JP2004037880A - 偏光子、その製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

偏光子、その製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】折れやシワの発生がなく、かつ光学特性に優れる偏光子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムに、少なくとも、染色工程、延伸工程およびホウ素化合物処理工程が施された偏光子であって、ポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、フィルム巾方向の寸法変化率が20%以下であることを特徴とする偏光子。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光子およびその製造方法に関する。また前記偏光子を用いた偏光板、当該偏光板を用いた光学フィルム、さらには液晶表示装置(以下、LCDともいう)、有機EL表示装置等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置等の画像表示装置に用いる偏光板には、ポリビニルアルコール系フィルムから誘導される配向延伸フィルムを偏光子として用いたものが一般に知られている。前記偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料を染色溶液中で吸着配向させる染色工程、一軸延伸処理を行う延伸工程およびホウ酸水溶液等による処理工程を施すことにより製造される。近年では、液晶表示装置により高度な性能が要求され、偏光子にもより高い透過率と偏光度が要求されるようになっており、こうした要求に応える偏光子の製造方法が各種提案されている。
【0003】
偏光子の透過率、偏光度等の特性を上げるためには、延伸工程における延伸倍率を上げることが有効である。しかし、延伸倍率を上げると、延伸切れが起こるため、延伸倍率を上げることには限界があった。
【0004】
延伸倍率を上げる方法としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムに、染色溶液中で延伸処理を施し、次いでホウ酸水溶液中でさらに延伸処理を施すことにより偏光子を製造する方法が提案されている。かかる方法では、染色溶液中での延伸倍率を小さくし、一方、ホウ酸水溶液中での延伸倍率は、延伸切れが起こらない程度に総延伸倍率を上げることにより、延伸切れがない光学特性に優れた偏光子を作製することができる。しかし、かかる方法では、染色溶液中での延伸倍率を小さくするため、染色溶液中でポリビニルアルコール系フィルムが膨潤して、得られる配向延伸フィルム(偏光子)が折れたり、シワが入るなどして均一に染色できない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、折れやシワの発生がなく、かつ光学特性に優れる偏光子およびその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は当該偏光子を用いた偏光板を提供すること、当該偏光板を用いた光学フィルムを提供すること、さらには当該光学フィルム等を用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光子およびその製造方法により前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに、少なくとも、染色工程、延伸工程およびホウ素化合物処理工程が施された偏光子であって、
ポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、フィルム巾方向の寸法変化率が20%以下であることを特徴とする偏光子、に関する。
【0008】
上記本発明の偏光子は、原料であるポリビニルアルコール系フィルムとして、前記寸法変化率が20%以下の膨潤度の小さいポリビニルアルコール系フィルムを用いることで、延伸工程における延伸倍率が小さい場合にもフィルムにシワが入ったり、折れたりしない。前記寸法変化率は小さいほど好ましい。前記寸法変化率は、好ましくは19.5%以下、さらに好ましくは19%以下である。上記偏光子は、偏光度が99.9%以上であり高偏光度を有することが好ましい。
【0009】
また本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程とともに第一延伸工程を施し、次いでホウ素化合物処理工程とともに第二延伸工程を施す偏光子の製造方法であって、
ポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、フィルム巾方向の寸法変化率が20%以下であり、
第一延伸工程後における延伸倍率が3.5倍以下であり、
総延伸倍率が5倍以上であることを特徴とする偏光子の製造方法に関する。また本発明は、当該製造方法により得られた偏光子、に関する。
【0010】
上記製造方法では、染色工程とともに行う第一延伸工程の延伸倍率を3.5倍以下と小さくした場合にも、原料であるポリビニルアルコール系フィルムの寸法変化率が20%以下であるため、フィルムにシワが入ったり、折れたりしないで、均一に染色することができる。また、前記染色工程での延伸倍率は小さくする一方で、ホウ素化合物処理工程とともに行う第二延伸工程での延伸倍率を上げ、延伸切れがおこらない程度に総延伸倍率を5倍以上とすることで、延伸切れが起きることなく光学特性に優れた偏光子を作製することができる。
【0011】
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けた偏光板、に関する。また本発明は、前記記載の偏光子または偏光板が少なくとも1枚用いられていることを特徴とする光学フィルム、に関する。さらには本発明は、前記、偏光子、偏光板または光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。エチレン、プロピレンなどのオレフィン類が膨潤を抑える点では好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
【0013】
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
【0014】
本発明で用いるポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、膨潤した状態でのフィルム巾方向の寸法変化率が20%以下である。かかるポリビニルアルコール系フィルムとしては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が好適に用いられる。フィルムの巾方向の寸法変化率は、フィルムの結晶化度、吸水率、可塑剤量などにより制御することができる。
【0015】
本発明の偏光子は、たとえば、前記ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程とともに第一延伸工程を施し、次いでホウ素化合物処理工程ともに第二延伸工程を施すことにより得られる。
【0016】
染色工程は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより行う。染色溶液は、上記ポリビニルアルコール系フィルムに浸漬することにより行われる。染色溶液としてはヨウ素溶液が一般的であり、その場合について説明する。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素および溶解助剤として例えばヨウ化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。ヨウ素濃度は0.01〜0.5重量%程度、好ましくは0.02〜0.4重量%であり、ヨウ化カリウム濃度は0.01〜10重量%程度、さらには0.02〜8重量%で用いるのが好ましい。
【0017】
ヨウ素染色処理にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
【0018】
第一延伸工程は前記染色溶液中で、延伸倍率3.5倍以下になるように一軸延伸処理を行う。前記延伸倍率は、好ましくは3.3倍以下、さらに好ましくは3倍以下である。なお、第一延伸工程までの延伸倍率は、染色ムラ防止やシワ防止の点から、2倍以上、さらには2.5倍以上とするのが好ましい。
【0019】
前記染色工程前には、必要に応じて、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコールフィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができる。そのほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。なお、第一延伸工程後における延伸倍率は、染色工程を経た後の延伸倍率であり、染色工程前に、水中で膨潤させる場合にも、染色工程とともに行う第一延伸工程後の延伸倍率は3.5倍以下になるようにする。
【0020】
次いで、ホウ素化合物処理工程ともに第二延伸工程を施す。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂等があげられる。ホウ素化合物は、水溶液または水−有機溶媒混合溶液の形態で用いられる。ホウ酸水溶液等のホウ酸濃度は、2〜20重量%程度、好ましくは3〜15重量%である。ホウ酸水溶液等には、ヨウ化カリウムを含有させることができる。前記ホウ素化合物処理は、前記フィルムをホウ酸水溶液等へ浸漬することにより行う。ホウ素化合物処理工程による処理温度は、通常、50℃以上、好ましくは50〜85℃の範囲である。ホウ素化合物による処理時間は、通常、10〜800秒間、好ましくは30〜500秒間程度である。
【0021】
第二延伸工程は前記ホウ酸水溶液中等で、総延伸倍率5倍以上になるように一軸延伸処理を行う。第二延伸工程での延伸倍率は、第一延伸工程での延伸倍率との総延伸倍率が、5倍以上となるように適宜に調整される。なお、総延伸倍率は、延伸切れが起きないように、7倍以下、さらには6.5倍以下にするのが好ましい。
【0022】
第一延伸工程、第二延伸工程での延伸は、延伸倍率が前記範囲であれば多段で行うこともできる。なお、一軸延伸処理法に特に制限されず、テンター延伸方法、ロール間延伸方法等の常法により行うことができる。
【0023】
前記各処理の施された延伸フィルムは、常法に従って、適宜に、水洗処理、乾燥処理が行われて偏光子となる。偏光子の厚さは、特に制限されないが、5〜80μm程度が好ましい。
【0024】
得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護層を設けた偏光板とすることができる。透明保護層はポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設ることができる。透明保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。前記透明保護層を形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護層は、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0025】
透明保護層の厚さは、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのが好ましい。
【0026】
透明保護層としては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に透明保護層を設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護層を用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護層を用いてもよい。
【0027】
前記透明保護層の偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止処理、スティッキング防止、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0028】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0029】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0030】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0031】
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、通常、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、架橋剤、触媒、添加剤等を含有できる。ポリビニルアルコール系接着剤の架橋剤としては、ホウ酸、ホウ素、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等があげられる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられる。
【0032】
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。接着にあたって、透明保護フィルム表面は、易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理等のドライ処理、水酸化ナトリウム水溶液等によるアルカリケン化処理等の化学処理、セルロース系材料やポリエステル系材料により易接着層を形成するコーティング処理等があげられる。
【0033】
本発明の偏光子または偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2 や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0034】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0035】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0036】
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0037】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0038】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0039】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0040】
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0041】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0042】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0043】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0044】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0045】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0046】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0047】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0048】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0049】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0050】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0051】
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0052】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0053】
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0054】
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
【0055】
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0056】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0057】
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0058】
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0059】
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0060】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0061】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0062】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0063】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0064】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0065】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0066】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
【0067】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0068】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例をあげて具体的に説明する。
【0069】
(寸法変化率)
幅:W1のポリビニルアルコール系フィルムを、30℃の水中に20分間浸漬したときの膨潤した状態でのフィルム幅:W2から、下記式、
寸法変化率(%)={(W2−W1)/W1}×100
により求められる、浸漬前後でのフィルム巾方向の寸法の増加率をいう。
【0070】
実施例1
厚さ80μm、巾400mmのポリビニルアルコールフィルム(結晶化度45.6%)を、速比の異なるロール間で、0.3%のヨウ素水溶液中に30℃で50秒間浸漬し、染色しながら延伸倍率3倍に延伸した。次いで、4%のホウ酸、3%のヨウ化カリウム水溶液中に55℃で90秒間浸漬しながら総延伸倍率6倍まで延伸した後、50℃で4分間乾燥させて偏光子を得た。なお、用いたポリビニルアルコールの寸法変化率は19.4%であった。
【0071】
実施例2
厚さ80μm、巾400mmのエチレン単位を2モル%有するエチレン変性ポリビニルアルコールフィルム(結晶化度44.7%)を、速比の異なるロール間で、0.3%のヨウ素水溶液中に30℃で50秒間浸漬し、染色しながら延伸倍率3倍に延伸した。次いで、4%のホウ酸、3%のヨウ化カリウム水溶液中に60℃で90秒間浸漬しながら総延伸倍率6倍まで延伸した後、50℃で4分間乾燥させて偏光子を得た。なお、用いたポリビニルアルコールの寸法変化率は18.8%であった。
【0072】
比較例1
厚さ80μm、巾400mmのポリビニルアルコールフィルム(結晶化度38.4%)を、速比の異なるロール間で、0.3%のヨウ素水溶液中に30℃で50秒間浸漬し、染色しながら延伸倍率3倍に延伸した。次いで、4%のホウ酸、3%のヨウ化カリウム水溶液中に55℃で90秒間浸漬しながら総延伸倍率6倍まで延伸した後、50℃で4分間乾燥させて偏光子を得た。なお、用いたポリビニルアルコールの寸法変化率は22.3%であった。
【0073】
比較例2
実施例1において、ヨウ素水溶液中での延伸倍率を4倍に変え、総延伸倍率が6倍になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。
【0074】
比較例3
実施例2において、ヨウ素水溶液中での延伸倍率を4倍に変え、総延伸倍率が6倍になるように調整したこと以外は、実施例2と同様にして偏光子を得た。
【0075】
比較例4
実施例1において、ヨウ素水溶液中での延伸倍率を3倍に変え、総延伸倍率が4.5倍になるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。
【0076】
上記実施例1〜2および比較例1〜4で得られた偏光子の両側にトリアセチルセルロースフィルムを貼り合せた偏光板について下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
(光学特性)
光学特性として単体の透過率と偏光度を測定した。なお、透過率は、分光光度計(村上色彩技術研究所製,DOT−3)を用いて測定し、JIS Z8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
【0078】
偏光度は、2枚の同じ偏光板を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H )と直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)を、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から求めた。なお、偏光の透過率(H )と直交の透過率(H90)は、視感度補正したY値である。
偏光度(%)=√{(H −H90)/(H +H90)}×100
【0079】
(外観)
第一延伸工程後のフィルムのシワ、折れなどの発生の状態の有無を目視で評価した。
【0080】
【表1】
Figure 2004037880
実施例1と比較例1との比較から、寸法変化率が20%以下のポリビニルアルコール系フィルムを用いた実施例1では、染色工程での延伸倍率が小さい場合にも、フィルムのシワや折れなどが発生しないことが分かる。また実施例1、2と比較例2〜4との比較から、染色工程での延伸倍率が3.5倍以下であり、総延伸倍率が5倍以上であるときに単体透過率が44%において、偏光度が99.9%以上と良好になることが分かる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムに、少なくとも、染色工程、延伸工程およびホウ素化合物処理工程が施された偏光子であって、
    ポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、フィルム巾方向の寸法変化率が20%以下であることを特徴とする偏光子。
  2. 偏光度が99.9%以上であることを特徴とする請求項1記載の偏光子。
  3. ポリビニルアルコール系フィルムに、染色工程とともに第一延伸工程を施し、次いでホウ素化合物処理工程とともに第二延伸工程を施す偏光子の製造方法であって、
    ポリビニルアルコール系フィルムは、30℃の水中に20分間浸漬したとき、フィルム巾方向の寸法変化率が20%以下であり、
    第一延伸工程後における延伸倍率が3.5倍以下であり、
    総延伸倍率が5倍以上であることを特徴とする偏光子の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法により得られた偏光子。
  5. 請求項1、2または4記載の偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けた偏光板。
  6. 請求項1、2もしくは4記載の偏光子または請求項5記載の偏光板が少なくとも1枚用いられていることを特徴とする光学フィルム。
  7. 請求項1、2もしくは4記載の偏光子、請求項5記載の偏光板または請求項6記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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