JP2004012708A - 塗布ローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することが可能なことを課題とする。
【解決手段】芯金31の周面に弾性体層32を設けた塗布ローラ30において、前記弾性体層32は、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層であることを特徴とする塗布ローラ30。
【選択図】 図4
【解決手段】芯金31の周面に弾性体層32を設けた塗布ローラ30において、前記弾性体層32は、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層であることを特徴とする塗布ローラ30。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられる塗布ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の加熱定着方式として、従来、図1に示すものが知られている。
【0003】
図中の付番1は定着ローラを示し、加圧ローラ2とともに対で使用される。前記定着ローラ1は、内部にヒーター3を有する中空芯金4の表面にフッ素樹脂、シリコーンゴム等からなる離型層5が設けられている。前記加圧ローラ2は、芯金6の表面にシリコーンゴム等からなる弾性層7を設けた構成となっている。従来、定着ローラ1と加圧ローラ2の一対のローラで構成されるニップ部に未定着画像を通過させることで定着を行っていた。
【0004】
また、近年、カラー化や省エネルギー化に対応するため、図2に示すようにポリイミド等の薄肉耐熱性樹脂や薄肉金属ベルトの表面にフッ素樹脂等の離型層を設けた定着ベルト8を介してヒーター9により加熱、定着する方式も行われている。
【0005】
これらの方式では、定着ローラや加圧ローラ、定着ベルトの表面にトナーが付着してしまう、いわゆる“トナーオフセット”の発生を抑える目的で各種シリコーンオイル等のオフセット防止液を定着ローラや加圧ローラ、定着ベルトの表面に塗布することが行われている。特に、カラー複写機、カラープリンターでは多色のトナーを充分溶融させる必要があるためにトナーオフセットが発生しやすく、オフセット防止液を塗布する構成の定着器の採用が増えている。このシリコーンオイル等のオフセット防止液を塗布する方法としては、以下の方法が知られている。
【0006】
(1)微細な穴のあいた中空芯金内部にオフセット防止液を封入、芯金周面の弾性体層を通して塗布する方法。
【0007】
(2)フェルト等によりオイルパン内のオフセット防止液を吸い上げて塗布する方法。
【0008】
(3)図3に示すような金属ローラ21によってオフセット防止液22を一旦汲み上げ、表面が弾性体からなる塗布ローラ23を用いて塗布する方法。塗布ローラ表面には金属等のブレード24を接触させてオイル量を規制することで一定量のオフセット防止液の塗布を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法によれば、以下に述べる問題点を有する。
【0010】
上記(1)の場合、芯金内部のオフセット防止液の量によって塗布量が変化してしまうため、長時間にわたって一定量を塗布することが困難である。
【0011】
上記(2)の場合、フェルトが一旦変形すると復元しないため、例えばフェルトと定着ローラの接触部分に異物が混入すると、フェルトが変形してしまいスジ状のオフセット防止液の塗布ムラが発生する問題があった。
【0012】
上記(3)の場合、塗布ローラ表面に接触させた金属や弾性体からなるブレードによってオフセット防止液を掻き取りながら塗布量を規制している。そのため、塗布ローラの表面粗さの違いによって塗布量が大きく変化してしまうので、塗布ローラの表面粗さを一定にすることが重要である。
【0013】
例えば、塗布ローラの弾性体層表面を研磨によって一定粗さにすることで塗布量を管理することも試みられてきた。しかし、弾性体は原料の物性の変化等により研磨性がばらつくことや砥石の摩耗によって徐々に表面粗さが変化していくこと等から研磨により弾性体の表面粗さを一定にすることが非常に困難であった。また、耐熱性のあるシリコーンスポンジを弾性体として用いる場合、シリコーンスポンジはシリコーンゴム原料に加硫剤、発泡剤を加えたものを加熱させることで、加硫、発泡を行って製造するが、スポンジのセル径が150〜500μmと粗く、バラツキも大きなものとなってしまい、例えばOHPシートの定着ではセル径の大きな部分がオフセット防止液の塗布ムラとして現れてしまう問題があった。
【0014】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することが可能な塗布ローラを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯金の周面に弾性体層を設けた塗布ローラにおいて、前記弾性体層は、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層であることを特徴とする塗布ローラである。
【0016】
また、本発明は、前記シリコーンゴム弾性体層が、液状シリコーンゴムに平均粒子径100μm以下の前記樹脂マイクロバルーンを含有させた、引張り強さが0.4MPa以上のシリコーンゴム弾性体であり、表面が研磨されていることを特徴とする塗布ローラである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記樹脂マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させたものを使用する。この場合、低沸点液状炭化水素等を内包する熱可塑性樹脂粒子を好適に用いることができる。なお、未膨張の熱可塑性樹脂粒子をシリコーンゴムに含有させ、シリコーンゴムの加硫と同時に膨張させることで弾性体層とすることも試みた。しかし、シリコーンゴムの粘度や加硫条件の変化によって熱可塑性樹脂粒子の膨張率が大きく変化したまうため、均一なスポンジが得られなかった。予め熱膨張させた樹脂マイクロバルーンをシリコーンゴムに配合し、硬化させることで均一、微細なスポンジが得られ、更に塗布ローラの表面層を研磨して形成することで均一、微細な凹凸のある表面状態となり、ムラのない均一なオフセット防止液の塗布が可能となる。
【0018】
前記樹脂マイクロバルーンは、平均粒径100μm以下のものを使用することが好ましい。ここで、平均粒径100μmを越えた樹脂マイクロバルーンを使用すると、塗布ローラ表面にセルの大きな部分が点々と現れ、OHPシートを使用して定着したときに塗布ムラとなって画像に現れてしまうためである。
【0019】
前記樹脂アイクロバルーンの含有量については、含有量が多すぎるとシリコーンゴム弾性体層の物性が低下し、少ないと塗布ローラとして十分な空孔を有するスポンジが得られない。よって、少なくともローラ表面が、微細な凹凸を有する状態となるのに十分な量の樹脂マイクロバルーンを混入しなければならない。この量は、当業者にとっては、ローラの設計、成形方法により適宜選択できる。
【0020】
また、シリコーンゴムは粘度が低く樹脂マイクロバルーンの変形や破壊を起こさずに比較的低温で短時間での硬化が可能な液状シリコーンゴム(LTVシリコーンゴム)を用いることが好ましく、弾性体層の硬化温度を樹脂マイクロバルーンを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度より低い温度とすることで、更に安定して微細なスポンジの弾性体が得られる。
【0021】
ところで、シリコーンゴムに樹脂マイクロバルーンを含有させると、物性が低下し、更に、塗布ローラとして使用するとオフセット防止液として通常用いられているシリコーンオイルによって膨潤が起こり、一層の物性低下を引き起こしてしまう。塗布ローラは定着ローラや加圧ローラ、定着ベルト、ブレード等に接触した状態で150〜200℃の高温で使用されるため、表面が摩耗しやすく、樹脂マイクロバルーンを含有した弾性体の引張り強さが0.4MPa以下では長時間の使用に耐えないことも見出した。この引張り強さはJIS K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)引張試験によって測定したオフセット防止液に膨潤する前の値である。
【0022】
本発明において、樹脂マイクロバルーンに使用する熱可塑性樹脂として例えばアクリルニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の共重合物が挙げられるが、液状シリコーンゴムの硬化温度で安定している熱可塑性樹脂であれば、上記した樹脂に限定されない。
【0023】
本発明の塗布ローラは、図3のように定着ローラや加圧ローラに直接オフセット防止液を塗布する構成のローラ以外にも、例えばフェルト等によって一旦塗布されたオフセット防止液の塗布ムラを均一にならすためのローラとして用いることができるのは言うまでもない。
【0024】
本発明に係る塗布ローラによれば、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例に係る塗布ローラについて、その製造方法を併記して説明する。なお、下記実施例で述べる各構成部材の数値、材質は一例を示すもので、これにより本発明が特定されるものではない。
【0026】
(実施例)
まず、本実施例に係る塗布ローラ30について、図4を参照して説明する。図中の符番31は、表面に接着剤(図示せず)を塗布した鉄材からなる外径8mmの芯金を示す。この芯金31の周面には、外径14mmの弾性体層32が形成されている。ここで、弾性体層32は、予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーン(商品名:エクスパンセル、日本フェライト(株)製)を含有するシリコーンゴム弾性体層である。
【0027】
こうした構成の塗布ローラ30は、図5のようにして製作される。
【0028】
まず、表面に接着剤を塗布した鉄材からなる外径8mmの芯金31を、内径15.0mmの金型33内に装着した。次に、芯金31と金型33の隙間に、下方から予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーンを含有する液状シリコーンゴム34を注入した。つづいて、金型33を120℃で20分加熱し液状シリコーンゴム34を硬化させた。
【0029】
次に、このローラを冷却し、金型33から外した後、180℃のオーブンで2時間の加熱処理(ポストキュアー)を行った。つづいて、冷却後、外径をφ13.5mmに研磨してから、シリコーンオイル(商品名:KF96 100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてφ14mmの塗布ローラ30を製造した。
【0030】
このように、上記実施例に係る塗布ローラ30は、図4に示すように、予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーンを含有するシリコーンゴム弾性体層32を、芯金31の周面に設けた構成となっている。従って、係る塗布ローラを用いれば、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することができる。
【0031】
ところで、前述したシリコーンオイル含浸前の前記弾性体層の物性をJIS
K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)引張試験の方法で測定したところ、引張り強さは0.6MPaであった。
【0032】
事実、図3の構成の塗布ローラを使用したカラープリンターに使用したところ、オフセット防止液が均一でムラのない状態で塗布可能であった。又、通紙試験を行ったところ、10万枚の通紙でも塗布ムラは発生せず、充分耐久性があることを確認し試験を中止した。
【0033】
(比較例1)
まず、下記配合の発泡シリコーンゴム原料を用意する。
【0034】
HTVシリコーン(商品名:KE904FU、信越化学工業(株)製)…100重量部
パーオキサイド(商品名:C−23N、信越化学工業(株)製)…1.0重量部
パーオキサイド(商品名:C−3、信越化学工業(株)製)…3.0重量部
発泡剤(商品名:KEP−13、信越化学工業(株)製) …3.0重量部
着色材(商品名:KE−COLOR−BP、信越化学工業(株)製)…0.5重量部
次に、これを8mmの芯金外周に厚さ2.5mmで巻き付けた後、220℃のオーブン中で2時間加熱して加硫、発泡を行った。つづいて、冷却後、表面を13.5mmに研磨し、シリコーンオイル(商品名:KF96100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてシリコーンゴム発泡体からなるφ14mmの塗布ローラを製造した。このとき、塗布ローラ表面のセル径は200〜350μmであった。
【0035】
この塗布ローラを上記実施例と同じカラープリンター用塗布ローラとして使用したが、OHPフィルムを定着後にフィルムを調べると、塗布ローラ表面のスポンジセルの凹凸がオフセット防止液の塗布量のムラとして現れてしまい、実用に耐えるものではないため使用を断念した。
【0036】
(比較例2)
まず、実施例と同じ予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーン(商品名:エクスパンセル091DE−80、日本フィライト(株)製)を使用し、引張り強さが0.32MPaとなる液状シリコーンゴムを用いる他は、実施例と同じ方法でφ13.5mmの塗布ローラを製作した。つづいて、シリコーンオイル(商品名:KF9 100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてφ14の塗布ローラとした。
【0037】
このようにして得られた塗布ローラを実施例と同様にカラープリンター用塗布ローラとして使用したところ、初期の画質はオフセット防止液が均一であり良好なものであった。そこで、通紙試験を行ったところ、約6千枚の通紙でスジ状のオフセット防止液の塗布ムラが発生し、塗布ローラをカラープリンターから外し表面を観察したところ、円周方向に摩耗による凹みが発生していた。このため、試験を中止した。
【0038】
このように、比較例1、2係る塗布ローラは塗布ムラ、通紙試験の点で実施例に係る塗布ローラと比べて劣ることが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することが可能な塗布ローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の加熱定着方式の説明図。
【図2】従来の他の加熱定着方式の説明図。
【図3】オフセット防止液を塗布する説明図。
【図4】本発明の一実施例に係る塗布ローラの断面図。
【図5】図1の塗布ローラの製造方法の説明図。
【符号の説明】
30…塗布ローラ、
31…芯金、
32…シリコーンゴム弾性体層、
33…金型、
34…液状シリコーンゴム。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられる塗布ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の加熱定着方式として、従来、図1に示すものが知られている。
【0003】
図中の付番1は定着ローラを示し、加圧ローラ2とともに対で使用される。前記定着ローラ1は、内部にヒーター3を有する中空芯金4の表面にフッ素樹脂、シリコーンゴム等からなる離型層5が設けられている。前記加圧ローラ2は、芯金6の表面にシリコーンゴム等からなる弾性層7を設けた構成となっている。従来、定着ローラ1と加圧ローラ2の一対のローラで構成されるニップ部に未定着画像を通過させることで定着を行っていた。
【0004】
また、近年、カラー化や省エネルギー化に対応するため、図2に示すようにポリイミド等の薄肉耐熱性樹脂や薄肉金属ベルトの表面にフッ素樹脂等の離型層を設けた定着ベルト8を介してヒーター9により加熱、定着する方式も行われている。
【0005】
これらの方式では、定着ローラや加圧ローラ、定着ベルトの表面にトナーが付着してしまう、いわゆる“トナーオフセット”の発生を抑える目的で各種シリコーンオイル等のオフセット防止液を定着ローラや加圧ローラ、定着ベルトの表面に塗布することが行われている。特に、カラー複写機、カラープリンターでは多色のトナーを充分溶融させる必要があるためにトナーオフセットが発生しやすく、オフセット防止液を塗布する構成の定着器の採用が増えている。このシリコーンオイル等のオフセット防止液を塗布する方法としては、以下の方法が知られている。
【0006】
(1)微細な穴のあいた中空芯金内部にオフセット防止液を封入、芯金周面の弾性体層を通して塗布する方法。
【0007】
(2)フェルト等によりオイルパン内のオフセット防止液を吸い上げて塗布する方法。
【0008】
(3)図3に示すような金属ローラ21によってオフセット防止液22を一旦汲み上げ、表面が弾性体からなる塗布ローラ23を用いて塗布する方法。塗布ローラ表面には金属等のブレード24を接触させてオイル量を規制することで一定量のオフセット防止液の塗布を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法によれば、以下に述べる問題点を有する。
【0010】
上記(1)の場合、芯金内部のオフセット防止液の量によって塗布量が変化してしまうため、長時間にわたって一定量を塗布することが困難である。
【0011】
上記(2)の場合、フェルトが一旦変形すると復元しないため、例えばフェルトと定着ローラの接触部分に異物が混入すると、フェルトが変形してしまいスジ状のオフセット防止液の塗布ムラが発生する問題があった。
【0012】
上記(3)の場合、塗布ローラ表面に接触させた金属や弾性体からなるブレードによってオフセット防止液を掻き取りながら塗布量を規制している。そのため、塗布ローラの表面粗さの違いによって塗布量が大きく変化してしまうので、塗布ローラの表面粗さを一定にすることが重要である。
【0013】
例えば、塗布ローラの弾性体層表面を研磨によって一定粗さにすることで塗布量を管理することも試みられてきた。しかし、弾性体は原料の物性の変化等により研磨性がばらつくことや砥石の摩耗によって徐々に表面粗さが変化していくこと等から研磨により弾性体の表面粗さを一定にすることが非常に困難であった。また、耐熱性のあるシリコーンスポンジを弾性体として用いる場合、シリコーンスポンジはシリコーンゴム原料に加硫剤、発泡剤を加えたものを加熱させることで、加硫、発泡を行って製造するが、スポンジのセル径が150〜500μmと粗く、バラツキも大きなものとなってしまい、例えばOHPシートの定着ではセル径の大きな部分がオフセット防止液の塗布ムラとして現れてしまう問題があった。
【0014】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することが可能な塗布ローラを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯金の周面に弾性体層を設けた塗布ローラにおいて、前記弾性体層は、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層であることを特徴とする塗布ローラである。
【0016】
また、本発明は、前記シリコーンゴム弾性体層が、液状シリコーンゴムに平均粒子径100μm以下の前記樹脂マイクロバルーンを含有させた、引張り強さが0.4MPa以上のシリコーンゴム弾性体であり、表面が研磨されていることを特徴とする塗布ローラである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記樹脂マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させたものを使用する。この場合、低沸点液状炭化水素等を内包する熱可塑性樹脂粒子を好適に用いることができる。なお、未膨張の熱可塑性樹脂粒子をシリコーンゴムに含有させ、シリコーンゴムの加硫と同時に膨張させることで弾性体層とすることも試みた。しかし、シリコーンゴムの粘度や加硫条件の変化によって熱可塑性樹脂粒子の膨張率が大きく変化したまうため、均一なスポンジが得られなかった。予め熱膨張させた樹脂マイクロバルーンをシリコーンゴムに配合し、硬化させることで均一、微細なスポンジが得られ、更に塗布ローラの表面層を研磨して形成することで均一、微細な凹凸のある表面状態となり、ムラのない均一なオフセット防止液の塗布が可能となる。
【0018】
前記樹脂マイクロバルーンは、平均粒径100μm以下のものを使用することが好ましい。ここで、平均粒径100μmを越えた樹脂マイクロバルーンを使用すると、塗布ローラ表面にセルの大きな部分が点々と現れ、OHPシートを使用して定着したときに塗布ムラとなって画像に現れてしまうためである。
【0019】
前記樹脂アイクロバルーンの含有量については、含有量が多すぎるとシリコーンゴム弾性体層の物性が低下し、少ないと塗布ローラとして十分な空孔を有するスポンジが得られない。よって、少なくともローラ表面が、微細な凹凸を有する状態となるのに十分な量の樹脂マイクロバルーンを混入しなければならない。この量は、当業者にとっては、ローラの設計、成形方法により適宜選択できる。
【0020】
また、シリコーンゴムは粘度が低く樹脂マイクロバルーンの変形や破壊を起こさずに比較的低温で短時間での硬化が可能な液状シリコーンゴム(LTVシリコーンゴム)を用いることが好ましく、弾性体層の硬化温度を樹脂マイクロバルーンを構成する熱可塑性樹脂の溶融温度より低い温度とすることで、更に安定して微細なスポンジの弾性体が得られる。
【0021】
ところで、シリコーンゴムに樹脂マイクロバルーンを含有させると、物性が低下し、更に、塗布ローラとして使用するとオフセット防止液として通常用いられているシリコーンオイルによって膨潤が起こり、一層の物性低下を引き起こしてしまう。塗布ローラは定着ローラや加圧ローラ、定着ベルト、ブレード等に接触した状態で150〜200℃の高温で使用されるため、表面が摩耗しやすく、樹脂マイクロバルーンを含有した弾性体の引張り強さが0.4MPa以下では長時間の使用に耐えないことも見出した。この引張り強さはJIS K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)引張試験によって測定したオフセット防止液に膨潤する前の値である。
【0022】
本発明において、樹脂マイクロバルーンに使用する熱可塑性樹脂として例えばアクリルニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の共重合物が挙げられるが、液状シリコーンゴムの硬化温度で安定している熱可塑性樹脂であれば、上記した樹脂に限定されない。
【0023】
本発明の塗布ローラは、図3のように定着ローラや加圧ローラに直接オフセット防止液を塗布する構成のローラ以外にも、例えばフェルト等によって一旦塗布されたオフセット防止液の塗布ムラを均一にならすためのローラとして用いることができるのは言うまでもない。
【0024】
本発明に係る塗布ローラによれば、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例に係る塗布ローラについて、その製造方法を併記して説明する。なお、下記実施例で述べる各構成部材の数値、材質は一例を示すもので、これにより本発明が特定されるものではない。
【0026】
(実施例)
まず、本実施例に係る塗布ローラ30について、図4を参照して説明する。図中の符番31は、表面に接着剤(図示せず)を塗布した鉄材からなる外径8mmの芯金を示す。この芯金31の周面には、外径14mmの弾性体層32が形成されている。ここで、弾性体層32は、予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーン(商品名:エクスパンセル、日本フェライト(株)製)を含有するシリコーンゴム弾性体層である。
【0027】
こうした構成の塗布ローラ30は、図5のようにして製作される。
【0028】
まず、表面に接着剤を塗布した鉄材からなる外径8mmの芯金31を、内径15.0mmの金型33内に装着した。次に、芯金31と金型33の隙間に、下方から予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーンを含有する液状シリコーンゴム34を注入した。つづいて、金型33を120℃で20分加熱し液状シリコーンゴム34を硬化させた。
【0029】
次に、このローラを冷却し、金型33から外した後、180℃のオーブンで2時間の加熱処理(ポストキュアー)を行った。つづいて、冷却後、外径をφ13.5mmに研磨してから、シリコーンオイル(商品名:KF96 100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてφ14mmの塗布ローラ30を製造した。
【0030】
このように、上記実施例に係る塗布ローラ30は、図4に示すように、予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーンを含有するシリコーンゴム弾性体層32を、芯金31の周面に設けた構成となっている。従って、係る塗布ローラを用いれば、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することができる。
【0031】
ところで、前述したシリコーンオイル含浸前の前記弾性体層の物性をJIS
K 6249(未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法)引張試験の方法で測定したところ、引張り強さは0.6MPaであった。
【0032】
事実、図3の構成の塗布ローラを使用したカラープリンターに使用したところ、オフセット防止液が均一でムラのない状態で塗布可能であった。又、通紙試験を行ったところ、10万枚の通紙でも塗布ムラは発生せず、充分耐久性があることを確認し試験を中止した。
【0033】
(比較例1)
まず、下記配合の発泡シリコーンゴム原料を用意する。
【0034】
HTVシリコーン(商品名:KE904FU、信越化学工業(株)製)…100重量部
パーオキサイド(商品名:C−23N、信越化学工業(株)製)…1.0重量部
パーオキサイド(商品名:C−3、信越化学工業(株)製)…3.0重量部
発泡剤(商品名:KEP−13、信越化学工業(株)製) …3.0重量部
着色材(商品名:KE−COLOR−BP、信越化学工業(株)製)…0.5重量部
次に、これを8mmの芯金外周に厚さ2.5mmで巻き付けた後、220℃のオーブン中で2時間加熱して加硫、発泡を行った。つづいて、冷却後、表面を13.5mmに研磨し、シリコーンオイル(商品名:KF96100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてシリコーンゴム発泡体からなるφ14mmの塗布ローラを製造した。このとき、塗布ローラ表面のセル径は200〜350μmであった。
【0035】
この塗布ローラを上記実施例と同じカラープリンター用塗布ローラとして使用したが、OHPフィルムを定着後にフィルムを調べると、塗布ローラ表面のスポンジセルの凹凸がオフセット防止液の塗布量のムラとして現れてしまい、実用に耐えるものではないため使用を断念した。
【0036】
(比較例2)
まず、実施例と同じ予め膨張させた平均粒子径80μmの樹脂マイクロバルーン(商品名:エクスパンセル091DE−80、日本フィライト(株)製)を使用し、引張り強さが0.32MPaとなる液状シリコーンゴムを用いる他は、実施例と同じ方法でφ13.5mmの塗布ローラを製作した。つづいて、シリコーンオイル(商品名:KF9 100CS、信越化学工業(株)製)に160℃で10時間含浸させてφ14の塗布ローラとした。
【0037】
このようにして得られた塗布ローラを実施例と同様にカラープリンター用塗布ローラとして使用したところ、初期の画質はオフセット防止液が均一であり良好なものであった。そこで、通紙試験を行ったところ、約6千枚の通紙でスジ状のオフセット防止液の塗布ムラが発生し、塗布ローラをカラープリンターから外し表面を観察したところ、円周方向に摩耗による凹みが発生していた。このため、試験を中止した。
【0038】
このように、比較例1、2係る塗布ローラは塗布ムラ、通紙試験の点で実施例に係る塗布ローラと比べて劣ることが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、芯金の周面の弾性体層を、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層とすることにより、一定量のオフセット防止液を塗布ムラのない状態で長時間にわたり塗布することが可能な塗布ローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の加熱定着方式の説明図。
【図2】従来の他の加熱定着方式の説明図。
【図3】オフセット防止液を塗布する説明図。
【図4】本発明の一実施例に係る塗布ローラの断面図。
【図5】図1の塗布ローラの製造方法の説明図。
【符号の説明】
30…塗布ローラ、
31…芯金、
32…シリコーンゴム弾性体層、
33…金型、
34…液状シリコーンゴム。
Claims (2)
- 芯金の周面に弾性体層を設けた塗布ローラにおいて、前記弾性体層は、熱可塑性樹脂粒子を予め熱膨張させて樹脂マイクロバルーンとし、この樹脂マイクロバルーンを含有させたシリコーンゴム弾性体層であることを特徴とする塗布ローラ。
- 前記シリコーンゴム弾性体層は、液状シリコーンゴムに平均粒子径100μm以下の前記樹脂マイクロバルーンを含有させた、引張り強さが0.4MPa以上のシリコーンゴム弾性体であり、表面が研磨されていることを特徴とする請求項1記載の塗布ローラ。
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