JP2010037872A - 地下空間部の充填工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストであって、かつ、施工の容易な地下空間部の充填工法を提供する。
【解決手段】硬質ウレタンフォームの粉砕物2をポリ袋3を介して圧縮し、圧縮した状態でポリ袋3を封止してブロック1を成型する工程と、複数のブロック1を地下空間部4の水平方向及び鉛直方向に列設する工程と、ポリ袋3を穿孔し、硬質ウレタンフォームの復元力によりブロック1を体積膨張させて地下空間部4の内壁を支持させる工程とを有する。硬質ウレタンフォームの粉砕物2として廃材または廃材の粉砕物を用いることができるため低コストであり、また、並べたブロック1のポリ袋3に孔を開けるのみで硬質ウレタンフォームの復元力によりブロック1を体積膨張させ、地下空間部4を充填することができるので施工が容易である。
【選択図】図3

Description

本発明は、地下空間部を充填し、地盤沈下や地盤陥没を防止するための地下空間部の充填工法に関するものである。
各地の地中には、採石を行った際に生じた空間部や自然に形成された空洞等の地下空間部が存在する。このような地下空間部は、地盤沈下や地盤陥没等の事故を引き起こし、特に、大谷石採掘後の坑道及び採掘抗といった地下空間部は、大規模の地盤陥没事故を引き起こしている。そのため、これらの地下空間部は、コンクリート、モルタルを充填して固めること等により地盤沈下や地盤沈下等を防止する方法が行われている。また、特許文献1には、フライアッシュと水の混合液をスラリー状として地下空間部に充填する工法が記載されている。
特開平8−28200号公報
しかしながら、これらの地下空間部の充填工法は、材料自体のコストや材料の運送費が高価となったり、充填に要する時間が長くなったりする等の問題がある。また、コンクリート等を充填材として充填すると、充填した部分の重量が大きくなり、2次災害の恐れさえある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、低コストであって、かつ、施工の容易な地下空間部の充填工法を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る地下空間部の充填工法は、
硬質発泡樹脂の粉砕物を包装材を介して圧縮し、圧縮した状態で包装材を封止してブロックを成型する工程と、
複数の前記ブロックを地下空間部の水平方向及び鉛直方向に列設する工程と、
前記包装材を穿孔し、前記硬質発泡樹脂の復元力によりブロックを体積膨張させて地下空間部の内壁を支持させる工程とを有することを特徴とする。
硬質発泡樹脂の粉砕物を包装材の中に入れ、包装材を介して圧縮する。ここで、粉砕物とは、微粉砕から粗粉砕まで幅広い粒度範囲で粉砕されたものを含む概念である。硬質発泡樹脂の粉砕物を圧縮した状態で包装材を封止することでブロックを成型する。このようにして成型したブロックを複数準備し、複数のブロックを地下空間部の水平方向及び鉛直方向に並べて設置する。その後、ブロックの包装材を穿孔することで、圧縮されていた硬質発泡樹脂をその復元力により膨張させ、すなわち、ブロックを体積膨張させ、地下空間部の内壁を支持させる。
上記の構成によれば、地下空間部を隙間無く充填することができ、地盤沈下や地盤陥没を防止することができる。硬質発泡樹脂の粉砕物として、例えば廃材または廃材の粉砕物を特に制限なく本発明に用いることができるため、低コストであり、廃材のリサイクルを有効に図ることができる。硬質発泡樹脂を圧縮して成型したブロックを充填材として用いるので、地下空間部に並べ易い。また、並べたブロックの包装材に孔を開けるのみで硬質発泡樹脂の復元力によりブロックを体積膨張させ、地下空間部を充填することができるので、施工が容易である。さらには、硬質発泡樹脂は軽量であるため、従来のコンクリート等を充填材として充填する工法に比べて、2次災害の恐れも少ない。また、フライアッシュを充填材として使用する場合、フライアッシュは人体に極めて有害な鉛、亜鉛、カドミウム等の重金属の含有率が高いことが懸念されるが、硬質発泡樹脂は、地下水による流出が懸念される重金属等を含まず、場合によればフィルターの役目を果たすことも考えられる。
本発明に係る地下空間部の充填工法において、直交する2方向から前記粉砕物を圧縮して前記ブロックを成型し、各ブロックの前記2方向と垂直な直交軸が前記地下空間部の水平方向及び鉛直方向と垂直となるように複数のブロックを地下空間部に列設することが好ましい。
直交する2方向から硬質発泡樹脂の粉砕物を圧縮してブロックを成型し、各ブロックのこの2方向と直交する直交軸が、地下空間部の水平方向及び鉛直方向と垂直となるように複数のブロックを地下空間部に列設する。具体的には、各ブロックの圧縮されていない方向が、地下空間部の水平方向及び鉛直方向と垂直な方向、すなわち、地下空間部の水平面内であって、前記水平方向と垂直な方向となる。この構成によれば、各ブロックを体積膨張させたときにも、各ブロックは地下空間部の水平方向及び鉛直方向と垂直な方向には体積膨張せず、水平方向及び鉛直方向にのみ体積膨張するので、列設した複数のブロックを安定して体積膨張させることができる。
本発明に係る地下空間部の充填工法において、体積膨張させた複数のブロックに対して、発泡樹脂原液をスプレー発泡してブロック結合体とする工程を有することが好ましい。
この構成によれば、体積膨張させて地下空間部の内壁を支持している複数のブロックがブロック結合体となるので、各ブロックがばらばらになるのを防止することができ、施工が容易となる。
本発明に係る地下空間部の充填工法において、前記硬質発泡樹脂が、硬質ウレタンフォームであることが好ましい。
硬質ウレタンフォームは、熱可撓性樹脂フォームと異なり、廃材のリサイクルが困難であるため、埋め立て処理されることが多い。本発明にかかる地下空間部の充填方法において硬質ウレタンフォームを使用することで、硬質ウレタンフォームのリサイクルを有効に図ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。初めに、地下空間部の主な充填材となるブロックについて説明する。
<ブロックの成型>
ブロック1は、硬質ウレタンフォーム(硬質発泡樹脂に相当)の粉砕物2を圧縮して成型される。図1は、ブロックの外観形状を示す斜視図である。ブロック1は、粉砕物2を圧縮してブロック状に成型したものがポリ袋(包装材に相当)3の中に封止された状態となっている。ポリ袋3の封止は、後述するように、開口部3a近傍の被シール部3bをヒートシールすることにより行う。粉砕物2の形状としては、1辺が10〜30mm程度の略立方体または略直方体であり、ブロック1の寸法としては、例えば、500×1500×400mmとすることができる。また、ポリ袋3の厚みは100μm以上が好ましい。
ブロック1の成型方法について図2を用いて説明する。図2は、ブロック1を成型するためのブロック成型装置10の一例を示す斜視図である。ブロック成型装置10は、主としてプレス装置11とヒートシール装置12から構成されている。プレス装置11は、紙面上側から第1プレス部13、紙面手前側から第2プレス部14によって、対象物をプレスすることができる。プレス部13,14は、例えば油圧シリンダ等によって駆動される。ヒートシール装置12は、1対のヒートシール部12aによりポリ袋3の被シール部3bに熱を加えて封止することができる。
ブロック1の成型は、初めに、ポリ袋3の中に開口部3aから硬質ウレタンフォームの粉砕物2を入れる。このポリ袋3を、その被シール部3bが1対のヒートシール部12aの間に位置するようにして、プレス装置11にセットする。プレス装置11にセットした粉砕物2を、第1プレス部13と第2プレス部14を用いてポリ袋3を介してプレス(圧縮)する。圧縮前の粉砕物2が入ったポリ袋3の寸法は、例えば、800×1500×600mmであり、上述したように500×1500×400mmの寸法のブロック1となるように約40%の体積に圧縮する。そして、ヒートシール装置12によりポリ袋3の被シール部3bを封止することで、ブロック1を成型することができる。
<地下空間部の充填要領>
本発明にかかる地下空間部の充填工法を用いた充填要領について、図3を用いて説明する。地下空間部4は、例えば、大谷石等採掘後の坑道及び採掘抗、または、自然に形成された空洞等であって、紙面に垂直な方向に延びているものとする。ここでは、図の横方向を地下空間部4の水平方向、図の縦方向を地下空間部4の鉛直方向として説明を行う。
初めに、図3(a)に示すように、複数のブロック1を地下空間部4の水平方向及び鉛直方向に並べて設置する。このとき、各ブロック1の圧縮されていない方向が、地下空間部4の水平方向及び鉛直方向と垂直(紙面垂直方向)となるように設置する。なお、地下空間部4の奥行き方向(紙面に垂直方向)には、1列のみ配置する。
次に、地下空間部4の中に並べられたブロック1のポリ袋3に孔を開ける。すると、図3(b)に示すように、圧縮されていた硬質ウレタンフォームの粉砕物2が、それ自身の復元力により膨張し、ポリ袋3の中に空気を取り入れつつ、ブロック1が体積膨張する。体積膨張したブロック1が地下空間部4を隙間無く充填し、地下空間部4の内壁を圧力を発生した状態で支持するようになる。本発明に係る地下空間部4の充填工法のように、硬質ウレタンフォームの粉砕物2を圧縮してブロック1とし、圧縮したブロック1を並べて体積膨張させることにより地下空間部4を充填することで、単に粉砕物2を地下空間部4に充填する場合に比べて施工し易くなっている。
図3(b)のように地下空間部4の全面を体積膨張したブロック1によって充填した後、並べられたブロック1全体に硬質ウレタンフォームの発泡原液(発泡樹脂原液に相当)をスプレーして発泡させて、各ブロック1を結合してブロック結合体とする。地下空間部4の全面を充填し終わると、手前側に上記と同様の手順にてブロック1を充填していく。複数のブロック1をブロック結合体とすることで、各ブロック1がばらばらになるのを防止することができ、強度が上がるのみならず、施工し易い。
<別実施形態>
ブロック1の並べ方としては、図3に示す並べ方に限定されるものではなく、ブロック1が体積膨張した際に地下空間部4を十分隙間無く充填することが可能であればよい。
また、地下空間部4にブロック1を充填させる際、初めにブロック1を2段程度積み上げた後にポリ袋3に孔を開けてブロック1を体積膨張させる工程(図4(a))を行い、さらにその上段にブロック1を2段程度積み上げた後にポリ袋3に孔を開けてブロック1を体積膨張させる工程(図4(b))を行うというように、地下空間部4の下方から少しずつブロック1によって充填していき地下空間部4の全面を充填してもよい。
硬質発泡樹脂としては、硬質ウレタンフォームに限定されず、その他発泡スチロール等を用いることができる。また、包装材としては、ポリ袋3に限定されず、その他ビニール袋等を用いることができる。
ブロックの外観形状を示す斜視図 ブロック成型装置の一例を示す斜視図 地下空間部の充填要領を説明する正面図 地下空間部の充填要領の別実施形態を説明する正面図
符号の説明
1 ブロック
2 粉砕物
3 ポリ袋
4 地下空間部
10 ブロック成型装置
11 プレス装置
12 ヒートシール装置

Claims (4)

  1. 硬質発泡樹脂の粉砕物を包装材を介して圧縮し、圧縮した状態で包装材を封止してブロックを成型する工程と、
    複数の前記ブロックを地下空間部の水平方向及び鉛直方向に列設する工程と、
    前記包装材を穿孔し、前記硬質発泡樹脂の復元力によりブロックを体積膨張させて地下空間部の内壁を支持させる工程とを有する地下空間部の充填工法。
  2. 直交する2方向から前記粉砕物を圧縮して前記ブロックを成型し、各ブロックの前記2方向と垂直な直交軸が前記地下空間部の水平方向及び鉛直方向と垂直となるように複数のブロックを地下空間部に列設することを特徴とする請求項1に記載の地下空間部の充填工法。
  3. 体積膨張させた複数のブロックに対して、発泡樹脂原液をスプレー発泡してブロック結合体とする工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の地下空間部の充填工法。
  4. 前記硬質発泡樹脂が、硬質ウレタンフォームであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地下空間部の充填工法。
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