JP2004014511A - 有機発光ダイオードデバイス - Google Patents

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プラナブ クマー レイショウドゥリ
Joseph Kuru Madathil
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Abstract

【課題】電子を電子輸送層に、又は直接発光層に、注入するための改良型有機発光ダイオードデバイス構造体を提供すること。
【解決手段】(a)基板、(b)該基板の上に設けられた、導電性材料でできたアノード層、(c)該アノード層の上に設けられた、電場発光材料を含む発光層、(d)該発光層の上に設けられた、フタロシアニン又はその誘導体を含むバッファ層、(e)該バッファ層の上に設けられた、アルカリ金属化合物又はその熱分解生成物を含む電子注入性ドーパント源層、及び(f)該バッファ層の上に設けられた、該バッファ層と共に該発光層への電子注入機能を果たすように選ばれた金属又は合金のスパッタ層を含んで成る有機発光ダイオードデバイス。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機バッファ層と、該有機バッファ層の上にスパッタされた金属又は合金の層とを使用する有機発光ダイオードデバイス、及びそのようなデバイスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電場発光(OEL)デバイスは、有機発光ダイオード(OLED)とも称され、フラットパネル型表示用途に有用である。この発光デバイスが魅力的である理由は、輝度効率の高い赤色、緑色及び青色が得られるように設計することができ、2〜3ボルトというオーダーの低駆動電圧で動作可能であり、しかも斜めの角度から見ることができることにある。このようにユニークな特性は、アノードとカソードの間に低分子有機材料の薄膜を挟み込んだ多層スタックを含んで成る基本OLED構造に由来する。Tangらは、譲受人共通の米国特許第4769292号及び同第4885211号に、このような構造体を開示している。一般的な電場発光(EL)媒体は、正孔輸送層(HTL)と電子輸送層(ETL)との2層構造からなり、各層の厚さは20〜30ナノメートル(nm)程度であることが典型的である。通常、アノード材料は透光性のインジウム錫酸化物(ITO)薄膜担持ガラスであり、これはOLEDの基板としても働く。カソードは反射性薄膜であることが典型的である。電極材料は、仕事関数を基準に選定される。アノードにはITOが最もよく使用されるが、これはその仕事関数が高いからである。電子注入用接点には、仕事関数が比較的低いという理由で、Mg:Ag合金が一般に採用されている。Al:LiやLiF/Alのようなリチウム含有合金系接点も、効率的な電子注入性を提供する。このデバイスは、EL媒体を差し渡して印加される電位差に応じて可視光を放出する。電極間に電位差が印加されると、注入されたキャリヤ(アノード側から正孔、カソード側から電子)がEL媒体中を互いに向けて移動し、それらの一部が再結合することにより発光が起こる。
【0003】
OLEDの製作には蒸着法が採用されることが多い。この方法を採用すると、真空室内でITOガラス基板の上に有機層が薄膜状に蒸着され、次いでカソード層が蒸着される。カソードを蒸着する方法としては、有機層への損傷がないことから、抵抗加熱法又は電子ビーム加熱法による真空蒸着法が最も適当であることが知られている。しかしながら、カソード層の製作にはこうした方法を採用しないことが非常に望ましいであろう。なぜなら、該方法は非効率的であるからである。低コスト製造を実現するためには、OLED製造に特に適した信頼性があり処理能力の高いことが確立されている方法を採用・開発する必要がある。多くの産業で、薄膜蒸着法の選択肢としてスパッタ法が採用されている。スパッタ法の利点には、コーティングのコンフォーマル性、高密度性及び密着性、サイクル時間の短さ、被覆室の低メンテナンス性、材料使用効率の良さ、等がある。
【0004】
通常、OLEDのカソード層の製作にスパッタ法は採用されない。その理由は、有機層に損傷を与え、ひいてはデバイス性能を低下させる虞があるからである。スパッタ法は、高エネルギーの中性子、電子、陽イオン及び陰イオン並びに励起状態からの放出を含む高エネルギーかつ複雑な環境において起こり、その上にカソード層が堆積される有機層を劣化させる可能性がある。
【0005】
Liaoら(Appl. Phys. Lett. 75, 1619 [1999])は、X線及び紫外光電子分光光度計を使用し、100 eVのAr照射によってAlq表面に誘発される損傷を調査した。そのコアレベル電子密度曲線は、Alq分子のN−Al結合及びC−O−Al結合の一部が破壊されたことを示す。価電子帯構造も非常に変化し、金属様導電性表面の形成が示唆されている。このことは、OLEDにおいてカソードからAlq層に電子が注入されたときに無放射消光を引き起こし、さらには電気的短絡をもたらすであろうことを示唆していた。
【0006】
カソードのスパッタ堆積中、Alq表面は、数百ボルトのAr衝突を大量に受ける。Hungら(J. Appl. Phys. 86, 4607 [1999])が示したように、価電子帯構造はわずか9×1014/cmの線量で変化する。したがって、Ar雰囲気中でAlq表面にカソードをスパッタすると、デバイス性能を劣化させることが予想される。
【0007】
スパッタによる損傷は、堆積変数を適切に選定することにより、ある程度は抑制することができる。TDK社のNakayaらの欧州特許出願公開第0 876 086 A2号、同第0 880 305 A1号及び同第0 880 307 A2号に、カソードをスパッタ法で堆積する方法が記載されている。複数の有機層を蒸着した後、真空状態をそのまま保ちながら、デバイスを蒸発系からスパッタ室へ移し、そこでカソード層を電子輸送層の上に直接堆積している。カソードは0.1〜20原子%のLiを含むAl合金にCu、Mg及びZrの少なくとも1種を少量追加したものとし、また、場合によっては保護オーバーコートを設けている。このようにバッファ層を設けずに製作されたOLEDデバイスが、有機層/カソード界面の密着性が良好で、駆動電圧が低く、効率が高く、そしてダークスポットの発生速度が遅いということで、特許請求されている。Grotheらの西独国特許出願第DE 198 07 370 C1号に、Li含有量の比較的高いAl:Li合金であってMn、Pb、Pd、Si、Sn、Zn、Zr、Cu及びSiCから選ばれた1種以上の追加元素を有するものをスパッタしたカソードが記載されている。いずれの例においてもバッファ層は一切使用されていないが、電場発光が比較的低電圧で得られている。低堆積速度を採用することにより、スパッタによる損傷が抑えられたのかもしれない。スパッタ出力を低下させることにより、有機層が受ける損傷が軽減され得ることは、容易に予測される。しかしながら、出力を低くすると、堆積速度が実用上不可能なほど低くなることがあり、さらにスパッタの利点が減り、或いは、それがなくなることさえある。
【0008】
カソードを高速スパッタする際の損傷を極力軽減するため、電子輸送層の上に保護コーティングを設けることが有益となり得る。この保護層、別名バッファ層は、有効であるためには強健である必要がある。しかしながら、該バッファ層は、耐プラズマ性を有するだけでなく、デバイスの動作を妨害してはならず、かつ、デバイス性能を維持しなければならない。Parthasarathyら(J. Appl. Phys. 72, 2138 [1998])は、金属を含まないカソードをスパッタ堆積する際に、銅フタロシアニン(CuPc)と亜鉛フタロシアニン(ZnPc)とからなるバッファ層を適用することについて報告している。該バッファ層は、スパッタ処理中の下部の有機層への損傷を防止した。Hungら(J. Appl. Phys. 86, 4607 [1999])は、合金系カソードの高エネルギー堆積を可能ならしめるCuPcバッファ層の適用について開示している。該カソードは低仕事関数成分のLiを含有しており、これが該バッファ層中で拡散して、電子輸送層と該バッファ層との間に電子注入層を提供していると考えられている。欧州特許出願第0 982 783 A2号(Nakaya et al.)に、Al:Li合金のカソードが記載されている。該カソードは、ポルフィリン又はナフタセン系化合物から構築されたバッファ層を電子輸送層とカソードとの間に配置してスパッタすることにより製作された。スパッタ電極を含むデバイスは、駆動電圧が低く、効率が高く、そしてダークスポットの成長が遅くなった。スパッタ型カソードをベースとする高効率デバイスが開示されているが、当該材料及びプロセスの簡略化が望まれている。例えば、カソードは一般に、アルカリ金属(例、Li)を含有するAl合金ターゲットからスパッタされる。この方法では、ターゲット自体が電子注入性ドーパント源となる。アルカリ金属と他の成分金属との特性の相違、とりわけ融点、蒸気圧その他の特性に関する相違により、均質な高品質ターゲットの製造は極めて困難である。純金属を使用することが、高品質ターゲットを容易に利用できるので、望まれる。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第4720432号明細書
【特許文献2】
米国特許第4769292号明細書
【特許文献3】
米国特許第4885211号明細書
【特許文献4】
米国特許第5645948号明細書
【特許文献5】
米国特許第5935721号明細書
【特許文献6】
米国特許第6020078号明細書
【特許文献7】
米国特許第6208077号明細書
【特許文献8】
欧州特許出願公開第0876086号明細書
【特許文献9】
欧州特許出願公開第0880305号明細書
【特許文献10】
欧州特許出願公開第0880307号明細書
【特許文献11】
欧州特許出願公開第0982783号明細書
【特許文献12】
西独国特許出願第19807370号明細書
【非特許文献1】
Liao他,「Applied Physics Letters」,第75巻,第11号, 1999年9
月13日, p. 1619−1621
【非特許文献2】
Hung他,「Journal of Applied Physics」,第86巻,第8号, 1999     年10月15日, p. 4607−4612
【非特許文献3】
Mason他,「Journal of Applied Physics」,第89巻,第5号, 1999     年3月1日, p. 2756−2765
【非特許文献4】
Parthasarathy他,「Applied Physics Letters」,第72巻,第17号,      1998年4月27日, p. 2138−2140
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、電子を電子輸送層に、又は直接発光層に、注入するための改良型有機発光ダイオードデバイス構造体を提供することにある。
本発明の別の目的は、カソード層のスパッタリングの利用を促進することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、
(a)基板、
(b)該基板の上に設けられた、導電性材料でできたアノード層、
(c)該アノード層の上に設けられた、電場発光材料を含む発光層、
(d)該発光層の上に設けられた、フタロシアニン又はその誘導体を含むバッファ層、
(e)該バッファ層の上に設けられた、アルカリ金属化合物又はその熱分解生成物を含む電子注入性ドーパント源層、及び
(f)該バッファ層の上に設けられた、該バッファ層と共に該発光層への電子注入機能を果たすように選ばれた金属又は合金のスパッタ層
を含んで成る有機発光ダイオードデバイス
において達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に詳細に説明するように、本発明によると、アルカリ金属化合物からアルカリ金属が発生しているものと考えられる。いずれにしても、本発明による結果は意外なものである。Mason他(J. Appl. Phys. 89(5) 2756 (2001))の「Interfacial chemistry of Alqand LiF with reactive metals」を参照されたい。X線光電子分光光度計(XPS)及び紫外光電子分光光度計(UPS)による検討では、LiFをAl上に、又はAlをLiF上に、蒸発堆積させた場合、反応はまったく起こらないことが知られている。また、Alq基板が、おそらくはAlqのラジカルアニオンの形成により、Alq表面で優れたカソードになることも既に知られている。これらの成分の3種類すべてが存在する場合にのみラジカルイオンが認められることが提案されている。換言すれば、電子注入接点機能につながる反応が起こるためにはAlqの協同が必要である。Liを遊離する反応が起こるためにはAlqの関与が必要であることが提案されている。本発明によるデバイスでは、このような反応が、フタロシアニン又はその誘導体の存在下でも起こることが発見された。
【0013】
以下の説明では、有機発光ダイオードデバイスの動作特徴及び各種層の名称を示すものとして頭字語を使用する。参考のためそれらを表1に列挙する。
表1
OLED:有機発光ダイオード
ITO:インジウム錫酸化物
HIL:正孔注入層
HTL:正孔輸送層
EML:発光層
ETL:電子輸送層
NPB:4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
Alq:トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム
CuPc:銅フタロシアニン
LiF:フッ化リチウム
KF:フッ化カリウム
RbF:フッ化ルビジウム
CsF:フッ化セシウム
RbNO:硝酸ルビジウム
KIO:ヨウ素酸カリウム
CsNO:硝酸セシウム
CsOOCCH:酢酸セシウム
Mg:マグネシウム
Al:アルミニウム
【0014】
ここで図1を参照する。本発明のOLEDデバイス100は、基板101と、アノード102と、正孔注入層(HIL)103と、正孔輸送層(HTL)104と、発光層(EML)105と、電子輸送層(ETL)106と、バッファ層107と、電子注入性ドーパント源層108(以下、ドーパント源層)と、スパッタされたカソード109とを含む。「ドーパント源」とは、ETL(106)への電子注入に適したドーパント元素の化合物を意味する。例えば、LiFは、分解してLiを提供し、それがAlqに対する電子注入性ドーパントとなることができるので、ドーパント源である。動作させるにあたり、アノード102とスパッタ型カソード109を導体111を介して電源110に接続して電流をデバイス層中に通すと、OLEDデバイスから発光又はエレクトロルミネセンス(EL)が生じる。アノード102及びスパッタ型カソード109の透光性によって、エレクトロルミネセンスはアノード側からもカソード側からも見ることができる。エレクトロルミネセンスの強度は、OLEDデバイス100を通過する電流の大きさに依存するが、それ自体は、当該有機層の発光特性及び電気特性並びにアノード102及びスパッタ型カソード109の電荷注入特性に依存する。
【0015】
以下、OLEDデバイス100を構成する各種層の組成及び機能について説明する。
基板101は、ガラス、セラミック又はプラスチックであることができる。OLEDデバイスの製作には高温プロセスは必要とされないので、100℃程度の処理温度に耐え得るものであればどのような基板でも有用であり、これにはほとんどの耐熱プラスチックが含まれる。基板101は、硬質プレート、軟質シート又は曲面といった形態をとることができる。基板101は、電子的バックプレイン(backplane)を具備した支持体であることができ、電子的アドレス素子及びスイッチング素子を含むアクティブマトリクス基板であることができる。このようなアクティブマトリクス基板の例として、CMOS回路素子を具備した単結晶シリコンウェハ、高温ポリシリコン薄膜トランジスタを具備した基板、低温ポリシリコン薄膜トランジスタを具備した基板、等が挙げられる。当業者であれば、OLEDデバイスのアドレス及び駆動に、他の回路素子が使用できることを認識するであろう。
【0016】
アノード102は、スパッタ型カソード108に対して正の電位をOLEDデバイス100に印加したときに当該有機層に正孔(ホール)を注入する機能を提供する。例えば、譲受人共通の米国特許第4,720,432号に、インジウム錫酸化物(ITO)が、仕事関数が比較的高いので、効率的アノードを形成することが記載されている。ITO薄膜自体が透明であるので、ITO被覆ガラスはOLEDデバイスの製作にとって優れた支持体となる。その他の適当なアノード材料として、Au、Pt、Pd又はこれら金属の合金のような高仕事関数金属が挙げられる。
【0017】
正孔注入層(HIL)103は、アノード102から有機層へ正孔を注入する効率を高める機能を提供する。例えば、譲受人共通の米国特許第4,885,211号に、正孔注入層103として、ポルフォリンもしくはフタロシアニン又はそれらの誘導体の化合物が有用であり、輝度効率及び動作安定性が向上することが記載されている。他の好適なHIL材料に、プラズマ式蒸着法により蒸着されたフッ素化ポリマーであるCFx(0<x≦2)がある。CFxの調製法及び特性については、譲受人共通の米国特許第6,208,077号に記載されている。
【0018】
正孔輸送層(HTL)104は、正孔を発光層(EML)105へ輸送する機能を提供する。HTL材料には、譲受人共通の米国特許第4,720,432号に記載されているように、各種の芳香族アミンが含まれる。HTL材料の好適な種類には下式(I)のテトラアリールジアミンが含まれる。
【0019】
【化1】
Figure 2004014511
【0020】
上式中、Ar、Ar、Ar及びArは、各々独立に、フェニル部分、ビフェニル部分及びナフチル部分の中から選ばれ、Lは2価のナフチレン部分又はdを表し、dはフェニレン部分を表し、nは1〜4の整数であり、そしてAr、Ar、Ar及びArの少なくとも一つはナフチル部分である。
【0021】
以下、有用な特定の(縮合芳香環を含有する)芳香族第三アミンを例示する。
4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)
4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]−p−ターフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル
2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン
2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン
【0022】
図1の発光層105は、該層内で正孔と電子が再結合する結果として発光する機能を提供する。発光層105の好適な実施態様には、1種以上の蛍光色素をドープしたホスト材料が含まれる。このホスト/ドーパント系組成を採用することにより、高効率OLEDデバイスを構築することができる。同時に、ELデバイスの色を、共通のホスト材料において発光波長の異なる複数の蛍光色素を使用することにより、調節することもできる。Tangらは、このドーパント計画を、譲受人共通の米国特許第4,769,292号において、Alqをホスト材料とするOLEDデバイスについて詳細に説明している。Tangらの米国特許第4,769,292号に記載されているように、発光層は、緑色発光性ドープ型材料、青色発光性ドープ型材料又は赤色発光性ドープ型材料を含有することができる。
【0023】
好適なホスト材料として、キレート化金属を、例えばAl、Mg、Li、Znとする8‐キノリノール系金属キレート化合物が挙げられる。別の好適な種類のホスト材料として、譲受人共通の米国特許第5,935,721号(Shiら)に記載されているようなアントラセン誘導体、例えば9,10−ジナフチルアントラセン、9,10−ジアントリルアントラセン、アルキル置換型9,10−ジナフチルアントラセン、が挙げられる。
【0024】
ドーパント材料には、蛍光性及びリン光性の色素及び顔料のほとんどが含まれる。好適なドーパント材料として、譲受人共通の米国特許第4,769,292号(Tangら)及び同第6,020,078号(Chenら)に記載されているような、クマリン6のようなクマリン類、4−ジシアノメチレン−4Hピランのようなジシアノメチレンピラン類が挙げられる。
【0025】
図1の電子輸送層106は、カソードから注入された電子を図1の発光層105へ送り込む機能を提供する。有用な材料として、譲受人共通の米国特許第5,645,948号(Shiら)に記載されているように、Alq、ベンズアゾールが挙げられる。
【0026】
図1のバッファ層107は、カソードを堆積する際のスパッタによる損傷を抑える機能を提供することにより、OLEDデバイス100の性能を維持し、又は高める。バッファ層107はフタロシアニン又はその誘導体を含む。フタロシアニンに関する情報については、Neil B. McKeownによる専攻論文「Phthalocyanine Materials」(Cambridge University Press, 1998, p. 3)に見ることができる。好適な材料として、含金属又は非含金属系のフタロシアニン又はその誘導体、ポルフォリン系化合物及び芳香族六つ組、例えば、E. Clarによる「Aromatic Sextet」(John Wiley & Sons, 1972)に記載されているもの、が挙げられる。図1のバッファ層107は、厚さが5〜100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0027】
図1の電子注入性ドーパント源層108は、透明であり、かつ、アルカリ金属化合物又はその熱分解生成物を含む。図1のドーパント源層108の上に、スパッタ型カソード109が蒸着される。ドーパント源として特に有用なアルカリ金属化合物は、LiF、KF、RbF、CsF、KIO、RbNO、CsNO及びCsOOCCH又はそれらの熱分解生成物である。アルカリ金属化合物の中には、蒸発が調和しないものがあり、バッファ層107上に堆積したドーパント源層の組成が当該蒸発装填材料とは異なる場合がある。アルカリ金属ドーパントを提供するドーパント層108は電気絶縁体となり得るので、有効であるためには、図1のドーパント源層108の厚さを0.1〜10nmの範囲内にすることが適当であり、さらにその厚さが0.2〜5nmの範囲内にあると一層好適である。
【0028】
図1のスパッタ型カソード109は、厚さ数十nmの全反射性薄膜であって、図1のETL(106)に電子を効率的に注入することができる合金をはじめとする材料を含むものであることが典型的である。本発明において、図1のドーパント源層108の上に反応性金属又は合金をスパッタすることにより、効率的なカソードを製作できることが定められた。表面発光型デバイスの場合、図1のスパッタ型カソード層109を、その厚さを極力薄くすることにより実質的に透明にすればよい。アルミニウムは、高仕事関数金属であり、図1のAlq電子輸送層106上に直接堆積すると、電子注入効率が非常に低くなる。本発明においては、バッファ/ドーパント源の組合せ層(図1の層107/108)の上にスパッタされたAl又はMgが、効率的な電子注入層として機能することがわかった。スパッタ型カソード109はAlもしくはMgの合金又はその組合せであることができる。Al又はMg以外の金属も、当該CuPc/ドーパント源層との組合せで効率的な電子注入接点となり得、そのような金属として珪素、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム又はこれらの合金を挙げることができる。
【0029】
図1の態様が好適であると考えられるが、当業者であれば、正孔注入層103、正孔輸送層104及び電子輸送層106を使用しないデバイスも作製し得ることを認識することができる。また、当業者であれば、発光層105が正孔輸送機能及び電子輸送機能を有するように選定され得ること、そしてアノード層が正孔注入層として機能し得ることも認識することができる。このような場合、デバイスは層105を必要とするが、層103、104及び106を必要としない。
【0030】
【実施例】
以下の実施例では、列挙した頭字語に対応する適当な構造及び動作変数については表1を参照すべきである。
特に断らない限り、基本有機EL媒体は、ガラス基板上に厚さ42 nmのITOアノード層を設け、その上に、厚さ75 nmのNPB正孔輸送層(HTL)及び厚さ60 nmのAlq発光性電子輸送層(EML/ETL)を堆積させたものとする。NPB層とAlq層は、真空コーター内で、1回のポンプダウン運転で被覆した。次いで、試料をバッチ毎に多機能型コーターに移し、そこで残りの層を適当な序列で堆積させて各種デバイス配置を製作した。多機能型コーターは蒸発ボート、蒸発るつぼ、及び口径2インチのスパッタガンを装備した。CuPcとアルカリ金属化合物は抵抗加熱式ボートから蒸発させ、一方、MgとAlはスパッタした。1つの試料を使用して、るつぼからAlをe−ビーム加熱方式で堆積させることにより、LiF/Al二層形カソードを有する対照用セルを製作した。スパッタリングのため、堆積室に高純度Arを30SCCMの流量で埋め戻し、一定の圧力(典型的には16ミリトル(mT))を維持した。スパッタ堆積は、高純度Mg又はAlのターゲットにDC電力を適用することにより実施した。Mgの堆積速度は80 Wにおいて1.2 nm/sとし、Alの堆積速度は120 Wにおいて1.1 nm/sとした。堆積速度がスパッタリング変数の選定により容易に制御し得ることは認識されている。単一ターゲットからのスパッタリングを採用したが、複数のターゲットによる同時スパッタリングを採用して処理量を高めることもできる。別の電源として、DCの代わりにRFを採用してもよい。金属層に代えて、特性の高い合金層を利用し得ることが考えられる。また、合金層の組成を調整するために、単一合金ターゲットからのスパッタリングに代えて、複数のターゲットによる同時スパッタリングを採用し得ることも理解できる。完成したデバイスは、窒素雰囲気下のグローブボックス内で封入し、約70℃で数時間これに熱処理を施した。その後、PR650ラジオメーターを用いて、駆動電流の関数として輝度を測定した。表中の駆動電圧V(ボルト)及び輝度(cd/m)は、20 mA/cmに相当する電流が当該デバイスを通過する時に測定された値である。
【0031】
例1
表2に、本発明によるデバイスと対照用デバイスの、有機EL媒体のバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス20及び21のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。対照用デバイス20は、厚さ0.5 nmのLiF層の上に厚さ70 nmのAl層を堆積してなる標準カソードを備えたものであるが、輝度538 cd/m及び動作電圧5.5ボルトを示した。デバイス21には厚さ20 nmのCuPcバッファ層を設け、その上に厚さ0.5nmのLiF層を蒸着した。厚さ50 nmのAl層をスパッタ法で堆積させて、当該デバイスの製造を完了した。デバイス21は、輝度554 cd/m及び動作電圧5.8ボルトを示した。デバイス21は、標準デバイス20と実質的に同等な動作電圧及び輝度効率を有する。標準デバイス20は、Al層を蒸発法で堆積させたので、損傷のないものと仮定される。したがって、デバイス21の場合、Alをスパッタ堆積した際に高効率電子注入接点が形成され、しかも厚さ20 nmのCuPcが、Alのスパッタ堆積による損傷を排除し又は極小化したものと考えられる。
【0032】
表2:対照用デバイス及びスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表1】
Figure 2004014511
【0033】
例2
表3に、2種のデバイス30及び31のバッファ及びカソード構造をまとめた。デバイス31は本発明により製造されたものである。デバイス30及び31のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。しかしながら、本実験では、汎用の厚さ60 nmのAlqに代えて、厚さ35 nmの薄いAlq系EML/ETL層を採用した。デバイス30にはLiF(ドーパント源)層を設けず、厚さ20 nmのCuPcバッファ層を設け、その上に厚さ50 nmのAl層をスパッタ法で堆積させた。このデバイスの性能は非常に悪く、わずか9 cd/mの輝度及び動作電圧8.2ボルトを示した。厚さ20 nmのCuPc層がスパッタ損傷に対する優れた保護を提供したデバイス21の性能(表2)を基準とすると、デバイス30の性能は、ドーパント源層が存在しないために極めて劣悪になったものと考えられる。デバイス31のように、CuPc層の上に、厚さ0.5 nmのLiFからなるドーパント源層を設けると、その効率がデバイス30に比べ急激に向上した。デバイス30とデバイス31とは、Alをスパッタする際の厚さ及び堆積の変数を同一とした。デバイス31とデバイス21(表2)は、どちらも効率的であるが、輝度及び駆動電圧に差があることに留意すべきである。これは、デバイス31は薄いEML/ETL層を有するからである。表3のデータは、高効率デバイスを製造するためにはドーパント源層が必要であることを示している。
【0034】
表3:LiFドーパント源層の有無によるスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表2】
Figure 2004014511
【0035】
例3
表4に、本発明によるデバイスと対照用デバイスの、有機EL媒体のバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス40及び41のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。しかしながら、本例におけるITOアノード層は、汎用の42 nmに代えて、85 nmの厚さとした。
対照用デバイス40は、厚さ0.5 nmのLiF層の上に厚さ70 nmの蒸発型Al層を堆積してなる標準カソードを備えたものであるが、輝度679 cd/m及び動作電圧5.8ボルトを示した。デバイス41には厚さ30 nmのCuPcバッファ層を設け、その上に厚さ0.5 nmのLiF層を蒸着した。厚さ50 nmのAl層をスパッタ法で堆積させて、当該デバイスの製造を完了した。デバイス41は、輝度585 cd/m及び動作電圧6.0ボルトを示した。デバイス41は、標準デバイス40と実質的に同等な動作電圧及び輝度効率を有する。デバイス41においては、Alのスパッタ堆積が効率を低下させなかったものと考えられる。デバイス41はデバイス40より輝度が約14%低いが、これは、厚さ30 nmのCuPC層における吸収が原因となったものと考えられる。
【0036】
表4:対照用デバイス及びスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表3】
Figure 2004014511
【0037】
例4
表5に、本発明による一連のデバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス51〜53のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。しかしながら、本実験では、汎用の厚さ60 nmのAlqに代えて、厚さ35 nmの薄いAlq系EML/ETL層を採用した。一連のデバイスにおいて、LiFドーパント源層の厚さを変動させたが、いずれのデバイスもスパッタ型Al層については同一とした。当該データから明らかなように、デバイスの性能はドーパント源層の厚さに左右されなかった。これらデバイスの駆動電圧及び輝度は測定誤差範囲内にあるようである。使用したCuPc層が比較的厚いこと、及び対照用セルは製造しなかったことに留意すべきである。駆動電圧は、表2及び表4に示した値よりも低くなっている。これは、本例におけるEML/ETL層が薄いからである。
【0038】
表5:LiF層の厚さが異なるスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表4】
Figure 2004014511
【0039】
例5
表6に、本発明による一連のデバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス61〜64のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。しかしながら、本例では、汎用の厚さ60 nmのAlqに代えて、厚さ40 nmの薄いAlq系EML/ETL層を採用した。一連のデバイスにおいて、LiFドーパント源層の厚さを変動させ、そしてLiFの厚さ範囲を例4の場合よりも拡張した。いずれのデバイスも、スパッタ型Al層については同一とした。LiFの厚さが5 nmの場合にも、デバイスは非常によく機能していることが明らかである。デバイスの性能は、0.5〜5 nmの範囲にわたり、LiF層の厚さに左右されないようである。すべてのデバイスの駆動電圧及び輝度は測定誤差範囲内にあるようである。これらの例において、使用したEML/ETLが薄いこと、使用したCuPc層が比較的厚いこと、及び対照用セルは製造しなかったことに留意すべきである。LiFの厚さは、5 nmを越えても、おそらく10 nmまでは有効となり得るものと考えられる。
【0040】
表6:LiF層の厚さが異なるスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表5】
Figure 2004014511
【0041】
例6
表7に、本発明による一連のデバイス及び対照用デバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス70〜73のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、有機層は1回のポンプダウン運転で堆積させた。対照用デバイス70は、厚さ0.5 nmのLiF層の上に厚さ70 nmのAl層を堆積してなる標準カソードを備えたものであるが、輝度488 cd/m及び動作電圧5.8ボルトを示した。本例では、バッファ層の厚さを変えて、CuPcのMgスパッタリングに対する有効性を検討した。これらのデバイスはすべて、Mg層の厚さ及びスパッタリング変数を同一とした。デバイスのデータは、効率的な電子注入を提供する上で、LiF及びCuPcを組み合わせた場合のMgが有効であることを示唆するものである。さらに本データは、対照用デバイス70に比べて動作電圧が若干高く、かつ、輝度が多少低いことから明らかなように、デバイス71においては、EL媒体に対するスパッタによる損傷が完全には排除されていないことも示唆している。厚さ8 nmのCuPcバッファ層はスパッタによる損傷に対して大きな効果を有するが、Mgをスパッタ堆積する際の完全な保護にはならなかったものと考えられる。デバイス72のようにCuPcを厚くすると、スパッタによる損傷が実質的に排除された。デバイス73のように、CuPcを15 nmより厚くしても、さらに利益が増大することはないようである。
【0042】
表7:LiF層の厚さが異なるスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表6】
Figure 2004014511
【0043】
例7
表8に、本発明による2種のデバイス及び対照用デバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。
デバイス80〜82のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一である。対照用デバイス80は、厚さ0.5 nmのLiF層の上に厚さ70 nmのAl層を堆積してなる標準カソードを備えたものであるが、輝度500 cd/m及び動作電圧5.8ボルトを示した。本発明によるデバイス81及び82については、CuPcの堆積速度を変動させたが、CuPcの厚さは一定とした。各デバイスに、同一のスパッタリング変数を用いて、Al層を設けた。デバイス81及び82の性能は、デバイス80と実質的に同等であった。CuPc層による保護特性は、0.1 nm/s〜0.4 nm/sの範囲内の堆積速度には左右されないようである。
【0044】
表8:厚さ30 nmのCuPc層を各種速度で堆積した対照用デバイス及びスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表7】
Figure 2004014511
【0045】
例8
表9に、本発明によるデバイス及び対照用デバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。
デバイス90及び91のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、これらを1回のポンプダウン運転で堆積させた。しかしながら、本例では、汎用の厚さ60nmのAlqに代えて、厚さ35 nmの薄いAlq系EML/ETL層を採用した。また、使用したCuPc層が比較的厚いこと、そして対照用デバイスは製造しなかったことにも留意すべきである。本例では、2種のドーパント源層の有効性について比較した。各デバイスには同一のスパッタ型Al層を設けた。厚さ0.5 nmのLiF層を有するデバイス90は、高い効率及び低い動作電圧を示した。厚さ0.5 nmのCsF層を有するデバイス91は、デバイス90ほどには効率的でなかったが、その性能を最適化により改良することは可能であるものと考えられる。
【0046】
表9:異なるドーパント源層を有するスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表8】
Figure 2004014511
【0047】
例9
表10に、本発明によるデバイス及び対照用デバイスのバッファ及びカソード構造並びにその性能をまとめた。デバイス100〜105のITO、HIL、HTL及びEML/ETLの各層は同一であり、これら有機層を1回のポンプダウン運転で堆積させた。本例は、数種のアルカリ金属化合物のドーパント源層と、Al及びMgのスパッタ金属層とを含む。本例はさらに、一定のCuPcバッファ層に対し、厚さの異なるドーパント源層を含む。蒸発型Al層を有する対照用デバイス100を、カソード堆積に際して損傷のないものと仮定する。デバイス100は輝度490 cd/m及び動作電圧5.4ボルトを示した。デバイス101には厚さ20 nmのCuPcバッファ層を設け、その上に厚さ0.5 nmのLiF層を蒸着した。厚さ70 nmのMg層をスパッタ法で堆積させて、デバイスの製造を完了した。スパッタ型カソードデバイス101の性能は、対照用デバイス100の性能と実質的に同等であることから、スパッタリングによって高効率電子注入接点が形成されたこと、そして厚さ20 nmのCuPcバッファ層が、スパッタによる損傷を排除し、又は極力抑えた、ことが示唆される。デバイス102は、構造上はデバイス101と同一であるが、ドーパント源層が厚さ0.5 nmのRbNOである点で異なる。これら2種のデバイスの性能データから、ドーパント源としてRbNOがLiFと同等の有効性を有することが示唆される。厚さ0.5 nmのRbFドーパント源層及びスパッタ型Mg層を有するデバイス103のデータは、動作電圧が若干高くなるが、発光効率が低下することはない。デバイス104及び105のように、スパッタ型Alを、さらに厚いRbF又はRbNOドーパント源及びCuPcバッファと組み合わせて使用した場合には、性能が若干低下したようである。しかしながら、これらの結果は、プロセス変数及びデバイス構造の最適化により、改良され得るものと考えられる。
【0048】
表10:対照用デバイス及び数種のスパッタ型カソードデバイスのバッファ、カソード構造及び性能
【表9】
Figure 2004014511
【0049】
上記の例1〜9は、アルカリ金属化合物を含む薄いドーパント源層を、CuPc系バッファ層及びAl又はMg系スパッタ層と組み合わせることにより、OLED用の高効率電子注入接点が得られることを示している。上記の例では、ドープされていないAlq発光体を使用したが、当該発光層を1又は2種以上の発光性材料でドープすることは可能である。本発明によると、ドーパント源層がバッファ層の上に堆積され、バッファ層自体はETLの上に配置される。バッファ層は、CuPc、その誘導体その他の耐プラズマ性を有する材料を含み、金属又は合金をスパッタ堆積する際の損傷から有機EL媒体を保護する上で非常に有効となり得る。スパッタによる損傷をなくし、かつ、電子注入性を高めることによって、CuPc/ドーパント源/スパッタ型Al又はMgの組合せは、蒸発型LiF/Al系カソードを有する対照用デバイスと本質的に性能が同等であるスパッタ型カソード含有デバイスとなる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によると、カソード層をスパッタ堆積する際の損傷に対して有意な保護を付与するOLEDデバイス構造体が提供される。
本発明の有利な効果は、スパッタリングの際の有機層に対する損傷が極力軽減されるため、カソード堆積の高速化が可能になることである。
本発明の別の有利な効果は、スパッタ層が、電子注入性ドーパントを含有する合金である必要がないことである。
本発明の別の有利な効果は、スパッタ層が、必ずしも低仕事関数を有するとは限らない純金属のものであってもよいことである。
本発明の別の有利な効果は、利用できる製造上の許容幅が広がることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるOLEDデバイスの層構造を示す略横断面図である。
【符号の説明】
100…有機発光ダイオードデバイス(OLED)
101…基板
102…アノード
103…正孔注入層(HIL)
104…正孔輸送層(HTL)
105…発光層(EML)
106…電子輸送層(ETL)
107…バッファ層
108…電子注入性ドーパント源層
109…スパッタ型カソード
110…電源
111…導体

Claims (9)

  1. (a)基板、
    (b)該基板の上に設けられた、導電性材料でできたアノード層、
    (c)該アノード層の上に設けられた、電場発光材料を含む発光層、
    (d)該発光層の上に設けられた、フタロシアニン又はその誘導体を含むバッファ層、
    (e)該バッファ層の上に設けられた、アルカリ金属化合物又はその熱分解生成物を含む電子注入性ドーパント源層、及び
    (f)該バッファ層の上に設けられた、該バッファ層と共に該発光層への電子注入機能を果たすように選ばれた金属又は合金のスパッタ層
    を含んで成る有機発光ダイオードデバイス。
  2. 該電子注入性ドーパント源がLiF、KF、RbF、CsF、KIO、RbNO、CsNOもしくはCsOOCCH又はそれらの熱分解生成物を含む、請求項1に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  3. 該ドーパント源層の厚さが0nmより厚く、かつ、10nmより薄い、請求項2に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  4. 該ドーパント源層の厚さが0.2nm〜5nmの範囲内にある、請求項3に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  5. 該バッファ層が銅フタロシアニン又は銅フタロシアニン誘導体を含む、請求項1に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  6. 該バッファ層の厚さが5nmより厚く、かつ、100nmより薄い、請求項5に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  7. 該スパッタ層の金属が珪素、スカンジウム、チタン、クロム、マンガン、亜鉛、イットリウム、ジルコニウムもしくはハフニウム又はそれらの合金を含む、請求項1に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  8. 該発光層がAlqを含む、請求項1に記載の有機発光ダイオードデバイス。
  9. 該発光層が1又は2種以上の発光性ドープト材料を含有する、請求項1に記載の有機発光ダイオードデバイス。
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