JP2004009730A - インクジェットカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットカートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ本体と，カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，インク貯蔵部の一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の下部に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，プリントヘッドに向かって凸状に形成される。よって，インク貯蔵部からプリントヘッドへと供給されるインク粒子及びバブルをろ過するだけではなく，プリントヘッドからインク貯蔵部へと流入するかも知れないバブルをフィルタの縁部に移動させつつインクをプリントヘッドに円滑に供給する利点がある。
【選択図】 図２
【解決手段】カートリッジ本体と，カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，インク貯蔵部の一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の下部に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，プリントヘッドに向かって凸状に形成される。よって，インク貯蔵部からプリントヘッドへと供給されるインク粒子及びバブルをろ過するだけではなく，プリントヘッドからインク貯蔵部へと流入するかも知れないバブルをフィルタの縁部に移動させつつインクをプリントヘッドに円滑に供給する利点がある。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は，インクジェットカートリッジに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図１は，従来におけるインクジェットカートリッジの一部断面図である。図１を参照すると，インクジェットカートリッジ１０は，フォーム物質１２により満たされたインクチャンバを含むカートリッジ本体１１を備える。
【０００３】
上記カートリッジ本体１１の下部においてスタンドパイプ１４の上部にフィルタ１８が位置し，これはインクを含む上記フォーム物質１２をスタンドパイプ１４から隔離する。フィルタ１８を通ったインクはスタンドパイプ１４を介してプリントヘッド（図示せず）に供給される。上記フィルタ１８は，インクチャンバ内のバブル及びインク粒子がプリントヘッドに入ることを防ぐ役割を果たす（例えば，特許文献１参照）。なお，本願発明に関連する技術文献情報には，次のものがある。
【０００４】
【特許文献１】
米国特許第５，５３７，１３６号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら，上記ドーム状のフィルタ１８はフォーム物質１２による圧縮力により変形が起こり，機能の低下が懸念される。また，プリントヘッドからインク貯蔵部に向かって流入するバブルがドーム状フィルタ１８の内部中央部に集中するために，インク貯蔵部からプリントヘッドへのインクの供給が円滑になされないといった短所があった。
【０００５】
本発明は上記問題点を改善するためになされたものであり，その目的は，プリントヘッドから流入するバブルをフィルタの縁部に移動させてインク貯蔵部からプリントヘッドへのインクの供給を円滑にするインクジェットカートリッジを提供するところにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため，本発明の第１の観点によれば，カートリッジ本体と，カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の上部もしくは下部のうちいずれか一方に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，少なくともプリントヘッドに向かって凸状に形成されたインクジェットカートリッジが提供されることを特徴としている。
【０００７】
フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されるように構成してもよい。
【０００８】
フィルタは，略半球形状であるように構成してもよく，略円錐形状であるように構成してもよい。さらに，フィルタは，斜円錐形状であるように構成してもよい。なお本発明にかかる斜円錐形状は，例えば，上記斜円錐の底面からの垂線と，上記斜円錐の頂点からの垂線とが所定距離だけ離れて形成される形状などである。
【０００９】
また，上記課題を解決するための，本発明の別の観点によれば，カートリッジ本体内に複数のカラーインクを排出するため，一の色相のインクが満たされる一のインク貯蔵部を複数備えるカラーインクカートリッジが提供される。この複数のインク貯蔵部は，インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の上部もしくは下部のうちいずれか一方に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，少なくともプリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴としている。
【００１０】
フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されるように構成してもよい。
【００１１】
フィルタは，略半球形状であるように構成してもよく，略円錐形状であるように構成してもよい。さらに，フィルタは，斜円錐形状であるように構成してもよい。なお本発明にかかる斜円錐形状は，例えば，上記斜円錐の底面からの垂線と，上記斜円錐の頂点からの垂線とが所定距離だけ離れて形成される形状などである。
【００１２】
また，上記課題を解決するための，本発明の別の観点によれば，本発明のインクジェットカートリッジは，カートリッジ本体と，前記カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，前記インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，前記スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の少なくとも下部に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，プリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴とする。好ましくは，フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるようにフックが形成されている。好ましくは，前記フィルタは実質的に半球状であるか，あるいは円錐状である。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下，本発明の好適な実施の形態について，添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお，以下の説明及び添付図面において，略同一の機能及び構成を有する構成要素については，同一符号を付することにより，重複説明を省略する。
【００１４】
以下，添付した図面に基づき，本実施の形態にかかるインクジェットカートリッジについて詳細に説明する。ここで，図面に示された層や領域の厚み等は，明確性のために誇張されている。図２は，本発明の好適な実施の形態によるインクジェットカートリッジの部分側面図である。
【００１５】
図２を参照すれば，インクカートリッジ１００は，インク貯蔵部１１２を形成するカートリッジ本体１１０と，インク貯蔵部１１２の上部を覆う内部カバー１１４と，内部カバー１１４から上方に所定距離だけ離れてインク貯蔵部１１２及び内部カバー１１４を密封する外部カバー１１６とを備える。
【００１６】
各インク貯蔵部１１２は，垂直隔壁１２３により仕切られて２つの第１のチャンバ１２４及び第２のチャンバ１２６に区分され，垂直隔壁１２３の下部には両チャンバ間のインク通路１２８が形成されている。
【００１７】
第１のチャンバ１２４にはインクが満たされており，第２のチャンバ１２６にはスポンジ１２９及びインクが満たされている。上記内部カバー１１４には第２のチャンバ１２６に対応して通気ホール１２６ａが形成されている。
【００１８】
第２のチャンバ１２６の下部にはインク内の不純物及び微細なバブルをろ過することにより，インク貯蔵部１１２のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッド１３０の噴出口が塞がれることを防止するためのフィルタ１４０が設けられる。フィルタ１４０下部には，ろ過されたインクをプリントヘッド１３０に供給するスタンドパイプ１３２が設けられている。
【００１９】
図３は，図２のフィルタ１４０を含む一部拡大図である。図３を参照すると，スタンドパイプ１３２上にはインク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０に向かって凸状に半球状のフィルタ１４０が設けられている。上記フィルタ１４０の縁部にはスタンドパイプ１３２の上部に跨がるようにフック１４２が形成されている。
【００２０】
図３を参照しながら，本実施の形態にかかるインクジェットカートリッジの構造による作用について詳細に説明する。
【００２１】
所定の負圧状態で満たされたインクジェットカートリッジ１００をインクジェットプリンタ（図示せず。）に取り付けて用いると，まず，第２のチャンバ１２６の下部のフィルタ１４０及びスタンドパイプ１３２を介してプリントヘッド１３０にインクが供給される。
【００２２】
この時，インク貯蔵部１１２内のバブル及びインク粒子がフィルタ１４０によりろ過される。第２のチャンバ１２６内のインクが尽きると，スポンジ１２９の気孔内に含まれるインクが用いられ，上記フィルタ１４０によりろ過される。
【００２３】
インクの使用に伴い第２のチャンバ１２６に負圧がかかって通気ホール１２６ａに空気が流入して負圧を低下させることにより，インクの吐出しに妨害となる過負圧を防止する。また，スポンジ１２９の毛細管力により第２のチャンバ１２６内にはインク通路１２８を介して第１のチャンバ１２４のインクが流入する。
【００２４】
プリンタの使用によりインク貯蔵部１１２に過負圧が生じる場合，プリントヘッド１３０を介して空気がインク貯蔵部１１２側に流入することもある。この時，プリントヘッド１３０からのバブルは，図３に示すように，フック１４２側の方に，つまりフィルタ１４０の形状が半球状によりフィルタ１４０の縁部に移動する。
【００２５】
従って，インク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０へのインクの供給はフィルタ１４０の凸部である中央部を通じてなされるので，バブルによりインクの供給が妨げられず，円滑になる。さらに，上記フィルタ１４０を上記スタンドパイプ１３２に組み込む時，フィルタ１４０の縁部に形成されたフック１４２をスタンドパイプ１３２の上部に跨らせることにより，インクの供給が容易になされる。
【００２６】
図４は，上記フィルタ１４０の変形例を示す図面であり，図３に示す本実施の形態にかかるインクカートリッジの同じ構成の部材には同じ図面符号を使用してその詳細な説明は省略する。
【００２７】
図４に示すように，上記フィルタ２４０は，スタンドパイプ１３２上のフィルタ２４０の凸部が円錐形状であることを特徴とし，その他の作用は上述した半球状のフィルタ１４０と，ほぼ同様な構成であるため，ここでは詳細な説明を省略する。
【００２８】
図５は，上記フィルタ１４０の変形例を示す図面である。図５を参照すれば，スタンドパイプ１３２上の円錐形状のフィルタ３４０の底点部がスタンドパイプ１３２の垂直中央線から所定距離だけ離れて形成されている。つまり，フィルタ３４０の円錐形状の頂点からスタンドパイプ１３２の垂直方向の軸３４１と，スタンドパイプ１３２の垂直中央線３４２とは所定距離だけ離れている。
【００２９】
図５に示すフィルタ３４０のような形状の変化により，プリントヘッド１３０から空気が流入しても，空気流速が速いプリントヘッド１３０の中心部を外れて，インクが供給されるため，インク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０に対するインクの供給を一層円滑にできる。
【００３０】
以上，添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが，本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば，特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例を想定し得ることは明らかであり，それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【００３１】
上記実施形態においては，インクジェットカートリッジの負圧保持手段として多孔性フォームであるスポンジ１２９を用いる場合を例にあげて説明したが，本発明はかかる例に限定されない。例えば，スプリングなどを用いる他の種類の負圧保持手段を備えるインクジェットカートリッジの場合でも実施可能である。
【００３２】
また上記実施形態においては，インクジェットカートリッジ１１０には，単一のインク貯蔵部１１２を有する場合を例にあげて説明したが，本発明はかかる例に限定されない。例えば，３以上のインク貯蔵部を有するカラーインクジェットカートリッジなどの場合であっても実施可能である。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように，本発明によれば，インクジェットカートリッジは，インク貯蔵部からプリントヘッドへと供給されるインク粒子及びバブルをろ過するだけではなく，プリントヘッドからインク貯蔵部に流入し得るバブルをフィルタの縁部に移動させつつインクをプリントヘッドに円滑に供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来にかかるインクジェットカートリッジの一部断面図である。
【図２】本発明の好適な実施の形態によるインクジェットカートリッジの部分側面図である。
【図３】図２のフィルタを含む一部拡大図である。
【図４】図２のフィルタの変形例を示す図面である。
【図５】図２のフィルタの他の変形例を示す図面である。
【符号の説明】
１００：インクカートリッジ
１１０：カートリッジ本体
１１２：インク貯蔵部
１１４：内部カバー
１２３：垂直隔壁
１２４：第１のチャンバ
１２６：第２のチャンバ
１３０：プリントヘッド
１３２：スタンドパイプ
１４０：フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は，インクジェットカートリッジに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図１は，従来におけるインクジェットカートリッジの一部断面図である。図１を参照すると，インクジェットカートリッジ１０は，フォーム物質１２により満たされたインクチャンバを含むカートリッジ本体１１を備える。
【０００３】
上記カートリッジ本体１１の下部においてスタンドパイプ１４の上部にフィルタ１８が位置し，これはインクを含む上記フォーム物質１２をスタンドパイプ１４から隔離する。フィルタ１８を通ったインクはスタンドパイプ１４を介してプリントヘッド（図示せず）に供給される。上記フィルタ１８は，インクチャンバ内のバブル及びインク粒子がプリントヘッドに入ることを防ぐ役割を果たす（例えば，特許文献１参照）。なお，本願発明に関連する技術文献情報には，次のものがある。
【０００４】
【特許文献１】
米国特許第５，５３７，１３６号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら，上記ドーム状のフィルタ１８はフォーム物質１２による圧縮力により変形が起こり，機能の低下が懸念される。また，プリントヘッドからインク貯蔵部に向かって流入するバブルがドーム状フィルタ１８の内部中央部に集中するために，インク貯蔵部からプリントヘッドへのインクの供給が円滑になされないといった短所があった。
【０００５】
本発明は上記問題点を改善するためになされたものであり，その目的は，プリントヘッドから流入するバブルをフィルタの縁部に移動させてインク貯蔵部からプリントヘッドへのインクの供給を円滑にするインクジェットカートリッジを提供するところにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため，本発明の第１の観点によれば，カートリッジ本体と，カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の上部もしくは下部のうちいずれか一方に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，少なくともプリントヘッドに向かって凸状に形成されたインクジェットカートリッジが提供されることを特徴としている。
【０００７】
フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されるように構成してもよい。
【０００８】
フィルタは，略半球形状であるように構成してもよく，略円錐形状であるように構成してもよい。さらに，フィルタは，斜円錐形状であるように構成してもよい。なお本発明にかかる斜円錐形状は，例えば，上記斜円錐の底面からの垂線と，上記斜円錐の頂点からの垂線とが所定距離だけ離れて形成される形状などである。
【０００９】
また，上記課題を解決するための，本発明の別の観点によれば，カートリッジ本体内に複数のカラーインクを排出するため，一の色相のインクが満たされる一のインク貯蔵部を複数備えるカラーインクカートリッジが提供される。この複数のインク貯蔵部は，インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の上部もしくは下部のうちいずれか一方に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，少なくともプリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴としている。
【００１０】
フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されるように構成してもよい。
【００１１】
フィルタは，略半球形状であるように構成してもよく，略円錐形状であるように構成してもよい。さらに，フィルタは，斜円錐形状であるように構成してもよい。なお本発明にかかる斜円錐形状は，例えば，上記斜円錐の底面からの垂線と，上記斜円錐の頂点からの垂線とが所定距離だけ離れて形成される形状などである。
【００１２】
また，上記課題を解決するための，本発明の別の観点によれば，本発明のインクジェットカートリッジは，カートリッジ本体と，前記カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，前記インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，前記スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の少なくとも下部に形成されてインク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッドと，スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，フィルタは，プリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴とする。好ましくは，フィルタの縁部には，フィルタをスタンドパイプの上部に固定させるようにフックが形成されている。好ましくは，前記フィルタは実質的に半球状であるか，あるいは円錐状である。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下，本発明の好適な実施の形態について，添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお，以下の説明及び添付図面において，略同一の機能及び構成を有する構成要素については，同一符号を付することにより，重複説明を省略する。
【００１４】
以下，添付した図面に基づき，本実施の形態にかかるインクジェットカートリッジについて詳細に説明する。ここで，図面に示された層や領域の厚み等は，明確性のために誇張されている。図２は，本発明の好適な実施の形態によるインクジェットカートリッジの部分側面図である。
【００１５】
図２を参照すれば，インクカートリッジ１００は，インク貯蔵部１１２を形成するカートリッジ本体１１０と，インク貯蔵部１１２の上部を覆う内部カバー１１４と，内部カバー１１４から上方に所定距離だけ離れてインク貯蔵部１１２及び内部カバー１１４を密封する外部カバー１１６とを備える。
【００１６】
各インク貯蔵部１１２は，垂直隔壁１２３により仕切られて２つの第１のチャンバ１２４及び第２のチャンバ１２６に区分され，垂直隔壁１２３の下部には両チャンバ間のインク通路１２８が形成されている。
【００１７】
第１のチャンバ１２４にはインクが満たされており，第２のチャンバ１２６にはスポンジ１２９及びインクが満たされている。上記内部カバー１１４には第２のチャンバ１２６に対応して通気ホール１２６ａが形成されている。
【００１８】
第２のチャンバ１２６の下部にはインク内の不純物及び微細なバブルをろ過することにより，インク貯蔵部１１２のインクを印刷媒体に液滴として放出するプリントヘッド１３０の噴出口が塞がれることを防止するためのフィルタ１４０が設けられる。フィルタ１４０下部には，ろ過されたインクをプリントヘッド１３０に供給するスタンドパイプ１３２が設けられている。
【００１９】
図３は，図２のフィルタ１４０を含む一部拡大図である。図３を参照すると，スタンドパイプ１３２上にはインク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０に向かって凸状に半球状のフィルタ１４０が設けられている。上記フィルタ１４０の縁部にはスタンドパイプ１３２の上部に跨がるようにフック１４２が形成されている。
【００２０】
図３を参照しながら，本実施の形態にかかるインクジェットカートリッジの構造による作用について詳細に説明する。
【００２１】
所定の負圧状態で満たされたインクジェットカートリッジ１００をインクジェットプリンタ（図示せず。）に取り付けて用いると，まず，第２のチャンバ１２６の下部のフィルタ１４０及びスタンドパイプ１３２を介してプリントヘッド１３０にインクが供給される。
【００２２】
この時，インク貯蔵部１１２内のバブル及びインク粒子がフィルタ１４０によりろ過される。第２のチャンバ１２６内のインクが尽きると，スポンジ１２９の気孔内に含まれるインクが用いられ，上記フィルタ１４０によりろ過される。
【００２３】
インクの使用に伴い第２のチャンバ１２６に負圧がかかって通気ホール１２６ａに空気が流入して負圧を低下させることにより，インクの吐出しに妨害となる過負圧を防止する。また，スポンジ１２９の毛細管力により第２のチャンバ１２６内にはインク通路１２８を介して第１のチャンバ１２４のインクが流入する。
【００２４】
プリンタの使用によりインク貯蔵部１１２に過負圧が生じる場合，プリントヘッド１３０を介して空気がインク貯蔵部１１２側に流入することもある。この時，プリントヘッド１３０からのバブルは，図３に示すように，フック１４２側の方に，つまりフィルタ１４０の形状が半球状によりフィルタ１４０の縁部に移動する。
【００２５】
従って，インク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０へのインクの供給はフィルタ１４０の凸部である中央部を通じてなされるので，バブルによりインクの供給が妨げられず，円滑になる。さらに，上記フィルタ１４０を上記スタンドパイプ１３２に組み込む時，フィルタ１４０の縁部に形成されたフック１４２をスタンドパイプ１３２の上部に跨らせることにより，インクの供給が容易になされる。
【００２６】
図４は，上記フィルタ１４０の変形例を示す図面であり，図３に示す本実施の形態にかかるインクカートリッジの同じ構成の部材には同じ図面符号を使用してその詳細な説明は省略する。
【００２７】
図４に示すように，上記フィルタ２４０は，スタンドパイプ１３２上のフィルタ２４０の凸部が円錐形状であることを特徴とし，その他の作用は上述した半球状のフィルタ１４０と，ほぼ同様な構成であるため，ここでは詳細な説明を省略する。
【００２８】
図５は，上記フィルタ１４０の変形例を示す図面である。図５を参照すれば，スタンドパイプ１３２上の円錐形状のフィルタ３４０の底点部がスタンドパイプ１３２の垂直中央線から所定距離だけ離れて形成されている。つまり，フィルタ３４０の円錐形状の頂点からスタンドパイプ１３２の垂直方向の軸３４１と，スタンドパイプ１３２の垂直中央線３４２とは所定距離だけ離れている。
【００２９】
図５に示すフィルタ３４０のような形状の変化により，プリントヘッド１３０から空気が流入しても，空気流速が速いプリントヘッド１３０の中心部を外れて，インクが供給されるため，インク貯蔵部１１２からプリントヘッド１３０に対するインクの供給を一層円滑にできる。
【００３０】
以上，添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが，本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば，特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例を想定し得ることは明らかであり，それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【００３１】
上記実施形態においては，インクジェットカートリッジの負圧保持手段として多孔性フォームであるスポンジ１２９を用いる場合を例にあげて説明したが，本発明はかかる例に限定されない。例えば，スプリングなどを用いる他の種類の負圧保持手段を備えるインクジェットカートリッジの場合でも実施可能である。
【００３２】
また上記実施形態においては，インクジェットカートリッジ１１０には，単一のインク貯蔵部１１２を有する場合を例にあげて説明したが，本発明はかかる例に限定されない。例えば，３以上のインク貯蔵部を有するカラーインクジェットカートリッジなどの場合であっても実施可能である。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように，本発明によれば，インクジェットカートリッジは，インク貯蔵部からプリントヘッドへと供給されるインク粒子及びバブルをろ過するだけではなく，プリントヘッドからインク貯蔵部に流入し得るバブルをフィルタの縁部に移動させつつインクをプリントヘッドに円滑に供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来にかかるインクジェットカートリッジの一部断面図である。
【図２】本発明の好適な実施の形態によるインクジェットカートリッジの部分側面図である。
【図３】図２のフィルタを含む一部拡大図である。
【図４】図２のフィルタの変形例を示す図面である。
【図５】図２のフィルタの他の変形例を示す図面である。
【符号の説明】
１００：インクカートリッジ
１１０：カートリッジ本体
１１２：インク貯蔵部
１１４：内部カバー
１２３：垂直隔壁
１２４：第１のチャンバ
１２６：第２のチャンバ
１３０：プリントヘッド
１３２：スタンドパイプ
１４０：フィルタ
Claims (10)
- カートリッジ本体と，
前記カートリッジ本体内においてインクを貯蔵するインク貯蔵部と，
前記インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，
前記スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の下部に形成されて前記インク貯蔵部の前記インクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，
前記スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，
前記フィルタは，少なくとも前記プリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴とする，インクジェットカートリッジ。 - 前記フィルタの縁部には，前記フィルタを前記スタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されていることを特徴とする，請求項１に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，略半球形状であることを特徴とする，請求項１又は２に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，略円錐形状であることを特徴とする，請求項１又は２に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，斜円錐形状であることを特徴とする，請求項１，２，または４項のうちいずれか１項に記載のインクジェットカートリッジ。
- カートリッジ本体内に複数のカラーインクを排出するため，一の色相のインクが満たされる一のインク貯蔵部を複数備えるカラーインクカートリッジにおいて：
複数の前記インク貯蔵部は，前記インク貯蔵部の少なくとも一側に連結されるスタンドパイプと，
前記スタンドパイプにより形成されたインク供給流路の下部に形成されて前記インク貯蔵部の前記インクを印刷媒体に放出するプリントヘッドと，
前記スタンドパイプの上部を覆うフィルタとを備え，
前記フィルタは，少なくとも前記プリントヘッドに向かって凸状に形成されたことを特徴とするインクジェットカートリッジ。 - 前記フィルタの縁部には，前記フィルタを前記スタンドパイプの上部に固定させるためのフックが形成されていることを特徴とする，請求項６に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，略半球形状であることを特徴とする，請求項６又は７に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，略円錐形状であることを特徴とする，請求項６又は７に記載のインクジェットカートリッジ。
- 前記フィルタは，斜円錐形状であることを特徴とする，請求項６，７，または９項のうちいずれか１項に記載のインクジェットカートリッジ。
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