JP2004012181A - 放射線画像撮像装置 - Google Patents
放射線画像撮像装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004012181A JP2004012181A JP2002162901A JP2002162901A JP2004012181A JP 2004012181 A JP2004012181 A JP 2004012181A JP 2002162901 A JP2002162901 A JP 2002162901A JP 2002162901 A JP2002162901 A JP 2002162901A JP 2004012181 A JP2004012181 A JP 2004012181A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- signal
- sensor
- radiation
- sensor array
- measurement circuit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像が可能な放射線画像撮像装置を提供する。
【解決手段】放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサ111が配列されてなるセンサアレイと、センサアレイの各センサ111毎に設けられ、各センサ111から出力されるパルス信号をそれぞれ計数するパルス数測定回路113と、センサアレイの各センサ111毎に設けられ、各センサ111から出力されるパルス信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路114と、積分測定回路114が動作しているときにパルス数測定回路113を停止させる切替え器112とを備え、計数型及び蓄積型の放射線画像撮像装置の双方の機能(長所)を兼ね備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサ111が配列されてなるセンサアレイと、センサアレイの各センサ111毎に設けられ、各センサ111から出力されるパルス信号をそれぞれ計数するパルス数測定回路113と、センサアレイの各センサ111毎に設けられ、各センサ111から出力されるパルス信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路114と、積分測定回路114が動作しているときにパルス数測定回路113を停止させる切替え器112とを備え、計数型及び蓄積型の放射線画像撮像装置の双方の機能(長所)を兼ね備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像撮像装置に係り、特にガンマ線やX線のような放射線による画像を高解像度で撮像する放射線画像撮像装置に放射線画像撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、その各センサ毎に各センサ出力のパルス信号を計数するパルス数測定回路とを設けた計数型放射線画像撮像装置が知られている(例えば米国特許第6248990号)。
【0003】
また、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、その各センサ毎に各センサ出力を時間軸方向に積分する積分測定回路とを設けた蓄積型放射線画像撮像装置が知られている(例えば米国特許第5812191号)。
【0004】
計数型放射線画像撮像装置は、パルス検出の閾値を充分大きくすれば低信号レベルのセンサのリーク電流や熱雑音電流の影響を排除できるので、平均信号電流が低い低線量率の場合でも雑音の少ない画像信号の計測が可能である。
【0005】
しかし、計数型放射線画像撮像装置は、センサで短時間に多くのパルスが発生した場合、パルスとパルスが重なってしまってパルス数を数え落とす現象(ピークパイルアップ)のため、高線量率の撮像ができない。従って、計数型放射線画像撮像装置は低線量率の撮像に適している。
【0006】
一方、蓄積型放射線画像撮像装置は、パルスとパルスが重なってしまった場合でも、波高の時間積分を求めるので計測に悪影響はなく、高線量率でも撮像が可能である。
【0007】
しかし、蓄積型放射線画像撮像装置は低線量率の場合の平均信号電流がセンサのリーク電流や熱雑音電流と同程度になってしまうため、低線量率では雑音の影響が多く画質が低下する。従って、蓄積型放射線画像撮像装置は高線量率の撮像に適している。
【0008】
更に、計数型放射線画像撮像装置は、パルス検出の閾値を充分大きくすれば低信号レベルの散乱X線による信号成分を排除できるので、散乱線含有率の少ない画像信号計測が可能である。また、上記閾値を変更することで、エネルギ特性を変更することが出来、エネルギ差分法のような放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能である。
【0009】
しかし、計数型放射線画像撮像装置は、パルス数測定回路の中に波形整形回路、比較回路、12ビット程度の計数回路などを含み回路規模が大きくなるため、センサ毎に必要な面積が大きくなるため、高解像力の撮像ができない。
【0010】
一方、蓄積型放射線画像撮像装置は、積分器、サンプルホルダ、出力ゲートのような比較的単純なアナログ回路のみで構成され回路規模が小さく、センサ毎に必要な面積が小さいので、高解像力の検出器を構成できる。
【0011】
しかし、蓄積型放射線画像撮像装置は、パルスの選別機能がないので、エネルギ特性を利用した散乱線の除去やエネルギ差分法のような放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像撮像装置が得られない。
【0013】
例えば、医用X線撮像の場合、撮影時は、高品質の診断用画像を体動の影響を除いて得るために高線量率のX線が照射される。
【0014】
一方、透視時は、位置決めやカテーテル操作のような長時間の動画観察が必要なため、患者や術者への被曝を考慮して低線量率のX線が照射される。
【0015】
透視と撮影は一つの検査の中で引き続いて行なわれるため、透視と撮影の双方に好適な放射線画像撮像装置が求められている。
【0016】
また、従来技術では、医用X線画像のように散乱線を多く含み、かつ高解像力の放射線画像の撮像に好適な蓄積型の放射線画像撮像装置が得られない。
【0017】
本発明の目的は、低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像が可能な放射線画像撮像装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、散乱線を多く含む場合でも散乱線含有率の低い高解像度の放射線画像を得ることができ、また、患者の部位などX線を吸収する吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能な蓄積型の放射線画像撮像装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る放射線画像撮像装置は、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ計数するパルス数測定回路と、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、前記積分測定回路が動作しているときに前記パルス数測定回路を停止させる手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
即ち、本発明に係る放射線画像撮像装置は、計数型放射線画像撮像装置として機能するためのパルス計数測定回路と、蓄積型放射線画像撮像装置として機能するための積分測定回路とを備え、計数型放射線画像撮像装置と蓄積型放射線画像撮像装置の双方の機能を有し、これにより低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像ができるようにしている。
【0021】
また、前記積分測定回路が動作しているときにパルス数測定回路を停止させることにより、パルス計測測定回路の動作によるスパイク状の雑音の発生を防止し、前記積分測定回路におけるアナログ回路系への悪影響を防止している。
【0022】
請求項2に示すように、前記センサアレイに入射する放射線量子の少ない透視時に各パルス数測定回路の計数値に基づいて透視像を生成し、前記センサアレイに入射する放射線量子の多い撮影時に各積分測定回路の積分値に基づいて撮影像を生成する画像処理手段を有することを特徴としている。即ち、透視時と撮影時(低線量率と高線量率)の双方で、それぞれ好適な放射線画像の撮像ができるようにしている。
【0023】
請求項3に係る放射線画像撮像装置は、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨てる信号選別回路と、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、前記信号選別回路によって選別された信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、各積分測定回路の積分値に基づいて放射線画像を生成する画像処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
上記放射線画像撮像装置は、蓄積型の放射線画像撮像装置であるが、積分測定回路の前段で、センサアレイの各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨て、これにより散乱線などの雑音を除去したパルス信号の積分ができるようにしている。また、前記基準波高のレベルを適宜変更することで、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る放射線画像撮像装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1は本発明に係る放射線画像撮像装置の第1の実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0027】
この放射線画像撮像装置は、主として検出器1と画像処理装置2とからなる。検出器1は、画像処理装置2からコマンド20に従って透視、撮影の動作モードによって医用X線撮像を行い、撮像されたデジタル画像データ信号10を画像処理装置2に出力する。画像処理装置2は、デジタル画像データ信号10にデジタル画像処理を行い、処理後の信号を図示しないモニタ及びプリンタに出力することによって医用X線画像の表示及びハードコピーを行う。
【0028】
検出器1には、画素11がマトリックス状に配列されている。各々の画素11にはX線を検出するセンサ111が含まれ、センサ111の全体でX線画像を検出するセンサアレイとなっている。
【0029】
画素11によるX線画像の読出しは、画像処理装置2からコマンド20を受けて動作する読出し制御回路12によって制御される。
【0030】
この放射線画像撮像装置の特徴は、透視又は撮影の動作モードによって、画素11におけるX線計測を、透視の場合にパルス数測定に切り替え、撮影の場合にパルス積分測定に切り替えることにあり、そのために読出し制御回路12は透視(Fluoroscopy)と撮影(Radiography)でRF切替え信号1201を切り替える。
【0031】
図2に上記放射線画像撮像装置における画素11の詳細な構成を示す。
【0032】
センサ111にX線光子が入射すると、光電効果によって複数の電荷が発生する。発生した電荷は、RF切替え信号1201によって切り替えられる切替え器112によりパルス数測定回路113又は積分測定回路114に導かれる。
【0033】
なお、切替え器112には読出し制御回路12からのロード・リセット信号1202も入力されており、ロード・リセット信号1202がONの場合(即ち、透視時のフレームとフレームの間や撮影時のX線が照射されていない場合)には、パルス数測定回路113にも積分測定回路114にも電荷が入力されないようになっている。
【0034】
透視の場合には、RF切替え信号1201によってパルス数測定回路113への入力が選択され、動画を構成する各フレームのフレーム繰り返し時間(30ミリ秒程度)の間、パルス数の計算が行われる。1個のX線光子で発生した複数の電荷の数により各種の波高の電流パルスが生じる。パルスの波高は、入射したX線光子のエネルギーに関係する。パルス数測定回路113は、一定の波高以上のパルスのみを計数するような閾値回路を内蔵しており、これを通すことにより、純粋な信号X線光子によるパルスのみをカウントするようになっている。
【0035】
1フレームが終了すると、読出し制御回路12はロード・リセット信号1202を出力する。パルス数測定回路113は、ロード・リセット信号1202の前縁で計数値(12ビット)をシフトレジスタ115にロードし、ロード・リセット信号1202の後縁で計数値をリセットして次のフレームのパルス数計測に備える。
【0036】
次のフレームが始まると、パルス数測定回路113は再びパルス数の計数を行い、シフトレジスタ115は前フレームの計数値(12ビット)をデジタル画像データ信号10として下方にシフトする。即ち、シフトレジスタ115は、シリアルデジタルデータ線1101によって列方向に連結され(12×(画像マトリックスの行数))ビットの垂直シフトレジスタを構成し、読出し制御回路12からの12発の垂直シフトレジスタ駆動信号1203によって計数値のビットを下方にシフトし、シリアルデジタルデータ線1101を伝わって12ビット並列シフトレジスタ13(図1)に入力させる。
【0037】
このようにして1行分の計数値が12ビット並列シフトレジスタ13に揃うと、読出し制御回路12からの(画素マトリックスの列数)発の水平シフトレジスタ駆動信号1204によって、1行分の各画素の計数値が12ビット並列シフトレジスタ13から順次読み出され、RF切替え信号1201によって切り替えられる選択器14を通じて、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2に伝えられる。
【0038】
1行分の読出しが終わると、再び読出し制御回路12から12発の垂直シフトレジスタ駆動信号1203と、(画素マトリックスの列数)発の水平シフトレジスタ駆動信号1204が出力され、これらの駆動信号によって次の行の計数値が読み出される。これを繰り返すことにより、フレーム繰り返し時間(30ミリ秒程度)の間に前のフレームの計数値(12ビット)がデジタル画像データ信号10として読み出される。
【0039】
一方、撮影の場合には、積分測定回路114にセンサ出力が加えられるようにRF切替え信号1201によって切替え器112が切り替えられる。そして、X線の露光が始まる直前に読出し制御回路12はロード・リセット信号1202をOFFにし、X線光子によって発生した信号電荷が積分測定回路114に入力できるようにする。また、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサはロード・リセット信号1202の後縁でリセットされ、新しい信号電荷の蓄積に備える。
【0040】
X線の露光によって発生した電荷は、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサに蓄積される。この場合、単一画素へのX線光子の入射が連続して起こり、信号電荷による電流パルスが重なり合ってしまうような場合でも、信号電荷は信号電荷蓄積用コンデンサに蓄えられ、パルスの時間積分を求める測定に悪影響はない。しかし、積分測定回路114には信号電荷のほかにセンサ111のリーク電流や熱雑音電流による電荷も入力し、それらと信号電荷が区別できないので、低線量率では雑音の影響を受けやすい。
【0041】
X線露光が終了すると、読出し制御回路12はロード・リセット信号1202をONにし、露光後にセンサ111で発生したリーク電流による電荷などが積分測定回路114に入力できないようにする。但し、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサには露光時に蓄積した信号電荷が保存されており、この蓄積した信号電荷は、次の露光の直前にロード・リセット信号1202がOFFになり、信号電荷蓄積用コンデンサがリセットされるまで蓄えられている。
【0042】
次に、読出し制御回路12は、Xアドレス切替え信号1205、Yアドレス切替え信号1206でXアドレス信号発生器15、Yアドレス信号発生器16を切り替え、ONになるXアドレス信号1501、Yアドレス信号1601を切り替えて順次画素11を指定し、指定した画素11の、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサに蓄積された信号電荷量を電圧信号としてアナログ読出しデータ線1102を通じて読み出す。
【0043】
ここで、Xアドレス信号発生器15、Yアドレス信号発生器16は一種のリングレジスタであり、Xアドレス切替え信号1205、Yアドレス切替え信号1206によりONになるXアドレス信号1501、Yアドレス信号1601が左から右、上から下にシフトすることによりラスタ走査的な順次アドレス指定が行なわれる。
【0044】
積分測定回路114から読み出された電圧信号はアンプ17を介してA/D変換器(ADC)18に入力し、読出し制御回路12からアドレスの切替えに同期して出力されるADCタイミング信号1207でアドレス切替えに伴う過渡的雑音を除いたタイミングを選んでアナログデジタル変換され、RF切替え信号1201によって切り替えられる選択器14を通じて、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2に伝えられる。
【0045】
ここで、アンプ17は画素マトリックスの行数分あるが、Yアドレス信号1401により、その時読み出している画素11の出力を伝えるアンプ17のみが出力できるように構成されている。
【0046】
また、この実施の形態では、撮影が選択されている場合、RF切替え信号1201によってパルス数測定側の機能は全て停止するように構成されている。即ち、切替え器112でパルス数測定回路113への入力がブロックされるのでパルス数測定回路113が停止する。また、ゲート19によって垂直レジスタ駆動信号1203、水平シフトレジスタ駆動信号1204がブロックされるので、各画素のシフトレジスタ115とそれを連結するシリアルデジタルデータ線1101、12ビット並列シフトレジスタ13が停止する。こうすることで、パルス数測定側に含まれる閾値回路、計数器、各種シフトレジスタ等の動作で生じやすいスパイク状の雑音が撮影時に使われる積分測定側のアナログ回路系へ悪影響を及ぼすことを防止している。
【0047】
図3は本発明に係る放射線画像撮像装置の第2の実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0048】
この放射線画像撮像装置は、主として検出器1’と画像処理装置2’とからなる。検出器1’は、画像処理装置2’からコマンド20に従って医用X線撮像を行い、撮像されたデジタル画像データ信号10を画像処理装置2’に出力する。画像処理装置2’は、デジタル画像データ信号10にデジタル画像処理を行い、処理後の信号を図示しないモニタ及びプリンタに出力することによって医用X線画像の表示及びハードコピーを行う。
【0049】
検出器1’には、画素110がマトリックス状に配列されている。各々の画素110にはX線を検出するセンサ111が含まれ、センサ111の全体でX線画像を検出するセンサアレイとなっている。
【0050】
画素110によるX線画像の読出しはコマンド20を受けて動作する読出し制御回路12’によって制御される。
【0051】
この放射線画像撮像装置の特徴は、画素110ごとのパルス積分測定回路において、積分の前に一定の基準波高以下の信号を切り捨てる信号選別回路1130(図2)を設けたことにある。信号選別回路1130での選別のため制御回路12は基準電圧信号1208を出力する。
【0052】
図4に上記放射線画像撮像装置における画素110の詳細な構成を示す。
【0053】
センサ111にX線光子が入射すると、光電効果によって複数の電荷が発生する。発生した電荷により生じる電流パルスは電流電圧変換器1120で電圧パルスに変換され、減算器1131と半波整流器1132よりなる信号選別回路1130に入力する。電圧パルスから基準電圧信号1208を減算し、半波整流することにより基準電圧信号1208以下の波高のパルスが切り捨てられる。パルスの波高はX線光子のエネルギに依存するので、基準電圧を選ぶことによって一定のエネルギ以下の信号を切り捨てることとなる。
【0054】
信号選別回路1130の出力は、積分器1140によりX線露光が行なわれている間積分される。即ち、積分器1140には、読出し制御回路12’で制御され、X線露光の間OFFされるリセット信号1202が入力しており、これによりX線露光時以外は積分信号を0にリセットしておくことにより、積分値に対する暗部ノイズ等の影響を少なくしている。
【0055】
積分器1140の出力はサンプルホルダ1150に接続され、サンプルホルダ1150は、リセット信号の立ち上がりで積分器1140の出力を保存することによって、信号選別回路1130で選別された信号のX線露光の間の積分された信号を、次のX線露光が終了するまでの間保持する。
【0056】
次に、読出し制御回路12’は、Xアドレス切替え信号1203とアドレス切替え信号1204とでXアドレス信号発生器13、Yアドレス信号発生器14を切り替え、ONになるXアドレス信号1301、Yアドレス信号1401を切り替えて順次画素110を指定し、指定した画素110のサンプルホルダ1150に保持されている信号を、Xアドレス信号1301とYアドレス信号1401の両者がONのときのみ信号を伝達する出力ゲート1160を介して読出し信号線1101を通じて読み出す。
【0057】
ここで、Xアドレス信号発生器13、Yアドレス信号発生器14は一種のリングレジスタであり、Xアドレス切替え信号1203、Yアドレス切替え信号1204によりONになるXアドレス信号1301、Yアドレス信号1401が左から右、上から下にシフトすることによりラスタ走査的な順次アドレス指定が行なわれる。
【0058】
画素110から読み出された電圧信号は、アンプ150を介してADC16に入力し、読出し制御回路12’からアドレスの切替えに同期して出力されるADCタイミング信号1205でアドレス切替えに伴う過渡的雑音を除いたタイミングを選んでアナログデジタル変換され、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2’に伝えられる。
【0059】
ここで、アンプ150は画素マトリックスの行数分あるが、Yアドレス信号1401により、その時読み出している画素110の出力を伝えるアンプ150のみが出力できるように構成されている。
【0060】
この実施の形態では、基準電圧信号1208がコマンド20によって切替え可能になっており、基準電圧信号1208を変えることによって検出器1’のエネルギ特性を変更し、エネルギ差分法のような放射線画像だけでなく、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、1つの装置内に計数型放射線画像撮像装置として機能するためのパルス計数測定回路と、蓄積型放射線画像撮像装置として機能するための積分測定回路とを設けるようにしたため、計数型及び蓄積型の放射線画像撮像装置の双方の機能を有し、これにより低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像ができる。
【0062】
また、本発明の他の態様によれば、蓄積型の放射線画像撮像装置において、積分測定回路の前段で、センサアレイの各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨てるようにしたため、散乱線などの雑音を除去したパルス信号の積分ができ、散乱線を多く含む場合でも散乱線含有率の低い高解像度の放射線画像を得ることができる。また、基準波高を適宜変更することで、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射線画像撮像装置の第1の実施の形態の全体構成を示すブロック図
【図2】図1の放射線画像撮像装置における画素の詳細な構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る放射線画像撮像装置の第2の実施の形態の全体構成を示すブロック図
【図4】図3の放射線画像撮像装置における画素の詳細な構成を示すブロック図
【符号の説明】
1、1’…検出器、2、2’…画像処理装置、11、110…画素、12…読出し制御回路、19…ゲート、111…センサ、112…切替え器、113…パルス数測定回路、114…積分測定回路、1120…電流電圧変換器、1130…信号選別回路、1131…減算器、1132…半波整流器、1140…積分器、1150…サンプルホルダ、1160…出力ゲート、1201…RF切替え信号
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像撮像装置に係り、特にガンマ線やX線のような放射線による画像を高解像度で撮像する放射線画像撮像装置に放射線画像撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、その各センサ毎に各センサ出力のパルス信号を計数するパルス数測定回路とを設けた計数型放射線画像撮像装置が知られている(例えば米国特許第6248990号)。
【0003】
また、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、その各センサ毎に各センサ出力を時間軸方向に積分する積分測定回路とを設けた蓄積型放射線画像撮像装置が知られている(例えば米国特許第5812191号)。
【0004】
計数型放射線画像撮像装置は、パルス検出の閾値を充分大きくすれば低信号レベルのセンサのリーク電流や熱雑音電流の影響を排除できるので、平均信号電流が低い低線量率の場合でも雑音の少ない画像信号の計測が可能である。
【0005】
しかし、計数型放射線画像撮像装置は、センサで短時間に多くのパルスが発生した場合、パルスとパルスが重なってしまってパルス数を数え落とす現象(ピークパイルアップ)のため、高線量率の撮像ができない。従って、計数型放射線画像撮像装置は低線量率の撮像に適している。
【0006】
一方、蓄積型放射線画像撮像装置は、パルスとパルスが重なってしまった場合でも、波高の時間積分を求めるので計測に悪影響はなく、高線量率でも撮像が可能である。
【0007】
しかし、蓄積型放射線画像撮像装置は低線量率の場合の平均信号電流がセンサのリーク電流や熱雑音電流と同程度になってしまうため、低線量率では雑音の影響が多く画質が低下する。従って、蓄積型放射線画像撮像装置は高線量率の撮像に適している。
【0008】
更に、計数型放射線画像撮像装置は、パルス検出の閾値を充分大きくすれば低信号レベルの散乱X線による信号成分を排除できるので、散乱線含有率の少ない画像信号計測が可能である。また、上記閾値を変更することで、エネルギ特性を変更することが出来、エネルギ差分法のような放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能である。
【0009】
しかし、計数型放射線画像撮像装置は、パルス数測定回路の中に波形整形回路、比較回路、12ビット程度の計数回路などを含み回路規模が大きくなるため、センサ毎に必要な面積が大きくなるため、高解像力の撮像ができない。
【0010】
一方、蓄積型放射線画像撮像装置は、積分器、サンプルホルダ、出力ゲートのような比較的単純なアナログ回路のみで構成され回路規模が小さく、センサ毎に必要な面積が小さいので、高解像力の検出器を構成できる。
【0011】
しかし、蓄積型放射線画像撮像装置は、パルスの選別機能がないので、エネルギ特性を利用した散乱線の除去やエネルギ差分法のような放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像撮像装置が得られない。
【0013】
例えば、医用X線撮像の場合、撮影時は、高品質の診断用画像を体動の影響を除いて得るために高線量率のX線が照射される。
【0014】
一方、透視時は、位置決めやカテーテル操作のような長時間の動画観察が必要なため、患者や術者への被曝を考慮して低線量率のX線が照射される。
【0015】
透視と撮影は一つの検査の中で引き続いて行なわれるため、透視と撮影の双方に好適な放射線画像撮像装置が求められている。
【0016】
また、従来技術では、医用X線画像のように散乱線を多く含み、かつ高解像力の放射線画像の撮像に好適な蓄積型の放射線画像撮像装置が得られない。
【0017】
本発明の目的は、低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像が可能な放射線画像撮像装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、散乱線を多く含む場合でも散乱線含有率の低い高解像度の放射線画像を得ることができ、また、患者の部位などX線を吸収する吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能な蓄積型の放射線画像撮像装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る放射線画像撮像装置は、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ計数するパルス数測定回路と、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、前記積分測定回路が動作しているときに前記パルス数測定回路を停止させる手段と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
即ち、本発明に係る放射線画像撮像装置は、計数型放射線画像撮像装置として機能するためのパルス計数測定回路と、蓄積型放射線画像撮像装置として機能するための積分測定回路とを備え、計数型放射線画像撮像装置と蓄積型放射線画像撮像装置の双方の機能を有し、これにより低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像ができるようにしている。
【0021】
また、前記積分測定回路が動作しているときにパルス数測定回路を停止させることにより、パルス計測測定回路の動作によるスパイク状の雑音の発生を防止し、前記積分測定回路におけるアナログ回路系への悪影響を防止している。
【0022】
請求項2に示すように、前記センサアレイに入射する放射線量子の少ない透視時に各パルス数測定回路の計数値に基づいて透視像を生成し、前記センサアレイに入射する放射線量子の多い撮影時に各積分測定回路の積分値に基づいて撮影像を生成する画像処理手段を有することを特徴としている。即ち、透視時と撮影時(低線量率と高線量率)の双方で、それぞれ好適な放射線画像の撮像ができるようにしている。
【0023】
請求項3に係る放射線画像撮像装置は、放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨てる信号選別回路と、前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、前記信号選別回路によって選別された信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、各積分測定回路の積分値に基づいて放射線画像を生成する画像処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
上記放射線画像撮像装置は、蓄積型の放射線画像撮像装置であるが、積分測定回路の前段で、センサアレイの各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨て、これにより散乱線などの雑音を除去したパルス信号の積分ができるようにしている。また、前記基準波高のレベルを適宜変更することで、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る放射線画像撮像装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1は本発明に係る放射線画像撮像装置の第1の実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0027】
この放射線画像撮像装置は、主として検出器1と画像処理装置2とからなる。検出器1は、画像処理装置2からコマンド20に従って透視、撮影の動作モードによって医用X線撮像を行い、撮像されたデジタル画像データ信号10を画像処理装置2に出力する。画像処理装置2は、デジタル画像データ信号10にデジタル画像処理を行い、処理後の信号を図示しないモニタ及びプリンタに出力することによって医用X線画像の表示及びハードコピーを行う。
【0028】
検出器1には、画素11がマトリックス状に配列されている。各々の画素11にはX線を検出するセンサ111が含まれ、センサ111の全体でX線画像を検出するセンサアレイとなっている。
【0029】
画素11によるX線画像の読出しは、画像処理装置2からコマンド20を受けて動作する読出し制御回路12によって制御される。
【0030】
この放射線画像撮像装置の特徴は、透視又は撮影の動作モードによって、画素11におけるX線計測を、透視の場合にパルス数測定に切り替え、撮影の場合にパルス積分測定に切り替えることにあり、そのために読出し制御回路12は透視(Fluoroscopy)と撮影(Radiography)でRF切替え信号1201を切り替える。
【0031】
図2に上記放射線画像撮像装置における画素11の詳細な構成を示す。
【0032】
センサ111にX線光子が入射すると、光電効果によって複数の電荷が発生する。発生した電荷は、RF切替え信号1201によって切り替えられる切替え器112によりパルス数測定回路113又は積分測定回路114に導かれる。
【0033】
なお、切替え器112には読出し制御回路12からのロード・リセット信号1202も入力されており、ロード・リセット信号1202がONの場合(即ち、透視時のフレームとフレームの間や撮影時のX線が照射されていない場合)には、パルス数測定回路113にも積分測定回路114にも電荷が入力されないようになっている。
【0034】
透視の場合には、RF切替え信号1201によってパルス数測定回路113への入力が選択され、動画を構成する各フレームのフレーム繰り返し時間(30ミリ秒程度)の間、パルス数の計算が行われる。1個のX線光子で発生した複数の電荷の数により各種の波高の電流パルスが生じる。パルスの波高は、入射したX線光子のエネルギーに関係する。パルス数測定回路113は、一定の波高以上のパルスのみを計数するような閾値回路を内蔵しており、これを通すことにより、純粋な信号X線光子によるパルスのみをカウントするようになっている。
【0035】
1フレームが終了すると、読出し制御回路12はロード・リセット信号1202を出力する。パルス数測定回路113は、ロード・リセット信号1202の前縁で計数値(12ビット)をシフトレジスタ115にロードし、ロード・リセット信号1202の後縁で計数値をリセットして次のフレームのパルス数計測に備える。
【0036】
次のフレームが始まると、パルス数測定回路113は再びパルス数の計数を行い、シフトレジスタ115は前フレームの計数値(12ビット)をデジタル画像データ信号10として下方にシフトする。即ち、シフトレジスタ115は、シリアルデジタルデータ線1101によって列方向に連結され(12×(画像マトリックスの行数))ビットの垂直シフトレジスタを構成し、読出し制御回路12からの12発の垂直シフトレジスタ駆動信号1203によって計数値のビットを下方にシフトし、シリアルデジタルデータ線1101を伝わって12ビット並列シフトレジスタ13(図1)に入力させる。
【0037】
このようにして1行分の計数値が12ビット並列シフトレジスタ13に揃うと、読出し制御回路12からの(画素マトリックスの列数)発の水平シフトレジスタ駆動信号1204によって、1行分の各画素の計数値が12ビット並列シフトレジスタ13から順次読み出され、RF切替え信号1201によって切り替えられる選択器14を通じて、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2に伝えられる。
【0038】
1行分の読出しが終わると、再び読出し制御回路12から12発の垂直シフトレジスタ駆動信号1203と、(画素マトリックスの列数)発の水平シフトレジスタ駆動信号1204が出力され、これらの駆動信号によって次の行の計数値が読み出される。これを繰り返すことにより、フレーム繰り返し時間(30ミリ秒程度)の間に前のフレームの計数値(12ビット)がデジタル画像データ信号10として読み出される。
【0039】
一方、撮影の場合には、積分測定回路114にセンサ出力が加えられるようにRF切替え信号1201によって切替え器112が切り替えられる。そして、X線の露光が始まる直前に読出し制御回路12はロード・リセット信号1202をOFFにし、X線光子によって発生した信号電荷が積分測定回路114に入力できるようにする。また、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサはロード・リセット信号1202の後縁でリセットされ、新しい信号電荷の蓄積に備える。
【0040】
X線の露光によって発生した電荷は、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサに蓄積される。この場合、単一画素へのX線光子の入射が連続して起こり、信号電荷による電流パルスが重なり合ってしまうような場合でも、信号電荷は信号電荷蓄積用コンデンサに蓄えられ、パルスの時間積分を求める測定に悪影響はない。しかし、積分測定回路114には信号電荷のほかにセンサ111のリーク電流や熱雑音電流による電荷も入力し、それらと信号電荷が区別できないので、低線量率では雑音の影響を受けやすい。
【0041】
X線露光が終了すると、読出し制御回路12はロード・リセット信号1202をONにし、露光後にセンサ111で発生したリーク電流による電荷などが積分測定回路114に入力できないようにする。但し、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサには露光時に蓄積した信号電荷が保存されており、この蓄積した信号電荷は、次の露光の直前にロード・リセット信号1202がOFFになり、信号電荷蓄積用コンデンサがリセットされるまで蓄えられている。
【0042】
次に、読出し制御回路12は、Xアドレス切替え信号1205、Yアドレス切替え信号1206でXアドレス信号発生器15、Yアドレス信号発生器16を切り替え、ONになるXアドレス信号1501、Yアドレス信号1601を切り替えて順次画素11を指定し、指定した画素11の、積分測定回路114内の信号電荷蓄積用コンデンサに蓄積された信号電荷量を電圧信号としてアナログ読出しデータ線1102を通じて読み出す。
【0043】
ここで、Xアドレス信号発生器15、Yアドレス信号発生器16は一種のリングレジスタであり、Xアドレス切替え信号1205、Yアドレス切替え信号1206によりONになるXアドレス信号1501、Yアドレス信号1601が左から右、上から下にシフトすることによりラスタ走査的な順次アドレス指定が行なわれる。
【0044】
積分測定回路114から読み出された電圧信号はアンプ17を介してA/D変換器(ADC)18に入力し、読出し制御回路12からアドレスの切替えに同期して出力されるADCタイミング信号1207でアドレス切替えに伴う過渡的雑音を除いたタイミングを選んでアナログデジタル変換され、RF切替え信号1201によって切り替えられる選択器14を通じて、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2に伝えられる。
【0045】
ここで、アンプ17は画素マトリックスの行数分あるが、Yアドレス信号1401により、その時読み出している画素11の出力を伝えるアンプ17のみが出力できるように構成されている。
【0046】
また、この実施の形態では、撮影が選択されている場合、RF切替え信号1201によってパルス数測定側の機能は全て停止するように構成されている。即ち、切替え器112でパルス数測定回路113への入力がブロックされるのでパルス数測定回路113が停止する。また、ゲート19によって垂直レジスタ駆動信号1203、水平シフトレジスタ駆動信号1204がブロックされるので、各画素のシフトレジスタ115とそれを連結するシリアルデジタルデータ線1101、12ビット並列シフトレジスタ13が停止する。こうすることで、パルス数測定側に含まれる閾値回路、計数器、各種シフトレジスタ等の動作で生じやすいスパイク状の雑音が撮影時に使われる積分測定側のアナログ回路系へ悪影響を及ぼすことを防止している。
【0047】
図3は本発明に係る放射線画像撮像装置の第2の実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【0048】
この放射線画像撮像装置は、主として検出器1’と画像処理装置2’とからなる。検出器1’は、画像処理装置2’からコマンド20に従って医用X線撮像を行い、撮像されたデジタル画像データ信号10を画像処理装置2’に出力する。画像処理装置2’は、デジタル画像データ信号10にデジタル画像処理を行い、処理後の信号を図示しないモニタ及びプリンタに出力することによって医用X線画像の表示及びハードコピーを行う。
【0049】
検出器1’には、画素110がマトリックス状に配列されている。各々の画素110にはX線を検出するセンサ111が含まれ、センサ111の全体でX線画像を検出するセンサアレイとなっている。
【0050】
画素110によるX線画像の読出しはコマンド20を受けて動作する読出し制御回路12’によって制御される。
【0051】
この放射線画像撮像装置の特徴は、画素110ごとのパルス積分測定回路において、積分の前に一定の基準波高以下の信号を切り捨てる信号選別回路1130(図2)を設けたことにある。信号選別回路1130での選別のため制御回路12は基準電圧信号1208を出力する。
【0052】
図4に上記放射線画像撮像装置における画素110の詳細な構成を示す。
【0053】
センサ111にX線光子が入射すると、光電効果によって複数の電荷が発生する。発生した電荷により生じる電流パルスは電流電圧変換器1120で電圧パルスに変換され、減算器1131と半波整流器1132よりなる信号選別回路1130に入力する。電圧パルスから基準電圧信号1208を減算し、半波整流することにより基準電圧信号1208以下の波高のパルスが切り捨てられる。パルスの波高はX線光子のエネルギに依存するので、基準電圧を選ぶことによって一定のエネルギ以下の信号を切り捨てることとなる。
【0054】
信号選別回路1130の出力は、積分器1140によりX線露光が行なわれている間積分される。即ち、積分器1140には、読出し制御回路12’で制御され、X線露光の間OFFされるリセット信号1202が入力しており、これによりX線露光時以外は積分信号を0にリセットしておくことにより、積分値に対する暗部ノイズ等の影響を少なくしている。
【0055】
積分器1140の出力はサンプルホルダ1150に接続され、サンプルホルダ1150は、リセット信号の立ち上がりで積分器1140の出力を保存することによって、信号選別回路1130で選別された信号のX線露光の間の積分された信号を、次のX線露光が終了するまでの間保持する。
【0056】
次に、読出し制御回路12’は、Xアドレス切替え信号1203とアドレス切替え信号1204とでXアドレス信号発生器13、Yアドレス信号発生器14を切り替え、ONになるXアドレス信号1301、Yアドレス信号1401を切り替えて順次画素110を指定し、指定した画素110のサンプルホルダ1150に保持されている信号を、Xアドレス信号1301とYアドレス信号1401の両者がONのときのみ信号を伝達する出力ゲート1160を介して読出し信号線1101を通じて読み出す。
【0057】
ここで、Xアドレス信号発生器13、Yアドレス信号発生器14は一種のリングレジスタであり、Xアドレス切替え信号1203、Yアドレス切替え信号1204によりONになるXアドレス信号1301、Yアドレス信号1401が左から右、上から下にシフトすることによりラスタ走査的な順次アドレス指定が行なわれる。
【0058】
画素110から読み出された電圧信号は、アンプ150を介してADC16に入力し、読出し制御回路12’からアドレスの切替えに同期して出力されるADCタイミング信号1205でアドレス切替えに伴う過渡的雑音を除いたタイミングを選んでアナログデジタル変換され、デジタル画像データ信号10として画像処理装置2’に伝えられる。
【0059】
ここで、アンプ150は画素マトリックスの行数分あるが、Yアドレス信号1401により、その時読み出している画素110の出力を伝えるアンプ150のみが出力できるように構成されている。
【0060】
この実施の形態では、基準電圧信号1208がコマンド20によって切替え可能になっており、基準電圧信号1208を変えることによって検出器1’のエネルギ特性を変更し、エネルギ差分法のような放射線画像だけでなく、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、1つの装置内に計数型放射線画像撮像装置として機能するためのパルス計数測定回路と、蓄積型放射線画像撮像装置として機能するための積分測定回路とを設けるようにしたため、計数型及び蓄積型の放射線画像撮像装置の双方の機能を有し、これにより低線量率と高線量率の双方の場合に好適な放射線画像の撮像ができる。
【0062】
また、本発明の他の態様によれば、蓄積型の放射線画像撮像装置において、積分測定回路の前段で、センサアレイの各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨てるようにしたため、散乱線などの雑音を除去したパルス信号の積分ができ、散乱線を多く含む場合でも散乱線含有率の低い高解像度の放射線画像を得ることができる。また、基準波高を適宜変更することで、吸収体の違いによる放射線画像の局所的なエネルギ特性の違いを画像化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射線画像撮像装置の第1の実施の形態の全体構成を示すブロック図
【図2】図1の放射線画像撮像装置における画素の詳細な構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る放射線画像撮像装置の第2の実施の形態の全体構成を示すブロック図
【図4】図3の放射線画像撮像装置における画素の詳細な構成を示すブロック図
【符号の説明】
1、1’…検出器、2、2’…画像処理装置、11、110…画素、12…読出し制御回路、19…ゲート、111…センサ、112…切替え器、113…パルス数測定回路、114…積分測定回路、1120…電流電圧変換器、1130…信号選別回路、1131…減算器、1132…半波整流器、1140…積分器、1150…サンプルホルダ、1160…出力ゲート、1201…RF切替え信号
Claims (3)
- 放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、
前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ計数するパルス数測定回路と、
前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、
前記積分測定回路が動作しているときに前記パルス数測定回路を停止させる手段と、
を備えたことを特徴とする放射線画像撮像装置。 - 前記センサアレイに入射する放射線量子の少ない透視時に各パルス数測定回路の計数値に基づいて透視像を生成し、前記センサアレイに入射する放射線量子の多い撮影時に各積分測定回路の積分値に基づいて撮影像を生成する画像処理手段を有することを特徴とする請求項1の放射線画像撮像装置。
- 放射線量子の入射によりパルス信号を出力する放射線センサが配列されてなるセンサアレイと、
前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、各センサから出力されるパルス信号のうちの一定の基準波高以下の信号を切り捨てる信号選別回路と、
前記センサアレイの各センサ毎に設けられ、前記信号選別回路によって選別された信号をそれぞれ時間軸方向に積分する積分測定回路と、
各積分測定回路の積分値に基づいて放射線画像を生成する画像処理手段と、
を備えたことを特徴とする放射線画像撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002162901A JP2004012181A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 放射線画像撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002162901A JP2004012181A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 放射線画像撮像装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004012181A true JP2004012181A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30431514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002162901A Pending JP2004012181A (ja) | 2002-06-04 | 2002-06-04 | 放射線画像撮像装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004012181A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010536021A (ja) * | 2007-08-09 | 2010-11-25 | ヨーロピアン・オーガニゼーション・フォア・ニュークリア・リサーチ | 放射線監視デバイス |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002162901A patent/JP2004012181A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010536021A (ja) * | 2007-08-09 | 2010-11-25 | ヨーロピアン・オーガニゼーション・フォア・ニュークリア・リサーチ | 放射線監視デバイス |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7123687B2 (en) | Method for displaying digital X-ray image data at high resolution | |
JP5583191B2 (ja) | 放射線画像検出装置およびその作動方法 | |
EP1139118B1 (en) | Method and apparatus for imaging and storage medium | |
JP3950665B2 (ja) | 放射線撮像装置及び放射線撮像装置の撮像方法 | |
JP5859934B2 (ja) | 放射線撮影システム並びにその作動方法、および放射線画像検出装置並びにその作動プログラム | |
KR101407807B1 (ko) | 고체 촬상 장치 | |
JP5137770B2 (ja) | 放射線画像撮影システム | |
US20110007873A1 (en) | Imaging array data acquisition system and use thereof | |
JP4739060B2 (ja) | 放射線撮像装置、放射線撮像システム、及びその制御方法 | |
US6912266B2 (en) | X-ray diagnostic facility having a digital X-ray detector and a stray radiation grid | |
JP6800047B2 (ja) | X線撮像装置 | |
JP2010051689A (ja) | 放射線画像検出器、及び放射線画像撮影装置 | |
JP2716949B2 (ja) | X線診断装置 | |
US5818900A (en) | Image spot noise reduction employing rank order | |
JP2004080749A (ja) | 放射線撮像装置及び放射線撮像方法 | |
JP6068700B2 (ja) | 放射線画像検出装置およびその作動方法 | |
JP4618091B2 (ja) | 撮像装置 | |
JP2004012181A (ja) | 放射線画像撮像装置 | |
JP2014012109A (ja) | 放射線撮影装置および放射線画像検出装置 | |
US7589325B2 (en) | Method for recording a digital x-ray image, counting x-ray detector and x-ray system | |
JP4007607B2 (ja) | 放射線ct撮影装置及び放射線ct撮影システム及びそれを用いた放射線ct撮影方法 | |
JPH09262233A (ja) | 放射線撮影装置 | |
JP2000206258A (ja) | 放射線検出装置、および、これを備えた放射線撮像装置 | |
US20010019600A1 (en) | Planar image detector for electromagnetic rays, particularly X-rays | |
JPH07107386A (ja) | 放射線画像撮影装置 |