JP2004010939A - 高Cr溶鋼の溶製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】含Cr溶鉄の溶製炉と脱炭精錬炉との間に配設され、溶湯の加熱機能を備えた溶湯保持炉に、前記含Cr溶鉄を一時的に保持し、前記脱炭精錬炉での精錬スケジュールに合わせて該溶湯保持炉から含Cr溶鉄を該脱炭精錬炉に出湯し、精錬する高Cr溶鋼の溶製方法において、前記溶湯保持炉内での含Cr溶鉄中のC濃度を3質量%以上にすると共に、その温度を該Cr溶鉄の液相線温度より50〜150℃高い温度に保持するようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶湯保持炉に保持した高Cr溶鉄を脱炭精錬炉でのステンレス鋼等の高Cr溶鋼の溶製要求に合わせて適時に供給し、効率的に高Cr溶鋼を溶製する方法に係わり、特に、前記溶湯保持炉での耐火物の溶損や前記脱炭精錬炉でのCrの酸化損失を防止できる高Cr溶鋼の溶製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ステンレス鋼に代表される高Cr鋼は、フェロ・クロム、鋼スクラップ(以下、単にスクラップ)あるいはCr鉱石を溶融還元する等して溶解し、含Cr溶鉄を得る溶製炉と、該含Cr溶鉄の脱炭精錬を行う脱炭精錬炉とを順次経て(これに引き続いて、必要に応じてさらに減圧下で仕上げ脱炭精錬を行う)、目標とする成分に調整した後、連続鋳造機等で鋼鋳片に鋳造することで製造されている。このような高Cr鋼の製造コストは、大部分がCr及びNi原料のコストで占められている。そのため、フェロクロム等の合金原料よりも安価なCr源及びNi源として、現在も多量のスクラップが使用されているが、製造コスト低減のためには、スクラップ使用量のさらなる増大が望まれる。しかし、スクラップ使用量を増大すると、前記含Cr溶鉄の溶製時間は、スクラップ溶解に必要な熱量を供給するため、昇熱時間が延長し、溶製時間の延長を招くという問題があった。
【0003】
また、高Cr溶鋼の溶製に際しては、Cr、Ni等の歩留りを高めることもコスト面で重要であり、少なくとも2ヒート以上の溶製で得た溶鋼(1ヒートの溶製で得た溶鋼は一つの取鍋へ出鋼する)を保持した取鍋を、連続鋳造機に順次送り、連続鋳造を停止することなく行うことが望ましい。このような連続鋳造機の操業を連々鋳と称するが、鋼鋳片の切捨て部分が低減し、前記歩留りが向上する。しかし、この連々鋳での取鍋交換のピッチに合わせるには、溶製時間の短縮が必要となるので、前記含Cr溶鉄の溶解炉でのスクラップ使用量は、制限される。
【0004】
このようなステンレス鋼の製造における相反する2つの要求(スクラップ使用量の増大及び歩留り向上)を解決する方法として、例えば、特開昭57−161020号公報に開示された技術が挙げられる。それは、フェロ・クロム、スクラップを溶解する転炉型反応容器(前記含Cr溶鉄の溶製炉に相当)と脱炭精錬炉との間に、加熱機能を有した溶湯保持炉を別途配置することで、スクラップ溶解量の確保と、連続鋳造での取鍋交換のピッチに合わせた脱炭精錬炉への含Cr溶鉄の供給とを同時に可能にするものである。そして、この特開昭57−161020号公報記載の技術では、別途設ける溶湯保持炉の耐火物の溶損を防止するため、該溶湯保持炉内で溶湯中Crの酸化を生じさせること、及び含Cr溶鉄の過熱量(スーパー・ヒートと称し、該溶鉄の実際の温度と液相線温度との差で代表させる)を50℃以内にすることを提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の実験によれば、溶湯保持炉内で溶湯中のCrを酸化させると、生成したCr酸化物がスラグ中に移行してスラグの融点が高まるので、スラグの耐火物に対する浸食性は低下するが、一方において、この高融点スラグが炉壁や出湯口、あるいは排滓口に付着して、炉の内容積を低下させたり、出湯や排滓を著しく妨げるという、操業上軽視すべからざる問題を引き起こすことが判明した。また、溶湯のスーパー・ヒートを50℃以内にすると、溶湯保持炉から取鍋に出湯し、次の工程である仕上げ脱炭精錬装置に到る過程で含Cr溶鉄の温度が低下し、仕上げ脱炭精錬装置で酸素を供給して脱炭する際に、Crの酸化損失が著しく多くなることもわかった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、含Cr溶鉄の溶製炉と脱炭精錬炉との間に加熱機能を備えた溶湯保持炉を設けても、該溶湯保持炉において過剰のCrの酸化を生じさせず、しかも炉壁耐火物の浸食を防止する一方で、脱炭精錬炉でのCrの酸化損失をも効果的に抑制可能な高Cr溶鋼の溶製方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0008】
すなわち、本発明は、含Cr溶鉄の溶製炉と脱炭精錬炉との間に配設され、溶湯の加熱機能を備えた溶湯保持炉に、前記含Cr溶鉄を一時的に保持し、前記脱炭精錬炉での精錬スケジュールに合わせて該溶湯保持炉から含Cr溶鉄を該脱炭精錬炉に出湯し、精錬する高Cr溶鋼の溶製方法において、前記溶湯保持炉内での含Cr溶鉄中のC濃度を3質量%以上にすると共に、その温度を該Cr溶鉄の液相線温度より50〜150℃高い温度に保持することを特徴とする高Cr溶鋼の溶製方法である。
【0009】
この場合、前記脱炭精錬炉を転炉型反応容器とするのが好ましく、あるいは前記脱炭精錬炉で精錬して得られた高Cr溶鋼を、さらに減圧機能を備えた精錬装置にて仕上げ脱炭精錬を行うと一層良い。
【0010】
本発明によれば、含Cr溶鉄の溶製炉と脱炭精錬炉との間に加熱機能を有する溶湯保持炉を設けても、該溶湯保持炉において過剰のCrの酸化を生じさせず、しかも炉壁耐火物の浸食を防止できるようになる。また、脱炭精錬炉でのCrの酸化損失をも効果的に抑制できる。その結果、高Cr溶鋼の溶製が従来より安価に行えるようになった。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
本発明者は、上記した従来技術において、溶湯保持炉内で含Cr溶鉄中のCrを酸化させないと、該溶湯保持炉の耐火物の浸食を防止できない理由について詳細に調査した。その結果、従来技術では、溶湯保持炉から出湯された含Cr溶鉄を直ちに仕上げ脱炭する精錬装置にて精錬するために、含Cr溶鉄の温度をかなり高くしなければならないことが明らかになった。
【0013】
すなわち、ステンレス鋼等の高Cr溶鋼を製造する仕上げ脱炭精錬装置は、上記した従来技術に具体的に記載されているAOD炉やVOD炉が一般的であるが、これらの仕上げ脱炭する精錬装置では、普通鋼の脱炭精錬に多用されている転炉等に比べて酸素供給速度が小さいので、脱炭されるべき含Cr溶鉄中のC濃度は1.0〜2.5質量%と、一般の溶銑(C:4.5質量%)や含Cr溶鉄(C:5〜7質量%)より低くしておく必要がある。このようなC濃度が低い含Cr溶鉄は、通常の溶銑や含Cr溶鉄に比べて液相線温度が高いので、溶湯保持炉内で含Cr溶鉄を凝固させないためには、保持する溶鉄の温度を高くしなければならない。さらに、脱炭精錬装置で脱炭された溶鋼が溶融状態でありうるためには、脱炭精錬前の含Cr溶鉄の有する温度に脱炭反応によって発生する熱による昇温量を加えた温度が溶鋼の融点以上でなければならない。しかるに、上記先行技術のように、含Cr溶鉄の炭素含有量が低い場合には、脱炭反応による昇熱量が少ない。したがって、脱炭精錬後の溶鋼が融点以上の温度であるためにも、溶湯保持炉から出湯される含Cr溶鉄の温度は高温であることが要求される。ところが、上記従来技術では、溶湯保持炉から出湯される含Cr溶鉄は、Cが1.2〜2.6質量%であり、温度は1590〜1620℃である。このような温度は、到底溶銑領域の温度ではなく、むしろ溶鋼の温度に近いので、溶湯保持炉の耐火物の損失が著しく大きくなるのである。
【0014】
一方、上記の従来技術では、溶湯保持炉内での含Cr溶鉄のスーパー・ヒートを50℃以内に保つことを提唱しているが、該溶湯保持炉から取鍋に出湯する際の温度降下を考慮すると、次工程である仕上げ脱炭を行う精錬装置に到着した際の含Cr溶鉄は、その液相線より10〜20℃程度しか余裕がないことになってしまう。そして、該含Cr溶鉄中のC濃度が1〜2〜2.6質量%と低いこともあって、仕上げ脱炭精錬初期の低温時にCrの酸化損失を著しく大きくする。一旦酸化生成した酸化クロム系のスラグは、極めて高融点であるため、炉壁等に固着したり、溶鉄浴面上で互いに固着しあって大きな塊状で存在する。そのため、脱炭精錬の進行に伴って溶鉄の温度が上昇しても、容易に溶鉄中のCで再還元されることがない。その結果、溶鋼中のCr歩留りが著しく低下してしまうのである。
【0015】
そこで、本発明では、溶湯保持炉内のC含有量を増大させて、溶湯の融点を降下させることで、溶湯保持炉の耐火物の受ける熱的負荷を軽減する。具体的には、C濃度を3質量%以上にする。このようにC濃度を高めると、含Cr溶鉄の液相線温度を著しく低下させることができるから、本発明での含クロム溶鉄では、そのスーパー・ヒートを高くしても、従来技術における溶湯保持炉内の含Cr溶鉄温度よりも低い温度に抑れるのである。具体的なスーパー・ヒートは50〜150℃の範囲である。液相線温度が1250℃程度である場合、含Cr溶鉄の温度は1300〜1400℃で良いので、従来技術よりも200〜300℃低くすることができる。なお、含Cr溶鉄のCr含有量は、ステンレス鋼や耐熱鋼を製造することを想定しているので、10〜40質量%とするのが適当である。
【0016】
一方、溶湯保持炉から出湯される含Cr溶鉄は、従来技術に比べて著しくC濃度が高いので、これをAODやVODのような仕上げ脱炭精錬装置で脱炭すると、精錬時間の長期化と、それに伴う耐火物の溶損を招くので、好ましくない。そこで、本発明では、脱炭精錬を転炉型反応容器にて行う。転炉型反応容器は、AODやVODよりも大きなフリーボード(溶湯浴面から容器上端までの空間の高さ)を有し、10倍近い速度で酸素ガスを供給可能な酸素吹込み手段を備えている。したがって、従来技術よりも著しく高いC濃度の含Cr溶鉄であっても、従来技術でC:1.5〜2.6質量%の含Cr溶鉄をAODで脱炭する場合の精錬時間約80分に対して、かなり短時間(40〜60分程度)で脱炭を完了することが可能となる。
【0017】
本発明で溶湯保持炉に装入する前の高Cr溶鉄を得る方法としては、アークや誘導溶解等の電気による加熱源、あるいは各種燃料を燃焼した火炎による加熱源を備えた炉を用い、Cr含有原料を鉄源と共に溶解する方法でも良いが、Cr鉱石、Cr含有スラグ、ダスト、スラジCr含有耐火物屑等を還元性雰囲気を利用して溶融還元するのがより好ましい。そのような溶融還元を可能にする炉としては、特公平02−40723号公報記載の竪型炉、あるいは特公平04−38806号公報記載の転炉型溶融還元炉等が好ましい。なお、本発明では、溶湯保持炉に装入する含Cr溶鉄は、1基の溶融還元炉にて溶製されたものだけでなく、複数の溶融還元炉にて溶製されたものを合わせ湯して溶湯保持炉に装入したり、溶湯保持炉において混合後に保持しても構わない。
【0018】
また、溶湯保持炉は、装入された含Cr溶鉄を、次工程の脱炭精錬炉に供給するまでの不定な期間、それを所定温度に保持したり、あるいは後述するように、当該溶湯保持炉内でスクラップ等を添加して溶解するため、溶湯の加熱機能を備えている必要がある。溶湯の加熱機能を備えた溶湯保持炉としては、従来より公知の混銑炉が代表として挙げられるが、熱効率や温度調整の容易さ並びに加熱の迅速性の観点から、前述の特開昭57−161020号公報において言及されている電気式加熱装置を有する溶湯保持炉が好ましい。そのような溶湯保持炉としては、特公昭50−25666号公報に開示された溝型誘導加熱手段を設けた溶湯保持炉が特に適する。
【0019】
溶湯保持炉においては、安価な鉄源、Cr源あるいはNi源としてスクラップ、特にステンレス鋼のスクラップを添加して溶解することが好ましい。なお、スクラップの添加量は、前工程からの含Cr溶鉄の供給能力と溶湯保持炉の加熱能力とを勘案して、特に次工程での精錬スケジュールを阻害しないように定めることが必要である。これは、本発明では、連続鋳造機の操業に合わせて定められた脱炭精錬炉の精錬スケジュールが、含Cr溶鉄の溶解炉の能力によって阻害されないようにすることを目的としているからである。
【0020】
脱炭精錬炉は、前述したとおり、転炉型反応容器とする。その転炉型反応容器としては、上吹き転炉、底吹き転炉、あるいは上底吹き転炉があるが、溶鉄中のCrの酸化損失を防止する観点から、スラグと溶鉄とを強攪拌できる底吹き転炉や上底吹き転炉の利用が好ましい。また、脱炭精錬末期の低炭素領域においてもCrよりもCの酸化を優先させるために、酸素ガス中に窒素やアルゴン等の希釈ガスを供給する手段を備えていることが一層好ましい。
【0021】
また、このような転炉型反応容器での脱炭精錬の後に、さらに仕上げ脱炭を行う場合は、減圧下あるいは調整された雰囲気下で脱炭が行える装置として、従来より公知のVODやRH真空脱ガス槽等が好ましく利用できる。
【0022】
次に、本発明に係る高Cr溶鋼の溶製方法のプロセス・フロー例を図を参照して説明する。図1は、高炉にて製造された溶銑とCr鉱石及び石炭等の還元材を用いて溶融還元する転炉型溶融還元炉によって含Cr溶鉄を溶製し、これによって得られた含Cr溶鉄を溶湯保持炉に保持し、次工程である脱炭精錬炉での精錬スケジュールに応じて、該溶湯保持炉から脱炭精錬炉に含Cr溶鉄を供給する例である。この例では、脱炭精錬は、一次的な脱炭精錬を行う転炉と、さらに得られた含Cr溶鋼を仕上げ脱炭(二次脱炭精錬)するVODから成り立っている。これらの脱炭精錬において脱炭精錬と所定の成分への調整を済ませた高Cr溶鋼は、連続鋳造機において鋳造され、スラブやブルーム等の鋼鋳片とされる。
【0023】
また、溶湯保持炉では、安価なスクラップを装入して溶解することもできる。溶湯保持炉におけるスクラップの溶解は、安価な原料の使用によるコストの削減の他、溶融還元炉からの含Cr溶鉄の供給速度が不足する場合の補完手段としての機能も発揮する。
【0024】
図2に示す例は、含Cr溶鉄を溶製する溶融還元炉として、上記した図1の例の転炉型溶融還元炉に加えて、Cr含有スラグ、Cr含有ダスト、Cr含有スラジ等をコークス等の固体還元剤で還元する竪型炉式溶融還元炉を併設した例である。高Cr鋼の製造を行う製鋼工場、並びにその下工程では、種々のCr含有廃棄物やCr含有副産物が発生する。それらのうち、スクラップは、溶湯保持炉や脱炭精錬炉で溶解することができるが、Cr含有スラグ、Cr含有ダスト、Cr含有スラジ、Cr含有耐火物屑等は、Crが酸化しており、還元工程を経なければ、高Cr溶鋼の原料に再生できない。そこで、このような物質は、溶融還元炉に装入して含Cr溶鉄を製造する。また、これらの物質は、転炉型溶融還元炉において還元しても良いが、転炉型溶融還元炉の操業を阻害しないため、図2に示す例のように、専用の竪型炉式溶融還元炉を設けることがより好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、本発明に係る好適範囲を外れた比較例(比較例1〜3)と対比して説明する。
【0026】
本発明の実施例(以下、本発明例と呼ぶ)は、前述の図2に示した工程によった。転炉型溶融還元炉は、炉容量185tonで、上吹き酸素ランスと、底吹き酸素羽口とを備えた上底吹き転炉形式の炉である。また、Cr含有スラグやダスト、スラジ等を溶融還元製錬する竪型溶融還元炉を併設している。溶湯保持炉は、容量1000tonで、溝型誘導加熱手段を備えている。脱炭精錬炉は、炉容量185tonの上底吹き式転炉であり、二次脱炭する精錬装置としては、容量180tonの取鍋内溶鋼を精錬できるVODである。
【0027】
比較例1は、前記の従来例(特開昭57−161020号公報)を模し、溶湯保持炉中の含Cr溶鉄のC濃度を2.5質量%とし、スーパー・ヒートを50℃以下にして操業したものである。また、比較例1及び2は、従来例で提唱されるように、溶湯保持炉内を酸化雰囲気として積極的に含Cr溶鉄中のCrを酸化させ、耐火物の溶損防止を図った。
【0028】
本発明例、比較例1〜3の溶湯保持炉中の含Cr溶鉄のC濃度、スーパー・ヒート、溶湯保持炉での耐火物の溶損量、脱炭精錬炉での耐火物の溶損量、脱炭精錬炉でのCrの酸化損失量を対比し、表1に一括して示す。なお、本発明例、比較例とも、脱炭精錬炉では、100ヒートを連続的に操業して調査を行った。
【0029】
【表1】
【0030】
表1で下線を付した数値は、本発明の範囲を外れていることを示す。また、溶湯保持炉での耐火物の溶損量は、溝型誘導加熱手段と溶湯保持炉本体との接合部での耐火物溶損量(mm)を測定し、本発明の場合を基準に相対化した値である。脱炭精錬炉における耐火物溶損量は、スラグ・ラインの耐火物溶損量(mm)を測定し、本発明の場合を基準に相対化した値である。Crの酸化損失量は、本発明例の脱炭精錬炉でのCrの酸化損失量を基準として相対化した値である。
【0031】
表1によれば、比較例1,2では、溶湯保持炉内を酸化雰囲気としたため、溶湯の耐火物溶損は防止できたが、脱炭精錬炉でのCrの酸化損失が大きいことが明らかである。また、溶湯保持炉の内部にCr酸化物からなる固体のスラグが分厚く付着し、50ヒートを超えると、溶湯の装入及び出湯、並びにスラグの排出に困難をきたした。さらに、比較例3では、溶湯保持炉内での含Cr溶鉄の温度が高過ぎるために、溶湯保持炉、脱炭精錬炉とも耐火物の溶損が大きかった。一方、本発明例では、溶湯保持炉、脱炭精錬炉とも、耐火物の溶損が少なく、また脱炭精錬炉でのCrの酸化損失も小さくなっている。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、高Cr溶鋼を溶製するに際して、溶湯保持炉において過剰のCrの酸化損失を生じさせず、しかも溶湯保持炉の耐火物の浸食を防止した操業が可能になる。また、脱炭精錬炉でのCrの酸化損失をも低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高Cr鋼の溶製方法の一例を示すフロー図である。
【図2】本発明に係る高Cr鋼の溶製方法の別例を示すフロー図である。
Claims (3)
- 含Cr溶鉄の溶製炉と脱炭精錬炉との間に配設され、溶湯の加熱機能を備えた溶湯保持炉に、前記含Cr溶鉄を一時的に保持し、前記脱炭精錬炉での精錬スケジュールに合わせて該溶湯保持炉から含Cr溶鉄を該脱炭精錬炉に出湯し、精錬する高Cr溶鋼の溶製方法において、
前記溶湯保持炉内での含Cr溶鉄中のC濃度を3質量%以上にすると共に、その温度を該Cr溶鉄の液相線温度より50〜150℃高い温度に保持することを特徴とする高Cr溶鋼の溶製方法。 - 前記脱炭精錬炉を転炉型反応容器とすることを特徴とする請求項1記載の高Cr溶鋼の溶製方法。
- 前記脱炭精錬炉で精錬して得られた高Cr溶鋼を、さらに減圧機能を備えた精錬装置にて仕上げ脱炭精錬を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の高Cr溶鋼の溶製方法。
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