JP2004009830A - 衝突形態判定装置 - Google Patents

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Yujiro Miyata
宮田 裕次郎
Noribumi Iyoda
伊豫田 紀文
Masuji Oshima
大嶋 満寿治
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Abstract

【課題】車両衝突で生じる減速度ピークを精度良く検出し、このときに対称性の衝突か、非対称性の衝突かを判定する衝突形態判定装置を提供する。
【解決手段】車両前部の左側及び右側の各々に配設され、該車両前後方向における左及び右側での減速度を所定の周期で検出する左・右減速度検出手段24、26と、前記左右各々の減速度を時間で積分処理して左及び右の減速度積分値を算出する減速度積分値算出手段32と、前記左及び右減速度各々のピークを検出するピーク検出手段34と、前記ピーク検出手段34が前記左又は右減速度のピークを検出した時に、前記左と右との減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う対称性判定手段36とを含んでいる。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両が衝突したときの減速度のピークを正確に検出し、衝突の形態を判定する装置に関する。より詳しくは、車両前部左右に各々配設したフロントセンサから出力される減速度を用いて、車両の衝突形態が対称的であるか、非対称的であるかを判定する衝突形態判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されるエアバッグ装置等の乗員保護装置は、車両に搭載された減速度計等により検出される減速度の時間的変化に基づいて、例えばエアバッグ装置の起動タイミグの調整やインフレータの展開出力の調整が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の衝突形態としては図1に示すように、車両10の前部全面が衝突対象物と衝突する正突(A)のような左右対称型の衝突と、車両の前面が衝突対象物に斜めに衝突する斜突(B)や車両の正面の片側で衝突対象物と衝突するオフセット衝突(C)のような非対称型の衝突がある。また、このオフセット衝突(C)には、さらに衝突対象物が固いORB(offset rigid barrier)の場合と、衝突対象物が比較的軟らかいODB(offset deformable barrier)の場合とがある。
【0004】
車両衝突の際における乗員の移動方向や移動量、移動のタイミング等は、衝突の対称・非対称によって異なる。よって、単に車両に生じる減速度の時間的変化に基づいて、乗員保護装置を適切に駆動させることには限界がある。また、衝突の初期から乗員保護装置をより的確なタイミングで駆動させるためには車両の衝突形態が対称であるか、否かを知ることができれば、これを乗員の保護に活用できる。
【0005】
車両の衝突形態を判別する装置の1つとして、例えば出願人は車両の前方左右に配置された2つの減速度センサ(フロントセンサ)及び車両本体中央側に配置される減速度センサ(フロアセンサ)により検出される減速度に基づいて、車両に加わる衝撃に応じてエアバック装置の点火判定時期やエアバックの出力状態を制御して乗員保護を確実に行うようにした装置を提案している(特開平11−286257号公報及び特開2000−219098号公報)。
【0006】
上記のような乗員保護装置を備える車両であれば、車両の衝突形態を考慮して乗員を確実に保護できる。
【0007】
ところで、車両の衝突時において、乗員保護をより確実に実行するといった観点から、衝突初期を確実に検出し車両の衝突形態を判定できれば乗員保護装置を精度良く起動させることができる。さらに、車両の衝突衝突形態を検出するために実行する処理は、簡易化されていることが望ましい。
【0008】
本発明は、車両衝突の初期において生じる衝突のピークを精度良く検出し、このときに対称性の衝突か、非対称性の衝突かを判定する衝突形態判定装置を提供することを目的とする。また、衝突のピーク時刻を簡易に検出し、処理の軽減を図った衝突形態判定装置も提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載の如く、車両前部の左側及び右側の各々に配設され、該車両の前後方向において左及び右側での減速度を所定の周期で検出する左・右減速度検出手段と、
前記左右各々の減速度を時間で積分処理して左及び右の減速度積分値を算出する減速度積分値算出手段と、
前記左及び右減速度各々のピークを検出するピーク検出手段と、
前記ピーク検出手段が前記左又は右減速度のピークを検出した時に、前記左と右との減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う対称性判定手段とを含む衝突形態判定装置により達成される。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ピーク検出手段が左及び右減速度各々のピークを検出し、このときに対称性判定手段が前記左と右との減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を実行する。よって、車両が衝突した初期を正確に確認しながら衝突の対称性を精度良く判定できる。
【0011】
また、請求項2に記載の如く、請求項1に記載の衝突形態判定装置において、前記対称性判定手段は、前記左と右の減速度積分値の比又は差を用いて、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行うようにしてもよい。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差を用いるので、分離精度良く車両の衝突形態対称性を判断できる。特に、差を用いる場合には計算処理に伴う負荷を軽減できる。
【0013】
また、請求項3に記載の如く、請求項2に記載の衝突形態判定装置において、前記対称性判定手段は、予め設定した基準値SVと、前記左と右の減速度積分値の比又は差との比較により、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を実行するように構成してもよい。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差と予め設定した基準値SVとを比較するだけであるので、衝突の対称性を簡易に判断できる。なお、この基準値SVは車両毎に衝突試験、シミュレーション等を行って予め設定しておくことが望ましい。
【0015】
また、請求項4に記載の如く、請求項1から3のいずれかに記載の衝突形態判定装置において、前記ピーク検出手段は、前記左・右速度検出手段により検出された左及び右車両減速度の波形に、ウェーブレット変換処理を施して得たウェーブレット位相が、初めてπを越えた後、ゼロとなる又はπを下回る値を示したことに基づいて前記波形のピークを検出するように構成してもよい。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、左及び右車両減速度波形のピークを精度良く検出できるので、車両が衝突した初期を正確に検知できる。
【0017】
また、上記目的は、請求項5に記載の如く、車両内の所定位置に配設され、該車両の前後方向において車両減速度を所定の周期で検出する第1減速度検出手段と、
前記第1減速度検出手段より前側で前記車両の左側及び右側の各々に配設され、該車両の前後方向において左及び右側での減速度を所定の周期で検出する第2減速度検出手段と、
前記左右各々の減速度を時間で積分処理して左及び右の減速度積分値を算出する減速度積分値算出手段と、
前記第1減速度検出手段が検出する前記車両減速度が、閾値CTHを越てから、予め規定した時間αを経過したときに、前記左と右との前記減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う対称性判定手段とを含む衝突形態判定装置によっても達成できる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、第1減速度検出手段が検出する前記車両減速度から左及び右側の減速度のピークを簡便に推定し、前記左と右との前記減速度積分値に基づいて衝突対称性を判断するので、判定に伴う処理を軽減できる。
【0019】
請求項6に記載の如く、請求項5に記載の衝突形態判定装置において、前記減速度積分値算出手段は、前記車両減速度が前記閾値CTHを越えた時刻tから予め規定した時間βを遡り、かつ該時刻tから前記時間αが経過するまでの区間[−β、α]を積分区間として、前記左及び右の減速度積分値を算出するように構成してもよい。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、予め定めた区間の積分処理を行うだけで、衝突した車両の対称性を簡易に判断できる。
【0021】
なお、上記時間αは衝突側となった左又は右の減速度がピークとなる時刻を推定して予め設定しておく。また、上記βは衝突側となった左又は右の減速度が所定の閾値FTHを越えた時刻を推定して予め設定しておく。これらの時間α、βは車両毎に予め設定するものである。車両毎に衝突試験、シミュレーション等を行ってデータを取得して、最適な時間α、βを特定しておくことが望ましい。
【0022】
請求項7に記載の如く、請求項5又は6に記載の衝突形態判定装置において、前記対称性判定手段は、前記左と右の減速度積分値の比又は差を用いて、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行うようにしてもよい。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差を用いるので、分離精度良く車両の衝突形態対称性を判断できる。特に、差を用いる場合には前述の発明と同様に計算処理に伴う負荷を軽減できる。
【0024】
また、請求項8に記載の如く、請求項7に記載の衝突形態判定装置において、前記対称性判定手段は、予め設定した基準値SVと、前記左と右の減速度積分値の比又は差との比較により、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行なうように構成してもよい。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差と予め設定した基準値SVと比較することで衝突の対称性を簡易に判断できる。
【0026】
また、請求項9に記載の如く、請求項1から8のいずれかに記載の衝突形態判定装置を前処理装置として含にでいる乗員保護装置であれば、車両の衝突形態にまで配慮して乗員を適切に保護できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0028】
なお、以下においては2種類の実施例を示す。第1実施例では左及び右フロントセンサからの出力を用いて、衝突のピークを検出すると共に衝突の対称性も判定する衝突形態判定装置を示す。
【0029】
また、第2実施例ではフロアセンサの出力に基づいて衝突のピークを推定し、左右フロントセンサからの出力を用いて衝突の対称性を判定する衝突形態判定装置を示す。この第2実施例の場合には、フロアセンサが第1減速度検出手段、左右のフロントセンサが第2減速度検出手段となる。
【0030】
上記複数のセンサは、車両に配設される場所は異なっているが、車両の前後方向における減速度を検出するという機能点では同様である。ここでは、説明の理解を容易とするために、車両本体側に配設されるフロアセンサで検出する減速度を車両減速度、左のフロントセンサで検出される減速度を左減速度、右のフロントセンサで検出される減速度を右減速度、と呼ぶことで両者を区別する場合がある。
【0031】
また、第2実施例で示す衝突形態判定装置の構成が第1実施例で示す衝突形態判定装置と同様である場合には、同一の符号を付すことで重複する説明は省略することとする。
【0032】
(第1実施例)
図2は、第1実施例の衝突形態判定装置20のハード構成概略を示した図である。図3は同衝突形態判定装置20が車両10に搭載されたときの様子を例示する図である。また、図4は同衝突形態判定装置20の概略構成を機能ブロックで示す図である。
【0033】
本実施例の衝突形態判定装置20は、図2及び図3に示すように、車両10の前部左右に取付けられ前後方向における左(L)及び右(R)減速度(以下、フロントLG、RGと称す)を検出する左右フロントセンサ24、26とを備えている。左右フロントセンサ24、26は例えば車両10左右のサイドメンバの前方(クラッシュゾーン)に各々取付けられている。これらのセンサには電子センサを用いることが望ましい。
【0034】
衝突形態判定装置20は、図2に示すように、フロントLG及びフロントRGに基づいて車両10の衝突形態を判別するマイクロコンピュータ40を含んでいる。マイクロコンピュータ40はCPU42を中心として構成されており、所定の処理プログラムを記憶しているROM44と、一時的にデータの記憶をするRAM46と入出力回路(I/O)48を備えている。
【0035】
また、図3に示すように、本実施では左及び右フロントセンサ24、26それぞれからの減速度信号は、配線25、27を介してマイクロコンピュータ40側に入力されるようになっている。よって、左及び右フロントセンサ24、26側で検出された減速度の検出データはマイクロコンピュータ40側で一括して処理される構成である。このように、マイクロコンピュータ40側で一括処理することは、左及び右フロントセンサ24、26側で予め処理したデータを送信する場合と比較して高度なデータ処理が可能となるので好ましい。
【0036】
上記マイクロコンピュータ40のCPU42は、例えば車両のイグニッションスイッチ(IGスイッチ)がオンされた以降、或いはアクセルペダルの踏込みがあった以降等を開始時期とし、これ以後継続的に所定の周期的(例えば2KHz)で、左右フロントセンサ24、26で検出されるフロントLG、RGを監視でするように設定されている。
【0037】
上記CPU42は、左及び右フロントセンサ24、26により検出される左右の減速度、すなわちフロントLG及びフロントRGを用いて前記車両10が衝突状態となったことを検出すると共に、正突等の対称衝突であるか、又は非対称衝突であるかを判定する衝突形態判定部30を実現する。このCPU42が有する構成は、図4に示した衝突形態判定装置20の機能ブロック図により明らかにされている。
【0038】
図4において、左右フロントセンサ24、26により検出されるフロントLG、RGは、信号入力部28を介して衝突形態判定部30へ供給される。この衝突形態判定部30は、フロントLG、RG各々の減速度波形のピークを検出するピーク検出部34及びフロントLG、RGを時間により積分して各々の減速度積分値を算出する積分値算出部32を含んでいる。さらに、衝突形態判定部30は、上記ピーク検出部34でフロントLG、RGの減速度波形のいずれか一方(衝突側)のピークが検出されたときに、上記積分値算出部32で算出している減速度積分値に基づいて衝突の対称性を判定する対称性判定部36を備えている。
【0039】
上記ピーク検出部34は、後述するウェーブレット変換処理を用いてフロントLG、RG波形のピークを検出する。このピークを確認することで車両10が衝突の初期状態となったことが精度良く確認できる。このピーク検出部34が検出したピーク検出信号は対称性判定部36へ供給される。
【0040】
上記積分値算出部32は、フロントLG、RGのいずれか一方が所定の閾値FTHを越えた以後、継続的にフロントLG、RGを時間により積分して、対称性判定部36へ供給する。
【0041】
前記対称性判定部36は、積分値算出部32からの減速度積分値LV(t)、RV(t)を用い、その比或いは差を用いて車両10の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う。
【0042】
以下、更に図4に示した衝突形態判定装置20についてより詳細に説明するが、その前に図5に基づいて本実施例において車両が衝突状態となったか、また対称性衝突したのか、非対称衝突したのかを検出するために用いる手法について説明する。なお、図5で示すのは車両の左(L)側が衝突した場合である。
【0043】
図5は、フロントLG及びフロントRG波形の一例を示した図である。図5では(A)に左フロントセンサ24により検出されるフロントLG、(B)に右フロントセンサ26により検出されるフロントRG波形の一例を示している。
【0044】
車両10の前部左右に配設されている左右フロントセンサ24、26は、車両衝突時において早期に衝撃を受けるので、車両の衝突を確実に検出できる。特に、衝突側となったフロントLG又はフロントRGの波形がピークとなった時に対称性の判断を実行すると、衝突対称性の精度良い判定を行なえる。
【0045】
図5の場合は、左側が衝突する非対称性の衝突を例示しており、左フロントセンサ24からの減速度波形がピークとなる時刻Tに対称性を判断すると、精度良い衝突形態判定が実行できる。
【0046】
本衝突形態判定装置20は、フロントLG及びフロントRGを用いて車両の衝突を正確に検出する機能を備えている。特に、車両の衝突を早期かつ確実に検出して乗員保護を図る観点から、フロントLG及びフロントRG波形のピークを確認することで車両の衝突を検出する。このピークは車両の衝突初期に検出されるものであり、このときの車体は殆ど破壊されていない状態である。よって、このような時点で車両の衝突を検出し、乗員保護装置を起動させることができれば確実な乗員保護が実現できることになる。
【0047】
本実施例では、図4に示した信号入力部28を介して供給されるフロントLG及びフロントRGの検出信号に、前記ピーク検出部34でウェーブレット(Wavelet)変換処理を施し、そのピーク時刻Tを確実に検出している。ここで、ピーク検出部34でのウェーブレット変換処理を用いたピーク検出法について、図6及び図7を用いて説明する。
【0048】
ウェーブレット変換は、フーリエ変換が定常な正弦波の重ね合わせとして時系列信号を表すのに対し、時間的に局在した波(ウェーブレット)の重ね合わせとして表現する方法であり、非定常信号のスペクトル解析、音声認識・合成、画像の情報圧縮、ノイズ除去、異常の検出等の様々な分野で近年広く応用されているデータ変換方法である。
【0049】
上記ピーク検出部34では、入力された信号に対して積分の基底として所定の複素関数を用いて積和演算し、ウェーブレット変換値の実数部Rと虚数部Iとに基づいてその大きさの位相θを演算する。この演算された位相θに基づいて第1極大値の時刻を検出する。以下、ピーク検出部34におけるウェーブレット変換法を用いたピーク検出原理について簡単に説明する。
【0050】
時系列信号X(t)のウェーブレット変換係数(a,b)は、時間的にも周波数的にも局在した基本ウェーブレット関数ψ(t)を用意し、これを次式(1)に示すようにa倍スケール変換した後に原点bだけシフト変換(平行移動)して得られる相似関数の組ψa,b(t)を基底関数とする式(2)に例示する展開をする。なお、スケール変換パラメータaは、変換周波数fに対して逆関数に比例する関係を有している。
【0051】
ψa,b(t) = a ψ((t−b)/a)……(1)
X(a,b) = X(t)ψa,b(t)  ……(2)
本実施例では、基本ウェーブレット関数ψ(t)として、実数部Rに対して虚数Iがπ/2だけ位相がずれた複素関数として次式(3)に示すGabor関数を用いている。ここで、式(3)中のωは周波数fによって定まる定数(ω=2πf)であり、αも定数である。
ψ(t)=exp(−αt+iωt)
=exp(−αt)・(cos(ωt)+isin(ωt))…(3)
式(3)において、α=πとしたときのGabor関数の時間軸上の表現を図6に示す。図示するように、Gabor関数は、時間軸上の−T〜Tの範囲に局在しており、実数部と虚数部の波形の位相がπ/2だけずれている。時系列信号X(t)に対するウェーブレット変換は、具体的には、スケール変換パラメータa(式(3)中ではω)を適当に選択した関数と時系列信号X(t)との積和演算となる。演算の区間としては、波形が局在している範囲(図6中−T〜Tの範囲)である。この範囲はウインドウと称される。
【0052】
時系列信号X(t)のGabor関数によるウェーブレット変換X(a,b)は、Gabor関数が複素関数であることから複素数になる。図7にウェーブレット変換X(a,b)の実数部Rと虚数部Iと大きさPと位相θとの関係を示す。大きさPは次式(4)により算出され、位相θは式(5)により求められる。ここで、大きさPは、ウェーブレット変換X(a,b)の便宜的な大きさを意味し、無次元量である。また、位相θは実数部Rと虚数部Iの大きさと符号とにより0〜2πの範囲となる。
【0053】
P=√(R+I)  ……(4)
θ=tan−1(I/R)…(5)
時系列信号X(t)の周波数に近い変換周波数fの位相θ(t)では、時系列信号X(t)の振幅が極大(ピーク)となる時刻に2πからゼロに変化し、極小(ボトム)となる時刻にπとなる。
【0054】
本実施例のピーク検出部34は、最初に現われるピーク(極大値)の時刻Tを検出し、これを衝突形態判定において車両衝突があったとの確認に用いる。さらに、πが現われる第1ボトム(第1極小値)の時刻まで待てば、ピークが出現したことをより確実に確認できる。
【0055】
すなわち、位相θが最初にπを越え、続いてπを下回ったことを確認することで、位相θが2πからゼロに転じたとして、ピークとなった時刻Tを間接的に知る。そして、この後に続く位相θがπとなる時刻にボトムが現われるのである。
【0056】
なお、上記ウェーブレット変換による処理はマイクロコンピュータ40に対して大きな負荷とならないように実行することが好ましい。そこで、本実施例では例えばウェーブレット関数∫φ(t)X(t)dtを次式(6)のように簡略した形とし、処理の簡素化を図っている。この式(6)の前半は実数部であり、後半が虚数部である。
Figure 2004009830
本実施例では、図5で衝突側となったフロントLG又はフロントRGが所定の閾値FTHを越えた時刻から、前述した積分値算出部32が左右フロントLG、RGの減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出する演算を開始する。そして、上記衝突形態判定部30は、上記ピーク検出部34が衝突側となったフロントLG又はフロントRGのピークを検出したとき(時刻T)に、右左の減速度積分値LV(t)、RV(t)の左右比或いは左右差を用いて車両の対称性を判定するのである。
【0057】
さらに、本衝突形態判定装置20のCPU42が実行する衝突形態判定ルーチンの一例を示す。図8はCPU42が実行するルーチンの一例を示したフローチャ−トである。
【0058】
CPU42はフロントLG又はRGのいずれか一方が所定の閾値FTHを越たことを確認すると(S100)、ピーク検出部34でフロントLG及びフロントRGのウェーブレット変換処理を開始する(S102)。さらに、CPU42は積分値算出部32で継続的にフロントLG及びRGの減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出させる(S104)。この左右の減速度積分値LV(t)、RV(t)は対称性判定部36に継続的に供給される。
【0059】
そして、対称性判定部36はピーク検出手段34からピーク検出信号を受けたときに(S106)、減速度積分値LV(t)、RV(t)に基づいて衝突の対称性・非対称性の判定を実行する。
【0060】
ここで、まず、対称性判定部36は、左減速度積分値LV(t)と右減速度積分値RV(t)との大小比較を行い、大きい値の方を分母として両者の比である左右比R(0から1)を算出する。(S108〜S112)。
【0061】
上記左右比Rは、一般に正突等の対称性がある衝突形態の場合には1に近い値となり、オフセット衝突のように非対称性衝突の場合には0に近い値となる。
【0062】
対称性判定部36は、予め設定されている基準値SV(例えば0.5)を用い、算出された左右比Rと比較する(S114)。
【0063】
上記左右比Rが、基準値SVより大きい場合は対称性衝突(S116)との判定を実行して本ルーチンの処理を終了する。その逆に、上記左右比Rが基準値SVより小さい場合には非対称性衝突との判定を実行して本ルーチンの処理を終了する。
【0064】
なお、上記所定の基準値SVは車両毎に衝突試験、シミュレーション等を行った結果に基づいて予め衝突形態判定装置20内のROM44等に格納しておけばよい。そして、対称性判定部36が対称性の判断を実行する際に、この基準値SVを参照できるように設定しておけばよい。
【0065】
また、図8で示した例では左右比Rを例に示したが、左右差を用いても同様に判定することができる。差を用いる場合は、除算処理を行わないのでマイクロコンピュータ40への負荷を軽減できる。
【0066】
以上のように、本第1実施例の衝突形態判定装置20では、ピーク検出部34が検出したピーク信号及び積分値算出部32が算出した減速度積分値を用いて、対称性判定部36が精度良く車両の衝突対称性を判定する。よって、本衝突形態判定装置20によると、車両衝突の初期において、車両の衝突形態が対称的である、非対称的であるかを正確に判定できる。
【0067】
上記のような衝突形態判定装置20を、エアバック装置等の乗員保護装置の起動判定に用いれば乗員保護に極めて有効である。
【0068】
そこで、上記衝突形態判定装置20を乗員保護装置としてのエアバック装置に適用した場合の例をさらに説明する。図9はエアバック装置の概要構成を示す図である。なお、図4において説明した前記衝突形態判定装置20の部位と同一の部位には同一符号を用い、マイクロコンピュータ40がエアバック装置全体の制御まで実行するように設定されている。
【0069】
図9に示すエアバック装置50では、エアバック52とこのエアバック52にガスを供給する2個のインフレータ54、54と、図示しないガス発生剤に点火する点火装置56、56と、前記マイクロコンピュータ40からの起動信号に基づいて点火装置56に通電して点火する駆動回路58、58とを備える。ここで2個のインフレータ54を備えるのは、これらを同時に作動させてエアバック52を高速で展開させる高出力の場合と、これらを時間差をもって展開する低出力の場合があるからある。高出力とするか、低出力とするかは車両の衝突形態に応じて決定される。
【0070】
本エアバック装置50は乗員保護の緊急度を判定するシビアリティ判定部51を備えている。このシビアリティ判定部51は、一般に車両が非対称衝突したときに乗員保護の緊急度が高いので、衝突側のフロントセンサの減速度(LG又はRG)を参照して乗員保護の緊急度を判定する。このシビアリティ判定部51により、車両が非対称衝突状態であり乗員保護の緊急度が高いとされた場合には、高出力でエアバック52を高速で展開させる。
【0071】
図9においては、前記衝突形態判定装置20はエアバック装置50を適切に駆動させるための前処理装置として採用されている。
【0072】
なお、ここでの衝突側とはより大きな減速度が検出された側であり、衝突形態判定装置20において左右比Rを求める前に行った大小比較で大きいと判断された側である。
【0073】
さらに、図10から図15を用いて、本発明の第2実施例に係る衝突形態判定装置80について説明する。図10は、第2実施例の衝突形態判定装置80のハード構成概略を示す図である。図11は同衝突形態判定装置80が車両10に搭載されたときの様子を例示する図である。また、図12は同衝突形態判定装置80の概略構成を機能ブロックで示す図である。
【0074】
前述したように、本実施例では第1実施例の衝突形態判定装置20と同様に機能する部位には同一符号を付すことで、重複する説明を省略する。
【0075】
上記で示した第1実施例では、左右フロントセンサ24、26で検出されるフロントLG、RGを用いて、車両の衝突を検出すると共に衝突の対称性も判定している。特に、衝突の初期を正確に確認するために、フロントLG、RGの波形にウェーブレット変換処理を施して波形のピークを検出している。
【0076】
しかし、本第2実施例ではフロアセンサで検出されている車両減速度(フロアGと称する)を用いることで車両の衝突を簡易に検出できるようにしている。本願発明者等はより簡易に車両が衝突したことを検出する手法を検討した。その結果、車両本体の所定位置に配設したフロアセンサからのフロアGに基づいて簡易に衝突を検出できる手法を見出した。本第2実施例は係る手法を具現化したものである。
【0077】
図10及び図11で示すように、本実施例の衝突形態判定装置80は、例えばフロアトンネルに配置したフロアセンサ22をさらに備えており、車両10の前後方向での車両減速度、すなわちフロアGを検出する。
【0078】
図12で示すように、フロアセンサ22から検出信号は信号入力部28を介して衝突形態判定部30へ供給される。また、左右フロントセンサ24、26により検出されるフロントLG、RGは、第1実施例の場合と同様に信号入力部28を介して衝突形態判定部30へ供給される。
【0079】
本実施例の衝突形態判定部30は、第1実施例の場合と同様にフロントLG、RGを時間により積分して各々の減速度積分値を算出する積分値算出部32を備えている。また、フロアセンサ22からのフロアGに基づいて衝突のピークを推定すると共に、このときに上記積分値算出部32で算出している減速度積分値LV(t)、RV(t)を用いて衝突の対称性を判定する対称性判定部136を備えている。
【0080】
本実施例の対称性判定部136は、フロアGが予め設定した閾値CTHを越てから、予め規定した時間αを経過した時に、前記左と右との前記減速度積分値LV(t)、RV(t)に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を実行する。この判定手法を図13に基づいて説明する。
【0081】
図13は、フロントLG及びフロントRG波形並びにフロアG波形の一例を示した図である。この図13には、第1実施例で示した図5と同様に(A)に左フロントセンサ24により検出されるフロントLG、(B)に右フロントセンサ26により検出されるフロントRGにより検出される減速度波形が示され、さらに(C)としてこのときのフロアG波形が示されている。
【0082】
本願発明者等は、フロアGが予め設定した閾値CTHを越てから所定時間αが経過した時に、衝突した側のフロントLG又はフロントRGの波形がピークを示すことを確認した。すなわち、本願発明者等は、図13で示すように、時刻tでフロアGが閾値CTHを越た場合には、所定時間α待つと衝突側のフロントLG又はフロントRGの波形がピーク時刻Tとなることを実験的に確認して、本第2実施例として具現化した。
【0083】
図14は種々の衝突形態で車両が衝突したときの、フロアGが閾値CTHを越えた時刻tと、衝突側となったフロントLG又はフロントRGのピーク時刻T及び衝突側となったフロントLG又はフロントRGが閾値FTHを越えた時刻Tとの関係を模式的に示した図である。
【0084】
図14では、横軸に車両が衝突した際の衝突速度V、縦軸に時間Tをとっている。この図14から、衝突速度Vが変化しても衝突側となったフロントLG又はフロントRGのピーク時刻Tは、フロアGが閾値CTHを越えた時刻tからほぼ一定時間(α)経過後となることが確認できる。同様に、衝突側となったフロントLG又はフロントRGが閾値FTHを越えた時刻Tについても、フロアGが閾値CTHを越えた時刻tからほぼ一定時間(β)前であることも確認できる。
【0085】
よって、フロアGが閾値CTHを越えた時刻tを確認することで、衝突側となったフロントLG又はフロントRGのピーク時刻T及び立上がり時刻Tを簡単に推測できるのである。
【0086】
なお、上記時間α及びβは車両毎に衝突試験、シミュレーション等を行った結果に基づいて予め衝突形態判定装置80内のROM44等に予め格納しておき、対称性判断手段136が参照できるように設定しておけばよい。
【0087】
本第2実施例の場合は、例えば車両が走行を開始した直後から前述した積分値算出部32が左右フロントLG、RGの減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出する演算を開始する。そして、積分区間を[−β、α]として周期的に演算するように設定されている。
【0088】
本実施例では、フロアGが所定の閾値CTHを越えた時刻tから時間β遡った時刻が閾値FTHを越えた時刻Tであると設定され、さらにこの時刻tからα時間が経過すると衝突側のフロントLG又はフロントRGのピーク時刻Tになると推定されている。よって、時刻tからα時間経過したとき、即ち予測したピーク時刻Tに減速度積分値LV(t)、RV(t)の左右比或いは左右差を用いて衝突した車両の対称性を判定する。
【0089】
本実施例の場合には、フロアGが閾値CTHを越えた時刻tが検出されると、ピーク時刻Tや閾値FTHを越えた時刻Tが自動的に定まるので、簡易な処理で形態判定を実行できる。従って、マイクロコンピュータ40への負荷を軽減できるという大きなメリットがある。
【0090】
さらに、本衝突形態判定装置80のCPU42が実行する衝突形態判定ルーチンの一例を示す。図15は本実施例のCPU42が実行するルーチンの一例を示したフローチャ−トである。
【0091】
CPU42は車両が走行していることを確認すると(S200)、積分値算出部32で継続的にフロントLG及びRGの減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出させる(S202)。このステップ202では積分区間[−β、α]として継続的に減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出している。このように継続的に減速度積分値LV(t)、RV(t)を算出しておくことで、フロアGが閾値CTHを越えたときに必要な減速度積分値LV(t)、RV(t)を速やかに得ることができる。
【0092】
なお、上記ステップ200ではスピードメータが起動したとき等を検知して走行を確認するようにすればよい。また、上記ステップ200ではフロントLG又はRGのいずれか一方が所定の閾値FTHを越たときを開始時期としてもよい。
【0093】
また、上記ステップ202では周期的に演算を実行する時刻0からβ時間遡った範囲、すなわち積分区間を[−β、0]として継続的な算出を実行し、フロアGが閾値CTHを越えたときには時間αだけ待って積分区間[0、α]を求め、両者の和を求めるように設定してもよい。
【0094】
上記の左右減速度積分値LV(t)、RV(t)は対称性判定部136に継続的に供給される。
【0095】
対称性判定部136はフロアGが閾値CTHを越えたことを確認すると(S204)、さらに時間α(mSec)経過するまで待って(S206)、減速度積分値LV(t)、RV(t)に基づいて衝突の対称性・非対称性の判定を実行する。
【0096】
これ以後の処理は第1実施例の場合と同様である。すなわち、対称性判定部136は、左減速度積分値LV(t)と右減速度積分値RV(t)との大小比較を行い、大きい値の方を分母として両者の比である左右比R(0から1)を算出する。(S208〜S212)。
【0097】
対称性判定部136は、所定の基準値SVと、算出された左右比Rと比較する(S214)。左右比Rがこの基準値SVより大きい場合には対称性衝突(S216)との判定を実行して本ルーチンの処理を終了する。その逆に、算出された左右比Rが基準値SVより小さい場合には非対称性衝突との判定を実行して本ルーチンの処理を終了する。
【0098】
なお、図15の場合も左右比Rを例に示したが、第1実施例で説明したように左右差を用いて判定するようにしてもよい。
【0099】
以上のように、本実施例の衝突形態判定装置80では、フロントセンサ22のフロアGの出力状態から衝突側のフロントLG、RGのピーク時刻を簡易に確認し、このピーク時刻に積分値算出部32が算出しているフロントLG、RGに基づいて対称性判定部136が衝突形態判定を実行する。
【0100】
よって、本実施例の衝突形態判定装置80は判定処理の負荷を軽減できるので、車両の衝突形態が対称的である、非対称的であるかを処理の負荷を軽減して判定することができる。
【0101】
なお、本実施例の衝突形態判定装置80をエアバック装置等の乗員保護装置の起動判定に、衝突形態判定装置20の場合と同様に用いれば乗員保護に極めて有効である。即ち、衝突形態判定装置80は、衝突形態判定装置20と同様に、エアバック装置50を適切に駆動させるための前処理装置として採用できる。
【0102】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0103】
なお、特許請求の範囲の左・右減速度検出手段は左右フロントセンサ24、26に、減速度積分値算出手段は積分値算出部32に、ピーク検出手段はピーク検出部34に、対称性判定手段は対称性判定部36、136に、第1減速度検出手段はフロアセンサ22に、第2減速度検出手段は左右フロントセンサ24、26に、それぞれ対応している。
【0104】
【発明の効果】
以上詳述したところから明らかなように、請求項1記載の発明によればピーク検出手段が左及び右減速度各々のピークを検出し、このときに対称性判定手段が前記左と右との減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を実行する。よって、車両が衝突した初期を正確に確認しながら衝突の対称性を精度良く判定できる。
【0105】
また、請求項2に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差を用いるので、分離精度良く車両の衝突形態対称性を判断できる。特に、差を用いる場合には計算処理に伴う負荷を軽減できる。
【0106】
また、請求項3に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差と予め設定した基準値SVと比較するだけであるので、衝突の対称性を簡易に判断できる。
【0107】
また、請求項4に記載の発明によれば、左及び右車両減速度波形のピークを精度良く検出できるので、車両が衝突した初期を正確に検知できる。
【0108】
また、請求項5に記載の発明によれば、第1減速度検出手段が検出する前記車両減速度から左及び右側の減速度のピークを簡便に推定し、前記左と右との前記減速度積分値に基づいて衝突対称性を判断するので、判定に伴う処理を軽減できる。
【0109】
また、請求項6に記載の発明によれば、予め定めた区間の積分処理を行うだけで、衝突した車両の対称性を簡易に判断できる。
【0110】
また、請求項7に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差を用いるので、分離精度良く車両の衝突形態対称性を判断できる。特に、差を用いる場合には計算処理に伴う負荷を軽減できる。
【0111】
また、請求項8に記載の発明によれば、左と右の減速度積分値の比又は差と予め設定した基準値SVと比較することで衝突の対称性を簡易に判断できる。
【0112】
また、請求項9に記載の発明によれば、車両の衝突形態にまで配慮して乗員を適切に保護できる乗員保護装置として提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の衝突形態を例示した図である。
【図2】第1実施例の衝突形態判定装置のハード構成概略を示した図である。
【図3】第1実施例の衝突形態判定装が車両に搭載されたときの様子を例示する図である。
【図4】第1実施例の衝突形態判定装置の概略構成を機能ブロックで示す図である。
【図5】第1実施例のフロントLG及びフロントRG波形の一例を示した図である。
【図6】Gabor関数の時間軸上の表現を例示する説明図である。
【図7】ウェーブレット変換X(a,b)の実数部Rと虚数部Iと大きさPと位相θとの関係を示す説明図である。
【図8】第1実施例の衝突形態判定装置のCPUが実行するルーチンの一例を示したフローチャ−トである。
【図9】エアバック装置の概要構成を示す図である。
【図10】第2実施例の衝突形態判定装置のハード構成概略を示す図である。
【図11】第2実施例の衝突形態判定装置が車両に搭載されたときの様子を例示する図である。
【図12】第2実施例の衝突形態判定装置の概略構成を機能ブロックで示す図である。
【図13】第2実施例のフロントLG及びフロントRG波形並びにフロアG波形の一例を示した図である。
【図14】フロアGが閾値CTHを越えた時刻tと、衝突側となったフロントLG又はフロントRGのピーク時刻T及び衝突側となったフロントLG又はフロントRGが閾値FTHを越えた時刻Tとの関係を模式的に示した図である。
【図15】第2実施例の衝突形態判定装置のCPUが実行するルーチンの一例を示したフローチャ−トである。
【符号の説明】
10        車両
20、80     衝突形態判定装置
22        フロアセンサ
24        左フロントセンサ
26        右フロントセンサ
32        積分値算出部
34        ピーク検出部
40        マイクロコンピュータ
42        CPU
50        エアバック装置

Claims (9)

  1. 車両前部の左側及び右側の各々に配設され、該車両の前後方向において左及び右側での減速度を所定の周期で検出する左・右減速度検出手段と、
    前記左右各々の減速度を時間で積分処理して左及び右の減速度積分値を算出する減速度積分値算出手段と、
    前記左及び右減速度各々のピークを検出するピーク検出手段と、
    前記ピーク検出手段が前記左又は右減速度のピークを検出した時に、前記左と右との減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う対称性判定手段とを含む、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  2. 請求項1に記載の衝突形態判定装置において、
    前記対称性判定手段は、前記左と右の減速度積分値の比又は差を用いて、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行うことを特徴とする衝突形態判定装置。
  3. 請求項2に記載の衝突形態判定装置において、
    前記対称性判定手段は、予め設定した基準値SVと、前記左と右の減速度積分値の比又は差との比較により、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行なうことを特徴とする衝突形態判定装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の衝突形態判定装置において、
    前記ピーク検出手段は、前記左・右速度検出手段により検出された左及び右車両減速度の波形に、ウェーブレット変換処理を施して得たウェーブレット位相が、初めてπを越えた後、ゼロとなる又はπを下回る値を示したことに基づいて前記波形のピークを検出する、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  5. 車両内の所定位置に配設され、該車両の前後方向において車両減速度を所定の周期で検出する第1減速度検出手段と、
    前記第1減速度検出手段より前側で前記車両の左側及び右側の各々に配設され、該車両の前後方向において左及び右側での減速度を所定の周期で検出する第2減速度検出手段と、
    前記左右各々の減速度を時間で積分処理して左及び右の減速度積分値を算出する減速度積分値算出手段と、
    前記第1減速度検出手段が検出する前記車両減速度が、閾値CTHを越てから、予め規定した時間αを経過したときに、前記左と右との前記減速度積分値に基づいて前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行う対称性判定手段とを含む、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  6. 請求項5に記載の衝突形態判定装置において、
    前記減速度積分値算出手段は、前記車両減速度が前記閾値CTHを越えた時刻tから予め規定した時間βを遡り、かつ該時刻tから前記時間αが経過するまでの区間[−β、α]を積分区間として、前記左及び右の減速度積分値を算出する、ことを特徴とする衝突形態判定装置。
  7. 請求項5又は6に記載の衝突形態判定装置において、
    前記対称性判定手段は、前記左と右の減速度積分値の比又は差を用いて、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行なうことを特徴とする衝突形態判定装置。
  8. 請求項7に記載の衝突形態判定装置において、
    前記対称性判定手段は、予め設定した基準値SVと、前記左と右の減速度積分値の比又は差との比較により、前記車両の衝突形態が対称であるか、又は非対称であるかの判定を行なうことを特徴とする衝突形態判定装置。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の衝突形態判定装置を前処理装置として含にでいることを特徴とする乗員保護装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008532834A (ja) * 2005-03-11 2008-08-21 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 少なくとも1つのフィーチャを評価する方法および装置
JP2013212786A (ja) * 2012-04-03 2013-10-17 Mitsubishi Motors Corp 衝突検知装置
JP2015536867A (ja) * 2012-12-06 2015-12-24 ティーアールダブリュー・オートモーティブ・ユーエス・エルエルシー 多領域の強化された識別を用いて作動可能な拘束装置を制御する方法および装置

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