JP2004018376A - α−グルコシダーゼ阻害剤 - Google Patents
α−グルコシダーゼ阻害剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004018376A JP2004018376A JP2002170973A JP2002170973A JP2004018376A JP 2004018376 A JP2004018376 A JP 2004018376A JP 2002170973 A JP2002170973 A JP 2002170973A JP 2002170973 A JP2002170973 A JP 2002170973A JP 2004018376 A JP2004018376 A JP 2004018376A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dihydrochalcone
- glucosidase
- solution
- glucosidase inhibitor
- inhibitor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲食品に使用することができる特定のジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールを有効成分として含有してなるα−グルコシダーゼ阻害剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼは糖類の非還元末端のα−グルコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、例えば、蔗糖を加水分解するスクラーゼ、マルトースやマルトオリゴ糖を加水分解するマルターゼが含まれる。スクラーゼ及びマルターゼは小腸上皮細胞に存在する消化酵素であり、経口摂取された蔗糖はスクラーゼの作用により、ブドウ糖と果糖に加水分解され、経口摂取されたマルトースやマルトオリゴ糖及び経口摂取された澱粉、デキストリン、水飴等から体内の消化酵素で生成したマルトースやマルトオリゴ糖はマルターゼの作用により、ブドウ糖に加水分解される。スクラーゼ及びマルターゼを含むα−グルコシダーゼの作用により生成したブドウ糖や果糖は血中に移行して血糖値の上昇を来す。蔗糖、マルトースやマルトオリゴ糖、澱粉、デキストリン、水飴等の糖類摂取過多による血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌は肥満や糖尿病の一因と考えられている。従って、α−グルコシダーゼの活性を阻害すれば糖類の加水分解が穏やかになり、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制することができ、肥満や糖尿病の予防に効果があると考えられている。
【0003】
医薬品に用いられるアカルボ−ス、ボグリボースは、サッカラーゼ、アミラーゼ阻害剤として特公昭54−39474号公報、α−グルコシダーゼ阻害剤として特開平9−67271号公報にそれぞれ開示されている。これらは阻害作用が強力であるため使用量は極めて少量で済む反面、使用に際して厳密性が要求され、使用量が多いと肝機能障害や劇症肝炎などの重大な副作用を招くことが報告されており、使用量にさほど厳密性が要求されない飲食品への添加は、前記副作用の恐れがあることから適当でない。一方、L−アラビノース、D−キシロース等の糖類、キシリトール、アラビトール等の糖アルコール類がα−グルコシダーゼ阻害剤として特開平6−65080号公報、特開平8−23973号公報で開示されている。これらは阻害作用が弱いため、所望の効果を得るには使用量をかなり多くしなければならず、コストの面で問題がある。加えて、L−アラビノース、D−キシロース等の糖類は耐熱性が悪く、メイラード反応による褐変を引き起こすため、加熱を要する飲食品では色調が悪くなるという問題がある。さらに、天然物由来のスクラーゼ阻害剤として、茶ポリフェノール類が特開平5−17364号公報で開示されているが、これらは独特の苦味、渋味があり、飲食品に添加する場合、その味質が問題となるため、添加量が制限され、十分な効果を得ることが難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、現在までに多くのα−グルコシダーゼ阻害剤が開発されてきた。しかし、実際に飲食品に添加する場合に重要となる安全性、耐熱性、味質の面で満足できるものは未だ開発されていない。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、安全性が高く、耐熱性、味質に優れたα−グルコシダーゼ阻害剤として、飲食品に添加することができる天然物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤を提供すること、並びに飲食品として摂取し、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制することにより、肥満や糖尿病の予防をすることができる物質を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決して目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、天然物に由来する特定のジヒドロカルコン化合物及び特定のフラバノン化合物であるエリオジクチオールにα−グルコシダーゼ阻害作用があることを見出し、係る知見に基づいて本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、一般式(1)
【化2】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、水酸基またはアルコキシ基を示し、R3は、水素原子または単糖の残基を示す。)で表されるジヒドロカルコン化合物を有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤に関する。
【0008】
更に本発明はエリオジクチオールを有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤に関する。
【0009】
更に本発明は、上記のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有する飲食品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)におけるR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示し、アルコキシ基のアルキル部分は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐の低級アルキルであり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、2−メチルブチル、sec−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、neo−ペンチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、へキシル等が挙げられる。
R1およびR2として好ましくは、それぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基或いはエトキシ基が挙げられ、更に好ましくはそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基が挙げられる。
【0011】
一般式(1)におけるR3は水素原子又は単糖の残基を示し、単糖の残基としては、例えばグルコシド、マンノシド、ガラクトシド、ラムノシド、フコシド、キシロシド又はアラビノシド等、あるいはこれらの異性体が挙げられる。
R3として好ましくは、水素原子又はグルコシドが挙げられる。
【0012】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として用いる一般式(1)で表されるジヒドロカルコン化合物の具体例としては、ヘスペレチンジヒドロカルコン(式中のR1が水酸基、R2がメトキシ基、R3が水素原子である。)、ナリンゲニンジヒドロカルコン(式中のR1が水素原子、R2が水酸基、R3が水素原子である。)、エリオジクチオールジヒドロカルコン(式中のR1が水酸基、R2が水酸基、R3が水素原子である。)、イソサクラネチンジヒドロカルコン(式中のR1が水素原子、R2がメトキシ基、R3が水素原子である。)、ヘスペレチンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水酸基、R2がメトキシ基、R3がグルコシドである。)、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水素原子、R2が水酸基、R3がグルコシドである。)、エリオジクチオールジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水酸基、R2が水酸基、R3がグルコシドである。)、イソサクラネチンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水素原子、R2がメトキシ基、R3がグルコシドである。)等が挙げられる。
【0013】
本発明に係るジヒドロカルコン化合物は主に柑橘類に含まれるフラバノン配糖体を還元し、糖鎖を選択的に加水分解することにより製造することができる。
【0014】
フラバノン配糖体を含有する柑橘類としては、ウンシュウミカン、ダイダイ、ハッサク、ナツミカン、イヨカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ユズ、ライム等があり、抽出の際はこれらを単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0015】
フラバノン配糖体を柑橘類から抽出する場合、柑橘類の形態としては、例えば果汁、果肉、じょうのう、果皮、搾り粕等を挙げることができ、これらを単独で、もしくは適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
柑橘類からの抽出に際しては、水、加熱水、アルカリ水、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)またはそれらの混合物を使用できる。抽出温度は、0〜100℃、好ましくは40〜80℃である。抽出物はそのまま粗フラバノン配糖体として用いることができるが、必要に応じて精製して用いる。例えば、(減圧)濃縮した後、イオン交換樹脂による処理、膜処理、クロマトグラフィー等の精製処理を行って活性画分を集め、さらに結晶化や凍結乾燥処理を行い、フラバノン配糖体の精製粉末を得る。
【0017】
得られた粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物にアルカリ溶液を添加して、触媒存在下、水素雰囲気中で混合すると、フラバノン配糖体は還元されてジヒドロカルコン配糖体に変換される。得られた粗ジヒドロカルコン配糖体は、フラバノン配糖体と同様の精製処理にてジヒドロカルコン配糖体の精製物を得ることができる。
【0018】
ここで得られた粗ジヒドロカルコン配糖体またはジヒドロカルコン配糖体の精製物はα−グルコシダーゼ阻害作用を有していない。そこで、結合している糖鎖を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ、ヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等の酵素により選択的に加水分解することにより、α−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物に変換される。得られたα−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物はフラバノン配糖体と同様の精製処理にてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0019】
また、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を得る方法として、得られた粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ、ヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等の酵素により選択的に加水分解した後、アルカリ溶液を添加して、触媒存在下、水素雰囲気中で混合して、α−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物に変換する方法も利用できる。得られたα−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物はフラバノン配糖体と同様の精製処理にてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0020】
さらに、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物は前記した柑橘類からフラバノン配糖体を抽出し、還元反応と加水分解反応を組み合わせる方法だけでなく、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を含有する植物から抽出することも可能である。例えば、ナリンゲニンジヒドロカルコン及びエリオジクチオールジヒドロカルコンはツツジ科に属するKalmia latifolia、イソサクラネチンジヒドロカルコンはニクズク科に属するIryanthera sagotiana、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドはハイノキ科に属するSymplocos microcalyx、エリオジクチオールジヒドロカルコングルコシドはツチトリモチ科に属するBalanophora tobiracolaに含有される。これらの植物から水、加熱水、アルカリ水、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)またはそれらを適当に組み合わせてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を抽出し、必要に応じてイオン交換樹脂による処理、膜処理、クロマトグラフィー等の精製処理をし、結晶化や凍結乾燥処理を行い、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0021】
本発明に係るα−グルコシダーゼ阻害剤であるエリオジクチオールはフラバノン配糖体の一つであるエリオジクチオール配糖体(例えば、エリオシトリン、ネオエリオシトリン等)の構成成分であるため、前記したように柑橘類から抽出して得られたエリオジクチオール配糖体を含有する粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ等の酵素により糖鎖を加水分解することにより得ることができる。また、柑橘類のみばかりでなくエリオジクチオール配糖体を含有する植物(例えば、シソ科に属するMentha piperita)からエリオジクチオール配糖体を抽出し、糖鎖を加水分解することによっても得ることができる。さらには、エリオジクチオールを含有する植物(例えば、フトモモ科に属するEucalyptus globulus)から抽出して得ることもできる。
【0022】
本発明に用いるジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールは、天然物に由来する安全性が高いα−グルコシダーゼ阻害剤であり、しかも耐熱性が高く、苦味、渋味がないため、飲食品の味質に悪影響を与えることなく、飲食品に添加することができ、所望のα−グルコシダーゼ阻害作用を発揮することができる。
【0023】
このため、当該化合物を飲食品として日常的に摂取することにより、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制して、肥満や糖尿病の予防をすることができると期待される。
【0024】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、例えば、コーヒー、ココア、清涼飲料水、炭酸飲料水、乳酸菌飲料、緑茶、烏龍茶、紅茶、フレーバーティー、栄養ドリンク、ジャム、ヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム、キャンディー、タブレット、錠菓、チョコレート、まんじゅう、ケーキ、卓上甘味料、調味料、健康食品、加工食品等の様々な飲食品に添加することができる。また、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤等の形態にし、摂取することもできる。このときの添加量については、当該化合物によって期待される効果が有効に発揮される量であれば良く、特に制限はないが、全体量の0.01〜50%、好ましくは0.1〜10%程度が適当である。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
製造例1:ナリンゲニンジヒドロカルコンの調製
グレープフルーツの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、100Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してフラバノン配糖体の1つであるナリンジンの粗結晶約50gを得た。
次いで、ナリンジンの粗結晶50gに10%水酸化ナトリウム溶液1Lと5%パラジウムカーボン触媒5gを添加して、室温、水素加圧下1MPaで1時間還元反応を行った。還元反応後、反応液から触媒を除去し、反応液に塩酸を添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンジンジヒドロカルコンの粗結晶約45gを得た。
次いで、ナリンジンジヒドロカルコンの粗結晶45gに2M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で2時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンゲニンジヒドロカルコンの結晶約20gを得た。
【0027】
製造例2:ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドの調製
グレープフルーツの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、100Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してフラバノン配糖体の1つであるナリンジンの粗結晶約50gを得た。
次いで、ナリンジンの粗結晶50gに1M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で1時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を吸着樹脂カラム(1LのダイヤイオンHP20;三菱化学(株)製を詰めたもの)に流した。3Lの水を流してカラム内を洗浄後、30%エタノール5Lで溶出した。この溶出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してナリンゲニングルコシドの粗結晶約35gを得た。
次いで、ナリンゲニングルコシドの粗結晶35gに10%水酸化ナトリウム溶液1Lと5%パラジウムカーボン触媒3gを添加して、室温、水素加圧下1MPaで1時間還元反応を行った。還元反応後、反応液から触媒を除去し、反応液に塩酸を添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドの結晶約30gを得た。
【0028】
製造例3:エリオジクチオールの調製
レモンの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、50Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、ヘスペリジン結晶を析出させた。この結晶をろ別し、残った母液を吸着樹脂カラム(1LのダイヤイオンHP20;三菱化学(株)製を詰めたもの)に流した。3Lの水を流してカラム内を洗浄後、15%エタノール5Lで溶出した。この溶出液をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して粗エリオシトリン約30gを得た。
次いで、粗エリオシトリン30gに2M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で2時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、エリオジクチオールの結晶約10gを得た。
【0029】
実施例1:ジヒドロカルコン化合物のα−グルコシダーゼ阻害活性の測定
調製した化合物について、市販ラット小腸アセトンパウダー(シグマ社製)を用いて、その中に含まれるα−グルコシダーゼのひとつである小腸由来のスクラーゼ及びマルターゼに対する阻害活性を下記の方法で測定した。
【0030】
(スクラーゼ阻害活性の測定方法)
市販ラット小腸アセトンパウダー0.5gに生理食塩水50mlを加えて懸濁液とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離(3000rpm、30分)し、上清を粗酵素液とした。この粗酵素液0.1mlに、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した試料溶液0.3mlと0.25M蔗糖溶液0.1mlを加え、37℃で60分間反応させた。生成した還元糖は0.5mlのジニトロサリチル酸溶液(1%水酸化ナトリウム、5%酒石酸カリウムナトリウム、0.2%フェノール、1%ジニトロサリチル酸)を加えて、100℃で5分間反応させることにより発色させ、540nmの吸光度を測定した。対照には試料溶液の代わりに上記マレイン酸緩衝液を使用した。また、粗酵素液に含まれる還元糖の影響と試料がジニトロサリチル酸溶液と反応して発色する影響を除くため、それぞれのブランクには同量の試料を加え、粗酵素液の代わりに、粗酵素液を100℃で10分間加熱失活させたものを使用した。
阻害率(%)={(A−B)−(C−D)}/(A−B)×100
但し、A:対照溶液の吸光度、B:対照溶液のブランクの吸光度、C:試料溶液の吸光度、D:試料溶液のブランクの吸光度
【0031】
(マルターゼ阻害活性の測定方法)
市販ラット小腸アセトンパウダー0.2gに生理食塩水50mlを加えて懸濁液とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離(3000rpm、30分)し、上清を粗酵素液とした。この粗酵素液0.1mlに、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した試料溶液0.3mlと0.25Mマルトース溶液0.1mlを加え、37℃で30分間反応させた。生成したブドウ糖はブドウ糖測定用キットであるグルコーステストワコー(和光純薬製)で定量した。すなわち、酵素反応終了後に100℃で5分間加熱して酵素を失活後、試料のブドウ糖測定への影響を除くため、活性炭0.01gを加え、37℃で30分間反応させることにより試料を活性炭に吸着させて除去した。試料を除去した酵素反応液0.1mlと発色液3mlを混合し、37℃で5分間反応させることにより発色させ、505nmの吸光度を測定した。対照には試料溶液の代わりに上記マレイン酸緩衝液を使用した。また、ブランクには粗酵素液の代わりに、粗酵素液を100℃で10分間加熱失活させたものを使用した。
阻害率(%)={(A−B)−(C−B)}/(A−B)×100
但し、A:対照溶液の吸光度、B:ブランクの吸光度、C:試料溶液の吸光度
【0032】
ジヒドロカルコン化合物である各試料を終濃度400mg/mlになるように添加したときの結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表から明らかなように、ジヒドロカルコン化合物の中でも、本発明に係るジヒドロカルコン化合物が、優れたα−グルコシダーゼ阻害活性を有していることがわかる。
【0035】
実施例2:フラバノン化合物のα−グルコシダーゼ阻害活性の測定
実施例1においてジヒドロカルコン化合物をフラバノン化合物に変更した以外は同様に行って測定した。フラバノン化合物である各試料を終濃度400mg/mlになるように添加したときの結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表から明らかなように、フラバノン化合物の中でも、エリオジクチオールが優れたα−グルコシダーゼ阻害活性を有していることがわかる。
【0038】
処方例1:コーヒー飲料の製造
市販のコーヒー豆30gを熱水500gで抽出し、コーヒー抽出液を作成した。得られたコーヒー抽出液に砂糖70g、牛乳250g、シュガーエステル1g、コーヒーフレーバー1g、ナリンゲニンジヒドロカルコン1gを加えて溶解し、水にて全量を1kgとした。
このコーヒー飲料のpHを重曹を用いて6.6に調整した後、飲料用の缶に100gずつ充填、密封した。次いで、120℃で20分間加熱殺菌してコーヒー飲料を製造した。
【0039】
処方例2:清涼飲料水の製造
砂糖50g、グレープフルーツ果汁50g、酸味料1g、香料2g、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド1gを水に溶解し、全量を1kgとしてグレープフルーツ果汁入り清涼飲料水を製造した。
【0040】
処方例3:ジャムの製造
イチゴ100gに砂糖80gを加えて、イチゴの形がなくなるまで加熱して煮詰めた。これにエリオジクチオール1g、水飴20gを加え、糖濃度68度になるまで煮詰めてイチゴジャムを製造した。
【0041】
処方例4:まんじゅうの製造
砂糖100g、ベーキングパウダー5gを水75gに溶解し、薄力粉200g、ナリンゲニンジヒドロカルコン5gを加えて良く混合して生地をつくった。この生地でこしあん700gを包み込み、蒸し器で蒸して、まんじゅうを製造した。
【0042】
処方例5:卓上甘味料の製造
砂糖100gを回転釜に投入し、回転釜を回転させつつ、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド1gを含む水溶液10mlを噴霧し、60℃の熱風を吹き込み乾燥させて、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドを砂糖粒子の表面に付着させた卓上甘味料を製造した。
【0043】
処方例6:タブレットの製造
エリオジクチオール10g、乳糖68g、結晶セルロース14g、カルボキシメチルセルロース4g、ステアリン酸マグネシウム4gを均一に混合し、水を加えて混練りした後、乾燥させて単発式打錠機にてタブレットを製造した。
【0044】
【発明の効果】
本発明においてα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として用いる特定のジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールは、天然物に由来するものであるため、人体に対する安全性が高く、かつ、耐熱性、味質に優れているため、飲食品として日常的に摂取することにより、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制して、肥満や糖尿病の予防をすることができると期待される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲食品に使用することができる特定のジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールを有効成分として含有してなるα−グルコシダーゼ阻害剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−グルコシダーゼは糖類の非還元末端のα−グルコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、例えば、蔗糖を加水分解するスクラーゼ、マルトースやマルトオリゴ糖を加水分解するマルターゼが含まれる。スクラーゼ及びマルターゼは小腸上皮細胞に存在する消化酵素であり、経口摂取された蔗糖はスクラーゼの作用により、ブドウ糖と果糖に加水分解され、経口摂取されたマルトースやマルトオリゴ糖及び経口摂取された澱粉、デキストリン、水飴等から体内の消化酵素で生成したマルトースやマルトオリゴ糖はマルターゼの作用により、ブドウ糖に加水分解される。スクラーゼ及びマルターゼを含むα−グルコシダーゼの作用により生成したブドウ糖や果糖は血中に移行して血糖値の上昇を来す。蔗糖、マルトースやマルトオリゴ糖、澱粉、デキストリン、水飴等の糖類摂取過多による血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌は肥満や糖尿病の一因と考えられている。従って、α−グルコシダーゼの活性を阻害すれば糖類の加水分解が穏やかになり、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制することができ、肥満や糖尿病の予防に効果があると考えられている。
【0003】
医薬品に用いられるアカルボ−ス、ボグリボースは、サッカラーゼ、アミラーゼ阻害剤として特公昭54−39474号公報、α−グルコシダーゼ阻害剤として特開平9−67271号公報にそれぞれ開示されている。これらは阻害作用が強力であるため使用量は極めて少量で済む反面、使用に際して厳密性が要求され、使用量が多いと肝機能障害や劇症肝炎などの重大な副作用を招くことが報告されており、使用量にさほど厳密性が要求されない飲食品への添加は、前記副作用の恐れがあることから適当でない。一方、L−アラビノース、D−キシロース等の糖類、キシリトール、アラビトール等の糖アルコール類がα−グルコシダーゼ阻害剤として特開平6−65080号公報、特開平8−23973号公報で開示されている。これらは阻害作用が弱いため、所望の効果を得るには使用量をかなり多くしなければならず、コストの面で問題がある。加えて、L−アラビノース、D−キシロース等の糖類は耐熱性が悪く、メイラード反応による褐変を引き起こすため、加熱を要する飲食品では色調が悪くなるという問題がある。さらに、天然物由来のスクラーゼ阻害剤として、茶ポリフェノール類が特開平5−17364号公報で開示されているが、これらは独特の苦味、渋味があり、飲食品に添加する場合、その味質が問題となるため、添加量が制限され、十分な効果を得ることが難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、現在までに多くのα−グルコシダーゼ阻害剤が開発されてきた。しかし、実際に飲食品に添加する場合に重要となる安全性、耐熱性、味質の面で満足できるものは未だ開発されていない。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、安全性が高く、耐熱性、味質に優れたα−グルコシダーゼ阻害剤として、飲食品に添加することができる天然物由来のα−グルコシダーゼ阻害剤を提供すること、並びに飲食品として摂取し、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制することにより、肥満や糖尿病の予防をすることができる物質を開発することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決して目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、天然物に由来する特定のジヒドロカルコン化合物及び特定のフラバノン化合物であるエリオジクチオールにα−グルコシダーゼ阻害作用があることを見出し、係る知見に基づいて本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、一般式(1)
【化2】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、水酸基またはアルコキシ基を示し、R3は、水素原子または単糖の残基を示す。)で表されるジヒドロカルコン化合物を有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤に関する。
【0008】
更に本発明はエリオジクチオールを有効成分として含有するα−グルコシダーゼ阻害剤に関する。
【0009】
更に本発明は、上記のα−グルコシダーゼ阻害剤を含有する飲食品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)におけるR1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示し、アルコキシ基のアルキル部分は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐の低級アルキルであり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、2−メチルブチル、sec−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、neo−ペンチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、へキシル等が挙げられる。
R1およびR2として好ましくは、それぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基或いはエトキシ基が挙げられ、更に好ましくはそれぞれ独立に水素原子、水酸基又はメトキシ基が挙げられる。
【0011】
一般式(1)におけるR3は水素原子又は単糖の残基を示し、単糖の残基としては、例えばグルコシド、マンノシド、ガラクトシド、ラムノシド、フコシド、キシロシド又はアラビノシド等、あるいはこれらの異性体が挙げられる。
R3として好ましくは、水素原子又はグルコシドが挙げられる。
【0012】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として用いる一般式(1)で表されるジヒドロカルコン化合物の具体例としては、ヘスペレチンジヒドロカルコン(式中のR1が水酸基、R2がメトキシ基、R3が水素原子である。)、ナリンゲニンジヒドロカルコン(式中のR1が水素原子、R2が水酸基、R3が水素原子である。)、エリオジクチオールジヒドロカルコン(式中のR1が水酸基、R2が水酸基、R3が水素原子である。)、イソサクラネチンジヒドロカルコン(式中のR1が水素原子、R2がメトキシ基、R3が水素原子である。)、ヘスペレチンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水酸基、R2がメトキシ基、R3がグルコシドである。)、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水素原子、R2が水酸基、R3がグルコシドである。)、エリオジクチオールジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水酸基、R2が水酸基、R3がグルコシドである。)、イソサクラネチンジヒドロカルコングルコシド(式中のR1が水素原子、R2がメトキシ基、R3がグルコシドである。)等が挙げられる。
【0013】
本発明に係るジヒドロカルコン化合物は主に柑橘類に含まれるフラバノン配糖体を還元し、糖鎖を選択的に加水分解することにより製造することができる。
【0014】
フラバノン配糖体を含有する柑橘類としては、ウンシュウミカン、ダイダイ、ハッサク、ナツミカン、イヨカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ユズ、ライム等があり、抽出の際はこれらを単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0015】
フラバノン配糖体を柑橘類から抽出する場合、柑橘類の形態としては、例えば果汁、果肉、じょうのう、果皮、搾り粕等を挙げることができ、これらを単独で、もしくは適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
柑橘類からの抽出に際しては、水、加熱水、アルカリ水、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)またはそれらの混合物を使用できる。抽出温度は、0〜100℃、好ましくは40〜80℃である。抽出物はそのまま粗フラバノン配糖体として用いることができるが、必要に応じて精製して用いる。例えば、(減圧)濃縮した後、イオン交換樹脂による処理、膜処理、クロマトグラフィー等の精製処理を行って活性画分を集め、さらに結晶化や凍結乾燥処理を行い、フラバノン配糖体の精製粉末を得る。
【0017】
得られた粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物にアルカリ溶液を添加して、触媒存在下、水素雰囲気中で混合すると、フラバノン配糖体は還元されてジヒドロカルコン配糖体に変換される。得られた粗ジヒドロカルコン配糖体は、フラバノン配糖体と同様の精製処理にてジヒドロカルコン配糖体の精製物を得ることができる。
【0018】
ここで得られた粗ジヒドロカルコン配糖体またはジヒドロカルコン配糖体の精製物はα−グルコシダーゼ阻害作用を有していない。そこで、結合している糖鎖を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ、ヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等の酵素により選択的に加水分解することにより、α−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物に変換される。得られたα−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物はフラバノン配糖体と同様の精製処理にてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0019】
また、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を得る方法として、得られた粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ、ヘスペリジナーゼ、ナリンジナーゼ等の酵素により選択的に加水分解した後、アルカリ溶液を添加して、触媒存在下、水素雰囲気中で混合して、α−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物に変換する方法も利用できる。得られたα−グルコシダーゼ阻害作用を有する粗ジヒドロカルコン化合物はフラバノン配糖体と同様の精製処理にてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0020】
さらに、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物は前記した柑橘類からフラバノン配糖体を抽出し、還元反応と加水分解反応を組み合わせる方法だけでなく、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を含有する植物から抽出することも可能である。例えば、ナリンゲニンジヒドロカルコン及びエリオジクチオールジヒドロカルコンはツツジ科に属するKalmia latifolia、イソサクラネチンジヒドロカルコンはニクズク科に属するIryanthera sagotiana、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドはハイノキ科に属するSymplocos microcalyx、エリオジクチオールジヒドロカルコングルコシドはツチトリモチ科に属するBalanophora tobiracolaに含有される。これらの植物から水、加熱水、アルカリ水、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン等)またはそれらを適当に組み合わせてα−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物を抽出し、必要に応じてイオン交換樹脂による処理、膜処理、クロマトグラフィー等の精製処理をし、結晶化や凍結乾燥処理を行い、α−グルコシダーゼ阻害作用を有するジヒドロカルコン化合物の精製物を得ることができる。
【0021】
本発明に係るα−グルコシダーゼ阻害剤であるエリオジクチオールはフラバノン配糖体の一つであるエリオジクチオール配糖体(例えば、エリオシトリン、ネオエリオシトリン等)の構成成分であるため、前記したように柑橘類から抽出して得られたエリオジクチオール配糖体を含有する粗フラバノン配糖体またはフラバノン配糖体の精製物を塩酸、硫酸等の鉱酸またはβ−グルコシダーゼ等の酵素により糖鎖を加水分解することにより得ることができる。また、柑橘類のみばかりでなくエリオジクチオール配糖体を含有する植物(例えば、シソ科に属するMentha piperita)からエリオジクチオール配糖体を抽出し、糖鎖を加水分解することによっても得ることができる。さらには、エリオジクチオールを含有する植物(例えば、フトモモ科に属するEucalyptus globulus)から抽出して得ることもできる。
【0022】
本発明に用いるジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールは、天然物に由来する安全性が高いα−グルコシダーゼ阻害剤であり、しかも耐熱性が高く、苦味、渋味がないため、飲食品の味質に悪影響を与えることなく、飲食品に添加することができ、所望のα−グルコシダーゼ阻害作用を発揮することができる。
【0023】
このため、当該化合物を飲食品として日常的に摂取することにより、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制して、肥満や糖尿病の予防をすることができると期待される。
【0024】
本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤は、例えば、コーヒー、ココア、清涼飲料水、炭酸飲料水、乳酸菌飲料、緑茶、烏龍茶、紅茶、フレーバーティー、栄養ドリンク、ジャム、ヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム、キャンディー、タブレット、錠菓、チョコレート、まんじゅう、ケーキ、卓上甘味料、調味料、健康食品、加工食品等の様々な飲食品に添加することができる。また、本発明のα−グルコシダーゼ阻害剤を錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤等の形態にし、摂取することもできる。このときの添加量については、当該化合物によって期待される効果が有効に発揮される量であれば良く、特に制限はないが、全体量の0.01〜50%、好ましくは0.1〜10%程度が適当である。
【0025】
【実施例】
以下に、実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
製造例1:ナリンゲニンジヒドロカルコンの調製
グレープフルーツの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、100Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してフラバノン配糖体の1つであるナリンジンの粗結晶約50gを得た。
次いで、ナリンジンの粗結晶50gに10%水酸化ナトリウム溶液1Lと5%パラジウムカーボン触媒5gを添加して、室温、水素加圧下1MPaで1時間還元反応を行った。還元反応後、反応液から触媒を除去し、反応液に塩酸を添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンジンジヒドロカルコンの粗結晶約45gを得た。
次いで、ナリンジンジヒドロカルコンの粗結晶45gに2M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で2時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンゲニンジヒドロカルコンの結晶約20gを得た。
【0027】
製造例2:ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドの調製
グレープフルーツの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、100Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してフラバノン配糖体の1つであるナリンジンの粗結晶約50gを得た。
次いで、ナリンジンの粗結晶50gに1M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で1時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を吸着樹脂カラム(1LのダイヤイオンHP20;三菱化学(株)製を詰めたもの)に流した。3Lの水を流してカラム内を洗浄後、30%エタノール5Lで溶出した。この溶出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥してナリンゲニングルコシドの粗結晶約35gを得た。
次いで、ナリンゲニングルコシドの粗結晶35gに10%水酸化ナトリウム溶液1Lと5%パラジウムカーボン触媒3gを添加して、室温、水素加圧下1MPaで1時間還元反応を行った。還元反応後、反応液から触媒を除去し、反応液に塩酸を添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドの結晶約30gを得た。
【0028】
製造例3:エリオジクチオールの調製
レモンの果皮10kgをホモジナイザーで粉砕し、50Lの温水を加え、70℃で1時間抽出処理を行った。次に抽出液をエバポレーターで濃縮し、該濃縮液を4℃に冷蔵保存し、ヘスペリジン結晶を析出させた。この結晶をろ別し、残った母液を吸着樹脂カラム(1LのダイヤイオンHP20;三菱化学(株)製を詰めたもの)に流した。3Lの水を流してカラム内を洗浄後、15%エタノール5Lで溶出した。この溶出液をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して粗エリオシトリン約30gを得た。
次いで、粗エリオシトリン30gに2M塩酸溶液1Lを添加して、80℃で2時間加水分解反応を行った。加水分解反応後、反応液に水酸化ナトリウムを添加して中和し、中和した液を4℃で冷蔵して結晶を析出させた。この結晶をろ別、減圧乾燥し、エリオジクチオールの結晶約10gを得た。
【0029】
実施例1:ジヒドロカルコン化合物のα−グルコシダーゼ阻害活性の測定
調製した化合物について、市販ラット小腸アセトンパウダー(シグマ社製)を用いて、その中に含まれるα−グルコシダーゼのひとつである小腸由来のスクラーゼ及びマルターゼに対する阻害活性を下記の方法で測定した。
【0030】
(スクラーゼ阻害活性の測定方法)
市販ラット小腸アセトンパウダー0.5gに生理食塩水50mlを加えて懸濁液とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離(3000rpm、30分)し、上清を粗酵素液とした。この粗酵素液0.1mlに、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した試料溶液0.3mlと0.25M蔗糖溶液0.1mlを加え、37℃で60分間反応させた。生成した還元糖は0.5mlのジニトロサリチル酸溶液(1%水酸化ナトリウム、5%酒石酸カリウムナトリウム、0.2%フェノール、1%ジニトロサリチル酸)を加えて、100℃で5分間反応させることにより発色させ、540nmの吸光度を測定した。対照には試料溶液の代わりに上記マレイン酸緩衝液を使用した。また、粗酵素液に含まれる還元糖の影響と試料がジニトロサリチル酸溶液と反応して発色する影響を除くため、それぞれのブランクには同量の試料を加え、粗酵素液の代わりに、粗酵素液を100℃で10分間加熱失活させたものを使用した。
阻害率(%)={(A−B)−(C−D)}/(A−B)×100
但し、A:対照溶液の吸光度、B:対照溶液のブランクの吸光度、C:試料溶液の吸光度、D:試料溶液のブランクの吸光度
【0031】
(マルターゼ阻害活性の測定方法)
市販ラット小腸アセトンパウダー0.2gに生理食塩水50mlを加えて懸濁液とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離(3000rpm、30分)し、上清を粗酵素液とした。この粗酵素液0.1mlに、0.1Mマレイン酸緩衝液(pH6.0)に溶解した試料溶液0.3mlと0.25Mマルトース溶液0.1mlを加え、37℃で30分間反応させた。生成したブドウ糖はブドウ糖測定用キットであるグルコーステストワコー(和光純薬製)で定量した。すなわち、酵素反応終了後に100℃で5分間加熱して酵素を失活後、試料のブドウ糖測定への影響を除くため、活性炭0.01gを加え、37℃で30分間反応させることにより試料を活性炭に吸着させて除去した。試料を除去した酵素反応液0.1mlと発色液3mlを混合し、37℃で5分間反応させることにより発色させ、505nmの吸光度を測定した。対照には試料溶液の代わりに上記マレイン酸緩衝液を使用した。また、ブランクには粗酵素液の代わりに、粗酵素液を100℃で10分間加熱失活させたものを使用した。
阻害率(%)={(A−B)−(C−B)}/(A−B)×100
但し、A:対照溶液の吸光度、B:ブランクの吸光度、C:試料溶液の吸光度
【0032】
ジヒドロカルコン化合物である各試料を終濃度400mg/mlになるように添加したときの結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表から明らかなように、ジヒドロカルコン化合物の中でも、本発明に係るジヒドロカルコン化合物が、優れたα−グルコシダーゼ阻害活性を有していることがわかる。
【0035】
実施例2:フラバノン化合物のα−グルコシダーゼ阻害活性の測定
実施例1においてジヒドロカルコン化合物をフラバノン化合物に変更した以外は同様に行って測定した。フラバノン化合物である各試料を終濃度400mg/mlになるように添加したときの結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表から明らかなように、フラバノン化合物の中でも、エリオジクチオールが優れたα−グルコシダーゼ阻害活性を有していることがわかる。
【0038】
処方例1:コーヒー飲料の製造
市販のコーヒー豆30gを熱水500gで抽出し、コーヒー抽出液を作成した。得られたコーヒー抽出液に砂糖70g、牛乳250g、シュガーエステル1g、コーヒーフレーバー1g、ナリンゲニンジヒドロカルコン1gを加えて溶解し、水にて全量を1kgとした。
このコーヒー飲料のpHを重曹を用いて6.6に調整した後、飲料用の缶に100gずつ充填、密封した。次いで、120℃で20分間加熱殺菌してコーヒー飲料を製造した。
【0039】
処方例2:清涼飲料水の製造
砂糖50g、グレープフルーツ果汁50g、酸味料1g、香料2g、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド1gを水に溶解し、全量を1kgとしてグレープフルーツ果汁入り清涼飲料水を製造した。
【0040】
処方例3:ジャムの製造
イチゴ100gに砂糖80gを加えて、イチゴの形がなくなるまで加熱して煮詰めた。これにエリオジクチオール1g、水飴20gを加え、糖濃度68度になるまで煮詰めてイチゴジャムを製造した。
【0041】
処方例4:まんじゅうの製造
砂糖100g、ベーキングパウダー5gを水75gに溶解し、薄力粉200g、ナリンゲニンジヒドロカルコン5gを加えて良く混合して生地をつくった。この生地でこしあん700gを包み込み、蒸し器で蒸して、まんじゅうを製造した。
【0042】
処方例5:卓上甘味料の製造
砂糖100gを回転釜に投入し、回転釜を回転させつつ、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシド1gを含む水溶液10mlを噴霧し、60℃の熱風を吹き込み乾燥させて、ナリンゲニンジヒドロカルコングルコシドを砂糖粒子の表面に付着させた卓上甘味料を製造した。
【0043】
処方例6:タブレットの製造
エリオジクチオール10g、乳糖68g、結晶セルロース14g、カルボキシメチルセルロース4g、ステアリン酸マグネシウム4gを均一に混合し、水を加えて混練りした後、乾燥させて単発式打錠機にてタブレットを製造した。
【0044】
【発明の効果】
本発明においてα−グルコシダーゼ阻害剤の有効成分として用いる特定のジヒドロカルコン化合物またはエリオジクチオールは、天然物に由来するものであるため、人体に対する安全性が高く、かつ、耐熱性、味質に優れているため、飲食品として日常的に摂取することにより、糖類摂取後の血糖値の急激な上昇及びそれに続くインスリンの過剰な分泌を抑制して、肥満や糖尿病の予防をすることができると期待される。
Claims (5)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170973A JP2004018376A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | α−グルコシダーゼ阻害剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170973A JP2004018376A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | α−グルコシダーゼ阻害剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004018376A true JP2004018376A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31170946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002170973A Pending JP2004018376A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | α−グルコシダーゼ阻害剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004018376A (ja) |
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004096198A1 (ja) * | 2003-05-02 | 2004-11-11 | Takara Bio Inc. | 治療剤 |
WO2006119038A1 (en) * | 2005-04-29 | 2006-11-09 | Naturegen, Inc. | Compositions and methods for controlling glucose uptake |
WO2007005453A2 (en) * | 2005-07-01 | 2007-01-11 | President And Fellows Of Harvard College | Compositions for treating or preventing obesity and insulin resistance disorders |
WO2007107596A1 (en) * | 2006-03-22 | 2007-09-27 | Symrise Gmbh & Co. Kg | Use of 4-hydroxydihydrochalcones and their salts for enhancing an impression of sweetness |
US20080242740A1 (en) * | 2007-03-29 | 2008-10-02 | Symrise Gmbh & Co. Kg | Aroma compositions of alkamides with hesperetin and/or 4-hydroxydihydrochalcones and salts thereof for enhancing sweet sensory impressions |
JP2010180166A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Pola Chem Ind Inc | 痩身用の組成物 |
CN102116772A (zh) * | 2010-09-28 | 2011-07-06 | 上海大学 | 二氢查尔酮化合物的筛选方法 |
US9241916B2 (en) | 2005-06-14 | 2016-01-26 | President And Fellows Of Harvard College | Cognitive performance with sirtuin activators |
JP2017523183A (ja) * | 2014-07-30 | 2017-08-17 | シムライズ アーゲー | 食欲増進剤としてのヒドロキシフラバノン |
CN109456370A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-03-12 | 重庆理工大学 | 一种钠-葡萄糖协同转运蛋白2抑制剂及其应用 |
JP2019514346A (ja) * | 2016-04-28 | 2019-06-06 | シムライズ アーゲー | 3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1−オンの使用 |
CN110156852A (zh) * | 2019-05-23 | 2019-08-23 | 广东金骏康生物技术有限公司 | 一种糖基化新甲基橙皮苷二氢查耳酮的制备方法及其应用 |
WO2020091376A1 (ko) * | 2018-10-30 | 2020-05-07 | 윤철호 | 3-하이드록시 플로레틴을 유효 성분으로 함유하는 비만 예방 및 치료용 조성물 |
KR20200049544A (ko) * | 2018-10-30 | 2020-05-08 | 전남대학교산학협력단 | 3-하이드록시 플로레틴을 유효 성분으로 함유하는 비만 예방 및 치료용 조성물 |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002170973A patent/JP2004018376A/ja active Pending
Cited By (23)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004096198A1 (ja) * | 2003-05-02 | 2004-11-11 | Takara Bio Inc. | 治療剤 |
US9597347B2 (en) | 2003-12-29 | 2017-03-21 | President And Fellows Of Harvard College | Compositions for treating obesity and insulin resistance disorders |
US8846724B2 (en) | 2003-12-29 | 2014-09-30 | President And Fellows Of Harvard College | Compositions for treating obesity and insulin resistance disorders |
WO2006119038A1 (en) * | 2005-04-29 | 2006-11-09 | Naturegen, Inc. | Compositions and methods for controlling glucose uptake |
US9241916B2 (en) | 2005-06-14 | 2016-01-26 | President And Fellows Of Harvard College | Cognitive performance with sirtuin activators |
AU2006266125B2 (en) * | 2005-07-01 | 2013-05-02 | President And Fellows Of Harvard College | Compositions for treating or preventing obesity and insulin resistance disorders |
EP2361618A3 (en) * | 2005-07-01 | 2011-12-28 | The President and Fellows of Harvard College | Compositions for treating or preventing obesity and insulin resistance disorders |
WO2007005453A3 (en) * | 2005-07-01 | 2007-06-14 | Harvard College | Compositions for treating or preventing obesity and insulin resistance disorders |
WO2007005453A2 (en) * | 2005-07-01 | 2007-01-11 | President And Fellows Of Harvard College | Compositions for treating or preventing obesity and insulin resistance disorders |
US9445606B2 (en) | 2006-03-22 | 2016-09-20 | Symrise Ag | Use of 4-hydroxydihydrochalcones and their salts for enhancing an impression of sweetness |
WO2007107596A1 (en) * | 2006-03-22 | 2007-09-27 | Symrise Gmbh & Co. Kg | Use of 4-hydroxydihydrochalcones and their salts for enhancing an impression of sweetness |
US20080242740A1 (en) * | 2007-03-29 | 2008-10-02 | Symrise Gmbh & Co. Kg | Aroma compositions of alkamides with hesperetin and/or 4-hydroxydihydrochalcones and salts thereof for enhancing sweet sensory impressions |
JP2010180166A (ja) * | 2009-02-06 | 2010-08-19 | Pola Chem Ind Inc | 痩身用の組成物 |
CN102116772B (zh) * | 2010-09-28 | 2013-08-28 | 上海大学 | 二氢查尔酮化合物的筛选方法 |
CN102116772A (zh) * | 2010-09-28 | 2011-07-06 | 上海大学 | 二氢查尔酮化合物的筛选方法 |
JP2017523183A (ja) * | 2014-07-30 | 2017-08-17 | シムライズ アーゲー | 食欲増進剤としてのヒドロキシフラバノン |
JP2019514346A (ja) * | 2016-04-28 | 2019-06-06 | シムライズ アーゲー | 3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−1−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1−オンの使用 |
US10702484B2 (en) | 2016-04-28 | 2020-07-07 | Symrise Ag | Use of 3-(3-hydroxy-4-methoxy-phenyl)-1-(2,4,6-trihydroxy-phenyl) propan-1-one |
WO2020091376A1 (ko) * | 2018-10-30 | 2020-05-07 | 윤철호 | 3-하이드록시 플로레틴을 유효 성분으로 함유하는 비만 예방 및 치료용 조성물 |
KR20200049544A (ko) * | 2018-10-30 | 2020-05-08 | 전남대학교산학협력단 | 3-하이드록시 플로레틴을 유효 성분으로 함유하는 비만 예방 및 치료용 조성물 |
KR102238469B1 (ko) | 2018-10-30 | 2021-04-09 | 전남대학교산학협력단 | 3-하이드록시 플로레틴을 유효 성분으로 함유하는 비만 예방 및 치료용 조성물 |
CN109456370A (zh) * | 2018-12-24 | 2019-03-12 | 重庆理工大学 | 一种钠-葡萄糖协同转运蛋白2抑制剂及其应用 |
CN110156852A (zh) * | 2019-05-23 | 2019-08-23 | 广东金骏康生物技术有限公司 | 一种糖基化新甲基橙皮苷二氢查耳酮的制备方法及其应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7038888B2 (ja) | エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品 | |
CN100566723C (zh) | 衍生自壳斗植物的糖酶抑制剂及其应用 | |
KR100820482B1 (ko) | 탈수제 및 그것을 이용하는 함수물의 탈수 방법 및 그방법으로 얻어지는 탈수 물품 | |
CN107249356A (zh) | 用于口服摄入或使用的甜菊醇糖苷化合物、组合物以及用于增强甜菊醇糖苷溶解度的方法 | |
US20010018090A1 (en) | Calorie reducing agent | |
GB2104525A (en) | New a-glycosyl glycyrrhizins having sweetening and pharmacological properties | |
JP2004018376A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤 | |
WO2006030567A1 (en) | Carbohydrase inhibitors derived from fagaceous plants and use thereof | |
CN104957472A (zh) | 一种无糖甜味剂及其制备方法 | |
JP5042519B2 (ja) | ナリンジン組成物、その製造方法及び用途 | |
KR20200021525A (ko) | 구강내 감미제 조성물 및 방법 | |
JP2003000195A (ja) | 水分散性又は水溶解性のイチョウ葉抽出物組成物 | |
JPH0866188A (ja) | 耐熱性非還元性糖質生成酵素とその製造方法並びに用途 | |
JPH05146273A (ja) | 新規飲食品素材 | |
KR101724569B1 (ko) | 루부소사이드 생산하는 신규 제조방법 | |
JP2006001872A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤及びそれを用いた食品 | |
JP4335555B2 (ja) | 飲食品、医薬品、動脈硬化予防剤及びldl酸化変性抑制剤 | |
JP2004043354A (ja) | ヒアルロニダーゼ阻害剤 | |
JP2003321351A (ja) | リパーゼ阻害剤 | |
JPH0948736A (ja) | α−グルコシダーゼ阻害剤 | |
KR20060087245A (ko) | 칡으로부터 비배당체 형태의 이소플라본을 제조하는 방법 | |
JP2007070265A (ja) | 脂質代謝改善用組成物 | |
JP7090267B2 (ja) | 血糖値上昇抑制剤 | |
JP2003095941A (ja) | 糖質消化酵素阻害剤、血糖値上昇抑制剤、肥満治療予防剤、糖尿病治療予防剤、健康飲食物 | |
JP2023152713A (ja) | β-グルコシダーゼ活性向上剤、アグリコン含有組成物の製造方法、アグリコン吸収促進剤、及び飲食品 |