JP2004012576A - 液晶配向フィルム及びその積層体、画像表示装置 - Google Patents

液晶配向フィルム及びその積層体、画像表示装置 Download PDF

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Hironori Motomura
本村 弘則
Yoshinori Shiraokawa
白男川 美紀
Ikuro Kawamoto
川本 育郎
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Abstract

【課題】画像表示装置等の取付時に配向膜基材が不要であるとともに、過酷な条件で使用した場合にもクラック(亀裂)が発生することなく光学特性を損なわない画像表示装置を形成しうる液晶配向フィルムとその積層体、及びそれらを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一種の液晶モノマーを重合した液晶ポリマーを含有する液晶配向フィルムであって、該フィルム平面方向(MD、TD、斜め方向など)における−35℃から85℃に昇温した時の寸法変化が、全ての方向で5%以下である液晶配向フィルムとする。該フィルムは、少なくとも一種の液晶モノマーを含有する組成物を基材上に塗工し、液晶配向させた後、該液晶モノマーを重合させて液晶配向フィルムを形成し、それを前記基材上より剥離することにより形成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶配向フィルムとその積層体、及びそれらを用いた画像表示装置、並びに液晶配向フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
配向膜基材上で重合性の液晶モノマーを液晶温度範囲で配向させた後、紫外線などにより重合、架橋を行って液晶配向フィルムを作製できることは知られている(特開平8−21915公報等)。また、液晶モノマーを重合させる代わりに、液晶ポリマーを配向させることによっても液晶配向フィルムを得ることができる(特開平10−34742号公報)。
【0003】
また、多官能の反応基を持った液晶モノマーなどを用いると、重合、架橋後の膜は自己支持性フィルムとなり得るので、ある配向膜基材に成膜形成後、別のフィルム等に粘着剤などで容易に転写(配向膜基材の剥離)することが可能になり扱いやすい。
【0004】
重合性液晶モノマーの均一な配向状態を得るためには、配向膜上で液晶分子を配向させることが必要である。配向膜としては、一般的に知られている、ポリビニルアルコール(PVA)やポリイミドなどの薄膜をレーヨン布などによって一方向にこする(ラビング)することで得られる。あるいはポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルムなどのポリマーの延伸配向フィルムを配向膜基材とすることも可能である。また最近ではポリビニルシンナメートなどの光配向膜もある。
【0005】
液晶配向フィルムを得るためには、配向膜基材上で液晶ポリマーやモノマーを配向させる必要があるが、フラットパネルディスプレイなどに光学フィルムとしてこの液晶配向フィルムを使用する際には、この配向膜基材は光学特性的には不必要になり、厚みの問題あるいは配向膜基材自体の光学特性の悪影響などの不具合から、配向膜基材自体を取り除く必要がある。とりわけ、延伸配向フィルムを配向膜基材として用いた場合は、その光学特性への悪影響は大きい。従って、このような液晶配向フィルムを偏光板あるいはその他の光学フィルムに貼り合せたものは、冷熱ショック試験等で、液晶配向フィルムにクラック(亀裂)が生じてしまう問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、画像表示装置等の取付時に配向膜基材が不要であるとともに、過酷な条件で使用した場合にもクラック(亀裂)が発生することなく光学特性を損なわない画像表示装置を形成しうる液晶配向フィルムとその積層体、及びそれらを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者らは、この冷熱ショック試験での液晶配向フィルムのクラックの原因について鋭意検討した結果、液晶配向フィルムの寸法変化の異方性に大きく影響されることを確認した。液晶配向フィルムはネマティック液晶のような棒状の液晶分子が配向後に重合、架橋によって、配向状態を固定されたものであり、その影響で、液晶配向方向つまり液晶分子の長軸方向において熱収縮が、液晶分子の短軸方向では熱膨張が生じやすい傾向にあることが確認された。
【0008】
液晶配向フィルムを均一に配向した場合、液晶の長軸と短軸方向で寸法変化に異方性が生じ、そのために冷熱ショック試験によって、異方性の寸法変化が生じることで、液晶配向フィルムにストレスがかかり、サイクル試験を繰り返すことで、限界を超えて、液晶配向フィルムにクラック(亀裂)が入ってしまうと考えられる。そこで、液晶配向を維持しながら寸法変化に着目して種々検討した結果、MD、TD、斜め方向などフィルム平面方向における寸法変化が全方位5%以下のもの、あるいは全方位の寸法変化の最大値、最小値(マイナスの場合もある)の差が5%以下であれば、冷熱ショック試験に耐え得る液晶配向フィルムとなり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも一種の液晶モノマーを重合した液晶ポリマーを含有する液晶配向フィルムであって、該フィルム平面方向(MD、TD、斜め方向など)における−35℃から85℃に昇温した時の寸法変化が、全ての方向で5%以下であることを特徴とする液晶配向フィルムを提供するものである。
【0010】
また本発明は、少なくとも一種の液晶モノマーを重合した液晶ポリマーを含有する液晶配向フィルムであって、該フィルム平面方向(MD、TD、斜め方向など)における−35℃から85℃に昇温した時の全方位での寸法変化の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする液晶配向フィルムを提供するものである。
【0011】
さらに本発明は、前記の液晶配向フィルムと偏光板とを積層一体化したことを特徴とする光学フィルム、および前記の液晶配向フィルムまたは光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置を提供するものである。
【0012】
なお、本発明の液晶配向フィルムの製造方法は、少なくとも一種の液晶モノマーを含有する組成物を基材上に塗工し、液晶配向させた後、該液晶モノマーを重合させて液晶配向フィルムを形成し、それを前記基材上より剥離することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶配向フィルムは、少なくとも一種の液晶モノマーを含有する組成物を基材上に塗工し、液晶配向させた後、該液晶モノマーを重合させて液晶配向フィルムを形成し、それを前記基材上より剥離することにより得られ、光学特性的に不必要な配向膜基材を含まないため、厚みの問題や配向膜基材自体の光学特性の悪影響などが解消される。
【0014】
液晶配向フィルムのフィルム平面方向における−35℃から85℃に昇温した時の寸法変化が、全ての方向で5%以下であれば、100回〜500回の冷熱ショック試験にも耐え得るため、フィルムにクラック(亀裂)が入らない。同様に、フィルム平面方向における−35℃から85℃に昇温した時の全方位での寸法変化の最大値と最小値の差が5%以下の場合も、フィルムにクラック(亀裂)が入らない。
【0015】
液晶配向フィルム自体の寸法変化を小さくする方法としては、重合性液晶モノマー材料によって異なり特に限定はないが、紫外線によるラジカル重合などにおいては、開始剤の種類や量の調整、あるいは紫外線の処理条件などを調整すると良い。とくに、液晶モノマーへの多官能性化合物の添加などが効果的である。ただし、寸法変化を低減させる方向と、液晶を均一配向させる方向との両立は困難であり、単純に寸法変化を小さくしようとすると、液晶配向フィルムの配向性は重合、架橋時に乱れてしまうことが多い。これらの両立を達成することで、液晶配向フィルムが光学フィルムとして有用となる。
【0016】
本発明で用いる重合性液晶モノマーとしては、シアノビフェニル系、シアノフェニルシクロヘキサン系、シアノフェニルエステル系、安息香酸フェニルエステル系、フェニルピリミジン系及びそれらの混合物の如き、室温又は高温でネマチック相やスメクチック相を呈する架橋性液晶モノマーなどがあげられる。重合性液晶モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。前記の架橋性液晶モノマーは通例、配向処理した後、熱や光等による適宜な方式で架橋処理されてポリマーとされる。
【0017】
本発明の液晶モノマー組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、光重合開始剤や増感剤を添加してもよい。ここで、使用することができる光重合開始剤としては、例えば、公知のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンジルケタール系等を挙げることができ、例えば、イルガキュア651、184、907等の一般的な光重合開始剤を用いることができる。また添加する開始剤量は適宜決定することができる。
【0018】
また、本発明の液晶モノマー組成物には、自己支持性フィルムにさせることを目的として、多官能性化合物を添加してもよい。支持基材上に成膜後支持基材から剥離し、別のフィルム等に粘着剤などを介して容易に転写することが容易になり、取扱い性が向上する。ここで、使用することができる多官能性化合物としては、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ネオペンチルジアクリレート等を挙げることができる。これら多官能性化合物は、前記の重合性液晶モノマー100(重量部)に対し、0.1〜20重量部使用するのが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。多官能性化合物の添加量が少なすぎる場合は、支持基材からの剥離および別のフィルムへの転写が困難になる。一方、多官能性化合物の添加量が多すぎる場合は、液晶配向フィルムの配向性が重合、架橋時に乱れてしまい易くなる。
【0019】
本発明による液晶配向フィルムの形成は、従来の液晶配向処理に準じた方法で行うことができる。例えば、厚さが20〜200μmの支持基材上に、厚さが0.01〜10μmのポリイミドやポリビニルアルコール、ポリエステルやポリアリレート、ポリアミドイミドやポリエーテルイミド等の膜を形成して、レーヨン布等でラビング処理した配向膜等からなる適宜な配向膜の上に液晶モノマー組成物を展開し、液晶化合物を液晶状態に加熱して配向処理する。配向処理を終えた展開層を、液晶が配向した状態で紫外線などにより重合、架橋を行って液晶配向フィルムを形成する方法等が挙げられる。
【0020】
支持基材としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂等の合成樹脂フィルムからなる単層又は積層フィルム、ガラス板等が挙げられる。
【0021】
なお、液晶モノマー組成物の展開は、例えば、その溶液を、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延製膜法等の方法で薄層展開し、それを乾燥処理して溶媒を除去する方法などにより行うことができる。
【0022】
配向処理を終えた展開層は、それを架橋処理することにより配向架橋物とされるが、その架橋処理は加熱、紫外線や電磁波の照射のいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて行うことができる。中でも、架橋のしやすさの点より紫外線照射が好ましく用いうる。照射する紫外線の光量は、50〜5000mJ/cmとするるのが好ましく、さらに好ましくは100〜1000mJ/cmである。
【0023】
配向架橋処理された液晶層の厚さは、使用目的に応じた光学特性などにより適宜に決定しうるが、配向の乱れや透過率低下の防止などの点より、一般に0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、特に好ましくは2〜10μmとされる。
【0024】
こうして得られた液晶配向フィルムは、光学フィルムとして、フラットパネル表示装置や液晶表示装置等の画像表示装置の色補償板、光学位相板等の光学フィルム用途に有用なものである。その位相差値(正面位相差)は、0〜1000nm程度が有用である。その他厚み方向に位相差を−1000〜+1000nmもったものも有用である。特に、本発明の液晶配向フィルムと偏光板とを積層一体化した光学フィルムは、補償偏光板として有用である。
【0025】
本発明で用いる偏光板としては、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は吸収する適宜なものを用いることができ、その種類については特に限定はない。中でも、偏光度と透過率に優れるものが好ましい。例としてはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素及び又は二色性染料を吸着させて延伸処理した偏光フィルムなどが挙げられる。二色性偏光板は、偏光フィルムの片側又は両側に、適宜の接着層を介して、保護層となる透明保護フィルムを接着したものでもよい。なお、偏光フィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜80μmが一般的であり、好ましくは2〜40μmであるのがよい。
【0026】
また、偏光フィルムの片面又は両面に必要に応じて設ける透明保護層は、適宜な透明フィルムにて形成することができる。特に、透明性や機械的強度、水分遮蔽性等に優れるポリマーからなる透明保護層が好ましい。そのポリマーの例としては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂等があげられるが、これに限定されるものではない。透明保護層は、ポリマー溶液の塗布方式やフィルムとしたものの接着積層方式などの適宜な方式で形成することができる。また、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護層を設けてもよい。
【0027】
保護層に用いられる透明保護フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理などを施したものであってもよい。なお、透明保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、偏光板の薄型化等を目的に500μm以下、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmであるのがよい。
【0028】
本発明において、液晶配向フィルムと偏光板とを積層一体化する方法は特に限定されるものではなく、透明性の高いものであれば、接着剤、粘着剤等を適宜使用することができる。例えば、(1)前述の配向膜として偏光板の保護フィルムを用い、その上に液晶配向フィルムを形成する方法、(2)別途基材を用意し、この基材上に液晶配向層を形成した後、接着剤や粘着剤を介して偏光板(偏光子または保護フィルム)上に転写させる方法、などを用いることができる。
【0029】
上記の接着剤または粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系、ゴム系等、適宜なポリマーをベースポリマーとする粘着剤などの適宜な粘着性物質を用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く、光学的透明性や対光性、耐熱性に優れて熱や湿度の影響で浮きや剥がれ等を生じにくいものが好ましく用いられる。粘着層の厚さは、特に限定されないが、一般には、接着力や薄型化の観点より1〜500μm、好ましくは2〜200μm、より好ましくは5〜100μmとされる。
【0030】
ちなみに前記アクリル系粘着剤の例としては、メチル基やエチル基やプチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の改良成分からなるアクリル系モノマーを、ガラス転移温度が0℃以下となる組み合わせにて共重合してなる、重量平均分子量が10万以上のアクリル系重合体をベースポリマーとするものなどがあげられるが、これに限定されない。
【0031】
粘着層の形成は、例えばカレンダーロール法等による圧延方式、ドクターブレード法やグラビヤロールコーター法等による塗工方式など、粘着性物質を光学フィルム等の形成素材に付設する方式、あるいはそれに準じてセパレータ上に粘着層を形成しそれを光学フィルム等の形成素材に移着する方式など、適宜な方式で行うことができる。
【0032】
なお、粘着層は、それに透明粒子を含有させる方式などにより光拡散型のものとして形成することもできる。その透明粒子には、例えばシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等からなる、導電性のこともある無機系粒子、架橋又は未架橋のポリマーからなる有機系粒子などの適宜なものを1種又は2種以上用いることができる。
【0033】
光学フィルムの外表面、望ましくは偏光板の外表面には、必要に応じ液晶セル等の他部材との接着を目的とした粘着層を設けることもできる。その粘着層が表面に露出する場合には実用に供するまでの間、汚染防止等の保護を目的にその表面をセパレータなどで仮着カバーしておくこともできる。また光学フィルムの形成素材が表面に露出する場合には、その露出表面を表面保護フィルムにて接着カバーして傷つき等から保護することもできる。
【0034】
前記のセパレータや表面保護フィルムは、光学フィルムの実用段階では剥離除去され、その際に静電気やそれによるゴミ付着が生じる場合があるので、必要に応じて帯電防止処理したセパレータや表面保護フィルムを用いることができる。また同様に、例えば帯電防止層を光学フィルムの形成素材の層間や表面に位置させる方式などの適宜な方式で帯電防止処理した光学フィルムとすることもできる。
【0035】
なお本発明において、光学フィルムを形成する液晶層、偏光板、接(粘)着層、その他の光学層等は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線吸収能を持たせたものなどであってもよい。
【0036】
本発明の液晶配向フィルムやこれを偏光板と積層一体化した光学フィルムは、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができ、その適用に際しては各種の光学層(反射板、半透過反射板、視角補償フィルム等)を付加することもできる。例えば、偏光板を液晶セルの片側又は両側に配置してなる反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってよい。
【0037】
また、液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。更に、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0038】
次いで、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0039】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0040】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0041】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0042】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0043】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0044】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0045】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
寸法変化の測定方法としては、TMA/SS6000(セイコーインスツルメント製)を用い、液晶配向フィルムを約50mm×3mmに切断後、引っ張り法で測定した。測定条件としては、以下の方法で行い、−35℃から85℃に昇温したときの寸法変化率を求めた。
昇温速度    5℃/min
測定荷重    2gf
試料寸法    10mm(チャック間の距離)×3mm(幅)
【0048】
(比較例1)
下記の化学式(化1)で示される重合性液晶モノマー20重量%と、光開始剤(イルガキュア184)0.6重量%を含むトルエン溶液を準備し塗工液とした。配向膜基材として、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上にポリビニルアルコール(PVA)を0.1μm厚で形成後、レーヨン布でラビング処理したものを用いた。この配向膜基材上に先の塗工液をバーコーターで塗工し、95℃で2分間加熱配向処理後、紫外線200mJ/cmを照射して重合性液晶モノマーを重合、架橋させることで、1.1μm厚の水平配向した液晶配向層(正面位相差140nm)を得た。
【0049】
【化1】
Figure 2004012576
【0050】
得られた液晶配向フィルム上にアクリル系粘着剤付き偏光板を貼り合せ、配向基材で使用したフィルムを剥離した。さらに液晶配向フィルム面(配向基材を剥離した面)にアクリル系粘着剤を形成することで、粘着剤付き円偏光板を作成した。
【0051】
また、この時の液晶配向フィルムの−35℃から85℃に昇温したときの寸法変化は、液晶の長軸方向において1.0%の収縮が生じた。また、液晶の短軸方向に5.5%の膨張が生じた。
【0052】
得られた円偏光板をガラス板に貼り合せて、−35℃と85℃の冷熱ショック試験(各1時間のサイクル)を300回試験したところ、液晶配向フィルムにクラックが発生した。
【0053】
(実施例1)
上記の化学式(化1)で示される重合性液晶モノマー20重量%、光開始剤(イルガキュア907)0.6重量%、添加物としてトリメチロールプロパントリアクリレート0.5重量%を含むトルエン溶液を準備し塗工液とした。配向膜基材としてトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上にポリビニルアルコール(PVA)を0.1μm厚で形成後、レーヨン布でラビング処理したものを用いた。この配向膜基材上に先の塗工液をバーコーターで塗工し、95℃で2分間加熱配向処理後、紫外線500mJ/cmを照射して重合性液晶モノマーを重合、架橋させることで、1.1μm厚の水平配向した液晶配向層(正面位相差140nm)を得た。
【0054】
得られた液晶配向フィルム上にアクリル系粘着剤付き偏光板を貼り合せ、配向基材で使用したフィルムを剥離した。さらに液晶配向フィルム面(配向基材を剥離した面)にアクリル系粘着剤を形成することで、粘着剤付き円偏光板を作成した。
【0055】
また、この時の液晶配向フィルムの−35℃から85℃に昇温したときの寸法変化は、液晶の長軸方向において0.2%の収縮が生じた。また、液晶の短軸方向に3.5%の膨張が生じた。
【0056】
得られた円偏光板をガラス板に貼り合せて、−35℃と85℃の冷熱ショック試験(各1時間のサイクル)を500回試験したところ、液晶配向フィルムにクラック発生はみられなかった。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、配向膜基材が不要であるとともに、冷熱ショック試験においてもクラック(亀裂)が生じない液晶配向フィルムが得られる。従って、この特性を活かしてフラットパネル表示装置や液晶表示装置等の画像表示装置に用いることにより、長期間の使用においても光学特性を損なわない耐久性に優れた画像表示装置が実現可能となる。

Claims (5)

  1. 少なくとも一種の液晶モノマーを重合した液晶ポリマーを含有する液晶配向フィルムであって、該フィルム平面方向における−35℃から85℃に昇温した時の寸法変化が、全ての方向で5%以下であることを特徴とする液晶配向フィルム。
  2. 少なくとも一種の液晶モノマーを重合した液晶ポリマーを含有する液晶配向フィルムであって、該フィルム平面方向における−35℃から85℃に昇温した時の全方位での寸法変化の最大値と最小値の差が5%以下であることを特徴とする液晶配向フィルム。
  3. 請求項1〜2記載の液晶配向フィルムと偏光板とを積層一体化したことを特徴とする光学フィルム。
  4. 請求項1〜2記載の液晶配向フィルムまたは請求項3記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
  5. 少なくとも一種の液晶モノマーを含有する組成物を基材上に塗工し、液晶配向させた後、該液晶モノマーを重合させて液晶配向フィルムを形成し、それを前記基材上より剥離することを特徴とする請求項1または2記載の液晶配向フィルムの製造方法。
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