JP2011180576A - ヨウ素系偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

ヨウ素系偏光フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光(380〜780nm)の長波長域(645〜780nm)における光吸収を増大させて、当該長波長域に於ける光漏れの発生を防止し、光学特性に優れたヨウ素系偏光フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、高分子フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルムの製造方法であって、高分子フィルムを、ヨウ素を含む溶液中に浸漬させることにより、高分子フィルムにヨウ素を吸着させる染色工程と、染色後の高分子フィルムを、架橋剤を含む溶液中に浸漬させることにより、高分子フィルムを架橋する架橋工程と、架橋後の高分子フィルムを溶液から取り出し、その状態で高分子フィルムを加熱することなく所定の延伸倍率に一軸延伸する第一延伸工程と、一軸延伸後の高分子フィルムを、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中に浸漬させながら、所定の延伸倍率に一軸延伸する第二延伸工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ(PD)及び電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)等の画像表示装置に使用するヨウ素系偏光フィルムの製造方法に関する。
画像表示装置(特に液晶表示装置)に使用する偏光フィルムは、明るく、色の再現性が良い画像を提供するために、高い透過率と偏光度を兼ね備えることが必要とされている。この様な偏光フィルムは、従来、ポリビニルアルコールフィルム(以下、「PVAフィルム」という。)を膨潤水で膨潤した後、染色工程において二色性を有するヨウ素又は二色性染料等の二色性物質を吸着配向させると共に、一軸延伸を行っている。更に、その後、架橋工程において、ホウ酸等の架橋剤を含む架橋浴中にPVAフィルムを浸漬して架橋させると共に、一軸延伸を行うことにより製造されている(下記特許文献1)。
しかし、前記の様な一般的な製造方法では、架橋工程において架橋浴中に浸漬させた状態で延伸をしているため、PVAフィルム中にホウ酸が過剰に含有されることになる。その結果、五価ヨウ素錯体の形成を可能にする吸着サイトが低減し、これにより、偏光フィルムにおいては可視光(380〜780nm)の長波長域(645〜780nm)における光漏れが生じるという問題がある。
特開2004−341515号公報 特開平11−49878号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、可視光(380〜780nm)の長波長域(645〜780nm)における光吸収を増大させて、当該長波長域に於ける光漏れの発生を防止し、光学特性に優れたヨウ素系偏光フィルムの製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、架橋工程の後に架橋浴外で延伸を行ったヨウ素系偏光フィルムであると、可視光の長波長域における光吸収が改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明に係るヨウ素系偏光フィルムの製造方法は、前記の課題を解決する為に、高分子フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルムの製造方法であって、前記高分子フィルムを、ヨウ素を含む溶液中に浸漬させることにより、当該高分子フィルムにヨウ素を吸着させる染色工程と、染色後の前記高分子フィルムを、架橋剤を含む溶液中に浸漬させることにより、当該高分子フィルムを架橋する架橋工程と、架橋後の前記高分子フィルムを前記溶液から取り出し、その状態で前記高分子フィルムを加熱することなく所定の延伸倍率に一軸延伸する第一延伸工程と、前記第一延伸工程後の高分子フィルムを、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中に浸漬させながら、所定の延伸倍率に一軸延伸する第二延伸工程とを含むことを特徴とする。
前記方法によれば、架橋剤を含む溶液中で架橋された高分子フィルムを、当該溶液から取り出した状態で第一延伸工程を行う。また、この第一延伸工程は、熱ロールや加熱オーブン等を用いることにより、高分子フィルムに対し加熱を行うものではない。従って、前記方法における第一延伸工程は従来の乾式延伸とは異なるものである。この様な第一延伸工程を行うことにより、高分子フィルム中に架橋剤が過剰に含有されるのを防止し、五価ヨウ素錯体の量を増大させることが可能になる。五価ヨウ素錯体は可視光(380〜780nm)における長波長域(645〜780nm)の光吸収能が高いので、前記第一延伸工程を行うことにより、五価ヨウ素錯体を多く有する偏光フィルムを製造することができる。即ち、前記方法であると、前記長波長域に於ける光漏れを低減させることが可能なヨウ素系偏光フィルムの製造が可能になる。
ここで、第一延伸工程のみにより高分子フィルムの一軸延伸を行うと、高分子フィルムの硬化により破断する場合がある。しかし、前記方法の様に、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中で浸漬させながら高分子フィルムを一軸延伸させる第二延伸工程を更に行うことで、高分子フィルムの破断を防止することができる。
前記方法に於いて、前記第一延伸工程で行う一軸延伸の延伸倍率は、前記架橋工程後の高分子フィルムに対し1.05〜1.4倍の範囲内であり、前記第二延伸工程で行う一軸延伸の延伸倍率は、前記第一延伸工程後の高分子フィルムに対し1.15〜1.70倍の範囲内であることが好ましい。第一延伸工程における延伸倍率を1.4倍以下にすることにより、高分子フィルムが破断するのを防止することができる。その一方、前記延伸倍率を1.05倍以上にすることにより、後の第二延伸工程における延伸倍率を抑えることができ、ホウ酸が高分子フィルム中に過剰に含有されるのを防止して、五価ヨウ素錯体の量を増大させることができる。その結果、可視光の長波長域(645〜780nm)における光洩れを防止することができる。第二延伸工程における延伸倍率を1.56倍以下にすることにより、高分子フィルムが破断するのを防止することができる。その一方、前記延伸倍率を1.15倍以上にすることにより、高分子フィルム中に適度にホウ酸を含有し、高分子フィルムが高温浴温度にて溶け切れ(溶融し、かつ破断)するのを防止することができる。
前記方法において、前記高分子フィルムとしてポリビニルアルコールフィルムを使用することが好ましい。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明に係るヨウ素系偏光フィルムの製造方法によれば、架橋剤を含む溶液中で架橋された高分子フィルムを、当該溶液から取り出した状態で延伸を行うことにより、高分子フィルム中に架橋剤が過剰に含有されるのを防止し、五価ヨウ素錯体の量を増大させることが可能になる。その結果、可視光における長波長域の光漏れを低減させ、光学特性に優れたヨウ素系偏光フィルムの製造が可能になる。また、本発明は、架橋浴の浴外で行う第一延伸工程に続いて、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中で浸漬させながら高分子フィルムを一軸延伸させる第二延伸工程を行うことで、高分子フィルムが第一延伸工程において破断するのを防止することができる。これにより、歩留まりを向上させてヨウ素系偏光フィルムを製造することができる。
本実施の形態に係るヨウ素系偏光フィルム(以下、「偏光フィルム」という。)の製造方法について説明する。本実施の形態に係る偏光フィルムの製造方法は、初期原反フィルムとしてのPVAフィルムに対し、少なくとも染色工程、架橋工程、第一延伸工程及び第二延伸工程を順次行うものであれば特に限定されない。例えば、前記染色工程の前に従来公知の膨潤工程を行ってもよい。
前記偏光フィルムは高分子フィルムにヨウ素を吸着配向させた構成を有するものであり、自然光や偏光から任意の偏光に変換し得る素子をいう。本発明に用いられる偏光フィルムは、特に制限はないが、好ましくは、自然光または偏光を直線偏光に変換するものである。このような偏光フィルムは、入射する光を直交する2つの偏光成分に分けたとき、そのうちの一方の偏光成分を透過させる機能を有し、且つ、他方の偏光成分を、吸収、反射、および散乱等によって透過させないものである。
前記高分子フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム(以下、「PVAフィルム」という。)が好ましい。前記PVAフィルムはポリビニルアルコール系樹脂からなり、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、一般に500〜10,000であり、1,000〜8,000の範囲であることが好ましく、1,400〜7,000の範囲にあることがより好ましい。更に、ケン化される場合、そのケン化度は、例えば、水への溶解性の点から、75モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上であり、98.3モル%以上の範囲にあることがより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂からなるPVAフィルムの製造方法としては、水又は有機溶媒に溶解した原液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法等任意の方法で成膜されたものを適宜使用することができる。このときの位相差値は、5nm〜100nmのものが好ましく用いられる。また、面内均一な偏光フィルムを得るために、PVAフィルム面内の位相差バラツキはできるだけ小さい方が好ましく、原反フィルムとしてのPVAフィルムの面内位相差バラツキは、測定波長1000nmに於いて10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましい。
前記膨潤工程としては、例えば、水で満たした膨潤浴にPVAフィルムを浸漬する。これによりPVAフィルムが水洗され、PVAフィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるとともに、PVAフィルムを膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止する効果が期待できる。この膨潤浴中には、グリセリンやヨウ化カリウム等を適宜加えてもよい。添加する濃度は、グリセリンの場合5重量%以下、ヨウ化カリウムの場合10重量%以下であることが好ましい。膨潤浴の温度は、20〜45℃の範囲であることが好ましく、25〜40℃であることがより好ましい。膨潤浴への浸漬時間は、2〜180秒間であることが好ましく、10〜150秒間であることがより好ましく、20〜130秒間であることが特に好ましい。また、この膨潤浴中でPVAフィルムを延伸してもよく、そのときの延伸倍率は膨潤による伸展も含めて、未延伸状態のフィルムに対し1.1〜3.5倍程度である。
前記染色工程は、前記PVAフィルムを、ヨウ素を含む溶液(染色浴)に浸漬することによって、前記ヨウ素をPVAフィルムに吸着させる工程である。この染色工程でPVAフィルムを延伸してもよく、そのときの延伸倍率は、未延伸状態のフィルムに対し、総延伸倍率は、1.1〜4倍程度であることが好ましい。
前記染色浴の溶液としては、ヨウ素を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が更に添加されてもよい。ヨウ素の濃度としては、0.010〜10重量%の範囲にあることが好ましく、0.020〜7重量%の範囲にあることがより好ましく、0.025〜5重量%であることが特に好ましい。
また、染色効率をより一層向上させるために、更にヨウ化物を添加することが好ましい。このヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらヨウ化物の添加割合は、前記染色浴に於いて、0.010〜10重量%であることが好ましく、0.10〜5重量%であることがより好ましい。これらのなかでも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合(重量比)は、1:5〜1:100の範囲にあることが好ましく、1:6〜1:80の範囲にあることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲にあることが特に好ましい。
前記染色浴へのPVAフィルムの浸漬時間は特に限定されるものではないが、1秒〜10分の範囲であることが好ましく、5秒〜5分であることがより好ましい。また、染色浴の温度は、5〜42℃の範囲にあることが好ましく、10〜35℃の範囲にあることがより好ましい。
前記架橋工程は、例えば、架橋剤を含む架橋浴中にPVAフィルムを浸漬して架橋する工程である。この架橋工程でPVAフィルムを延伸してもよく、そのときの延伸倍率は、未延伸状態のフィルムに対し、総延伸倍率は、1.1〜4倍程度であることが好ましい。
前記架橋剤としては従来公知の物質を使用することができる。例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これら架橋剤は一種単独で、又は二種類以上を併用してもよい。架橋剤を、二種類以上を併用する場合は、例えば、ホウ酸とホウ砂の組み合わせが好ましい。その添加割合(モル比)は、ホウ酸:ホウ砂の割合が4:6〜9:1の範囲にあることが好ましく、5.5:4.5〜7:3の範囲がより好ましく、6:4であることが最も好ましい。
前記架橋浴の溶液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解した溶液を使用することができる。前記溶媒としては、例えば水を使用できるが、更に水と相溶性のある有機溶媒を含んでもよい。前記溶液に於ける架橋剤の濃度は特に限定されないが、1〜10重量%の範囲であることが好ましく、2〜6重量%の範囲内であることがより好ましい。
前記架橋浴中には、偏光フィルムの面内において均一な光学特性が得られる点から、ヨウ化物を添加してもよい。このヨウ化物としては特に限定されず、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。また、ヨウ化物の含有量は、0.05〜15重量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜8重量%の範囲内であることがより好ましい。前記に例示したヨウ化物は一種単独で、又は二種類以上を併用してもよい。二種類以上を併用する場合は、ホウ酸とヨウ化カリウムの組み合わせが好ましい。ホウ酸とヨウ化カリウムの割合(重量比)としては、1:0.1〜1:3.5の範囲にあることが好ましく、1:0.5〜1:2.5の範囲にあることがより好ましい。
前記架橋浴の温度は、通常20〜70℃の範囲であることが好ましく、30〜50℃の範囲であることがより好ましい。また、PVAフィルムの浸漬時間は通常1秒〜15分の範囲であり、好ましくは、5秒〜10分である。
前記第一延伸工程は、前記架橋浴から取り出したPVAフィルムをそのままの状態で一軸延伸する工程である。当該第一延伸工程は、従来公知の乾式延伸と異なり、熱ロールや加熱オーブン等を用いて高分子フィルムを加熱したりしない。即ち、第一延伸工程では加熱を行わなければ、先の工程(架橋工程)で加熱されそのままの温度が維持されていてもよい。また、第一延伸工程は常温(20〜30℃)、相対湿度45〜85%の下で行うことが好ましい。更に、第一延伸工程を行うにあたっては、架橋工程におけるホウ酸を含む溶液の液切りを行うことなく、架橋後の前記高分子フィルムを前記溶液から取り出し、その状態で第一延伸工程が施される。
また、第一延伸工程における延伸倍率は、延伸直前のPVAフィルムに対し1.05〜1.4倍の範囲内であることが好ましく、1.1〜1.35倍の範囲内であることがより好ましい。延伸倍率が1.1倍未満であると、長波長域の光洩れ防止効果が十分に得られない場合がある。その一方、1.4倍を超えると、PVAフィルムの硬化に起因して破断する場合がある。また、十分な偏光特性が得られない場合がある。PVAフィルムの溶け切れを防止するためには、後述する第二延伸工程でPVAフィルムにホウ酸を含有させる必要があるが、過剰に含有させるとPVAフィルム中の五価ヨウ素錯体量が少なくなり、長波長領域での光洩れが発生する。そこで、前記の通り、第一延伸工程でPVAフィルムを適度に延伸させることで、後の第二延伸工程での延伸を抑えることができ、PVAフィルムに過剰のホウ酸が含有するのを防止することができる。
前記第二延伸工程は、前記高分子フィルムを、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中に浸漬させながら一軸延伸する工程である。ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中に浸漬させることで、PVAフィルムの硬化を防止することができる。その結果、PVAフィルムを破断させることなく延伸させることができる。前記第二延伸工程で行う一軸延伸の延伸倍率は、前記第一延伸工程後の高分子フィルムに対し1.15〜1.70倍の範囲内であることが好ましく、さらには1.20〜1.65倍、さらには1.20〜1.56倍、さらには1.20〜1.50倍の範囲内であることがより好ましい。
前記ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液におけるホウ酸の含有量は、2〜18重量%であることが好ましく、3〜10重量%であることがより好ましい。ホウ酸の含有量を2重量%以上にすることにより、PVAフィルム中に適度にホウ酸を含有し、PVAフィルムが高温浴温度にて溶け切れするのを防止することができる。その一方、ホウ酸の含有量を18重量%以下にすることにより、PVAフィルムの硬化を防止して破断するのを防止することができる。ヨウ化カリウムの含有量は、0.05〜15重量%であることが好ましく、0.5〜8重量%の範囲内であることがより好ましい。ホウ酸とヨウ化カリウムの割合(重量比)としては、1:0.1〜1:3.5の範囲にあることが好ましく、1:0.5〜1:2.5の範囲にあることがより好ましい。
前記前記ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液の温度は、通常50〜65℃の範囲であり、PVAフィルムの浸漬時間は通常1秒〜10分の範囲であり、好ましくは、5秒〜5分である。
本実施の形態においては、更に、適宜必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を順次行ってもよい。当該洗浄工程としては、例えば、洗浄浴の水溶液中にPVAフィルムを浸漬することにより、前の処理で付着したホウ酸等の不要残存物を洗い流すことができる。前記水溶液には、前記2族元素の塩を添加してもよく、当該塩としては、例えばヨウ化物が好ましく用いられる。ここで、前記ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。洗浄浴に2族元素の塩を添加する場合、その濃度は通常0.1〜10重量%であり、3〜8重量%であることが好ましい。更に、前記洗浄浴の温度は、10〜60℃であることが好ましく、15〜40℃であることがより好ましい。また、洗浄工程の回数は特に限定されることなく複数回実施してもよい。また、各洗浄浴中の添加物の種類や濃度を変えてもよい。
尚、PVAフィルムを膨潤浴や染色浴、洗浄浴から引き上げる際には、液だれの発生を防止するために、従来公知であるピンチロール等の液切れロールを用いてもよく、エアーナイフにより液を削ぎ落とす等の方法により、余分な水分を取り除いてもよい。
前記乾燥工程としては、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、適宜な方法を用いることができるが、通常、加熱乾燥が好ましく用いられる。加熱乾燥を行う場合、加熱温度は20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度であることが好ましい。
前記の各工程を行うことにより作製された偏光フィルムの最終的な総延伸倍率は、前記初期原反のPVAフィルムに対して5.0倍以上であることが好ましく、5.5〜6.5倍であることがより好ましい。最終的な総延伸倍率が5.0倍未満であると、高偏光度の偏光フィルムを得ることが困難になる場合がある。尚、総延伸倍率を6.5倍以下にすることで、PVAフィルムが容易に破断するのを防止することができる。
また、偏光フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、一般的に、5〜80μm程度である。この偏光フィルムの片面又は両面に透明保護フィルムを積層することにより偏光板となる。前記この透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。この様な熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。尚、偏光フィルムの片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤等が挙げられる。透明保護フィルム中の前記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、更に好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の前記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性等の点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
尚、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
本実施の形態に係る透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂及び(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。
セルロース樹脂の具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリプロピルセルロース、ジプロピルセルロース等が挙げられる。これらのなかでも、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士写真フィルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。一般的にこれらトリアセチルセルロースは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、0〜80nm程度を有している。
環状ポリオレフィン樹脂の具体例としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品律「APEL」が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。前記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性当の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロものフィルムを得ることができる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報等に記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上及び/又は、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としてば、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理等が挙げられる。
前記透明保護フィルムの偏光フィルムを接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
尚、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
本発明の偏光板は、透明保護フィルムと偏光フィルムを、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。当該製造方法は、前記接着剤を、偏光フィルムの前記接着剤層を形成する面及び/又は透明保護フィルムの前記接着剤層を形成する面に、塗工する工程;偏光フィルムと透明保護フィルムとを、前記偏光板用接着剤を介して貼り合わせる工程を有する。
本実施の形態に係る偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層又は2層以上用いることができる。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置等の製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性等に応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れるものが好ましく用いうる。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、前記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したもの等の、従来に準じた適宜なものを用いうる。
本実施の形態に係る偏光板は液晶表示装置や有機エレクトロルミネセンス装置等の各種画像表示装置に好ましく用いることができる。液晶表示装置に適用する場合、本実施の形態に係る偏光板は、液晶セルの表面及び裏面にそれぞれ光透過軸が直交する様に配置される。これにより、可視光の波長域における光漏れが低減され、表示画面に変色が生じるのを防止した液晶表示装置が得られる。前記液晶セルとしては特に限定されず、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型、等の任意なタイプのものを適用することができる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
平均重合度2400、厚さ75μm、フィルム幅50mmのポリビニルアルコール(PVA)フィルム(クラレ(株)製、商品名;VF−PS7500)を用い、以下の工程を順次行うことにより、本実施例1に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
30℃の純水で満たした膨潤浴に前記PVAフィルムを搬送し、前記純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。また、延伸倍率が2.2倍になるまでPVAフィルムの一軸延伸を行った。
<染色工程>
ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/7の割合(重量比)のヨウ素原液を4.0重量%含む30℃のヨウ素含有染色溶液で満たした染色浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ素含有染色溶液に27秒間浸漬して染色しながら、延伸倍率が初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し3.3倍になるまで一軸延伸を行った。
<架橋工程>
ホウ酸3重量%とヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで一軸延伸して架橋させた。
<第一延伸工程>
架橋後の前記PVAフィルムを架橋浴から取り出し、浴外(温度25℃、相対湿度45%)で一軸延伸を行った。延伸倍率は初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し4.4倍(架橋工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.22倍)とした。
<第二延伸工程>
第一延伸工程後の前記PVAフィルムを、ホウ酸4重量%とヨウ化カリウム5重量%を含有する60℃のホウ酸水溶液中に60秒間浸漬させた。その状態で、初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し5.92倍(第一延伸工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.35倍)とした。
<洗浄工程>
ヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のヨウ化カリウム水溶液で満たした洗浄浴に前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して水洗処理を行った。
前記洗浄浴からPVAフィルムを取り出し、オーブンを用いてPVAフィルムの乾燥を行った。乾燥条件としては、乾燥温度60℃、オーブン内の通過時間を4分間とした。これにより、本実施例1に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1で用いたPVAフィルムと同様のものを用いて、以下の工程を順次行うことにより、本比較例1に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
30℃の純水で満たした膨潤浴に前記PVAフィルムを搬送し、前記純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。また、延伸倍率が2.2倍になるまでPVAフィルムの一軸延伸を行った。
<染色工程>
ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/7の割合(重量比)のヨウ素原液を4.0重量%含む30℃のヨウ素含有染色溶液で満たした染色浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ素含有染色溶液に27秒間浸漬して染色しながら一軸延伸を行った。延伸倍率は、初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し3.3倍とした。
<架橋工程>
ホウ酸3重量%とヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで一軸延伸して架橋させた。
<延伸工程>
その後、ホウ酸4重量%とヨウ化カリウム5重量%を含有する60℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴中で60秒間浸漬しながら延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し5.92倍になるまで一軸延伸をした。
<洗浄工程>
ヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のヨウ化カリウム水溶液で満たした洗浄浴に前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して水洗処理を行った。
前記洗浄浴からPVAフィルムを取り出し、オーブンを用いてPVAフィルムの乾燥を行った。乾燥条件としては、乾燥温度60℃、オーブン内の通過時間を4分間とした。これにより、本比較例1に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1で用いたPVAフィルムと同様のものを用いて、以下の工程を順次行うことにより、本比較例2に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
30℃の純水で満たした膨潤浴に前記PVAフィルムを搬送し、前記純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。また、延伸倍率が2.2倍になるまでPVAフィルムの一軸延伸を行った。
<染色工程>
ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/7の割合(重量比)のヨウ素原液を4.0重量%含む30℃のヨウ素含有染色溶液で満たした染色浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ素含有染色溶液に27秒間浸漬して染色しながら、延伸倍率が初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し3.3倍になるまで一軸延伸を行った。
<架橋工程>
ホウ酸3重量%とヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで一軸延伸して架橋させた。
<第一延伸工程>
架橋後の前記PVAフィルムを架橋浴から取り出し、浴外(温度25℃、相対湿度45%)で一軸延伸を行った。延伸は初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し5.92倍(架橋工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.64倍)になるまで行ったところ、PVAフィルムが破断した。
(比較例3)
実施例1で用いたPVAフィルムと同様のものを用いて、以下の工程を順次行うことにより、本比較例3に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
30℃の純水で満たした膨潤浴に前記PVAフィルムを搬送し、前記純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。また、延伸倍率が2.2倍になるまでPVAフィルムの一軸延伸を行った。
<染色工程>
ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/7の割合(重量比)のヨウ素原液を4.0重量%含む30℃のヨウ素含有染色溶液で満たした染色浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ素含有染色溶液に27秒間浸漬して染色しながら、延伸倍率が初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し3.3倍になるまで一軸延伸を行った。
<架橋工程>
ホウ酸3重量%とヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで一軸延伸して架橋させた。
<第一延伸工程>
架橋後の前記PVAフィルムを架橋浴から取り出し、オーブン中(温度60℃、相対湿度10%)で一軸延伸を行った。延伸倍率は初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し4.4倍(架橋工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.22倍)とした。
<第二延伸工程>
第一延伸工程後の前記PVAフィルムを、ホウ酸4重量%とヨウ化カリウム5重量%を含有する60℃のホウ酸水溶液中に60秒間浸漬させた。その状態で、初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し5.92倍(第一延伸工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.35倍)とした。
<洗浄工程>
ヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のヨウ化カリウム水溶液で満たした洗浄浴に前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して水洗処理を行った。
前記洗浄浴からPVAフィルムを取り出し、オーブンを用いてPVAフィルムの乾燥を行った。乾燥条件としては、乾燥温度60℃、オーブン内の通過時間を4分間とした。これにより、本比較例3に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
(比較例4)
実施例1で用いたPVAフィルムと同様のものを用いて、以下の工程を順次行うことにより、本比較例4に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
<膨潤工程>
30℃の純水で満たした膨潤浴に前記PVAフィルムを搬送し、前記純水中に30秒間浸漬して膨潤させた。また、延伸倍率が2.2倍になるまでPVAフィルムの一軸延伸を行った。
<染色工程>
ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/7の割合(重量比)のヨウ素原液を4.0重量%含む30℃のヨウ素含有染色溶液で満たした染色浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ素含有染色溶液に27秒間浸漬して染色しながら、延伸倍率が初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し3.3倍になるまで一軸延伸を行った。
<架橋工程>
ホウ酸3重量%とヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のホウ酸水溶液で満たした架橋浴に、前記PVAフィルムを搬送し、ホウ酸水溶液中に28秒間浸漬しながら、延伸倍率が初期のPVAフィルムに対し3.6倍になるまで一軸延伸して架橋させた。
<第一延伸工程>
架橋後の前記PVAフィルムを架橋浴から取り出した後、水切りローラを通して、前記PVAフィルムの表面に付着していた水滴を完全に除去した。次いで、前記の水切りしたPVAフィルムを浴外(温度25℃、相対湿度45%)で一軸延伸を行った。延伸倍率は初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し4.4倍(架橋工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.22倍)とした。
<第二延伸工程>
第一延伸工程後の前記PVAフィルムを、ホウ酸4重量%とヨウ化カリウム5重量%を含有する60℃のホウ酸水溶液中に60秒間浸漬させた。その状態で、初期の未延伸状態のPVAフィルムに対し5.92倍(第一延伸工程直後のPVAフィルムに対し延伸倍率1.35倍)とした。
<洗浄工程>
ヨウ化カリウム3重量%を含有する30℃のヨウ化カリウム水溶液で満たした洗浄浴に前記PVAフィルムを搬送し、ヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して水洗処理を行った。
前記洗浄浴からPVAフィルムを取り出し、オーブンを用いてPVAフィルムの乾燥を行った。乾燥条件としては、乾燥温度60℃、オーブン内の通過時間を4分間とした。これにより、本比較例4に係るヨウ素系偏光フィルムを作製した。
各実施例及び比較例に係るヨウ素系偏光フィルムについて下記評価を行った。結果を表1に示す。
(単体透過率)
各実施例及び比較例に係るヨウ素系偏光フィルムの単体透過率は、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製のV7100)を用いて、JIS Z 8701−1982に規定の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示した。結果を表1に示す。
(直交透過率)
各ヨウ素系偏光フィルムにおける410nm、700nmの直交透過率は、前記分光光度計を用いて測定した。
(偏光度)
得られた偏光フィルムの偏光度の測定は、積分球付き分光光度計(日本分光製、V7100)を用い、測定波長は380nm〜780nmで行った。結果を表1に示す。尚、偏光度は、2枚の同じ偏光板を両者の光透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:H)、及び両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:H90)を以下の式に適用することにより求めた。
偏光度(%)={(H−H90)/(H+H90)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光フィルムを通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
(結果)
後記表1から明らかな通り、実施例1に係るヨウ素系偏光フィルムでは、比較例1に係るヨウ素系偏光フィルムと比較して、700nmにおける直交透過率が低減していることが確認された。これにより、実施例1に係る偏光フィルムを備えた偏光板であると、可視光の長波長域における光漏れの低減が可能であることが分かった。尚、比較例2に於いては、第一延伸工程においてPVAフィルムが硬化し破断したため、ヨウ素系偏光フィルムを製造することができなかった。
Figure 2011180576

Claims (3)

  1. 高分子フィルムにヨウ素を吸着配向させたヨウ素系偏光フィルムの製造方法であって、
    前記高分子フィルムを、ヨウ素を含む溶液中に浸漬させることにより、当該高分子フィルムにヨウ素を吸着させる染色工程と、
    染色後の前記高分子フィルムを、架橋剤を含む溶液中に浸漬させることにより、当該高分子フィルムを架橋する架橋工程と、
    架橋後の前記高分子フィルムを前記溶液から取り出し、その状態で前記高分子フィルムを加熱することなく所定の延伸倍率に一軸延伸する第一延伸工程と、
    前記第一延伸工程後の高分子フィルムを、ホウ酸とヨウ化カリウムを含む溶液中に浸漬させながら、所定の延伸倍率に一軸延伸する第二延伸工程とを含むヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記第一延伸工程で行う一軸延伸の延伸倍率は、前記架橋工程後の高分子フィルムに対し1.05〜1.4倍の範囲内であり、前記第二延伸工程で行う一軸延伸の延伸倍率は、前記第一延伸工程後の高分子フィルムに対し1.15〜1.70倍の範囲内である請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記高分子フィルムとしてポリビニルアルコールフィルムを使用する請求項1又は2に記載のヨウ素系偏光フィルムの製造方法。


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