JP2004018319A - 化合物半導体結晶成長装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】化合物半導体結晶成長装置におけるヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを適切な値に設定して、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位が発生しない単結晶成長を可能にする。
【解決手段】種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼ1を垂直に設置し、該るつぼ1を取り囲むように設けた電気炉ヒータ6、7により上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ6、7内径Dと原料を入れるるつぼ1の外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼ1を垂直に設置し、該るつぼ1を取り囲むように設けた電気炉ヒータ6、7により上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ6、7内径Dと原料を入れるるつぼ1の外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体単結晶の製造装置に関し、特に化合物半導体の原料融液を冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法等に適用して有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低転位密度のGaAs単結晶を成長させる方法として、垂直ブリッジマン法が注目されている。
【0003】
従来の液体封止引上法(LEC法)に代わるこの方法は、一般的には高温気相成長によるパイロリティック窒化硼素(PBN)製の成長容器(るつぼ)の下部に種結晶を入れ、その上にGaAsの多結晶を配置し、これを上部が高温で下部が低温の縦型電気炉発熱体(ヒータ)内に入れ、種結晶より上方に向けて結晶を成長させることによって単結晶を製造するもので、直径76mmを超える大径の結晶成長を容易に行えることを特長としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、るつぼ外径に対してヒータ径が小さすぎると、ヒータの温度むらがそのまま結晶に転写され、面内温度分布のばらつきが大きくなり、結晶にスリップ転位が発生する問題があった。
【0005】
一方、るつぼ外径に対してヒータ径が大きすぎると、ヒータから固液界面への輻射が分散し、固液界面の形状が融液側に凹面になり、固液界面に垂直に伝播する転位が結晶内部に密集し、転位密度が高くなったり、多結晶化する問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを適切な値に設定して、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位が発生しない単結晶成長を可能にする化合物半導体結晶成長装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0008】
請求項1の発明は、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dと原料を入れるるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の化合物半導体結晶成長装置において、上記るつぼが、下部細径部たる種結晶載置部、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部、及び該増径部から上方に続く直胴部を備えており、この種結晶載置部内に種結晶が設置され、その上にGaAs原料が設置される構造を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の化合物半導体結晶成長装置において、上記電気炉ヒータが、上下二段に重ねられた同一径のヒータであって、るつぼ内の原料を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための上側ヒータと、成長後の結晶を放熱させるための下側ヒータとから構成されていることを特徴とする。
【0011】
<作用>
本発明の化合物半導体結晶成長装置は、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部あるいは上部から徐々に冷却し固化させることにより、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定しているため、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止して、低転位密度の単結晶の成長を可能にする。本発明の化合物半導体結晶成長装置によれば、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法により、低転位密度の例えばGaAs単結晶を成長させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1にVB法による本発明の化合物半導体結晶成長装置の概略図を示す。図1において、1はるつぼから成るPBN製の成長容器であり、その下部に細径部たる種結晶載置部1aと、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部1bとを有すると共に、該増径部から上方に続く筒状の直胴部1cを有している。
【0014】
このるつぼ1は、結晶成長時には、そのるつぼの雰囲気を調整するため、石英ガラスから成る容器4に入れられて、同一径の上下二段のヒータ6、7から成る縦型電気炉(加熱装置)内に配置され、駆動架台5に設置される。この駆動架台5の材質としては、高熱伝導率のセラミックス(SiC)が使用される。
【0015】
そして、るつぼ1下部の種結晶載置部1a内に種結晶を設置し、その上にGaAs原料を置き、上部が高く下部が低い温度分布を設けた縦型電気炉(ヒータ6、7)の中で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部から徐々に上部に向かって冷却し固化させることにより、垂直方向にGaAs結晶を成長させる。
【0016】
上記縦型電気炉は、るつぼ1内の原料3を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための抵抗発熱体からなる上側ヒータ(第一電気炉)6と、そして成長後の結晶を放熱(冷却)させるための抵抗発熱体からなる下側ヒータ(第二電気炉)7とから構成されている。両電気炉ヒータ6、7の間には、結晶からの放熱性を制御するために、断熱材が設置される場合もある。
【0017】
ここで、ヒータ6、7の内径Dは、るつぼ1の外径dに対して1.2〜1.5倍に設定されている。その理由は、ヒータ6、7の内径Dとるつぼ1の外径dの比率D/dを1.2〜1.5(好ましくは1.2以上、1.5未満)に設定して化合物半導体結晶を成長させることにより、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位が発生しない低転位の単結晶を成長できるためである。
【0018】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、下記の実施例及び比較例の成長装置について試作した。
【0019】
<実施例>
GaAs単結晶成長を例にとり、図1を参照しながら説明する。図1に示したように、PBN製のるつぼ1の中に種結晶2とGaAs原料3を6000グラム入れた後、石英ガラス容器4内に入れ、石英ガラス容器4を真空で封じる。この石英ガラス容器4を成長装置の駆動架台5の上にのせ、縦型電気炉のヒータ6、7を大気中で昇温する。上方の第一電気炉(上側ヒータ6)は原料融解成長用であり、設定温度を約1245℃にし、下方の第二電気炉(下側ヒータ7)は結晶放熱用であり、設定温度を約1150℃にする。この時、成長軸方向の温度勾配は1〜10℃/cmである。
【0020】
そこで、石英ガラス容器4を載せた駆動架台5を1〜5mm/hrの速度で下降させることにより結晶成長を行い、成長した結晶は、上方の第一電気炉(上側ヒータ6)と下方の第二電気炉(下側ヒータ7)の間を通過する。
【0021】
ここで、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5の範囲で変化させて、化合物半導体結晶を成長させた。この条件の下で成長した結晶の転位密度の最大値は、500個/cm2以下と少ない値であった。
【0022】
<比較例>
(a) 比較例1として、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを上記範囲の下限より低い値である1.1に設定し、他は上記実施例と同じ条件に設定して、化合物半導体結晶を成長させた。この条件下で成長した結晶の転位密度の最大値は、2000個/cm2と高い値であった。
【0023】
(b) 比較例2として、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを上記範囲の上限より高い値である1.8に設定し、他は上記実施例と同じ条件に設定して、化合物半導体結晶を成長させた。この条件下で成長した結晶の転位密度の最大値は、1000個/cm2と高い値であった。
【0024】
よって、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5の範囲とすることで、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止し、転位密度の小さい単結晶を成長できることが分かる。
【0025】
上記実施例では、垂直ブリッジマン(VB)法により低転位密度のGaAs単結晶を成長させる場合を例にしたが、本発明は、垂直グラジエントフリージング(VGF)法にも適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定しているため、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法により、GaAs単結晶の如き化合物半導体結晶を成長させるに際し、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止して、転位密度の小さい単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化合物半導体結晶成長装置の断面図である。
【符号の説明】
1 るつぼ
1a 種結晶載置部
1b 増径部
1c 直胴部
2 種結晶
3 GaAs原料
4 石英ガラス容器
6、7 ヒータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体単結晶の製造装置に関し、特に化合物半導体の原料融液を冷却して垂直方向に単結晶を成長させる垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法等に適用して有用な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、低転位密度のGaAs単結晶を成長させる方法として、垂直ブリッジマン法が注目されている。
【0003】
従来の液体封止引上法(LEC法)に代わるこの方法は、一般的には高温気相成長によるパイロリティック窒化硼素(PBN)製の成長容器(るつぼ)の下部に種結晶を入れ、その上にGaAsの多結晶を配置し、これを上部が高温で下部が低温の縦型電気炉発熱体(ヒータ)内に入れ、種結晶より上方に向けて結晶を成長させることによって単結晶を製造するもので、直径76mmを超える大径の結晶成長を容易に行えることを特長としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、るつぼ外径に対してヒータ径が小さすぎると、ヒータの温度むらがそのまま結晶に転写され、面内温度分布のばらつきが大きくなり、結晶にスリップ転位が発生する問題があった。
【0005】
一方、るつぼ外径に対してヒータ径が大きすぎると、ヒータから固液界面への輻射が分散し、固液界面の形状が融液側に凹面になり、固液界面に垂直に伝播する転位が結晶内部に密集し、転位密度が高くなったり、多結晶化する問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを適切な値に設定して、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位が発生しない単結晶成長を可能にする化合物半導体結晶成長装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0008】
請求項1の発明は、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dと原料を入れるるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の化合物半導体結晶成長装置において、上記るつぼが、下部細径部たる種結晶載置部、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部、及び該増径部から上方に続く直胴部を備えており、この種結晶載置部内に種結晶が設置され、その上にGaAs原料が設置される構造を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の化合物半導体結晶成長装置において、上記電気炉ヒータが、上下二段に重ねられた同一径のヒータであって、るつぼ内の原料を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための上側ヒータと、成長後の結晶を放熱させるための下側ヒータとから構成されていることを特徴とする。
【0011】
<作用>
本発明の化合物半導体結晶成長装置は、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部あるいは上部から徐々に冷却し固化させることにより、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定しているため、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止して、低転位密度の単結晶の成長を可能にする。本発明の化合物半導体結晶成長装置によれば、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法により、低転位密度の例えばGaAs単結晶を成長させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1にVB法による本発明の化合物半導体結晶成長装置の概略図を示す。図1において、1はるつぼから成るPBN製の成長容器であり、その下部に細径部たる種結晶載置部1aと、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部1bとを有すると共に、該増径部から上方に続く筒状の直胴部1cを有している。
【0014】
このるつぼ1は、結晶成長時には、そのるつぼの雰囲気を調整するため、石英ガラスから成る容器4に入れられて、同一径の上下二段のヒータ6、7から成る縦型電気炉(加熱装置)内に配置され、駆動架台5に設置される。この駆動架台5の材質としては、高熱伝導率のセラミックス(SiC)が使用される。
【0015】
そして、るつぼ1下部の種結晶載置部1a内に種結晶を設置し、その上にGaAs原料を置き、上部が高く下部が低い温度分布を設けた縦型電気炉(ヒータ6、7)の中で加熱して溶解させ、加熱溶融した原料融液を融液下部から徐々に上部に向かって冷却し固化させることにより、垂直方向にGaAs結晶を成長させる。
【0016】
上記縦型電気炉は、るつぼ1内の原料3を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための抵抗発熱体からなる上側ヒータ(第一電気炉)6と、そして成長後の結晶を放熱(冷却)させるための抵抗発熱体からなる下側ヒータ(第二電気炉)7とから構成されている。両電気炉ヒータ6、7の間には、結晶からの放熱性を制御するために、断熱材が設置される場合もある。
【0017】
ここで、ヒータ6、7の内径Dは、るつぼ1の外径dに対して1.2〜1.5倍に設定されている。その理由は、ヒータ6、7の内径Dとるつぼ1の外径dの比率D/dを1.2〜1.5(好ましくは1.2以上、1.5未満)に設定して化合物半導体結晶を成長させることにより、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位が発生しない低転位の単結晶を成長できるためである。
【0018】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、下記の実施例及び比較例の成長装置について試作した。
【0019】
<実施例>
GaAs単結晶成長を例にとり、図1を参照しながら説明する。図1に示したように、PBN製のるつぼ1の中に種結晶2とGaAs原料3を6000グラム入れた後、石英ガラス容器4内に入れ、石英ガラス容器4を真空で封じる。この石英ガラス容器4を成長装置の駆動架台5の上にのせ、縦型電気炉のヒータ6、7を大気中で昇温する。上方の第一電気炉(上側ヒータ6)は原料融解成長用であり、設定温度を約1245℃にし、下方の第二電気炉(下側ヒータ7)は結晶放熱用であり、設定温度を約1150℃にする。この時、成長軸方向の温度勾配は1〜10℃/cmである。
【0020】
そこで、石英ガラス容器4を載せた駆動架台5を1〜5mm/hrの速度で下降させることにより結晶成長を行い、成長した結晶は、上方の第一電気炉(上側ヒータ6)と下方の第二電気炉(下側ヒータ7)の間を通過する。
【0021】
ここで、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5の範囲で変化させて、化合物半導体結晶を成長させた。この条件の下で成長した結晶の転位密度の最大値は、500個/cm2以下と少ない値であった。
【0022】
<比較例>
(a) 比較例1として、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを上記範囲の下限より低い値である1.1に設定し、他は上記実施例と同じ条件に設定して、化合物半導体結晶を成長させた。この条件下で成長した結晶の転位密度の最大値は、2000個/cm2と高い値であった。
【0023】
(b) 比較例2として、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを上記範囲の上限より高い値である1.8に設定し、他は上記実施例と同じ条件に設定して、化合物半導体結晶を成長させた。この条件下で成長した結晶の転位密度の最大値は、1000個/cm2と高い値であった。
【0024】
よって、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5の範囲とすることで、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止し、転位密度の小さい単結晶を成長できることが分かる。
【0025】
上記実施例では、垂直ブリッジマン(VB)法により低転位密度のGaAs単結晶を成長させる場合を例にしたが、本発明は、垂直グラジエントフリージング(VGF)法にも適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、ヒータ内径Dとるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定しているため、垂直グラジエントフリージング(VGF)法や垂直ブリッジマン(VB)法により、GaAs単結晶の如き化合物半導体結晶を成長させるに際し、成長中に生じるグローイン転位ならびに成長後に生じるスリップ転位の発生を防止して、転位密度の小さい単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化合物半導体結晶成長装置の断面図である。
【符号の説明】
1 るつぼ
1a 種結晶載置部
1b 増径部
1c 直胴部
2 種結晶
3 GaAs原料
4 石英ガラス容器
6、7 ヒータ
Claims (3)
- 種結晶および原料を入れた有底筒体状のるつぼを垂直に設置し、該るつぼを取り囲むように設けた電気炉ヒータにより上記原料を所定の温度分布で加熱して溶解させ、垂直方向に化合物半導体結晶を成長させる化合物半導体結晶成長装置において、
ヒータ内径Dと原料を入れるるつぼ外径dの比率D/dを1.2〜1.5に設定したことを特徴とする化合物半導体結晶成長装置。 - 請求項1記載の化合物半導体結晶成長装置において、
上記るつぼが、下部細径部たる種結晶載置部、該種結晶載置部から上方に向けて直径が大きくなる増径部、及び該増径部から上方に続く直胴部を備えており、この種結晶載置部内に種結晶が設置され、その上にGaAs原料が設置される構造を有することを特徴とする化合物半導体結晶成長装置。 - 請求項1又は2記載の化合物半導体結晶成長装置において、
上記電気炉ヒータが、上下二段に重ねられた同一径のヒータであって、るつぼ内の原料を所定の温度勾配で加熱して溶解および成長させるための上側ヒータと、成長後の結晶を放熱させるための下側ヒータとから構成されていることを特徴とする化合物半導体結晶成長装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002176186A JP2004018319A (ja) | 2002-06-17 | 2002-06-17 | 化合物半導体結晶成長装置 |
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JP2002176186A JP2004018319A (ja) | 2002-06-17 | 2002-06-17 | 化合物半導体結晶成長装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006327837A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Nikon Corp | 蛍石の単結晶製造装置及びそれを用いた蛍石単結晶の製造方法 |
-
2002
- 2002-06-17 JP JP2002176186A patent/JP2004018319A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006327837A (ja) * | 2005-05-23 | 2006-12-07 | Nikon Corp | 蛍石の単結晶製造装置及びそれを用いた蛍石単結晶の製造方法 |
JP4569872B2 (ja) * | 2005-05-23 | 2010-10-27 | 株式会社ニコン | 蛍石の単結晶製造装置及びそれを用いた蛍石単結晶の製造方法 |
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