JP2004014066A - 光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録媒体 Download PDF

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Yoshihisa Usami
宇佐美 由久
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Abstract

【課題】反りが少なく、良好な記録特性を有する光情報記録媒体の製造方法、及び該製造方法により製造される光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】片面に、予め保護フィルムが設けられたカバーフィルムから該保護フィルムを剥離する際又は剥離後に、当該カバーフィルムを除電する工程と、基板上に設けられた記録層側の表面に、前記保護フィルムが設けられていた面とは反対の面を当接するようにして粘着剤又は接着剤を用いてカバーフィルムを貼り合わせる工程と、をその順に有してなり、前記カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体の製造方法、及び該製造方法により製造される光情報記録媒体。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定波長のレーザ光を用いて記録及び再生を行うことができる追記型光情報記録媒体の製造方法、及び該製造方法により製造される光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金等の金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層したものである。このCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長のレーザ光)を照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)によりその部分の光学的特性が変化することにより情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化していない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。
【0003】
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァーサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが提案されている(例えば、「日経ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発行)。このDVD−Rは、照射されるレーザ光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rの半分以下(0.74〜0.8μm)という狭い溝幅で形成された透明な円盤状基板上に、通常、有機色素を含有する記録層、光反射層、および保護層をこの順に積層したディスクを2枚、記録層を内側にして貼り合わせた構造、あるいはこのディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを記録層を内側にして貼り合わせた構造を有している。そして、このDVD−Rへの情報の記録および再生は、可視レーザ光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザ光)を照射することにより行われており、CD−Rより高密度の記録が可能である。
【0004】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も開始された。このような状況の下で、画像情報を安価簡便に記録することができる大容量の記録媒体が必要とされている。DVD−Rは現状では大容量の記録媒体としての役割を十分に果たしているが、大容量化、高密度化の要求は高まる一方であり、これらの要求に対応できる記録媒体の開発も必要である。このため、DVD−Rよりもさらに短波長の光で高密度の記録を行なうことができる、より大容量の記録媒体の開発が進められている。
【0005】
通常、光情報記録媒体の高密度化は、記録及び再生用レーザの短波長化、対物レンズの高NA化によりビームスポットを小さくすることで達成することができる。最近では、波長680nm、650nm及び635nmの赤色半導体レーザから、更に超高密度の記録が可能となる波長400nm〜500nmの青紫色半導体レーザ(以下、青紫色レーザと称する。)まで開発が急速に進んでおり、それに対応した光情報記録媒体の開発も行われている。特に、青紫色レーザの発売以来、該青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムの開発が検討されており、相変化する記録層を有する書換型光情報記録媒体及び光記録システムは、既に、DVRシステム(「ISOM2000」210〜211頁)として発表されている。これにより、書換型光情報記録媒体における高密度化の課題に対しては、一定の成果が得られた。
【0006】
上述のような青紫色レーザと高NAピックアップを利用した光記録システムに用いる光情報記録媒体は、青紫色レーザ光を記録層に照射させる際、高NAの対物レンズの焦点を合わせるために、レーザ光が入射する面を有するカバー層を薄化することが好ましい。ここで、カバー層としては、例えば、薄いフィルムが使用され、接着剤又は粘着剤を用いて記録層に接着されている。カバー層の厚さは、通常、接着剤や粘着剤が硬化し形成された接着層又は粘着層を含め約100μmであるが、照射されるレーザの波長やNAにより最適化される。
【0007】
このようなカバー層を備える光情報記録媒体を製造する際に、カバー層としては、通常、透明フィルムに光入射面を保護する保護フィルムが設けられたものを用いる。この保護フィルムは、最終的には、透明フィルムから剥離されることになるが、この剥離の際、透明フィルムが帯電し、ほこりなどの異物を吸着してしまい、その付着面が光入射面であることから、記録特性の低下にも影響を及ぼしていた。また、透明フィルムは上述のようにとても薄いため、帯電することでその透明フィルムに反りが発生したり、記録層側の表面に貼り合わせる際に、部分的に吸着性が変化するため均一に貼り合わせられない、等の問題を有し、結果的に、記録特性を低下させてしまう懸念を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、反りが少なく、良好な記録特性を有する光情報記録媒体の製造方法、及び該製造方法により製造される光情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下に示す本発明により達成される。
すなわち、本発明は、
片面に、予め保護フィルムが設けられたカバーフィルムから該保護フィルムを剥離する際又は剥離後に、当該カバーフィルムを除電する工程と、
基板上に設けられた記録層側の表面に、前記保護フィルムが設けられていた面とは反対の面を当接するようにして粘着剤又は接着剤を用いて前記カバーフィルムを貼り合わせる工程と、をその順に有してなり、
前記カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体の製造方法である。
また、本発明は、
前記光情報記録媒体の製造方法により製造されることを特徴とする光情報記録媒体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光情報記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明は、基板上に、少なくとも、記録層とカバーフィルムとがこの順に設けられてなり、該カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体の製造方法であって、以下の2つの工程、即ち、
(a)片面に、予め保護フィルムが設けられたカバーフィルムから該保護フィルムを剥離する際又は剥離後に、当該カバーフィルムを除電する工程(カバーフィルム除電工程)と、
(b) 基板上に設けられた記録層側の表面に、前記保護フィルムが設けられていた面とは反対の面を当接するようにして粘着剤又は接着剤を用いて前記カバーフィルムを貼り合わせる工程(カバーフィルム貼り合わせ工程)と、
をその順に経ることを特徴とする。
以下、各工程毎に説明する。
【0011】
[(a)カバーフィルム除電工程]
この工程は、カバーフィルムの片面に予め設けられている保護フィルムを剥離する際に、カバーフィルムが帯電してしまい、その帯電した状態のカバーフィルムにほこり等の異物が付着するのを防止するものである。また、この工程を経ることにより、帯電することでカバーフィルムに反りが発生ことを防止でき、部分的に吸着性が変化し、後述する(b)カバーフィルム貼り合わせ工程において、均一に貼り合わせられなくなることを防止することも可能である。
ここで、本発明において、「除電」とは、カバーフィルムから保護フィルムを剥離する際に帯電したカバーフィルムの帯電量を低下させることを指し、好ましくは、カバーフィルムの帯電量を3kV以下にすることであり、帯電量を1kV以下にすることがより好ましい。
【0012】
このように、カバーフィルムの帯電量を低下させる方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の除電手段を用いることができる。
除電手段としては、カバーフィルムにイオン風を当てる方法が最も一般的である。そのイオンを発生する方法としては、コロナ放電方式などがある。
また、除電バー、除電ブロア等の形態の除電装置を用いて、カバーフィルムにイオン風を当て、除電を行ってもよい。
更に、カバーフィルムの帯電量をセンシングして、その帯電量に応じたイオンを供給する除電システムを用いてもよい。
【0013】
また、この除電は、保護フィルムを剥離する際又は剥離後に行うことができる。ここで、保護フィルムを剥離する際に除電するとは、カバーフィルムから保護フィルムを剥離する最中、即ち、剥離中に除電することを指す。
保護フィルムの剥離中に除電を行う場合には、剥離中のカバーフィルムの帯電状態を経時的にセンシングしながら、それに対応するイオン風を当てる方法を用いてもよい。また、予め、保護フィルムを剥離する際の条件を定め、その条件で生じる帯電量を測定しておくことで、その帯電量を好ましい範囲内に制御するためのイオン風を当てるように、除電の条件を設定する方法を用いてもよい。
保護フィルムを剥離後に除電を行う場合には、保護フィルムの剥離直後の帯電状態を確認し、それに応じたイオン風を当てる方法を用いてもよい。また、保護フィルムの剥離中に除電を行う場合と同様にして、帯電量の実験値を予め測定しておき、その実験値に応じた除電の条件を設定する方法を用いてもよい。
【0014】
イオン風を当てる方法としては、保護フィルムの剥離中にイオン風を当てる場合には、保護フィルムの剥離に合わせて、除電バーなどを用いてその剥離方向に移動させながら行ってもよいし、除電装置を固定したままでイオン風を一定の方向から当ててもよい。イオン風を一定の方向から当てる場合、カバーフィルムに対して、剥離が開始される側の上部から吹き付けられることが好ましい。より具体的には、例えば、カバーフィルムを側面から見た場合に、カバーフィルムと、イオン風の吹出口と、のなす角度が20〜90°であることが好ましい。また、カバーフィルムと、イオン風の吹出口と、の間の距離は、最も短いところで、10〜1000mmの範囲であることが好ましく、50〜500mmの範囲であることがより好ましい。
【0015】
本発明における除電には、具体的には、例えば、キーエンス社製の静電気除去システムを用いることができる。この静電気除去システムは、I.C.C(IonCurrentControl)方式を用いており、対象物(本発明においてはカバーフィルム)の帯電量をイオン電流の状態をセンシングすることにより算出し、その帯電量に応じたイオンを対象物に供給することで、除電を行うというものである。
本発明における除電において、このような静電気除去システムとして、コロナ放電方式を用いた高速除電ブロアSJ−F(キーエンス社製)を用いる場合、以下のような除電条件が挙げられる。
【0016】
保護フィルムの剥離中又は剥離後に除電を行う場合、イオン風を当てる時間、即ち、除電時間は、0.1〜100秒であることが好ましく、0.5〜50秒であることがより好ましく、1〜20秒であることが更に好ましく、1.5〜10秒であることが特に好ましい。この除電時間が0.1秒よりも短いと、十分な除電効果が得られない場合がある。また、除電時間が100秒よりも長いと、生産性が悪く、除電装置からのオゾンが発生するという問題を有することがあり、更に、長時間、イオン風に当たることで、光情報記録媒体の劣化が生じるという問題を有する場合がある。
【0017】
保護フィルムの剥離後に除電を行う場合には、剥離時から除電開始までの時間は、早ければ早いほど、本発明の効果は良好になるが、通常、一連の製造工程の中で除電が行われるため、0.1〜100秒であることが好ましく、1〜50秒であることがより好ましく、2〜30秒であることが更に特に好ましく、3〜20秒であることが特に好ましい。この時間が0.1秒よりも短いと、イオン風を当てるための除電領域までの搬送が間に合わないなど、搬送工程において不都合が生じる場合がある。また、この時間が100秒よりも長いと、カバーフィルムが帯電している時間が長いため、搬送又は放置中に表面に異物が付着したり、反りが発生する問題を有する場合がある。
【0018】
また、除電の際に吹出口におけるイオン風の風速の好ましい範囲はイオン風の吹出口からカバーフィルムまでの距離によって変化するが、例えば、その距離が最も短いところで10〜1000mmである場合は、0.1〜10m/sであることが好ましく、0.5〜7m/sであることがより好ましく、1〜4m/sであることが更に好ましい。この風速が0.1m/sよりも遅いと、十分な除電効果が得られない場合がある。また、風速が10m/sよりも早いと、カバーフィルム傷つく場合がある。
【0019】
また、この除電の際の雰囲気は、温度は、15〜40℃が好ましく、18〜30℃がより好ましく、20〜27℃が更に好ましい。温度が40℃よりも高いと、粘着剤の変性がおこったり、カバーフィルムの特性が変化してしまったり、更には、室温に戻した際に、カバーフィルムに反りが発生するような場合がある。一方、温度が15℃よりも低い時にも、室温に戻した際に、カバーフィルムに反りが発生するような場合がある。
湿度は、32〜80%RHであることが好ましく、35〜70%RHであることがより好ましく、40〜60%RHであることが更に好ましい。湿度が80%RHよりも高いと、除電装置の一部に結露が発生する場合があり、更に、室湿に戻した際に、カバーフィルムに反りが発生するような場合がある。一方、湿度が32%RHよりも低いと、静電気によりカバーフィルムにゴミが付着する問題や、放電によりカバーフィルムに損傷(傷)が発生する場合がある。
【0020】
本工程において、カバーフィルムは、少なくとも、片面に保護フィルムが設けられている構成であればよいが、その形状は、予め、ディスク型に成形したものを用いてもよいし、ロール状のものやシート状のものを用いてもよい。よって、除電は、ディスク型に形成したものから保護フィルムを剥離する際又は剥離後に行ってもよいし、ロール状のものやシート状のものから保護フィルムを剥離する際又は剥離後に行ってもよい。このように、除電するカバーフィルムの形状が異なる場合は、その形状に適する除電装置を選択し、種々の除電条件を、適宜、調整することが好ましい。
なお、本工程において、ロール状のものやシート状のものを用いる場合には、(b)カバーフィルム貼り合わせ工程の前に、ディスク型に打ち抜く工程が必要となる。
【0021】
[(b)カバーフィルム貼り合わせ工程]
(b)カバーフィルム貼り合わせ工程は、少なくとも、基板と記録層とからなるディスク型積層体に、粘着剤又は接着剤を用いてカバーフィルムを貼り合わせる工程である。
ここで用いられるカバーフィルムは、少なくとも、片面に保護フィルムが設けられた構造を有する。なお、カバーフィルムの片面とは、光入射する面であることが好ましい。
カバーフィルムとしては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
【0022】
また、カバーフィルムは、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバーフィルムの表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバーフィルムの複屈折は10nm以下であることが好ましい。
【0023】
カバーフィルムの厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定されるが、0.03〜0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、カバーフィルムを貼り合わせる工程におけるの取り扱いが容易となり、しかも、コマ収差を抑えることができるという利点がある。
また、カバーフィルムと、接着剤又は粘着剤からなる層と、を合せた厚さは、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
【0024】
保護フィルムは、前記カバーフィルムの表面が傷つくことを防止する機能を有する。特に、光入射面の傷は記録特性に大きな影響を及ぼすため、保護フィルムは、カバーフィルムの光入射面側に設けられることが好ましい。
このような保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、塩化ビニルフィルム、塩化ビニリデンフィルムが好適に使用することができる。この保護フィルムは、カバーフィルムの表面に接着剤又は粘着剤を介して貼り合わされる。
【0025】
カバーフィルムをディスク型積層体に貼り合わせるための接着剤としては、例えば、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特に、UV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤は、例えば、ディスク型積層体の貼り合わせ面(記録層側の表面)上に所定量塗布し、カバーフィルムを貼り合わせた後、スピンコートにより接着剤を、積層体とカバーフィルムとの間に均一になるように広げて、硬化させてもよい。また、カバーフィルムの保護フィルムが設けられている面とは反対の面に、所定量を均一に塗布し、その塗膜を介してディスク型積層体の貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
塗布する接着剤の量は、最終的に形成される接着層の厚さが、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲になるように調整する。
【0026】
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、もしくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサから積層体表面やカバーフィルムに供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、用いるUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
【0027】
また、粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどと、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
【0028】
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
【0029】
粘着剤は、ディスク型積層体の貼り合わせ面(記録層側の表面)上に所定量、均一に塗布し、カバーフィルムを貼り合わせた後硬化させてもよいし、カバーフィルムの保護フィルムが設けられている面とは反対の面に、所定量を均一に塗布し、その塗膜を介してディスク型積層体の貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
カバーフィルムに、予め、粘着層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
【0030】
また、本発明におけるカバーフィルムの構成は、光情報記録媒体の製造工程における貼り合わせ方法に応じて、その構成を変えることが好ましい。例えば、カバーフィルムは、一方の面に保護フィルムが設けられていて、かつ、他方の面に記録層側の表面と貼り合わせるための接着層又は粘着層が設けられた積層体の構成であってもよく、また、その接着層又は粘着層の表面には更に離型フィルムが設けられた4層構造であってもよい。
更に、カバーフィルムの両面の傷つきを防止するために、同じような保護フィルムをカバーフィルムの両面に設けた積層体を用いてもよい。このような構成の場合、前記(a)の工程では、保護フィルムの剥離が、通常、2回に分けて行われるため、その度に除電をした方が好ましい。また、帯電量も増大するために、その除電条件も、適宜、調整される。
【0031】
本発明の光情報記録媒体の製造方法によれば、除電工程を経たカバーフィルムを用いることにより、製造された光情報記録媒体の光入射面に空気中のほこり等が付着することを低減することができる。これにより、異物の付着に起因する記録特性の低下を防止することが可能である。また、帯電によるカバーフィルムの反りをも低減させることができ、更に、部分的に吸着性が変化し、(b)工程において均一に貼り合わせられなくなることを防止することも可能なため、記録特性をより優れたものとすることができる。
【0032】
ここで、本発明の光情報記録媒体の製造方法においては、前記(a)カバーフィルム除電工程や、(b)カバーフィルム貼り合わせ工程の他にも、後述する、基板上に光反射層を形成するための光反射層形成工程、該光反射層上に前記記録層を形成する記録層形成工程、を始めとした種々の公知の工程を有する。
【0033】
<光反射層形成工程>
光反射層形成工程は、後述する基板のプリグルーブが形成された面に光反射性物質からなる光反射層を形成する工程である。
基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、1.1±0.3mmとすることが好ましい。
【0034】
基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。より高い記録密度を達成するためにはCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのプリグルーブが必要となる。例えば、DVR−blueのような媒体として使用する場合には、プリグルーブのトラックピッチは、200〜400nmの範囲にとすることを必須とし、好ましくは、250〜350nmの範囲となる。また、プリグルーブの深さ(溝深さ)は、20〜150nmの範囲とすることを必須とし、好ましくは、50〜100nmの範囲となる。
【0035】
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
該下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0036】
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0037】
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、ZRHf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、RH、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0038】
<記録層形成工程>
記録層形成工程は、前記光反射層上に記録層を形成する工程である。当該記録層は、波長600nm以下のレーザ光により情報の記録が可能で、記録物質としての色素を含有していることが好ましい。当該記録層に含有される色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
【0039】
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0040】
記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に形成された光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0041】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0042】
結合剤を使用する場合に、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に記録物質に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
【0043】
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。また、記録層の層厚は、一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。更に、塗布液温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
【0044】
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
【0045】
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0046】
<中間層(バリア層)形成工程>
本発明の光情報記録媒体の製造方法において、前記記録層上には、中間層(バリア層)が設けられてもよい。バリア層は記録層の保存性を高め、記録層とカバー層との接着性を向上させるために設けられる。バリア層に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、誘電体であることが好ましい。具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO、GeO、TeO、SiO、TiO、ZuO、ZnS−SiO、SnOが好ましく、ZnS−SiO、SnOがより好ましい。また、このバリア層は、蒸着、スパッタリング等の真空成膜により形成することができる。
【0047】
以上のように、光反射層形成工程と、記録層形成工程と、必要に応じて中間層(バリア層)形成工程と、を経て形成されたディスク積層体と、上述のカバー層の作製工程により作製されたカバー層と、を貼り合わせることにより、光情報記録媒体が得られる。
【0048】
以上、本発明においては、記録物質として色素等の有機化合物を含有する記録層を備えた光情報記録媒体の製造方法の例について説明したが、記録層は、相変化により記録を行う相変化記録層、光磁気により記録を行う光磁気記録層であってもよい。例えば、相変化記録層とする場合には、誘電体層はZnS−SiO等から構成し、光透過層の代わりに誘電体層を設ける。また、相変化記録層には、記録物質としてSb、Te、Ag、In等のカルコゲナイド等の金属化合物を使用することができる。
【0049】
以上のような種々の工程を有する本発明の光情報記録媒体の製造方法により製造された本発明の光情報記録媒体は、記録特性の低下に起因する光入射面への異物の付着が見られないため、優れた記録特性を有することが可能である。また、カバーフィルムに反りが発生したり、部分的に吸着性が変化し、(b)工程において均一に貼り合わせられなくなる問題もないため、更に、優れた記録特性を有することが可能である。
【0050】
本発明の光情報記録媒体は、例えば、次のようにして情報の記録、再生が行われる。まず、光情報記録媒体を所定の線速度(0.5〜10m/秒)、又は、所定の定角速度にて回転させながら、カバー層側から対物レンズを介して青紫色レーザ(例えば、波長405nm)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を所定の定線速度で回転させながら青紫色レーザ光をカバー層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
【0051】
500nm以下の発振波長を有するレーザ光源としては、例えば、390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ、中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ等を挙げることができる。
また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.7以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0053】
(実施例1)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグループ(溝深さ30nm、幅150nm、トラックピッチ340nm)を有する射出成形ポリカーボネート樹脂からなる基板のグルーブを有する面上に、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングによりAgからなる光反射層(厚さ100nm)を形成した(光反射層形成工程)。
【0054】
下記化学式で表わされる色素A:2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で光反射層上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、記録層(イングルーブの厚さ100nm、オングルーブの厚さ70nm)を形成した(記録層形成工程)。
【0055】
【化1】
Figure 2004014066
【0056】
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、40℃で1時間保持して行った。
【0057】
その後、記録層上に、RFスパッタリングによりZnS−SiO(ZnS:SiO=8:2(質量比))からなるバリア層(厚さ50nm)を形成して、積層体を作製した(バリア層形成工程)。バリア層の形成条件は下記の通りとした。
パワー ・・・4kW
圧力  ・・・2×10−2hPa
時間  ・・・10秒間
【0058】
[(a)カバーフィルム除電工程]
そして、予め、一方の面に保護フィルムが設けられ、他方の面に粘着剤が塗布してあるカバーフィルムから保護フィルムを剥離し、剥離終了時から3秒後に、カバーフィルムの除電を行った。除電には、高速除電ブロアSJ−F(キーエンス社製)を用い、その環境は、22℃、35%RH、クラス100(空気清浄度)であった。除電の際、高速除電ブロアの噴出口とカバーフィルムとの距離は最も遠いところで150mm、風速2m/s、除電時間(イオン風の当てた時間)5秒であった。これにより、カバーフィルムの帯電量は1kV以下となり、十分に除電されていることが判明した。
【0059】
[(b)カバーフィルム貼り合わせ工程]
その後、基板上に、反射層、記録層、バリア層がその順で設けられたディスク状積層体の内周ボスに合わせて、除電されたカバーフィルムを位置決めして、該バリア層と、粘着剤が設けられた面を、当接して貼り合わせた。この際、カバーフィルムと粘着層との厚さの合計が100μmとなるように設定した。
【0060】
(光情報記録媒体の反りの評価)
−タンジェンシャルチルト(t−tilt)値の測定−
得られた光情報記録媒体において、光情報記録媒体全体としての反りの状態を、円周方向の歪み(タンジェンシャルチルト値)を測定することで評価した。タンジェンシャルチルト値は、DLD4000(ジャパンEM社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0061】
(光情報記録媒体の記録特性評価)
−C/N(搬送波対雑音比)−
得られた光情報記録媒体を、405nmのレーザ、NA:0.85ピックアップを搭載した記録再生評価機(パルステック工業社製:DDU1000)を使用し、線速5.3m/sの条件で160nmのピットを形成し、スペクトルアナライザを用いてC/Nを測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004014066
【0063】
(実施例2)
実施例1の(a)カバーフィルム貼り合わせ工程において、粘着剤を紫外線硬化型接着剤(ex8204、大日本インキ製)に代えた他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様にして反りの評価及び記録特性評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0064】
(実施例3)
実施例1の(a)カバーフィルム除電工程において、カバーフィルムの除電を、保護フィルムの剥離中に行った他は、実施例1と同様にして、実施例2の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様にして反りの評価及び記録特性評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0065】
(比較例1)
実施例1の(a)カバーフィルム除電工程において、カバーフィルムを除電することを除く他は、実施例1と同様にして、比較例1の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様にして反りの評価及び記録特性評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0066】
(比較例2)
実施例2の(a)カバーフィルム除電工程において、カバーフィルムを除電することを除く他は、実施例2と同様にして、比較例2の光情報記録媒体を作製した。
作製された光情報記録媒体を、実施例1と同様にして反りの評価及び記録特性評価を行った。その結果を表1に併記した。
【0067】
表1の結果から、本発明の光情報記録媒体の製造方法から得られた実施例1〜3の光情報記録媒体は、比較例1、2の光情報記録媒体と比較して、光情報記録媒体全体としてタンジェンシャルチルト値が低く抑えられており、発生した反りが少ないことが明らかとなった。
また、実施例1〜3の光情報記録媒体は、比較例1、2の光情報記録媒体と比較して、C/Nの数値が高いことから、上記(a)工程においてカバーフィルムの除電を行うことにより、記録特性が良好となることが判明した。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、反りが少なく、良好な記録特性を有する光情報記録媒体の製造方法、及び該製造方法により製造される光情報記録媒体を提供することができる。

Claims (2)

  1. 片面に、予め保護フィルムが設けられたカバーフィルムから該保護フィルムを剥離する際又は剥離後に、当該カバーフィルムを除電する工程と、
    基板上に設けられた記録層側の表面に、前記保護フィルムが設けられていた面とは反対の面を当接するようにして粘着剤又は接着剤を用いて前記カバーフィルムを貼り合わせる工程と、をその順に有してなり、
    前記カバーフィルム側からレーザ光が照射されることで記録及び再生を行う光情報記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1の光情報記録媒体の製造方法により製造されることを特徴とする光情報記録媒体。
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