JP2004011346A - 木製土留め体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土留めパネル1を構成する複数本のパネル組成材2は木材3と、該木材3の横貫通穴3Aに挿通した連結ロッド4とから構成してある。複数本のパネル組成材2、2、2をパネル状に連結する板状連結具6、6は連結ロッド4、4、4とナット5、5、5で締着してある。また3本のパネル組成材2の縦貫通穴には締結ロッド7が一体に挿通してナット8により締結してある。各パネル組成材2の端面には周方向に連結穴を有する環状連結具9が締着してあり、環状連結具9により土留めパネル1は直線方向や直角方向に連結する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜面や掘削地盤に設置する土留め体に関し、現場での設置作業が容易であるし、強度性にも優れている木製土留め体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、傾斜面の土留めに用いている木製土留め体を図12及び図13に示す。図12に示す土留め体51は、複数本の間伐材等の木材52、52、・・の長手方向に離間して径方向に一対のロッド挿通穴を穿設し、該各ロッド挿通穴に棒鋼53を一体に挿通して略パネル状に構成したものである。また、図13に示す土留め体56は、木材57の長手方向両端側に径方向の貫通穴を形成し、該貫通穴を同一軸芯状にして複数本の木材57の両端側を段違いに重ね、これら木材57、57、・・に棒鋼58を一体に挿通することにより枠体状に構成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したいずれの木製土留め体51(56)も、現場で丸太組作業を行うために日数がかかるという欠点がある。また、複数本の木材52(57)、52(57)、・・・を棒鋼53(58)で連結した構成であるため、木材52(57)が腐朽するのに伴って強度性がなくなり、棒鋼53(58)が分離して土留め体51(56)が崩壊してしまうという構造上の欠点がある。そして、木材52(57)は約4〜7年で腐朽が進行することから、草木が確実に定着する前に土留め体51、56が崩壊してしまうことになる。また、土留め体51(56)は腐朽により経年劣化して強度性が失われるという欠点があることから、設置場所も勾配の緩やかな場所に限定されるし、崩壊しても危険性がない場所に限られるという欠点がある。更に、経年劣化により崩壊するために、耐久性を維持するための維持管理費が嵩むという欠点がある。
【0004】
本発明は上述した従来技術の諸欠点に鑑みなされたもので、工場で予めパネル化してあると共に連結具は端面から突出した状態にあるので現場での組み付け作業が容易であるし、直線状にも屈折状にも連結することができるので地形に対応した形態に設置することができることから土留め効果に優れているし、強度性にも優れている木製土留め体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために構成された本発明の手段は、長手方向両端面から両端側を突出した状態で、長尺の木材に連結ロッドを挿通してなるパネル組成材と、前記連結ロッドを介して該パネル組成材の両端面に取着することにより、少なくとも一対のパネル組成材を連結して土留めパネルを構成する板状連結具と、前記連結ロッドを介してパネル組成材の両端側に着脱可能に取着され、前記土留めパネルを直線方向或は屈折方向に連結する環状連結具とからなる。
【0006】
そして、前記木材には長手方向に直交する方向に貫通穴を形成し、パネル状に列設した複数のパネル組成材の貫通穴に締結ロッドを一体に挿通する構成にするとよい。
【0007】
また、前記環状連結具は、円形、四角形又は三角形のいずれかの環状体に形成した環状基体と、該環状基体の周方向に離間して形成した連結穴とから構成するとよい。
【0008】
更に、前記環状連結具の連結穴の1以上は周方向に長軸の長穴に形成しておくとよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は木製土留め体Aを構成する土留めパネルである。2、2、2は該土留めパネル1を構成する3本のパネル組成材を示す。3は該各パネル組成材2を構成する間伐材等で形成した長尺の木材で、該木材3には後述する連結ロッド4が遊挿可能な穴径からなる横貫通穴3Aが略中心に位置して長手方向に穿設してあり、また長手方向に離間して前記横貫通穴3Aと直交する方向に一対の縦貫通穴3B、3Bが穿設してある。
【0010】
4は前記木材3より長尺に設定し、両端側にナット5を螺合する雄ねじ部4A、4Aを刻設した棒鋼からなる連結ロッドで、該連結ロッド4は雄ねじ部4A、4Aを木材3の端面3C、3Cから突出した状態で横貫通穴3Aに挿通してあり、パネル組成材2は木材3と連結ロッド4とから構成してある。
【0011】
6、6は上述の構成からなる3本のパネル組成材2、2、2を連結して土留めパネル1を形成するための一対の板状連結具で、該各板状連結具6は図4に示すように鋼板からなる板状基体6Aと、該板状基体6Aの長手方向に離間して形成され、前記連結ロッド4が挿通される3個の連結穴6B、6C、6Dとから構成してある。
【0012】
7、7は板状連結具6、6で連結した3本のパネル組成材2、2、2をパネル状に更に一体化するための一対の締結ロッドで、各締結ロッド7は両端側に雄ねじ部(図示せず。)を刻設した棒鋼からなっている。そして、各締結ロッド7はパネル状に列設した3本のパネル組成材2、2、2の縦貫通穴3B、3B、3Bに一体に挿通し、両端側の雄ねじ部にナット8を締着することにより、土留めパネル1の一体化を図っている。
【0013】
また、9、9は上述の如く形成した土留めパネル1を平面状に列設し、或は略L字状の屈折方向に連結するための環状連結具で、該各環状連結具9は図5に示すように、金属板を円形に形成した環状基体9Aと、該環状基体9Aに周方向に90度ずつ離間して十字方向に形成した4個の連結穴9B、9C、9D、9Eとから構成してある。そして、該各連結穴9B(9C、9D、9E)に連結ロッド4の雄ねじ部4Aを挿入してナット5を締着することにより、環状連結具9はパネル組成材2に着脱可能に取着してある。
【0014】
本実施の形態における土留めパネル1は上述の構成からなるが、次にその設置工法について説明する。土留めパネル1及び土留めパネル1を構成する各パネル組成材2は予め工場内で製作することにより作業全体の効率化を図ることができる。即ち、間伐材を切削して形成した角材の木材3に横貫通穴3A及び縦貫通穴3B、3Bを穿設し、連結ロッド4を横貫通穴3Aに挿通してパネル組成材2を構成する。そして、3本のパネル組成材2、2、2を列設し、各木材3の両端面3Cから突出する連結ロッド4の雄ねじ部4Aに板状連結具6を嵌合してナット5、5、5を締着することにより、パネル組成材2、2、2は板状連結具6、6によりパネル状に連結した形状になる。また、列設したパネル組成材2、2、2の一対の縦貫通穴3B、3B、3Bに締結ロッド7、7を挿通し、両端側にナット8、8を締着して縦横方向に締め付けることにより更に一体化して強度性に優れた土留めパネル1に構成することができる。
【0015】
上述の如くして形成した複数枚の土留めパネル1、1、・・は現場に搬送し、設置場所の地形に応じた形態に連結する。例えば、図1に示すように2枚の土留めパネル1、1を直線状に連結した木製土留め体Aを構成する場合は、環状連結具9、9、9の対向する連結穴9B、9Dに各パネル組成材2、2の連結ロッド4、4を挿入してナット5を締着することにより、複数枚の土留めパネル1を容易に連結することができる。
【0016】
また、図6に示すように四角形の上下が開放した枠体状の土留め体Bを構成する場合は、4枚の土留めパネル1、1、・・の四隅を環状連結具9、9、・・により連結すればよい。また、当該環状連結具9、9、9に他の土留め体A、Bを横方向及び/又は縦方向に連結してもよい。
【0017】
図7は木製土留め体A、Bの設置例を示し、直線状の形態に構成した木製土留め体A、Aは傾斜面Cの途中に略下半分を埋設した状態で設置してあり、枠体状土留め体Bは傾斜面Cの切削段部Dに設置してある。図8は枠体状土留め体B、Bを傾斜面Cに略下半分を埋設した状態で設置した例である。そして、枠体状土留め体Bの内部には土砂を投入し、草木を植設することにより緑化を図ることができる。このようにして、木製土留め体A、Bは傾斜地や切削地で土留め機能を果たすことができる。
【0018】
上述のように設置した木製土留め体A、Bは4年を経過すると木材3、3、・・は次第に腐朽し始めて各連結ロッド4及び締結ロッド7が部分的に露出した状態になるが、各連結ロッド4は板状連結具6によって、また環状連結具9によって互いに連結されており、締結ロッド7は傾斜面Cの土圧によって連結ロッド4側に押し付けられて格子状をなしているから、木製土留め体A、Bはその形態を保持して土留め機能を維持することができる。
【0019】
しかも、設置から約10年を経過して土砂も締まり草木も地盤に十分に定着するまでの間、各連結ロッド4は板状連結具6により、また環状連結具9により連結されて骨組みの形態を保持しているから土砂や草木が流出するのを防止することができる。
【0020】
なお、本実施の形態では連結ロッド4と締結ロッド7は十字状に重ねて配置したが、連結ロッドに太径のものを用いて径方向に挿通穴を穿設し、該挿通穴に締結ロッド7を挿通する構成にしてもよい。これにより、連結ロッドと締結ロッド7は係合した格子を構成するので、強度性を飛躍的に高くすることができる。
【0021】
また、図9は変形例に係る環状連結具11を示し、該環状連結具11は四角形に形成した帯板からなる環状基体11Aと、該環状基体11Aの4片に形成した連結穴11B、11C、11D、11Eとから構成してあり、円形の環状連結具9と同様に用いることができる。また、図10は三角形の環状連結具12で、該環状連結具12は三角形に形成した帯板からなる環状基体12Aと、該環状基体12Aの3片に形成した連結穴13B、12C、12Dとから構成してある。そして、これら円形、四角形及び三角形の環状連結具9、11、12を用いることにより、種々の形状の木製土留め体A、Bを構成することができる。
【0022】
更に、図11は他の変形例に係る環状連結具13を示し、該環状連結具13は円形に形成した帯板からなる環状基体13Aと、該環状基体13Aに周方向に離間して十字方向に形成した4個の連結穴13B、13C、13D、13Eとから構成し、かつ対向する一対の連結穴13C、13Eは周方向に長軸の長穴に形成したことを特徴とする。1以上の連結穴13B(13C、13D、13E)をこのように長穴に形成することにより、土留めパネル1、1、・・・を直線方向と直角方向だけでなく、長穴の長軸寸法に応じて例えば90〜120度の任意の範囲で傾斜した状態に連結することが可能であり、地形に応じた形態の木製土留め体A、Bに構成することができる。
【0023】
また、本実施の形態において、隣接する木材3、3の一方又は両方を切削することにより土留めパネル1に1以上の凹部を形成し、該凹部に草木の種子、肥料等を充填した植生基材袋を挟装する構成にしてもよい。また、パネル組成材2の木材3、3間に木片を介装して任意の幅の空隙を形成し、該空隙に植生基材袋を挟装したり、虫や鳥を棲息させるようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上詳述した如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)土留めパネルは工場で予め製造し、現場では連結する形態に応じて土留めパネルの端部に環状連結具を取着することにより、現場での連結作業を容易に、短時間で行なうことができる。
(2)土留めパネルは環状連結具で連結することにより直線状にも屈折状にも連結することができるように構成してあるから、地形に対応した形態に設置することが可能であって優れた土留め効果を発揮することができる。
(3)土留めパネルを構成する複数本の連結ロッドは板状連結具で連結された骨組み構造をなしているから、木材が腐朽しても形状を保持して土砂や草木の流出を確実に防止することができる。
(4)木製土留め体は複数本の連結ロッドを板状連結具及び環状連結具で連結した構成にすることにより強度性に優れているから、傾斜が厳しい場所にも設置することができるし、木材が腐朽し始めても強度性を維持しているから保守管理の面倒がなく維持費を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1乃至図11は本発明の実施の形態に係り、図1はパネル状土留め体の外観斜視図である。
【図2】パネル組成材を一部を破断にして示す斜視図である。
【図3】土留めパネルを一部を破断にして示す斜視図である。
【図4】板状連結具の斜視図である。
【図5】環状連結具の斜視図である。
【図6】枠体状土留め体の外観斜視図である。
【図7】パネル状土留め体と枠体状土留め体を傾斜地に設置した状態を示す説明図である。
【図8】枠体状土留め体を傾斜地に設置した状態を示す説明図である。
【図9】変形例に係る四角形の環状連結具の斜視図である。
【図10】変形例に係る三角形の環状連結具の斜視図である。
【図11】他の変形例に係る環状連結具の斜視図である。
【図12】図12及び図13は従来技術に係り、図12はパネル状に構成した土留め体の部分正面図である。
【図13】枠体状に構成した土留め体の部分正面図である。
【符号の説明】
2 パネル組成材
3 木材
3A 横貫通穴
3B 縦貫通穴
3C 端面
4 連結ロッド
6 板状連結具
7 締結ロッド
9、11、12、13 環状連結具
A、B 木製土留め体
Claims (4)
- 長手方向両端面から両端側を突出した状態で、長尺の木材に連結ロッドを挿通してなるパネル組成材と、前記連結ロッドを介して該パネル組成材の両端面に取着することにより、少なくとも一対のパネル組成材を連結して土留めパネルを構成する一対の板状連結具と、前記連結ロッドを介してパネル組成材の両端側に着脱可能に取着され、前記土留めパネルを直線方向或は屈折方向に連結する環状連結具とから構成してなる木製土留め体。
- 前記木材には長手方向に直交する方向に貫通穴を形成し、パネル状に列設した複数のパネル組成材の貫通穴に締結ロッドを一体に挿通することを特徴とする請求項1記載の木製土留め体。
- 前記環状連結具は、円形、四角形又は三角形のいずれかの環状体に形成した環状基体と、該環状基体の周方向に離間して形成した複数の連結穴とから構成してあることを特徴とする請求項1記載の木製土留め体。
- 前記複数の連結穴の1以上は周方向に長軸の長穴に形成してあることを特徴とする請求項3記載の木製土留め体。
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