JP4007607B2 - 放射線ct撮影装置及び放射線ct撮影システム及びそれを用いた放射線ct撮影方法 - Google Patents

放射線ct撮影装置及び放射線ct撮影システム及びそれを用いた放射線ct撮影方法 Download PDF

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Description

本発明は、被写体の断層撮影を行う放射線CT撮影装置、放射線CT撮影システム及びそれを用いた放射線CT撮影方法に関し、特に、2次元の放射線イメージセンサパネルを用いたコーンビーム放射線CT撮影装置に関するものである。更に、生体等の被写体を床面に立たせた状態或いは座位の状態で、対向した放射線源と放射線イメージセンサの間で回転させて撮影する被写体回転型コーンビーム放射線CT撮影装置に関するものである。
近年、医療の様々な分野でデジタル化が進んでいる。X線診断の分野でも、画像のデジタル化のために、入射するX線をシンチレータ(蛍光体)により可視光に変換し、更に撮像素子でかかる可視光像を撮像する2次元X線撮像装置が開発されてきている。
X線静止画の分野では、2次元X線撮像装置としては、例えば、乳房撮影用、胸部撮影用には17インチサイズ(43cm×43cm)のアモルファスシリコン(a−Si)を用いた大板の静止画撮像装置(フラットパネルディテクタ)が作られている。
X線動画の分野では、入射するX線をシンチレータ(蛍光体)とI.I.(イメージインテンシファイア)により可視光に変換し、CCD型撮像素子を用いたTVカメラでかかる可視光像を撮像する2次元のデジタルX線透視装置やこのTVカメラをフラットパネルディテクタで置き換えたシステムも考案されている。
更に、X線CT撮影装置へのフラットパネルディテクタの応用も考えられている。特開2001−194461号公報には、寝台上に横になった被写体の周囲を対向して対になったX線管と検出器が回転しながら撮影する一般的なX線CT撮影装置にフラットパネルディテクタを応用した技術が開示されている(特許文献1)。
これに対し、一般的な健常者を対象とした肺癌検診のために被写体を直立或いは座位の状態で回転させることができる回転台を設け、この回転台をX線源及びI.I.TVカメラやフラットパネルディテクタ等の2次元X線撮像装置に対して回転させながら撮影する装置が提案されている。これは、特開平5−42132号公報(特許文献2)、特開2000−217810号公報(特許文献3)等に開示されている。図12中1はその一例としてのX線CT装置を示す。図中2はスキャナ部、5は被写体Pを乗せる回転台、6はX線源、7はI・Iである。また、3は処理回路であり、前処理部8と画像再構成部9を有する。4は表示手段である。
この装置では、被写体を立位のまま素早く撮影を開始でき、次の被写体との交代も短時間で済み、全体の撮影時間を短縮することができる。更に、コーンビームX線を用いて高々1回転で撮影を行うので、被写体の被曝を低減できる等の検診に適したシステムとして好適である。また、X線源とX線検出器を一体回転させるためのガントリーが不要となるので、X線源とX線検出器との位置が自由に設定でき、計測時の拡大率や計測部位を変えることができる。また、一般撮影用のX線源を利用でき、ガントリーも不要でシステムのコストを押さえることができる。更に、システムの構成が簡単なので車載用に好都合である。
なお、本発明で述べるコーンビームX線CT撮影装置の特徴として、検出器は被写体に対して回転軸上を相対的に回転するのみで、回転軸方向に移動することはない。そこで、被写体の関心領域全体を捉えることができる大板の2次元検出器があれば、たかだか一回の回転で全CT像を再構成するための全プロジェクション画像データを取得することができる。
特開2001−194461号公報 特開平5−42132号公報 特開2000−217810号公報
従来の被写体回転型コーンビームX線CT撮影装置を医療用に使用する場合には、被写体となる被写体の拘束時間を極力短くすることが望まれている。被写体の同一姿勢の保持期間、即ち、計測に要する時間を短くするための方法として、被写体の回転速度を上げることが考えられるが、被写体の1回転に要する時間が5秒程度以上必要であり、これより高速に被写体を回転した場合には、被写体は異常を感じるいわゆる目が回った状態になってしまうという問題があった。
また、被写体を高速に回転させた場合には、被写体にかかる遠心力も回転速度の上昇と共に大きくなってしまうので、計測中に被写体が移動してしまうという問題があった。
撮影部位によっては撮影中の息止めが必要となり、特に胸部撮影等の呼吸による体動が大きい部位を撮影する場合では必ず息止めを実施しなければならない。1回転5秒程度の息止めの時間は比較的長いので、検査中に被検者が不安感を抱き、思わぬ動作や体の震え等から体動アーチファクトが発生してしまったり、検出器の視野から外れてしまったりして撮影が失敗する恐れがあるという問題があった。
計測中に被写体が移動してしまうと、再構成によって生成された3次元X線分布像に「ぼけ」或いは「ぶれ」が生じ、3次元X線像の画質が低下してしまうという問題があった。
また、相当の体重を有する被写体を乗せた回転台を回転させる場合、一定の回転速度に達し安定するまで時間がかかる。そうすると1回転以上の回転が必要となり、患者の負担が大きくなるという問題があった。
一方、安定しないまま撮影を始めるとプロジェクション毎の回転角が異なり、再構成の精度が落ちたり、またレファレンス素子からの信号にばらつきが大きくなり、補正の精度が落ちたりして画像の劣化をもたらすという問題があった。
一般に、X線CT撮影装置では管電圧や管電流を同一条件としてX線を曝射しても、実際には各撮像時スキャン毎、細かくはビュー毎にX線強度が変化するという問題があった。X線管球の温度変化による陽極の軸の伸縮、管球を動かすことによるベアリング間の軸の移動、陽極が回転している時の首振り運動等によって焦点位置が変化する等といったことが原因で問題が起こる。この問題の対策として従来のシングルスライス型、マルチスライス型X線CT撮影装置では、X線検出器の端部にX線管球からのX線のうち被写体を透過しないX線の強度を測定するリファレンスチャンネルを配設し、このリファレンスチャンネルで測定された値を用いて各チャンネル値を補正して、画像を作成するためのデータを得る方法が採られることが多いが、被写体回転型コーンビームX線CT撮影装置でも同様の問題があった。
また、様々な被写体を載せた回転台を精度よく制御しながら回転させるためには複雑な機構と制御装置が必要で製造コストの上昇を招く問題があった。
更に、1回転360度を5秒とし、1000プロジェクションでフルスキャン撮影をすると、1プロジェクション当たり5ms、つまり、200フレーム/秒の速度で読み取りをしなければならない。しかしながら17インチサイズ(43cm×43cm)以上の面積のa−Siやa−Seと薄膜トランジスタを用いたフラットパネルディテクタをこの速度で駆動することは、a−Siやa−Seの半導体特性が十分でないので、非常に困難であるという問題があった。
また、ノイズが大きく感度が悪いので、静止画に比べはるかに1プロジェクション当たりのX線量が少ないコーンビームX線CT撮影装置において、従来のフラットパネルディテクタでは感度が不十分であるという問題があった。
感度的に有利であるI.I.TVカメラでは、I.I.特有の問題があった。つまり、周辺部分での画像のゆがみが発生するという本質的な問題、現在最大の17インチサイズでも円形画面のため、フラットパネルディテクタほど十分広い面積がとれず、コーンビームX線CTでは再構成領域が著しく小さくなってしまうという問題、電子ビーム制御に磁気を用いており、これを回転させると地磁気の影響を複雑に受けてしまうという問題があった。
一方、特許文献2のものでは、被写体を回転させた場合のX線源の変動、回転ぶれ、体動に対する対策が考慮されておらず、また、特許文献3のものでは、体動に対する対策のみでX線源の変動、回転ぶれに対する対策が考慮されていなかった。更に、特許文献1のものでは、被写体回転型コーンビームX線CT撮影装置で求められる読み取り速度、感度についての対策は開示されていなかった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、低コストでありながら高速、高感度である被写体回転型コーンビーム放射線CT撮影装置及び放射線CT撮影システム及びそれを用いた放射線CT撮影方法を提供することにある。これにより、車載、集団検診用のための高性能な放射線CT装置を低コストで提供できる。
本発明は、上記課題を解決するため、放射線CT撮影装置において、放射線が照射される被写体を回転させる回転手段と、前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、前記回転角信号を用いて放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する手段と、を有し、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする。
また、本発明は、放射線CT撮影装置において、放射線が照射される被写体を回転軸の周りに回転させる回転手段と、前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、前記回転軸に対して相対的に固定したまま、前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、前記回転角信号を用いて放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する手段と、を有し、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする。
また、本発明は、放射線CT撮影システムにおいて、被写体に放射線を照射する放射線源と、前記放射線源を制御する手段と、前記被写体を回転させる回転手段と、前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、複数の画素を有し、前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、前記回転角信号を用いて前記画素の蓄積時間を制御する手段と、を有し、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする。
また、本発明は、放射線CT撮影方法において、回転角検出手段により連続放射線が照射される被写体を回転させる回転手段の回転角に応じた回転角信号を検出し、放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する制御手段により、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転角信号を用いて前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする。
本発明においては、回転が安定するまで待つ必要がなく、無駄な回転時間を減らせるので患者にやさしい。専用のレファレンス素子は必要ない。パネルがそのまま利用できるのでシステムが簡略化されコストが下がる。更に、X線源側にレファレンス素子を用意しなくとも良く、一般撮影用のX線源を流用できる。また、一般撮影室に回転装置とX線イメージセンサを配置すればよいので設備費用の低減を図れる。回転装置は一般的な機構を使ったものでよいので低コスト化が容易である。少々の回転むらがあっても対応できる。回転を正確に制御する機構が必要ない。システム構成が簡単なので、メンテナンスが容易であり、一般検診車への搭載には好都合である。
本発明によれば、複数のCMOS型撮像素子を使った大板のX線イメージセンサパネルと新規駆動方法により低コストでありながら高速、高感度である被写体回転型コーンビーム放射線撮影装置を実現することができる。これにより車載、集団検診用のための高性能な放射線CT撮影装置を低コストで提供できる。
次に、発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一符号を付し、その重複説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は本発明による被写体回転型コーンビーム放射線CT撮影装置の第1の実施形態の概略構成を説明する図である。図中109はX線発生装置(X線源)、108はX線源用電源、Xは照射された連続X線、107は被写体、104は信号蓄積型レファレンス素子、102は回転装置(回転台)、Pは回転装置の回転軸、103はロータリーエンコーダ、101はX線イメージセンサパネル、105は撮影制御装置、106は表示装置である。なお、本実施形態では、放射線としてX線を用いているが、その他にもα線、β線、γ線等を用いることができる。これは、全ての実施形態において同様である。
X線発生装置109は、一般撮影用の装置を利用し、連続X線モードで使用する。撮影制御装置105は管電圧、管電流、照射時間を設定し、照射の開始と停止を制御するのみである。X線発生装置109と回転台102とX線イメージセンサパネル101の幾何学的配置は厳密に設定する。X線焦点からX線イメージセンサパネルに下ろした垂線が回転軸を通るように設定する。X線焦点と回転台102の回転軸Pとの距離をL、回転軸PとX線イメージセンサパネル101との距離をMとし、LとMを変えることによってプロジェクション画像の拡大率、コーンビームのコーン角Φを設定することができる。
回転台102とX線イメージセンサパネル101は可動式で幾何学的配置を決定した後その場所に固定する。コーンビームX線CT撮影装置では、コーン角が大きくなると、再構成時の誤差が大きくなるので、一般にコーン角Φは10度以下とする。その場合、Lはかなり長くなり、プロジェクション画像の拡大率は一般のX線CTよりかなり小さくなる。
回転装置102は、撮影制御装置105からの回転制御信号に基づいて回転部分を連続回転させる装置である。回転部分には被写体107を回転中に保持するための保持装置(不図示)が設置されている。更に、回転装置102の回転角度を計測し、撮影制御装置105に出力するロータリーエンコーダ103が設けられている。これは、フルスキャンで1回転360度を1000プロジェクションで撮影する場合、1プロジェクション当たり0.36度毎に信号を発生する。回転の角度を計測し、角度に対する信号を生成する。回転角検出手段であれば、ロータリーエンコーダ103に限定されない。
被写体回転型コーンビームX線CT撮影装置では、前述のように1回転360度を5秒とし、1000プロジェクションでフルスキャン撮影をすると、1プロジェクション当たり5msの時間となり、X線源をパルス駆動することが困難になってくる。特に、一般撮影用のX線源を使う場合には、応答の管電流の立ち上がり、立ち下りの悪さから安定的なパルスX線を照射することが困難になる。そこで、本実施形態では連続X線を用いる構成としている。また、コーンビームX線を使った撮影では、この5msの間に全ての領域で時間遅れのない画像を取得する必要があることと、回転むらに対応するために本実施形態では後述する構造のX線イメージセンサパネルと信号蓄積型レファレンス素子とを使用し、この問題が起こらないようにしている。
図2は本実施形態のシステム構成を示す。撮影制御装置105はX線イメージセンサパネル101から出力されたプロジェクション画像データを格納する画像データメモリ203、補正データを保存する補正データメモリ204、画像処理部202、装置制御部207、蓄積時間制御部208、蓄積時間算出カウンタ209、回転装置制御部206からなっている。X線イメージセンサパネル101はA/D変換器201、駆動部205を含んでいる。
撮影制御装置105は、観察者から入力された撮影条件に基づいてX線発生装置109からのX線照射を制御すると共に、X線イメージセンサパネル101の視野モードの制御、画素数とフレームレート制御を行う。また、撮影制御装置105はロータリーエンコーダ103からの信号に基づいて蓄積時間制御部208により信号蓄積型レファレンス素子104とX線イメージセンサパネル101の蓄積時間を制御する。
画像処理部202は、ガンマ補正、画像歪み補正、対数変換及びX線イメージセンサパネル101の感度むら補正等の前処理、前処理後のプロジェクション画像(投影データ)をもとに被写体107の3次元的なX線吸収係数分布である3次元X線分布像を生成する再構成、3次元X線分布像に対して周知のボリュームレンダリング処理或いは最大値投影処理等の画像処理を施し、3次元X線分布像からX線断層像或いは3次元的な2次元像である3次元X線画像の生成を行う。
次に、本実施形態の特徴である信号蓄積型レファレンス素子104とX線イメージセンサパネル101の構造、機能と、ロータリーエンコーダ103との関係、その作用効果について説明する。図3(a)は従来の一般的なレファレンス素子の等価回路図である。フォトダイオードPD(301)はX線照射によってシンチレータ(不図示)が発生した光を電気信号に変換する。フォトダイオードPD(301)には、MOSFETから成るスイッチSW1(305)が直列接続されており、更に演算増幅器Amp(304)の反転端子に接続されている。
演算増幅器Amp(304)には帰還抵抗R1(306)が接続されて電流電圧変換回路を構成しており、入力電流が電圧信号として出力される。また、演算増幅器Amp(304)の非反転端子にはグランド(GND)に対して電圧V(303)が印加されている。正の読出しパルスがスイッチSW1(305)のゲートに入ると、スイッチSW1(305)が開いてフォトダイオードPD(301)が逆バイアス状態になり、接合容量C1(302)に一定の電荷が充電される。
次に、スイッチSW1(305)を閉じて蓄積期間中に光が入射すると、充電されていた電荷は光入射による電荷によって放電し、フォトダイオードPD(301)のカソード電位はグランド電位に近づいていく。この放電電荷量は入射光量に比例して増加する。次に、読出しパルスがスイッチSW1(305)のゲートに入ってスイッチSW1(305)が開くと、蓄積時間内に放電した電荷に相当する電荷が帰還抵抗R1(306)を介して供給されると共にフォトダイオードPD301は再び逆バイアス状態になって初期化される。
この時、帰還抵抗R1(306)の両端には充電電流による電位差が生じ、演算増幅器Amp(304)から電圧信号として出力される。この充電電流は光入射による放電電流に相当するため、この出力電圧により入射光量が検知される。このようにある時刻におけるX線線量率に応じた信号を単純に利用している。
図3(b)は本実施形態による信号蓄積型レファレンス素子の等価回路である。演算増幅器Amp(304)の反転端子と出力端子の間に積分容量C2(308)及びリセットスイッチSW2(306)が接続されており、全体として電流積分回路を構成している。読出し用のスイッチSW1(305)が開く直前に、積分回路の積分容量C2を外部のリセットパルスによって放電させる。次に、スイッチSW1(305)が開くと、蓄積期間中の光出力に相当する電荷が電源からフォトダイオードPDの接合容量C1(302)に充電され、フォトダイオードPD301の電位は正電位V(303)に初期化され、その充電電流によって積分容量C2(308)も充電される。そのため、積分回路の出力端子には方形波の積分波形が得られる。読み出し用のスイッチSW1(305)とリセットスイッチSW2(306)はロータリーエンコーダ103からの角度信号に基づいて蓄積時間制御部208により作成されたパルス信号により駆動される。
ロータリーエンコーダ103は、フルスキャンで1回転360度を1000プロジェクションで撮影する場合、1プロジェクション当たり0.36度毎に回転角信号を発生する。この信号は蓄積時間制御部208に送られ、この信号に基づいてSW1、SW2の動作タイミングパルスが作成される。これにより、1プロジェクションの角度に対する蓄積時間で、出力信号が蓄積される。よって、たとえ回転台に回転むらがあったとしても、この信号蓄積型レファレンス素子104の蓄積信号の出力によって、正確に決められた1プロジェクション当たりの回転角に応じた時間のX線量をモニターすることができる。
なお、信号蓄積型レファレンス素子104はこの等価回路のみに限定されない。外部信号によって設定された時間内のセンサ信号を蓄積し、その積分量を信号として出力できる回路を有するものであればよい。
図5は136mm×136mmのCMOS型撮像素子を、一枚の基台上に9個の撮像素子501を2次元的に貼り合わせることにより408mm×408mmの大面積を実現したX線イメージセンサパネルを示す。これは、CMOS型撮像素子を用いているので全ての素子から共通の時間に蓄積した電荷を高信号対ノイズ比(S/N)で読み出せるようにしている。なお、本願明細書でいう撮像素子とは、複数の画素が2次元に配列された撮像素子パネルをいう。このCMOS撮像素子パネルは後述するように全面が画素領域になっており、複数の撮像素子パネルを基台上に貼り合わせることによって、画像上つなぎ目のない大面積の撮像装置を実現することができる。原理的にその大きさに制限はない。
図6は図5のA−A′線における断面図を示す。シンチレータ602はユウロピウム、テルビウム等を付活性体として用いたGdやSCsI等から構成されている。本実施形態では大板のX線イメージセンサパネル101を用いているので、シンチレータ602もつなぎ目のない大板のものを用いている。1つのシンチレータと、複数の撮像素子501を一体的に構成してX線イメージセンサパネルとしている。
X線はシンチレータ602に当たって可視光に変換され、撮像素子501で検出されるので、シンチレータ602はその発光波長が撮像素子の感度に適合するように選択するのが好ましい。更に、X線の吸収率を増やし、利用効率を上げるためにシンチレータ602の厚さは厚くするのが良い。また、Gdを用いた場合には、大板で厚さの厚いものを作成するのが困難であり、更に通常の粉体を用いるものでは、高いX線吸収率を示し厚さまで厚くすると、効率(DQE:detective quantum efficiency)が大きく劣化してしまうという欠点を持っているので、本実施形態では大板で厚膜の形成しやすい樹脂基板上に蒸着形成するCsI(Tl)を用いている。
医療用の放射線CT撮影装置では画素の大きさは、500μm×500μm〜1mm×1mm程度に大きくてよい。厚さ1mmのCsI(Tl)は90%以上のX線吸収率であり、且つ、このX線CTに必要とされる解像度の範囲で最も効率(DQE)を大きくすることができる。厚さ1.5mm以上では急峻にDQEが劣化するので、本実施形態では厚さ1mmのCsI(Tl)としている。
外部処理基板605は撮像素子501の電源、クロック等を供給し、又、撮像素子501から信号を取り出して処理する回路を有する基板である。フレキシブル基板603は、各撮像素子501と外部処理基板605との電気的接続を行う。
9枚の撮像素子501は基台604上に実質的に撮像素子間に隙間ができないように貼り合わされており、実質的に隙間ができないこととは、9枚の撮像素子により形成される画像に撮像素子間の欠落ができないということである。撮像素子のクロック等や電源の入力や撮像素子からの信号の出力は、撮像素子の端部における電極パッドに接続されたフレキシブル基板603を通して、撮像素子の裏側に配置された外部処理基板605との間で行う。フレキシブル基板603の厚さはサイズに対して十分薄く撮像素子の間の隙間を通しても、画像上の欠陥は生じない。各撮像素子からの出力は並列に読み出される。後述する撮像素子の一括露光とこの並列読み出しにより、時間的、空間的に繋ぎ目のない、またプロジェクション毎に時間遅れのない高品質の画像を高速で取得することができる。
X線イメージセンサを構成する1個の撮像素子を図7に示す。現在主流の8インチウエハ704からCMOSプロセスによって136mm×136mmのCMOS型撮像素子基板を1枚取りで作成する。医療用のコーンビームX線CT撮影装置では画素の大きさは、500μm×500μm〜1mm×1mm程度に大きくてよい。本実施形態では画素サイズは500μm×500μmとしている。本実施形態ではこの撮像素子を9枚並べた構造としたが、本発明の撮像素子の大きさは任意に選ぶことができ、その結果並べる枚数も適宜変わりうる。好適には撮像素子の歩留まり、実装工程での歩留まり等を考慮しつつ、その大きさ、枚数は決定する。701は垂直シフトレジスタ、702は水平シフトレジスタ、703は外部端子を示す。
図8は本実施形態の撮像素子の構成(平面図)を示す。本実施形態では垂直シフトレジスタ701と水平シフトレジスタ702が撮像素子の有効領域に配置され、撮像素子内に複数の画素807が垂直、水平方向に2次元に配置されている。また、1つのラインを処理するシフトレジスタの1ブロックが1ピッチ内に収まるように配置されており、これらのブロックを並べて一連の垂直シフトレジスタブロックとし、水平シフトレジスタブロックとする。これらのブロックは垂直方向、水平方向に直線状に伸びている。
更に、少なくとも受光領域は全画素で等しい面積とする。図8においては1画素回路の面積、1画素回路内の受光領域の面積はセル間で等しい。また、全てのセル間で受光領域の面積を等しくするのが好ましいが、撮像素子端部にある1ライン内のセル内における受光領域の面積はスライス用のマージンをとるために、内部にあるセル内の受光領域の面積とは異なることはありうる。また、外部端子703上にバンプ801が設けられ、このバンプ801には静電気から内部回路を保護するための保護抵抗802と保護ダイオード803が接続されている。この外部端子703は前述のようにフレキシブル基板603との接続に用いられる。
なお、撮像素子内にはマルチプレクサが作り込まれているが、撮像素子での動作を早くするためである。また、撮像素子からは外部端子703を経由して外部に信号を取り出すが、この外部端子703の周りには大きな浮遊容量がある。従って、外部端子703の前段にアンプを設けることにより信号の伝送特性を補償することができる。
図9は垂直シフトレジスタの単位ブロック(一行を選択し駆動するための単位)を1領域(1セル)に1画素回路と共に配置した様子を示す。1画素回路は図10に示す。単位ブロックと画素回路の面積は、模式図のため実際の素子レイアウトを反映していない。垂直シフトレジスタはリセット信号ΦRES、クランプ信号ΦCL、選択信号ΦSEL1を作成するためにスタティック型シフトレジスタと転送ゲートで構成した簡単な回路を示す。リセット信号ΦRES、クランプ信号ΦCL、選択信号ΦSEL1以外の信号線は省略する。
これらはクロック信号線(不図示)からの信号により駆動される。シフトレジスタの回路構成は、この限りではなく、加算や間引き読み出し等の様々な駆動方法により任意の回路構成をとることができる。但し、本実施形態のように機能ブロックを一つのセルの中に画素回路と共に配置し、有効領域にシフトレジスタを設け、全面有効領域の撮像素子を実現するものとする。
また、走査回路としてシフトレジスタではなく、n対2 デコーダを使用することもできる。この場合には、デコーダの入力に順次インクリメントするカウンタの出力を接続することによりシフトレジスタと同様に順次走査することが可能となり、一方、デコーダの入力に画像を得たい領域のアドレスを入力することによりランダム走査による任意の領域の画像を得ることができる。有効領域内の各領域(セル)内に配置する共通処理回路とは、最終信号出力アンプ、シリアル・パラレル変換マルチプレクサ、バッファ、各種ゲート回路等の複数を一括して共通に処理する回路を意味する。
図10は1画素回路を示す。光電変換部でのkTC補正を画素内で行うようにし、更に感度切り替え手段を画素内に設けることで、感度(ダイナミックレンジ)をモード切り替えで実現している。感度を上げるためにフォトダイオードPDの容量は極力小さくする。この時、ダイナミックレンジが縮小する。そこで、ダイナミックレンジ確保のため容量C1をフォトダイオードPDと並列に設けている。
M1は感度を切り替える切り替えスイッチである。電荷を蓄積するフォトダイオード容量CPDは撮影時に最大感度となるよう最小容量に設計する。M2はフォトダイオード容量CPDに蓄積された電荷を放電するためのリセットMOSトランジスタ(リセットスイッチ)、M3は画素アンプ1を選択するための選択MOSトランジスタ(選択スイッチ)、M4はソースフォロワーとして機能する増幅MOSトランジスタ(画素アンプ1)である。同一ウエハ上の画素毎に、これらの回路要素を作り込むことで、M4のゲート部の容量も極力小さくでき、感度の向上を実現できる。
従来CT用の信号アンプにはダイナミックレンジの観点からソースフォロワーは適さず使われることはなかったが、本実施形態ではフォトダイオード部における感度切り替えを導入することで、ソースフォロワー構成を採用できる。画素毎にソースフォロワーとすることにより、感度を大幅に向上でき、コーンビームX線CT撮影装置に好適なX線イメージセンサパネルを実現できる。更に画素毎にソースフォロワーを有するので非破壊読み出しが可能となる。この非破壊読み出し機能により、本読み出しと独立に様々なデータ読み出しができる。例えば、画素毎にフォトダイオードに蓄積される電荷量をモニターする機能を持たせ、これを外部に非破壊で読み出し、飽和に達する前に感度を切り替えるということもできる。
この画素アンプ1の後段にはクランプ回路が設けられている。このクランプ回路により光電変換部で発生するkTCノイズを除去する。CCLはクランプ容量、M5はクランプスイッチである。ノイズ除去は次のような動作により行うことができる。スイッチM5をオンして画素アンプM7側にあるクランプ容量CCLの電極を一定の電位にする。
この状態でリセットスイッチM2によりフォトダイオードPDをリセットすると、ノイズ成分が増幅MOSトランジスタM4(画素アンプ1)側にあるクランプ容量CCLの電極に蓄積される。スイッチM5をオフした後フォトダイオードPDの信号電荷蓄積を行うと、増幅MOSトランジスタM4(画素アンプ1)側にあるクランプ容量CCLの電極電位はフォトダイオードの信号(ノイズ成分を含む)からノイズ成分が引かれた分変動し、クランプ容量CCLのアンプ増幅MOSトランジスタM7(画素アンプ2)にもノイズ成分が除去された分電位が変動することになる。こうして、クランプ容量CCLにはノイズ成分が除去された信号が保持されることになる。
また、クランプ回路の後にサンプルホールド回路を設けている。M6は画素アンプ2を選択するための選択MOSトランジスタ(選択スイッチ)である。M8は光信号蓄積用のサンプルホールド回路を構成するサンプルMOSトランジスタスイッチ、CH1はホールドコンデンサである。また、M10はソースフォロワーとして機能する増幅MOSトランジスタ(画素アンプ3)であり、M9は画素アンプ3を選択するための選択MOSトランジスタ(選択スイッチ)である。M11はノイズ信号蓄積用のサンプルホールド回路を構成するサンプルMOSトランジスタスイッチ、CH2はホールドコンデンサである。更に、M13はソースフォロワーとして機能する増幅MOSトランジスタ(画素アンプ3)であり、M12は画素アンプ3を選択するための選択MOSトランジスタ(選択スイッチ)である。
一般に、CMOS型撮像素子等の増幅型撮像素子では、読み出し時の信号対ノイズ比(S/N)を改善するために内部に増幅手段(画素内アンプ)を設けて信号の利得を増大させている。本実施形態の撮像素子では、増幅手段として用いられるMOSトランジスタのソースフォロワーを用いている。一般にMOSトランジスタの閾値Vthはばらつき易い。このばらつきは素子の設計及び製造に固有のものであり、画素毎、素子毎に変化するという点で悪質である。特に、本実施形態に用いるような大型の撮像素子では、素子内のばらつきが大きくなりがちである。また、複数枚の撮像素子を用いる場合、素子間のばらつきも大きい。このばらつきは、固定的な出力のばらつき、いわゆる固定パターンノイズ(FPN)、不均一なバックグラウンド画像として現われる。
また、MOSトランジスタには1/fノイズ(フリッカ・ノイズ)や熱雑音が発生し易く、これはランダムノイズであるため、ランダムなバックグラウンド画像を生じる。デバイス設計的にはMOSトランジスタのチャネル長をL、チャネル幅をWとすると、熱雑音は(L/W)・1/2に比例し、1/f雑音はL・Wに反比例するので、MOSトランジスタの雑音を小さくするにはチャネル長Lを最小とし、チャネル幅Wを大きく設定すればよいが、特に大きなノイズ源となるアンプとしてのソースフォロワーのチャネル幅Wを大きく設定すると、ゲート・ドレイン間の寄生容量が大きくなり、ゲインを落としてしまい感度の低下を招いてしまうので実施が難しい。
本実施形態では、本質的に1/fノイズが小さいPMOSトランジスタを少なくともソースフォロワーとして使用している。これにより、NMOSトランジスタに比べ1/10程度の大きさに低減できる。また、シンチレータを通り抜けたX線が直接トランジスタに当たってもPMOSトランジスタはNMOSトランジスタに比べてX線耐久性が強い(リーク電流増加、閾値Vth変動が少ない)ので更に好適である。
また、閾値Vthは温度によって指数関数的に変化してしまうので、撮影中に各ソースフォロワーが1℃以下の温度差を持っても出力の変動として現われてしまう。本実施形態のように複数の撮像素子から構成されるX線イメージセンサの場合、各撮像素子毎に温度依存が異なると、このわずかの変動も補正エラーを起こしてしまう。X線CT撮影の場合、1つの撮像素子でも補正エラーがあると、画像上非常に目立つリングアーチファクトが発生し問題となる。そのため、サンプルホールド回路の二つのソースフォロワーでは、後述するようにレイアウト的に閾値Vthのばらつきが極力ない配置構造とし、更に動作中に温度差が発生しない機構としている。
そこで、前述のように画素内に光信号用とノイズ信号用のサンプルホールド回路を設け、光信号とノイズ信号を露光とは独立して保存すると共に、サンプルホールド回路からは同時に出力(各列2線出力)する構造としている。
前述のように連続X線を用いたコーンビームX線CT撮影においては、各プロジェクション画像は全画面を同一時刻、同一蓄積時間で駆動させて取得する必要がある。そのために各画素内にメモリを設ける構造をとる。同一時刻、同一蓄積時間でのあるプロジェクション画像信号を画素内メモリに保存し、次のプロジェクション画像を取得している間に、保存したプロジェクションデータを並列読み出しにより高速に読み出すことができる。このように画像信号を露光と独立に保存させるための手段(画素内メモリ)として、このサンプルホールド回路はまず機能する。前述の撮像素子の並列読み出しと合わせ、これらの構造と機能により従来実現できなかった大面積でのコーンビームX線CT撮影を実現できる。
更に、この回路にはノイズ除去の機能を持たせている。光信号とノイズ信号は非常に速い時間差で、画素アンプ1からサンプルホールド回路に取り込まれるので、低周波数で大きい1/fノイズを無視することができる。
また、この回路を利用して画素アンプでの熱ノイズ、1/fノイズ、FPNを除去している。2つのサンプルホールド回路素子のばらつきは、コンデンサを極力画素内の近傍に配置し、出力のソースフォロワーは、これを通常のMOS回路レイアウトで用いられるクロス配置とし、閾値Vthのばらつきを極力減らす工夫を行うことで極力減らしている。このように本実施形態のサンプルホールド回路は一括露光のための画素毎の蓄積手段として働き、また、ノイズ除去のための手段としても働き、更に温度変化による撮像素子間の出力変動を解消する働きを持たせている。
本発明の特徴として、各プロジェクション画像取得時刻の制御を、ロータリーエンコーダ103から出力される角度信号を用いて行う。読み出し用のスイッチとリセットスイッチはロータリーエンコーダ103からの角度信号に基づいて蓄積時間制御部208により作成されたパルス信号により駆動される。
ロータリーエンコーダ103から出力される角度信号は蓄積時間制御部208に送られ、この信号に基づいて一括リセットのタイミングと、一括露光の動作タイミングパルスが作成される。これらの動作タイミングとサンプルホールド回路の動作タイミングを制御し、各プロジェクション画像内で時間遅れが生じないように、また、1プロジェクションの角度に対する蓄積時間の間プロジェクション画像信号が蓄積され、出力される。これにより、たとえ回転台に回転むらがあったとしても正確に決められた1プロジェクション当たりの回転角に応じた時間のプロジェクション画像を取得することができる。この蓄積時間は前述の信号蓄積型レファレンス素子104の蓄積時間と完全に同期が取られている。
図11は本実施形態による画素部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図11(a)はエンコーダのΔθに対する出力、図11(b)は蓄積時間、図11(c)はΦSH1、図11(d)はΦRES、図11(e)はΦCL、図11(f)はΦSH2、図11(g)はクロック、図11(h)は信号蓄積型レファレンス素子の蓄積時間を示す。
次に、図11を用いて回路動作を説明する。まず、光電変換はフォトダイオードPDで行う。露光は一括露光であり、各撮像素子の全画素で同一のタイミング、期間で行う。よって、撮像素子間、走査線間での画像の時間的ズレは一切生じない。
まず、図11(a)に示すようにロータリーエンコーダ103からN番目のプロジェクションの始まり角度に対応する信号が蓄積時間制御部208に送られる。
図11(c)に示すように同時に蓄積時間制御部208から全画素一括で信号ΦSH1をハイレベルとし、サンプルスイッチM8をオンすることで前のプロジェクションで蓄積されたノイズの除去されている光信号を画素アンプ2(M7)を通して容量CH1に一括転送する。
また、図11(d)に示すように全画素一括で信号ΦRESをハイレベルとし、リセットスイッチM2をオンすることでフォトダイオード容量CPDがリセットされる。リセットが終了した時点からN番目のプロジェクションに対応する信号蓄積が始まる。信号ΦSH1は蓄積時間制御部208により制御され、その他の信号はΦSH1に応じて決定されるので、フォトダイオードでの信号蓄積はプロジェクション毎に制御されることになる。
同時に、図11(e)に示すように信号ΦCLをハイレベルとし、画素アンプ4の選択スイッチM3、クランプスイッチM5をオンすることでクランプ容量CCLを基準電圧にセットする。
また、同時に図11(f)に示すように全画素一括で信号ΦSH2をハイレベルとし、画素アンプ6の選択スイッチM6、サンプルスイッチM11をオンすることで基準電圧に設定された時のノイズ信号を容量CH2に転送する。次いで、全画素一括で信号ΦSH2をローレベルとし、光信号、ノイズ信号のサンプルホールド回路への転送保持を終了する。
次いで、シフトレジスタVSRに入力される信号により信号ΦSEL2を各行毎にハイレベルとし、選択スイッチM9,M12をオンすることで負荷電流源と画素アンプ3、4(M10,M13)で構成されるソースフォロワー回路を動作状態とする。これにより、ホールド容量CH1,CH2に保持された光信号とノイズ信号とを画素アンプ3,4を通して同時にノイズ信号出力線と光信号出力線に転送する。
図11(b)に示すように以上の動作でX線イメージセンサパネル101の蓄積時間T1となる。このようにエンコーダ出力によりフレーム毎に制御される。
また図11(h)に示すように信号蓄積型レファレンス素子104の蓄積時間は、同様に蓄積時間制御部208からSW1、SW2を制御し、X線イメージセンサパネル101と同じ蓄積時間T1でプロジェクションごとの信号を蓄積出力する。
以上の動作を繰り返すことにより、各プロジェクションに応じたX線イメージセンサパネル101の蓄積時間と信号蓄積型レファレンス素子104の蓄積時間は、エンコーダの出力によって制御される。
次に、本実施形態の被写体回転型コーンビームX線CT撮影装置における被写体1回転分のプロジェクション画像の収集手順を説明する。まず、観察者が被写体107を保持装置に固定する。次に、観察者が図示しない操作卓から計測の開始を指示すると、撮影制御装置105からの制御信号に従ってプロジェクション画像(投影データ)の計測が開始され、回転装置102が回転を開始する。この時、ロータリーエンコーダ103から撮影制御装置105に回転角度が出力される。
撮影制御装置105は、回転装置102の回転角が所定の角度に達したことを検出した場合には、X線発生装置109から直ちに連続X線を照射させる。X線発生装置109からのX線の照射と共に、撮影制御装置105はX線イメージセンサパネル101を制御して、被写体107のプロジェクション画像を取得する。デジタル化されたプロジェクション画像である投影データとして撮影制御装置105に出力される。撮影制御装置105はX線イメージセンサパネル101で撮影されたプロジェクション画像を回転装置102の回転角、即ち、投影角と共に収集し、画像データメモリ203に格納し、引き続き所定の角度毎に行い、1回転分のプロジェクション画像の撮影が終了する。
全周分のプロジェクション画像の撮影(収集)が終了したならば、撮影制御装置105は回転装置102の回転を終了する。画像処理装置202では、画像データメモリ203に保存されたプロジェクション画像を、既に補正データメモリ204に保存されていた補正データを用いて、各プロジェクション画像のガンマ補正、画像歪み補正、対数変換及びX線イメージセンサパネルの感度むら補正等の前処理を行う。更に、プロジェクション画像に基づいて3次元X線分布像を再構成する。更に、3次元X線分布像に対して周知のボリュームレンダリング処理或いは最大値投影処理等の画像処理を施し、3次元X線分布像から3次元的な2次元像である3次元X線像を生成し、表示画面106上に3次元X線像を表示する。
本実施形態においては、各撮像素子内、撮像素子間で受光領域を均一サイズ、且つ、重心を等ピッチの配置にすることで、シフトレジスタ等を有効領域に配置しても各撮像素子間、撮像素子内での感度ばらつきや、受光領域の重心のばらつきを生じないので、複数枚貼りした構成でも実質的に繋ぎ目のない画像を得ることができる。また、撮像素子の周辺にデッドスペースが生じないので、撮像素子全面が有効領域となる。
これらの撮像素子を実質的に隙間がないように並べることで、大面積の撮像装置を形成できる。更に、前述のような回路構成とすることで実質的に時間的、空間的に繋ぎ目のない大面積の画像を得ることができる。画素の大きさは十分大きいので、有効画素領域にシフトレジスタを配置しても画素内にサンプルホールドのような回路を配置しても十分大きい開口率を実現できるので、何等問題とならない。更に、各撮像素子は並列で信号を読み出す構造となっているので、高速読み出しを行うことができる。
また、本実施形態では、シフトレジスタを有効領域内に配置するので、シンチレータ602を抜けたX線が直接シフトレジスタに当たるが、シフトレジスタとしてスタティックシフトレジスタを用いることでX線による影響を受けないようにしている。シフトレジスタ回路はパルス信号を順次転送するのに用いられる。即ち、原理的にスタティック型はX線の影響を比較的受けにくいので、本実施形態のようにX線が直接当たる場所に用いることができる。従って、スタティック型シフトレジスタを用いれば、X線ダメージやエラーの少ない、信頼性が向上した撮像装置を実現することができる。
更に、本実施形態では撮像素子としてCMOS型撮像素子を用いているので、消費電力が少なく、大面積の撮像装置を構成する場合に好適である。また、各画素に設けたサンプルホールド回路により、全画面一括露光、FPNノイズ除去、また更温度変化によるアーチファクト低減を実現することができる。200フレーム/secを超える高速撮影、透視撮影なみの高感度、人体の肺野を全てCT撮影できる大面積のX線イメージセンサパネルを実現することができる。更に、全画面一括露光と蓄積時間のプロジェクション毎の制御により回転角のぶれによるアーチファクトをなくすことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、信号蓄積型レファレンス素子として電離線量計を利用するものである。一般に、X線透視装置に取り付けて、透視時における患者の被曝を測定するのに電離線量計(面積線量計)が使用される。面積線量計をX線発生装置の可動絞り部に取り付ける。面積線量計以外のものは第1の実施形態と同様である。
本実施形態では面積線量計をX線発生装置の稼動絞り前面を覆うように設置する。面積線量計で計測される値は、X線発生装置から放出されるX線のうち、稼動絞りで制限された範囲から放出されるX線の総線量である。第1の実施形態では、信号蓄積型レファレンス素子は被写体上で影にならない位置に設置している。面積線量計はX線をほとんど透過するので、X線発生装置の稼動絞り前面を覆うように設置しても問題ない。これにより被写体に照射されるX線全体(の平均)をモニターできるので、この値を用いてプロジェクション画像の線量補正を行う場合、第1の実施形態の場合よりも精度が向上する。
また、面積線量計ばかりでなく、X線透過型のセンサであれば同様の使い方ができる。従来のガラス基板上のa−Siを使ったフラットパネルディテクタを利用することもできる。即ち、複数の画素に分割したフラットパネルディテクタを稼動絞り前面を覆うように設置する。この時の画素分割は稼動絞りで制限された範囲を、例えば、9分割する程度でよいので、従来のフラットパネルディテクタでもX線CT撮影に利用することができる。9分割して測定したX線量値を用いてプロジェクション画像の線量補正を行う場合には、更に最適化した補正ができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態はX線イメージセンサパネルの一部分をレファレンス素子として利用する形態である。X線イメージセンサパネル101の動作は第1の実施形態と同じである。図4に示すようにX線透視画像には被写体の投影画像のない部分、巣抜け部分がある。この巣抜け部分のうち点線で囲まれた領域401をレファレンス信号検出部として利用する。この領域は本スキャンの前に非常に弱いX線を照射して巣抜け部を検出し決定する。レファレンス信号検出部を決定した後、被写体からの散乱線除去用コリメータをX線イメージセンサパネルの当該場所に設定する。グリッドを兼用してもよい。本実施形態では、別のレファレンス検出素子を必要としないので、被写体の画像とレファレンス信号を同時に、1つの画像データとして取得できる。これにより、システムが簡略になる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態を図2を用いて説明する。本実施形態は補正の方法に関するものである。被写体の画像データの取得に関しては第1の実施形態と同じである。本実施形態では更に図2の蓄積時間算出カウンタ209を用いて、被写体撮影時に蓄積時間制御部208で作られた蓄積時間制御パルスをモニターし、その時間中のクロック数(図11(g))をカウントすることで図11のT1、T2(図11(b))を求める。これは全てのプロジェクションに対して求め、別途記憶手段に記憶させておく。また、レファレンス素子からのデータも記憶させておく。
通常、被写体の撮影前に、被写体が無い状態で、X線イメージセンサパネル感度の測定を行う。この時、回転装置102とは関係ないので、蓄積時間は一定値(5msec)として1000枚のデータを取得する。この測定は、X線を照射しない状態で取得するX線イメージセンサパネル101の暗画像(FPNを含む)データとX線を照射した時の白画像データの取得から成る。被写体のX線透過画像を補正するために、これら暗画像データと白画像データの平均データを用意する。
従来は、この5msecのデータをそのまま補正に使わざるをえなかったが、本実施形態では、この平均データをプロジェクション毎に記憶させていた蓄積時間データにより補正し、更にレファレンス素子の蓄積信号データを用いて補正している。こうやって補正された平均データを用いて、プロジェクション毎に白画像補正、黒画像補正を行う。これにより、X線源の変動、回転むらがあっても被写体の画像を正しく補正ができる。その結果、アーチファクトのない高画質の断面画像を得ることができる。その他は第1の実施形態と同様である。
本発明による放射線CT撮影装置の第1の実施形態を示す概略図である。 本発明による放射線CT撮影装置の第1の実施形態を示すシステムブロック図である。 本発明によるファレンス素子を説明する図であり、(a)は従来のレファレンス素子の等価回路図、(b)は本発明に係る信号蓄積型レファレンス素子の等価回路図である。 本発明の第3の実施形態を説明する図である。 本発明による第1の実施形態のX線イメージセンサパネルを示す図である。 図5のA−A′線における断面図である。 本発明による第1の実施形態の撮像素子とその元となるウエハを示す平面図である。 本発明による第1の実施形態の撮像装置における画素の配列及び走査回路の配列を示す平面図である。 本発明による第1の実施形態の撮像素子内の1画素回路とシフトレジスタの単位ブロックの関係を示す図である。 本発明による第1の実施形態の撮像素子の1画素回路図である。 本発明による第1の実施形態の駆動方法のタイミングを示す図である。 従来の放射線撮影システムの構成を示す概念図である。
符号の説明
101 X線イメージセンサパネル
102 回転装置(回転台)
103 ロータリーエンコーダ
104 信号蓄積型レファレンス素子
105 撮影制御装置
106 表示装置
107 被写体
108 X線源電源
109 X線発生装置(X線源)
201 A/D変換器
202 駆動部
203 画像データメモリ
204 補正データメモリ
205 駆動部
206 回転制御部
207 装置制御部
208 蓄積時間制御部
209 蓄積時間算出カウンタ
301 フォトダイオードPD
302 接合容量C1
303 電圧V
304 演算増幅器Amp
305 読み出し用スイッチSW1
306 リセットスイッチ
308 積分容量C2
401 レファレンス信号検出部
501 撮像素子
602 シンチレータ
603 フレキシブル基板
604 基台
605 外部処理基板
701 垂直シフトレジスタ
702 水平シフトレジスタ
703 外部端子
801 バンプ
802 保護抵抗
803 保護ダイオード
807 画素

Claims (14)

  1. 放射線CT撮影装置において、
    放射線が照射される被写体を回転させる回転手段と、
    前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、
    前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、
    前記回転角信号を用いて放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する手段と、
    を有し、
    前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影装置。
  2. 請求項1に記載の放射線CT撮影装置において、更に信号蓄積型のレファレンス信号発生手段を有することを特徴とする放射線CT撮影装置。
  3. 請求項2に記載の放射線CT撮影装置において、前記放射線は放射線源から照射される連続放射線であり、前記レファレンス信号発生手段は放射線イメージセンサパネルと前記放射線源の間に配置され、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間と、前記レファレンス信号発生手段の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影装置。
  4. 請求項1に記載の放射線CT撮影装置において、前記回転角検出手段は、前記回転角が決められた1プロジェクション当りの回転角に到達したことを検出して回転角信号を発生することを特徴とする放射線CT撮影装置。
  5. 請求項2に記載の放射線CT撮影装置において、前記放射線は放射線源から照射される連続放射線であり、前記放射線イメージセンサパネルは複数の撮像素子を有し、それぞれの撮像素子は複数の画素を有し、前記レファレンス信号発生手段は前記撮像素子の一部の画素であり、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間と、前記レファレンス信号発生手段の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影装置。
  6. 請求項1に記載の放射線CT撮影装置において、前記蓄積時間に対応する蓄積時間データを算出する手段と、前記被写体がない状態で前記放射線イメージセンサパネルに放射線が照射されて取得された前記放射線イメージセンサパネルの白画像データを記憶する手段と、前記放射線イメージセンサパネルに前記放射線を照射しない状態で取得された前記放射線イメージセンサパネルのFPN画像データを記憶する手段と、前記白画像データと、前記FPN画像データと前記信号蓄積時間データを用いて各プロジェクション画像データの白補正FPN補正を行う手段と、を有することを特徴とする放射線CT撮影装置。
  7. 請求項6に記載の放射線CT撮影装置において、前記補正を行う手段は、更に前記信号蓄積型レファレンス信号発生手段の信号データを用いて各プロジェクション画像データを補正することを特徴とする放射線CT撮影装置。
  8. 放射線CT撮影装置において、
    放射線が照射される被写体を回転軸の周りに回転させる回転手段と、
    前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、
    前記回転軸に対して相対的に固定したまま、前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、
    前記回転角信号を用いて放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する手段と、を有し、
    前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影装置。
  9. 請求項8に記載の放射線CT撮影装置において、更に信号蓄積型レファレンス信号発生手段を有し、前記放射線は放射線源から照射される連続放射線であり、前記レファレンス信号発生手段は放射線イメージセンサパネルと前記放射線源の間に配置され、前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間と、前記レファレンス信号発生手段の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影装置。
  10. 請求項8に記載の放射線CT撮影装置において、前記蓄積時間に対応する蓄積時間データを算出する手段と、前記被写体がない状態で前記放射線イメージセンサパネルに放射線が照射されて取得された前記放射線イメージセンサパネルの白画像データを記憶する手段と、前記放射線イメージセンサパネルに前記放射線を照射しない状態で取得された前記放射線イメージセンサパネルのFPN画像データを記憶する手段と、前記白画像データと、前記FPN画像データと前記信号蓄積時間データを用いて各プロジェクション画像データの白補正、FPN補正を行う手段と、を有することを特徴とする放射線CT撮影装置。
  11. 放射線CT撮影システムにおいて、
    被写体に放射線を照射する放射線源と、
    前記放射線源を制御する手段と、
    前記被写体を回転させる回転手段と、
    前記回転手段の回転角を検出し、回転角信号を発生する回転角検出手段と、
    複数の画素を有し、前記回転に応じて被写体のプロジェクション画像データを生成する放射線イメージセンサパネルと、
    前記回転角信号を用いて前記画素の蓄積時間を制御する手段と、
    を有し、
    前記手段は、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影システム。
  12. 放射線CT撮影方法において、
    回転角検出手段により連続放射線が照射される被写体を回転させる回転手段の回転角に応じた回転角信号を検出し、
    放射線イメージセンサパネルの蓄積時間を制御する制御手段により、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転角信号を用いて前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影方法。
  13. 請求項12に記載の放射線CT撮影方法において、1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間に変化が生じた場合、前記回転角信号を用いて前記回転手段の1プロジェクション当りの前記回転角に対する時間にあわせて前記放射線イメージセンサパネルの1プロジェクション毎の蓄積時間と、レファレンス信号発生手段の蓄積時間を変えることを特徴とする放射線CT撮影方法。
  14. 請求項13に記載の放射線CT撮影方法において、前記蓄積時間に対応する蓄積時間データ前記被写体がない状態で前記放射線イメージセンサパネルに放射線が照射されて取得された前記放射線イメージセンサパネルの白画像データと、前記放射線イメージセンサパネルに前記放射線を照射しない状態で取得された前記放射線イメージセンサパネルのFPN画像データと、を用いてプロジェクション画像データを補正することを特徴とする放射線CT撮影方法。
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