JP2004191803A - 輝度向上フィルム、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

輝度向上フィルム、その製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Minoru Kanetani
実 金谷
Yoshinori Shiraokawa
美紀 白男川
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弘則 本村
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Abstract

【課題】コレステリック液晶フィルム等にクラック等が発生し難い、耐久性の良好な輝度向上フィルムを提供すること。
【解決手段】コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムおよび位相差板の各層が接着手段を介して積層されている輝度向上フィルムにおいて、前記接着手段のいずれか少なくとも1つが、接着剤層であり、かつ23℃における貯蔵弾性率が0.5〜100MPaであることを特徴とする輝度向上フィルム。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝度向上フィルムおよびその製造方法に関する。本発明の輝度向上フィルムは、他の光学フィルムと組み合わせて用いることができ、液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置、PDPなどの各種の画像表示装置に適用できる。
【0002】
【従来の技術】
通常液晶セルの裏側サイドには、偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板が設けられている。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示当に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0003】
前記輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0004】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。その位相差板としては1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0005】
液晶表示装置等の画像表示装置において、広視野角、高精細、高輝度等の外観品質に係わる視角特性が要求されている。これら特性は高度な表示品位の要求に伴い、その品質レベルも高度化している。USP5731886号明細書には、ホメオトロピック配向した液晶配向フィルムを、コレステリック液晶フィルムと1/4波長板の間に配置した輝度向上フィルムを用いることで、視角特性の改善された反射偏光板が得られることが記載されている。上記輝度向上フィルムは、通常、(コレステリック液晶フィルム)/(接着手段)/(液晶配向フィルム)/(接着手段)/(1/4波長板)の構成を有する。
【0006】
しかし、前記構成の輝度向上フィルムにおいて、コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムは、耐衝撃性および耐熱性が弱く、衝撃や急激な温度の変化によってクラック(ひび割れ)を生じやすい。特に、携帯電話用やカーナビなどに用いられるLCDは、昼夜の温度変化の著しい車中に置かれたままの状態を想定できるため、輝度向上フィルムには、急激な温度変化が生じた場合にもクラックを生じない耐久性が望まれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コレステリック液晶フィルム等にクラック等が発生し難い、耐久性の良好な輝度向上フィルムを提供することを目的とする。また本発明は当該輝度向上フィルムの製造方法を提供することを目的とする。また本発明は当該輝度向上フィルムを用いた光学フィルム、さらには当該輝度向上フィルム等の光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解消するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す輝度向上フィルムおよびその製造方法により、前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムおよび位相差板の各層が接着手段を介して積層されている輝度向上フィルムにおいて、
前記接着手段のいずれか少なくとも1つが、接着剤層であり、かつ23℃における貯蔵弾性率が0.5〜100MPaであることを特徴とする輝度向上フィルム、に関する。
【0010】
前記輝度向上フィルムは、コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムおよび位相差フィルムが、この順に積層されていることが好ましい。
【0011】
前記輝度向上フィルムは、コレステリック液晶フィルム、粘着剤層、液晶配向フィルム、接着剤層および位相差フィルムが、この順に積層されていることが好ましい。
【0012】
前記輝度向上フィルムにおいて、液晶配向フィルムが、ホメオトロピック配向の液晶配向フィルムであることが好ましい。
【0013】
前記輝度向上フィルムにおいて、位相差板が、1/4波長板であることが好ましい。
【0014】
前記輝度向上フィルムにおいて、接着剤層の厚みが0.5〜20μmであることが好ましい。
【0015】
前記輝度向上フィルムは、コレステリック液晶フィルムの外側に、接着手段を介して保護フィルムが積層されていることが好ましい。
【0016】
また本発明は、前記輝度向上フィルムに、さらに少なくとも1つの光学フィルムが積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
【0017】
さらに本発明は、前記輝度向上フィルム、または前記光学フィルムを適用した画像表示装置、に関する。
【0018】
また本発明は、液晶配向フィルムに接着手段を介して位相差板にラミネートする工程、および液晶配向フィルムに接着手段を介してコレステリック液晶フィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とする前記の輝度向上フィルムの製造方法、に関する。
【0019】
(作用)
本発明の輝度向上フィルムは、接着手段として、所定弾性率を有する接着剤層を用いることで、コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムにクラック等を防止している。接着剤層の貯蔵弾性率(23℃)は0.5〜100MPaである。接着剤層の前記弾性率が0.5MPaより低くなると、加熱および冷却のサイクルによって接着剤層が流動しやすくなり、コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムが接着剤層の動きに追随してクラックを生じてしまう。一方、前記弾性率が100MPaより大きくなる全面にクラックを生じる。かかる観点から、接着剤層の前記弾性率は、好ましくは0.5〜80MPa、より好ましくは1〜50MPaである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の輝度向上フィルムおよびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。本発明の輝度向上フィルムは、コレステリック液晶フィルム1、液晶配向フィルム2および位相差板3の各層が、接着手段Aを介して積層されている。これらは図1に示すように、コレステリック液晶フィルム1、液晶配向フィルム2および位相差板3が、この順に積層されているのが好ましい。接着手段Aとしては、たとえば、粘着剤層または接着剤層を採用できるが、接着手段Aの少なくとも1つは接着剤層である。図2のように、コレステリック液晶フィルム1と液晶配向フィルム2は、接着手段として粘着剤層a2を介して、液晶配向フィルム2と位相差板3は、接着手段として接着剤層a1を介して積層されているのが好ましい。
【0021】
また本発明の輝度向上フィルムは、図3に示すように、コレステリック液晶フィルム1の外側に、接着手段Aを介して保護フィルム4が積層されていてもよい。接着手段Aとしては、接着剤層a1または粘着剤層a2のいずれも採用できるが、接着剤層a1が好ましい。
【0022】
コレステリック液晶フィルムは、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどがあげられる。コレステリック液晶フィルムは、液晶ポリマーの配向物、液晶モノマーの配向物の重合層により形成することができる。またコレステリック液晶フィルムはこれらの複合層により形成することもできる。
【0023】
前記液晶ポリマーの配向物は、光学活性基含有モノマーをモノマーユニットとして含有するコレステリック液晶ポリマーを配向することにより得られる。コレステリック液晶ポリマーとしては、コレステリック性の液晶配向を示す主鎖型、側鎖型またはこれらの複合型の各種骨格のポリマーを特に制限なく使用できる。
なお、ネマチック系液晶ポリマーに、低分子カイラル剤を含有させたり、ポリマー成分中にキラル成分を導入することによりコレステリック系液晶ポリマーとすることができる。
【0024】
液晶モノマーの配向物の重合層は、光学活性基含有のコレステリック液晶モノマーを含む液晶モノマーを配向し、さらに重合することにより形成することができる。液晶モノマーは、液晶配向を示す各種骨格を有し、かつ末端に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合やエポキシ基等の重合性官能基を少なくとも1つ有する化合物である。得られるコレステリック液晶フィルムの耐久性を向上させるには、液晶モノマーとして重合性官能基を2つ以上有するものを用い、重合とともに架橋させるのが好ましい。なお、液晶モノマーを用いる場合には、通常、重合開始剤を含有する。重合開始剤は、液晶モノマーの重合方法に応じたものが適宜に選択される。液晶モノマーの重合方法としては、たとえば紫外線重合があげられ、この場合には光重合開始剤が用いられる。
【0025】
前記液晶ポリマー、液晶モノマーの配向は、配向能を有する面を備えた基材の配向能を有する面(配向膜)上にこれらを塗工することにより行う。配向膜としては、従来より知られている各種のものを使用でき、たとえば、透明な基材上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる薄膜を形成してそれをラビングする方法により形成したもの、透明なフィルムを延伸処理した延伸フィルム、シンナメート骨格やアゾベンゼン骨格を有するポリマーまたはポリイミドに偏光紫外線を照射したもの等を用いることができる。なお、配向膜の形成に用いる透明基材は前記混合物を配向させる温度で変化しないものであれば特に制限はなく、たとえば、単層または積層の各種プラスチックフィルムやガラス板、金属等を使用できる。前記液晶ポリマー、液晶モノマーの配向は、通常、熱処理により行う。
当該熱処理終了後には、冷却により配向が固定化される。
【0026】
コレステリック液晶フィルムは、光学活性基を含有するモノマーユニットの含有率に基づいてコレステリック液晶のピッチが変化するため、前記モノマーユニットの含有率により円偏光二色性を有する波長領域を制御することができる。コレステリック液晶フィルムの厚さは、通常、1〜20μmであることが好ましく、特に2〜10μmであることが好ましい。なおコレステリック液晶フィルムには前記液晶ポリマー以外のポリマーや安定剤、可塑剤などの無機化合物、有機化合物、金属やその化合物などの1種以上の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0027】
またコレステリック液晶フィルムは、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0028】
本発明の液晶配向フィルム(ポジティブC−plate層)は、液晶表示装置等の画像表示装置において、正面だけでなく斜めから見た場合にも良好な視認性を確保をするため、ホメオトロピック配向の液晶配向フィルムが好適に用いられる。ホメオトロピック配向させることができる液晶化合物としては、たとえば、ネマチック液晶化合物が知られている。かかる液晶化合物の配向技術にかかわる概説は、例えば、化学総説44(表面の改質,日本化学会編,156〜163頁)に記載されている。これらは垂直配向剤により配向する。
【0029】
またホメオトロピック配向液晶フィルムは、たとえば、正の屈折率異方性を有する、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を含有する側鎖型液晶ポリマーにより形成することができる。前記側鎖型液晶ポリマーは、垂直配向膜を用いなくても、液晶ポリマーのホメオトロピック配向を実現することができる。
【0030】
前記モノマーユニット(a)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(a):
【化1】
Figure 2004191803
(ただし、R1 は水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、X1 は−CO2 −基または−OCO−基を、R2 はシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0031】
またモノマーユニット(b)は、直鎖状側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(b):
【化2】
Figure 2004191803
(ただし、R3 は水素原子またはメチル基を、R4 は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基、または一般式(b1):
【化3】
Figure 2004191803
ただし、dは1〜6の正の整数を、R5 は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0032】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(b)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(b)/{(a)+(b)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.5とするのがより好ましい。
【0033】
またホメオトロピック配向液晶フィルムを形成しうる液晶ポリマーとしては、前記液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(c)を含有する側鎖型液晶ポリマーがあげられる。
【0034】
前記モノマーユニット(c)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、たとえば、一般式(c):
【化4】
Figure 2004191803
(ただし、R6 水素原子またはメチル基を、hは1〜6の正の整数を、X2 は−CO2 −基または−OCO−基を、eとgは1または2の整数を、fは0〜2の整数を、R7 はシアノ基、炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0035】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(c)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(c)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(c)/{(a)+(c)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.6とするのがより好ましい。
【0036】
ホメオトロピック配向液晶層を形成しうる液晶ポリマーは、前記例示のモノマーユニットを有するものに限られず、また前記例示モノマーユニットは適宜に組み合わせることができる。
【0037】
前記側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量は、2千〜10万であるのが好ましい。重量平均分子量をかかる範囲に調整することにより液晶ポリマーとしての性能を発揮する。側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が過少では配向層の成膜性に乏しくなる傾向があるため、重量平均分子量は2.5千以上とするのがより好ましい。一方、重量平均分子量が過多では液晶としての配向性に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があるため、重量平均分子量は5万以下とするのがより好ましい。
【0038】
なお、前記例示の側鎖型液晶ポリマーは、前記モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)、モノマーユニット(c)に対応するアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーを共重合することにより調製できる。なお、モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)、モノマーユニット(c)に対応するモノマーは公知の方法により合成できる。共重合体の調製は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマー等の重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましく用いられる。
【0039】
前記側鎖型液晶ポリマーには、光重合性液晶化合物を配合して液晶性組成物として用いることができる。光重合性液晶化合物は、光重合性官能基として、たとえば、アクリロイル基またはメタクリロイル基等の不飽和二重結合を少なくとも1つ有する液晶性化合物であり、ネマチック液晶性のものが賞用される。かかる光重合性液晶化合物としては、前記モノマーユニット(a)となるアクリレートやメタクリレートを例示できる。光重合性液晶化合物として、耐久性を向上させるには、光重合性官能基を2つ以上有するものが好ましい。このような光重合性液晶化合物として、たとえば、下記化5:
【化5】
Figure 2004191803
(式中、Rは水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基を、Xはそれぞれ独立して−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Bは1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、4,4’−ビフェニレン基または4,4’−ビシクロヘキシレン基を、mおよびnはそれぞれ独立して2〜6の整数を示す。)で表される架橋型ネマチック性液晶モノマー等を例示できる。また、光重合性液晶化合物としては、前記化5における末端の「H2 C=CR−CO2 −」を、ビニルエーテル基またはエポキシ基に置換した化合物や、「−(CH2m −」および/または「−(CH2n −」を「−(CH23 −C* H(CH3 )−(CH22 −」または「−(CH22 −C* H(CH3 )−(CH23 −」に置換した化合物を例示できる。
【0040】
上記光重合性液晶化合物は、熱処理により液晶状態として、たとえば、ネマチック液晶層を発現させて側鎖型液晶ポリマーとともにホメオトロピック配向させることができ、その後に光重合性液晶化合物を重合または架橋させることによりホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性を向上させることができる。
【0041】
液晶性組成物中の光重合性液晶化合物と側鎖型液晶ポリマーの比率は、特に制限されず、得られるホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性等を考慮して適宜に決定されるが、通常、光重合性液晶化合物:側鎖型液晶ポリマー(重量比)=0.1:1〜30:1程度が好ましく、特に0.5:1〜20:1が好ましく、さらには1:1〜10:1が好ましい。
【0042】
前記液晶性組成物中には、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は各種のものを特に制限なく使用できる。光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907,同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の添加量は、光重合液晶化合物の種類、液晶性組成物の配合比等を考慮して、液晶性組成物のホメオトロピック配向性を乱さない程度に加えられる。通常、光重合性液晶化合物100重量部に対して、0.5〜30重量部程度が好ましい。特に3重量部以上が好ましい。
【0043】
ホメオトロピック配向液晶フィルムの作製は、基板上に、ホメオトロピック配向性側鎖型液晶ポリマーを塗工し、次いで当該側鎖型液晶ポリマーを液晶状態においてホメオトロピック配向させ、その配向状態を維持した状態で固定化することにより行う。また前記側鎖型液晶ポリマーと光重合性液晶化合物を含有してなるホメオトロピック配向液晶性組成物を用いる場合には、これを基板に塗工後、次いで当該液晶性組成物を液晶状態においてホメオトロピック配向させ、その配向状態を維持した状態で光照射することにより行う。
【0044】
前記側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物を塗工する基板は、ガラス基板、金属箔、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムのいずれの形状でもよい。基板上に垂直配向膜は設けられていなくてもよい。基板の厚さは、通常、10〜1000μm程度である。
【0045】
前記側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物を基板に塗工する方法は、当該側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物を溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗工方法または当該液晶ポリマーまたは液晶性組成物を溶融して溶融塗工する方法が挙げられるが、この中でも溶液塗工方法にて支持基板上に側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物の溶液を塗工する方法が好ましい。
【0046】
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物の溶液を、基板上に塗工する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などを採用することができる。塗工後、溶媒を除去し、基板上に液晶ポリマー層または液晶性組成物層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず、溶媒をおおむね除去でき、液晶ポリマー層または液晶性組成物層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉ての乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。これらの塗工方法のなかでも本発明ではグラビアコート法を採用するのが、大面積を均一に塗工しやすい点で好ましい。
【0047】
次いで、支持基板上に形成された側鎖型液晶ポリマー層または液晶性組成物層を液晶状態とし、ホメオトロピック配向させる。たとえば、側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物が液晶温度範囲になるように熱処理を行い、液晶状態においてホメオトロピック配向させる。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。熱処理温度は、使用する側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物と支持基板の種類により異なるため一概には言えないが、通常60〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲において行う。また熱処理時間は、熱処理温度および使用する側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物や基板の種類によって異なるため一概には言えないが、通常10秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分の範囲で選択される。10秒より短い場合、ホメオトロピック配向形成が十分に進行しないおそれがある。これらの配向温度、その処理時間のなかでも本発明では、配向温度80〜150℃で、その処理時間を30秒〜10分間程度行うのが、作業性、量産性の点で好ましい。
【0048】
熱処理終了後、冷却操作を行う。冷却操作としては、熱処理後のホメオトロピック配向液晶フィルムを、熱処理操作における加熱雰囲気中から、室温中に出すことによって行うことができる。また空冷、水冷などの強制冷却を行ってもよい。前記側鎖型液晶ポリマーのホメオトロピック配向層は、側鎖型液晶ポリマーのガラス転移温度以下に冷却することにより配向が固定化される。
【0049】
液晶性組成物の場合には、このように固定化されたホメオトロピック液晶配向層に対して、光照射を行い光重合性液晶化合物を重合または架橋させて光重合性液晶化合物を固定化して、耐久性を向上したホメオトロピック配向液晶層を得る。光照射は、たとえば、紫外線照射により行う。紫外線照射条件は、十分に反応を促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。通常、約80〜160mW/cm2 の照度を有する高圧水銀紫外ランプが代表的に用いられる。
メタハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時の液晶層表面温度が液晶温度範囲内になるように、コールドミラー、水冷その他の冷却処理あるいはライン速度を速くするなどして適宜に調整する。
【0050】
このようにして、側鎖型液晶ポリマーまたは液晶性組成物の薄膜が生成され、配向性を維持したまま固定化することにより、ホメオトロピック配向した液晶配向フィルムが得られる。本発明の液晶配向フィルムの厚みは0.5〜20μm程度であり、1〜10μm程度とするのが好ましい。
【0051】
なお、液晶配向フィルムを接着剤層を介して転写する際には、液晶配向フィルムを表面処理することができる。表面処理の手段は、特に制限されないが、前記液晶フィルム表面の透明性を維持できるコロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射、プラズマ処理などの表面処理法を好適に採用できる。これら表面処理法のなかでもコロナ放電処理が良好である。
【0052】
位相差板は、使用目的に応じたものが用いられるが1/4波長板が好適である。1/4波長板は、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。位相差板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。1/4波長板の厚さは、通常0.5〜200μmであることが好ましく、特に1〜100μmであることが好ましい。
【0053】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0054】
本発明の輝度向上フィルムにおける、接着手段は特に制限されず、接着剤層または粘着剤層を採用できる。接着剤層、粘着剤層を形成する接着剤として特に制限されない。例えばアクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0055】
前記の通り、コレステリック液晶フィルム1と液晶配向フィルム2は、接着手段Aとして粘着剤層a2を、液晶配向フィルム2と位相差板3は、接着手段として接着剤層a1を採用するのが好ましい。接着剤層a1を形成する接着剤としては、ウレタン系接着剤が好ましい。
【0056】
前記接着剤にはベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また接着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す接着剤層などであってもよい。
【0057】
接着剤は、通常、ベースポリマーまたはその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の接着剤溶液として用いられる。溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の接着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0058】
接着剤層a1の貯蔵弾性率(23℃)は、前述の通り、0.5〜100MPaである。一方、粘着剤層a2の貯蔵弾性率(23℃)は、特に制限されないが、0.05〜1.5MPa、好ましくは0.1〜1MPaである。粘着剤層a2の貯蔵弾性率は、接着剤層a1の貯蔵弾性率より小さいのが好ましい。
【0059】
接着剤層a1の厚みは0.5〜20μmであることが好ましい。接着剤層a1の厚みをかかる範囲とすることにより、外観不良を抑えることができる。前記接着剤層a1の厚みは2〜10μmであるのが好ましい。一方、粘着剤層a2の厚みは粘着剤層a2の厚さは特に制限されず従来と同様であり、15〜25μm、さらには17〜23μmであるのが好ましい。
【0060】
本発明の輝度向上フィルムの製造方法は、特に制限されないが、たとえば、液晶配向フィルム2に接着手段A(好ましくは接着剤層a1)を介して位相差板3にラミネートする工程、および液晶配向フィルム2に接着手段A(好ましくは粘着剤層a2)を介してコレステリック液晶フィルム1をラミネートする工程により行いことができる。通常、液晶配向フィルム2は、基板(配向基板)上に形成したのち、位相差板3にラミネートする。ラミネートは0.1〜2MPa程度の圧力で行われる。位相差板3を積層した後には、基板が剥離される。なお、接着剤層a1の形成は、液晶配向フィルム2または位相差板3のいずれか一方に形成してもよく、両者に形成してもよい。接着剤層a1は、直接、塗工し、乾燥することにより形成することができる。また、セパレータ上に接着剤層a1を形成した後に、それを移着することもできる。接着剤の塗工方法は特に制限されず、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などを採用することができる。
【0061】
図2では、コレステリック液晶フィルム1と液晶配向フィルム2は粘着剤層a2により積層されているが、その形成法は特に制限されない。たとえば、前記接着剤層a1と同様の方法によりコレステリック液晶フィルム1または液晶配向フィルム2に粘着剤層a2を形成したのち、両者を貼り合わすことにより積層することができる。
【0062】
また、コレステリック液晶フィルム1と液晶配向フィルム2の粘着剤層a2による積層は、液晶配向フィルム2と位相差板3を接着剤層a1により積層する前後のいずれに行ってもよいが、液晶配向フィルム2と位相差板3を接着剤層a1により積層した後に行うのが好ましい。
【0063】
コレステリック液晶フィルム1の外側に設けられる保護フィルム4としては、従来より偏光子の保護フィルムとして用いられるものと同様ものが用いられる。当該保護フィルムは後述する。また、接着手段Aとしては接着剤層または粘着剤層を採用できるが、これらは前記接着手段と同様のものを用いることができる。保護フィルム4に係わる接着手段Aの厚みは特に制限されないが、通常、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmである。
【0064】
コレステリック液晶フィルム1への保護フィルム4の積層は、コレステリック液晶フィルム1、液晶配向フィルム2および位相差板3の各層を積層した輝度向上フィルムに行うこともできるが、予め、コレステリック液晶フィルム1に保護フィルム4の積層しておくのが好ましい。
【0065】
液晶表示装置等の画像表示装置に適用される光学フィルムには偏光板が用いられる。得られた輝度向上フィルムは、偏光板等の光学フィルムを積層して用いられる。
【0066】
偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものである。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
【0067】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0068】
前記偏光子の片側または両側に設けられている保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどがあげられる。保護フィルムの厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
【0069】
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
【0070】
前記保護フィルムとしては、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
【0071】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0072】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0073】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0074】
前記偏光板は、位相差板を積層された楕円偏光板または円偏光板として用いることができる。前記楕円偏光板または円偏光板について説明する。これらは位相差板により直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4 波長板が用いられる。1/2 波長板は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0075】
楕円偏光板はスパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0076】
位相差板には、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどを使用することができ、また使用目的に応じた適宜な位相差を有する2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。かかる位相差板には前記例示のものを使用できるほか、本発明のホメオトロピック配向液晶フィルムを単独でまたは他のフィルムと組み合わせて用いることができる。
【0077】
また前記位相差板は、視角補償フィルムとして偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。
【0078】
このような視角補償位相差板としては、他に二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルム、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
【0079】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0080】
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板があげられる。
【0081】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0082】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0083】
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0084】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0085】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0086】
上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0087】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0088】
本発明の光学フィルムには、粘着層を設けることもできる。粘着層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。前記光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0089】
粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、前記例示のものと同様のものを例示できる。また、同様の方式にて設けることができる。
【0090】
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0091】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0092】
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0093】
本発明の光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0094】
液晶セルの片側又は両側に偏光板、光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に、偏光板、光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0095】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0096】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0097】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0098】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0099】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0100】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0101】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0102】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0103】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明の一態様について説明するが、本発明は実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0104】
(貯蔵弾性率)
接着剤をディスコカップに流し入れ、65℃で24時間、110℃で1時間、乾燥機に入れて水分を除去し、厚み1mmのサンプルを作製した。このサンプルを直径8mmのポンチで打ち抜き、ARES(ANEST IWATA Corporation製,粘弾性測定装置)により測定した。(周波数1Hz,圧着加重100g,測定温度23℃)。
【0105】
実施例1
(1)液晶配向フィルム/接着剤層/位相差板
ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製)上に、バーコーターで、ネマチック液晶相を示す液晶モノマー(Paliocolor LC242,BASF社製)20重量部および光重合開始剤(Irgacure907,チバスペシャルティーケミカルズ社製)0.6重量部を、シクロヘキサノン80重量部に溶解した溶液を、厚み5μmで塗工し、100℃で10分間乾燥し、さらにUV硬化してホメオトロピック配向液晶フィルムを得た。
【0106】
上記液晶配向フィルム上に、接着剤として、貯蔵弾性率が0.5MPaであるポリウレタン樹脂(ハイドランHW930:大日本インキ化学工業(株)製)を、厚み2μmで塗工し、50℃で3分間乾燥させて接着剤層を形成した。次いで、この接着剤層に、位相差板である厚さ35μmのポリカーボネートフィルム(正面位相差130nm)を、0.5MPaの圧力でラミネートした。その後、液晶配向フィルムから配向基板(ゼオノアフィルム)を剥離して、標記構造のものを得た。
【0107】
(2)コレステリック液晶フィルム/接着剤層/保護フィルム
前記(1)とは別工程で、基材であるポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーS−27:東レ(株)製)上に、アクリル系側鎖型のコレステリック液晶ポリマーにより、選択反射の中心波長が700nm、550nm、400nmのものを3層形成し、コレステリック液晶フィルムを作製した。各層の厚みは全て3μmとした。
【0108】
次いで、コレステリック液晶フィルム上に、ポリウレタン樹脂(ハイドランHW930:大日本インキ化学工業(株)製)を、厚み0.5μmで塗工し、50℃で3分間乾燥させて接着剤層を形成した。この接着剤層に、厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせた。その後、基材を剥離して、標記構造のものを得た。
【0109】
(4)輝度向上フィルム
上記(1)、(2)で作成したサンプルを、厚み21μmの粘着剤層(日東電工(株)製,NO.7)を介し貼り合わせ行い、保護フィルム/接着剤層/コレステリック液晶層/粘着剤層/液晶配向フィルム/接着剤層/位相差板の構成を有する輝度向上フィルムを作成した。上記粘着剤層の貯蔵弾性率は23℃で0.1MPaであった。
【0110】
実施例2
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が0.5MPaのポリエーテル樹脂(ボンディック1320NS,大日本インキ化学工業(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0111】
実施例3
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が0.5MPaのポリエステル樹脂(ボンディック1230NS:大日本インキ化学工業(株)製)を用い、その接着剤層の厚みを5μmで塗工したこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0112】
実施例4
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が10MPaのポリエチレン樹脂(SK1000:日本触媒(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0113】
実施例5
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が100MPaのポリウレタン樹脂(ボンディック1980NS:大日本インキ化学工業(株)製)を用い、その接着剤層の厚みを10μmで塗工したこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0114】
実施例6
実施例1(1)において接着剤層の厚みを15μmに変えたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0115】
実施例7
実施例1(4)において、実施例(1)、(2)で作成したサンプルを、貯蔵弾性率0.5MPaの接着剤層(ポリウレタン樹脂(ハイドランHW930:大日本インキ化学工業(株)製)を用い、厚み5μmで貼り合わせを行ったこと以外は実施例1(4)と同様にして輝度向上フィルムを作製した。構成は、保護フィルム/接着剤層/コレステリック液晶層/接着剤層/液晶配向フィルム/接着剤層/位相差板となった。
【0116】
比較例1
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が90KPaのポリウレタン樹脂(ボンディック1040NS:大日本インキ化学工業(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0117】
比較例2
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が90KPaのポリエステル樹脂(ハイドランHW−140SF:大日本インキ化学工業(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0118】
比較例3
実施例1(1)において、接着剤として、貯蔵弾性率が1GPaのポリウレタン樹脂(ボンディック1250:大日本インキ化学工業(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして輝度向上フィルムを作製した。
【0119】
実施例および比較例で得られた輝度向上フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0120】
(耐久性)
フェード冷熱ショック試験(−35℃と80℃の10000サイクルのヒートサイクル試験繰り返し)において、クラックの発生の有無を目視で以下の基準で評価した。
○:クラック発生せず。
×:クラック発生。
【0121】
【表1】
Figure 2004191803
本発明の輝度向上フィルムは、液晶配向フィルムと位相差板の間に、前記所定の貯蔵弾性率の接着剤層を設けているためクラックの発生がなく耐久性が良好でである。なお、実施例6ではクラックの発生はなかったが、外観が悪かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輝度向上フィルムの断面図である。
【図2】本発明の輝度向上フィルムの断面図である。
【図3】本発明の輝度向上フィルムの断面図である。
【符合の説明】
1 コレステリック液晶フィルム
2 液晶配向フィルム
3 位相差板
4 保護フィルム
A 接着手段
a1 接着剤層
a2 粘着剤層

Claims (10)

  1. コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムおよび位相差板の各層が接着手段を介して積層されている輝度向上フィルムにおいて、
    前記接着手段のいずれか少なくとも1つが、接着剤層であり、かつ23℃における貯蔵弾性率が0.5〜100MPaであることを特徴とする輝度向上フィルム。
  2. コレステリック液晶フィルム、液晶配向フィルムおよび位相差フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする請求項1記載の輝度向上フィルム。
  3. コレステリック液晶フィルム、粘着剤層、液晶配向フィルム、接着剤層および位相差フィルムが、この順に積層されていることを特徴とする請求項2記載の輝度向上フィルム。
  4. 液晶配向フィルムが、ホメオトロピック配向の液晶配向フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の輝度向上フィルム。
  5. 位相差板が、1/4波長板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の輝度向上フィルム。
  6. 接着剤層の厚みが0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに輝度向上フィルム。
  7. コレステリック液晶フィルムの外側に、接着手段を介して保護フィルムが積層されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに輝度向上フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の輝度向上フィルムに、さらに少なくとも1つの光学フィルムが積層されていることを特徴とする光学フィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の輝度向上フィルム、または請求項8記載の光学フィルムを適用した画像表示装置。
  10. 液晶配向フィルムに接着手段を介して位相差板にラミネートする工程、および前記液晶配向フィルムに接着手段を介してコレステリック液晶フィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の輝度向上フィルムの製造方法。
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