JP2004019277A - 建物の壁体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る建物の壁体構造300は、内壁面材330と外壁面材との間に断熱材360が設けられたものである。この断熱材360は、ポリプロピレン2A、セルロース、およびでんぷんを含む発泡材料1を、水41によって発泡させた発泡体100Aから構成されている。この発泡材料1において、重量比で、セルロースの比率が最も大きくなっている。セルロースを含む断熱材360により、室内外間の断熱性を確保できるとともに、室内と壁体内との間で調湿ができる。
【選択図】 図2
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、建物の壁体構造に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、建物の壁体構造には、室内外の断熱性を確保するために断熱構造が設けられている。この断熱構造としては、外壁面材と内壁面材との間に空間を設け、この空間内に断熱材を挿入したものが一般的である(特開2000−320032号公報等参照)。この際、断熱材としては、コストや難燃性、軽量性等の取り扱い性に優れることから、グラスウールが多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、グラスウールは、例えば、湿気を吸収すると、この吸収した湿気を外部へ放出せずに、内部に保持する性質を有する。このため、高湿度の室内側から湿気がグラスウール側へ侵入すると、この湿気を吸収して壁体の内部で結露を起こすこととなり、カビ発生等の原因となり壁体の劣化に繋がる。
このため、例えば、室内側からグラスウール側へ湿気が移動するのを遮断するために、壁体構造において、室内外を仕切る内壁面材には、防湿シート等を設けた防湿構造が採用されている。
【0004】
しかしながら、この場合には、室内と壁体内とが隔離されることになり、例えば、室内が壁体内よりも高温高湿の時には、内壁面材の室内側表面に結露が生じカビ等が発生するという問題があった。また、壁体内が室内よりも高温高湿の時には、壁体内に結露が生じるという問題があった。このため、壁体内と室内との間の調湿が求められている。
【0005】
なお、このような問題は、例えば、パネル工法や、ユニット工法、在来工法等のその他の工法による建物の壁体構造において同様に発生していた。
【0006】
本発明の目的は、室内外間の断熱性を確保できるとともに、室内と壁体内との間で調湿可能な建物の壁体構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る建物の壁体構造300は、内壁面材330と外壁面材との間に断熱材360が設けられた建物の壁体構造であって、前記断熱材は、樹脂成分2A、セルロース、およびでんぷんを含む発泡材料1を水41によって発泡させた発泡体100Aから構成され、この発泡材料において、重量比で前記セルロースの比率が最も大きいことをを特徴とする。
【0008】
ここで、樹脂成分としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(6ナイロン、6,6ナイロン等;PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸等の生分解性プラスチック等のプラスチックを挙げることができる。
また、セルロースとしては、廃棄用の紙等を原料として採用できる。
でんぷんとしては、コーンスターチや、甘藷でんぷん、馬鈴薯でんぷん、タピオカでんぷん、コメでんぷん、小麦粉でんぷん等の各種でんぷんを採用できる。なお、本発明の範囲には、セルロースと他の成分との重量比が、全原料中で最も大きくかつ同じとなる場合も含まれる。
【0009】
また、断熱材を構成する発泡体としては、例えば、押出成形機により以下の手順で製造されたものを採用できる。すなわち、まず、押出成形機のシリンダ内に発泡材料と発泡用流体である水とを供給する。次に、このシリンダを加熱しながら、シリンダ内のスクリュで両原料を加圧しつつ混練し、この混練物をダイ側へ搬送する。このダイ側に搬送された混練物は、ダイから押出される際に急激に減圧されるため、凝縮していた水が爆発的に蒸発することにより、樹脂成分内にはセルが形成される。このようにして発泡体を製造し、その後、適宜裁断して、板状等の所定形状の発泡体を形成する。
【0010】
本発明によれば、発泡体として構成された材料を壁体構造に採用するため、発泡体内部に形成されたセルにより、十分な断熱性能を確保でき、断熱材として十分に利用可能である。
また、セルロースを含有することにより、従来の樹脂発泡体に比べて、熱伝導率を小さくすることができ、断熱性能を向上できる。具体的には、セルロースは、繊維同士が水素結合によって強固に、かつ空間を持って絡み合い束になったものである。前述した押出成形での混練において、水を添加するため、この空間に水が入りこんだ混練物が高温・高圧下で押出成形されると、セルロース繊維間の水素結合が水の存在下で切断され繊維同士がバラバラになるとともに、水蒸気発泡により繊維が膨らんでセルが形成される。水蒸気が発泡することで、繊維間の空間にあった水分が蒸発し空間が形成される。水がなくなるため、水素結合は再度形成され空気を含んだ空間ができる。セルロースの表面は水素結合が取れることで、疎水性が優勢になり、樹脂とのなじみがよくなる。発泡時に約160〜200℃の高温下にさらされることにより、樹脂は溶融し、セルロースの繊維の束を覆うようになる。水素結合が外れて繊維がバラバラになる、再度水素結合が形成され空気を含んだ空間ができる、樹脂がセルロース繊維を覆う、これらの3つの反応が競合的に起こり、成形物が形成されると、繊維同士の隙間に空気が閉じ込められ断熱性が向上することになる。
【0011】
また、断熱材は、セルロースを含むことにより、湿度の高い時には水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出する調湿機能を有する。このため、例えば、内壁面材を透湿可能な材料等から構成することにより、室内と壁体内との間での調湿を行うことができる。従って、内壁面材の表面等での結露を防止して、壁体構造の耐久性を向上できる。また、調湿機能により、室内での居住性を向上できる。さらに、このように室内の湿度が維持されるため、室内側に露出する面材の表面が静電気を帯びにくくなり、塵埃等の付着による汚れを防止できる。
【0012】
ここで、前記内壁面材の室内側には、室内に露出する透湿性面材340が設けられていることが好ましい。透湿性面材としては、紙クロスや、しっくいクロス等の透湿性のある面材を採用できる。
この場合には、室内と壁体内との間の透湿を実現できるため、室内と壁体内との湿度を一定に維持でき、発見しにくい壁体構造の内部の結露を確実に防止できる。
【0013】
以上において、前記外壁面材の室外側には、透湿防水シート320が設けられていることが好ましい。ここで、透湿防水シートとしては、例えば、商品名「タイベック(デュポン社製)」等を採用できる。
この場合には、室内からの湿気は、断熱材に留まらずに透湿防水シートを介して室外側へ放散されるため、壁体構造の内部には結露が生じない。また、室外が屋外となる場合には、透湿防水シートにより、屋外からの雨水等の浸入を防止でき、壁体構造を保護できる。
【0014】
以上において、前記断熱材は、厚さ寸法の異なる板状のものを複数種類備えていることが好ましく、この場合には、風土に合わせて、適度な断熱性能のものを採用でき、余分なコストがかからない。
【0015】
以上において、前記樹脂成分は、ポリプロピレンであることが好ましい。
この場合には、他の樹脂成分に比べて、ポリプロピレンが加工性や、機械適性等に優れるため、このような構成とすれば発泡体から構成された断熱材を簡単に製造できる。
【0016】
ここで、前記セルロースの粒度は、30メッシュを通過し、かつ400メッシュを通過しない範囲であることが好ましい。
セルロースの粒度が30メッシュを通過しないものである場合には、十分な大きさのセルが形成された発泡体を構成できないという欠点がある。また、その粒度が400メッシュを通過するものである場合には、原料供給や混練等における作業性が悪くなるという欠点がある。さらに、その粒度は、これらの効果をより一層高めることができることから、175メッシュを通過し、325メッシュを通過しない範囲がより好ましい。
【0017】
また、前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して0.2重量部以上の酸化防止剤3,3Aが添加され、この酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤とが、重量比で、フェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2として混合された混合物であることが好ましい。
【0018】
前記酸化防止剤の添加量を0.2%重量部未満とした場合には、製造された発泡体において、十分な耐久性を確保できない。また、酸化防止剤の配合を、フェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2の混合物としない場合にも、十分な耐久性を確保できない。
【0019】
ここで、発泡体の形成において、水蒸気の爆発的な蒸発による樹脂成分の発泡の際に、セルロースを覆う樹脂成分は、発泡時の急激な圧力変化でマイクロクラックが形成されている可能性がある。マイクロクラック部分は、樹脂が切断されるため、酸素ラジカル等による酸化、還元反応を受けやすく樹脂が崩壊しやすい。このため、酸化防止剤を添加しない場合には、時間経過とともに、このマイクロクラックが拡がり、発泡体自身の崩壊を招くおそれがある。このため、前記酸化防止剤を添加することにより、マイクロクラックの成長を抑制できる。
【0020】
以上において、前記樹脂成分には、難燃性を付与する必要があるならば、この樹脂成分100重量部に対して5重量部の難燃剤3,3Aが添加されていることが好ましい。さらに、前記難燃剤は、リン系、ブロム系、塩素化パラフィン、および三酸化アンチモンのうちの少なくともいずれかを含むことがより好ましい。このような構成とすれば、製造された発泡体に十分な難燃性を付与できる。
【0021】
リン系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2 − エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリアリルホスフェート、その他芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル類、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスβ−クロロプロピルホスフェート、その他含ハロゲンリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム/アミド、その他ポリリン酸塩、赤リン酸、リン−窒素複合系等を採用できる。
【0022】
ブロム系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBA − エポキシオリゴマー/ポリマー、TBA − カーボネートオリゴマー、TBA − ビス(2,3 − ジブロモプロピルエーテル)、TBA − ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS(TBS)、TBS − ビス(2,3 − ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモベンゼン(HBB)、ペンタブロムトルエン、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、デカブロモジフェルニルオキサイド(DBDPO)、オクタブロモジフェニルオキサイド(OBDPO)、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、臭素化ポリスチレン、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ビス(トリブロモフェノキシエタン)を採用できる。
【0023】
以上において、前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して0.2〜0.5重量部の範囲の脂肪酸アミド系滑剤3が添加されている構成を採用できる。
脂肪酸アミド系滑剤の添加量を、0.2重量部未満とした場合には、緻密なセルが形成された発泡体を構成できず、0.5重量部よりも多く添加した場合には、十分に発泡しない欠点がある。
このような脂肪酸アミド系滑剤を用いることにより、緻密な発泡体を製造できるとともに、製造時の製造効率を向上できる。また、脂肪酸アミド系滑剤を用いることにより、空気中の水分を吸収し発泡体自身が調湿する機能を有し、発泡体の帯電を防止でき、これにより塵埃の吸着を防止できる。
【0024】
また、前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して1〜2重量部のタルク3Aが添加されている構成も採用できる。
タルクの添加量を、1重量部未満とした場合には、緻密なセルが形成された発泡体を構成できず、2重量部よりも多く添加した場合には、十分に発泡しない欠点がある。このようなタルクを滑剤として用いることにより、緻密な発泡体を製造できるとともに、製造時の製造効率を向上できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る建物を示す図である。
建物200は、図1に示すように、二階建ての建物であり、基礎210上に構成された建物本体220と、この建物本体220の上に屋根パネルを配置して形成された勾配屋根230とを備える。
【0026】
建物本体220は、予め工場で製造され規格化された壁パネルを複数個、建築現場で接着等により接合して本発明に係る壁体構造を構成する、いわゆる木質パネル工法によるものである。なお、勾配屋根230も同様にして、パネル工法により構成されている。
【0027】
図2は、壁体構造を構成する壁パネル300を示す縦断面図である。
壁パネル300は、図2を参照すれば、枠状の芯材(図示略)の室内外側面に貼付される一対の合板310と、一対の合板310のうちの室外側(屋外側)の合板310Aに貼付される透湿防水シート320と、一対の合板310のうちの室内側(屋内側)の合板310Bに設けられる内壁面材としての石膏ボード330とを備える。
【0028】
また、透湿防水シート320の室外側面には、図示を省略するが、所定の胴縁を介して、外壁面材としてのサイディングボードが設けられている。
石膏ボード330の室内側面には、透湿性を有する透湿性面材である紙クロス様のしっくいクロス340が貼付され、このしっくいクロス340は、室内に露出している。
一対の合板310の内部には、室内側の合板310Bに接する空気層350と、この空気層350に接し、かつ室外側の合板310A側に設けられた断熱材360とが設けられている。
【0029】
一対の合板310を構成する室外側の合板310Aは、例えば、厚さ寸法が5.5mmとして形成されたものを採用でき、また、室内側の合板310Bは、厚さ寸法が4.0mmとして形成されたもの等を採用できる。
透湿防水シート320は、透湿性および防水性を有するシートであり、本実施形態では、オレフィン系樹脂を基剤とするデュポン社製のタイベック(商品名)を採用している。
石膏ボード330は、例えば、厚さ寸法が12.5mmとして形成されたものを採用できる。空気層350は、例えば、厚さ方向の寸法が6mm〜35mm程度の空間として構成できる。
また、断熱材360は、寒冷地用(例えば、I地域用)等の風土に合わせて、例えば、厚さ寸法が75mmの板状のものを採用できる。また、その他、例えば、50mmや100mm等の異なる厚さ寸法の板状のものなど複数種類を備えている。
【0030】
次に、断熱材360を構成する発泡体100Aについて説明する。
図3は、発泡体100Aを模式的に示す斜視図である。
図4は、発泡材料1を用いて発泡体100Aを製造するための押出成形機11を模式的に示す図である。
発泡体100Aは、図3に示すように、発泡用流体である水を用いて、熱可塑性樹脂を含む発泡材料1を発泡させることにより、内部に空隙(セル)が形成された発泡体でり、所定寸法の板状に形成されている。
【0031】
図4に示すように、発泡材料1は、主成分となる基剤2と、添加剤3とを含有する。基剤2は、樹脂成分である粉体状のポリプロピレン(PP)2Aを35重量部と、コーンスターチを30重量部と、不良品とされた廃棄用の切手等を含むセルロースからなる紙を35重量部とを含有し、セルロースの比率が重量比で最も大きくなっている。ポリプロピレン2Aは、その融点が160℃のものである。なお、ポリプロピレン2Aは、粉体以外のペレット状等のその他の形状でもよい。
【0032】
前記コーンスターチおよび紙は、混合された後にペレット状に加工された粒状混合物としての紙粒2Bとして構成されている。紙粒2Bを構成する紙は、ボールミル等の各種粉砕機により粉砕され、JIS標準の篩を用いて手動または自動で篩別されたものである。紙の粒度は、30メッシュを通過し、かつ400メッシュを通過しない範囲となっている。
【0033】
添加剤3は、酸化防止剤と、リン−窒素複合系難燃剤と、脂肪酸アミド系滑剤とを含有する。添加剤3を構成するこれらの3つの成分は、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、下記の配合で添加されている。
・酸化防止剤:0.2重量部
・リン−窒素複合系難燃剤:5重量部
・脂肪酸アミド系滑剤:0.5重量部
【0034】
また、前記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤と、ホスファイト系酸化防止剤とを含有する混合物として構成されている。これらの2成分は、重量比で、フェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2となっている。
【0035】
次に、発泡体100Aを製造する機械である押出成形機について説明する。
押出成形機11は、図4に示すように、発泡材料1が供給される原料タンク20と、サイロ30と、流体タンク40と、シリンダ50と、ヒータ60と、シリンダ50内に配置されるスクリュ70と、ダイ80と、ベルトコンベア90と、ダイ80の温度を160℃〜220℃の範囲に調整する調温装置100とを備える。
【0036】
原料タンク20は、発泡材料1を構成する原料を収容するものであり、ポリプロピレン2Aを収容する第1タンク21と、紙粒2Bおよび添加剤3を収容する第2タンク22とを備える。
【0037】
サイロ30は、原料タンク20から供給された各原料2A,2B,3を一時的に収容し、予め設定された所定量の各原料2A,2B,3をシリンダ50内へ自動的に供給するものである。このサイロ30は、配管30Aを介して第1タンク21に接続された第1サイロ31と、配管30Bを介して第2タンク22に接続された第2サイロ32とを備える。
【0038】
第1サイロ31は、ポリプロピレン2Aを一時的に収容し、このポリプロピレン2Aをシリンダ50内へ供給するものであり、すり鉢状にテーパが形成されたサイロ本体33と、このサイロ本体33の側面部分33Aを、間欠的に殴打して振動させる振動機構34とを備える。なお、ポリプロピレン2Aは、比較的流動性が高いため、振動機構34を設けない構成も可能である。
【0039】
振動機構34は、モータ341と、このモータ341に取り付けられたカム342とを備え、モータ341の駆動に応じてカム342が回転し、このカム342の先端342Aが、サイロ本体33の側面部分33Aを周期的に殴打する。これにより、サイロ本体33の側面部分33Aが振動するので、仮に、サイロ本体33内でポリプロピレン2A同士が固着していても、これらの固着が解放され、ポリプロピレン2Aは、すり鉢状のテーパに沿って落下し、シリンダ50側へ移動することになる。
【0040】
第2サイロ32は、紙粒2Bと添加剤3とを一時的に収容して、これらの原料2B,3をシリンダ50内へ供給するものであり、前述したものと同じサイロ本体33および振動機構34を備える。
【0041】
流体タンク40は、発泡用流体である水41を収容し、サイロ30とスクリュ70との間の経路に接続された配管40Aを介して、この水41をシリンダ50内へ供給するものである。
【0042】
シリンダ50は、サイロ30から供給された発泡材料1、および、流体タンク40から供給された水41を収容する中空箱形のものであり、シリンダ本体51と、このシリンダ本体51の図2中左側に位置する排出部52とを備える。
【0043】
シリンダ本体51には、図示を省略するが、原料1,41の混練物である混練材料Aを排出する楕円形状の開口部と、この開口部の上下側に2つずつ合計4つのボルト孔とが形成されている。
排出部52には、前記開口部および4つのボルト孔を露出するとともに、ダイ80の一部が嵌合される図示しない嵌合孔が形成されている。
【0044】
ヒータ60は、シリンダ50の6箇所50A〜50Fをそれぞれ独立して加熱するものであり、シリンダ50の各箇所50A〜50Fに取り付けられる6つのヒータ本体61(61A〜61F)と、これらの6つのヒータ本体61(61A〜61F)の温度をそれぞれ制御する制御部62とを備える。
【0045】
具体的には、シリンダ50の6箇所50A〜50Fは、図4中の右側から順番に以下のように、6段階に温度設定がなされている。なお、温度設定は、使用する原料、原料中の含水率、気象条件等により異なる。
(1)第1箇所50A:80℃(初期温度)
(2)第2箇所50B:145℃
(3)第3箇所50C:185℃
(4)第4箇所50D:175℃
(5)第5箇所50E:170℃
(6)第6箇所50F:230℃(最終温度)
なお、ヒータ本体61には、各箇所50A〜50Fの設定温度、および実測した温度が表示されるようになっている。
【0046】
スクリュ70は、シリンダ50内に供給された発泡材料1および水41を混練し、この混練材料Aを搬送して、シリンダ50の排出部52を介して外部へと排出するものであり、2本のスクリュ本体71,72と、これらの2本のスクリュ本体71,72を回転する駆動部73とを備え、2軸構造となっている。
【0047】
2本のスクリュ本体71,72は、シリンダ50内において、互いに略平行となるように隣接して配置される。2本のスクリュ本体71,72には、それぞれねじ山71A,72Aが形成されている。これらのねじ山71A,72Aは同じ方向を向いている。
駆動部73は、互いに近接する方向に2本のスクリュ本体71,72を回転させるものである。
従って、混練材料Aが供給されたシリンダ50内において、2本のスクリュ本体71、72が駆動部73の駆動により同一方向に回転すると、混練材料Aは、ねじ山71A,72Aによって、排出部52側へと搬送される。
【0048】
ダイ80は、シリンダ50の排出部52から排出された混練材料Aに空隙を形成して発泡体Bを構成する機能と、この発泡体Bを成形する機能とを有する金属製の部材であり、4つの部材で構成される第1ブロック81と、この第1ブロック81の排出側に取り付けられる第2ブロック83とを備える。
【0049】
第1ブロック81は、搬送された混練材料Aに空隙を生じさせて発泡体Bを構成するものである。第1ブロック81を構成する4つの部材のうち、図中の右端側部分は、排出部52の前記嵌合孔に嵌合される部分であり、図中の左端側部分には、混練材料Aを押出すための図示しない複数の小孔が形成されている。
【0050】
第2ブロック83は、第1ブロック81の図中の左端側部分に取り付けられる板状の基部831と、この基部831に形成された中空で、かつ押出方向にある程度の長さを有する箱形の成形部832とを備え、発泡体Bを所定の断面形状に成形するものである。
【0051】
ベルトコンベア90は、ダイ80を構成する第2ブロック83の射出側開口部832Bから排出された発泡体Bを搬送するとともに、この発泡体Bの粗切りを行うものである。
【0052】
図示を省略するが、ベルトコンベア90の搬送経路には、製品の厚さを調整するプレスローラと、粗切りカッタとが設けられている。この粗切りカッタは、ベルトコンベア90のコンベア速度によって製品の幅の調整を行うものであり、発泡体Bを冷却する冷却ファンと、発泡体Bを裁断する裁断装置とが設けられている。これらの装置により、発泡体Bは、最終製品である断熱材として構成された後に所定の箱等に保管され、使用される。
【0053】
次に、発泡体100Aの製造手順について説明する。
<1>各振動機構34によって、サイロ本体33の側面部分33Aをカム342の先端で叩きながら、第1サイロ31から所定量のポリプロピレン2Aを、また、第2サイロ32から所定量の原料2B,3をシリンダ50内に供給する。一方、流体タンク40から所定量の水41を、スクリュ70とサイロ30との間の原料供給経路に供給する。
【0054】
<2>シリンダ50内のスクリュ70の部分に供給された各原料2A,2B,3および水41は、スクリュ70の回転によって混練され、混練材料Aとなってダイ80側へと搬送される。この際、ポリプロピレン2Aは、ヒータ60によって加熱され、融点である160℃以上となった時、すなわち、第3箇所50C以降の位置に運ばれた時に完全に溶融する。その他の原料2B,3は、溶融したポリプロピレン2Aに均一に分散される。
【0055】
<3>一方、水41は、ヒータ60によって加熱されるが、シリンダ50の第1箇所50Aが80℃に設定されているため、この第1箇所50Aの位置では、完全には気化されず、その殆どが液体のままである。その後、第2箇所50B以降の位置では気化温度以上に加熱され気化して水蒸気となることになるが、シリンダ50と、後から搬送される原料と、ダイ80との間での加圧雰囲気により、凝縮することになる。これにより、水蒸気と液体とが混合された状態の水が混練材料Aに含まれることになる。
【0056】
<4>スクリュ70の回転によって、シリンダ50から排出された混練材料Aは、調温装置100で所定温度に調整されつつ、第1ブロック81に形成された前記複数の小穴から、複数の細長い形状として押し出される。この際、前記小穴を通過した細長い形状の混練材料Aは、急激に減圧されて爆発的に発泡し、前記複数の小穴に応じた複数の細長い発泡体Bとなり、これらは互いに隙間無く密着して一体化する。
【0057】
<5>この一体化された発泡体Bは、第2ブロック83を構成する成形部832内に供給され、ベルトコンベア90側に搬送される際に、断面矩形の板状に形成され、外部へ押し出される。
【0058】
<6>押し出されて板状に連続する発泡体Bは、ベルトコンベア90によって搬送され、適宜、裁断されて発泡体100Aとなる。
【0059】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)発泡体100Aを構成材料として採用したので、発泡体100A内のセルにより十分な断熱性能を確保でき、断熱材360として十分に機能する。この際、発泡体100Aの原料としてセルロースを含むため、従来の樹脂発泡体に比べて、熱伝導率を小さくすることができ、断熱性能を向上できる。具体的には、セルロースは、繊維同士が水素結合によって強固に、かつ空間を持って絡み合い束になったものである。前述した押出成形11での混練において、水を添加するため、この空間に水が入りこんだ混練物が高温・高圧下で押出成形されると、セルロース繊維間の水素結合が水の存在下で切断され、繊維同士がバラバラになるとともに、水蒸気発泡により繊維が膨らんでセルが形成される。水蒸気が発泡することで、繊維間の空間にあった水分が蒸発し空間が形成される。水がなくなるため、水素結合は再度形成され空気を含んだ空間ができる。セルロースの表面は水素結合が取れることで、疎水性が優勢になり、樹脂とのなじみがよくなる。発泡時に約160〜200℃の高温下にさらすことにより、樹脂は溶融し、セルロースの繊維の束を覆うようになる。水素結合が外れて繊維がバラバラになる、再度水素結合が形成され空気を含んだ空間ができる、樹脂がセルロース繊維を覆う、これらの3つの反応が競合的に起こり、成形物が形成されると、繊維同士の隙間に空気が閉じ込められ断熱性が向上することになる。
【0060】
(2)断熱材360がセルロースを含むことにより、湿度の高い時には水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出する調湿機能を有する。このため、室内と壁パネル300内との間での調湿を行うことができる。従って、壁パネル300内やしっくいクロス340の室内面等での結露を防止して、壁パネル300を含む建物200の壁体構造の耐久性を向上できる。
【0061】
(3)また、前述した調湿機能により、放射効果によって夏季においては、室内の居住者が涼しく感じることができる等、室内での居住性を向上できる。
さらに、このように室内の湿度が維持されるため、室内側に露出するしっくいクロス340の表面が静電気を帯びにくくなり、表面への塵埃等の付着による汚れを防止できる。
【0062】
(4)しっくいクロス340を採用したので、室内と壁パネル300内との間での透湿を実現できるため、室内と壁パネル300内との湿度を一定に維持でき、発見しにくい壁パネル300内部の結露を確実に防止できる。
【0063】
(5)透湿防水シート320を採用したので、室内からの湿気が断熱材360に留まらずに室外、つまり屋外へと放散できる。このため、壁パネル300内での結露発生を防止できる。また、屋外からの雨水等の浸入を防止できて、壁パネル300を保護できる。
【0064】
(6)断熱材360には、厚さ寸法の異なるものを複数種類備えたので、寒冷地や温暖の地等の各地の風土に合わせて、適度な厚さ寸法に換えることができ、余分なコストがかかることを防止できる。
【0065】
(7)発泡体100Aを構成する樹脂成分をポリプロピレン2Aとしたので、ポリプロピレンが加工性や機械適性等に優れることから、発泡体100Aを簡単に製造できる。
【0066】
(8)セルロースおよびでんぷんを紙粒2Bとして構成したので、それぞれ別々とする場合に比べて、押出成形機11を構成するシリンダ50内への供給をスムーズに行うことができ、作業性が向上する。
【0067】
(9)原料であるセルロースを、30メッシュを通過し、かつ400メッシュを通過しない範囲の粒度としたので、十分な大きさのセルを形成できるとともに、原料供給時等の作業性を確保できる。
【0068】
(10)ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、酸化防止剤を0.2%重量部添加し、かつ、酸化防止剤の配合をフェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2の混合物としたので、発泡体100Aに十分な耐久性を確保できる。
【0069】
(11)ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、リン−窒素複合系の難燃剤を5重量部添加したので、発泡体100Aに十分な難燃性を付与できる。
【0070】
(12)ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、脂肪酸アミド系滑剤を0.5重量部添加したので、緻密なセルを有し、かつ十分に発泡した発泡体100Aを効率よく製造できる。また、脂肪酸アミド系滑剤を添加することにより、空気中の水分を吸収して発泡体100A自身が調湿する機能を有し、発泡体100Aの帯電を防止でき、これにより塵埃の吸着を防止できる。
【0071】
(13)発泡体100Aにより構成される断熱材としての柔軟性は、一般的なポリスチレンフォームの圧縮強度が2kgf/cm2(0.196MPaに相当)であり、一方、本発明に係る発泡体100Aは、0.2kgf/cm2(0.0196MPaに相当)である。このため、ポリスチレンフォームは、枠材の間に挿入する場合に隙間等が生じやすく困難であるが、発泡体100Aは、+2mm程度でも入れられ、断熱欠損がなくなる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第2実施形態に係る建物の壁体構造は、前記第1実施形態に係る建物の壁体構造とは、その断熱材の構成が相違している。すなわち、第2実施形態に係る断熱材を構成する発泡体100B(図1)は、前記第1実施形態の断熱材を構成する発泡体100Aとは、配合の一部が相違している。このため、第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
【0073】
発泡体100Bは、前記第1実施形態と同じように、押出成形機11を用いて発泡材料1Xを水41により発泡させて製造できる。発泡材料1Xは、主成分となる前記基剤2と、前記添加剤3とは配合が異なる添加剤3Aとを含有する。
【0074】
添加剤3Aは、前記第1実施形態と同じ配合である酸化防止剤と、塩素化パラフィンからなる難燃剤と、タルクとを含有する。添加剤3Aを構成するこれらの3つの成分は、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、下記の配合で添加されている。
・酸化防止剤:0.2重量部
・塩素化パラフィンからなる難燃剤:5重量部
・タルク:2重量部
【0075】
本実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(9)と同様の効果に加えて、以下のような効果がある。
(13)ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、塩素化パラフィンからなる難燃剤を5重量部添加したので、発泡体100Bに十分な難燃性を付与できる。
【0076】
(14)ポリプロピレン2Aの100重量部に対して、タルクを2重量部添加したので、緻密なセルを有し、かつ十分に発泡した発泡体100Bを構成できる。
【0077】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、樹脂成分としてポリプロピレン2Aを採用したが、これには限定されず、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート、生分解性プラスチック等のその他の樹脂成分であってもよい。
【0078】
本発明の壁体構造をパネル工法による建物の壁パネル300として構成したが、これに限らず、例えば、在来工法や、ユニット工法等のその他の工法により構成される壁体構造にも採用できる。
【0079】
透湿性面材としては、しっくいクロスを採用したが、これに限らず、その他の紙クロス等の透湿性を有する面材を採用できる。
その他、本発明の実施時の具体的な構造および形状、寸法、配合、用途等は、本発明の目的を達成できる範囲で、他の構造等としてもよい。
【0080】
【実施例】
以下、本発明に係る壁パネルを備える建物および壁パネルについて、実施例および比較例を挙げて説明する。
(1)建物および壁体構造の保温性試験
<実施例1−1>
壁パネルとして、図5に示すように、室内側から、下記の(1)から(6)の順に構成した壁パネルX1を採用した。なお、しっくいクロス340は、結果に影響しないと考えられることから設けなかった。
(1)石膏ボード330:12.5mm
(2)室内側の合板310B:4.0mm
(3)空気層350:6.0mm
(4)断熱材360(MWシスター):50.0mm
(5)室外側の合板310A:5.5mm
(6)透湿防水シート320(タイベック;デュポン社製)
【0081】
また、建物を構成する壁パネルX1以外の構成は、下記の通りとした。
・屋根:壁パネルX1と同様の構成であって、MWシスターの厚み寸法が100mmのパネル
・床:壁パネルX1と同様の構成のもの
・窓:アルミペアガラスサッシ
・気密:5cm2/m2
【0082】
<比較例1−1>
壁パネルとして、図6に示すように、室内側から、下記の(1)から(8)の順に構成した壁パネルY1を採用した。
(1)ビニールクロス401
(2)石膏ボード402:12.5mm
(3)室内側の合板403:4.0mm
(4)防湿シート404
(5)断熱材(グラスウール)405:50.0mm
(6)空気層406:31.0mm
(7)室外側の合板407:5.5mm
(8)透湿防水シート(タイベック;デュポン社製)408
【0083】
また、建物を構成する壁パネルY1以外の構成は、下記の通りとした。
・屋根:壁パネルY1と略同様の構成であって、グラスウール405の代わりに厚さ寸法55mmのロックウールを含むパネル
・床:壁パネルY1と同様の構成のもの
・窓:アルミペアガラスサッシ
・気密:5cm2/m2
【0084】
これらの実施例1−1および比較例1−1の建物について、それぞれの熱損失係数(Q値;W/(m2・K))を測定した。また、各建物を構成する壁パネルX1,Y1について、熱貫流率(K値;W/(m2・K))を測定した。これらの結果を表1に示す。
なお、Q値は、住まいの保温性能を示すめやすとなる値であり、値が小さいほうが建物から熱が逃げにくいため居住性能が高い。また、K値は、熱の伝わりにくさを示す指標であり、同じく値が小さいほうが保温性が高い。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すように、実施例1−1の建物は、比較例1−1の建物に比べて、Q値が13%小さくなっており、保温性能が向上していることがわかる。また、壁パネルX1,Y1同士で比較した場合も、実施例1−1の壁パネルX1は、比較例1−1の壁パネルY1に比べて、K値が21%小さくなっており、保温性能が向上していることがわかる。
【0087】
<実施例1−2>
実施例1−2は、実施例1−1から以下の点を変更したものであり、その他の構成は同じである。すなわち、壁パネルX2(図2参照)には、石膏ボード330の室内側面に、しっくいクロス340を設け、また、断熱材360(MWシスター)の厚さ寸法を75.0mmとした。
【0088】
<比較例1−2>
壁パネルとして、図7に示すように、室内側から、下記の(1)から(8)の順に構成した壁パネルY2を採用した。その他の構成は、比較例1−1と同じである。
(1)ビニールクロス501
(2)石膏ボード502:12.5mm
(3)防湿シート503
(4)室内側の合板504:4.0mm
(5)断熱材(グラスウール)505:100.0mm
(6)空気層506
(7)室外側の合板507:5.5mm
(8)透湿防水シート(タイベック;デュポン社製)508
【0089】
これらの実施例1−2および比較例1−2の建物について、それぞれの熱損失係数(Q値;W/(m2・K))を測定した。また、各建物を構成する壁パネルX2,Y2について、熱貫流率(K値;W/(m2・K))を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
表2に示すように、実施例1−2の建物および比較例1−2の建物において、Q値が略同じになっていることがわかる。また、壁パネルX2,Y2同士で比較した場合も、K値が略同じになっていることがわかる。しかしながら、実施例1−2の壁パネルX2は、比較例1−2の壁パネルY2よりも、断熱材の厚さ寸法が13%ほど厚くなっているため、全体として保温性が向上していることがわかる。
【0092】
次に、本発明に係る断熱材について、より具体的に説明する。
(2)断熱性試験
<実施例2−1>
原料には、セルロースを含む紙、およびポリプロピレンを含有する発泡材料と、発泡用流体としての水とを用いた。この原料に基づき、前記押出成形機11を用いて、前記第1実施形態と同様の条件および手順により発泡体(紙+樹脂複合発泡体)を得た。
<比較例2−1>
原料であるセルロースを含む紙を粉砕した紙粉砕物を得た。
<比較例2−2>
原料には、ポリプロピレンからなる発泡材料と、発泡用流体としての水とを用いた。この原料に基づき、前記押出成形機11を用いて、前記第1実施形態と同様の条件および手順により、発泡体(樹脂発泡体)を得た。
【0093】
これらの実施例2−1および比較例2−1,2−2で得られた原料や発泡体について、それぞれ熱伝導率(W/(m・K))を測定し比較した。これらの測定結果を表3に示す。
【0094】
なお、表3において、0.058W/(m・K)は、0.050kcal/(m・h・℃)を換算したものである。また、0.052W/(m・K)は、0.045kcal/(m・h・℃)を換算したものであり、0.035W/(m・K)は、0.030kcal/(m・h・℃)を換算したものである。
【0095】
【表3】
【0096】
表3に示すように、実施例2−1で得られた紙およびポリプロピレンからなる発泡体は、比較例2−1の紙の粉砕物、または、比較例2−2のポリプロピレンのみからなる発泡体に比べて、熱伝導率が小さいことから、断熱性能が高いことがわかる。つまり、セルロースを含む紙を添加すると、熱伝導率を低下させる、換言すれば、断熱性能を向上できる効果があることがわかる。
【0097】
(3)紙の粒度による影響
<実施例3−1>
原料の発泡材料には、ポリプロピレン2Aを35重量部と、コーンスターチを30重量部と、紙を35重量部とを含有するものを用いた。コーンスターチおよび紙には、前述の混合してペレット状とした紙粒2Bを採用した。この原料となる紙をボールミルで粉砕して、紙の粒度を、30メッシュを通過し、かつ100メッシュを通過しない範囲のものとした。また、原料の発泡用流体には、水を用いた。これらの原料に基づき、前記押出成形機11を用いて、前記第1実施形態と同様の条件および手順により、発泡体を得た。
【0098】
<実施例3−2>
本実施例は、前記実施例3−1とは、原料である紙の粒度のみが相違し、その他の原料の配合や製造手順、条件等は同一である。紙の粒度を、100メッシュを通過し、かつ400メッシュを通過しない範囲のものとした。この範囲のものとして、例えば、紙の粒度を、170メッシュ(目開き88μmに相当)を通過し、かつ325メッシュ(目開き44μmに相当)を通過しない範囲のものを採用した。
【0099】
<比較例3−1>
本比較例は、前記実施例3−1とは、原料である紙の粒度のみが相違し、その他の原料の配合や製造手順、条件等は同一である。紙の粒度を、400メッシュを通過するものとした。
【0100】
<比較例3−2>
本比較例は、前記実施例3−1とは、原料である紙の粒度のみが相違し、その他の原料の配合や製造手順、条件等は同一である。紙の粒度を目開き5mm(3.5〜4メッシュ)を通過し、30メッシュを通過しないものとした。
【0101】
<比較例3−3>
本比較例は、前記実施例3−1とは、原料である紙の粒度のみが相違し、その他の原料の配合や製造手順、条件等は同一である。紙を細切りとしたもの、つまり、目開き5mmを通過しないものとした。
【0102】
これらの実施例3−1,3−2および比較例3−1〜3−3で得られた発泡体について、それぞれ製造時の作業性、製造コスト、得られた発泡体の発泡性について評価し比較した。これらの結果を表4に示す。なお、評価を決定する際の基準は、以下の通りである。
◎:かなり良好である
○:良好である
×:不良である
【0103】
【表4】
【0104】
表4に示すように、実施例3−1,3−2で得られた発泡体は、作業性、コスト、発泡性のいずれにおいても良好であることがわかる。一方、比較例3−1は、発泡性については良好であるが、粉砕作業の繁雑化や原料供給時のブリッジ発生等により、作業性およびコストの点で劣っていることがわかる。また、比較例3−2,3−3は、ブリッジ発生等がなく作業性の点でかなり優れるものの、十分な発泡が得られず発泡性の点で劣っていることがわかる。
以上より、紙の粒度を30メッシュを通過し、400メッシュを通過しない範囲のものが、各性能の向上に最も寄与することがわかる。
【0105】
(4)酸化防止剤の添加試験
<実施例4−1>
原料の発泡材料には、ポリプロピレン2Aを35重量部、コーンスターチを30重量部、および紙を35重量部を含有する基剤2と、添加剤3とを用いた。コーンスターチおよび紙には、前記紙粒2Bを採用した。添加剤3には、下記の混合物である酸化防止剤を採用した。これらの原料に基づき、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の構成:フェノール系酸化防止剤(商品名「アデカスタブAO−80」,旭電化工業製)/ホスファイト系酸化防止剤(商品名「アデカスタブ2112」,旭電化工業製)=1/2(重量比)
添加量:ポリプロピレン2Aの100重量部に対して0.2重量部を添加した。
【0106】
<比較例4−1>
添加剤3を添加せずに、前記実施例4−1と同じ基剤2のみを原料として、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
【0107】
<実施例4−2>
原料の発泡材料には、前記実施例4−1と同じ基剤2と、添加剤3としての下記酸化防止剤とを用いた。これらの原料に基づき、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:フェノール系酸化防止剤(商品名「アデカスタブAO−80」,旭電化工業製),ポリプロピレン2Aの100重量部に対して0.2重量部を添加した。
【0108】
<実施例4−3>
原料の発泡材料には、前記実施例4−1と同じ基剤2と、添加剤3としての下記酸化防止剤とを用いた。これらの原料に基づき、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:ホスファイト系酸化防止剤(商品名「アデカスタブ2112」,旭電化工業製),ポリプロピレン2Aの100重量部に対して0.2重量部を添加した。
【0109】
これらの実施例4−1および比較例4−1〜4−3で得られた発泡体に対して、120℃下での熱劣化促進試験として発泡体に対する針入抵抗がゼロになる時間(時間)を測定し比較した。この結果を表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】
表5に示すように、酸化防止剤を添加しなかった比較例4−1の発泡体は、いずれかの酸化防止剤を添加した実施例4−1や比較例4−2,4−3の発泡体よりも、針入抵抗時間が短いので、熱劣化が生じやすいことがわかる。
また、酸化防止剤を添加した場合でも、特に、実施例4−1に示す割合で混合して添加した場合には、比較例4−2,4−3の単体で添加する場合に比べて、針入抵抗時間が10倍程度となっており、明らかに熱劣化が生じにくくなっていることがわかる。
なお、いずれかの酸化防止剤を0.2重量部以上加えた場合も、針入抵抗ゼロ時間を長くする効果を奏することができる。
以上より、フェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2(重量比)の混合物である酸化防止剤を0.2重量部以上添加した場合には、熱に対する耐久性を最も向上できることがわかる。
【0112】
(5)難燃剤の添加試験
<実施例5−1>
原料の発泡材料には、ポリプロピレン2Aを35重量部、コーンスターチを30重量部、および紙を35重量部を含有する基剤2と、添加剤3とを用いた。コーンスターチおよび紙には、前記紙粒2Bを採用した。添加剤3には、下記の難燃剤を採用し、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:ブロム系難燃剤(商品名「Saytex BT−93」,成分「Ethylene bis−tetrabromophthalimide」、アルベマール社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して5重量部を添加。
【0113】
<実施例5−2>
原料の発泡材料には、前記実施例5−1と同じ基剤2と、添加剤3としての下記難燃剤とを用い、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:リン系難燃剤(商品名「ポリセーフNH−12」,リン−窒素複合系、味の素ファインテクノ社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して5重量部を添加。
【0114】
<実施例5−3>
原料の発泡材料には、前記実施例5−1と同じ基剤2と、添加剤3としての下記難燃剤とを用い、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:塩素化パラフィン(商品名「ポリセーフFCP−6」,味の素ファインテクノ社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して5重量部を添加。
【0115】
<実施例5−4>
原料の発泡材料には、前記実施例5−1と同じ基剤2と、添加剤3としての下記難燃剤とを用い、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:三酸化アンチモン(商品名「STOX−W−60」,日本精鉱社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して5重量部を添加。
【0116】
<比較例5−1>
原料の発泡材料には、前記実施例5−1と同じ基剤2のみを用い、添加剤3としての難燃剤は添加せずに、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
【0117】
これらの実施例5−1〜5−4および比較例5−1で得られた発泡体の消炎時間(秒)について測定し比較した。この結果を表6に示す。
【0118】
【表6】
【0119】
表6に示すように、いずれかの難燃剤を添加した実施例5−1〜5−4の発泡体は、難燃剤を添加しなかった比較例5−1の発泡体よりも、消炎時間が短いことから、難燃性が高いことがわかる。
【0120】
(6)滑剤の添加試験1
<実施例6−1>
原料の発泡材料には、ポリプロピレン2Aを35重量部、コーンスターチを30重量部、および紙を35重量部を含有する基剤2と、添加剤3とを用いた。コーンスターチおよび紙には、前記紙粒2Bを採用した。添加剤3には、下記の滑剤を採用し、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:脂肪酸アミド系滑剤(商品名「脂肪酸アマイド」,花王社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して0.2重量部を添加。
【0121】
<実施例6−2>
原料の発泡材料には、前記実施例6−1と同じ基剤2および添加剤3である滑剤を用いて、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。なお、滑剤の添加量を変更した。
添加剤3の種類,添加量:脂肪酸アミド系滑剤(商品名「脂肪酸アマイド」,花王社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して0.5重量部を添加。
【0122】
<比較例6−1>
原料の発泡材料には、前記実施例6−1と同じ基剤2および添加剤3である滑剤を用いて、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。なお、滑剤の添加量を変更した。
添加剤3の種類,添加量:脂肪酸アミド系滑剤(商品名「脂肪酸アマイド」,花王社製)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して1.0重量部を添加。
【0123】
<比較例6−2>
原料の発泡材料には、前記実施例6−1と同じ基剤2のみを用い、添加剤3としての滑剤は添加せずに、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
【0124】
これらの実施例6−1,6−2および比較例6−1,6−2で得られた発泡体について、発泡状態と、熱伝導率(W/(m・K))と、密度(kg/m3)とを測定し比較した。これらの結果を表7に示す。なお、一部については結果が得られていないものもある。
【0125】
発泡体における発泡状態は、以下の判断基準とした。
◎:かなり良好である。
○:良好である。
×:不十分である。
【0126】
また、表7において、0.040W/(m・K)は、0.035kcal/(m・h・℃)を換算したものである。また、0.037W/(m・K)は、0.032kcal/(m・h・℃)を換算したものである。
【0127】
【表7】
【0128】
表7に示すように、脂肪酸アミド系滑剤を1重量部添加した比較例5−1の発泡体は、発泡が不十分で状態がよくないことがわかる。また、滑剤を添加しなかった比較例6−2の発泡体は、密度が小さく、緻密なセルが形成されていないことがわかる。また、熱伝導率が大きくて断熱性にやや劣っている。一方、実施例6−1,6−2の発泡体は、発泡状態も良好で、かつ、熱伝導率が小さくて断熱性能が高く、密度も十分に小さくて緻密なセルが形成されていることがわかる。
【0129】
(7)滑剤の添加試験2
<実施例7−1>
原料の発泡材料には、ポリプロピレン2Aを35重量部、コーンスターチを30重量部、および紙を35重量部を含有する基剤2と、添加剤3とを用いた。コーンスターチおよび紙には、前記紙粒2Bを採用した。添加剤3には、下記の滑剤を採用し、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。
添加剤3の種類,添加量:タルク(市販品、微粉)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して1重量部を添加。
【0130】
<実施例7−2>
原料の発泡材料には、前記実施例7−1と同じ基剤2および添加剤3である滑剤を用いて、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。なお、滑剤の添加量を変更した。
添加剤3の種類,添加量:タルク(市販品、微粉)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して2重量部を添加。
【0131】
<比較例7−1>
原料の発泡材料には、前記実施例7−1と同じ基剤2および添加剤3である滑剤を用いて、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。なお、滑剤の添加量を変更した。
添加剤3の種類,添加量:タルク(市販品、微粉)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して5重量部を添加。
【0132】
<比較例7−2>
原料の発泡材料には、前記実施例7−1と同じ基剤2および添加剤3である滑剤を用いて、前記第1実施形態と同様にして発泡体を得た。なお、滑剤の添加量を変更した。
添加剤3の種類,添加量:タルク(市販品、微粉)、ポリプロピレン2Aの100重量部に対して10重量部を添加。
【0133】
これらの実施例7−1,7−2および比較例7−1,7−2で得られた発泡体について、発泡状態と、熱伝導率(W/(m・K))と、密度(kg/m3)とを測定し比較した。これらの結果を表8に示す。なお、一部については結果が得られていないものもある。
【0134】
発泡体における発泡状態は、以下の判断基準とした。
○:良好である。
×:不十分である。
【0135】
また、表8において、0.037W/(m・K)は、0.032kcal/(m・h・℃)を換算したものである。また、0.035W/(m・K)は、0.030kcal/(m・h・℃)を換算したものである。
【0136】
【表8】
【0137】
表8に示すように、タルクを5重量部または10重量部添加した比較例7−1,7−2の発泡体は、発泡が不十分で状態がよくないため、熱伝導率、密度ともに測定していない。
一方、実施例7−1,7−2の発泡体は、発泡状態も良好で、かつ、熱伝導率が小さいため断熱性能も高く、密度も十分に小さくて緻密なセルが形成されていることがわかる。
【0138】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、発泡体として構成された材料を採用するため、発泡体の内部に形成されたセルにより、十分な断熱性能を確保でき、断熱材として十分に利用できるという効果がある。この際、セルロースの水素結合により、より一層断熱性を向上できる。
また、断熱材は、セルロースを含むことにより湿度の高い時には水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出する調湿機能を有する。このため、室内と壁体内との間での調湿を行うことができる。従って、壁体内や内壁面材の表面等での結露を防止して、壁体構造の耐久性を向上できる。
【0139】
請求項2に記載の発明によれば、室内と壁体内との間の透湿を実現できるため、室内と壁体内との湿度を一定に維持でき、発見しにくい壁体構造の内部の結露を確実に防止できるという効果がある。
【0140】
請求項3に記載の発明によれば、室内からの湿気は、断熱材に留まらずに透湿防水シートを介して室外側へ放散されるため、壁体構造の内部には結露が生じない。また、室外が屋外となる場合には、透湿防水シートにより、屋外からの雨水等の浸入を防止でき、壁体構造を保護できるという効果がある。
【0141】
請求項4に記載の発明によれば、風土に合わせて、適度な断熱性能のものを採用でき、余分なコストがかからないという効果がある。
【0142】
請求項5に記載の発明によれば、他の樹脂成分に比べて、ポリプロピレンが加工性や、機械適性等に優れるため、このような構成とすれば発泡体から構成された断熱材を簡単に製造できるという効果がある。
【0143】
請求項6に記載の発明によれば、十分な大きさのセルを有する発泡体を構成できるとともに、十分な作業性を確保できるという効果がある。
【0144】
請求項7に記載の発明によれば、製造された発泡体に十分な耐久性を確保できるという効果がある。
【0145】
請求項8,9に記載の発明によれば、製造された発泡体に十分な難燃性を付与できるという効果がある。
【0146】
請求項10に記載の発明によれば、緻密な発泡体を製造できるとともに、製造時の製造効率を向上できるという効果がある。
【0147】
請求項11に記載の発明によれば、緻密な発泡体を製造できるとともに、製造時の製造効率を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る建物を示す図である。
【図2】本発明に係る壁体構造を構成する壁パネルを示す縦断面図である。
【図3】断熱材を構成する発泡体を模式的に示す斜視図である。
【図4】発泡材料を用いて前記発泡体を製造する押出成形機を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る壁パネルの構成を示す図である。
【図6】本発明の比較例1に係る壁パネルの構成を示す図である。
【図7】本発明の比較例2に係る壁パネルの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 発泡材料
2A ポリプロピレン
100A 発泡体
200 建物
300 壁パネル
320 透湿防水シート
330 内壁面材としての石膏ボード
340 透湿性面材としてのしっくいクロス
350 空気層
360 断熱材
Claims (11)
- 内壁面材と外壁面材との間に断熱材が設けられた建物の壁体構造であって、
前記断熱材は、樹脂成分、セルロース、およびでんぷんを含む発泡材料を、水によって発泡させた発泡体から構成され、この発泡材料において、重量比で、前記セルロースの比率が最も大きいことを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1に記載の建物の壁体構造において、
前記内壁面材の室内側には、室内に露出する透湿性面材が設けられていることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1または請求項2に記載の建物の壁体構造において、
前記外壁面材の室外側には、透湿防水シートが設けられていることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記断熱材は、厚さ寸法の異なる板状のものを複数種類備えていることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記樹脂成分は、ポリプロピレンであることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記セルロースの粒度は、30メッシュを通過し、かつ400メッシュを通過しない範囲であることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して0.2重量部以上の酸化防止剤が添加され、
この酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤とが、重量比で、フェノール系酸化防止剤/ホスファイト系酸化防止剤=1/2として混合された混合物であることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して5重量部の難燃剤が添加されていることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項8に記載の建物の壁体構造において、
前記難燃剤は、リン系、ブロム系、塩素化パラフィン、および三酸化アンチモンのうちのいずれかを含むことを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して0.2〜0.5重量部の範囲の脂肪酸アミド系滑剤が添加されていることを特徴とする建物の壁体構造。 - 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の建物の壁体構造において、
前記樹脂成分には、この樹脂成分100重量部に対して1〜2重量部のタルクが添加されていることを特徴とする建物の壁体構造。
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