつ外面が仕口フレームの内周面と柱の外周面の双方に対して密着可能なプレッシャーボックスを介装し、プレッシャーバッグを加圧媒体により膨張させてその膨張力によってプレッシャーボックスを内側から押し広げることにより、プレッシャーボックスの外面を仕口フレームの内周面と柱の外周面との双方に対して押圧状態で密着せしめてそれらの間に生じる摩擦力によって仕口フレームを柱に対して保持せしめることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、プレッシャーボックス内に、それぞれがプレッシャーボックスを内側から押し広げることの可能な複数のプレッシャーバッグを独立に内蔵させたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、プレッシャーボックス内に、柱と仕口フレームとの間で荷重を伝達するための砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグを内蔵させたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図2は、角形ボックス状の鉄骨からなる柱1と、H形鋼からなる梁2とを対象としてそれらを本発明の構造により連結する場合の実施形態を示すものである。図1は連結前の状態、図2は連結後の状態を示し、いずれも(a)は立断面図、(b)は平断面図である。
【0009】
本実施形態では、正方形の枠状をなす鋼製の仕口フレーム3を用い、その外周面に溶接した仕口部材4に梁2をボルト締結することによって仕口部材4を介して梁2を仕口フレーム3に対して接合しておき、その仕口フレーム3の内側に柱1を挿通させた状態で仕口フレーム3を柱1に対して装着し、仕口フレーム3の内周面と柱1の外周面との間に介装したプレッシャーボックス5をそれらの双方に対して押圧させることで、仕口フレーム3を柱1に対して保持せしめるようにしたものである。なお、仕口部材4を省略して梁2を仕口フレーム3に直接的に接合するようにしても差し支えない。
【0010】
プレッシャーボックス5は本体5aと蓋体5bからなる鋼製の箱形容器であって、本体5aの底面は柱1の外周面に密着し、蓋体5bの上面は仕口フレーム3の内周面に密着可能とされている。プレッシャーボックス5の内部には、加圧媒体が加圧充填されることで弾性的に膨張収縮可能なゴム袋等のプレッシャーバッグ6が収納されている。プレッシャーバッグ6を膨張させるための加圧媒体は、気体、液体を問わず任意であるが、空気あるいは水もしくは圧油の採用が現実的である。なお、プレッシャーボックス5の向きを逆にして、本体5aの底面を仕口フレーム3の内周面に密着させ、蓋体5bの上面を柱1の外周面に密着させるようにしても良い。
【0011】
そして、そのプレッシャーバッグ6に加圧媒体を加圧充填してプレッシャーバッグ6を図2に示すようにプレッシャーボックス5内において膨張させることにより、その膨張力によってプレッシャーボックス5は内側から押し開かれようとし、それによりプレッシャーボックス5の本体5aの底面は柱1の外周面に押圧されて密着し、同時に蓋体5bの上面は仕口フレーム3の内周面に押圧されて密着する。その結果、プレッシャーボックス5と柱1の外周面との間、およびプレッシャーボックス5と仕口フレーム3の内周面との間には大きな摩擦力が生じ、その摩擦力によって仕口フレーム3を柱1に対して強固に保持することが可能である。
【0012】
この場合、上記の摩擦力は、プレッシャーボックス5と柱1および仕口フレーム3との接触面積、それらの間の摩擦係数、プレッシャーボックス5による押圧力により決定され、その押圧力はプレッシャーバッグ6の内圧による膨張力により決定されるから、所望の保持力が得られるようにそれらの値を適宜設定すれば良い。
【0013】
一設計例を挙げれば、柱1のスパンが7m、床の静加重が4.3kN/m2、床の積載荷重が3.0kN/m2、梁2の静加重が1.5kN/m2である場合、梁2から柱1へ伝達される全加重は
7m×7m×(4.3+3.0+1.5kN/m2)=431kN
となる。
この場合において、プレッシャーボックス5の底面および上面の寸法が0.8m×0.8mであり、そのプレッシャーボックス5が図示しているように柱1の4面に対して設けられる場合、総接触面積は
0.8m×0.8m×4=2.56m2
となり、全荷重を支持するために必要な摩擦力は
431kN÷2.56m2=168kN/m2
となる。
したがって、摩擦係数を1.0に設定した場合、プレッシャーバッグ5による押圧力を168kN/m2とすれば良く、プレッシャーバッグ6にそのような内圧を与えれば良い。つまり、この場合には大気圧(約100kN/m2)のわずか1.7倍程度の内圧をプレッシャーバッグ6に与えれば良いことになり、さして大きな内圧を必要としないし、プレッシャーボックス5の底面と上面および柱1外周面と仕口フレーム3内周面を粗面として摩擦係数をより大きく設定すれば、プレッシャーバッグ6の内圧はより小さくて済むことになる。
【0014】
以上のように、本構造によれば、プレッシャーボックス5内に内蔵したプレッシャーバッグ6を膨張させてプレッシャーボックス5を柱1と仕口フレーム3との間に押圧状態で密着させて介装させることのみで、その摩擦力により梁2を柱1に対して強固に保持し連結することができ、プレッシャーバッグ6から加圧媒体を抜いてそれを収縮させることのみで自ずと連結を解除してそのまま解体することができる。
【0015】
したがって、本構造によれば、従来一般の溶接やボルト締結により柱1と梁2とを直接的に接合する場合に較べてそれらを遙かに容易に組み立てることができ、しかも構造安全性を確保するに充分な強度でそれらを連結することが可能であり、したがって建物の施工の合理化を実現できるし、その解体も極めて容易に行うことができ、解体物をそのまま再利用することも可能となる。また、柱1と梁2とを組み直して柱1に対する梁2の連結位置を上下に変更することも自由に行い得るから、完成後の建物や使用中の建物の階高を変更することも可能である。
【0016】
なお、上記実施形態では、プレッシャーボックス5内に単一のプレッシャーバッグ6を内蔵させたが、図3に示すようにプレッシャーボックス5の内部を区画して複数(図示例では5つ)のプレッシャーバッグ6を並列的に内蔵させ、それぞれが独立にプレッシャーボックス5を内側から押し広げることを可能としておけば、万一、いずれかのプレッシャーバッグ6が破損したりその内圧が低下したような場合であっても、保持力の急激な低下を防止し得て構造安全性をより高めることが可能である。
【0017】
また、図4に示すように、砂あるいはそれに相当する粒状物7aを封入した柔軟な荷重伝達バッグ7をプレッシャーバッグ6とともにプレッシャーボックス5内に内蔵させることも考えられる。この場合、荷重伝達バッグ7はプレッシャーバッグ6により押圧されることで実質的に剛性を有するものとなり、この荷重伝達バッグ7を介して柱1と仕口フレーム3との間でせん断力をより有効に伝達させることが可能である。
【0018】
さらに、本発明はS造の建物に適用するのみならず、柱および梁としてプレキャストコンクリート部材を採用したPCa造の建物にも同様に適用することが可能であるし、柱や梁の断面形状、仕口フレームやプレッシャーボックスの形態や寸法、プレッシャーバッグの素材やそれを膨張収縮させるための機構、その他の具体的な構成については、適宜の設計的な変更が可能であることはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、梁を接合した仕口フレームと柱との間に、プレッシャーバッグを内蔵したプレッシャーボックスを介装し、プレッシャーバッグを膨張させることでプレッシャーボックスを双方に押圧してその摩擦力によって梁を柱に対して連結するようにしたので、従来のように柱と梁とを直接的に接合せずとも充分な強度で容易に連結可能であることはもとより、その解体も容易に行うことが可能であり、したがって建物の施工および解体の合理化を実現でき、解体物をそのまま再利用することも可能となり、階高を変更することも可能であり、近年の建物に要求される様々なニーズに充分に応えることのできる極めて有効な構造を実現することができる。
【0020】
請求項2の発明は、それぞれがプレッシャーボックスを内側から押し広げることの可能な複数のプレッシャーバッグをプレッシャーボックス内に独立に内蔵させたので、万一、いずれかのプレッシャーバッグが破損したりその内圧が低下したような場合であっても、保持力の急激な低下を防止し得て構造安全性をより高めることが可能である。
【0021】
請求項3の発明は、柱と仕口フレームとの間で荷重を伝達するための砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグをプレッシャーボックスに内蔵させたので、荷重伝達バッグがプレッシャーバッグにより押圧されて実質的に剛性を有するものとなり、この荷重伝達バッグを介して柱と仕口フレームとの間でせん断力をより有効に伝達させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である柱と梁との連結構造を示す図であって、連結前の状態を示す図である。
【図2】同、連結後の状態を示す図である。
【図3】同、複数のプレッシャーバッグを内蔵したプレッシャーボックスの例を示す図である。
【図4】同、プレッシャーバッグと荷重伝達バッグを内蔵したプレッシャーボックスの例を示す図である。
【符号の説明】
1 柱
2 梁
3 仕口フレーム
4 仕口部材
5 プレッシャーボックス
5a 本体
5b 蓋体
6 プレッシャーバッグ
7 荷重伝達バッグ
7a 粒状物
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物における柱と梁とを連結しかつその連結を容易に解除することの可能な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建物における柱と梁とは確実強固に接合する必要があることから、S造の建物にあっては鉄骨柱と鉄骨梁とを溶接あるいはボルト締結により接合し、RC造の建物にあっては柱と梁との接合部に鉄筋を密に配してコンクリートにより一体に形成することで充分な接合強度を確保するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の建物には従来においては想定していなかった様々な機能、たとえば容易に解体できるものであること、解体物をそのまま再利用可能であること、建物の内部空間やその使用形態が高度にフレキシブルであること、といった機能が要求されるようになってきており、場合によっては完成後の建物の各階の階高までも変更したいという要請がある。
【0004】
しかし、従来一般の建物では、柱と梁とを強固に接合していることから容易に解体できるものではないし、解体物をそのまま高度に再利用するようなことも困難であり、ましてや階高を変更するために柱に対する梁の接合位置を変更するようなことなど不可能であり、上記のようなニーズに充分に応えることはできないものである。そのため、柱と梁とを強固に接合するのではなく、構造的な安全性を確保しつつも必要に応じて柱と梁とを容易に解体したり組み直すことも可能な状態で連結しておくことが考えられ、そのための有効適切な構造の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、柱と梁とを連結するとともにその連結を解除可能な構造であって、外周面に梁を接合した仕口フレームを柱に装着し、仕口フレームの内周面と柱の外周面との間に、膨張収縮可能なプレッシャーバッグを内蔵しかつ外面が仕口フレームの内周面と柱の外周面の双方に対して密着可能なプレッシャーボックスを介装し、プレッシャーバッグを加圧媒体により膨張させてその膨張力によってプレッシャーボックスを内側から押し広げることにより、プレッシャーボックスの外面を仕口フレームの内周面と柱の外周面との双方に対して押圧状態で密着せしめてそれらの間に生じる摩擦力によって仕口フレームを柱に対して保持せしめることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、プレッシャーボックス内に、それぞれがプレッシャーボックスを内側から押し広げることの可能な複数のプレッシャーバッグを独立に内蔵させたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、プレッシャーボックス内に、柱と仕口フレームとの間で荷重を伝達するための砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグを内蔵させたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図2は、角形ボックス状の鉄骨からなる柱1と、H形鋼からなる梁2とを対象としてそれらを本発明の構造により連結する場合の実施形態を示すものである。図1は連結前の状態、図2は連結後の状態を示し、いずれも(a)は立断面図、(b)は平断面図である。
【0009】
本実施形態では、正方形の枠状をなす鋼製の仕口フレーム3を用い、その外周面に溶接した仕口部材4に梁2をボルト締結することによって仕口部材4を介して梁2を仕口フレーム3に対して接合しておき、その仕口フレーム3の内側に柱1を挿通させた状態で仕口フレーム3を柱1に対して装着し、仕口フレーム3の内周面と柱1の外周面との間に介装したプレッシャーボックス5をそれらの双方に対して押圧させることで、仕口フレーム3を柱1に対して保持せしめるようにしたものである。なお、仕口部材4を省略して梁2を仕口フレーム3に直接的に接合するようにしても差し支えない。
【0010】
プレッシャーボックス5は本体5aと蓋体5bからなる鋼製の箱形容器であって、本体5aの底面は柱1の外周面に密着し、蓋体5bの上面は仕口フレーム3の内周面に密着可能とされている。プレッシャーボックス5の内部には、加圧媒体が加圧充填されることで弾性的に膨張収縮可能なゴム袋等のプレッシャーバッグ6が収納されている。プレッシャーバッグ6を膨張させるための加圧媒体は、気体、液体を問わず任意であるが、空気あるいは水もしくは圧油の採用が現実的である。なお、プレッシャーボックス5の向きを逆にして、本体5aの底面を仕口フレーム3の内周面に密着させ、蓋体5bの上面を柱1の外周面に密着させるようにしても良い。
【0011】
そして、そのプレッシャーバッグ6に加圧媒体を加圧充填してプレッシャーバッグ6を図2に示すようにプレッシャーボックス5内において膨張させることにより、その膨張力によってプレッシャーボックス5は内側から押し開かれようとし、それによりプレッシャーボックス5の本体5aの底面は柱1の外周面に押圧されて密着し、同時に蓋体5bの上面は仕口フレーム3の内周面に押圧されて密着する。その結果、プレッシャーボックス5と柱1の外周面との間、およびプレッシャーボックス5と仕口フレーム3の内周面との間には大きな摩擦力が生じ、その摩擦力によって仕口フレーム3を柱1に対して強固に保持することが可能である。
【0012】
この場合、上記の摩擦力は、プレッシャーボックス5と柱1および仕口フレーム3との接触面積、それらの間の摩擦係数、プレッシャーボックス5による押圧力により決定され、その押圧力はプレッシャーバッグ6の内圧による膨張力により決定されるから、所望の保持力が得られるようにそれらの値を適宜設定すれば良い。
【0013】
一設計例を挙げれば、柱1のスパンが7m、床の静加重が4.3kN/m2、床の積載荷重が3.0kN/m2、梁2の静加重が1.5kN/m2である場合、梁2から柱1へ伝達される全加重は
7m×7m×(4.3+3.0+1.5kN/m2)=431kN
となる。
この場合において、プレッシャーボックス5の底面および上面の寸法が0.8m×0.8mであり、そのプレッシャーボックス5が図示しているように柱1の4面に対して設けられる場合、総接触面積は
0.8m×0.8m×4=2.56m2
となり、全荷重を支持するために必要な摩擦力は
431kN÷2.56m2=168kN/m2
となる。
したがって、摩擦係数を1.0に設定した場合、プレッシャーバッグ5による押圧力を168kN/m2とすれば良く、プレッシャーバッグ6にそのような内圧を与えれば良い。つまり、この場合には大気圧(約100kN/m2)のわずか1.7倍程度の内圧をプレッシャーバッグ6に与えれば良いことになり、さして大きな内圧を必要としないし、プレッシャーボックス5の底面と上面および柱1外周面と仕口フレーム3内周面を粗面として摩擦係数をより大きく設定すれば、プレッシャーバッグ6の内圧はより小さくて済むことになる。
【0014】
以上のように、本構造によれば、プレッシャーボックス5内に内蔵したプレッシャーバッグ6を膨張させてプレッシャーボックス5を柱1と仕口フレーム3との間に押圧状態で密着させて介装させることのみで、その摩擦力により梁2を柱1に対して強固に保持し連結することができ、プレッシャーバッグ6から加圧媒体を抜いてそれを収縮させることのみで自ずと連結を解除してそのまま解体することができる。
【0015】
したがって、本構造によれば、従来一般の溶接やボルト締結により柱1と梁2とを直接的に接合する場合に較べてそれらを遙かに容易に組み立てることができ、しかも構造安全性を確保するに充分な強度でそれらを連結することが可能であり、したがって建物の施工の合理化を実現できるし、その解体も極めて容易に行うことができ、解体物をそのまま再利用することも可能となる。また、柱1と梁2とを組み直して柱1に対する梁2の連結位置を上下に変更することも自由に行い得るから、完成後の建物や使用中の建物の階高を変更することも可能である。
【0016】
なお、上記実施形態では、プレッシャーボックス5内に単一のプレッシャーバッグ6を内蔵させたが、図3に示すようにプレッシャーボックス5の内部を区画して複数(図示例では5つ)のプレッシャーバッグ6を並列的に内蔵させ、それぞれが独立にプレッシャーボックス5を内側から押し広げることを可能としておけば、万一、いずれかのプレッシャーバッグ6が破損したりその内圧が低下したような場合であっても、保持力の急激な低下を防止し得て構造安全性をより高めることが可能である。
【0017】
また、図4に示すように、砂あるいはそれに相当する粒状物7aを封入した柔軟な荷重伝達バッグ7をプレッシャーバッグ6とともにプレッシャーボックス5内に内蔵させることも考えられる。この場合、荷重伝達バッグ7はプレッシャーバッグ6により押圧されることで実質的に剛性を有するものとなり、この荷重伝達バッグ7を介して柱1と仕口フレーム3との間でせん断力をより有効に伝達させることが可能である。
【0018】
さらに、本発明はS造の建物に適用するのみならず、柱および梁としてプレキャストコンクリート部材を採用したPCa造の建物にも同様に適用することが可能であるし、柱や梁の断面形状、仕口フレームやプレッシャーボックスの形態や寸法、プレッシャーバッグの素材やそれを膨張収縮させるための機構、その他の具体的な構成については、適宜の設計的な変更が可能であることはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明は、梁を接合した仕口フレームと柱との間に、プレッシャーバッグを内蔵したプレッシャーボックスを介装し、プレッシャーバッグを膨張させることでプレッシャーボックスを双方に押圧してその摩擦力によって梁を柱に対して連結するようにしたので、従来のように柱と梁とを直接的に接合せずとも充分な強度で容易に連結可能であることはもとより、その解体も容易に行うことが可能であり、したがって建物の施工および解体の合理化を実現でき、解体物をそのまま再利用することも可能となり、階高を変更することも可能であり、近年の建物に要求される様々なニーズに充分に応えることのできる極めて有効な構造を実現することができる。
【0020】
請求項2の発明は、それぞれがプレッシャーボックスを内側から押し広げることの可能な複数のプレッシャーバッグをプレッシャーボックス内に独立に内蔵させたので、万一、いずれかのプレッシャーバッグが破損したりその内圧が低下したような場合であっても、保持力の急激な低下を防止し得て構造安全性をより高めることが可能である。
【0021】
請求項3の発明は、柱と仕口フレームとの間で荷重を伝達するための砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグをプレッシャーボックスに内蔵させたので、荷重伝達バッグがプレッシャーバッグにより押圧されて実質的に剛性を有するものとなり、この荷重伝達バッグを介して柱と仕口フレームとの間でせん断力をより有効に伝達させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である柱と梁との連結構造を示す図であって、連結前の状態を示す図である。
【図2】同、連結後の状態を示す図である。
【図3】同、複数のプレッシャーバッグを内蔵したプレッシャーボックスの例を示す図である。
【図4】同、プレッシャーバッグと荷重伝達バッグを内蔵したプレッシャーボックスの例を示す図である。
【符号の説明】
1 柱
2 梁
3 仕口フレーム
4 仕口部材
5 プレッシャーボックス
5a 本体
5b 蓋体
6 プレッシャーバッグ
7 荷重伝達バッグ
7a 粒状物
Claims (3)
- 柱と梁とを連結するとともにその連結を解除可能な構造であって、外周面に梁を接合した仕口フレームを柱に装着し、仕口フレームの内周面と柱の外周面との間に、膨張収縮可能なプレッシャーバッグを内蔵しかつ外面が仕口フレームの内周面と柱の外周面の双方に対して密着可能なプレッシャーボックスを介装し、プレッシャーバッグを加圧媒体により膨張させてその膨張力によってプレッシャーボックスを内側から押し広げることにより、プレッシャーボックスの外面を仕口フレームの内周面と柱の外周面との双方に対して押圧状態で密着せしめてそれらの間に生じる摩擦力によって仕口フレームを柱に対して保持せしめることを特徴とする柱と梁との連結構造。
- プレッシャーボックス内に、それぞれがプレッシャーボックスを内側から押し広げることの可能な複数のプレッシャーバッグを独立に内蔵させたことを特徴とする請求項1記載の柱と梁との連結構造。
- プレッシャーボックス内に、柱と仕口フレームとの間で荷重を伝達するための砂等の粒状物を封入した柔軟な荷重伝達バッグを内蔵させたことを特徴とする請求項1または2記載の柱と梁との連結構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002177612A JP2004019322A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 柱と梁との連結構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002177612A JP2004019322A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 柱と梁との連結構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004019322A true JP2004019322A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31175604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002177612A Pending JP2004019322A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 柱と梁との連結構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004019322A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012007651A (ja) * | 2010-06-23 | 2012-01-12 | Shimizu Corp | 無溶接鋼管継手および鋼管接合方法 |
JP2013023898A (ja) * | 2011-07-21 | 2013-02-04 | Tatsuya Endo | 圧力膜複合構造物 |
-
2002
- 2002-06-18 JP JP2002177612A patent/JP2004019322A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012007651A (ja) * | 2010-06-23 | 2012-01-12 | Shimizu Corp | 無溶接鋼管継手および鋼管接合方法 |
US9169632B2 (en) | 2011-03-17 | 2015-10-27 | Tatsuya Endo | Building support structure |
JP2013023898A (ja) * | 2011-07-21 | 2013-02-04 | Tatsuya Endo | 圧力膜複合構造物 |
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