JP2004015953A - 電動機構駆動回路の診断装置 - Google Patents

電動機構駆動回路の診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】モータ2が駆動されているときの診断と、モータ2が駆動されていないときの診断とを併せて行う電動機構駆動回路の診断装置を提供する。
【解決手段】常閉接点と常開接点とを切替接続する可動接点を有する第1及び第2リレー3、4と、両端子が2つの可動接点に接続されたモータ2と、2つの可動接点と基準電位点間に接続された第1及び第2分圧回路10、11と、2つの常閉接点と基準電位点間に接続されたスイッチング回路9と、診断部1(2)を備え、診断部1(2)は、第1及び第2分圧回路10、11の分圧出力に基づいてモータ2への駆動電力の供給状態を診断する電動機構駆動回路の診断装置であって、常閉接点とスイッチング回路9との接続点にバイアス電圧を供給するとともに、その接続点と基準電位点間に付加分圧回路13を接続し、診断部1(2) は、付加分圧回路13の分圧出力に基づいてモータ2及びモータ2を駆動する回路の接続状態を診断する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ等の電動機構の駆動回路を診断する電動機構駆動回路の診断装置に係り、特に、電動機構が動作するときの電動機構の状態及び電動機構駆動回路と電動機構との接続状態を診断し、電動機構の故障の発生や電動機構の焼損等を未然に防ぐことのできる電動機構駆動回路の診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータを双方向に回転駆動するモータ駆動回路としては、常閉接点と常開接点と可動接点及び可動接点を切替駆動する駆動コイルを備えた一対のリレーと、それらのリレーの駆動コイルに可動接点を切替える切替信号を供給する制御部とからなるモータ駆動回路が知られている。このモータ駆動回路は、双方の常閉接点が接地点(基準電位点)に、双方の常開接点が電源端子にそれぞれ接続され、双方の可動接点間にモータの両端子が接続されたもので、制御部から供給される切替信号により、一方のリレーの可動接点を常開接点側に切替えると、モータが一方方向(正転方向)に回転駆動され、他方のリレーの可動接点を常開接点側に切替えると、モータが他方方向(逆転方向)に回転駆動される。
【0003】
ところで、この種のモータ駆動回路は、モータを駆動する際に、モータ自体に何等かの障害、例えば端子間短絡、巻線の断線等が発生していたり、モータと一対のリレーとを接続する接続線部に何等かの障害、例えば線間短絡、断線等が発生していたりすると、モータを正常に駆動することができないだけでなく、モータの焼損等の大きな事故に発展することがあるため、モータや接続線部分に発生している各種の障害を予め検知する診断装置が用いられている。
【0004】
ここで、図4は、かかる既知のモータ駆動回路の診断装置の構成の一例を示す回路図である。
【0005】
図4に示されるように、このモータ駆動回路の診断装置は、全体の動作を制御する動作制御部40(1)と診断部40(2)とを有するマイクロコンピュータ等からなる制御装置40と、負荷を構成するモータ41と、可動接点42(1)と常閉接点42(2)と常開接点42(3)と駆動コイル42(4)とを有する第1リレー42と、可動接点43(1)と常閉接点43(2)と常開接点43(3)と駆動コイル44(4)とを有する第2リレー43と、第1トランジスタ44(1)を有し、第1リレー42を駆動する第1トランジスタ駆動回路44と、第2トランジスタ45(1)を有し、第2リレー43を駆動する第2トランジスタ駆動回路45と、モータ41の一端と第1リレー42とを接続する接続端子46(1)、接続端子46(2)を有する第1接続線部46と、モータ41の他端と第2リレー43とを接続する接続端子47(1)、接続端子47(2)を有する第2接続線部47とを備えており、この他に、電界効果トランジスタ48(1)を有するスイッチング回路48と、2つの直列抵抗49(1)、49(2)からなる第1抵抗分圧回路49と、2つの直列抵抗50(1)、50(2)からなる第2抵抗分圧回路50と、電源端子51を備えている。
【0006】
そして、モータ41は、一端が第1接続線部46に接続され、他端が第2接続線部47に接続される。第1リレー42において、可動接点42(1)は第1接続線部46に接続され、常閉接点42(2)は電界効果トランジスタ48(1)のドレインに接続され、常開接点42(3)は電源端子51に接続され、駆動コイル42(4)は一端が電源端子51に、他端が第1トランジスタ44(1)のコレクタにそれぞれ接続される。第2リレー43において、可動接点43(1)は第2接続線部47に接続され、常閉接点43(2)は電界効果トランジスタ48(1)のドレインに接続され、常開接点43(3)は電源端子51に接続され、駆動コイル43(4)は一端が電源端子51に、他端が第2トランジスタ45(1)のコレクタにそれぞれ接続される。第1トランジスタ駆動回路44において、第1トランジスタ44(1)は、ベースが直列抵抗(図番なし)を通して動作制御部40(1)に接続されるとともに、ベース抵抗(図番なし)及び分路容量(図番なし)を通して接地接続され、エミッタが直接接地接続される。第2トランジスタ駆動回路45において、第2トランジスタ45(1)は、ベースが直列抵抗(図番なし)を通して動作制御部40(1)に接続されるとともに、ベース抵抗(図番なし)及び分路容量(図番なし)を通して接地接続され、エミッタが直接接地接続される。
【0007】
また、スイッチング回路48において、電界効果トランジスタ48(1)は、ゲートが動作制御部40(1)に接続されるとともに、抵抗(図番なし)を通して接地接続され、ソースが直接接地接続される。第1抵抗分圧回路49において、抵抗49(1)は、一端が第1接続線部46に接続され、他端が診断部40(2)に接続されるとともに抵抗49(2)の一端に接続される。抵抗49(2)は、一端が診断部40(2)に接続され、他端が接地接続される。第2抵抗分圧回路50において、抵抗50(1)は一端が第2接続線部47に接続され、他端が診断部40(2)に接続されるとともに抵抗50(2)の一端に接続される。抵抗50(2)は、一端が診断部40(2)に接続され、他端が接地接続される。
【0008】
前記構成によるモータ駆動回路の診断装置は、次のように動作する。
【0009】
モータ41を正転方向に回転させる場合、まず、動作制御部40(1)からスイッチング回路48の電界効果トランジスタ48(1)にオン信号を供給して、電界効果トランジスタ48(1)をオンにしておき、次に動作制御部40(1)から第1トランジスタ駆動回路44の第1トランジスタ44(1)にオン信号を供給して第1トランジスタ44(1)をオンにし、第1リレー42の駆動コイル42(4)に駆動電流を流すと、可動接点42(1)が常閉接点42(2)側から常開接点42(3)側に切替わり、電源端子51から第1接続線部46、モータ41、第2接続線部47を通して接地点に電流が流れ、それによりモータ41が正転方向に回転する。
【0010】
一方、モータ41を逆転方向に回転させる場合、まず、動作制御部40(1)からスイッチング回路48の電界効果トランジスタ48(1)にオン信号を供給して、電界トランジスタ48(1)をオンにしておき、次に、動作制御部40(1)から第2トランジスタ駆動回路45の第2トランジスタ45(1)にオン信号を供給して第2トランジスタ45(1)をオンにし、第2リレー43の駆動コイル43(4)に駆動電流を流すと、可動接点43(1)が常閉接点43(2)側から常開接点43(3)側に切替わり、電源端子51から第2接続線部47、モータ41、第1接続線部46を通して接地点に電流が流れ、それによりモータ41が逆転方向に回転する。
【0011】
このようなモータ41の回転駆動が行われる際に、第1抵抗分圧回路49は、第1接続線部46に発生する電圧を抵抗49(1)と抵抗49(2)で分圧し、その分圧電圧を診断部40(2)に供給する。同じように、第2抵抗分圧回路50は、第2接続線部47に発生する電圧を抵抗50(1)と抵抗50(2)で分圧し、その分圧電圧を診断部40(2)に供給する。診断部40(2)は、第1抵抗分圧回路49及び第2抵抗分圧回路50から供給された分圧電圧を監視し、それらの分圧電圧が異常になったとき、例えば、第1接続線部46または第2接続線部47に電源端子51の電圧である電源電圧が供給されるタイミング時(モータ41の回転駆動時)に、その電源電圧に対応する分圧電圧が供給されなかったとき、すなわち分圧電圧を予め設定された電源電圧に対応する第1比較電圧値と比較して分圧電圧が第1比較電圧値に達していなかったときは、第1接続線部46または第2接続線部47に断線または地絡が生じたものであると診断し、一方、第1接続線部46または第2接続線部47に接地電圧が供給されるタイミング時(モータ41の停止時)に、接地電圧が供給されずに何等かの分圧電圧が供給されたとき、すなわち分圧電圧を予め設定された接地電圧に対応する第2比較電圧値と比較して分圧電圧が第2比較電圧値を越えていたときは、第1接続線部46または第2接続線部47に天絡(モータ41と電源端子51間、すなわち第1接続線部46および第2接続線部47のショート)が生じたものであると診断しこれらの異常状態を図示していない表示装置に表示したり、警報ランプや警報ブザーで報知する。
【0012】
さらに、モータ41の回転駆動が終了した直後の短時間に、動作制御部40(1)からスイッチング回路48の電界効果トランジスタ48(1)にオフ信号を供給して電界効果トランジスタ48(1)をオフにしておけば、第1接続線部46または第2接続線部47に天絡が生じていたとしても、天絡している第1接続線部46または第2接続線部47の電源電圧が電界効果トランジスタ48(1)を通して接地点に流れないので、モータ41やその他の回路部分に駆動電流が流れることがなく、モータ41が焼損したり、その他の回路部分が破損したりするのを防ぐことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知のモータ駆動回路の診断装置は、第1及び第2リレー42、43の常閉接点42(2)、43(2)にスイッチング回路48を接続し、第1接続線部46に第1抵抗分圧回路49を、第2接続線部47に第2抵抗分圧回路50をそれぞれ接続することにより、モータ41が駆動されているときの各部の異常状態、断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することができるものの、いずれの診断もモータ41を駆動状態にしてからの診断であって、断線、地絡、天絡が発生しているときにモータ41を駆動状態にした場合、その駆動が短い時間に限られたとしても、ある部分に瞬間的に大きな電流が流れたりすることがあり、モータ駆動回路に何等かのダメージを与えることになる。
【0014】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、電動機構が駆動されているときに診断を行うだけでなく、電動機構が駆動されていないときも同様の診断を行うことを可能にした電動機構駆動回路の診断装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による電動機構駆動回路の診断装置は、電動機構に接続された一対のリレーと、この一対のリレーの常閉接点と基準電位点との間に接続されたスイッチング回路とを備え、前記電動機構を駆動する駆動回路と、
この駆動回路を制御して前記電動機構の動作を制御する動作制御部と、
前記電動機構と前記駆動回路との間に接続された分圧回路と、
この分圧回路の分圧出力に基づいて前記電動機構への駆動電力の供給状態を診断する診断部と、
を備えた電動機構駆動回路の診断装置であって、
前記一対のリレーの常閉接点と前記スイッチング回路との接続点にバイアス電圧を供給するバイアス電圧供給回路を設けるとともに、
前記接続点と基準電位点との間に付加分圧回路を接続し、
前記診断部は、前記スイッチング回路をオフにした状態で、前記付加分圧回路の分圧出力に基づいて前記電動機構および前記駆動回路の接続状態を診断する
ことを特徴とする。
【0016】
このような本発明の構成によれば、既知のこの種の電動機構駆動回路の診断装置と同様に、スイッチング回路、第1及び第2分圧回路を接続することにより、電動機構が駆動されているときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になるだけでなく、一対のリレーの常閉接点とスイッチング回路との接続点にバイアス電圧を供給するとともに、この接続点と基準電位点間に付加分圧回路を接続し、前記スイッチング回路をオフにした状態で前記付加分圧回路の分圧出力を診断部が診断することにより、電動機構が駆動されていないときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になる。
【0017】
また、本発明による電動機構駆動回路の診断装置は、前記構成に加えて、前記付加分圧回路の分圧点と基準電位点との間に、積分回路を構成する容量素子を接続したことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、付加分圧回路の分圧点にノイズが発生しても、そのノイズは容量素子を通して基準電位点に流れるので、診断部に入力するノイズを大幅に軽減し、良好な診断を行なうことができる。
【0019】
さらに、本発明による電動機構駆動回路の診断装置は、前記構成に加えて、前記付加分圧回路の分圧点と基準電位点との間に、定電圧設定素子を接続したことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、定電圧設定素子の定電圧特性によってノイズを除去し、良好な診断を行なうことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明による電動機構駆動回路の診断装置の第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【0023】
図1に示されるように、第1の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置は、全体の動作を制御する動作制御部1(1)と診断部1(2)とを有するマイクロコンピュータ等からなる制御装置1と、負荷を構成するモータ(電動機構)2と、可動接点3(1)と常閉接点3(2)と常開接点3(3)と駆動コイル3(4)とを有する第1リレー3と、可動接点4(1)と常閉接点4(2)と常開接点4(3)と駆動コイル4(4)とを有する第2リレー4と、第1トランジスタ5(1)を有し、第1リレー3を駆動する第1トランジスタ駆動回路5と、第2トランジスタ6(1)を有し、第2リレー4を駆動する第2トランジスタ駆動回路6と、モータ2の一端と第1リレー3とを接続する接続端子7(1)、接続端子7(2)を備える第1接続線部7と、モータ2の他端と第2リレー4とを接続する接続端子8(1)、接続端子8(2)を備える第2接続線部8とを備え、この他に、電界効果トランジスタ9(1)を有するスイッチング回路9と、2つの直列抵抗10(1)、10(2)からなる第1抵抗分圧回路10と、2つの直列抵抗11(1)、11(2)からなる第2抵抗分圧回路11と、バイアス供給抵抗12と、2つの直列抵抗13(1)、13(2)からなる付加抵抗分圧回路13と、電源端子14とを備えている。
【0024】
そして、モータ2は、一端が第1接続線部7に接続され、他端が第2接続線部8に接続される。第1リレー3において、可動接点3(1)は第1接続線部7に接続され、常閉接点3(2)は電界効果トランジスタ9(1)のドレインに接続され、常開接点3(3)は電源端子14に接続され、駆動コイル3(4)は一端が電源端子14に、他端が第1トランジスタ5(1)のコレクタにそれぞれ接続される。第2リレー4において、可動接点4(1)は第2接続線部8に接続され、常閉接点4(2)は電界効果トランジスタ9(1)のドレインに接続され、常開接点4(3)は電源端子14に接続され、駆動コイル4(4)は一端が電源端子14に、他端が第2トランジスタ6(1)のコレクタにそれぞれ接続される。第1トランジスタ駆動回路5において、第1トランジスタ5(1)は、ベースが直列抵抗(図番なし)を通して動作制御部1(1)に接続されるとともに、ベース抵抗(図番なし)及び分路容量(図番なし)を通して接地(基準電位点)接続され、エミッタが直接接地接続される。第2トランジスタ駆動回路6において、第2トランジスタ6(1)は、ベースが直列抵抗(図番なし)を通して動作制御部1(1)に接続されるとともに、ベース抵抗(図番なし)及び分路容量(図番なし)を通して接地接続され、エミッタが直接接地接続される。
【0025】
また、スイッチング回路9において、電界効果トランジスタ9(1)は、ゲートが動作制御部1(1)に接続されるとともに、抵抗(図番なし)を通して接地接続され、ソースが直接接地接続される。第1抵抗分圧回路10において、抵抗10(1)は、一端が第1接続線部7に接続され、他端が診断部1(2)に接続されるとともに抵抗10(2)の一端に接続される。抵抗10(2)は、一端が診断部1(2)に接続され、他端が接地接続される。第2抵抗分圧回路11において、抵抗11(1)は一端が第2接続線部8に接続され、他端が診断部1(2)に接続されるとともに抵抗11(2)の一端に接続される。抵抗11(2)は、一端が診断部1(2)に接続され、他端が接地接続される。バイアス供給抵抗12は、一端が電界効果トランジスタ9(1)のドレインに接続され、他端が電源端子14に接続される。付加抵抗分圧回路13において、抵抗13(1)は一端が電界効果トランジスタ9(1)のドレインに接続され、他端が診断部1(2)に接続されるとともに抵抗13(2)の一端に接続される。抵抗13(2)は、一端が診断部1(2)に接続され、他端が接地接続される。
【0026】
前記構成を備えた第1の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置は、次のように動作する。
【0027】
モータ2を正転方向に回転させる場合、まず、動作制御部1(1)からスイッチング回路9の電界効果トランジスタ9(1)にオン信号を供給して、電界効果トランジスタ9(1)をオンしておき、次に、動作制御部1(1)から第1トランジスタ駆動回路5の第1トランジスタ5(1)にオン信号を供給して第1トランジスタ5(1)をオンにし、第1リレー3の駆動コイル3(4)に駆動電流を流すと、可動接点3(1)が常閉接点3(2)側から常開接点3(3)側に切替わり、電源端子14から切替わった可動接点3(1)、第1接続線部7、モータ2、第2接続線部8、切替わっていない可動接点4(1)を通して接地点に電流が流れ、その電流の通流によりモータ2が正転方向に回転する。
【0028】
一方、モータ2を逆転方向に回転させる場合、まず、動作制御部1(1)からスイッチング回路9の電界効果トランジスタ9(1)にオン信号を供給して、電界効果トランジスタ9(1)をオンにしておき、次に動作制御部1(1)から第2トランジスタ駆動回路6の第2トランジスタ6(1)にオン信号を供給して第2トランジスタ6(1)をオンにし、第2リレー4の駆動コイル4(4)に駆動電流を流すと、可動接点4(1)が常閉接点4(2)側から常開接点4(3)側に切替わり、電源端子14から切替わった可動接点4(1)、第2接続線部8、モータ2、第1接続線部7、切替わっていない可動接点3(1)を通して接地点に電流が流れ、その電流の通流によりモータ2が逆転方向に回転する。
【0029】
このようなモータ2の回転駆動が行われる際に、第1抵抗分圧回路10は、第1接続線部7に発生する電圧を2つの抵抗10(1)及び抵抗10(2)により分圧し、その分圧電圧を診断部1(2)に供給する。同じように、第2抵抗分圧回路11は、第2接続線部8に発生する電圧を2つの抵抗11(1)及び抵抗11(2)により分圧し、その分圧電圧を診断部1(2)に供給する。診断部1(2)は、第1抵抗分圧回路10から供給された分圧電圧及び第2抵抗分圧回路11から供給された分圧電圧をそれぞれ監視し、それらの分圧電圧が異常になったとき、例えば、第1接続線部7または第2接続線部8に電源端子14の電圧である電源電圧が供給されるタイミング時(モータ2の回転駆動時)に、その電源電圧に対応する分圧電圧が供給されなかったとき、すなわち分圧電圧を予め設定された電源電圧に対応する第1比較電圧値と比較して分圧電圧が第1比較電圧値に達していなかったときは、第1接続線部7または第2接続線部8に断線または地絡が生じたものであると診断し、一方、第1接続線部7または第2接続線部8に接地電圧が供給されるタイミング時(モータ2の停止時)に、接地電圧が供給されずに何等かの値の分圧電圧が供給されたとき、すなわち分圧電圧を予め設定された接地電圧に対応する第2比較電圧値と比較して分圧電圧が第2比較電圧値を越えていたときは、第1接続線部7または第2接続線部8に天絡が生じたものであると診断し、これらの異常状態を図示していない表示装置に表示したり、警報ランプや警報ブザーで報知する。
【0030】
さらに、モータ2の回転駆動が終了した直後の短時間に、動作制御部1(1)からスイッチング回路9の電界効果トランジスタ9(1)にオフ信号を供給して電界効果トランジスタ9(1)をオフにしておけば、第1接続線部7または第2接続線部8に天絡が生じていたとしても、天絡している第1接続線部7または第2接続線部8に現れた電源電圧またはそれに近い電圧は、オフした電界効果トランジスタ9(1)を通して接地点に流れないので、モータ2やその他の回路部分に駆動電流が供給されることがなく、モータ2が焼損したり、その他の回路部分が破損したりするのを防ぐことができる。
【0031】
また、第1の実施の形態においては、モータ2が回転駆動されていない、すなわち、スイッチング回路9の電界効果トランジスタ9(1)がオンされていないとき、電源端子14からバイアス供給抵抗12を通して第1及び第2リレー3、4の常閉接点3(2)、4(2)にバイアス電圧が供給され、付加抵抗分圧回路13は、供給されたバイアス電圧を2つの抵抗13(1)及び抵抗13(2)により分圧し、その分圧電圧を診断部1(2)に供給する。診断部1(2)は、供給された分圧電圧を予め設定されたバイアス電圧に対応する比較電圧範囲を表わす上下の第3比較電圧値および第4比較電圧値と比較し、分圧電圧がこの比較電圧範囲内、(すなわち第3比較電圧値よりも低く、第4比較電圧値よりも高い値)にあれば、第1接続線部7、第2接続線部8及びモータ2のいずれにも何等の障害が発生していない正常のものと診断し、その分圧電圧が前記比較電圧範囲外で第3比較電圧値よりも高い電圧であれば、第1接続線部7、第2接続線部8及びモータ2のいずれかが天絡状態または天絡に近い状態になっていると診断し、一方、その分圧電圧が前記比較電圧範囲外で第4比較電圧値よりも低い電圧であれば、第1接続線部7、第2接続線部8及びモータ2のいずれかが地絡状態または地絡に近い状態になっていると診断する。
【0032】
この際、さらに、第1リレー3および第2リレーのいずれか一方を駆動して、モータ2のいずれか一方の端子を電源端子14と接続することにより、付加抵抗分圧回路13に電源電圧を供給する。付加抵抗分圧回路13は、供給される電源電圧を抵抗13(1)および抵抗13(2)により分圧し、その分圧電圧を診断部1(2)に供給する。診断部1(2)は、供給された分圧電圧を予め設定された電源電圧に対応する第5比較電圧値と比較し、この分圧電圧が第5比較電圧値を越えていれば、第1接続線部7、第2接続線部8およびモータ2のいずれにも何等の障害も発生していないものと診断し、一方、その分圧電圧が電源電圧に対応する第5比較電圧値より低く、前記バイアス電圧に対応する電圧、すなわち前記比較電圧範囲内の電圧であれば、第1接続線部7、第2接続線部8およびモータ2の経路で断線が生じるものと診断する。
【0033】
これらの診断結果は、図示しない表示装置に表示したり、異常状態が発生したときには警報ランプや警報ブザーで報知する。
【0034】
そして、診断部1(2)において、天絡状態または天絡に近い状態、地絡状態または地絡に近い状態、断線のような異常との診断がなされ、これが表示装置で表示されたり、警報ランプや警報ブザーで報知されたときには、モータ2の駆動中であれば、直ちにモータ2の駆動を停止させ、また、モータ2が駆動停止中であれば、モータ2を駆動させるような動作が行なわれてもモータ2を駆動しないような処理を動作制御部(1)内で行う。
【0035】
このように、第1の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置によれば、モータ2が駆動されているときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になるとともに、モータ2が駆動されていないときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になる。
【0036】
次に、図2は、本発明による電動機構駆動回路の診断装置の第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【0037】
図2において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0038】
図2に示されるように、第2の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置は、第1の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置における付加抵抗分圧回路13の抵抗13(2)に並列に容量素子13(3)を接続したもので、容量素子13(3)の接続以外の構成については第1の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置の構成と同じである。
【0039】
そして、このような容量素子13(3)を接続すれば、何等かの原因で付加抵抗分圧回路13の抵抗13(1)と抵抗13(2)の接続点にノイズが発生しても、そのノイズは抵抗13(2)とともに積分回路を構成する容量素子13(3)を通して接地点に流れるので、抵抗13(1)と抵抗13(2)の接続点から診断部1(2)の入力端子に供給されるノイズを大幅に軽減することができ、それにより診断部1(2)の入力端子を保護することができる。
【0040】
次いで、図3は、本発明による電動機構診断回路の第3の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【0041】
図3において、図2に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0042】
図3に示されるように、第3の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置は、第2の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置と比べ、バイアス供給抵抗12に直列にトランジスタ12(1)が接続され、付加抵抗分圧回路13の抵抗13(2)に容量素子13(3)を並列接続する代わりにツェナーダイオード13(4)を並列接続したもので、それ以外の構成については第2の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置の構成と同じである。
【0043】
そして、第3の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置は、診断不要時にトランジスタ12(1)をオフすることにより、バイアス供給抵抗12を通して電力が消費されるのを抑えることができる。また、第2の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置のように、容量素子13(3)を接続し、抵抗13(2)と容量素子13(3)とで積分回路を構成するときには、抵抗13(2)の抵抗値と容量素子13(3)の容量値を選択して積分回路のカットオフ周波数を抵抗13(1)と抵抗13(2)の接続点に生じるノイズに合わせる必要があって、選択される抵抗13(2)の抵抗値と容量素子13(3)の容量値の選択範囲が制限されることから、モータ2が駆動されていないときの地絡、天絡の発生の有無の良好な診断ができなくなることがある。
【0044】
これに対し、第3の実施の形態による電動機構駆動回路の診断装置のように、容量素子13(3)の代わりにツェナーダイオード13(4)を接続すれば、ツェナーダイオード13(4)のツェナー特性によってノイズを除けるだけでなく、抵抗13(2)とともに積分回路を構成しているものではないため、選択される抵抗13(2)の抵抗値に何等の制約がなくなり、モータ2が駆動されていないときの地絡、天絡の発生の有無の良好な診断ができるようになる。
【0045】
なお、第1乃至第3の実施の形態においては、電動機構がモータ2である例を挙げて説明したが、本発明による電動機構はモータである場合に限られるものではなく、モータと同様な機能を持つ他の電動機構であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、既知のこの種の電動機構駆動回路の診断装置と同様にスイッチング回路、第1及び第2分圧回路を接続し、電動機構が駆動されているときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になるだけでなく、常閉接点とスイッチング回路との接続点にバイアス電圧を供給するとともに、接続点と基準電位点間に付加分圧回路を接続し、その付加分圧回路の分圧出力を診断部に供給することにより、診断部において電動機構が駆動されていないときの断線、地絡、天絡の発生の有無を診断することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電動機構駆動回路の診断装置の第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明による電動機構駆動回路の診断装置の第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【図3】本発明による電動機構駆動回路の診断装置の第3の実施の形態を示すもので、その要部構成を示す回路図である。
【図4】既知のモータ駆動回路の診断装置の構成の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 制御装置
1(1) 動作制御部
1(2) 診断部
2 モータ(電動機構)
3 第1リレー
3(1) 可動接点
3(2) 常閉接点
3(3) 常開接点
3(4) 駆動コイル
4 第2リレー
4(1) 可動接点
4(2) 常閉接点
4(3) 常開接点
4(4) 駆動コイル
5 第1トランジスタ駆動回路
5(1) 第1トランジスタ
6 第2トランジスタ駆動回路
6(1) 第2トランジスタ
7 第1接続線部
7(1)、7(2) 接続端子
8 第2接続線部
8(1)、8(2) 接続端子
9 スイッチング回路
9(1) 電界効果トランジスタ
10 第1抵抗分圧回路
10(1)、10(2) 抵抗
11 第2抵抗分圧回路
11(1)、11(2) 抵抗
12 バイアス供給抵抗
12(1) トランジスタ
13 付加抵抗分圧回路
13(1)、13(2) 抵抗
13(3) 容量素子
13(4) ツェナーダイオード
14 電源端子

Claims (3)

  1. 電動機構と、
    この電動機構に接続された一対のリレーと、この一対のリレーの常閉接点と基準電位点との間に接続されたスイッチング回路とを備え、前記電動機構を駆動する駆動回路と、
    この駆動回路を制御して前記電動機構の動作を制御する動作制御部と、
    前記電動機構と前記駆動回路との間に接続された分圧回路と、
    この分圧回路の分圧出力に基づいて前記電動機構への駆動電力の供給状態を診断する診断部と、
    を備えた電動機構駆動回路の診断装置であって、
    前記一対のリレーの常閉接点と前記スイッチング回路との接続点にバイアス電圧を供給するバイアス電圧供給回路を設けるとともに、
    前記接続点と基準電位点との間に付加分圧回路を接続し、
    前記診断部は、前記スイッチング回路をオフにした状態で、前記付加分圧回路の分圧出力に基づいて前記電動機構および前記駆動回路の接続状態を診断する
    ことを特徴とする電動機構駆動回路の診断装置。
  2. 前記付加分圧回路は、分圧点と基準電位点間に積分回路を構成する容量素子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機構駆動回路の診断装置。
  3. 前記付加分圧回路は、分圧点と基準電位点間に定電圧設定素子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動機構駆動回路の診断装置。
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