JP2004011478A - 内燃機関の吸入空気量制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノンスロットル運転を行うことが出来る内燃機関の低負荷運転領域において、吸気閉弁の過度の早期化に伴う実効圧縮比の低下により、ノンスロットル運転による燃費向上効果を十分に発揮出来ないという問題があった。
【解決手段】部分負荷運転領域において、吸気閉弁を吸気行程中に行うとともに、運転領域により異なる下限値を実効圧縮比に設ける。前記実効圧縮比の下限値となる吸気閉弁時期に吸気開弁するとともに、吸気開弁及び排気閉弁を排気上死点前に行う。
【効果】低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下を回避し、点火時期での筒内温度及び圧力を十分に上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避出来、ノンスロットル運転による燃費向上効果を最大限発揮させることが出来る。
【選択図】 図3
【解決手段】部分負荷運転領域において、吸気閉弁を吸気行程中に行うとともに、運転領域により異なる下限値を実効圧縮比に設ける。前記実効圧縮比の下限値となる吸気閉弁時期に吸気開弁するとともに、吸気開弁及び排気閉弁を排気上死点前に行う。
【効果】低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下を回避し、点火時期での筒内温度及び圧力を十分に上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避出来、ノンスロットル運転による燃費向上効果を最大限発揮させることが出来る。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に関し、特にノンスロットル運転を行うことが出来る内燃機関の吸入空気量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼効率の向上,燃料消費率及び排気の低減を目的として、吸気弁の作用角及びリフト量を任意に変更可能な可変動弁機構を設けることにより、吸入空気量を制御する内燃機関の開発が進められている。
【0003】
“新可変機構による効率向上の最新動向(自動車技術会、学術講演会前刷集20004517)”では、吸気弁のリフト量を作用角の減少とともに連続的に減少させることにより、低・中負荷運転領域においてポンプ損失を低減し、燃費を改善させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、低負荷運転領域において吸気弁の閉弁タイミング(以後吸気閉弁時期と称す)が過度に早期化するため、実効圧縮比が低下するという問題がある。実効圧縮比の低下により、図示熱効率の低下とともに、点火時期における筒内温度及び圧力の上昇が不十分となるため、燃料の気化が悪化し、燃焼効率が低下するためである。
【0005】
本発明の目的は、ノンスロットル運転の大きなメリットであるポンプロス低減による燃費向上効果を最大限発揮させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明では、部分負荷運転領域において、吸気閉弁を吸気行程中に行うことにより、吸入空気量制御を行う。また、吸気閉弁の過度の早期化による実効圧縮比低下を防ぐために、運転領域により異なる実効圧縮比の下限値を持つ。好適には内部EGRを投入することにより、吸入空気量の制御を行うとともに、点火前の筒内ガス温度を上昇させることにより燃料噴霧の気化を促進し、燃焼効率の低下を回避する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の第1形態について図面を用いて説明する。
【0008】
図1は本発明を実施する筒内直接噴射式内燃機関の構成図である。
【0009】
図1に示すエンジン1は図示しないクランク機構を備え、そのクランク機構に連結されたコンロッド2はシリンダ3内に摺動可能に嵌合しているピストン4の往復運動を回転運動に変換する役割を持つ。シリンダヘッド5によって燃焼室6が構成され、シリンダヘッド5には吸気弁7,排気弁8および燃料噴射弁9,火花点火装置10が装着されている。吸気弁7,排気弁8には可変動弁機構11,12が設けられている。吸気弁7,排気弁8の上流には吸気ポート13及び排気ポート14が接続されている。エンジン1はピストン4の往復動作によって負圧となる燃焼室6に空気を吸入し、燃焼させる。エンジン1に吸入される空気は空気量センサ15で吸入空気量が計測される。エンジン1に供給される燃料は、燃料タンク16内のフィードポンプ17または燃料ポンプ18により加圧され、燃料噴射弁9により燃焼室6に直接噴射される。燃焼室6内に噴射された燃料は燃焼室6内に吸入された空気と混合し火花点火装置10により燃焼が行われる。排気ガスはピストン4の往復動作によって排気弁8から排出され、排気管に設置された三元触媒19,NOx触媒20を通過して排出される。コントロールユニット21において、各種のセンサの出力信号からエンジン1の運転状態を検出し、その検出結果に応じてエンジン1に装着されている可変動弁機構11,12,燃料ポンプ18,燃料噴射弁9,火花点火装置10を制御する。
【0010】
コントロールユニット21には各種のセンサからの信号が入力される。本実施例ではエンジン回転数,吸入空気温度,水温,アクセル踏量,吸入空気量が入力されるよう構成し、その他の入力信号としては、例えば図示しないクランクシャフトに装着されたクランク角度センサからの信号,排気管内に取り付けられた空燃比センサ22からの信号,排気ガスの温度を検出する温度センサ23からの信号,排気中の酸素濃度を検出するO2センサ24などがある。
【0011】
コントロールユニット21は変速機制御部25,エンジン制御部26,可変動弁制御部27,インジェクタ駆動回路28などから構成されている。
【0012】
図2は、吸気弁7のリフト量及び作用角を変化させる可変動弁機構11の機械的構成を示している。吸気弁7の上部にはバルブリフタ29が設けられている。バルブリフタ29の上部には、図外のクランクシャフトに連動して軸周りに回転駆動される駆動軸30が気筒列方向に配置されている。この駆動軸30の外周には、揺動カム31が揺動可能に外嵌されており、この揺動カム31がバルブリフタ29に接触してこれを押圧することにより、吸気弁7が図外のバルブスプリングのバネ力に対抗して開閉駆動される。作用角変更機構32は、これらの駆動軸30と揺動カム31との間に配置され、両者30,31を機械的に連携するリンクの姿勢を変化させることによって、吸気弁7の作用角を連続的に変化させている。つまり、作用角変更機構32は、駆動軸30に対して偏心しており、この駆動軸30と一体的に回転する駆動カム33と、この駆動カム33の外周に相対回転可能に外嵌するリング状リンク34と、駆動軸30と略平行に気筒列方向に配置される制御軸35と、この制御軸35に偏心して設けられ、この制御軸35と一体的に回転する制御カム36と、この制御カム36の外周に相対回転可能に外嵌するとともに、一端がリング状リンク34の先端と相対回転可能に連結するロッカーアーム37と、このロッカーアーム37の他端及び揺動カム31の先端と回転可能に連結し、両者37,31を機械的に連携するロッド状リンク38と、を有している。上記の駆動軸33及び制御軸35は、図示しない軸受ブラケットを介してエンジン1のシリンダヘッド5側へ回転可能に支持されている。制御軸35の一端には、この制御軸35を所定の制御角度範囲内で軸周りに回転駆動すると共に、所定の回転位相に保持する、図示しない油圧式又は電磁式のアクチュエータが設けられており、このアクチュエータは制御部27により制御される。このような構成により、クランクシャフトに連動して駆動軸30が回転すると、駆動カム33を介してリング状リンク34が実質的に並進作動するとともに、ロッカーアーム37が制御カム36周りを揺動し、ロッド状リンク38を介して揺動カム31が揺動して、吸気弁7が開閉駆動される。また、制御軸35を回動制御することにより、ロッカーアーム37の揺動中心となる制御カム36の中心位置が変化して、各リンク34,38等の姿勢が変化し、揺動カム31の揺動角度範囲が変化して、バルブリフト特性が変化する。具体的には、作用角の中心角位相が略一定のままで、作用角及びバルブリフト量が連続的かつ多段階に変化する。さらに、制御軸35の一端に設けられた所定の回転位相に保持する、図示しない油圧式又は電磁式のアクチュエータにより位相を連続的かつ多段階に変化させることが出来る。
【0013】
排気可変動弁機構12は、排気弁の開弁タイミング(以後排気開弁時期と称す)及び排気弁の閉弁タイミング(以後排気閉弁時期と称す)を任意に設定可能な機構を備えているものである。
【0014】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0015】
本実施例のエンジン(内燃機関)1では、ポンプロス低減による燃費向上を目的として、可変動弁機構11を備えた吸気弁7を用いることで吸入空気量を制御し、ノンスロットル運転を行うことが出来る。可変動弁機構11を備えた吸気弁7を用いた吸入空気量制御によるノンスロットル運転を行う際、部分負荷運転領域において、吸気弁7を低リフト及び閉弁時期を早期化することにより作用角を小さくすることで吸入空気量を制御している。しかし、さらなる低負荷運転領域においては、吸気弁7の作用角が過小となるため、実効圧縮比が過度に低下する。そのために、点火時期における筒内温度及び圧力の上昇が不十分となり、燃料の気化が悪化し、燃焼効率が低下する。
【0016】
そこで、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、吸気弁のみで吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。そのような場合において、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁の早期化を回避する。これらの動作では、前記低負荷運転領域において、十分に吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を併せて行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図5に示すように吸気開弁を排気上死点前に行うとともに、排気閉弁時期を進角させて排気上死点前に排気閉弁させる。排気開弁時期を進角させずに排気閉弁時期のみを進角させるのは、排気開弁時期の進角に伴う膨張比の低下を回避するためである。吸気開弁を排気上死点前に行うのは、筒内に残留した排気の圧縮による負の仕事を低減させるためである。本実施例では、筒内に残留した排気の圧縮による負の仕事を無くすために、吸気開弁を排気閉弁と同時に行っている。このように、排気上死点前に排気閉弁させることによって所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図6に、吸気バルブプロフィールを一定とした場合の排気上死点前の排気閉弁時期から排気上死点までのクランク角度に対する内部EGR量の関係を示す。排気上死点前に排気閉弁させることにより、排気閉弁時期の早期化に伴って内部EGR量が増加する。図7に内部EGR量に対する吸入空気量との関係を示す。吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、排気閉弁時期を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に、内部EGR量に対する吸入空気温度との関係を示す。排気上死点前の排気閉弁時期の早期化に伴って高温の内部EGRが増加するため吸入空気温度は上昇する。図9に吸入空気温度に対する燃料気化速度との関係を示す。吸入空気温度の上昇に伴い、燃料気化速度が上昇するため、未燃HCを低減することが出来、燃費低減が可能となる。
【0017】
図10に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0018】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。排気可変動弁機構12は開弁及び閉弁時期が同期して可変するものであっても良い。また、本実施例では、吸気開弁を排気閉弁と同時に行っているが、吸気開弁を排気閉弁より前に行っても良い。また、前記実効圧縮比の下限値より決定される時期に吸気閉弁を行いながら、吸気開弁を排気閉弁と同時に行えない場合は、吸気開弁を排気閉弁より後に行っても良い。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0019】
次に、この発明の実施の第2形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本実施形態の構成は、発明の実施の第1形態において、排気可変動弁機構12を具備しないものである。
【0021】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0022】
本実施形態においては、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、排気上死点前にプラスバルブオーバーラップせずに吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。低負荷運転領域において、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となる場合、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁早期化を回避する。これらの動作だけでは、前記低負荷運転領域において、十分な吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を同時に行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図11に示すように吸気開弁時期を進角させ、排気上死点前に吸気開弁させる。このように、排気上死点前に吸気開弁させることによってプラスバルブオーバーラップ期間を発生させ、内部EGRを付加することによって、所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図12に排気上死点前のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量との関係を示す。排気上死点前に吸気開弁させることにより、プラスオーバーラップ量の増加に伴って内部EGR量が増加する。図7に内部EGR量に対する吸入空気量との関係を示す。吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、プラスオーバーラップ量を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に内部EGR量に対する吸入空気温度との関係を示す。排気上死点前のプラスオーバーラップ量の増加に伴い高温の内部EGRが増加する。そのため、排気上死点前のプラスオーバーラップ量の増加に伴い吸入空気温度は上昇する。図9に吸入空気温度に対する燃料気化速度との関係を示す。吸入空気温度の上昇に伴い、燃料気化速度が上昇するため、未燃HCを低減することが出来、燃費低減が可能となる。
【0023】
図13に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0024】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0025】
次に、この発明の実施の第3形態について図面を用いて説明する。
【0026】
本実施形態の構成は、発明の実施の第1形態と同様であり、図1及び図2に示すものである。
【0027】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0028】
本実施形態においては、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、吸気弁のみで吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。低負荷運転領域において、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となる場合、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁早期化を回避する。これらの動作だけでは、前記低負荷運転領域において、十分な吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を同時に行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図14に示すように排気閉弁時期を遅角させ、排気上死点後に排気閉弁させる。排気閉弁時期のみを遅角させるのは、排気開弁時期の遅角に伴う排気効率低下によるポンピングロス増加を回避するためである。このように、排気上死点後に排気閉弁させることによってプラスバルブオーバーラップ期間を発生させ、内部EGRを付加することによって、所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図15に排気上死点後のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量との関係を示す。排気上死点後に排気閉弁させることにより、プラスオーバーラップ量の増加に伴って内部EGR量が増加する。図7に示すように、吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、プラスオーバーラップ量を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に示すように内部EGR量の増加に伴い吸入空気温度が上昇するため、図9に示すように燃料気化速度が増加する。その結果、未燃HCの低減させることが出来、燃費の低減が可能となる。
【0029】
図16に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0030】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。排気可変動弁機構12は開弁及び閉弁時期が同期して可変するものであっても構わない。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0031】
本発明が実施される上記各実施例の基本構成を纏めると以下の通りである。
【0032】
吸気弁のバルブタイミング及びリフト量を可変させることにより吸入空気量を制御する内燃機関の吸入空気量制御方法において、
該内燃機関の運転領域判別手段を備え、
前記運転領域判別手段により判別される該内燃機関の運転領域が部分負荷領域であるときに、吸気閉弁を吸気行程中に行うことを特徴とする様に構成した。
【0033】
さらに、運転領域により異なる実効圧縮比の下限値を持つように構成し、低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下の回避を可能とした。
【0034】
あわせて、内部EGRを投入することにより吸入空気量の制御を行う。これらの構成により、点火時期での筒内温度及び圧力を十分に上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避出来る。
【0035】
【発明の効果】
低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下を回避し、点火時期での筒内温度及び圧力を上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避でき、ノンスロットル運転による燃費向上効果を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のエンジンシステム図。
【図2】本発明の第1,第2及び第3実施形態の吸気可変動弁機構の機械的構成を示す構成図。
【図3】本発明の第1,第2及び第3実施形態のエンジン回転数及び要求軸トルクに対する実効圧縮比の下限値を示す図。
【図4】本発明の第1,第2及び第3実施形態の任意の運転条件における実効圧縮比と燃料消費率との関係を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図6】本発明の第1実施形態の排気開弁から排気上死点までのクランク角度に対する内部EGR量と吸入空気量との関係を示す図。
【図7】本発明の第1,第2及び第3実施形態の内部EGR量に対する吸入空気量の関係を示す図。
【図8】本発明の第1,第2及び第3実施形態の内部EGR量に対する吸入空気温度の関係を示す図。
【図9】本発明の第1,第2及び第3実施形態の吸入空気温度に対する燃料気化速度の関係を示す図。
【図10】本発明の第1実施形態を実現する制御フローを示す図。
【図11】本発明の第2実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図12】本発明の第2実施形態の排気上死点前のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量の関係を示す図。
【図13】本発明の第2実施形態を実現する制御フローを示す図。
【図14】本発明の第3実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図15】本発明の第3実施形態の排気上死点後のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量の関係を示す図。
【図16】本発明の第3実施形態を実現する制御フローを示す図。
【符号の説明】
1…エンジン、3…シリンダ、4…ピストン、5…シリンダヘッド、6…燃焼室、7…吸気弁、8…排気弁、9…燃料噴射弁、10…火花点火装置、11…吸気可変動弁機構、12…排気可変動弁機構、13…吸気ポート、14…排気ポート。
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に関し、特にノンスロットル運転を行うことが出来る内燃機関の吸入空気量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼効率の向上,燃料消費率及び排気の低減を目的として、吸気弁の作用角及びリフト量を任意に変更可能な可変動弁機構を設けることにより、吸入空気量を制御する内燃機関の開発が進められている。
【0003】
“新可変機構による効率向上の最新動向(自動車技術会、学術講演会前刷集20004517)”では、吸気弁のリフト量を作用角の減少とともに連続的に減少させることにより、低・中負荷運転領域においてポンプ損失を低減し、燃費を改善させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、低負荷運転領域において吸気弁の閉弁タイミング(以後吸気閉弁時期と称す)が過度に早期化するため、実効圧縮比が低下するという問題がある。実効圧縮比の低下により、図示熱効率の低下とともに、点火時期における筒内温度及び圧力の上昇が不十分となるため、燃料の気化が悪化し、燃焼効率が低下するためである。
【0005】
本発明の目的は、ノンスロットル運転の大きなメリットであるポンプロス低減による燃費向上効果を最大限発揮させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明では、部分負荷運転領域において、吸気閉弁を吸気行程中に行うことにより、吸入空気量制御を行う。また、吸気閉弁の過度の早期化による実効圧縮比低下を防ぐために、運転領域により異なる実効圧縮比の下限値を持つ。好適には内部EGRを投入することにより、吸入空気量の制御を行うとともに、点火前の筒内ガス温度を上昇させることにより燃料噴霧の気化を促進し、燃焼効率の低下を回避する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の第1形態について図面を用いて説明する。
【0008】
図1は本発明を実施する筒内直接噴射式内燃機関の構成図である。
【0009】
図1に示すエンジン1は図示しないクランク機構を備え、そのクランク機構に連結されたコンロッド2はシリンダ3内に摺動可能に嵌合しているピストン4の往復運動を回転運動に変換する役割を持つ。シリンダヘッド5によって燃焼室6が構成され、シリンダヘッド5には吸気弁7,排気弁8および燃料噴射弁9,火花点火装置10が装着されている。吸気弁7,排気弁8には可変動弁機構11,12が設けられている。吸気弁7,排気弁8の上流には吸気ポート13及び排気ポート14が接続されている。エンジン1はピストン4の往復動作によって負圧となる燃焼室6に空気を吸入し、燃焼させる。エンジン1に吸入される空気は空気量センサ15で吸入空気量が計測される。エンジン1に供給される燃料は、燃料タンク16内のフィードポンプ17または燃料ポンプ18により加圧され、燃料噴射弁9により燃焼室6に直接噴射される。燃焼室6内に噴射された燃料は燃焼室6内に吸入された空気と混合し火花点火装置10により燃焼が行われる。排気ガスはピストン4の往復動作によって排気弁8から排出され、排気管に設置された三元触媒19,NOx触媒20を通過して排出される。コントロールユニット21において、各種のセンサの出力信号からエンジン1の運転状態を検出し、その検出結果に応じてエンジン1に装着されている可変動弁機構11,12,燃料ポンプ18,燃料噴射弁9,火花点火装置10を制御する。
【0010】
コントロールユニット21には各種のセンサからの信号が入力される。本実施例ではエンジン回転数,吸入空気温度,水温,アクセル踏量,吸入空気量が入力されるよう構成し、その他の入力信号としては、例えば図示しないクランクシャフトに装着されたクランク角度センサからの信号,排気管内に取り付けられた空燃比センサ22からの信号,排気ガスの温度を検出する温度センサ23からの信号,排気中の酸素濃度を検出するO2センサ24などがある。
【0011】
コントロールユニット21は変速機制御部25,エンジン制御部26,可変動弁制御部27,インジェクタ駆動回路28などから構成されている。
【0012】
図2は、吸気弁7のリフト量及び作用角を変化させる可変動弁機構11の機械的構成を示している。吸気弁7の上部にはバルブリフタ29が設けられている。バルブリフタ29の上部には、図外のクランクシャフトに連動して軸周りに回転駆動される駆動軸30が気筒列方向に配置されている。この駆動軸30の外周には、揺動カム31が揺動可能に外嵌されており、この揺動カム31がバルブリフタ29に接触してこれを押圧することにより、吸気弁7が図外のバルブスプリングのバネ力に対抗して開閉駆動される。作用角変更機構32は、これらの駆動軸30と揺動カム31との間に配置され、両者30,31を機械的に連携するリンクの姿勢を変化させることによって、吸気弁7の作用角を連続的に変化させている。つまり、作用角変更機構32は、駆動軸30に対して偏心しており、この駆動軸30と一体的に回転する駆動カム33と、この駆動カム33の外周に相対回転可能に外嵌するリング状リンク34と、駆動軸30と略平行に気筒列方向に配置される制御軸35と、この制御軸35に偏心して設けられ、この制御軸35と一体的に回転する制御カム36と、この制御カム36の外周に相対回転可能に外嵌するとともに、一端がリング状リンク34の先端と相対回転可能に連結するロッカーアーム37と、このロッカーアーム37の他端及び揺動カム31の先端と回転可能に連結し、両者37,31を機械的に連携するロッド状リンク38と、を有している。上記の駆動軸33及び制御軸35は、図示しない軸受ブラケットを介してエンジン1のシリンダヘッド5側へ回転可能に支持されている。制御軸35の一端には、この制御軸35を所定の制御角度範囲内で軸周りに回転駆動すると共に、所定の回転位相に保持する、図示しない油圧式又は電磁式のアクチュエータが設けられており、このアクチュエータは制御部27により制御される。このような構成により、クランクシャフトに連動して駆動軸30が回転すると、駆動カム33を介してリング状リンク34が実質的に並進作動するとともに、ロッカーアーム37が制御カム36周りを揺動し、ロッド状リンク38を介して揺動カム31が揺動して、吸気弁7が開閉駆動される。また、制御軸35を回動制御することにより、ロッカーアーム37の揺動中心となる制御カム36の中心位置が変化して、各リンク34,38等の姿勢が変化し、揺動カム31の揺動角度範囲が変化して、バルブリフト特性が変化する。具体的には、作用角の中心角位相が略一定のままで、作用角及びバルブリフト量が連続的かつ多段階に変化する。さらに、制御軸35の一端に設けられた所定の回転位相に保持する、図示しない油圧式又は電磁式のアクチュエータにより位相を連続的かつ多段階に変化させることが出来る。
【0013】
排気可変動弁機構12は、排気弁の開弁タイミング(以後排気開弁時期と称す)及び排気弁の閉弁タイミング(以後排気閉弁時期と称す)を任意に設定可能な機構を備えているものである。
【0014】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0015】
本実施例のエンジン(内燃機関)1では、ポンプロス低減による燃費向上を目的として、可変動弁機構11を備えた吸気弁7を用いることで吸入空気量を制御し、ノンスロットル運転を行うことが出来る。可変動弁機構11を備えた吸気弁7を用いた吸入空気量制御によるノンスロットル運転を行う際、部分負荷運転領域において、吸気弁7を低リフト及び閉弁時期を早期化することにより作用角を小さくすることで吸入空気量を制御している。しかし、さらなる低負荷運転領域においては、吸気弁7の作用角が過小となるため、実効圧縮比が過度に低下する。そのために、点火時期における筒内温度及び圧力の上昇が不十分となり、燃料の気化が悪化し、燃焼効率が低下する。
【0016】
そこで、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、吸気弁のみで吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。そのような場合において、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁の早期化を回避する。これらの動作では、前記低負荷運転領域において、十分に吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を併せて行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図5に示すように吸気開弁を排気上死点前に行うとともに、排気閉弁時期を進角させて排気上死点前に排気閉弁させる。排気開弁時期を進角させずに排気閉弁時期のみを進角させるのは、排気開弁時期の進角に伴う膨張比の低下を回避するためである。吸気開弁を排気上死点前に行うのは、筒内に残留した排気の圧縮による負の仕事を低減させるためである。本実施例では、筒内に残留した排気の圧縮による負の仕事を無くすために、吸気開弁を排気閉弁と同時に行っている。このように、排気上死点前に排気閉弁させることによって所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図6に、吸気バルブプロフィールを一定とした場合の排気上死点前の排気閉弁時期から排気上死点までのクランク角度に対する内部EGR量の関係を示す。排気上死点前に排気閉弁させることにより、排気閉弁時期の早期化に伴って内部EGR量が増加する。図7に内部EGR量に対する吸入空気量との関係を示す。吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、排気閉弁時期を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に、内部EGR量に対する吸入空気温度との関係を示す。排気上死点前の排気閉弁時期の早期化に伴って高温の内部EGRが増加するため吸入空気温度は上昇する。図9に吸入空気温度に対する燃料気化速度との関係を示す。吸入空気温度の上昇に伴い、燃料気化速度が上昇するため、未燃HCを低減することが出来、燃費低減が可能となる。
【0017】
図10に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0018】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。排気可変動弁機構12は開弁及び閉弁時期が同期して可変するものであっても良い。また、本実施例では、吸気開弁を排気閉弁と同時に行っているが、吸気開弁を排気閉弁より前に行っても良い。また、前記実効圧縮比の下限値より決定される時期に吸気閉弁を行いながら、吸気開弁を排気閉弁と同時に行えない場合は、吸気開弁を排気閉弁より後に行っても良い。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0019】
次に、この発明の実施の第2形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本実施形態の構成は、発明の実施の第1形態において、排気可変動弁機構12を具備しないものである。
【0021】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0022】
本実施形態においては、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、排気上死点前にプラスバルブオーバーラップせずに吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。低負荷運転領域において、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となる場合、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁早期化を回避する。これらの動作だけでは、前記低負荷運転領域において、十分な吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を同時に行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図11に示すように吸気開弁時期を進角させ、排気上死点前に吸気開弁させる。このように、排気上死点前に吸気開弁させることによってプラスバルブオーバーラップ期間を発生させ、内部EGRを付加することによって、所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図12に排気上死点前のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量との関係を示す。排気上死点前に吸気開弁させることにより、プラスオーバーラップ量の増加に伴って内部EGR量が増加する。図7に内部EGR量に対する吸入空気量との関係を示す。吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、プラスオーバーラップ量を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に内部EGR量に対する吸入空気温度との関係を示す。排気上死点前のプラスオーバーラップ量の増加に伴い高温の内部EGRが増加する。そのため、排気上死点前のプラスオーバーラップ量の増加に伴い吸入空気温度は上昇する。図9に吸入空気温度に対する燃料気化速度との関係を示す。吸入空気温度の上昇に伴い、燃料気化速度が上昇するため、未燃HCを低減することが出来、燃費低減が可能となる。
【0023】
図13に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0024】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0025】
次に、この発明の実施の第3形態について図面を用いて説明する。
【0026】
本実施形態の構成は、発明の実施の第1形態と同様であり、図1及び図2に示すものである。
【0027】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0028】
本実施形態においては、図3に示すように、実効圧縮比にエンジン回転数及び要求軸トルクにより異なる下限値を設ける。ここで述べる実効圧縮比の下限値は、図4に示すように任意の運転条件において、実効圧縮比の低下によって燃料消費率が急激に増加するときの実効圧縮比として決定される。低負荷運転領域において、吸気弁のみで吸入空気量制御を行った場合に、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となることがある。低負荷運転領域において、図3に示す実効圧縮比の下限値以下となる吸気閉弁時期が必要となる場合、図3に示される実効圧縮比の下限値から吸気閉弁時期を決定し、決定された時期に吸気閉弁させることにより低負荷運転領域における過度の吸気閉弁早期化を回避する。これらの動作だけでは、前記低負荷運転領域において、十分な吸入空気量制御を行うことは出来ないため、以下の制御を同時に行う。吸気閉弁時期を実効圧縮比の下限値より決定される時期に保持しながら、図14に示すように排気閉弁時期を遅角させ、排気上死点後に排気閉弁させる。排気閉弁時期のみを遅角させるのは、排気開弁時期の遅角に伴う排気効率低下によるポンピングロス増加を回避するためである。このように、排気上死点後に排気閉弁させることによってプラスバルブオーバーラップ期間を発生させ、内部EGRを付加することによって、所望のトルクとなるように吸入空気量を制御する。図15に排気上死点後のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量との関係を示す。排気上死点後に排気閉弁させることにより、プラスオーバーラップ量の増加に伴って内部EGR量が増加する。図7に示すように、吸入空気量は、内部EGRの増加に伴って減少するため、プラスオーバーラップ量を制御することにより吸入空気量を制御可能である。また、図8に示すように内部EGR量の増加に伴い吸入空気温度が上昇するため、図9に示すように燃料気化速度が増加する。その結果、未燃HCの低減させることが出来、燃費の低減が可能となる。
【0029】
図16に上記のような制御を実現するためにコントロールユニット21内のマイクロコンピュータによって実行される制御フローを示す。ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、エンジン回転数及びアクセル開度を検出し、ステップ2では、アクセル開度から要求軸トルクを演算する。以上により、エンジン回転数と要求図示トルクから運転領域判別が可能となる。ステップ3では要求軸トルクより要求吸入空気量を演算する。ステップ4で、吸気弁7のみで吸入空気量制御を行った場合の吸気閉弁時期を算出し、ステップ5で所定の実効圧縮比の下限値以下を必要とする運転領域か否かを判定する。要求吸入空気量が所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域である場合、上記方法により吸入空気量を制御する。要求軸トルクが所定の実効圧縮比下限以下の値を必要とする運転領域ではない場合、吸気弁7による吸入空気量制御を行う。
【0030】
なお、本実施例で用いた吸気可変動弁機構11はカムリフト合成方式であっても構わない。排気可変動弁機構12は開弁及び閉弁時期が同期して可変するものであっても構わない。また、実効圧縮比の下限値の決定方法はエンジン回転数に対する図示トルクによるものであっても構わない。
【0031】
本発明が実施される上記各実施例の基本構成を纏めると以下の通りである。
【0032】
吸気弁のバルブタイミング及びリフト量を可変させることにより吸入空気量を制御する内燃機関の吸入空気量制御方法において、
該内燃機関の運転領域判別手段を備え、
前記運転領域判別手段により判別される該内燃機関の運転領域が部分負荷領域であるときに、吸気閉弁を吸気行程中に行うことを特徴とする様に構成した。
【0033】
さらに、運転領域により異なる実効圧縮比の下限値を持つように構成し、低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下の回避を可能とした。
【0034】
あわせて、内部EGRを投入することにより吸入空気量の制御を行う。これらの構成により、点火時期での筒内温度及び圧力を十分に上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避出来る。
【0035】
【発明の効果】
低負荷運転領域での実効圧縮比の過度の低下を回避し、点火時期での筒内温度及び圧力を上昇させることが可能となるため、燃焼効率の低下を回避でき、ノンスロットル運転による燃費向上効果を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のエンジンシステム図。
【図2】本発明の第1,第2及び第3実施形態の吸気可変動弁機構の機械的構成を示す構成図。
【図3】本発明の第1,第2及び第3実施形態のエンジン回転数及び要求軸トルクに対する実効圧縮比の下限値を示す図。
【図4】本発明の第1,第2及び第3実施形態の任意の運転条件における実効圧縮比と燃料消費率との関係を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図6】本発明の第1実施形態の排気開弁から排気上死点までのクランク角度に対する内部EGR量と吸入空気量との関係を示す図。
【図7】本発明の第1,第2及び第3実施形態の内部EGR量に対する吸入空気量の関係を示す図。
【図8】本発明の第1,第2及び第3実施形態の内部EGR量に対する吸入空気温度の関係を示す図。
【図9】本発明の第1,第2及び第3実施形態の吸入空気温度に対する燃料気化速度の関係を示す図。
【図10】本発明の第1実施形態を実現する制御フローを示す図。
【図11】本発明の第2実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図12】本発明の第2実施形態の排気上死点前のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量の関係を示す図。
【図13】本発明の第2実施形態を実現する制御フローを示す図。
【図14】本発明の第3実施形態のバルブタイミングを示す図。
【図15】本発明の第3実施形態の排気上死点後のプラスバルブオーバーラップ量に対する内部EGR量の関係を示す図。
【図16】本発明の第3実施形態を実現する制御フローを示す図。
【符号の説明】
1…エンジン、3…シリンダ、4…ピストン、5…シリンダヘッド、6…燃焼室、7…吸気弁、8…排気弁、9…燃料噴射弁、10…火花点火装置、11…吸気可変動弁機構、12…排気可変動弁機構、13…吸気ポート、14…排気ポート。
Claims (9)
- 吸気弁のバルブタイミング及びリフト量を可変させることにより吸入空気量を制御する内燃機関の吸入空気量制御方法において、
該内燃機関の運転領域判別手段を備え、
前記運転領域判別手段により判別される該内燃機関の運転領域が部分負荷領域であるときに、吸気弁の閉弁を吸気行程中に行うことを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項1に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
運転領域により異なる実効圧縮比の下限値を予め設定して記憶しておき、当該記憶した実効圧縮比の下限値に基づいて機関の運転パラメータを調整することを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項2に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の開閉タイミングの制御による吸入空気量制御と、内部EGR量の制御とを併用してトータル吸入空気量を制御することを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の閉弁タイミングを前記実効圧縮比の下限値によって決定される時期あるいはそれ以後になるよう調整すると共に、
吸入空気量が目標空気量となるように吸気弁の開弁タイミング及び排気弁の閉弁タイミングを排気上死点前になるよう調整すること、
を特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の閉弁タイミングを前記実効圧縮比の下限値より決定される時期あるいはそれ以後に行うよう調整すると共に、
吸入空気量が目標空気量となるように吸気弁の開弁タイミングを排気上死点前に行うよう調整し、
さらに、排気弁の閉弁タイミングを排気上死点後に行うよう調整すること、
を特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の閉弁タイミングを前記実効圧縮比の下限値より決定される時期あるいはそれ以後に行うよう調整すると共に、
吸入空気量が目標空気量となるように吸気弁の開弁タイミングを排気上死点後に行うよう調整し、
さらに、排気弁の閉弁タイミングを排気上死点前に行うよう調整すること、
を特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の閉弁タイミングを前記実効圧縮比の下限値によって決定される時期あるいはそれ以後になるよう調整すると共に、
吸入空気量が目標空気量となるように吸気弁の開弁タイミング及び排気弁の閉弁タイミングを排気上死点後になるよう調整すること、
を特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 請求項3に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の閉弁タイミングを前記実効圧縮比の下限値より決定される時期あるいはそれ以後に行うよう調整すると共に、
吸入空気量が目標空気量となるように吸気弁の開弁タイミングを排気上死点前に行うよう調整すること
を特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。 - 前記請求項2に記載の内燃機関の吸入空気量制御方法において、
吸気弁の開閉タイミングの制御による吸入空気量制御と、外部EGR量の制御とを併用してトータル吸入空気量を制御することを特徴とする内燃機関の吸入空気量制御方法。
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