JP2004009654A - プリント装置 - Google Patents

プリント装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004009654A
JP2004009654A JP2002169147A JP2002169147A JP2004009654A JP 2004009654 A JP2004009654 A JP 2004009654A JP 2002169147 A JP2002169147 A JP 2002169147A JP 2002169147 A JP2002169147 A JP 2002169147A JP 2004009654 A JP2004009654 A JP 2004009654A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing
ink
colors
print
printing apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002169147A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Takekoshi
竹腰 信彦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002169147A priority Critical patent/JP2004009654A/ja
Publication of JP2004009654A publication Critical patent/JP2004009654A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】画像形成の高速化と高画質化とを実現するため同系色をプリントするプリントヘッドを2つ具備し、これらプリントヘッドをプリント媒体に対して相対的に走査させることにより画像形成を行う構成のインクジェットプリント装置において、顕著な濃度むらの起因となっていた同系色ヘッド同士の位置ずれを抑制する。
【解決手段】1色以上の有彩色を含む複数色(Y,M,C,B)を用いた画像形成が可能で、有彩色に関して同系色のプリント剤をプリント媒体に付与するための2つのプリントヘッドを含む複数のプリントヘッド(1Ma,1Mb,・・・,1Ba,1Bb)を用いるプリント装置にあって、同系色のプリントを行うための2つのプリントヘッド(1Ma;1Mb,1Ca,1Cb)を上記走査の方向に近接配置して画像形成を行うようにする。
【選択図】    図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント剤をプリント媒体に付与することによりプリントを行うプリント装置に関し、例えば複数の吐出口からプリント媒体に対してインクを吐出することによりプリントを行うインクジェットプリント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有するプリント装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出力機器として用いられるプリント装置、さらには製造業などの産業用に用いられるプリント装置は、画像情報に基づいて用紙やプラスチック薄板(OHP用フィルムなど)、布地等多岐にわたる被プリント材(プリント媒体)に画像(文字や記号なども含む)をプリントしていくように構成されている。プリント装置は、使用するプリント手段のプリント方式により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、レーザービーム式などの電子写真方式等に分けることができる。
【0003】
そのうち、インクジェット方式によるプリント装置は、吐出口を有するプリント手段(プリントヘッド)から被プリント材にインクを吐出してプリントを行なうものであり、プリント手段のコンパクト化が容易であること、高精細な画像を高速でプリントすることができること、普通紙に特別の処理を必要とせずにプリントすることができること、ランニングコストが低いこと、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像をプリントするのが容易であること、などの数多くの利点を有している。
【0004】
特に熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式のプリント手段(プリントヘッド)は、エッチング,蒸着,スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て、成膜構造の電気熱変換体、電極、液路壁および天板などを基板上にで形成することにより、高密度の液路配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造することができ、プリントヘッドないしプリント装置の一層のコンパクト化を図ることができる。また、IC技術やマイクロ加工技術の長所を活用することにより、プリント手段の長尺化や面状化(2次元化)が容易であり、プリント手段の長尺化および高密度化も容易である。
【0005】
また、被プリント材の搬送方向(副走査方向)と交叉する方向にプリント手段(プリントヘッド)を主走査するプリント方式を採るシリアルタイプのプリント装置においては、被プリント材を所定のプリント位置にセットした後、被プリント材に沿って移動(主走査)するキャリッジ上に搭載したプリント手段(プリントヘッド)によって画像をプリントし、1行分のプリントを終了した後に所定量の紙送り(副走査)を行ない、その後に次の行の画像をプリント(主走査)するという動作を繰り返すことにより、被プリント材の所望範囲に画像がプリントされる。一方、被プリント材を搬送方向に送る副走査の過程でのみプリントするフルラインタイプのプリント装置においては、被プリント材を所定のプリント位置にセットし、一括して1行分のプリントを連続的に行ないながら所定量の紙送り(ピッチ送り)を行ない、被プリント材の全体に画像がプリントされる。
【0006】
プリント装置の高速化と高画質化とを両立する観点から、従来からプリントヘッドを長尺化したり、複数備えたりすることが提案されてきた。しかしながら上記長尺化を行う場合、上述したシリアルスキャンの要らないフルラインタイプのプリントヘッドは比較的高価であり、未だ一般的には広まっていない。
【0007】
一方、シリアルスキャンタイプの装置にあってプリントの高速化を図る場合は、従来から往復プリントを行うようにすることなどが一般的である。しかし、単に往復プリントを採用したのみでは、複数の色に対応してプリントヘッドを複数並置することによりフルカラープリントを行う装置の場合、各色の打込み順が往走査時と復走査時とで逆になる。そのためインクの色の重なり合い方が変わるので、色再現性や色味が変化するなどの問題があり、フルカラープリント、特に高画質化を図る上で必ずしも好適でない場合がある。そこで最近注目されているのが、シリアルスキャン方法にあって同色のヘッドを複数設ける構成である。これには、各色ヘッドを搭載した2つのキャリッジを主走査方向に並置し、往方向プリントと復方向プリントとに用いるようにしたもの、あるいは各色ヘッドを搭載した2つのキャリッジを副走査方向に設け、各キャリッジでは往復いずれか一方向への移動時にプリントを行うようにしたものなどが提案されており、いずれにしても被プリント材へのプリント順序が両キャリッジ間で揃うように複数のプリントヘッドの配置順序が定められている。
【0008】
ここで、まず従来から用いられている高速化に有利なマルチノズルを用いた代表的なインクジェットプリント方法について説明する。
【0009】
例えば、エネルギ発生手段に電気熱変換体を用い、かつ半導体製造プロセスを経て製造された複数の吐出口を有するインクジェットヘッド(所謂マルチノズルヘッド)としては、各吐出口に対応して液路が、さらに各液路ごとに電気熱変換体が設けられ、かつ各液路に連通している共通液室より各液路にインクが供給される構成のものが知られている。
【0010】
図1はこのようなインクジェットプリントヘッドのプリント手段である吐出部の概略構成を説明するための一部破断斜視図である。
【0011】
図1において、このプリントヘッド1は、エッチング,蒸着,スパッタリング等の半導体製造プロセスを経て、基板2上に成膜された電気熱変換体(発熱抵抗体など)3、電極4、ノズル壁(液路壁)5、および天板6などから構成されている。インク(プリント液)12は、不図示のインクタンク(インク貯蔵室)からインク供給パイプ7を介してプリントヘッド1の共通液室8内に供給される。図1中の符号9で示すものはインク供給パイプ7用のコネクタである。
【0012】
共通液室8内に供給されたインク12は、毛管現象により各液路10内に供給され、該液路10の先端の吐出口13でメニスカスを形成することにより安定に保持される。ここで、電気熱変換体3に通電することにより、電気熱変換体面上のインクが加熱されて発泡し、その発泡エネルギにより吐出口13からインクが例えば滴として吐出される。
【0013】
すなわち、図1に示すプリントヘッドは、被プリント材と所定の隙間(例えば、約0.5〜1.5mm程度)をおいて対面する吐出口面11に、所定のピッチで複数の吐出口13が形成され、共通液室8と各吐出口13とを連通する各ノズル(液路)10の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギを発生するための電気熱変換体3が配設されている。そして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体3を駆動(通電)して、ノズル(液路)10内のインクを膜沸騰させ、そのときに発生する圧力によって吐出口13からインクを吐出する。
【0014】
なお、図1のような構成により、例えば1mm当たり16個という高密度で、例えば合計2048個の吐出口を配列したインクジェットプリントヘッドを製造することもできる。
【0015】
図2は従来から用いられてきた代表的なインクジェットプリント装置の概略構成を示す模式的斜視図である。図2において、23は搬送モータ(副走査モータ)25により駆動され、連続紙またはカットシートの形態の紙等の被プリント材23aを搬送するためのローラである。そして、被プリント材23aは、搬送ローラ23と不図示のピンチローラとによって挟持されるとともに、これらローラ対と、プリントヘッドによる被プリント領域を挟んで設けられたローラ24aおよびピンチローラ(不図示)とにより、被プリント面が平坦に規制された状態で矢印Ss方向に搬送される。
【0016】
プリントヘッド1はキャリッジ21上に搭載され、該キャリッジ21は2本のガイドレール24a,24cに沿って矢印Saおよび矢印Sbの方向に往復移動可能(シリアルスキャン可能)に案内支持されている。そして、キャリッジ21が矢印Sa,Sb方向にシリアルスキャン駆動される過程でプリントヘッド1の吐出口13に対応した電気熱変換体3がプリントデータに応じて駆動され、インクを吐出することによって被プリント材23aに対するプリントが行われる。なお、プリントヘッド1は、図1に示した吐出口13の配列方向が、矢印SaおよびSb方向(主走査方向)と交差する方向、例えば被プリント材23aの搬送方向Ss(副走査方向)方向に一致するようにキャリッジ21に搭載される。
【0017】
キャリッジ21は、プーリ28a,28bに張架されたベルト24bに連結され、キャリッジモータ26によりモータ軸27に固定されたプーリ28bを回転駆動することにより駆動され、該キャリッジモータ26の回転に応じて矢印Saまたは矢印Sb方向の駆動が行われる。
【0018】
図2の例のプリントヘッド1は、図1に示した複数の吐出口13がキャリッジ21の主走査方向(移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置関係で、該キャリッジ21に装着されている。そして図2のインクジェットプリント装置では、カラープリントに対応して、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の4色に対応する4個のプリントヘッド(それぞれ符号1Y、1M、1Cおよび1Bで示す)の集合体を搭載している。
【0019】
これらのプリントヘッド1Y,1M,1C,1Bのそれぞれに対しては、対応する色のインクを収納したインクタンク19Y,19M,19C,19Bから、それぞれインクが供給される。
【0020】
なお、図2において、22は、プリントヘッド1がホームポジションにあるときに、該プリントヘッドの吐出口面11と対向して該吐出口面11に密着可能なキャッピング手段等を有した回復ユニットである。
【0021】
以上のような構成のプリントヘッド1が搭載されたインクジェットプリント装置は、上述のように高速化を計るために往復プリントを行おうとすると、往路(Sa方向への移動)ではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の順でインク吐出が行われ、復路(Sb方向への移動)では、ブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の順でインク吐出が行われるので、往復プリントでプリント順序が逆になる。そのため、例えばマゼンタインクとイエローインクとの混色により赤色を再現しようとしたとき、往路ではイエローのインクドット上にマゼンタのインクドットが形成されるのに対し、復路ではマゼンタのインクドット上にイエローのインクドットが形成されることになるので、色味が変わってくることがよく知られている。この問題に対し、色変換テーブルや濃度出力テーブルを往路と復路とで切換えて用いること等も提案されているが、微妙な色再現性までは対応しきれていないのが現状である。
【0022】
そこで、同色のヘッドを複数設けた構成として、往方向プリントに用いるヘッドと復方向プリントに用いるヘッドとを具備したものがある。
【0023】
図3はその構成例を示すもので、ガイドレール24a,24cに沿って矢印Saおよび矢印Sbの方向に往復移動可能(シリアルスキャン可能)に案内支持されるとともに、2つのヘッド搭載部121aおよび121bを持つキャリッジ121が設けられている。これらヘッド搭載部121aおよび121bには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)の各色ヘッド等が順序を逆にして装着される。すなわち、ヘッド搭載部121aには、プリントヘッド,インクタンクの組1Ya,19Ya、1Ma,19Ma、1Ca,19Caおよび1Ba,19Baを図の左側から順に並置する一方、ヘッド搭載部121bには、プリントヘッド,インクタンクの組1Yb,19Yb、1Mb,19Mb、1Cb,19Cbおよび1Bb,19Bbを図の右側から順に並置する。そして、ヘッド搭載部121aおよび121bが矢印SaおよびSb方向にシリアルスキャン駆動される過程で、それぞれ、ヘッド搭載部121aおよび121bに搭載されたプリントヘッド1が駆動されるようにして被プリント材に対するプリントを行う。このように、往路および復路専用のヘッドを設け、いずれの方向においても必ずイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)という順序でプリントが行われるようにヘッドを配することによって、高速化と高画質化とを両立せんとするものである。なお、このプリント順序は一例である。
【0024】
また、同色のインクを用いるヘッドを2つ以上具備するが、図3のような往復プリントを伴わない構成も提案されている。
【0025】
図4はその構成例を示すもので、それぞれ別のガイドレールに支持されるとともに各別の駆動モータ26a,26bによって駆動されるキャリッジ21’a,21’bを設けるとともに、それぞれに複数のプリントヘッドを搭載している。すなわち、キャリッジ21’aにはプリントヘッド,インクタンクの組1Ya,19Ya、1Ma,19Ma、1Ca,19Caおよび1Ba,19Baが並置される一方、キャリッジ21’bにはプリントヘッド,インクタンクの組1Yb,19Yb、1Mb,19Mb、1Cb,19Cbおよび1Bb,19Bbが並置される。そして、各キャリッジでは往復いずれか一方向への移動時にプリントを行うようにするとともに、被プリント材へのプリント順序が両キャリッジ間で揃うように複数のプリントヘッドの配置順序が定められるものである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3および図4の例のようにヘッドを配置して各色を同一順序でプリントしようする場合、例えばモノトーンの均一画像を再現させるときにそのまま2つのヘッドによって交互にプリントがなされるようにする場合には、次のような不都合が生じることがある。すなわち、一般的に1色を再現するために2ヘッドによる画素を常に重ねて再現させることは、単位面積あたりのインク打ち込み量(ドット数)を徒らに増すばかりで、高速化,高画質化を図る上で利点が少ないのみならず、インク溢れ等の原因ともなりうるからである。
【0027】
そこで、各ヘッドの駆動データにマスキング処理を施す等によって、補完的にかつランダムとなるように画素を各ヘッドに振り分ける方法が提案されている。しかし、これによって形成された画像にも、これをマクロ的に見た場合には規則的なむら(ヘッドのスキャン幅単位の周期的なむら)が認められることがある。この問題の主因の1つとして挙げられるのが、2つあるいは複数の同色ヘッド間のドット形成位置精度の微妙なずれである。つまり、マスキング処理等を施してドットをランダムに分散させても、各々のヘッドのドット形成位置がずれていると一定間隔でドットが重なることになるからである。
【0028】
このことを、簡単のため規則的なドット形成パターンを用いて50%の濃度のハーフトーン画像を再現する場合について説明する。なお、以下の説明においては、上記複数のインク色に応じて複数個設けられる構成部品の全体または任意の一つを指す場合には、その符号のうち上記符号「Y」,「M」,「C」および「B」は省略する。
【0029】
図5は同図(e)に示した50%の千鳥状パターンを2つのヘッドにてプリントする場合の各ヘッドによる理想的なドット形成状態について図示したものである。なお、ここでは、高画質化のため各ヘッドについて2回ずつ同じラスタ(同一スキャン領域)で所定のドットをプリントするように動作している。このため、各ラスタ毎の継ぎ目が目立ちにくくなる。まず、同図(a)は同系色についての一方のプリントヘッド1aで、所定の画素を1回目にプリントする様子を示しており、図中の黒い点が被プリント材上の所定の画素にプリントされるドットである。同図(b)は同じヘッド1aで2回目にプリントされるドットを示している。同様に同図(c)は他方のプリントヘッド1bの1回目、同図(d)は2回目にプリントしたものである。これらが重なることによって同図(e)の画像が完成する。
【0030】
図6は、この画像を形成する場合において、プリントヘッド1aとプリントヘッド1bとによるドット形成位置が(1/2)画素分ずれている場合を示す。すなわち、同図(a)のパターンを図5と同様にプリントしようとしても、プリントヘッド1aとプリントヘッド1bとのドット形成位置が主走査方向に半画素ずれた場合には同図(b)のような画像、紙送り方向(副走査方向)に半画素ずれた場合には同図(c)のような画像、また両方向に各々(1/2)画素ずつ、つまり斜め方向にずれた場合には同図(d)のような画像が形成されてしまうことになる。この図6の場合は、先ほど述べた1/16mmのノズル密度をもつヘッドでプリントした場合を示しており、(1/2)画素のずれは約30μmのドットずれに相当する。
【0031】
これら図に示したように、ヘッドのドット形成位置がずれ、ドットが不必要に重なることがあり、更にその重なりが規則的に例えば横方向(主走査方向)並ぶと、インク溢れによる濃いすじが発生する。更に、これらのようにインクの溢れている場所と間の空いている場所とが分布することによって、粒状感が増大する。
【0032】
また、近年高画質化の技術革新が著しく、更に高密度化した場合は、それに対応した精度が要求される。プリント装置としてこのような高精度を常に保つのは、初期の機械的精度のみならず、モータの精度のほか、プリントヘッドや機械部品の経時変化、さらには環境温度変化などを勘案しなければならず、これらすべてに対応して高精度を維持することは実際上極めて困難である。また、実現したとしても装置ないしプリントヘッドの高価化を伴うことになる。
【0033】
本発明は、以上のような技術課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、同系色のプリントヘッドを複数、シリアルスキャンしてプリントを行うプリント装置において、適切なヘッド配置を行うことで同色についての均一な色再現を実現し、以って高品位の画像を高速に得ることが可能なプリント装置を廉価に提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明は、1色以上の有彩色を含む複数色を用いた画像形成が可能で、前記有彩色に関して同系色のプリント剤をプリント媒体に付与するための少なくとも2つのプリント手段を含む複数のプリント手段を用い、該複数のプリント手段をプリント媒体に対して相対的に走査させることにより画像形成を行うプリント装置であって、前記同系色のプリントを行うための前記少なくとも2つのプリント手段を前記走査の方向に近接配置して画像形成を行うようにしたことを特徴とする。
【0035】
ここで、前記複数のプリント手段は、前記走査を行うための少なくとも2つの搭載部に分かれて装着され、前記同系色のプリントを行うための前記少なくとも2つのプリント手段は1つの前記搭載部に装着されるものとすることができる。
【0036】
この少なくとも2つの搭載部は前記走査方向に往復移動可能な一体のキャリッジ上に構成されるものとすることができる。すなわち、前記少なくとも2つのプリント手段を同一のキャリッジ上において近接配置した構成とすることができる。
【0037】
または、少なくとも2つの搭載部は独立して前記走査方向に往復移動可能な別体のキャリッジとして構成されるものとすることができる。
【0038】
これらにおいて、前記搭載部の前記往復移動の方向のいずれか一方向への走査時に画像形成を行わせるようにすることができる。すなわち、少なくとも前記同系色については同一の方向でプリントを行う構成とすることができる。
【0039】
以上において、前記同系色について少なくとも2つのプリント手段が用いられる有彩色は、形成された画像の濃度むらが視認されやすい色とすることができる。
【0040】
また、前記複数色はイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを含み、少なくともマゼンタおよび/またはシアンに関してそれぞれ前記少なくとも2つのプリント手段が用いられるものとすることができる。
【0041】
さらに、以上において、前記プリント手段は、前記プリント媒体に対してインクを吐出する吐出部を有するものとすることができる。
【0042】
そして、前記吐出部を複数、それぞれチップの形態で一体に有するとともに、当該複数の吐出部の各々にそれぞれインクを導入可能な流路を有したプリントヘッドを用い、当該プリントヘッド内において近接する少なくとも2つの吐出部によって前記同系色のインクの吐出を行うようにしたものとすることができる。すなわち、同系色の吐出部を同一のプリントヘッド上において近接させた構成とすることができる。
さらに、前記吐出部は、前記インクを吐出するために利用されるエネルギとして前記インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生するための電気熱変換体を有するものとすることができる。
【0043】
以上の形態によれば、前記有彩色の同系色のプリント手段が各々近接していることで、すなわち同系色同士のプリント手段の位置精度を最優先させることで、同系色の均一画像を得られ、常に安定したプリントを維持することが可能なプリント装置を提供することができる。
【0044】
より具体的には、例えば複数のインクジェットプリントヘッドがあり、かつ1ヘッド内に複数のインク色を混在させる構成の場合には同一ヘッド内に、またキャリッジが複数ある場合には同一キャリッジ上に、それぞれ同系色のプリント手段を近接配置することによって、また往復プリントを行い往方向および復方向プリント用ヘッドが存在する場合には同一方向で同系色のプリントが行われるよう当該プリント手段を近接配置することによって、構成簡単にして同系色のレジストレーションを精度よく維持することが可能なインクジェットプリント装置が提供される。
【0045】
なお、本明細書において、「プリント」(以下においては「記録」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず広くプリント媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合も言うものとする。
【0046】
ここで、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、インクを受容可能な物も言うものとする。
【0047】
さらに、「インク」とは、上記「プリント」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成に供され得る液体を言うものとする。
【0048】
加えて、「同系色」とは、同一の色、または実質的に同一の色等、本発明が有効に適用できる色調を言うものとする。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0050】
なお、以下の各図面を通じて対応する部分、および図2ないし図4と同様に構成できる部分については、同一の参照符号を付してある。
【0051】
(第1の実施形態)
図7は本発明を適用したインクジェットプリント装置の一実施形態の概略構成例を示す模式的斜視図である。本実施形態は特に、基本的には図3について説明した構成を有するインクジェットプリント装置に本発明を適用した場合について示すものである。すなわち、本実施形態においても、ガイドレール24a,24cに沿って矢印Saおよび矢印Sbの方向に往復移動可能(シリアルスキャン可能)に案内支持されるとともに、それぞれ4つのプリントヘッド等が装着される2つのヘッド搭載部121aおよび121bを持つキャリッジ121が設けられている。
【0052】
ここで、本実施形態のヘッド搭載部121aおよび121bには、図3の例と異なり、同系色のプリントヘッドについては同じ搭載部上に近接した状態で装着される。すなわち、図7に示すように、搭載部121aには、図の左側からマゼンタ用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ma,19Maおよび1Mb,19Mbが装着されるとともに、シアン用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ca,19Caおよび1Cb,19Cbが装着される。また、搭載部121bには、図の左側からイエロー用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ya,19Yaおよび1Yb,19Ybが装着されるとともに、ブラック用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ba,19Baおよび1Bb,19Bbが装着される。
【0053】
図8はかかる実施形態のプリント装置によるプリント動作の説明図である。 本実施形態では、図3の従来例と同様にキャリッジ121を図中矢印SaおよびSb方向に走査させるが、Sa方向(往方向)への走査時にのみプリント動作を行う。すなわち、キャリッジ121をSa方向に走査する過程で、プリントヘッド1Ma、1Mb、1Ca、1Cb、1Ya、1Yb、1Baおよび1Bbの順にインクが吐出されてプリントが行われる。
【0054】
また、図8に示すように、同一のプリント領域に対しては各プリントヘッドの連続する2回のSa方向へのスキャン(主走査)によって画像形成が行われるとともに、各スキャン間ではプリントヘッドの吐出口配列範囲Lの1/2ずつの副走査(およびSb方向へのキャリッジ復帰)を行うことで、同一のプリント領域の画像形成には配列上の位置が異なる吐出口が関与するようにする(以後、このプリント方法を2パスプリントと称する)。これは各々のプリントヘッドでプリント動作を行う際の画像のむらを軽減するとともに、プリントの高速化を図ることを目的としたものである。
【0055】
本実施形態では、図5(e)に示した画像を得るのに、図5(a)〜(d)について上述したと同様に1画素を4分割し、1ヘッドの1スキャンあたりでは1ドットの形成を行う4パスプリント相当のプリントを行うが、パス数(スキャン数)としては往復プリント等を含む4パスプリントを行うものではない。すなわち、Sa方向への第1回目のスキャン時にプリントヘッド1aおよび1bを駆動して2ドット(図5(a)および(c)に示したドット)を形成し、同じく第2回目のスキャン時に残余の2ドット(図5(b)および(d)に示したドット)を形成する。このように、本実施形態は、基本的に1スキャンで2パス相当、すなわち2スキャンで4パス相当のプリントが終了するようなプリント方法を採るものであり、プリント速度の低下を来たすことなく高精彩のプリントを実行することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、同系色用のプリントヘッドを同一の搭載部上に近接配置することによって、同系色のプリントヘッド間の機械的な位置合わせ時およびドット形成位置合わせ(レジストレーション)時に要求される条件を緩和するようにしたものである。すなわち、同系色のプリントヘッドが従来例の如く離隔して搭載される場合には、その分搭載時における機械的な位置ずれをより多く勘案しなければならず、またそれに対応してドット形成位置調整の範囲をより多く定める必要が生じ得るのに対して、本実施形態の配置によればそれら条件が緩和される。また、このためプリントヘッドの交換による画像の濃度変動(むら)の発生も低減され、かつ主走査方向および副走査方向とも、レジストレーション処理を容易に、しかも精度高く行うことが可能となる。
【0057】
なお、同系色用のプリントヘッドの中で、特に有彩色で濃度むらの感度が高いマゼンタおよびシアン用のプリントヘッドを同一の搭載部上に近接配置することにより、均一な色再現および高品位の画像形成という本発明所期の目的を達成し得る。この理由は次の通りである。
【0058】
均一画像が自然画の再現に対して特に有効なのは有彩色である。黒などの無彩色は、一般に他の色と混ぜて再現することが多く、特に粒状感低減の観点からは、カラープリント時にはなるべく高濃度側から黒インクを使用するよう制御される場合がある。このような場合は黒インクは他の有彩色のインクに比べて使用量少なく、また殆どの濃度域のグレーは他の有彩色インクの混色によって再現される。また、有彩色であっても、イエローなどは単独では殆ど人間の目でむらを認識しにくい傾向にある。そこで、近接配置する対象をシアンやマゼンタなどの限られた有彩色インク用のプリントヘッドに限定しても、十分な効果が得られることがあるのである。
【0059】
また、同系色でない色同士の混合を行う場合において、それら色のドットの形成位置ずれにより生じ得る濃度むらは、同系色の濃度むらを上述のように抑制しておくことで、より効果的に抑制することができる。また、異なる色のドットのレジストレーションずれが生じた場合と同系色のドットのレジストレーションずれが生じた場合とで大きく異なるのは、前者の場合は画像データの処理における2値化演算が独立しているので、レジストレーションがずれても発生する濃度むらが規則的な周期になりにくい一方、後者の場合は画像処理のための所定の演算(ディザ法ないし誤差拡散法等による疑似中間調処理のための演算)によって定められた所定のパターンを用いたマスク処理等を施して画像データを各プリントヘッドに振り分けるので、規則的な組み合わせを生じ易い。従って、後者の場合は、レジストレーションがずれた場合に規則的な濃度むらを形成し易く、それだけ同系色同士のレジストレーションのずれの方が視覚的に濃度むらが目立ち易い状態にあるといい得るので、本実施形態の構成が有効となるのである。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、同系色の特に有彩色用のプリントヘッドが複数用いられたシリアルスキャン方式のプリント装置において、少なくとも1つの有彩色の同系色ヘッドを近接させた状態で配置してプリントを行うようにすることにより、均一な色再現および高品位の画像形成を実現することができる。また、同系色のインク用のプリントヘッドを近接配置することで、インクの取扱いおよびインクの供給経路やインクタンクを共通化することができ、プリントヘッドないしその関連部品、ひいてはプリント装置の構成の簡易化に資する効果も得られる。
【0061】
なお、プリントヘッドおよびインクタンクの形態としては種々のものを用いることができる。例えば、上述の構成において、インクタンク19とプリントヘッド1とを一体のカートリッジとしてキャリッジの搭載部に着脱可能な形態とすることができる。そして、そのようなカートリッジでは、プリントヘッドはインクタンクと分離不能な構成であってもよく、また両者を分離可能としてインク残量が無くなったとき等にインクタンクのみを単独で交換する構成とすることもできる。
【0062】
また、プリントヘッドのみをカートリッジの形態として、装置の別の部位に設けたインクタンクからパイプ等を介してインク供給を受ける構成でもよい。また、この構成において、インク供給路の途中に加圧手段としてのギアポンプ等を配設する一方、プリントヘッドからインクタンクへのインク還流路をパイプ等によって形成してもよい。
【0063】
また、プリントヘッドの種類や個数は例示であって、所望の色調(色,濃度)やプリント密度等に応じたものを適宜用いることができるのは勿論である。
【0064】
さらに、プリントヘッドとしては、それぞれについて図1に示した吐出部の構成を1つのチップとして有するものとするほか、ノズル群(1または複数列に配列されたものでよい)を設けた吐出部を複数並列かつ一体に有するとともに、各吐出部宛にそれぞれインクを導入可能な流路が設けられた構成にあって、当該プリントヘッド内において近接する少なくとも2つの吐出部が同系色のインク吐出を行うようにするものでもよい。すなわち、例えば図7の構成においては各搭載部に独立した4つのプリントヘッドが設けられるものとしたが、同等の機能を果たす4つのチップ形態の吐出部を1つの筐体に収納してなるプリントヘッドとすることもできる。
【0065】
さらに、図7には図示されていないが、図2の構成と同様、プリントヘッド1aおよび1bの吐出口面と対向して該吐出口面に密着可能なキャッピング手段等を有した回復ユニットを設けることもできる。
【0066】
加えて、本発明は上述した2パスプリント方法に限定されるものではなく、上記各スキャン間で吐出口配列範囲の1/nずつの副走査を行うnパスプリント(n≧1)を行うものとすることができるのは勿論である。また、形成すべき画像等に応じて当該n値を可変設定できるものでもよい。
【0067】
これらのことは以下の実施形態においても同様である。
【0068】
さらに、図7の構成においては、1つのキャリッジ121に2つの搭載部を設けたものとしたが、スキャンに際して相対位置のずれが生じないのであれば、各搭載部毎にキャリッジが設けられていてもよい。
【0069】
また、上述のようなカラーインクを用いてプリントを行うモード(カラーモー)、および単色インクのみを用いてプリントを行うモード(モノクロームモードまたは白黒モード)など、形成する画像に応じたプリント手段およびプリントモードを具備した装置の場合には、本発明を少なくともカラーモードにのみ適用してもよく、他のモード(モノクロームモードや単色カラーでのプリントモード等)においても同系色を用いるのであれば、そのモードでも本発明が適用されるようにしてもよい。
【0070】
(第2の実施形態)
図9は本発明を適用したインクジェットプリント装置の第2の実施形態の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【0071】
本実施形態は特に、基本的には図4について説明した構成を有するインクジェットプリント装置に本発明を適用した場合について示すものである。すなわち、本実施形態においても、それぞれ別のガイドレールに支持されるとともに各別の駆動モータ26a,26bによって駆動されるキャリッジ21’a,21’bを設けるとともに、それぞれに複数(4個)のプリントヘッドを搭載している。そして、各キャリッジの往復いずれか一方向へのスキャン時にプリントが行われるが、特に同期を取ってスキャンすることは必要条件ではない。但し、被プリント材23aは、キャリッジ21’aおよび21’bのスキャン間で、スキャン方向(Sa,Sb)と直交する方向Ssに搬送されるものとする。
【0072】
図4のような構成において4色のインク用のプリントヘッドを2つずつ用いる場合には、上述のように、各々のキャリッジに4色分ずつ配置するのが一般的であったが、本実施形態のキャリッジ21’aおよび21’bには、図4の例と異なり、同系色のプリントヘッドについては同じキャリッジ上に近接した状態で装着する。
【0073】
すなわち、図9に示すように、キャリッジ21’aには、マゼンタ用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ma,19Maおよび1Mb,19Mbが装着されるとともに、シアン用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ca,19Caおよび1Cb,19Cbが装着される。また、キャリッジ21’bには、イエロー用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ya,19Yaおよび1Yb,19Ybが装着されるとともに、ブラック用のプリントヘッド,インクタンクの組1Ba,19Baおよび1Bb,19Bbが装着される。
【0074】
図4のような配置構成では、上述したように2つの独立したキャリッジにそれぞれ搭載されるプリントヘッド同士のレジストレーションを精密に行うことは非常に困難である。特に、図4のような基本的構成では、装置上の精度をいくら合わせてもインクの打ち込みによって被プリント材23aが伸縮することもある。
【0075】
これに対して、本実施形態のように、上述した第1の実施形態と同様に、同系色用のプリントヘッドについては同じキャリッジ上に近接した状態で装着することによって、これらの問題を有効に解消することができるのである。
【0076】
(他の実施形態)
上述した第1および第2の実施形態においては、キャリッジ(121,21’a,21’b)がSa方向またはSb方向のいずれか一方向に移動する際にプリント動作を行うものであった。しかしこれらの実施形態において往復方向への移動時にプリント動作を行うようにすることもでき、以下ではその場合の好ましいプリント動作の態様について述べる。
【0077】
まず、上述した第1の実施形態の構成(図7)を用いて往復プリントを行う場合、すなわちキャリッジをSa方向にスキャンする過程でのプリント(往方向プリント)と、Sb方向にスキャンする過程でのプリント(復方向プリント)とを行う本発明の第3の実施形態について説明する。
【0078】
このような往復プリント動作を行うためには、往復のカラーインクのプリント順序を等しくする目的で、従来は上述の図3に示したように左右対象の色順となるようプリントヘッドを並置した構成が一般的であった。
【0079】
これに対し、本実施形態では、キャリッジ121の搭載部121aにマゼンタ用のプリントヘッド1Maおよび1Mbを装着するとともに、シアン用のプリントヘッド1Caおよび1Cbを装着し、また搭載部121bにイエロー用のプリントヘッド1Yaおよび1Ybを装着するとともに、ブラック用のプリントヘッド1Baおよび1Bbを装着した図7の構成において、キャリッジ121の往方向スキャン時に搭載部121aに装着されているプリントヘッド、復方向スキャン時に搭載部121bに装着されているプリントヘッド2でプリント動作を行うようにした。
【0080】
かかる往復プリントを行う本実施形態は、プリント速度を向上するという利点よりむしろ、インク吸収速度が遅い被プリント材に対してプリントを行う場合に、インク吐出を分割してプリントすることで対処できるという利点がある。その他の効果は上記第1の実施形態と同様である。
【0081】
なお、同系色用のプリントヘッドについては同じキャリッジ上に近接した状態で装着する本実施形態の構成において、往方向プリント時は図7中の奇数番目に配置されたプリントヘッド、復路プリントでは偶数番目に配置されたプリントヘッドというように、1つおきにプリントに使用することも考えられ、かかる実施形態も本願発明の範囲に含まれるものである。しかしながらキャリッジ駆動の高速化に伴い、伝動機構を構成するギアのバックラッシュや、モータ,ベルトのガタなどの影響が往方向プリントと復方向プリントでの僅かな位置ずれとなって顕われることから、同系色については同一方向へのスキャン時にプリントを行うようにするという第3の実施形態のプリント態様の方が、濃度むらを効果的に抑制するという点においてより好ましいものである。
【0082】
次に、第2の実施形態の構成(図9)を用いて往復プリントを行う実施形態を採る場合には、キャリッジ21’aが往方向にスキャンしている際にキャリッジ21’bに復方向スキャンを行わせ、それらスキャンの過程でプリント動作を実行させるとともに、双方のスキャンが終了した際に被記録材の搬送を行うようにすればよい。この実施形態と上記第2の実施形態との違いは、プリントを行う際に2つのキャリッジが同じ方向に移動するか逆の方向に移動するかによって、片方向プリントか往復プリントかが区別されるものであるが、いずれの場合も本発明の範囲に含まれるものである。
【0083】
(その他)
以上の各実施形態では、プリントヘッドからインクをプリント媒体に吐出して画像を形成するインクジェット方式のプリント装置における例を示したが、本発明はその構成に限定されるものではない。プリントヘッドとプリント媒体とを相対的に移動させて、ドットを形成してプリントを行うものであれば、方式を問わずいずれのプリント装置についても有効である。
【0084】
しかし特にインクジェットプリント方式を用いる場合には、その中でも特に、インクジェットプリント方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式のプリントヘッド、プリント装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によればプリントの高密度化,高精細化が達成できるからである。
【0085】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、プリント情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、プリントヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書,同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れたプリントを行うことができる。
【0086】
プリントヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、プリントヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によればプリントを確実に効率よく行うことができるようになるからである。
【0087】
さらに、プリント装置がプリントできるプリント媒体の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプのプリントヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのようなプリントヘッドとしては、複数プリントヘッドの組合せによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個のプリントヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0088】
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装置本体に固定されたプリントヘッド、あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプのプリントヘッド、あるいはプリントヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプのプリントヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0089】
また、本発明のプリント装置の構成として、プリントヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、プリントヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、プリントとは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げることができる。
【0090】
また、搭載されるプリントヘッドの種類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けられたものの他、プリント色や濃度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられるものであってもよい。すなわち、例えばプリント装置のプリントモードとしては黒色等の主流色のみのプリントモードだけではなく、プリントヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの各プリントモードの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0091】
さらに加えて、以上説明した本発明実施形態においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用プリント信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよい。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギのプリント信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、プリント媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0092】
さらに加えて、本発明プリント装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同系色の特に有彩色用のプリントヘッドが複数用いられたシリアルスキャン方式のプリント装置において、少なくとも1つの有彩色の同系色ヘッドを近接させた状態で配置してプリントを行うようにすることにより、均一な色再現および高品位の画像形成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリント装置において用いられるプリントヘッドの吐出部の概略構成を説明するための一部破断斜視図である。
【図2】従来から用いられてきた代表的なインクジェットプリント装置の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図3】同系色のヘッドを複数設けた構成として、往方向プリントに用いるヘッドと復方向プリントに用いるヘッドとを具備したインクジェットプリント装置の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図4】同系色のヘッドを複数設けた他の形態のインクジェットプリント装置の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図5】(a)〜(e)は、50%の千鳥状パターンを2つのヘッドにてプリントする場合の各ヘッドによる理想的なドット形成状態について説明するための説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、50%の千鳥状パターンを2つのヘッドにてプリントするときに各ヘッドによるドット形成状態がずれた場合について説明するための説明図である。
【図7】本発明を適用したインクジェットプリント装置の一実施形態の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図8】図7の実施形態のプリント装置によるプリント動作の説明図である。
【図9】本発明を適用したインクジェットプリント装置の第2の実施形態の概略構成例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 プリント手段(プリントヘッド)
1a プリントヘッド
1b プリントヘッド
2 基板
3 電気熱変換体
4 電極
5 ノズル壁
6 天板
7 インク供給パイプ
8 共通液室
9 パイプコネクタ
10 液路
11 吐出口面
13 吐出口
19,19a,19b インクタンク
21,121 キャリッジ
21a,21’a キャリッジ
21b,21’b キャリッジ
22 キャッピング手段
23 プラテンローラ
23a 被プリント材
24a,24c ガイドレール
24b ベルト
25 搬送モータ(紙送りモータ)
26 キャリッジモータ

Claims (10)

  1. 1色以上の有彩色を含む複数色を用いた画像形成が可能で、前記有彩色に関して同系色のプリント剤をプリント媒体に付与するための少なくとも2つのプリント手段を含む複数のプリント手段を用い、該複数のプリント手段をプリント媒体に対して相対的に走査させることにより画像形成を行うプリント装置であって、前記同系色のプリントを行うための前記少なくとも2つのプリント手段を前記走査の方向に近接配置して画像形成を行うようにしたことを特徴とするプリント装置。
  2. 前記複数のプリント手段は、前記走査を行うための少なくとも2つの搭載部に分かれて装着され、前記同系色のプリントを行うための前記少なくとも2つのプリント手段は1つの前記搭載部に装着されることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
  3. 前記少なくとも2つの搭載部は前記走査方向に往復移動可能な一体のキャリッジ上に構成されることを特徴とする請求項2に記載のプリント装置。
  4. 前記少なくとも2つの搭載部は独立して前記走査方向に往復移動可能な別体のキャリッジとして構成されることを特徴とする請求項2に記載のプリント装置。
  5. 前記搭載部の前記往復移動の方向のいずれか一方向への走査時に画像形成を行わせるようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載のプリント装置。
  6. 前記同系色について少なくとも2つのプリント手段が用いられる有彩色は、形成された画像の濃度むらが視認されやすい色であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプリント装置。
  7. 前記複数色はイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを含み、少なくともマゼンタおよび/またはシアンに関してそれぞれ前記少なくとも2つのプリント手段が用いられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のプリント装置。
  8. 前記プリント手段は、前記プリント媒体に対してインクを吐出する吐出部を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のプリント装置。
  9. 前記吐出部を複数、それぞれチップの形態で一体に有するとともに、当該複数の吐出部の各々にそれぞれインクを導入可能な流路を有したプリントヘッドを用い、当該プリントヘッド内において近接する少なくとも2つの吐出部によって前記同系色のインクの吐出を行うようにしたことを特徴とする請求項8に記載のプリント装置。
  10. 前記吐出部は、前記インクを吐出するために利用されるエネルギとして前記インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生するための電気熱変換体を有することを特徴とする請求項8または9に記載のプリント装置。
JP2002169147A 2002-06-10 2002-06-10 プリント装置 Pending JP2004009654A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002169147A JP2004009654A (ja) 2002-06-10 2002-06-10 プリント装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002169147A JP2004009654A (ja) 2002-06-10 2002-06-10 プリント装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004009654A true JP2004009654A (ja) 2004-01-15

Family

ID=30435843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002169147A Pending JP2004009654A (ja) 2002-06-10 2002-06-10 プリント装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004009654A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005145046A (ja) * 2003-10-24 2005-06-09 Seiko Epson Corp 印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法
KR100846801B1 (ko) * 2007-02-12 2008-07-16 삼성전자주식회사 잉크젯 화상형성장치 및 잉크젯 화상형성장치의 인쇄 방법
JP2008290370A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2011131610A (ja) * 2011-04-08 2011-07-07 Seiko Epson Corp 印刷装置及び印刷方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005145046A (ja) * 2003-10-24 2005-06-09 Seiko Epson Corp 印刷装置、コンピュータプログラム、印刷システム、及び、印刷方法
KR100846801B1 (ko) * 2007-02-12 2008-07-16 삼성전자주식회사 잉크젯 화상형성장치 및 잉크젯 화상형성장치의 인쇄 방법
JP2008290370A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2011131610A (ja) * 2011-04-08 2011-07-07 Seiko Epson Corp 印刷装置及び印刷方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3762117B2 (ja) 記録装置および記録方法
US7708365B2 (en) Liquid-discharge recording head
US7585040B2 (en) Printing apparatus and printing method
JP4182123B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP4261980B2 (ja) 画像形成方法
JP2001171119A (ja) 液体吐出記録ヘッド
JPH06171111A (ja) インクジェット記録装置
JP2002166536A (ja) インクジェット記録装置
JP3639703B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
US6655773B2 (en) Gray scale pattern and recording method and recording apparatus employing the gray scale pattern
JPH11216856A (ja) 記録装置および方法
JP2003326750A (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP4027135B2 (ja) インクジェット記録装置
JP5178384B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP5224968B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2004142452A (ja) インクジェット記録方法及び装置、プログラム
JP2002036515A (ja) 記録装置および記録方法
JP2008307722A (ja) 記録装置及びその記録方法
JP2002192727A (ja) インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2004009654A (ja) プリント装置
JPH06255132A (ja) インクジェット記録装置
JPH10157137A (ja) 記録装置および方法
JP3236034B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JPH06278284A (ja) 画像形成装置及びその方法
JP2011011555A (ja) 記録位置調整方法およびインクジェット記録装置