JP2004017018A - ふっ素樹脂膜の形成方法 - Google Patents

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Hiroo Kusano
草野 広男
Katsuaki Ouchi
大内 勝明
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Abstract

【課題】ふっ素樹脂本来の特質を損ねたり、適用上の制約を受けることなく、物品の表面に良質なふっ素樹脂膜を形成することのできるふっ素樹脂膜の形成方法を提供する。
【解決手段】放射線の照射によって分子間を架橋した改質ふっ素樹脂と膜形成対象の物品とを接触させ、摺動させる。摺動させる手段としては、改質ふっ素樹脂と物品のいずれか一方の側を固定し、これに、回転または往復等の運動を行う他方の側を接触させるか、あるいは双方にこれらの運動を行わせた状態で接触させる。摺動させるのに際して、加熱することは好ましく、このようにするときには、ふっ素樹脂の剪断が起こりやすくなるため、同樹脂の物品表面への移着効率が高まるようになる。この場合の加熱対象としては、ふっ素樹脂、物品、雰囲気、あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。なお、接触圧力および摺動速度は、高いほど好ましい。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ふっ素樹脂膜の形成方法に関し、特に、ふっ素樹脂本来の優れた特質を損ねたり、適用上の制約を受けることなく、物品の表面に良質なふっ素樹脂膜を形成することのできるふっ素樹脂膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ふっ素樹脂は、耐熱性、電気絶縁性、化学的安定性あるいは潤滑性等に優れた特質を有することから、これらの特徴を活かして、たとえば、絶縁部品や摺動材等の様々な分野のコーティング材として活用されている。
【0003】
従来、ふっ素樹脂をコーティング材として利用する場合には、ふっ素樹脂が接着性に劣るため、たとえば、膜形成対象の物品上に接着力確保のためのプライマを塗布したり、ふっ素樹脂中に接着性付与材を混入したり、あるいは物品の表面をエッチング等により処理することなどが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来の方法に基づくふっ素樹脂膜の形成方法によると、プライマあるいは接着性付与材を使用する方法の場合には、これらの使用が耐熱性あるいは化学的安定性等の特性に悪影響を与えるため、ふっ素樹脂本来の特質を損ねることが多く、また、表面処理を利用する方法にあっては、膜形成対象の物品に対する適用上の制約から、膜形成を行えないことがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、ふっ素樹脂本来の優れた特質を損ねたり、適用上の制約を受けることなく、物品の表面に良質なふっ素樹脂膜膜を形成することのできるふっ素樹脂膜の形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、物品の表面にふっ素樹脂の薄膜を形成するふっ素樹脂膜の形成方法において、
放射線の照射によって分子間を架橋した改質ふっ素樹脂と膜形成対象の物品とを接触させ、摺動させることを特徴とするふっ素樹脂膜の形成方法を提供するものである。
【0007】
上記の改質ふっ素樹脂のベース材としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという)あるいはこれらの混合物等が使用される。
【0008】
なお、上記のPTFEには、純然たるホモポリマだけでなく、たとえば、0.2モル%以下等の極く少量のコモノマを共重合させたポリマも含まれ、この場合のコモノマとしては、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオロアルキル)エチレン、あるいはクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。また、前述した各共重合体として、少量の第3成分を結合させた共重合体を使用することは可能である。
【0009】
改質ふっ素樹脂の使用形態としては、当該ふっ素樹脂を単独で使用する形態以外に、放射線照射なしの未架橋のふっ素樹脂と混合して使用する形態がある。後者の形態における改質ふっ素樹脂の混合比率としては、物品の表面にふっ素樹脂膜を形成する本発明の趣旨を確保する意味から、1重量%以上、望ましくは10重量%以上に設定することが好ましい。
【0010】
未架橋ふっ素樹脂の具体例としては、改質ふっ素樹脂の場合と同じような前掲したポリマ類を挙げることができる。なお、ふっ素樹脂の特質を損なわない限り、改質ふっ素樹脂単体、あるいはこれと未架橋のふっ素樹脂との混合物に2硫化モリブデン等の一般的な添加剤を加えることは可能である。
【0011】
改質ふっ素樹脂と膜形成対象の物品間を摺動させる手段としては、改質ふっ素樹脂と物品のいずれか一方の側を固定し、これに、回転または往復等の運動を行う他方の側を接触させるか、あるいは双方にこれらの運動を行わせた状態で接触させる等の方法が考えられる。
【0012】
摺動させるのに際して、加熱することは好ましく、このようにするときには、ふっ素樹脂の剪断が起こりやすくなるため、同樹脂の物品表面への移着効率が高まるようになる。また、この場合の加熱対象としては、ふっ素樹脂、物品、雰囲気、あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。なお、接触圧力および摺動速度は、高いほど好ましい。
【0013】
改質ふっ素樹脂を得るための放射線の照射は、ふっ素樹脂の結晶融点以上、100torr以下の酸素濃度、および1kGy〜10MGyの照射線量の条件下で行うことが好ましい。
【0014】
ふっ素樹脂を結晶融点以上に加熱することは、ふっ素樹脂の分子運動を高め、架橋反応を効率化させる効果を生む。但し、下限においては、この効果を充分なものとして膜形成を確実なものとするため、そして、上限においては、分子主鎖の切断と分解による解重合を抑制するため、結晶融点より10〜30℃高い温度に設定することが好ましく、さらに、この温度範囲の上限値30℃は、照射対象のふっ素樹脂の形状を保つ意味からも好ましい上限値となる。
【0015】
なお、ふっ素樹脂の結晶融点は、示差走査熱量計による吸熱ピークの測定によって求めることができ、たとえば、PTFEの場合で327℃、PFAの場合で310℃、FEPの場合で275℃にそれぞれ特定することができる。
【0016】
上記にいう100torr以下の酸素濃度は、酸素による架橋反応の阻害と分解作用、およびこれらに伴う膜形成の阻害性を抑制するうえで好ましい水準であり、一方、1kGy〜10MGyとする照射線量は、下限が充分な架橋度合を得るため、そして、上限が伸び特性等の物性を低下させないための望ましい境界値となる。
【0017】
なお、放射線としては、γ線、電子線、X線、中性子線あるいは高エネルギーイオン等の電離性放射線の使用が好ましく、一方、これらの照射を受けるふっ素樹脂の形態としては、粉末状、シート状あるいはブロック状等様々な形態が考えられる。一旦、照射されて改質されたものに再び照射処理を施したり、あるいは形成された膜に対して再度の照射処理を施すことは可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるふっ素樹脂膜の形成方法の実施の形態を説明する。
【実施例1】
20μmの平均粒径と2.16の比重を有するPTFEモールディングパウダ(旭硝子社製Gー163)を準備し、これに、0.01torr以下の大気中および350℃の加熱下で100KGyの電子線を照射した後、得られたおこし状の塊をジェットミルで粉砕することにより平均粒径が20μmの改質PTFE粉末を得た。
【0019】
次に、この粉末20重量%と前述のPTFEモールディングパウダ(未照射)80重量%をミキサー内で混合し、得られた混合物を圧縮成型用金型に充填した後、これに、500kgf/cmのプレス加圧と、360℃の電気炉内での45分の焼結を施すことにより、外径が40mmおよび長さが60mmの円柱ブロックを製作した。
【0020】
次いで、このブロックに機械加工を施すことによって外径が26mmのサンプルとした後、得られたサンプルをリングオンディスク試験機にかけ、さらに、摺動相手材(膜形成対象物品)として室温のSUS304基材を選択するとともに、回転摺動の周速、接触面圧、および摺動時間を順に2m/秒、0.4MPa、および10分間にそれぞれ設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0021】
【実施例2】
実施例1において、未照射のPTFEモールディングパウダに対する改質PTFEの混合割合を40重量%に設定し、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0022】
【実施例3】
実施例2において、摺動相手材のSUS基材を80℃に加熱し、他を同一条件に設定することによりSUS基材に対するPTFE膜の形成作業を実施した。
【0023】
【実施例4】
実施例1において、摺動相手材のSUS基材を80℃に加熱し、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0024】
【比較例1】
実施例1において、圧縮成型用金型への充填粉末を未照射PTFEモールディングパウダのみとし、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0025】
【比較例2】
比較例1において、摺動相手材のSUS基材を80℃に加熱し、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0026】
【比較例3】
実施例2において、PTFEモールディングパウダへの電子線の照射を常圧の大気中で行い、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0027】
【比較例4】
実施例2において、電子線の照射をPTFEモールディングパウダを加熱せずに室温のもとで行い、他を同一条件に設定することによりSUS基材へのPTFE膜の形成作業を実施した。
【0028】
【比較例5】
実施例4において、サンプルとSUS基材間の摺動を行わず、単に、両者間に0.4MPaの荷重をかけたまま24時間放置した。
【0029】
表1は、以上の各実施例および比較例によって形成されたPTFE膜の厚さの測定結果をまとめたものである。なお、測定は、膜表面の付着粉をニチバン社製セロテープの貼接によって除去し、清浄化した後、形成膜にカッターで切り込みを入れ、電子顕微鏡によって測定した(表1に「膜厚」として表示)。また、平均膜厚は、SUS基材の重量増加量と面積に基づき、計算によって求めた。
【0030】
【表1】
Figure 2004017018
【0031】
表1によれば、実施例1〜4の方法によって形成されたPTFE膜は、それぞれに相応の厚さを有している。しかも、これらの膜は、プライマ、接着性付与材あるいは表面処理等を全く必要とせずに形成されたものであり、従って、実施例の方法によれば、PTFE本来の特質が損なわれたり、あるいは適用上の制約を受けるようなことは一切生ずることがない。
【0032】
一方、これに対し、比較例1〜5が膜厚ゼロの結果を示しているのは、以下の理由による。即ち、比較例1および2が未照射のPTFEを使用し、比較例3が酸素量の多い大気中で電子線を照射し、比較例4がPTFEの加熱なしに電子線を照射しているためであり、さらには、比較例5が改質ふっ素樹脂とSUS基材間の摺動を行っていないためである。
【0033】
表1は、物品の表面にふっ素樹脂膜を形成するうえにおいて、本発明の有効性を明確に示しているものといえる。なお、表1において、比較例3と4の結果は、本発明における放射線照射条件の重要性を示しており、従って、本発明の実施に際しては、この点への配慮を充分に行うべきである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるふっ素樹脂膜の形成方法によれば、放射線の照射によって分子間を架橋した改質ふっ素樹脂と膜形成対象の物品とを互いに接触させ、摺動させることによってふっ素樹脂膜を形成するため、従来のようにふっ素樹脂本来の特質を損ねたり、あるいは適用上の制約を受けることなく、良質なふっ素樹脂膜を形成することができる。

Claims (4)

  1. 物品の表面にふっ素樹脂の薄膜を形成するふっ素樹脂膜の形成方法において、放射線の照射によって分子間を架橋した改質ふっ素樹脂と膜形成対象の物品とを接触させ、摺動させることを特徴とするふっ素樹脂膜の形成方法。
  2. 前記改質ふっ素樹脂および物品間の摺動のステップは、前記ふっ素樹脂として、前記改質ふっ素樹脂と放射線を照射しない未架橋のふっ素樹脂との混合物を使用して行われることを特徴とする請求項1項記載のふっ素樹脂膜の形成方法。
  3. 前記改質ふっ素樹脂および物品間の摺動のステップは、加熱した状態下で行われることを特徴とする請求項1項記載のふっ素樹脂膜の形成方法。
  4. 前記放射線の照射のステップは、ふっ素樹脂の結晶融点以上、100torr以下の酸素濃度、および1kGy〜10MGyの照射線量のもとで行われることを特徴とする請求項1項記載のふっ素樹脂膜の形成方法。
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