JP2004017323A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバ回路の熱破壊を防止し、且つ、効率的に印字することが可能な、サブタンク方式を用いたインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、プリント媒体に像を得るインクジェットプリンタ1において、インクを一時貯留するサブタンク15と、該サブタンク15内のインク残量を検出する機構と、前記サブタンク内にインクを補給する機構と、前記ヘッドを駆動するドライバの温度を測定する温度測定機構と、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する比較演算部とを有する。前記ドライバの温度が前記閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、該冷却動作時に前記サブタンク15への補給動作を同時期に行うことにより、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことを可能とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、プリント媒体に像を得るインクジェットプリンタ1において、インクを一時貯留するサブタンク15と、該サブタンク15内のインク残量を検出する機構と、前記サブタンク内にインクを補給する機構と、前記ヘッドを駆動するドライバの温度を測定する温度測定機構と、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する比較演算部とを有する。前記ドライバの温度が前記閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、該冷却動作時に前記サブタンク15への補給動作を同時期に行うことにより、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことを可能とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ、より詳細には、ドライバ回路の熱破壊を防止し、効率的に印字することのできるサブタンク方式を用いたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
図6は特開平8−244231号公報に記載の制御回路の一例を説明するための図で、この制御回路において、駆動回路51A〜51Dは、コントローラ50が出力した電気信号にしたがってアクチュエータ(図示せず)を作動させるが、このとき、ドライバ52A〜52Dに電力損失が生じ発熱する。ドライバ52A〜52Dの温度は温度センサ53A〜53Dによって検出され、信号線54、信号変換器55を経由してコントローラ50に供給され、該コントローラ50にて温度信号の異常が監視される。温度が高いほど温度信号の電圧は低くなるようになっており、温度信号の電圧がしきい値以下に低下したとコントローラ50が判断した場合には、コントローラ50は駆動回路51A〜51Dにアクチュエータの作動を遅く、あるいは、間欠、あるいは、中止するような電気信号を出力する。その指示にしたがって、駆動回路51A〜51Dがアクチュエータを作動させることにより、ドライバ52A〜52Dに生じる電力損失を低減あるいは無くすことができ、駆動回路51A〜51Dの熱破壊を防ぐことができる。
【0003】
一方、オンデマンド型のインクジェットプリンタは、装置の構造が簡便なこととカラー化が容易なことが特徴で、インク滴吐出にはさまざまな方式が提案されている。なかでも、インク滴の大きさを正確に制御できることから圧電素子の歪み効果を利用した圧電方式が優れているといえる。この圧電方式のヘッドは、一方をノズル、他方をインクタンクに連通するインク室を複数有し、インク室の壁面の少なくとも一部を圧電アクチュエータを用いて変形させ、インク室内のインクを加圧し、インク滴をノズルから吐出するものであり、さまざまな構造が提案されている。
【0004】
図7は、上述の圧電方式インクジェットヘッドの一例を示す要部概略構成を示す断面図で、図中、60は圧電アクチュエータ(積層圧電素子)、61はアクチュエータ60の圧電材料、62は該アクチュエータ60の電極、63は該アクチュエータ60を駆動するための電圧を前記電極62に印加する電極配線、64は振動版(ダイヤフラム)、65はインク室、66はインク、67はノズルプレート、68はノズルで、図示のように、インク室65の壁面(ダイヤフラム)64を変形する圧電アクチュエータ60に、圧電材料61と電極62を交互に積層した積層型の圧電アクチュエータ60を用い、圧電アクチュエータ60の厚み方向の変位でインク室65の壁面の一部を形成するダイヤフラム64を変形し、インク室65の容積を拡大・縮小することによってノズル68からインク滴を吐出させるものである。
このような構造を持つ圧電式インクジェットヘッドの駆動方法としては、いわゆる引き打ち動作を行うものと押し打ち動作を行う2種類の方法がある。
【0005】
図8を用いて引き打ち動作による圧電式インクジェットの圧電アクチュエータとインク室内の動作状態を簡単に説明する。図8(A)は初期状態を示す図であり、圧電アクチュエータ60はバイアス電圧が印加され充電状態を保持しており、厚み方向の変位に伸長し、インク室の容積を平衡状態より減少した状態としている。図8(B)は、ノズル68からインク滴を吐出するための準備である”引き”動作を示す図であり、初期状態において圧電アクチュエータ60に蓄積した電荷を放電して圧電アクチュエータ60を収縮させ、インク室65の容積を拡大することによって、インク66をインクタンク(図示せず)よりインク室65内に充填すると共に、ノズル68のメニスカスをインク室内に引き込む様子を示している。図8(C)は、ノズル68からインク滴69を吐出するための動作を示す図であり、圧電アクチュエータ60を急速に充電し再度伸長させることにより、インク室65の容積を急激に減少させノズル68からインク滴69を吐出する。
【0006】
上述のように、圧電アクチュエータを充電・放電する手段として、ドライバ回路が用いられている。このドライバ回路は、圧電アクチュエータの充電・放電時に流れる電流により発熱する。
次に、プリント媒体全面に高濃度の印字データを出力する時のドライバ回路の発熱について説明する。
【0007】
上記印字データが例えばベタ画像の場合、インク滴を全ノズルから吐出させる必要がある。言い換えれば、全圧電アクチュエータを変位させる必要がある。インク滴を数滴吐出する場合は、圧電アクチュエータの充電・放電により発生する電流は微量である為、発熱量も僅かであるので問題には至らない。しかし、インク滴を全ノズルから吐出させるベタ画像のような高濃度の印字データの場合は、圧電アクチュエータの充電・放電により発生する電流が大きくなり、それに伴って発熱量も増加する。高濃度の印字データが数枚の場合は、発熱量がドライバ回路の熱破壊に至ることはないが、高濃度の印字データを例えば数十枚と多量に連続出力すると発熱によりドライバ回路が熱破壊する可能性がある。
【0008】
前述の特開平8−244231号公報に記載の発明では、ドライバ回路の温度を監視し、温度異常とコントローラが判断した場合には、ドライバ回路にアクチュエータの作動を遅く、あるいは、間欠、あるいは、中止させることにより、ドライバに生じる電力損失が低減、あるいは、無くすことができ、ドライバ回路の熱破壊を防ぐようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、サブタンク方式を用いたインクジェットプリンタにおいて、前記特開平8−244231号公報に記載の発明を適用すると、温度監視によりドライバ回路を熱破壊から防ぐことは出来るが、サブタンクへの補給動作を考慮していないため、以下に説明するような問題がある。
【0010】
サブタンク方式のインクジェットプリンタは、サブタンクに一定量のインクしか貯留できないために、連続的にインク滴を吐出するには制限がある。サブタンク内にインクがなくなるとメインのインクカートリッジより補給動作を行わなければ成らない。この動作はドライバ回路の温度とは無関係であり、前記インクジェットプリンタに前述の特開平8−244231号公報に記載の発明を適用した場合、ドライバ回路の温度異常を検出し冷却動作をしたのち、復帰した直後にインク補給動作に移行することが起こり得る。前記冷却動作と前記補給動作が連続して起こっている間は印刷動作が行われない。このような場合、ユーザーが印刷要求をしてから出力されるまでに、通常時に比べて非常に時間が掛かってしまう。単位時間あたりの印刷枚数も減ってしまい非効率である。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、ドライバ回路の熱破壊を防止し、且つ、効率的に印字することが可能な、サブタンク方式を用いたインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、プリント媒体に像を得るインクジェットプリンタにおいて、インクを一時貯留するサブタンクと、該サブタンク内のインク残量を検出する機構と、前記サブタンク内にインクを補給する機構と、前記ヘッドを駆動するドライバの温度を測定する温度測定機構と、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する比較演算部とを有し、前記ドライバの温度が前記閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、該冷却動作時に前記サブタンクへの補給動作を同時期に行うことにより、前記冷却動作と通常補給動作が近い時期に行われるのを防ぎ、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことを可能としたものである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライバの温度が前記閾値以下の正常動作範囲内であり、且つ、前記サブタンク内にインクを補給する通常補給動作に要する通常補給時間に、前記ドライバの温度に応じて予め設定された補正時間を加算し、前記通常補給時間を制御することにより、補給に要する時間を通常時に比べて長くし、前記ドライバの冷却に要する時間を増大することが出来、前記ドライバの温度が閾値以上に成り難くすることが可能となり、前記ドライバの熱破壊を防止することを可能としたものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記インクジェットプリンタは前記ドライバを複数有し、該ドライバはキャリッジに収められており、該キャリッジ内には前記温度測定機構が前記ドライバの数より少なく設けられており、前記温度測定機構により測定された測定温度により、前記ドライバの温度測定に用いられる温度測定機構の数を減らし、コストダウンを図ることを可能としたものである。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記冷却動作と同時期に行う前記補給動作に要する前記補給時間は、前記冷却動作に応じて可変とすることにより、前記冷却動作終了後は前記補給動作を行わないようにし、前記冷却動作終了と同時に印字が再開でき、効率的に印字をすることを可能としたものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記冷却動作と同時期に行う補給動作は、前記サブタンク内のインク残量に応じて前記補給動作に要する前記補給時間を制御することにより、前記サブタンク内のインク残量が満タン付近であるような場合は、前記補給動作を行わないようにすることが出来、補給動作時に消費される電力量を必要最小限に抑えることで省エネとなり、ランニングコストを削減することが可能となるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るインクジェットプリンタ(以下単にプリンタと略す)の要部構成の斜視説明図、図2は側面説明図である。このプリンタは、本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するサブタンク等で構成される印字機構部2等を収納し、装置本体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット4(或いは給紙トレイでもよい。)を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を印字した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0018】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ13にはヘッド14に各色のインクを供給するための各サブタンク15を装着している。
【0019】
サブタンク15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインク残量を検知するセンサと、インクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。本実施例のサブタンク15の容量は、プリンタ高速化に伴うキャリッジ13の軽量化のため必要最小限の大きさになっている。従って、サブタンク15の中のインクが少なくなるとインクを補給しなければならない。
【0020】
記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型、或いはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型などを使用することができるが、本実施形態ではピエゾ型インクジェットヘッドを用いている。
【0021】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0022】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0023】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0024】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら印字信号に応じてヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0025】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良の回復、サブタンクにインクを供給するメインのインクタンク等で構成される回復装置37を配置している。回復装置37はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とインク補給手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0026】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0027】
サブタンク内にインクが無くなった場合等には、インクの補給はキャリッジ13が所定の位置に来たときに回復装置37により行われる。YMCKの4色別のインクタンクを備えた回復装置37は、YMCKの各色毎のサブタンクとチューブ等を介して直結されており、常に一定の水頭圧がかけられている。回復装置37にはインク供給ノズルとバルブが備え付けられており、インク供給の必要が生じたとき、バルブが開いてインク供給ノズルよりインクが流れ出るようになり、サブタンク15へのインクの供給が可能になる。
【0028】
本実施例のインクジェットプリンタには、ヘッドを駆動するドライバ回路が備えられている。前記ヘッドを駆動する時に流れる電流により前記ドライバは発熱する。
【0029】
図3は、本実施例でのドライバ回路の温度変化について説明するための図で、前記ドライバ回路周囲の雰囲気温度に対して、発熱時の温度が高くなるような場合は、ドライバ回路駆動時の発熱による温度上昇に要する時間をTim1とし、前記ドライバ回路を非駆動にした時の自然冷却による温度下降に要する時間をTim2としたとすると、前記時間の関係は、『Tim1>Tim2』となる。尚、前記関係はドライバ回路周囲の雰囲気温度が一様に一定であり、同じ温度変化範囲Tempの温度上昇、及び、温度下降についてである。
本実施例では、前記ドライバの温度を測定する方法として熱電対を用いているが、センサ等を用いてもよい。
【0030】
図4(A)に示すキャリッジ13の斜視図、図4(B)に示すキャリッジ13の上面図を用いて熱電対の配備の様子を示す。キャリッジ13内にはドライバ(図示せず)を備えたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)各色のサブタンクが備えられており、これらサブタンクを囲むように熱電対40〜43が配備され、これら熱電対により前記ドライバの温度が測定できるようになっている。尚、本実施例ではドライバ8個に対して前記熱電対は4個配備するようにしているが、前記熱電対は個々の前記ドライバに配備するようにしてもよい。
【0031】
本実施例では、前記熱電対40〜43によって測定された前記ドライバの温度から、補正式を用いて通常補給動作を制御する制御信号を得るようにしている。前記補正式の代わりに予め設定されたテーブル等を用い、このテーブルにより前記ドライバ温度を補正して制御信号を得るようにしてもよい。なお、本実施例では冷却時間を稼ぐ為に補正をかけているが、補正をかけないようにしてもよい。
【0032】
図5は、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する処理部(図5(A))と本実施例のフロー(図5(B))を示す図で、ここで、T1〜T4は熱電対40〜43によって測定されたドライバ温度、Limは閾値46より出力される閾値信号を示している。
【0033】
熱電対40〜43によって測定されたドライバの温度T1〜T4がCPU45に送られると、CPU45は予め設定された閾値46に記憶されているLimとT1〜T4を比較演算する。この演算結果が『T1〜T4≧Lim』となると、CPU45は即時に冷却動作S2に移行する。冷却動作に移行すると、先ずキャリッジは回復装置37がある所謂ホームポジションに移動し、次いで、サブタンク15にインクを補給する補給動作S3に移行する。前記補給動作は、サブタンク15内のインク残量が例えば満タンであるような消費量の少ない場合は前記補給動作は行わないようにしたり、前記補給動作は前記冷却動作が終了するとサブタンク15内のインクが満タンになっていなくても前記補給動作を止めるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に対応する作用効果:
ドライバの温度が閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、前記冷却動作時にサブタンクへの補給動作を同時期に行うことにより、前記冷却動作と通常補給動作が近い時期に行われるのを防ぐことが出来、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことが可能となる。
【0035】
請求項2に対応する作用効果:
ドライバの冷却に要する時間を増大することが出来、前記ドライバの温度が閾値以上に成り難くすることが可能となり、前記ドライバの温度が上昇し難くなり、前記ドライバの熱破壊を防止することが可能となる。
【0036】
請求項3に対応する作用効果:
ドライバの温度測定に用いられる温度測定機構の数を減らすことが出来、コストダウンを図ることが可能となる。
【0037】
請求項4に対応する作用効果:
冷却動作終了後は補給動作を行わないようにすることが出来、前記冷却動作終了と同時に印字が再開でき、効率的に印字をすることが可能となる。
【0038】
請求項5に対応する作用効果:
補給動作時に消費される電力量を必要最小限に抑えることで省エネとなり、ランニングコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの要部構成の斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェットプリンタの側面図である。
【図3】本実施例でのドライバ回路の温度変化の例を示す図である。
【図4】本実施例での熱電対の配備箇所の例を示す図である。
【図5】ドライバ温度を閾値と比較演算する処理部とフローを示す図である。
【図6】特開平8−244231号公報に記載のアクチュエータ駆動回路の例を説明するための図である。
【図7】圧電式インクジェットヘッドの要部断面図である。
【図8】引き打ち駆動による圧電アクチュエータとインク室内の動作状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11…主ガイドロッド、12…従ガイドロッド、13…キャリッジ、14…ヘッド、15…サブタンク、17…主走査モータ、18…駆動プーリ、19…従動プーリ、20…タイミングベルト、21…給紙ローラ、22…フリクションパッド、23…ガイド部材、24…搬送ローラ、25…搬送コロ、26…先端コロ、27…副走査モータ、29…印写受け部材、31…搬送コロ、32…拍車、33…排紙ローラ、34…拍車、35…ガイド部材、36…ガイド部材、37…回復装置、40…熱電対1、41…熱電対2、42…熱電対3、43…熱電対4、45…CPU、46…閾値記憶回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ、より詳細には、ドライバ回路の熱破壊を防止し、効率的に印字することのできるサブタンク方式を用いたインクジェットプリンタに関する。
【0002】
図6は特開平8−244231号公報に記載の制御回路の一例を説明するための図で、この制御回路において、駆動回路51A〜51Dは、コントローラ50が出力した電気信号にしたがってアクチュエータ(図示せず)を作動させるが、このとき、ドライバ52A〜52Dに電力損失が生じ発熱する。ドライバ52A〜52Dの温度は温度センサ53A〜53Dによって検出され、信号線54、信号変換器55を経由してコントローラ50に供給され、該コントローラ50にて温度信号の異常が監視される。温度が高いほど温度信号の電圧は低くなるようになっており、温度信号の電圧がしきい値以下に低下したとコントローラ50が判断した場合には、コントローラ50は駆動回路51A〜51Dにアクチュエータの作動を遅く、あるいは、間欠、あるいは、中止するような電気信号を出力する。その指示にしたがって、駆動回路51A〜51Dがアクチュエータを作動させることにより、ドライバ52A〜52Dに生じる電力損失を低減あるいは無くすことができ、駆動回路51A〜51Dの熱破壊を防ぐことができる。
【0003】
一方、オンデマンド型のインクジェットプリンタは、装置の構造が簡便なこととカラー化が容易なことが特徴で、インク滴吐出にはさまざまな方式が提案されている。なかでも、インク滴の大きさを正確に制御できることから圧電素子の歪み効果を利用した圧電方式が優れているといえる。この圧電方式のヘッドは、一方をノズル、他方をインクタンクに連通するインク室を複数有し、インク室の壁面の少なくとも一部を圧電アクチュエータを用いて変形させ、インク室内のインクを加圧し、インク滴をノズルから吐出するものであり、さまざまな構造が提案されている。
【0004】
図7は、上述の圧電方式インクジェットヘッドの一例を示す要部概略構成を示す断面図で、図中、60は圧電アクチュエータ(積層圧電素子)、61はアクチュエータ60の圧電材料、62は該アクチュエータ60の電極、63は該アクチュエータ60を駆動するための電圧を前記電極62に印加する電極配線、64は振動版(ダイヤフラム)、65はインク室、66はインク、67はノズルプレート、68はノズルで、図示のように、インク室65の壁面(ダイヤフラム)64を変形する圧電アクチュエータ60に、圧電材料61と電極62を交互に積層した積層型の圧電アクチュエータ60を用い、圧電アクチュエータ60の厚み方向の変位でインク室65の壁面の一部を形成するダイヤフラム64を変形し、インク室65の容積を拡大・縮小することによってノズル68からインク滴を吐出させるものである。
このような構造を持つ圧電式インクジェットヘッドの駆動方法としては、いわゆる引き打ち動作を行うものと押し打ち動作を行う2種類の方法がある。
【0005】
図8を用いて引き打ち動作による圧電式インクジェットの圧電アクチュエータとインク室内の動作状態を簡単に説明する。図8(A)は初期状態を示す図であり、圧電アクチュエータ60はバイアス電圧が印加され充電状態を保持しており、厚み方向の変位に伸長し、インク室の容積を平衡状態より減少した状態としている。図8(B)は、ノズル68からインク滴を吐出するための準備である”引き”動作を示す図であり、初期状態において圧電アクチュエータ60に蓄積した電荷を放電して圧電アクチュエータ60を収縮させ、インク室65の容積を拡大することによって、インク66をインクタンク(図示せず)よりインク室65内に充填すると共に、ノズル68のメニスカスをインク室内に引き込む様子を示している。図8(C)は、ノズル68からインク滴69を吐出するための動作を示す図であり、圧電アクチュエータ60を急速に充電し再度伸長させることにより、インク室65の容積を急激に減少させノズル68からインク滴69を吐出する。
【0006】
上述のように、圧電アクチュエータを充電・放電する手段として、ドライバ回路が用いられている。このドライバ回路は、圧電アクチュエータの充電・放電時に流れる電流により発熱する。
次に、プリント媒体全面に高濃度の印字データを出力する時のドライバ回路の発熱について説明する。
【0007】
上記印字データが例えばベタ画像の場合、インク滴を全ノズルから吐出させる必要がある。言い換えれば、全圧電アクチュエータを変位させる必要がある。インク滴を数滴吐出する場合は、圧電アクチュエータの充電・放電により発生する電流は微量である為、発熱量も僅かであるので問題には至らない。しかし、インク滴を全ノズルから吐出させるベタ画像のような高濃度の印字データの場合は、圧電アクチュエータの充電・放電により発生する電流が大きくなり、それに伴って発熱量も増加する。高濃度の印字データが数枚の場合は、発熱量がドライバ回路の熱破壊に至ることはないが、高濃度の印字データを例えば数十枚と多量に連続出力すると発熱によりドライバ回路が熱破壊する可能性がある。
【0008】
前述の特開平8−244231号公報に記載の発明では、ドライバ回路の温度を監視し、温度異常とコントローラが判断した場合には、ドライバ回路にアクチュエータの作動を遅く、あるいは、間欠、あるいは、中止させることにより、ドライバに生じる電力損失が低減、あるいは、無くすことができ、ドライバ回路の熱破壊を防ぐようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、サブタンク方式を用いたインクジェットプリンタにおいて、前記特開平8−244231号公報に記載の発明を適用すると、温度監視によりドライバ回路を熱破壊から防ぐことは出来るが、サブタンクへの補給動作を考慮していないため、以下に説明するような問題がある。
【0010】
サブタンク方式のインクジェットプリンタは、サブタンクに一定量のインクしか貯留できないために、連続的にインク滴を吐出するには制限がある。サブタンク内にインクがなくなるとメインのインクカートリッジより補給動作を行わなければ成らない。この動作はドライバ回路の温度とは無関係であり、前記インクジェットプリンタに前述の特開平8−244231号公報に記載の発明を適用した場合、ドライバ回路の温度異常を検出し冷却動作をしたのち、復帰した直後にインク補給動作に移行することが起こり得る。前記冷却動作と前記補給動作が連続して起こっている間は印刷動作が行われない。このような場合、ユーザーが印刷要求をしてから出力されるまでに、通常時に比べて非常に時間が掛かってしまう。単位時間あたりの印刷枚数も減ってしまい非効率である。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、ドライバ回路の熱破壊を防止し、且つ、効率的に印字することが可能な、サブタンク方式を用いたインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、プリント媒体に像を得るインクジェットプリンタにおいて、インクを一時貯留するサブタンクと、該サブタンク内のインク残量を検出する機構と、前記サブタンク内にインクを補給する機構と、前記ヘッドを駆動するドライバの温度を測定する温度測定機構と、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する比較演算部とを有し、前記ドライバの温度が前記閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、該冷却動作時に前記サブタンクへの補給動作を同時期に行うことにより、前記冷却動作と通常補給動作が近い時期に行われるのを防ぎ、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことを可能としたものである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ドライバの温度が前記閾値以下の正常動作範囲内であり、且つ、前記サブタンク内にインクを補給する通常補給動作に要する通常補給時間に、前記ドライバの温度に応じて予め設定された補正時間を加算し、前記通常補給時間を制御することにより、補給に要する時間を通常時に比べて長くし、前記ドライバの冷却に要する時間を増大することが出来、前記ドライバの温度が閾値以上に成り難くすることが可能となり、前記ドライバの熱破壊を防止することを可能としたものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記インクジェットプリンタは前記ドライバを複数有し、該ドライバはキャリッジに収められており、該キャリッジ内には前記温度測定機構が前記ドライバの数より少なく設けられており、前記温度測定機構により測定された測定温度により、前記ドライバの温度測定に用いられる温度測定機構の数を減らし、コストダウンを図ることを可能としたものである。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記冷却動作と同時期に行う前記補給動作に要する前記補給時間は、前記冷却動作に応じて可変とすることにより、前記冷却動作終了後は前記補給動作を行わないようにし、前記冷却動作終了と同時に印字が再開でき、効率的に印字をすることを可能としたものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の発明において、前記冷却動作と同時期に行う補給動作は、前記サブタンク内のインク残量に応じて前記補給動作に要する前記補給時間を制御することにより、前記サブタンク内のインク残量が満タン付近であるような場合は、前記補給動作を行わないようにすることが出来、補給動作時に消費される電力量を必要最小限に抑えることで省エネとなり、ランニングコストを削減することが可能となるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るインクジェットプリンタ(以下単にプリンタと略す)の要部構成の斜視説明図、図2は側面説明図である。このプリンタは、本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するサブタンク等で構成される印字機構部2等を収納し、装置本体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット4(或いは給紙トレイでもよい。)を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を印字した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0018】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ13にはヘッド14に各色のインクを供給するための各サブタンク15を装着している。
【0019】
サブタンク15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインク残量を検知するセンサと、インクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。本実施例のサブタンク15の容量は、プリンタ高速化に伴うキャリッジ13の軽量化のため必要最小限の大きさになっている。従って、サブタンク15の中のインクが少なくなるとインクを補給しなければならない。
【0020】
記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型、或いはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型などを使用することができるが、本実施形態ではピエゾ型インクジェットヘッドを用いている。
【0021】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0022】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0023】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0024】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら印字信号に応じてヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0025】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良の回復、サブタンクにインクを供給するメインのインクタンク等で構成される回復装置37を配置している。回復装置37はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とインク補給手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0026】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0027】
サブタンク内にインクが無くなった場合等には、インクの補給はキャリッジ13が所定の位置に来たときに回復装置37により行われる。YMCKの4色別のインクタンクを備えた回復装置37は、YMCKの各色毎のサブタンクとチューブ等を介して直結されており、常に一定の水頭圧がかけられている。回復装置37にはインク供給ノズルとバルブが備え付けられており、インク供給の必要が生じたとき、バルブが開いてインク供給ノズルよりインクが流れ出るようになり、サブタンク15へのインクの供給が可能になる。
【0028】
本実施例のインクジェットプリンタには、ヘッドを駆動するドライバ回路が備えられている。前記ヘッドを駆動する時に流れる電流により前記ドライバは発熱する。
【0029】
図3は、本実施例でのドライバ回路の温度変化について説明するための図で、前記ドライバ回路周囲の雰囲気温度に対して、発熱時の温度が高くなるような場合は、ドライバ回路駆動時の発熱による温度上昇に要する時間をTim1とし、前記ドライバ回路を非駆動にした時の自然冷却による温度下降に要する時間をTim2としたとすると、前記時間の関係は、『Tim1>Tim2』となる。尚、前記関係はドライバ回路周囲の雰囲気温度が一様に一定であり、同じ温度変化範囲Tempの温度上昇、及び、温度下降についてである。
本実施例では、前記ドライバの温度を測定する方法として熱電対を用いているが、センサ等を用いてもよい。
【0030】
図4(A)に示すキャリッジ13の斜視図、図4(B)に示すキャリッジ13の上面図を用いて熱電対の配備の様子を示す。キャリッジ13内にはドライバ(図示せず)を備えたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)各色のサブタンクが備えられており、これらサブタンクを囲むように熱電対40〜43が配備され、これら熱電対により前記ドライバの温度が測定できるようになっている。尚、本実施例ではドライバ8個に対して前記熱電対は4個配備するようにしているが、前記熱電対は個々の前記ドライバに配備するようにしてもよい。
【0031】
本実施例では、前記熱電対40〜43によって測定された前記ドライバの温度から、補正式を用いて通常補給動作を制御する制御信号を得るようにしている。前記補正式の代わりに予め設定されたテーブル等を用い、このテーブルにより前記ドライバ温度を補正して制御信号を得るようにしてもよい。なお、本実施例では冷却時間を稼ぐ為に補正をかけているが、補正をかけないようにしてもよい。
【0032】
図5は、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する処理部(図5(A))と本実施例のフロー(図5(B))を示す図で、ここで、T1〜T4は熱電対40〜43によって測定されたドライバ温度、Limは閾値46より出力される閾値信号を示している。
【0033】
熱電対40〜43によって測定されたドライバの温度T1〜T4がCPU45に送られると、CPU45は予め設定された閾値46に記憶されているLimとT1〜T4を比較演算する。この演算結果が『T1〜T4≧Lim』となると、CPU45は即時に冷却動作S2に移行する。冷却動作に移行すると、先ずキャリッジは回復装置37がある所謂ホームポジションに移動し、次いで、サブタンク15にインクを補給する補給動作S3に移行する。前記補給動作は、サブタンク15内のインク残量が例えば満タンであるような消費量の少ない場合は前記補給動作は行わないようにしたり、前記補給動作は前記冷却動作が終了するとサブタンク15内のインクが満タンになっていなくても前記補給動作を止めるようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1に対応する作用効果:
ドライバの温度が閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、前記冷却動作時にサブタンクへの補給動作を同時期に行うことにより、前記冷却動作と通常補給動作が近い時期に行われるのを防ぐことが出来、前記ドライバの熱破壊を防止し、且つ、補給動作を効率的に行うことが可能となる。
【0035】
請求項2に対応する作用効果:
ドライバの冷却に要する時間を増大することが出来、前記ドライバの温度が閾値以上に成り難くすることが可能となり、前記ドライバの温度が上昇し難くなり、前記ドライバの熱破壊を防止することが可能となる。
【0036】
請求項3に対応する作用効果:
ドライバの温度測定に用いられる温度測定機構の数を減らすことが出来、コストダウンを図ることが可能となる。
【0037】
請求項4に対応する作用効果:
冷却動作終了後は補給動作を行わないようにすることが出来、前記冷却動作終了と同時に印字が再開でき、効率的に印字をすることが可能となる。
【0038】
請求項5に対応する作用効果:
補給動作時に消費される電力量を必要最小限に抑えることで省エネとなり、ランニングコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの要部構成の斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェットプリンタの側面図である。
【図3】本実施例でのドライバ回路の温度変化の例を示す図である。
【図4】本実施例での熱電対の配備箇所の例を示す図である。
【図5】ドライバ温度を閾値と比較演算する処理部とフローを示す図である。
【図6】特開平8−244231号公報に記載のアクチュエータ駆動回路の例を説明するための図である。
【図7】圧電式インクジェットヘッドの要部断面図である。
【図8】引き打ち駆動による圧電アクチュエータとインク室内の動作状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11…主ガイドロッド、12…従ガイドロッド、13…キャリッジ、14…ヘッド、15…サブタンク、17…主走査モータ、18…駆動プーリ、19…従動プーリ、20…タイミングベルト、21…給紙ローラ、22…フリクションパッド、23…ガイド部材、24…搬送ローラ、25…搬送コロ、26…先端コロ、27…副走査モータ、29…印写受け部材、31…搬送コロ、32…拍車、33…排紙ローラ、34…拍車、35…ガイド部材、36…ガイド部材、37…回復装置、40…熱電対1、41…熱電対2、42…熱電対3、43…熱電対4、45…CPU、46…閾値記憶回路。
Claims (5)
- ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、プリント媒体に像を得るインクジェットプリンタにおいて、インクを一時貯留するサブタンクと、該サブタンク内のインク残量を検出する機構と、前記サブタンク内にインクを補給する機構と、前記ヘッドを駆動するドライバの温度を測定する温度測定機構と、前記ドライバの温度を予め設定された閾値と比較演算する比較演算部とを有し、前記ドライバの温度が前記閾値以上になると同時に印字動作を一時停止することにより前記ドライバを冷却する冷却動作に入り、且つ、該冷却動作時に前記サブタンクへの補給動作を同時期に行うことを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1記載のインクジェットプリンタにおいて、前記ドライバの温度が前記閾値以下の正常動作範囲内であり、且つ、前記サブタンク内にインクを補給する通常補給動作に要する通常補給時間に、前記ドライバの温度に応じて予め設定された補正時間を加算することにより、前記通常補給時間を制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1または2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットプリンタは前記ドライバを複数有し、該ドライバはキャリッジに収められており、該キャリッジ内には前記温度測定機構が前記ドライバの数より少なく設けられており、前記温度測定機構により測定された測定温度により、前記ドライバの温度を測定することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記冷却動作と同時期に行う前記補給動作に要する前記補給時間は、前記冷却動作に応じて可変とすることを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記冷却動作と同時期に行う補給動作は、前記サブタンク内のインク残量に応じて前記補給動作に要する前記補給時間を制御することを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2002171898A JP2004017323A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | インクジェットプリンタ |
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Cited By (1)
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JP2010036463A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Seiko Epson Corp | 液体吐出装置及び液体吐出方法 |
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- 2002-06-12 JP JP2002171898A patent/JP2004017323A/ja active Pending
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