JP4405336B2 - 制震ブロック壁構造 - Google Patents

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Description

この発明は、建物の柱・梁架構の面内に、人力で運搬可能な重量と大きさの鋼製ブロック部材と低降伏点鋼ブロック部材とを組み合わせて成るブロック壁が組み込まれた制震ブロック壁構造の技術分野に属する。
建物の柱・梁架構の面内に、耐震壁を組み込んで耐震壁構造とする補強技術は従来から実施されている。
しかし、耐震壁を既存建物の架構へ組み込もうとしても、耐震壁として採用される鋼板が一枚ものであると、重量物で大掛かりな揚重機を必要とし、補強箇所が既存建物の外周に限定される問題点を有していた。
そこで、耐震壁を人力で運搬可能な重量と大きさにブロック化した鋼製ブロック部材を個々に搬入し、柱・梁架構の面内に前記鋼製ブロック部材から成るブロック壁を組み込んでブロック壁構造とする技術も開発されている(特許文献1、2)。
ところで、最近では耐震壁の一部に履歴系のエネルギー吸収部材(低降伏点鋼)を組み込むことで、耐震効果だけでなく、制震効果も発揮させることができる制震壁も開発されている(特許文献3)。
特開平9−144374号公報 特開平11−293950号公報 特開平5−163772号公報
上記特許文献1、2のブロック壁は、エネルギー吸収部材が組み込まれていないため、制震効果を発揮させることができない。
一方、上記特許文献3の制震壁は、ブロック化されていないので、既存建物のバックヤード等の狭小なエリアで施工することができない。また、前記制震壁は、柱・梁架構の面内に隙間なく組み込まれており、低降伏点鋼の変形角は前記柱・梁架構の変形角に依存する構成なので、大きな変形角を稼ぎ出すことができず、制震効果が小さい問題点を有する。特に、既存建物の場合は、躯体が古く架構を大きく変形させることができないので、尚のことである。
本発明の目的は、柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材を配置し、その中間部に少なくとも一段低降伏点鋼ブロック部材を配置して各ブロック部材の相互間を接合して成るブロック壁を、その左右の側辺と柱との間に前記低降伏点鋼ブロック部材が変形するのに必要十分な大きさのクリアランスを設けて、建物の柱・梁で形成される架構面内に組み込むことで、前記低降伏点鋼ブロック部材を大きく変形させることができる構成とし、大きな制震効果を発揮させることができる、制震ブロック壁構造を提供することである。
本発明の目的は、新築建物だけでなく、既存建物のバックヤード等の狭小なエリアで施工することが可能な、制震ブロック壁構造を提供することである。
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る制震ブロック壁構造は、
ブロック壁1は、鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6との組み合わせとし、建物の柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材5を配置し、その中間部分に少なくとも一段の低降伏点鋼ブロック部材6配置し、上下・左右に組み合わせた各ブロック部材5、6の相互間を接合した構成とされており
前記構成のブロック壁1は、建物の柱・梁架構面内に、その左右の辺と柱2との間に前記低降伏点鋼ブロック部材6の地震時の変形を許容する大きさのクリアランスTを設けて組み込まれ、同ブロック壁1の上辺と下辺がそれぞれ上下の梁3と接合されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した制震ブロック壁構造において、
ブロック壁1が組み込まれる建物の柱・梁架構面内における上下の梁3の内周面にあと施工アンカー10が設けられ、フランジ11bの外面にスタッド12を有するCT鋼材11が、そのウエブ11aを内方に向け、前記フランジ外面のスタッド12を前記あと施工アンカー10と接合し、更に前記梁3の内周面とCT鋼材11のフランジ11bとの間に無収縮モルタル・コンクリート13充填して固定したCT鋼材11ブロック壁の上下の固定治具として設けられ、
ブロック壁1の上辺は前記上側梁3のCT鋼材11のウエブ11bと接合され、下辺は下側梁3のCT鋼材11のウエブ11bと接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明に係る制震ブロック壁構造は、
物の柱・梁架構における下階梁3の上面に左右に間隔をあけて新設柱20が構築され、各新設柱20の上端部相互に新設梁21で連結して新設柱・梁架構が形成さ
ブロック壁1は、鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6との組み合わせとし、前記新設柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材5を配置し、その中間部分に少なくとも一段の低降伏点鋼ブロック部材6を配置し、上下・左右に組み合わせた各ブロック部材5、6の相互間を接合した構成とされ
前記新設柱・梁架構における上辺の新設梁21の周面に、フランジ外面にスタッド22を有するCT鋼材23が、そのウエブを内方に向け、フランジと新設梁内面との間に無収縮モルタル・コンクリート26充填して固定したCT鋼材23がブロック壁用の上側固定治具として設けられ、
前記新設柱・梁架構における下階梁3の内周面あと施工アンカー10が設けられ、フランジ外面にスタッド25を有するCT鋼材24が、そのウエブを内方に向け、フランジ外面のスタッド25を前記あと施工アンカー10と接合し、更に新設柱・梁架構の下階梁3の内周面とCT鋼材24のフランジとの間に無収縮モルタル・コンクリート26充填して固定したCT鋼材24ブロック壁の下側固定治具として設けられ、
前記ブロック壁1は、新設柱・梁架構面内に、その左右の辺と柱2との間に前記低降伏点鋼ブロック部材6の地震時の変形を許容する大きさのクリアランスTを設けて組み込まれ、その上辺前記上側の新設梁21のCT鋼材23のウエブと接合され、下辺は下側の下階梁3のCT鋼材24のウエブと接合されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1又は3に記載した制震ブロック壁構造において、 ブロック壁1が組み込まれる柱・梁架構面内における左右の柱2又は20の側面と相対峙する配置で、フランジ外面にスタッド15又は27を有し、柱・梁架構面内の高さと略等しい長さのCT鋼材14又は28が、そのウエブを内方に向けて配置され、前記架構面内の柱側面と前記CT鋼材14又は28のフランジとの間に無収縮モルタル・コンクリート16充填して前記CT鋼材せん断力伝達治具として設けられ、
ブロック壁1の左右の辺にも、前記柱・梁架構面内の高さと略等しい長さのCT鋼材17又は29が、そのウエブを内向きとしブロック壁1と接合して設けられ、同CT鋼材のフランジ外面の上下端部に、外方に向けてガゼットプレート18又は30が設けられており、
前記ガゼットプレート18又は30が、柱・梁架構の前記柱側面に設けた前記CT鋼材14又は28のウエブと接合されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1ないし4のいずれか一に記載した制震ブロック壁構造において、
鋼製ブロック部材5は、上下にフランジ5bを有する溝形鋼状材を背中合わせに二つ組み合わせて構成され、上下に隣接する鋼製ブロック部材5、5同士は各々のフランジ5b同士を重ね合わせて接合され、左右方向に隣接する鋼製ブロック部材5、5は上下方向に配置したCT鋼材9の左右のフランジ9b、9bを二つの溝形鋼状材のウエブ5a、5a間に挟んで接合されており、
低降伏点鋼ブロック部材6は板状に形成され、上下に隣接する鋼製ブロック部材5とは接合鋼板7の上下一方の端部を鋼製ブロック部材5を構成する二つの溝形鋼状材のウエブ5a、5a間に挟んで接合され、他方の端部と低降伏点鋼ブロック部材とは重ね合わせて接合され、上下に隣接する低降伏点鋼ブロック部材6、6同士は水平方向に配置したCT鋼材8の上下のフランジ8bと重ね合わせて接合され、左右に隣接する低降伏点鋼ブロック部材6、6同士は上下方向に配置したCT鋼材9の左右のフランジ9b、9bと重ね合わせて接合されていることを特徴とする、
本発明に係る制震ブロック壁構造は、柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材5を配置し、その中間部に少なくとも一段低降伏点鋼ブロック部材6を配置して成るブロック壁1を、その側辺と左右の柱2(又は20)との間に低降伏点鋼ブロック部材6が地震時に変形するの十分に許容する大きさのクリアランスTを設けて建物の柱・梁架構面内に組み込んでいるので、前記低降伏点鋼ブロック部材6が局部的に大きく変形しても、ブロック壁1の側辺が柱2に接触することがなく、低降伏点鋼ブロック部材6の変形角は建物の柱・梁架構の変形角に依存しない。そのため低降伏点鋼ブロック部材6に変形を集中させて大きな制震効果を発揮させることができる。よって、柱・梁架構の変形が小さくても大きな制震効果を発揮させることができ、古い既存建物に好適に採用することができる。
また、請求項4に係る発明によれば、地震などによってブロック壁1が変形しても、同変形によるせん断力の鉛直成分の全てが梁3(又は21)に伝達されず、四隅のせん断力伝達治具(ガゼットプレート)18(又は30)により柱2にも伝達される構成なので、必要以上に梁を補強する必要がない。そのため、コストの削減や工期の短縮化に寄与できる。
もちろん、ブロック壁1は鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6とを主要部材として構成するので、新築建物だけでなく、既存建物のバックヤード等の狭小なスペースに各部材を搬入し、組み込むことが容易にできる。
ブロック壁1は、鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6との組み合わせとし、建物の柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材5を配置し、その中間部分に少なくとも一段の低降伏点鋼ブロック部材6を配置し、上下・左右に組み合わせた各ブロック部材5、6の相互間を接合した構成とする。
前記構成のブロック壁1は、建物の柱・梁架構面内に、その左右の縦辺と柱2との間に前記低降伏点鋼ブロック部材6の地震時の変形を許容する大きさのクリアランスTを設けて組み込み、同ブロック壁1の上辺と下辺をそれぞれ上下の梁3と接合する。
請求項1、2及び請求項に記載した発明に係る制震ブロック壁構造の実施例を、図1〜図6に基づいて説明する。
本実施例の制震ブロック壁構造は、通例のブロック壁構造と同様に、ブロック壁1が既存建物の柱2と梁3とで形成される柱・梁架構4の面内に組み込まれ、その上下の辺がそれぞれ梁3、3と接合された構成とされている。
前記ブロック壁1は、人力で運搬可能な重量と大きさに形成された溝形鋼から成る鋼製ブロック部材と、板状に形成された低降伏点鋼ブロック部材6との組み合わせで構成されており、上記柱・梁架構4の面内の上方の2段と下方の2段に前記鋼製ブロック部材5が配置され、その中間部の2段に低降伏点鋼ブロック部材6が配置されている(図1を参照)。
上記の鋼製ブロック部材5及び低降伏点鋼ブロック部材6は、図1図2B、Cに示したように、補強リブが縦横に格子状に形成されるように、上下方向には前記鋼製ブロック部材5及び低降伏点鋼ブロック部材6の横寸法と略等しい長さの接合鋼板7とCT鋼材8を用いて相互間を接合され、左右方向には図3A、Bのようにブロック壁1の高さ寸法と略等しい長さのCT鋼材9を用いて接合されている。
図1の上下方向に並ぶ鋼製ブロック部材5、5同士は、図2(A)、(B)に示すように、鋼製ブロック部材5のフランジ5bの上に上段の鋼製ブロック部材5のフランジ5bが載置されるように積み重ね、前記フランジ5bと5b同士が接合されている。そして、ブロック壁1の表側及び裏側に並ぶ二組の前記上下方向に接合された鋼製ブロック部材5、5と5、5は、双方のウエブ5aと5aが対峙するように配置され、低降伏点鋼ブロック部材6との接合鋼板7の一方の端部挟み込相互に接合されている。
図1の上下方向に並ぶ低降伏点鋼ブロック部材6、6同士は、図2(C)に示すように水平方向に配置した共通のCT鋼材8を用いて接合されている。すなわち、前記低降伏点鋼ブロック部材6と6の間に、CT鋼材8のウエブ8aが面外方向に突き出るように配置され、下側の低降伏点鋼ブロック部材6の上端部および上側の低降伏点鋼ブロック部材6の下端部がそれぞれ、CT鋼材8のフランジ8bと接合されている。そして、前記下側の低降伏点鋼ブロック部材6の下端部は、下方鋼製ブロック部材5と5に挟み込まれた接合鋼板7の上端部と接合されている。同様に上側の低降伏点鋼ブロック部材6の上端部は、上方鋼製ブロック部材5と5に挟み込まれた接合鋼板7の下端部と接合されている。
図1の左右方向に並ぶ鋼製ブロック部材5、5は、図3(A)、(B)に示すように上下方向に配置した共通のCT鋼材9を用いて接合されている。すなわち、前記鋼製ブロック部材5、5との間に、CT鋼材9のウエブ9aが面外方向に突き出るように配置され、同ウエブ9aの左右の鋼製ブロック部材5、5と5、5の隣り合う側部が、それぞれ各鋼製ブロック部材5、5のウエブ5a、5aに挟み込まれたCT鋼材9のフランジ9bと接合されている。
図1の左右方向に並ぶ低降伏点鋼ブロック部材6、6も、図4(A)、(B)に示すように上記CT鋼材9を共通に用いて接合されている。CT鋼材9のウエブ9aの左右に位置する低降伏点鋼ブロック部材6、6の隣り合う側部が、それぞれCT鋼材9のフランジ9bと接合されている。
上記構成のブロック壁1は、人力で運搬可能な重量と大きさの鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6を主要部材として構成するので、既存建物のバックヤード等の狭小なスペースに各部材を搬入し、組み上げることが容易にできる。
しかも、縦横に格子状の補強リブが、鋼製ブロック部材5のフランジ5bとCT鋼材8(9)のウエブ8a(9a)で形成されるので剛強な構成となり、十分な耐震効果を発揮させることができる。
このブロック壁1は、左右の側辺(縦辺)と柱2との間に、図1と図4A、Cに示す例では、後述する柱2の内側面にせん断伝達治具として設けられたCT鋼材14と、ブロック壁1の側辺(縦辺)に接合されたCT鋼材17との間に、上記低降伏点鋼ブロック部材6が地震時に鋼製ブロック部材5より大きく変形するのを許容するのに必要十分な大きさのクリアランスTを設けて、既存建物の柱2と梁3で形成される架構4の面内に組み込まれ、その上下の辺が梁3、3と接合されている(図1と図2を参照)。
具体的には、図1及び図2(A)、(B)等に示すように、柱・梁架構4における上下の内周面、すなわち上階梁3の下面3aと下階梁3の上面3bにそれぞれ、あと施工アンカー10が設けられている。前記上階梁3の下面3aと対峙するフランジ11bの外面にスタッド12を有するCT鋼材11が、そのウエブ11aを柱・梁架構4の内方に向けて配置されている。前記上階梁3のあと施工アンカー10とCT鋼材11のフランジ11bのスタッド12とを接合した上で、同下面3aとフランジ11bとの間に無収縮モルタル・コンクリート13が充填され、同CT鋼材11はブロック壁1の上の固定治具として設けられている。
様に、下階梁3の上面3bと対峙するフランジ11bにスタッド12を有するCT鋼材11が、そのウエブ11aを柱・梁架構4の内方に向けて配置されている。前記下階梁3の上面3bのあと施工アンカー10とCT鋼材11のフランジ11bのスタッド12とを接合した上で、同上面3bとフランジ11bとの間に無収縮モルタル・コンクリート13が充填され、同CT鋼材11はブロック壁1の下の固定治具として設けられている。
ブロック壁1の横寸法は、図1に示すように、低降伏点鋼ブロック部材6が変形するのに十分なクリアランスTを柱2との間に確保するべく、柱・梁架構4面内の横寸法より若干短く形成されている。同ブロック壁1の上端部(上辺)は、上段の鋼製ブロック部材5、5のウエブ5a、5aで挟み込まれた上辺の固定治具側であるCT鋼材11のウエブ11aと接合されている(図2(B)等を参照)。
ブロック壁1の下端部(下辺)は、具体的な図示は省略するが、上端部と同じく、下段の鋼製ブロック部材5、5のウエブ5a、5aで挟み込まれた下辺の固定治具であるCT鋼材11のウエブ11aと接合されている(請求項2記載の発明)。
したがって地震時には、図5に示すように、上2段の鋼製ブロック部材5、5及び下2段の鋼製ブロック部材5、5を殆ど変形させず、その中間部の2段の低降伏点鋼ブロック部材6、6を局部的に大きくせん断変形させても、ブロック壁1の側辺(縦辺)柱・梁架構4の柱2に接触することがなく、低降伏点鋼ブロック部材6の変形角は既存建物の柱・梁架構4の変形角に依存しない。そのため低降伏点鋼ブロック部材6にせん断変形を集中させて大きな制震効果を発揮させることができる。よって、柱・梁架構の変形が小さくても大きな制震効果を発揮させることができ、古い既存建物に好適に採用することができる。
ちなみに、図6は、鋼製ブロック部材5(SS400)と低降伏点鋼ブロック部材6(LY100)との変形量の違いを示している。点線で示した低降伏点鋼ブロック部材6局部的に大きく変形し、大きな制震効果を発揮していることがわかる。
図1のブロック壁1は、更に側辺(縦辺)の上下端部(所謂四隅位置)が柱2と接合された構成を示す(図3も参照)
具体的には、図1、図3(C)、図4(C)に示すように、柱・梁架構4における左右の柱2、2の内周面、すなわち、左右柱2、2向かい合う側面2a、2aと相対峙する配置で、フランジ14bの外面にスタッド15を有し、柱・梁架構4の高さと略等しい長さのCT鋼材14が、そのウエブ14aを柱・梁架構4の内方に向けて配置されている。前記CT鋼材14のフランジ14bと柱2の側面2aとの間に無収縮モルタル・コンクリート16が充填され、同CT鋼材14はせん断力伝達治具として設けられている。
ブロック壁1の左右の縦辺において、表側で上下に並ぶ鋼製ブロック部材5…と、裏側で上下に並ぶ鋼製ブロック部材5…とで、柱・梁架構4の高さと略等しい長さのCT鋼材17のウエブ17aが挟み込まれ接合さており、同CT鋼材17のフランジ17bの上下端部には外方に向けてガゼットプレート18が設けられている。
上記のガゼットプレート18は、柱・梁架構4の柱内面に設けた上記せん断力伝達治具たるCT鋼材14のウエブ14aと接合されてい。その結果、地震などによってブロック壁1がせん断変形しても、同せん断変形によるせん断力の鉛直成分の全てが梁3伝達されず、柱2にも伝達されるので、必要以上に梁3を補強する必要がない。そのためコストの削減や工期の短縮化に寄与できる。
上記実施例1の制震ブロック壁構造は、既存建物の柱2と梁3とで形成された柱・梁架構4の面内に組み込んだ構成を示しているが、この限りでない。すなわち、柱2と梁3とで架構が形成されていないバックヤード等のスペースにブロック壁1を組み込む場合は、既存建物に新設柱・梁架構19を形成しその面内に組み込んで実施することも良い。
具体的には、図7及び図8に示すように、ブロック壁1を組み込むべく、既存建物の下階梁3に、左右方向に間隔をあけて新設柱20、20が構築され、両新設柱20、20の上端部相互に新設梁21で連結して新設柱・梁架構19が形成されている。この新設柱・梁架構19の内周における下面、すなわち下階梁3の上面3bに、あと施工アンカー10が設けられ、フランジ24bにスタッド25を有するCT鋼材24が下側の固定治具として設けられる。上方の新設梁21の下面21aには、フランジ外面にスタッド22を有するCT鋼材23が、ブロック壁1の上側の固定治具として、そのウエブ23aを内方に向けて設けられている。
上記下側の固定治具は、下階梁3の上面3bと相対峙するフランジ24bの外面にスタッド25を有するCT鋼材24が、そのウエブ24aを新設柱・梁架構19の内方に向けて配置され、同下階梁3の上面3bのあと施工アンカー10とスタッド25を接合した上で、CT鋼材24のフランジ24bと上面3bとの間に無収縮モルタル・コンクリート26が充填され、前記CT鋼材24はブロック壁1の下側の固定治具として設けられている。
ブロック1の上端部(上辺)は、上側の固定治具であるCT鋼材23のウエブ23aを上段の鋼製ブロック部材5、5のウエブ5a、5aで挟み込ませて接合されている。同じく下端部(下辺)は、下側の固定治具であるCT鋼材24のウエブ24aを下段の鋼製ブロック部材5、5のウエブ5aと5aで挟み込ませて接合されている。
なお、図7のブロック壁1も、左右の側辺(縦辺)の上下端部が、新設柱20と接合されている。
具体的には、新設柱・梁架構19における左右の内周面、すなわち、左右の新設柱20、20の向かい合う側面20a、20aに、スタッド27を介して架構19の高さと略等しい長さのCT鋼材28がせん断力伝達治具として、そのウエブ28aを新設柱・梁架構19の内方に向けて設けられている。
ブロック壁1の左右の縦辺において、表側で上下に並ぶ鋼製ブロック部材5…と裏側で上下に並ぶ鋼製ブロック部材5…とにより、新設柱・梁架構19の高さと略等しい長さのCT鋼材29のウエブ29aが挟み込まれ接合されており、同CT鋼材29のフランジ29bの上下端部には外方に向けてガゼットプレート30が設けられている。
このガゼットプレート30は、新設柱・梁架構19の上記CT鋼材28のウエブ28aと接合されている。
上記実施例1、2の制震ブロック壁構造は、既存建物の柱梁架構の補強部材として組み込まれているが、新築建物の柱梁架構の補強部材として組み込んでも良い。
具体的には、図9及び図10に示すように、上側の新設梁31の下面31a及び下側の新設梁32の上面32aに、スタッド33を介して、CT鋼材34がブロック壁1の上下の固定治具として、そのウエブ34aを内方に向けて設けられている。
そして、上記実施例1及び2と略同様に、前記ブロック壁1の上辺は上側の固定治具であるCT鋼材34のウエブ34aに接合され、下辺は下側の固定治具であるCT鋼材34のウエブ34aに接合されている。
上記図1、図7および図9に示す制震ブロック壁構造は、ブロック壁1における左右の辺の上下端部と柱2(20)とを接合しているが、梁3が剛強な場合は接合しなくても良い。
また、上記の各実施例では、低降伏点鋼ブロック部材6が柱梁架構内の中間部位に2段として組み込まれているが、上段、下段以外の部位であれば、何処に何段を組み込んでも良い。
鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6の鋼材種の組合せに関しては、普通鋼と極低降伏点鋼の組合せや、高張力鋼と普通鋼の組合せなど、前者よりも後者降伏点が低い材種を用いれば、効果は発揮される。
鋼製ブロック部材5と低降伏点鋼ブロック部材6の形状は、いずれか一方、または両方が溝形鋼でもよく、板状でもよく、形状に制限はない。
実施例1の制震ブロック壁構造を示した正面図である。 Aは図1のA−A矢視断面図である。B、Cは図2(A)の主要部を部分的に拡大して示した図である。 Aは図1のB−B矢視断面図である。B、Cは図3(A)の主要部を部分的に拡大して示した図である。 Aは図1のC−C矢視断面図である。B、Cは図4(A)の主要部を部分的に拡大して示した図である。 本発明による制震ブロック壁構造の変形状態を概念的に示した図である。 鋼製ブロック部材と低降伏点鋼ブロック部材の変形角の違いを示した荷重−変形線図である。 実施例2の制震ブロック壁構造を示した正面図である。 図7のD−D矢視断面図である。 実施例3の制震ブロック壁構造を示した正面図である。 図9のE−E矢視断面図である。
1 ブロック壁
2 柱
3 梁
4 架構
5 鋼製ブロック部材
6 低降伏点鋼ブロック部材
10 あと施工アンカー
11 CT鋼材
11a ウエブ
11b フランジ
12 スタッド
13 無収縮モルタル・コンクリート
14 CT鋼材
14a ウエブ
14b フランジ
15 スタッド
16 無収縮モルタル・コンクリート
17 CT鋼材
17a ウエブ
17b フランジ
18 ガゼットプレート
19 架構
20 新設柱
21 新設梁
22、25 スタッド
23、24 CT鋼材
23a、24a ウエブ
24b フランジ
26 無収縮モルタル・コンクリート
27 スタッド
28 CT鋼材
28a ウエブ
29 CT鋼材
29a ウエブ
29b フランジ
30 ガゼットプレート
31、32 新設梁
33 スタッド
34 CT鋼材
34a ウエブ

Claims (5)

  1. ブロック壁は、鋼製ブロック部材と低降伏点鋼ブロック部材との組み合わせとし、建物の柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材を配置し、その中間部分に少なくとも一段の低降伏点鋼ブロック部材配置し、上下・左右に組み合わせた各ブロック部材の相互間を接合した構成とされており
    前記構成のブロック壁は、建物の柱・梁架構面内に、その左右の辺と柱との間に前記低降伏点鋼ブロック部材の地震時の変形を許容する大きさのクリアランスを設けて組み込まれ、同ブロック壁の上辺と下辺がそれぞれ上下の梁と接合されていることを特徴とする、制震ブロック壁構造。
  2. ブロック壁が組み込まれる建物の柱・梁架構面内における上下の内周面にあと施工アンカーが設けられ、フランジ外面にスタッドを有するCT鋼材が、そのウエブを内方に向け、前記フランジ外面のスタッドを前記あと施工アンカーと接合し、更に前記梁の内周面とCT鋼材のフランジとの間に無収縮モルタル・コンクリート充填して固定したCT鋼材ブロック壁の上下の固定治具として設けられ、
    ブロック壁の上辺は前記上側のCT鋼材のウエブと接合され、下辺は下側のCT鋼材のウエブと接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した制震ブロック壁構造。
  3. 既存建物の柱・梁架構における下階梁の上面に左右に間隔をあけて新設柱が構築され、各新設柱の上端部相互に新設梁で連結して新設柱・梁架構が形成さ
    ブロック壁は、矩形状の鋼製ブロック部材と低降伏点鋼ブロック部材との組み合わせとし、前記新設柱・梁架構面内の上段と下段に鋼製ブロック部材を配置し、その中間部分に少なくとも一段の低降伏点鋼ブロック部材を配置し、上下・左右に組み合わせた各ブロック部材の相互間を接合した構成とされ
    前記新設柱・梁架構における上辺の新設梁周面に、フランジ外面にスタッドを有するCT鋼材が、そのウエブを内方に向け、フランジと新設梁内面との間に無収縮モルタル・コンクリートを充填して固定したCT鋼材がブロック壁用の上側固定治具として設けられ、
    前記新設柱・梁架構における下階梁内周面あと施工アンカーが設けられ、外面にスタッドを有するCT鋼材が、そのウエブを内方に向け、フランジ外面のスタッドを前記あと施工アンカーと接合し、更に新設柱・梁架構の下階梁内周面とCT鋼材のフランジとの間に無収縮モルタル・コンクリート充填して固定したCT鋼材ブロック壁の下側固定治具として設けられ、
    前記ブロック壁は、新設柱・梁架構面内に、その左右の縦辺と柱との間に前記低降伏点鋼ブロック部材の地震時の変形を許容する大きさのクリアランスを設けて組み込まれ、その上辺前記上側の新設梁のCT鋼材のウエブと接合され、下辺は下側の下階梁のCT鋼材のウエブと接合されていることを特徴とする、制震ブロック壁構造。
  4. ブロック壁が組み込まれる柱・梁架構面内における左右の柱側面と相対峙する配置で、フランジ外面にスタッドを有し、柱・梁架構面内の高さと略等しい長さのCT鋼材が、そのウエブを内方に向けて配置され、前記架構面内の柱側面と前記CT鋼材のフランジとの間に無収縮モルタル・コンクリート充填して前記CT鋼材せん断力伝達治具として設けられ、
    ブロック壁の左右の辺にも、前記柱・梁架構面内の高さと略等しい長さのCT鋼材が、そのウエブを内向きとしブロック壁と接合して設けられ、同CT鋼材のフランジ外面の上下端部に、外方に向けてガゼットプレートが設けられており、
    前記ガゼットプレートが、柱・梁架構の前記柱側面に設けた前記CT鋼材のウエブと接合されていることを特徴とする、請求項1又は3に記載した制震ブロック壁構造。
  5. 鋼製ブロック部材は、上下にフランジを有する溝形鋼状材を背中合わせに二つ組み合わせて構成され、上下に隣接する鋼製ブロック部材同士は各々のフランジ同士を重ね合わせて接合され、左右方向に隣接する鋼製ブロック部材は上下方向に配置したCT鋼材の左右のフランジを二つの溝形鋼状材のウエブ間に挟んで接合されており、
    低降伏点鋼ブロック部材は板状に形成され、上下に隣接する鋼製ブロック部材とは接合鋼板の上下一方の端部を鋼製ブロック部材を構成する二つの溝形鋼状材のウエブ間に挟んで接合され、他方の端部と低降伏点鋼ブロック部材とは重ね合わせて接合され、上下に隣接する低降伏点鋼ブロック部材同士は水平方向に配置したCT鋼材の上下のフランジと重ね合わせて接合され、左右に隣接する低降伏点鋼ブロック部材同士は上下方向に配置したCT鋼材の左右のフランジと重ね合わせて接合されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一に記載した制震ブロック壁構造
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