JP2004015972A - 電流変化幅継電器を使用した保護継電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】事故電流を検出して電力系統を保護する電流変化幅継電器を使用した保護継電装置の主検出用と事故検出用の入力変換器を共用することができる保護継電器装置を構成する。
【解決手段】電流信号および電圧信号が入力される短絡距離継電器要素と電流信号が入力される短絡過電流継電器要素とからなり、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素の双方が動作したときに動作信号を出力する主検出要素と、電流信号の電流値が所定の変化幅を越えたときに動作する電流変化幅継電器要素からなり、主検出要素の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素と、主検出要素と事故検出要素とが動作したときに制御対象の遮断器へ引き外し指令信号を出力する保護継電装置において、電流変化幅継電器要素は、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用した構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】電流信号および電圧信号が入力される短絡距離継電器要素と電流信号が入力される短絡過電流継電器要素とからなり、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素の双方が動作したときに動作信号を出力する主検出要素と、電流信号の電流値が所定の変化幅を越えたときに動作する電流変化幅継電器要素からなり、主検出要素の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素と、主検出要素と事故検出要素とが動作したときに制御対象の遮断器へ引き外し指令信号を出力する保護継電装置において、電流変化幅継電器要素は、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用した構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統の短絡時または地絡時の電流を検出して電力系統を保護する電流変化幅継電器を使用した保護継電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電力系統の短絡時に短絡電流を検出し、短絡部分を切り離して電力系統を保護する電流変化幅継電器を使用したディジタル形の保護継電装置の回路図を図3に示す。図において、10は主検出要素、20は主検出要素10の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素、1は主検出要素10用の送電回線の電流を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電流入力手段、2は事故検出要素20用の送電回線の電流を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電流入力手段、3は主検出要素10用の送電回線の電圧を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電圧入力手段、11は主検出要素10内の短絡距離継電器要素(44S)、12は主検出要素10内の短絡過電流要素(51S)、13は短絡距離継電器要素(44S)11の動作信号と短絡過電流器要素(51S)12の動作信号とが入力されたときに動作信号を出力するAND回路、21は事故検出要素20の電流信号の電流値が所定の変化幅を越えたときに動作信号を出力する電流変化幅継電器要素(51DF)、4は主検出要素10からの動作信号と事故検出要素20からの動作信号とが入力されると、制御対象の遮断器へ遮断器引き外し指令を出力するAND回路である。
【0003】
事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は(式1)に示す電流変化幅ΔIのときに動作する。
ΔI=|I−I(−t)|>k・・・・・・・・・・・(式1)
(式1)は現在電流Iとtサイクル前の電流I(−t)との差が整定値k以上あれば動作するものであり、I−I(−t)>0(増加の変化)の場合およびI−I(−t)<0(減少の変化)の場合のいずれでもΔI>kのときに動作する。
【0004】
つぎに動作について説明する。送電回線に短絡事故が発生すると、保護継電器にはその送電回線の電流が変流器(CT)で検出されて電流入力手段1、2に入力され、電圧が電圧変成器(PT)で検出されて電圧入力手段3に入力され、電流入力手段1からの電流信号は主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12の演算に使用される。電流入力手段2からの電流信号は事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21の演算に使用される。電圧入力手段3からの電圧信号は主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11の演算に使用される。主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11は電流信号と電圧信号から事故点までのインピーダンスを演算し、演算されたインピーダンス値が整定値以内であれば動作出力する。主検出要素10の短絡過電流継電器要素(51S)12は過電流値を演算し、その値が整定値以上であれば動作信号を出力する。
【0005】
短絡距離継電器要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12の二つの動作信号が揃うと主検出要素10の動作信号を出力する。事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は電流値の変化幅を演算し、その値が所定の変化幅のときに事故検出要素20の動作信号として出力する。そして、主検出要素10の動作信号と事故検出要素20の動作信号とが同時にAND回路4に入力されると、制御対象の遮断器に遮断器引き外し指令を出力する。これにより、遮断器が開極動作して事故電流を遮断し、系統事故が除去される。また、事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は、式1のアルゴリズムの原理上、電流変化を検出するため、増加、減少のいずれの変化でも動作するものである。
【0006】
このように入力変換手段を主検出要素10用と事故検出要素20用に個別に設けているのは、電流入力手段1を共用して電流変化幅継電器要素21にも電流信号を入力する構成とした場合に、例えば、共用した電流入力手段1または変流器に断線等が発生して電流が入力されない状態が発生したとすると、事故検出要素20の電流変化幅継電器要素21は短絡電流が流れていないにもかかわらず動作し、主検出要素10が電流以外の条件で異常を検出して出力し、装置として誤信号を出力することとなる。このように主検出要素10と事故検出要素20とがともに誤信号を出力する状態を回避するために、主検出要素10用の電流入力手段1と、事故検出要素20用の電流入力手段2が個別に設けられている。
【0007】
また、電流変化幅継電器を使用した保護継電装置としては、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架した送電回線の零相循環電流対策用の保護継電装置がある。この構成の回路図を図4に示す。図5は図4の構成における電流検出の説明図である。図において、31は第1の送電回線の変流器(1LCT)からの電流を入力して電流信号に変換する電流入力手段、32は第2の送電回線の変流器(2LCT)からの電流を入力して電流信号に変換する電流入力手段、33は送電回線の電圧変成器(PT)の電圧を入力して電圧信号に変換する電圧入力手段である。41は地絡回線選択継電器要素(50G)、42は不足電圧継電器要素(27)、43は地絡過電圧継電器要素(64)、44は地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)、45は電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)、46は非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)、50、54、59はOR回路、51、53、56は一入力インヒビットのAND回路、52、55、57、58はAND回路、61は事故発生の一定時間後に、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時動作タイマ(50GTL)、62は地絡回線選択継電器要素(50G)41の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT2)、63は地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT1)である。
【0008】
この構成の地絡故障時の故障除去について図5を用いて具体的に説明する。この構成は、第1の送電回線と第2の送電回線に配置された2つの零相変流器をたすき状に接続し(実際のたすき接続は保護継電器内で行う)、常時は2回線の各送電回線に流れる零相循環電流の差が検出されるように構成し、この回路の検出電流を地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44に入力し、地絡故障発生時の電流と、故障前の電流との差を求めると零相循環電流の影響を受けないで地絡故障電流が検出され、その方向によって故障回線を特定できるものである。地絡故障検出の動作は、図4の地絡回線選択継電器要素(50G)41、不足電圧継電器要素(27)42、地絡過電圧継電器要素(64)43、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の部分で行われる。
【0009】
図4の構成における電流について図5によって説明する。
第1の送電回線の零相電流I01、第2の送電回線の零相電流をI02、零相循環電流をI0hとすると、正常時には、|I01|=|I02|=|I0h|であり、零相変流器が検出する検出電流をI0dとすると、I0dは(式2)の関係となる。
I0d=I01−I02=2I0h・・・・・・・・(式2)
送電回線が地絡したときの第1の送電回線に流れる地絡電流をIf1、第2の送電回線に流れる地絡電流をIf2とすると、地絡故障時の零相変流器の検出電流をI0dfとすると、I0dfは(式3)の関係となる。
I0df=(If1−I0h)−(If2−I0h)=2I0h+(If1−If2) ・・・・・・・(式3)
地絡故障時の電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流ΔI0dfは(式4)の関係となる。
ΔI0d=I0df−I0d=2I0h+(If1−If2)−2I0h=(If1−If2)・・・・・・・・・・・・(式4)
地絡故障時の地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流は(式4)の通りとなり、零相電圧をV0とするとΔI0dが−V0と同一方向ならば、1L遮断、ΔI0dが−V0と逆方向ならば、2L遮断となる。このことから、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44は零相循環電流の影響を受けない。
【0010】
上記図4の構成において、一方の地絡回線が先行遮断された後は、1回線となった状態でさらに地絡事故が発生した場合には、2つの送電回線に流れていた零相循環電流がなくなっているので、零相電流の変化分で動作させると誤動作することがある。正常時の零相変流器で検出されるI0dは(式2)の通りであり、I0dfは、I0df=If(I0h=0のため)である。したがって、このときの電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流をΔI0dは(式5)の関係となる。
ΔI0d=I0df−I02=If−2I0h・・・・・(式5)
−2I0hがIfと逆位相であると、2I0h>IfでΔI0d<−整定値kならば第2の送電回線遮断の誤信号を出力し、−整定値k<ΔI0d<+整定値kならば誤不動作となる。
【0011】
このように電流変化幅継電器要素(50ΔG)は、2回線で送電中に地絡故障となり、故障した回線が先行遮断された後は、零相循環電流が流れなくなり、使えなくなる。図4の構成では、上記誤動作を回避するために、相手端子先行遮断後は、地絡回線選択継電器要素(50G)に切り換える。さらに送電回線間の和電流で動作する地絡方向継電器要素(Σ67GI)(Σ67GO)を設けている。地絡方向継電器要素(Σ67GI)45は電源側に設け、地絡方向継電器(Σ67GO)は非電源側に設け、その動作を遮断条件として上記誤動作を回避した構成としたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、電流変化幅継電器を使用した従来の短絡保護用の保護継電装置は図3のように構成されているので、装置内の単一の不良または電流入力手段、電圧入力手段のいずれかの不良では誤動作しないという信頼性を有していた。しかし、そのためには電流入力手段1、2を主検出用と事故検出用の2個を設ける必要があり、製作費が高く、実装するスペースも必要であり、スペース上の制約で実装できない場合も生じる問題点と、信頼性をある程度割り切って、電流入力変換器を共用化すると、従来の事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は変流器または電流入力手段1の断線等による減少変化の場合でも動作するため、装置が誤動作する可能性があるという問題点があった。
【0013】
また、図4の同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた従来の送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置は図4のように構成されており、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44が電流の増加および減少のいずれの変化でも動作するので、2回線の送電回線が地絡して1回線が先行遮断された後は、零相循環電流がない状態となり、そのままでは誤動作するので、それを防止するために、地絡方向継電器要素(Σ67GI)45、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)46、AND回路52、55、一入力インヒビットのAND回路53、56、OR回路54および地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時タイマ(50GTL)61等が必要であり、保護継電器内の回路が複雑となる問題点があった。
【0014】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、短絡電流を検出して電力系統を保護する電流変化幅継電器要素を使用した保護継電装置では、従来の主検出要素と事故検出要素それぞれに入力変換器を設ける場合と同等の信頼性を保持し、主検出要素と事故検出要素の入力変換器が共用できる構成としたものである。また、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置では、1回線遮断後にも一定時間後の50ΔGロック回路(50GTL)及び地絡方向継電器(Σ67GI,Σ67GO)を使用しないで使用できるシンプルな構成の送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電器装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る保護継電装置は、電流入力手段と、電圧入力手段と、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素とからなり、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素の双方が動作したときに動作信号を出力する主検出要素と、電流変化幅継電器要素とからなり、主検出要素の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素とを備え、主検出要素と事故検出要素とが動作したときに制御対象の遮断器へ引き外し指令信号を出力する構成の電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用した構成としたものである。
【0016】
この発明の請求項2に係る保護継電装置は、平行2回線の送電回線のそれぞれの電流が入力される2つの電流入力手段と、電圧入力手段と、地絡回線選択継電器要素と、不足電圧継電器要素および地絡事故検出用の地絡過電圧継電器要素と、第1の送電回線および第2の送電回線のそれぞれの電流入力手段からの電流信号および電圧入力手段からの電圧信号とが入力され、事故時の零相循環電流に地絡故障電流が重畳した状態を検出して地絡故障回線を選択する地絡回線選択電流変化幅継電器要素とからなる構成の、地絡回線選択電流変化幅継電器要素を、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1の保護継電装置の回路図を図1に示す。図において、送電回線電流の電流入力手段1、送電線電圧の電圧入力手段3、主検出要素10を構成する短絡距離継電要素(44S)11、短絡過電流要素(51S)12、主検出要素10の動作信号を出力するAND回路13、装置の動作信号を出力するAND回路4は従来の構成の図3と同一である。70は電流信号の増加変化するときの電流値が所定の変化幅を越えたときに動作信号を出力する電流変化幅継電器要素(51DF)71からなる事故検出要素である。この構成では従来の構成の図3に示す事故検出要素20用の電流入力手段2を設けないで、電流入力手段1を主検出要素10用と事故検出要素70用に兼用して電流入力手段1から事故検出要素70の電流変化幅継電器71に入力する構成としている。
【0018】
事故検出要素70内の電流変化幅継電器要素(51DF)71は、下記の(式6)に示すアルゴリズムで演算する。
ΔI=|I|−|I(−t)|>k・・・・・・・・(式6)
すなわち、現在電流Iの絶対値からtサイクル前の電流I(−t)の絶対値を引いた値が整定値k以上であれば動作する。
したがって、ΔI=|I|−|I(−t)|>0(増加の変化)であり、且つ、ΔI>kのときのみに動作するものである。
【0019】
この保護継電装置は、送電回線に短絡事故が発生すると、送電回線に設けられた変流器から電流が電流入力手段1に、電圧変成器から電圧が電圧入力手段3に入力され、それぞれにおいて装置が取り扱える電気量に変換される。電流入力手段1の電流信号は主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12と、事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71に入力される。電圧入力手段3の電圧信号は、主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11に入力される。主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11は、入力された電流信号と電圧信号から事故点までのインピーダンスを演算し、その値が整定値以内であれば動作出力する。主検出要素10の短絡過電流継電器要素(51S)12は、入力された電流信号により短絡電流値を演算し、その値が整定値以上であれば動作出力する。この二つの動作出力が揃うと主検出要素10の動作信号をAND回路13から出力する。
【0020】
事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71は、入力された電流信号の電流値の変化を演算し、増加変化していることと、その増加幅が整定値k以上であるときに動作出力し、これが事故検出要素70の動作出力となる。そして、主検出要素10と事故検出要素70の動作出力とが同時に成立すると、AND回路4から遮断器引き外し指令信号が出力される。これにより遮断器が動作し、故障電流が除去される。
【0021】
以上のように構成された保護継電装置では、事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71を電流が増加するときのみに動作する構成としたので、従来の構成のように、主検出要素10と事故検出要素20の電流入力手段1、2を個別に設けなくても、事故検出要素71の電流信号は主検出要素10の電流入力手段1より入力されて、事故検出要素70の機能を満足させることができるものであり、事故検出要素70のための電流入力手段が不要となり、装置のコストが安くなり、設置スペースの確保も不要となり装置の実装効率が高くなる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2の電流変化幅継電器を使用した保護継電装置は、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回路の零相循環電流電流対策用の保護継電装置である。その構成の回路図を図2に示す。図2は、従来の構成の図4に示した第1の送電回線用の電流入力手段31、第2の送電回線用の電流入力手段32、電圧入力手段33、地絡回線選択継電器要素(50G)41、不足電圧継電器要素(27)42、地絡過電圧継電器要素(64)43、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44、OR回路50、59、一入力インヒビットのAND回路51、AND回路57、58、地絡回線選択継電器要素(50G)41の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT2)62、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT1)63からなる構成あり、従来の構成の図4の点線で囲った部分を取り除いた構成である。
【0023】
この構成における地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44は、電流の増加の変化時のみ検出する(式7)のアルゴリズムで演算することで、零相変流器や電流入力手段の断線等の異常時に誤動作しないで、地絡事故時の零相循環電流I0の変化幅が整定値kを越えたときに動作するものである。
ΔI=|Io1−Io2|−|I01(−t)−I02(−t)|>k・・(式7)
Io1:事故時の第1の送電回線の零相電流
Io2:事故時の第2の送電回線の零相電流
I01(−t):tサイクル前第1の送電回線の零相電流
I02(−t):tサイクル前第2の送電回線の零相電流
【0024】
このように地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44を電流が増加変化するときのみに動作する電流変化幅継電器としたことにより、2回線送電中に地絡故障により1回線が遮断された後にも、電源側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)45、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)46、AND回路52、55、一入力インヒビットのAND回路53、56、OR回路54および地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時タイマ(50GTL)61等を設けることなく正常に動作する送電回線の地絡保護する保護継電器が構成できる。
【0025】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係る保護継電装置は、事故検出要素の電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用して、電流信号は主検出要素の電流入力手段より入力しても、事故検出要素の機能を満足させることができ、事故検出要素のための電流入力手段が不要となり、装置のコストが安くなり、設置スペースの確保も不要となり、装置への実装効率が高くなる。
【0026】
この発明の請求項2に係る保護継電装置は、地絡回線選択電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器としたものであり、電源側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)、およびそれに関連する部分を設けることなく、回路構成がシンプルな保護継電装置が構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の保護継電装置の回路図である。
【図2】実施の形態2の保護継電装置の回路図である。
【図3】従来の電流変化幅継電器を使用した送電回線の短絡保護用の保護継電装置の回路図である。
【図4】従来の同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置の回路図である。
【図5】図4の装置における電流検出の説明図である。
【符号の説明】
1 電流入力手段、3 電圧入力手段、4 AND回路、10 主検出要素、11 短絡距離継電器要素、12 短絡過電流継電器要素、13 AND回路、20 事故検出要素、21 電流変化幅継電器要素、31 電流入力手段、
32 電流入力手段、33 電圧入力手段、41 地絡回線選択継電器要素、
42 不足電圧継電器要素、43 地絡過電圧継電器要素、
44 地絡回線選択電流変化幅継電器要素。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統の短絡時または地絡時の電流を検出して電力系統を保護する電流変化幅継電器を使用した保護継電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電力系統の短絡時に短絡電流を検出し、短絡部分を切り離して電力系統を保護する電流変化幅継電器を使用したディジタル形の保護継電装置の回路図を図3に示す。図において、10は主検出要素、20は主検出要素10の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素、1は主検出要素10用の送電回線の電流を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電流入力手段、2は事故検出要素20用の送電回線の電流を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電流入力手段、3は主検出要素10用の送電回線の電圧を装置が取り扱える電気量に変換して入力する電圧入力手段、11は主検出要素10内の短絡距離継電器要素(44S)、12は主検出要素10内の短絡過電流要素(51S)、13は短絡距離継電器要素(44S)11の動作信号と短絡過電流器要素(51S)12の動作信号とが入力されたときに動作信号を出力するAND回路、21は事故検出要素20の電流信号の電流値が所定の変化幅を越えたときに動作信号を出力する電流変化幅継電器要素(51DF)、4は主検出要素10からの動作信号と事故検出要素20からの動作信号とが入力されると、制御対象の遮断器へ遮断器引き外し指令を出力するAND回路である。
【0003】
事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は(式1)に示す電流変化幅ΔIのときに動作する。
ΔI=|I−I(−t)|>k・・・・・・・・・・・(式1)
(式1)は現在電流Iとtサイクル前の電流I(−t)との差が整定値k以上あれば動作するものであり、I−I(−t)>0(増加の変化)の場合およびI−I(−t)<0(減少の変化)の場合のいずれでもΔI>kのときに動作する。
【0004】
つぎに動作について説明する。送電回線に短絡事故が発生すると、保護継電器にはその送電回線の電流が変流器(CT)で検出されて電流入力手段1、2に入力され、電圧が電圧変成器(PT)で検出されて電圧入力手段3に入力され、電流入力手段1からの電流信号は主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12の演算に使用される。電流入力手段2からの電流信号は事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21の演算に使用される。電圧入力手段3からの電圧信号は主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11の演算に使用される。主検出要素10の短絡距離継電器要素(44S)11は電流信号と電圧信号から事故点までのインピーダンスを演算し、演算されたインピーダンス値が整定値以内であれば動作出力する。主検出要素10の短絡過電流継電器要素(51S)12は過電流値を演算し、その値が整定値以上であれば動作信号を出力する。
【0005】
短絡距離継電器要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12の二つの動作信号が揃うと主検出要素10の動作信号を出力する。事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は電流値の変化幅を演算し、その値が所定の変化幅のときに事故検出要素20の動作信号として出力する。そして、主検出要素10の動作信号と事故検出要素20の動作信号とが同時にAND回路4に入力されると、制御対象の遮断器に遮断器引き外し指令を出力する。これにより、遮断器が開極動作して事故電流を遮断し、系統事故が除去される。また、事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は、式1のアルゴリズムの原理上、電流変化を検出するため、増加、減少のいずれの変化でも動作するものである。
【0006】
このように入力変換手段を主検出要素10用と事故検出要素20用に個別に設けているのは、電流入力手段1を共用して電流変化幅継電器要素21にも電流信号を入力する構成とした場合に、例えば、共用した電流入力手段1または変流器に断線等が発生して電流が入力されない状態が発生したとすると、事故検出要素20の電流変化幅継電器要素21は短絡電流が流れていないにもかかわらず動作し、主検出要素10が電流以外の条件で異常を検出して出力し、装置として誤信号を出力することとなる。このように主検出要素10と事故検出要素20とがともに誤信号を出力する状態を回避するために、主検出要素10用の電流入力手段1と、事故検出要素20用の電流入力手段2が個別に設けられている。
【0007】
また、電流変化幅継電器を使用した保護継電装置としては、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架した送電回線の零相循環電流対策用の保護継電装置がある。この構成の回路図を図4に示す。図5は図4の構成における電流検出の説明図である。図において、31は第1の送電回線の変流器(1LCT)からの電流を入力して電流信号に変換する電流入力手段、32は第2の送電回線の変流器(2LCT)からの電流を入力して電流信号に変換する電流入力手段、33は送電回線の電圧変成器(PT)の電圧を入力して電圧信号に変換する電圧入力手段である。41は地絡回線選択継電器要素(50G)、42は不足電圧継電器要素(27)、43は地絡過電圧継電器要素(64)、44は地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)、45は電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)、46は非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)、50、54、59はOR回路、51、53、56は一入力インヒビットのAND回路、52、55、57、58はAND回路、61は事故発生の一定時間後に、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時動作タイマ(50GTL)、62は地絡回線選択継電器要素(50G)41の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT2)、63は地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT1)である。
【0008】
この構成の地絡故障時の故障除去について図5を用いて具体的に説明する。この構成は、第1の送電回線と第2の送電回線に配置された2つの零相変流器をたすき状に接続し(実際のたすき接続は保護継電器内で行う)、常時は2回線の各送電回線に流れる零相循環電流の差が検出されるように構成し、この回路の検出電流を地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44に入力し、地絡故障発生時の電流と、故障前の電流との差を求めると零相循環電流の影響を受けないで地絡故障電流が検出され、その方向によって故障回線を特定できるものである。地絡故障検出の動作は、図4の地絡回線選択継電器要素(50G)41、不足電圧継電器要素(27)42、地絡過電圧継電器要素(64)43、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の部分で行われる。
【0009】
図4の構成における電流について図5によって説明する。
第1の送電回線の零相電流I01、第2の送電回線の零相電流をI02、零相循環電流をI0hとすると、正常時には、|I01|=|I02|=|I0h|であり、零相変流器が検出する検出電流をI0dとすると、I0dは(式2)の関係となる。
I0d=I01−I02=2I0h・・・・・・・・(式2)
送電回線が地絡したときの第1の送電回線に流れる地絡電流をIf1、第2の送電回線に流れる地絡電流をIf2とすると、地絡故障時の零相変流器の検出電流をI0dfとすると、I0dfは(式3)の関係となる。
I0df=(If1−I0h)−(If2−I0h)=2I0h+(If1−If2) ・・・・・・・(式3)
地絡故障時の電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流ΔI0dfは(式4)の関係となる。
ΔI0d=I0df−I0d=2I0h+(If1−If2)−2I0h=(If1−If2)・・・・・・・・・・・・(式4)
地絡故障時の地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流は(式4)の通りとなり、零相電圧をV0とするとΔI0dが−V0と同一方向ならば、1L遮断、ΔI0dが−V0と逆方向ならば、2L遮断となる。このことから、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44は零相循環電流の影響を受けない。
【0010】
上記図4の構成において、一方の地絡回線が先行遮断された後は、1回線となった状態でさらに地絡事故が発生した場合には、2つの送電回線に流れていた零相循環電流がなくなっているので、零相電流の変化分で動作させると誤動作することがある。正常時の零相変流器で検出されるI0dは(式2)の通りであり、I0dfは、I0df=If(I0h=0のため)である。したがって、このときの電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の検出電流をΔI0dは(式5)の関係となる。
ΔI0d=I0df−I02=If−2I0h・・・・・(式5)
−2I0hがIfと逆位相であると、2I0h>IfでΔI0d<−整定値kならば第2の送電回線遮断の誤信号を出力し、−整定値k<ΔI0d<+整定値kならば誤不動作となる。
【0011】
このように電流変化幅継電器要素(50ΔG)は、2回線で送電中に地絡故障となり、故障した回線が先行遮断された後は、零相循環電流が流れなくなり、使えなくなる。図4の構成では、上記誤動作を回避するために、相手端子先行遮断後は、地絡回線選択継電器要素(50G)に切り換える。さらに送電回線間の和電流で動作する地絡方向継電器要素(Σ67GI)(Σ67GO)を設けている。地絡方向継電器要素(Σ67GI)45は電源側に設け、地絡方向継電器(Σ67GO)は非電源側に設け、その動作を遮断条件として上記誤動作を回避した構成としたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の通り、電流変化幅継電器を使用した従来の短絡保護用の保護継電装置は図3のように構成されているので、装置内の単一の不良または電流入力手段、電圧入力手段のいずれかの不良では誤動作しないという信頼性を有していた。しかし、そのためには電流入力手段1、2を主検出用と事故検出用の2個を設ける必要があり、製作費が高く、実装するスペースも必要であり、スペース上の制約で実装できない場合も生じる問題点と、信頼性をある程度割り切って、電流入力変換器を共用化すると、従来の事故検出要素20の電流変化幅継電器要素(51DF)21は変流器または電流入力手段1の断線等による減少変化の場合でも動作するため、装置が誤動作する可能性があるという問題点があった。
【0013】
また、図4の同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた従来の送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置は図4のように構成されており、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44が電流の増加および減少のいずれの変化でも動作するので、2回線の送電回線が地絡して1回線が先行遮断された後は、零相循環電流がない状態となり、そのままでは誤動作するので、それを防止するために、地絡方向継電器要素(Σ67GI)45、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)46、AND回路52、55、一入力インヒビットのAND回路53、56、OR回路54および地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時タイマ(50GTL)61等が必要であり、保護継電器内の回路が複雑となる問題点があった。
【0014】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、短絡電流を検出して電力系統を保護する電流変化幅継電器要素を使用した保護継電装置では、従来の主検出要素と事故検出要素それぞれに入力変換器を設ける場合と同等の信頼性を保持し、主検出要素と事故検出要素の入力変換器が共用できる構成としたものである。また、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置では、1回線遮断後にも一定時間後の50ΔGロック回路(50GTL)及び地絡方向継電器(Σ67GI,Σ67GO)を使用しないで使用できるシンプルな構成の送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電器装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る保護継電装置は、電流入力手段と、電圧入力手段と、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素とからなり、短絡距離継電器要素と短絡過電流継電器要素の双方が動作したときに動作信号を出力する主検出要素と、電流変化幅継電器要素とからなり、主検出要素の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素とを備え、主検出要素と事故検出要素とが動作したときに制御対象の遮断器へ引き外し指令信号を出力する構成の電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用した構成としたものである。
【0016】
この発明の請求項2に係る保護継電装置は、平行2回線の送電回線のそれぞれの電流が入力される2つの電流入力手段と、電圧入力手段と、地絡回線選択継電器要素と、不足電圧継電器要素および地絡事故検出用の地絡過電圧継電器要素と、第1の送電回線および第2の送電回線のそれぞれの電流入力手段からの電流信号および電圧入力手段からの電圧信号とが入力され、事故時の零相循環電流に地絡故障電流が重畳した状態を検出して地絡故障回線を選択する地絡回線選択電流変化幅継電器要素とからなる構成の、地絡回線選択電流変化幅継電器要素を、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1の保護継電装置の回路図を図1に示す。図において、送電回線電流の電流入力手段1、送電線電圧の電圧入力手段3、主検出要素10を構成する短絡距離継電要素(44S)11、短絡過電流要素(51S)12、主検出要素10の動作信号を出力するAND回路13、装置の動作信号を出力するAND回路4は従来の構成の図3と同一である。70は電流信号の増加変化するときの電流値が所定の変化幅を越えたときに動作信号を出力する電流変化幅継電器要素(51DF)71からなる事故検出要素である。この構成では従来の構成の図3に示す事故検出要素20用の電流入力手段2を設けないで、電流入力手段1を主検出要素10用と事故検出要素70用に兼用して電流入力手段1から事故検出要素70の電流変化幅継電器71に入力する構成としている。
【0018】
事故検出要素70内の電流変化幅継電器要素(51DF)71は、下記の(式6)に示すアルゴリズムで演算する。
ΔI=|I|−|I(−t)|>k・・・・・・・・(式6)
すなわち、現在電流Iの絶対値からtサイクル前の電流I(−t)の絶対値を引いた値が整定値k以上であれば動作する。
したがって、ΔI=|I|−|I(−t)|>0(増加の変化)であり、且つ、ΔI>kのときのみに動作するものである。
【0019】
この保護継電装置は、送電回線に短絡事故が発生すると、送電回線に設けられた変流器から電流が電流入力手段1に、電圧変成器から電圧が電圧入力手段3に入力され、それぞれにおいて装置が取り扱える電気量に変換される。電流入力手段1の電流信号は主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11と短絡過電流継電器要素(51S)12と、事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71に入力される。電圧入力手段3の電圧信号は、主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11に入力される。主検出要素10の短絡距離継電要素(44S)11は、入力された電流信号と電圧信号から事故点までのインピーダンスを演算し、その値が整定値以内であれば動作出力する。主検出要素10の短絡過電流継電器要素(51S)12は、入力された電流信号により短絡電流値を演算し、その値が整定値以上であれば動作出力する。この二つの動作出力が揃うと主検出要素10の動作信号をAND回路13から出力する。
【0020】
事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71は、入力された電流信号の電流値の変化を演算し、増加変化していることと、その増加幅が整定値k以上であるときに動作出力し、これが事故検出要素70の動作出力となる。そして、主検出要素10と事故検出要素70の動作出力とが同時に成立すると、AND回路4から遮断器引き外し指令信号が出力される。これにより遮断器が動作し、故障電流が除去される。
【0021】
以上のように構成された保護継電装置では、事故検出要素70の電流変化幅継電器要素(51DF)71を電流が増加するときのみに動作する構成としたので、従来の構成のように、主検出要素10と事故検出要素20の電流入力手段1、2を個別に設けなくても、事故検出要素71の電流信号は主検出要素10の電流入力手段1より入力されて、事故検出要素70の機能を満足させることができるものであり、事故検出要素70のための電流入力手段が不要となり、装置のコストが安くなり、設置スペースの確保も不要となり装置の実装効率が高くなる。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2の電流変化幅継電器を使用した保護継電装置は、同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回路の零相循環電流電流対策用の保護継電装置である。その構成の回路図を図2に示す。図2は、従来の構成の図4に示した第1の送電回線用の電流入力手段31、第2の送電回線用の電流入力手段32、電圧入力手段33、地絡回線選択継電器要素(50G)41、不足電圧継電器要素(27)42、地絡過電圧継電器要素(64)43、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44、OR回路50、59、一入力インヒビットのAND回路51、AND回路57、58、地絡回線選択継電器要素(50G)41の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT2)62、地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力を遅延させる限時動作タイマ(50GT1)63からなる構成あり、従来の構成の図4の点線で囲った部分を取り除いた構成である。
【0023】
この構成における地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44は、電流の増加の変化時のみ検出する(式7)のアルゴリズムで演算することで、零相変流器や電流入力手段の断線等の異常時に誤動作しないで、地絡事故時の零相循環電流I0の変化幅が整定値kを越えたときに動作するものである。
ΔI=|Io1−Io2|−|I01(−t)−I02(−t)|>k・・(式7)
Io1:事故時の第1の送電回線の零相電流
Io2:事故時の第2の送電回線の零相電流
I01(−t):tサイクル前第1の送電回線の零相電流
I02(−t):tサイクル前第2の送電回線の零相電流
【0024】
このように地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44を電流が増加変化するときのみに動作する電流変化幅継電器としたことにより、2回線送電中に地絡故障により1回線が遮断された後にも、電源側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)45、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)46、AND回路52、55、一入力インヒビットのAND回路53、56、OR回路54および地絡回線選択電流変化幅継電器要素(50ΔG)44の動作出力をロックする限時タイマ(50GTL)61等を設けることなく正常に動作する送電回線の地絡保護する保護継電器が構成できる。
【0025】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係る保護継電装置は、事故検出要素の電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用して、電流信号は主検出要素の電流入力手段より入力しても、事故検出要素の機能を満足させることができ、事故検出要素のための電流入力手段が不要となり、装置のコストが安くなり、設置スペースの確保も不要となり、装置への実装効率が高くなる。
【0026】
この発明の請求項2に係る保護継電装置は、地絡回線選択電流変化幅継電器要素を電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器としたものであり、電源側の地絡方向継電器要素(Σ67GI)、非電源端側の地絡方向継電器要素(Σ67GO)、およびそれに関連する部分を設けることなく、回路構成がシンプルな保護継電装置が構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の保護継電装置の回路図である。
【図2】実施の形態2の保護継電装置の回路図である。
【図3】従来の電流変化幅継電器を使用した送電回線の短絡保護用の保護継電装置の回路図である。
【図4】従来の同一鉄塔に平行2回線の送電回線を併架させた送電回線の零相循環電流電流対策用の保護継電装置の回路図である。
【図5】図4の装置における電流検出の説明図である。
【符号の説明】
1 電流入力手段、3 電圧入力手段、4 AND回路、10 主検出要素、11 短絡距離継電器要素、12 短絡過電流継電器要素、13 AND回路、20 事故検出要素、21 電流変化幅継電器要素、31 電流入力手段、
32 電流入力手段、33 電圧入力手段、41 地絡回線選択継電器要素、
42 不足電圧継電器要素、43 地絡過電圧継電器要素、
44 地絡回線選択電流変化幅継電器要素。
Claims (2)
- 電流入力手段と、電圧入力手段と、上記電流入力手段から電流信号および上記電圧入力手段から電圧信号が入力される短絡距離継電器要素と電流入力手段から電流信号が入力される短絡過電流継電器要素とからなり、上記短絡距離継電器要素と上記短絡過電流継電器要素の双方が動作したときに動作信号を出力する主検出要素と、電流入力手段からの電流信号の電流値が所定の変化幅を越えたときに動作する電流変化幅継電器要素からなり、上記主検出要素の誤動作時に装置からの誤出力を防止する事故検出要素と、上記主検出要素と上記事故検出要素とが動作したときに制御対象の遮断器へ引き外し指令信号を出力する保護継電装置において、上記電流変化幅継電器要素は、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用したことを特徴とする保護継電装置。
- 平行2回線の送電回線の第1の送電回線の電流入力手段と、第2の送電回線の電流入力手段と、電圧入力手段と、上記第1の送電回線の電流入力手段からの電流信号と上記第2の送電回線の電流入力手段からの電流信号と上記電圧入力手段からの電圧信号とが入力される地絡回線選択継電器要素と、上記電圧入力手段からの電圧信号が入力される短絡事故検出用の不足電圧継電器要素および地絡事故検出用の地絡過電圧継電器要素と、上記第1の送電回線の電流入力手段からの電流信号、上記第2の送電回線の電流入力手段からの電流信号および上記電圧入力手段からの電圧信号とが入力され、事故時の零相循環電流に地絡故障電流が重畳されたことを検出して地絡故障回線を選択する地絡回線選択電流変化幅継電器要素とからなる保護継電装置において、上記地絡回線選択電流変化幅継電器要素は、電流信号が増加変化するときのみ動作する電流変化幅継電器を使用したことを特徴とする保護継電装置。
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Cited By (1)
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JP2010148305A (ja) * | 2008-12-22 | 2010-07-01 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 方向特性付き過電流継電器 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002169428A patent/JP2004015972A/ja active Pending
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