JP2004017547A - 樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通信機器等における電磁波障害を防御し、かつ難燃性であり、耐熱老化性に優れた樹脂積層体を作製する。
【解決手段】難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)と、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組み合わせとする。樹脂層(A)と樹脂層(B)の間に応力緩和を目的とする樹脂層(C)を設けることが好ましい。これらの樹脂層は繰り返して積層することもできる。各層の厚みは、樹脂層(A)が5〜50μm、樹脂層(B)が20〜200μm、樹脂層(C)が5〜50μmの範囲にあるとフィルム状の樹脂積層体として特に好ましい。製法は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥する方法と、すべての層を有機溶剤溶液から作製する方法がある。
【選択図】 なし
【解決手段】難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)と、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組み合わせとする。樹脂層(A)と樹脂層(B)の間に応力緩和を目的とする樹脂層(C)を設けることが好ましい。これらの樹脂層は繰り返して積層することもできる。各層の厚みは、樹脂層(A)が5〜50μm、樹脂層(B)が20〜200μm、樹脂層(C)が5〜50μmの範囲にあるとフィルム状の樹脂積層体として特に好ましい。製法は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥する方法と、すべての層を有機溶剤溶液から作製する方法がある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を発生する部品を覆うことにより、電磁波を吸収する目的に使用する樹脂積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の情報機器の進歩により、パソコン、ワープロ、CD/プレイヤー及び携帯電話等にIC,LSI,CPU等が組み込まれている。このIC,LSI,CPU等は電磁波を発生するため、この電磁波が電磁ノイズとなってコンピュータの誤作動、無線通信への障害、人体への健康に影響する恐れがあり、機器周囲に電磁波吸収体を用意している。電磁波吸収体は透磁率及び磁束密度の大きい金属板を用いれば良いが、容積及び重量に限界がある。
【0003】
他の手段として、磁性粉末を樹脂に分散させた電磁波吸収体がある。この場合は、樹脂の形状を簡単に変えられることと、可撓性があるため、ある程度の曲げ等を加えることができる。しかし、主成分が樹脂であることにより、燃焼や熱老化後の外観への対策が必要となる。
【0004】
特開2000−151183号公報では、樹脂に軟磁性粉末を加えた電磁波吸収体に、さらに難燃剤を加えた電磁波吸収体を開示する。この場合、樹脂に加える充填剤として、軟磁性粉末と難燃性付与剤が必要である。もちろん樹脂自体にも難燃性を付与する方が好ましいとの記載がある。軟磁性粉末においても、難燃性付与剤においても、その特性を生かすには、樹脂に対して相当の量を加える必要がある。従い、樹脂の特性である熱老化後の外観が充填剤により失われる可能性を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、少量の樹脂に対し、必要な電磁波吸収性能を持たせ、かつ必要な難燃性を有するためには、加える充填剤の量が過剰になり、樹脂自体が有する熱老化後の外観を損なう恐れがある。樹脂の量をふやす事は、所要体積を増すことになるため、好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題を解決するものであり、その製法である。具体的には、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)と、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組み合わせからなる樹脂積層体である。すなわち樹脂の層を、難燃性を有する層と電磁波吸収性を有する層に分けることにより、十分な耐熱老化性を有する積層体としたものを主体とする。さらには、樹脂層(A)と樹脂層(B)の間に応力緩和を目的とする樹脂層(C)を設けると、樹脂層(A)と樹脂層(B)との親和性がよく耐熱老化性において好ましい結果を得る。この場合、樹脂層(B)と前記樹脂層(C)に用いる樹脂の主成分が同じであると、層間親和性がさらによいものとなる。さらには樹脂層(A)に用いる樹脂の主成分が、前記樹脂層(B)及び(C)と同じであると、層間親和性がより良いものとなり、好ましい。
【0007】
前記樹脂層は、単に樹脂層(A)と樹脂層(B)の2層だけでなく、各樹脂層を繰り返した積層体としても問題はない。また、樹脂層(A)と樹脂層(B)の間にすべて樹脂層(C)を設けてもよい。なお、積層体の最外側に樹脂層(A)を配置すると、樹脂層(B)に含まれる電磁波吸収用フィラーが脱落することによる弊害が起こらない。
【0008】
本発明に用いる樹脂層(A)は、50μm以下の厚みを有する難燃性フィルムであれば用いることができるが、特にポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド及び難燃性を付与したポリエチレンテレフタレートから選ばれた1種以上であると高温時の耐熱老化性に優れるため、好ましい。その他、難燃剤を含む非難燃性の樹脂を用いることも可能である。また、難燃性を付与した樹脂、例えば塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等を樹脂成分として用いるのも良い。これに安定剤、滑剤、酸化防止剤等を加えて有機溶剤に溶解し、離形性を有するフィルム上に流し、厚みを調整してから加熱乾燥することにより得られる、難燃性で耐熱老化性のある樹脂フィルムとして用いることも可能である。
樹脂層(A)の厚みが50μm以下であれば、これらの複層であっても構わない。また樹脂層(A)を複数使用する積層体とするときは、異なる種類の難燃性及び耐熱老化性を有する樹脂層を用いてもよい。
【0009】
樹脂積層体全体の厚みは、樹脂層(A)の厚みが5〜50μmの範囲にあり、樹脂層(B)の厚みが20〜200μmの範囲にあると、全体がフィルム状となり好ましい。難燃性と電磁波吸収性能を有した、熱老化後の外観を維持できる樹脂積層体となる。また、応力緩和を目的とする樹脂層(C)の厚みが5〜50μmの範囲にあると、同様にフレキシブルとなり且つ熱老化後の外観を維持でき、好ましい。
【0010】
本発明の樹脂層(B)は、電磁波吸収特性を持たせるためにフィラーとしてフェライト粉末やパーマロイ粉末を用いるのが良い。もちろん前記粉末の形状としては特に指定せずに選択できるが、粒度と形状が、厚さ数μm、外径数十μmの偏平な形状であるものを用いると、少量で電磁波吸収効果を得ることができる。また、難燃性の主効果は樹脂層(A)によるが、樹脂層(B)にも難燃性を保有させるために、三酸化アンチモン、デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤を加えるのが好ましい。
さらに、樹脂自体も難燃性にすることが好ましく、ハロゲンを樹脂に含むものが好ましい。その例としては、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー等が選択できる。また、これらのほかに常套手段である、安定剤、滑剤、酸化防止剤を配合全体に対し、数重量%加えるのがよい。特に、滑剤はフィラーと樹脂の馴染みをよくする上で加えるのが好ましい。応力緩和を目的とする樹脂層(C)もほぼ樹脂層(B)と同様の配合内容とするのがよい。ただし、樹脂層(B)に比べ、電磁波吸収特性や難燃性を出すための配合物である、フィラーや難燃剤の配合をなくすか減らし、樹脂部分の配合を相対的に多くするほうが樹脂層(A)と樹脂層(B)との親和性をよくする上で好ましい。もちろん、樹脂層(A)もその樹脂の主成分が樹脂層(B)及び樹脂層(C)に用いる樹脂主成分と同じであると出来上がった樹脂積層体が互いに親和性を持ったものとなり、さらに好ましい。
【0011】
以上のようにしてなる本発明の樹脂積層体は、難燃性が、UL94の燃焼性試験でV−0に合格するレベルであり、かつ耐熱老化性が、JIS K 7212の熱老化性試験後外観に異常がないレベルであると好ましい。すなわち、難燃性であり、かつ熱老化後でも外観を維持する。
【0012】
本発明になる樹脂積層体の製造方法は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥することを特徴とする。また、樹脂層(C)を含む場合は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥後、その上に樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥することを特徴とする。特に樹脂層(B)及び(C)を溶液にする場合は、使用する樹脂成分に相溶性のよい有機溶剤を選択すればよい。例えば、塩素化ポリエチレンを樹脂成分とする場合は、キシレンやトルエンを用いる。塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーを樹脂成分とする場合は、シクロヘキサノンやメチルエチルケトンを用いればよい。
【0013】
樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を用いる場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、該溶液を流し、ドクターブレード等を用いて厚みを均一化し、これを熱板上で乾燥する方法を用いるとよい。もちろん、200℃程度に迄昇温できる熱風恒温槽内で乾燥しても構わない。このようにしてできた樹脂層(A)上に直接樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することにより、本発明の樹脂積層体の一例となる。また、前記樹脂層(A)上に、樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥した後、さらにその上に樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥すれば、本発明の樹脂積層体の、別の一例が出来上がる。
【0014】
樹脂積層体の両側に難燃性で耐熱老化性の樹脂層を配置する場合は、片側は難燃性を有する厚さ50μm以下のフィルムを用いてよいが、他方は樹脂層(B)もしくは樹脂層(B)と樹脂層(C)に含まれる残存有機溶剤の影響を配慮して、樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を用い、積層体の上に塗布し、加熱乾燥するのが良い。もちろん、樹脂積層体の両側とも樹脂層(A)組成を有する有機溶剤溶液を用いたものであっても構わない。
【0015】
樹脂層(A)を樹脂積層体の両側に配置する他の製造方法としては、前記の種々の方法により作製する樹脂積層体の中で、片側に樹脂層(B)を有するものを選び、樹脂層(B)の側を向きあわせて重ねる。これを樹脂の融点以下の温度で加圧し、接着する。この場合はあらかじめ樹脂層(B)を設計値の約半分の厚みで製造すれば、所望の樹脂層厚みのものが得られる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の効果を示す例をあげるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gをとり、キシレンとトルエンを混合した溶媒に溶解した。溶媒量は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン3の重量比である。
これに厚さ約1μm、外径約20μmの偏平状のパーマロイ粉末1160g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S(堺化学社製)、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)を併せて11g加え攪拌混合した。
樹脂層(A)として厚み50μmのポリイミドフィルムを用意した。この上に、前記樹脂層(B)用に調整した溶液を流し、ドクターブレードを用いて塗布厚みを調整した後、熱板上に乗せ昇温し、最終140℃に達する時点まで乾燥した。全厚みが97μmとなったので、樹脂層(B)は47μmあると計算される。
【0017】
できあがった樹脂積層体を以下の試験に供した。
(燃焼性試験)UL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験」に記載される20mm垂直燃焼試験で判定した。V−0が難燃性であり、V−1が弱難燃性、V−2が微難燃性となる。表に記載した×は、どれにも該当しない。
(熱老化性試験)JIS K 7212「熱可塑性プラスチックの熱老化性試験」に記載される方法で劣化させ、老化の判定を5cm長×0.5cm幅の試料を肉眼で観察し、局部的な粉化、ひび、割れ、変形等があるものは×、特に変化していないものは○とした。
(電磁波吸収測定)樹脂積層体サンプルを内径3mm×外形7mmのリング状に打ち抜き、ネットワークアナライザHP8720B(アジレントテクノロジー社製)を用い、同軸導波管法により周波数2GHzでsパラメータを採取。sパラメータから計算により得られる透磁率の複素成分μ”を得た。μ”は大きいほど電磁波吸収性が良く、従来材は6程度である。
以上の結果を、樹脂層(A)、(B)の配合内容を含め表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
(実施例2)実施例1と同様に表1に示す配合内容で樹脂積層体を作成した。実施例2では、樹脂層(B)に難燃剤を加え、樹脂層(B)にも難燃性を付加した。その内容は、デカブロモジフェニルエーテル60g、三酸化アンチモン60gである。また安定剤、滑剤、酸化防止剤は実施例1と同じ重量部数11gで添加した。
樹脂層(A)には実施例1で用いたポリイミドフィルム(50μm厚み)をここでも使用した。塗布及び乾燥工程も実施例1で行った方法をそのまま用いた。樹脂層(B)の厚みは53μmであった。できた樹脂積層体を燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0020】
(実施例3)樹脂層(A)を樹脂溶液として調整した。配合割合は表1に示す。塩素化ポリエチレン100gをトルエンに溶解した。トルエンは塩素化ポリエチレン1に対し、5.11の重量比率である。これにデカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え混合した。
できた溶液をフィルム状にするため、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、前記溶液を流し、ドクターブレードで厚み調整した後、昇温プログラム付き熱風恒温槽内で140℃迄昇温し、乾燥した。樹脂層(A)の厚みは20μmであった。
【0021】
次に樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン100g粉末をキシレンとトルエンの混合溶媒に溶解した。溶剤の混合比は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン2とした。これに電磁波吸収材としてパーマロイ粉末を770g及び実施例1で使用した安定剤、滑剤、酸化防止剤を合計11g加え混合した。
この溶液を、先に作製した樹脂層(A)の上に流し、ドクターブレードでならした後、昇温プログラム付き熱風恒温槽内で140℃迄昇温し、乾燥した。合計厚み68μmの樹脂積層体を得た。従って樹脂層(B)の厚みは48μmと計算される。これも同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0022】
(実施例4)樹脂層(C)用に、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー(表中では塩ビ・酢ビコポリマーと略)の樹脂粉末を100g用意し、これをシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶媒で溶解した。前記樹脂粉末1に対し、シクロヘキサノン2、メチルエチルケトン1の比率である。
この樹脂溶液を、実施例1で用いたポリイミドフィルムの上に流し、厚み調整してから熱板上で140℃に達するまで昇温し、乾燥した。この結果、樹脂積層体の厚みは69μmあった。従って樹脂層(C)の厚みは、ポリイミドフィルムの50μmを引いた19μmである。
樹脂層(B)用に、前記塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーの樹脂粉末を100g用意し、これをシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶媒で溶解した。前記樹脂粉末1に対し、シクロヘキサノン2、メチルエチルケトン1の比率である。
この樹脂溶液に、パーマロイ粉末770g、及び実施例1で使用した安定剤、滑剤、酸化防止剤を合計11g加え混合した。できた樹脂溶液を前記フィルムの樹脂層(C)の上に流し、厚み調整してから熱板上で140℃に達するまで昇温し、乾燥した。得られた樹脂積層体は全体で117μmの厚みになり、樹脂層(B)は48μmと計算された。
これも前記実施例と同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0023】
(実施例5)樹脂層(C)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gを取り、塩素化ポリエチレン100gをトルエンに溶解した。トルエンは塩素化ポリエチレン1に対し、5.11の重量比率である。これにデカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え混合した。この配合を表1に示すが、実施例3で用いた樹脂層(A)の配合と同じ内容である。
できた溶液を、実施例1で用いたポリイミドフィルム上に流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。樹脂積層体の厚みが70μmであったので、樹脂層(C)は20μmである。
この樹脂層(C)の上に、実施例2で用いた樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。樹脂積層体の合計厚みが120μmになったので、樹脂層(B)は50μmあると計算される。得られた積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0024】
(実施例6)実施例5で用いた樹脂積層体の中間体である、ポリイミドフィルムに樹脂層(C)を配置したものを利用した。この中間体に、実施例3で使用した樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。中間体の厚みが70μmであったので、これに樹脂層(B)の厚み48μmを加えて、樹脂積層体の厚みは合計118μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0025】
(実施例7)実施例6とほぼ同じ構成であるが、樹脂層(A)に25μm厚みのポリイミドフィルムを用いた。樹脂層(C)及び樹脂層(B)は、実施例6と全く同じ構成である。従って樹脂積層体の合計厚みは93μmと薄くなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0026】
(実施例8)実施例7と同じ構成であるが、樹脂層(A)に使用したフィルムの材質をポリフェニレンスルフィド(PPS)に変えた。フィルムの厚みは25μmであるので、樹脂積層体の合計厚みは93μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例9)実施例9は4層の樹脂積層体である。実施例8で形成した樹脂積層体の上に、さらに樹脂層(A)を配置した。加えた樹脂層(A)は、実施例3に用いた樹脂層(A)と同じ配合とした。従って樹脂積層体の構成は、樹脂層(A)のPPSフィルム25μm、樹脂層(C)20μm、樹脂層(B)48μm及び樹脂溶液から作製した樹脂層(A)20μmの4層である。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例10)樹脂積層体が、実施例9から樹脂層(C)を除去した構成である。まず樹脂層(A)として、厚み25μmのPPSフィルムを用意した。この上に実施例3で用いた樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。その後、これも実施例3で用いた樹脂層(A)の樹脂溶液を流し、同様に厚み調整して、熱板上で乾燥した。樹脂層(B)を2種の樹脂層(A)で挟んだ構成の樹脂積層体を得た。合計厚みは93μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0029】
(実施例11)実施例10と同様、樹脂層(B)を樹脂層(A)が挟んだ構造を有する樹脂積層体である。実施例3で作製した樹脂積層体の、樹脂層(B)側を上にして、その上に実施例3で用いた樹脂層(A)用の樹脂溶液を流した。厚み調整の後、熱板上で乾燥した。実施例3の樹脂積層体が63μmであったのに対し、さらに樹脂層(A)が配置され、合計83μmの樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gをとり、キシレンとトルエンを混合した溶媒に溶解した。混合比率は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン3である。これに厚さ約1μm、直径約20μmの偏平状のパーマロイ粉1060g、デカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え攪拌混合した。
フィルム状にするため、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、前記溶液を流し、ドクターブレードで厚み調整した後、熱板上で乾燥した。その後樹脂層(B)をPETフィルムから剥がし、実施例と同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0031】
(比較例2)比較例1と同様の操作で表1に示す樹脂層(B)のフィルムを作製した。これも同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
以上の結果から以下のことが言える。
本発明になる実施例1乃至11は2〜4層からなる樹脂積層体であるが、どの実施例においても、熱老化後の可撓性もよく、難燃性試験もV−0レベルで合格する。また電磁波吸収性能も従来材のμ”=6に比べ大きな値を得ている。実施例1,2及び10では応力緩和用の樹脂層(C)はないが、熱老化後の外観もよく、難燃性試験もV−0レベルで合格する。電磁波吸収性能も十分である。特に樹脂積層体の両外側に樹脂層(A)を配置した、実施例9,10及び11においては、熱劣化後でも、電磁波吸収用フィラーが剥げ落ちることによる周囲の汚れが起こらず、特に好ましい結果となった。これに対し、比較例1および2は樹脂層(A)がないため、熱老化後の外観維持が不十分である。すなわち、単一樹脂に難燃剤と電磁波吸収用フィラーを加えるとその配合量に相当無理があり、熱老化後の外観を損なうことになる。また、比較例1と比較例2はわずかな配合の違いであるが、比較例2では難燃性試験に合格しない。
【0032】
【発明の効果】
本発明における樹脂積層体は、十分な耐熱老化性を有し、かつ難燃性であり、また電磁波吸収性を有するものであり、薄いフィルム状での供給も可能であるから、電磁波障害となる通信機器等に大いに利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を発生する部品を覆うことにより、電磁波を吸収する目的に使用する樹脂積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の情報機器の進歩により、パソコン、ワープロ、CD/プレイヤー及び携帯電話等にIC,LSI,CPU等が組み込まれている。このIC,LSI,CPU等は電磁波を発生するため、この電磁波が電磁ノイズとなってコンピュータの誤作動、無線通信への障害、人体への健康に影響する恐れがあり、機器周囲に電磁波吸収体を用意している。電磁波吸収体は透磁率及び磁束密度の大きい金属板を用いれば良いが、容積及び重量に限界がある。
【0003】
他の手段として、磁性粉末を樹脂に分散させた電磁波吸収体がある。この場合は、樹脂の形状を簡単に変えられることと、可撓性があるため、ある程度の曲げ等を加えることができる。しかし、主成分が樹脂であることにより、燃焼や熱老化後の外観への対策が必要となる。
【0004】
特開2000−151183号公報では、樹脂に軟磁性粉末を加えた電磁波吸収体に、さらに難燃剤を加えた電磁波吸収体を開示する。この場合、樹脂に加える充填剤として、軟磁性粉末と難燃性付与剤が必要である。もちろん樹脂自体にも難燃性を付与する方が好ましいとの記載がある。軟磁性粉末においても、難燃性付与剤においても、その特性を生かすには、樹脂に対して相当の量を加える必要がある。従い、樹脂の特性である熱老化後の外観が充填剤により失われる可能性を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、少量の樹脂に対し、必要な電磁波吸収性能を持たせ、かつ必要な難燃性を有するためには、加える充填剤の量が過剰になり、樹脂自体が有する熱老化後の外観を損なう恐れがある。樹脂の量をふやす事は、所要体積を増すことになるため、好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題を解決するものであり、その製法である。具体的には、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)と、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組み合わせからなる樹脂積層体である。すなわち樹脂の層を、難燃性を有する層と電磁波吸収性を有する層に分けることにより、十分な耐熱老化性を有する積層体としたものを主体とする。さらには、樹脂層(A)と樹脂層(B)の間に応力緩和を目的とする樹脂層(C)を設けると、樹脂層(A)と樹脂層(B)との親和性がよく耐熱老化性において好ましい結果を得る。この場合、樹脂層(B)と前記樹脂層(C)に用いる樹脂の主成分が同じであると、層間親和性がさらによいものとなる。さらには樹脂層(A)に用いる樹脂の主成分が、前記樹脂層(B)及び(C)と同じであると、層間親和性がより良いものとなり、好ましい。
【0007】
前記樹脂層は、単に樹脂層(A)と樹脂層(B)の2層だけでなく、各樹脂層を繰り返した積層体としても問題はない。また、樹脂層(A)と樹脂層(B)の間にすべて樹脂層(C)を設けてもよい。なお、積層体の最外側に樹脂層(A)を配置すると、樹脂層(B)に含まれる電磁波吸収用フィラーが脱落することによる弊害が起こらない。
【0008】
本発明に用いる樹脂層(A)は、50μm以下の厚みを有する難燃性フィルムであれば用いることができるが、特にポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド及び難燃性を付与したポリエチレンテレフタレートから選ばれた1種以上であると高温時の耐熱老化性に優れるため、好ましい。その他、難燃剤を含む非難燃性の樹脂を用いることも可能である。また、難燃性を付与した樹脂、例えば塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等を樹脂成分として用いるのも良い。これに安定剤、滑剤、酸化防止剤等を加えて有機溶剤に溶解し、離形性を有するフィルム上に流し、厚みを調整してから加熱乾燥することにより得られる、難燃性で耐熱老化性のある樹脂フィルムとして用いることも可能である。
樹脂層(A)の厚みが50μm以下であれば、これらの複層であっても構わない。また樹脂層(A)を複数使用する積層体とするときは、異なる種類の難燃性及び耐熱老化性を有する樹脂層を用いてもよい。
【0009】
樹脂積層体全体の厚みは、樹脂層(A)の厚みが5〜50μmの範囲にあり、樹脂層(B)の厚みが20〜200μmの範囲にあると、全体がフィルム状となり好ましい。難燃性と電磁波吸収性能を有した、熱老化後の外観を維持できる樹脂積層体となる。また、応力緩和を目的とする樹脂層(C)の厚みが5〜50μmの範囲にあると、同様にフレキシブルとなり且つ熱老化後の外観を維持でき、好ましい。
【0010】
本発明の樹脂層(B)は、電磁波吸収特性を持たせるためにフィラーとしてフェライト粉末やパーマロイ粉末を用いるのが良い。もちろん前記粉末の形状としては特に指定せずに選択できるが、粒度と形状が、厚さ数μm、外径数十μmの偏平な形状であるものを用いると、少量で電磁波吸収効果を得ることができる。また、難燃性の主効果は樹脂層(A)によるが、樹脂層(B)にも難燃性を保有させるために、三酸化アンチモン、デカブロモジフェニルエーテル等の難燃剤を加えるのが好ましい。
さらに、樹脂自体も難燃性にすることが好ましく、ハロゲンを樹脂に含むものが好ましい。その例としては、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー等が選択できる。また、これらのほかに常套手段である、安定剤、滑剤、酸化防止剤を配合全体に対し、数重量%加えるのがよい。特に、滑剤はフィラーと樹脂の馴染みをよくする上で加えるのが好ましい。応力緩和を目的とする樹脂層(C)もほぼ樹脂層(B)と同様の配合内容とするのがよい。ただし、樹脂層(B)に比べ、電磁波吸収特性や難燃性を出すための配合物である、フィラーや難燃剤の配合をなくすか減らし、樹脂部分の配合を相対的に多くするほうが樹脂層(A)と樹脂層(B)との親和性をよくする上で好ましい。もちろん、樹脂層(A)もその樹脂の主成分が樹脂層(B)及び樹脂層(C)に用いる樹脂主成分と同じであると出来上がった樹脂積層体が互いに親和性を持ったものとなり、さらに好ましい。
【0011】
以上のようにしてなる本発明の樹脂積層体は、難燃性が、UL94の燃焼性試験でV−0に合格するレベルであり、かつ耐熱老化性が、JIS K 7212の熱老化性試験後外観に異常がないレベルであると好ましい。すなわち、難燃性であり、かつ熱老化後でも外観を維持する。
【0012】
本発明になる樹脂積層体の製造方法は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥することを特徴とする。また、樹脂層(C)を含む場合は、難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥後、その上に樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥することを特徴とする。特に樹脂層(B)及び(C)を溶液にする場合は、使用する樹脂成分に相溶性のよい有機溶剤を選択すればよい。例えば、塩素化ポリエチレンを樹脂成分とする場合は、キシレンやトルエンを用いる。塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーを樹脂成分とする場合は、シクロヘキサノンやメチルエチルケトンを用いればよい。
【0013】
樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を用いる場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、該溶液を流し、ドクターブレード等を用いて厚みを均一化し、これを熱板上で乾燥する方法を用いるとよい。もちろん、200℃程度に迄昇温できる熱風恒温槽内で乾燥しても構わない。このようにしてできた樹脂層(A)上に直接樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することにより、本発明の樹脂積層体の一例となる。また、前記樹脂層(A)上に、樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥した後、さらにその上に樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥すれば、本発明の樹脂積層体の、別の一例が出来上がる。
【0014】
樹脂積層体の両側に難燃性で耐熱老化性の樹脂層を配置する場合は、片側は難燃性を有する厚さ50μm以下のフィルムを用いてよいが、他方は樹脂層(B)もしくは樹脂層(B)と樹脂層(C)に含まれる残存有機溶剤の影響を配慮して、樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を用い、積層体の上に塗布し、加熱乾燥するのが良い。もちろん、樹脂積層体の両側とも樹脂層(A)組成を有する有機溶剤溶液を用いたものであっても構わない。
【0015】
樹脂層(A)を樹脂積層体の両側に配置する他の製造方法としては、前記の種々の方法により作製する樹脂積層体の中で、片側に樹脂層(B)を有するものを選び、樹脂層(B)の側を向きあわせて重ねる。これを樹脂の融点以下の温度で加圧し、接着する。この場合はあらかじめ樹脂層(B)を設計値の約半分の厚みで製造すれば、所望の樹脂層厚みのものが得られる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の効果を示す例をあげるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gをとり、キシレンとトルエンを混合した溶媒に溶解した。溶媒量は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン3の重量比である。
これに厚さ約1μm、外径約20μmの偏平状のパーマロイ粉末1160g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S(堺化学社製)、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010(チバスペシャリティケミカルズ社製)を併せて11g加え攪拌混合した。
樹脂層(A)として厚み50μmのポリイミドフィルムを用意した。この上に、前記樹脂層(B)用に調整した溶液を流し、ドクターブレードを用いて塗布厚みを調整した後、熱板上に乗せ昇温し、最終140℃に達する時点まで乾燥した。全厚みが97μmとなったので、樹脂層(B)は47μmあると計算される。
【0017】
できあがった樹脂積層体を以下の試験に供した。
(燃焼性試験)UL94「機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験」に記載される20mm垂直燃焼試験で判定した。V−0が難燃性であり、V−1が弱難燃性、V−2が微難燃性となる。表に記載した×は、どれにも該当しない。
(熱老化性試験)JIS K 7212「熱可塑性プラスチックの熱老化性試験」に記載される方法で劣化させ、老化の判定を5cm長×0.5cm幅の試料を肉眼で観察し、局部的な粉化、ひび、割れ、変形等があるものは×、特に変化していないものは○とした。
(電磁波吸収測定)樹脂積層体サンプルを内径3mm×外形7mmのリング状に打ち抜き、ネットワークアナライザHP8720B(アジレントテクノロジー社製)を用い、同軸導波管法により周波数2GHzでsパラメータを採取。sパラメータから計算により得られる透磁率の複素成分μ”を得た。μ”は大きいほど電磁波吸収性が良く、従来材は6程度である。
以上の結果を、樹脂層(A)、(B)の配合内容を含め表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
(実施例2)実施例1と同様に表1に示す配合内容で樹脂積層体を作成した。実施例2では、樹脂層(B)に難燃剤を加え、樹脂層(B)にも難燃性を付加した。その内容は、デカブロモジフェニルエーテル60g、三酸化アンチモン60gである。また安定剤、滑剤、酸化防止剤は実施例1と同じ重量部数11gで添加した。
樹脂層(A)には実施例1で用いたポリイミドフィルム(50μm厚み)をここでも使用した。塗布及び乾燥工程も実施例1で行った方法をそのまま用いた。樹脂層(B)の厚みは53μmであった。できた樹脂積層体を燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0020】
(実施例3)樹脂層(A)を樹脂溶液として調整した。配合割合は表1に示す。塩素化ポリエチレン100gをトルエンに溶解した。トルエンは塩素化ポリエチレン1に対し、5.11の重量比率である。これにデカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え混合した。
できた溶液をフィルム状にするため、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、前記溶液を流し、ドクターブレードで厚み調整した後、昇温プログラム付き熱風恒温槽内で140℃迄昇温し、乾燥した。樹脂層(A)の厚みは20μmであった。
【0021】
次に樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン100g粉末をキシレンとトルエンの混合溶媒に溶解した。溶剤の混合比は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン2とした。これに電磁波吸収材としてパーマロイ粉末を770g及び実施例1で使用した安定剤、滑剤、酸化防止剤を合計11g加え混合した。
この溶液を、先に作製した樹脂層(A)の上に流し、ドクターブレードでならした後、昇温プログラム付き熱風恒温槽内で140℃迄昇温し、乾燥した。合計厚み68μmの樹脂積層体を得た。従って樹脂層(B)の厚みは48μmと計算される。これも同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0022】
(実施例4)樹脂層(C)用に、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー(表中では塩ビ・酢ビコポリマーと略)の樹脂粉末を100g用意し、これをシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶媒で溶解した。前記樹脂粉末1に対し、シクロヘキサノン2、メチルエチルケトン1の比率である。
この樹脂溶液を、実施例1で用いたポリイミドフィルムの上に流し、厚み調整してから熱板上で140℃に達するまで昇温し、乾燥した。この結果、樹脂積層体の厚みは69μmあった。従って樹脂層(C)の厚みは、ポリイミドフィルムの50μmを引いた19μmである。
樹脂層(B)用に、前記塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーの樹脂粉末を100g用意し、これをシクロヘキサノンとメチルエチルケトンの混合溶媒で溶解した。前記樹脂粉末1に対し、シクロヘキサノン2、メチルエチルケトン1の比率である。
この樹脂溶液に、パーマロイ粉末770g、及び実施例1で使用した安定剤、滑剤、酸化防止剤を合計11g加え混合した。できた樹脂溶液を前記フィルムの樹脂層(C)の上に流し、厚み調整してから熱板上で140℃に達するまで昇温し、乾燥した。得られた樹脂積層体は全体で117μmの厚みになり、樹脂層(B)は48μmと計算された。
これも前記実施例と同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0023】
(実施例5)樹脂層(C)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gを取り、塩素化ポリエチレン100gをトルエンに溶解した。トルエンは塩素化ポリエチレン1に対し、5.11の重量比率である。これにデカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え混合した。この配合を表1に示すが、実施例3で用いた樹脂層(A)の配合と同じ内容である。
できた溶液を、実施例1で用いたポリイミドフィルム上に流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。樹脂積層体の厚みが70μmであったので、樹脂層(C)は20μmである。
この樹脂層(C)の上に、実施例2で用いた樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。樹脂積層体の合計厚みが120μmになったので、樹脂層(B)は50μmあると計算される。得られた積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0024】
(実施例6)実施例5で用いた樹脂積層体の中間体である、ポリイミドフィルムに樹脂層(C)を配置したものを利用した。この中間体に、実施例3で使用した樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。中間体の厚みが70μmであったので、これに樹脂層(B)の厚み48μmを加えて、樹脂積層体の厚みは合計118μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0025】
(実施例7)実施例6とほぼ同じ構成であるが、樹脂層(A)に25μm厚みのポリイミドフィルムを用いた。樹脂層(C)及び樹脂層(B)は、実施例6と全く同じ構成である。従って樹脂積層体の合計厚みは93μmと薄くなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0026】
(実施例8)実施例7と同じ構成であるが、樹脂層(A)に使用したフィルムの材質をポリフェニレンスルフィド(PPS)に変えた。フィルムの厚みは25μmであるので、樹脂積層体の合計厚みは93μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例9)実施例9は4層の樹脂積層体である。実施例8で形成した樹脂積層体の上に、さらに樹脂層(A)を配置した。加えた樹脂層(A)は、実施例3に用いた樹脂層(A)と同じ配合とした。従って樹脂積層体の構成は、樹脂層(A)のPPSフィルム25μm、樹脂層(C)20μm、樹脂層(B)48μm及び樹脂溶液から作製した樹脂層(A)20μmの4層である。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例10)樹脂積層体が、実施例9から樹脂層(C)を除去した構成である。まず樹脂層(A)として、厚み25μmのPPSフィルムを用意した。この上に実施例3で用いた樹脂層(B)の樹脂溶液を流し、厚み調整してから熱板上で乾燥した。その後、これも実施例3で用いた樹脂層(A)の樹脂溶液を流し、同様に厚み調整して、熱板上で乾燥した。樹脂層(B)を2種の樹脂層(A)で挟んだ構成の樹脂積層体を得た。合計厚みは93μmとなった。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0029】
(実施例11)実施例10と同様、樹脂層(B)を樹脂層(A)が挟んだ構造を有する樹脂積層体である。実施例3で作製した樹脂積層体の、樹脂層(B)側を上にして、その上に実施例3で用いた樹脂層(A)用の樹脂溶液を流した。厚み調整の後、熱板上で乾燥した。実施例3の樹脂積層体が63μmであったのに対し、さらに樹脂層(A)が配置され、合計83μmの樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体もまた、前記実施例と同様、燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例1)樹脂層(B)用に、塩素化ポリエチレン粉末100gをとり、キシレンとトルエンを混合した溶媒に溶解した。混合比率は、塩素化ポリエチレン1に対し、キシレン6、トルエン3である。これに厚さ約1μm、直径約20μmの偏平状のパーマロイ粉1060g、デカブロモジフェニルエーテル80g、三酸化アンチモン70g、安定剤として非鉛安定剤OW3152S、滑剤としてステアリン酸、酸化防止剤としてイルガノックス(登録商標)1010を併せて6g加え攪拌混合した。
フィルム状にするため、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、シリコーン系離形剤で処理したものに、前記溶液を流し、ドクターブレードで厚み調整した後、熱板上で乾燥した。その後樹脂層(B)をPETフィルムから剥がし、実施例と同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
【0031】
(比較例2)比較例1と同様の操作で表1に示す樹脂層(B)のフィルムを作製した。これも同様に燃焼性試験、熱老化性試験、電磁波吸収測定に供し、その結果を表1に示す。
以上の結果から以下のことが言える。
本発明になる実施例1乃至11は2〜4層からなる樹脂積層体であるが、どの実施例においても、熱老化後の可撓性もよく、難燃性試験もV−0レベルで合格する。また電磁波吸収性能も従来材のμ”=6に比べ大きな値を得ている。実施例1,2及び10では応力緩和用の樹脂層(C)はないが、熱老化後の外観もよく、難燃性試験もV−0レベルで合格する。電磁波吸収性能も十分である。特に樹脂積層体の両外側に樹脂層(A)を配置した、実施例9,10及び11においては、熱劣化後でも、電磁波吸収用フィラーが剥げ落ちることによる周囲の汚れが起こらず、特に好ましい結果となった。これに対し、比較例1および2は樹脂層(A)がないため、熱老化後の外観維持が不十分である。すなわち、単一樹脂に難燃剤と電磁波吸収用フィラーを加えるとその配合量に相当無理があり、熱老化後の外観を損なうことになる。また、比較例1と比較例2はわずかな配合の違いであるが、比較例2では難燃性試験に合格しない。
【0032】
【発明の効果】
本発明における樹脂積層体は、十分な耐熱老化性を有し、かつ難燃性であり、また電磁波吸収性を有するものであり、薄いフィルム状での供給も可能であるから、電磁波障害となる通信機器等に大いに利用できる。
Claims (16)
- 難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)と、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組み合わせからなる樹脂積層体。
- 樹脂層(A)と樹脂層(B)の間に応力緩和を目的とする樹脂層(C)を配置してなる請求項1に記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(B)を挟んでその両側に樹脂層(A)を配置してなる請求項1に記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(A)と樹脂層(B)の間の、片方もしくは両方に樹脂層(C)を配置してなる請求項3に記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(B)と前記樹脂層(C)に用いる樹脂の主成分が同じである、請求項2又は4に記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(A)に用いる樹脂の主成分が更に同じである請求項5に記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(A)がポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド及び難燃性を付与したポリエチレンテレフタレートから選ばれた1種以上である請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(A)の厚みが5〜50μmの範囲にあり、樹脂層(B)の厚みが20〜200μmの範囲にある請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 樹脂層(C)の厚みが5〜50μmの範囲にある請求項2、4,5、6、7及び8のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 難燃性が、UL94の燃焼性試験でV−0に合格するレベルであり、かつ耐熱老化性が、JIS K 7212の熱老化性試験後外観に異常がないレベルである請求項1乃至9のいずれかに記載の樹脂積層体。
- 難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱して乾燥することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
- 難燃性と耐熱老化性を有する50μm以下の樹脂層(A)上に、応力緩和を目的とする樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥後、その上に電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
- 離形性を有する樹脂フィルムシート上に、難燃性と耐熱老化性を有する樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥し、50μm以下の厚さとした後、その上に電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
- 離形性を有する樹脂フィルムシート上に、難燃性と耐熱老化性を有する樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥し、50μm以下の厚さとした後、その上に応力緩和を目的とする樹脂層(C)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥後、さらにその上に電磁波吸収性を有する樹脂層(B)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
- 作製された樹脂積層体の樹脂層(B)側の面に、さらに樹脂層(A)の組成を有する有機溶剤溶液を塗布し、加熱乾燥することを加えた請求項11乃至14のいずれかに記載の樹脂積層体の製造方法。
- 請求項11乃至14のいずれかに記載された樹脂積層体を用い、樹脂層(B)の側を向かい合わせにして重ね、加温加圧して接着することを特徴とする樹脂積層体の製造方法。
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