JP2004009211A - カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カムシャフト(11)またはクランクシャフト(12)をそれぞれの軸であるC軸回りに等速度で回転させ、C軸回転に同期させて、C軸と平行な軸回りにそれぞれ回転自在で、かつ、C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタ(32,32)を使用し、カムシャフトのカム(11a,11a)またはクランクシャフトのピンジャーナル(12a,12a)を切削中に、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御して、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カムシャフトのカム、またはクランクシャフトのピンジャーナルにおける、加工能率向上および加工精度の向上を可能にする加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カムシャフトの加工精度を向上させる技術としては、例えば特開平4−171109号公報に記載されたカムシャフトの等負荷切削方法が知られている。そしてこの技術は、カムシャフトの回転速度と一定回転させたカッタの切り込み量とをNCプログラムにより同期制御することにより、カムシャフトのカム面を切削加工するカムシャフトの加工方法であって、カムのリフトデータと取代からNC指令1ブロック毎に切削面積を数値解析し、各1ブロックでの単位時間当りの切削面積が全周に亘ってほぼ同一となるようにカムシャフトの回転速度を制御することを特徴としている。この結果、切削中の負荷が均一化され、負荷変動による加工精度の低下を防止できるとしている。
【0003】
また従来、クランクシャフトのピンジャーナル外径加工の加工精度において、その真円度に関しては、機械自体の剛性を上げても、加工時にワーク自体が切削負荷によって撓み、かつその撓み量もワークの回転位相方向で異なるため、機械側を操作して加工精度を上げるのが困難とされている。かかる不具合を改善するため、例えば特開昭54−57285号公報、特許番号第2691894号公報などの従来例がある。
【0004】
そして、前者の特開昭54−57285号公報では、真円度補正をしながらピンジャーナル外径を加工する、クランクシャフトミラーの制御装置が提案されている。この公報の技術は、その両端を固定されたワーク(クランクシャフト)の周囲へカッタを回転させてワークのピンジャーナルおよびメインジャーナル外径を加工するクランクシャフトミラーにおいて、倣い方式でワークの回転角を基準としてY軸におけるカッタの送り量を制御することによりワークを加工するようにしたものである。そして、その制御過程において、予め同一条件でピンジャーナルおよびメインジャーナル外径を切削し、その切削部分を真円度測定機で測定し、その測定結果からある角度毎の真円度誤差を算出し、所定角度位置毎の真円度補正量を作成してこれをメモリに記憶した後、この真円度補正量を基にY軸サーボモータを制御して、ワークの加工を行うようにしている。
【0005】
また、前者の特開昭54−57285号公報のクランクシャフトの加工技術に対し、真円度補正サブプログラムのデータが短時間で精度良く入力できるように改善した技術として、後者の特許番号第2691894号に記載されたピンジャーナル外径の真円度補正技術がある。この技術は、固定されたワーク(クランクシャフト)の周囲へカッタを回転させてワークのピンジャーナルおよびメインジャーナル外径を加工するクランクシャフトミラーの技術に関するものである。その技術の主旨は、Y軸送りモータによりY軸方向へ往復自在なスライドに、スイングモータにより回転中心を中心に揺動自在なスイングドラムを設け、このスイングドラムの回転中心よりY軸方向へ偏芯した位置にワークを切削加工する回転カッタを回転自在に設けたクランクシャフトミラーにおいて、次の4つの制御手段を備えている。記憶された加工データに基づいてワークの加工を制御する第1の制御手段。第1の制御手段を制御するための加工データ及び真円度補正データを入力、記憶および出力する第2の制御手段。加工済ワークの加工個所の真円度を所定角度毎に測定して、得られた測定値を入力する手段を有し、かつ入力された測定値から所定角度毎の真円度補正データを作成する第3の制御手段。上記所定角度毎の真円度補正データから、所定角度より小さい設定角度毎の真円度補正データに比例配分して、回転カッタの加工分割角度毎のデータに変換する第4の制御手段。
そして、得られた効果として、メーカ側で真円度補正サブプログラム(第3の制御手段)を予め作成しておくことにより、機械を使用するユーザはメインプログラム(第1の制御手段)に加工するワークのデータを入力するだけでワークの加工が可能になると共に、加工プログラムをメインプログラムとサブプログラムに分割することにより、プログラムの取扱いも容易となるとしている。
【0006】
次に従来、カムシャフトのカムを効率良く加工する技術として、カッタを2基同時に使用し、同一カムシャフトの2つのカムを同時に加工する、いわゆる2頭のカッタヘッドを有したカムミラーが一般的に採用されてはいるが、この場合、同一のワーク軸上にある2つのカムの回転速度を個別に変えられないことから、ワークを所定の等速切削回転送りで回転させ、ミーリングカッタを、切削時の最大負荷の条件を考慮して安全側に定めた一定の回転速度で回して、2つのカムを同時に加工している。
【0007】
さらに、クランクシャフトのピンジャーナル加工においても、その効率を上げるための技術として従来は、上記カム加工の場合と同様に、カッタを2基同時に使用し、同一クランクシャフトの2つのピンジャーナルを同時に加工する、いわゆる2頭のカッタヘッドを有したクランクシャフトミラーが一般的に採用されている。この場合、ワーク等速回転方式のクランクシャフトミラーにおいては、安全側に低く抑えられた一定の回転速度で回転するミーリングカッタでピンジャーナルを加工しているのが常である。この理由は、ワークを等速回転させても、(後述するように)ワークの回転位相により切削送りに変動が生じるため、切削負荷が変動し、ピンジャーナルの加工誤差として真円度が悪くなる恐れから、その送り変動が最も速くなり、その切削負荷が最も大きくなる最も不利な切削加工条件を考慮して、安全側に低くとった一定のカッタの回転速度としているからである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、特開平4−171109号公報に記載された、カムシャフトの等負荷切削方法の従来技術においては、以下のような問題がある。
最近、カムシャフトのカム加工の生産効率向上が要望され、その解決策として、カッタを2基同時に採用し、同一カムシャフトの2つのカムを同時に加工する、いわゆる2頭のカッタヘッドを有したカムミラーの要求がある。
しかし、同一カムシャフトの2つのカムを同時に加工する場合、2つのカムはたとえそのプロフィル(カム形状)が同じであっても、それぞれカムシャフト軸回りの位相が異なっているのが常であり、本従来技術の様に、カムのリフトデータと取代からNC指令1ブロック毎に切削面積を数値解析し、各1ブロックにおける切削回転速度のNC指令値を、各1ブロックでの単位時間当りの切削面積が全周に亘ってほぼ同一となるようにカムシャフトの回転速度を制御する技術では、同一軸上にある異位相の2つのカムを、それぞれ個別にその回転速度を制御できないことから、同時に等負荷切削することはできない。
よって、上記の従来技術では、カッタヘッドを2頭化して加工能率を上げ、かつ等負荷切削を行うことによりカムプロフィルの加工精度を良くすることは不可能であった。
【0009】
次に、クランクシャフトのピンジャーナルを効率良く加工するために、2頭のカッタヘッドを有したクランクシャフトミラーが一般的に採用されているのは先に述べたが、この場合、ミーリングカッタを、所定の一定の回転速度で回してピンジャーナルを加工しているため、ワークの回転位相により生じる送り変動(後述する)に比例して切削負荷が変動する。この送り変動が生じると、送りの速い部分は切削負荷が大きくなり、ワークが変位(曲り)してその径方向のワーク(加工部位)の逃げ量が多くなるため、加工径が大きくなり、また送りの遅い部分は切削負荷が小さくなることから加工径は小さくなり、その結果としてピンジャーナルの真円度が悪くなる。このため、カッタの回転速度はその送り変動が最も速く、その切削負荷が最も多い、最も不利な切削加工条件に合わせて安全側に低く抑えた回転速度としている。即ち、この従来技術では、なるほど2頭のカッタヘッドを採用し、加工能率を上げてはいるものの、カッタの回転速度を安全側に低く設定している以上、その加工効率においても未だ改善の余地があると言えた。
【0010】
また従来、クランクシャフトのピンジャーナル外径加工の加工精度向上において、特にその真円度に関しては、機械自体の剛性を上げても、加工時にワーク自体が切削負荷によって撓み、かつその撓み量もワークの回転位相方向で異なるため、機械側を操作して、加工精度を上げるのが困難とされている点、また、ワークを一定回転速度で回転させ、かつカッタを等速度回転させて切削した場合、ピンジャーナル外径におけるカッタの切削位置における送り速度は、回転位相角度の違いにより変動が生じ、これによる切削負荷の変化が生じるため、切削の高速送り(ワークの回転数を上げること)ができず生産性を向上できない点、また上記2つの要因によってピンジャーナル外径加工の高い真円度が得られ難いとされている点などの問題があった。
かかる問題点において、その加工精度を改善するため、例えば特開昭54−57285号公報、特許番号第2691894号公報などの従来例があるのは前述の通りであるが、これらの技術は何れも、誤差を生じないような積極的な加工制御技術ではなく、加工時に上記理由で生じた真円度の誤差をただ単に補正しているに過ぎない。従って、その加工精度の向上に限界があるのは否めなかった。
【0011】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルにおける加工能率向上および加工精度向上を可能にする加工方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、第1発明は、カムシャフトまたはクランクシャフトをそれぞれの軸であるC軸回りに等速度で回転させ、前記C軸回転に同期させて、C軸と平行な軸回りにそれぞれ回転自在で、かつ、C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタを使用し、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルを切削中に、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御して、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工することを特徴とするカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法としている。
【0013】
第1発明によると、上記加工方法としたので、2基のカッタを使用してカムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工できるため、加工効率が上げられる。さらに、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御することから、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルのそれぞれの等負荷切削が可能となり、負荷変動による機械系またはワークの振動、刃先のチッピングなどが発生することがなく、極めて安定した切削加工ができるので、カム形状の加工精度またはピンジャーナルの真円度が格段に良くなると共に、加工個所毎に最適な加工条件で同時に、等負荷切削が行われる結果、加工時間が短縮でき、加工効率が良くなる。
さらに、等負荷切削を行うことから、従来のカッタ2頭式の機械の場合に発生していた負荷変動による工具刃先への悪影響がなく、極めて安定した切削加工ができるので、工具寿命の延長が図れ、またこれにより工具交換インターバルが長く取れることから、機械の稼働率の改善が期待できる。
【0014】
また第2発明は、カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法において、カムシャフトまたはクランクシャフトをそれぞれの軸であるC軸回りに等速度で回転させ、前記C軸回転に同期させて、C軸と平行な軸回りにそれぞれ回転自在で、かつ、C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタを使用し、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルを切削中に、それぞれの負荷の大きく変動する部分のみ、前記それぞれのカッタの切削回転速度を上げる制御を行って、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工する方法としている。
【0015】
第2発明によると、上記加工方法としたので、特にカムシャフトのカム切削の場合のように、ワークの等速回転中に特定の回転位相部分にのみ切削負荷の最大値が存在するような加工条件の場合、その部分のみカッタの切削回転速度を上げて切削負荷を軽減するといった、極めて簡易な制御方法で、前記第1発明による効果と同様な加工能率の改善および加工精度向上ができる。
【0016】
また第3発明は、第1発明または第2発明において、前記カッタは、切刃をその外周面上に配した円盤型のフライスカッタを使用してフライス加工を行うことを特徴とするカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法としている。
【0017】
第3発明によると、カッタにフライスカッタを使用してフライス加工を行うので、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルの加工に際し、これらワーク素材が鍛造または鋳物の黒皮状態での荒加工から、研削仕上げ加工前の中仕上げ加工まで、一気に加工でき、生産性を高くできる。
【0018】
また第4発明は、第1発明または第2発明において、前記カッタは、円盤型の研削砥石を使用して研削加工を行うことを特徴とするカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法としている。
【0019】
第4発明によると、カッタに研削砥石を使用して研削加工を行うので、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルの加工に際し、カムプロフィルの形状加工精度またはピンジャーナルの真円度を改善できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1により、本発明に係るカムシャフトまたはクランクシャフトの加工機の概略構成を説明する。図1は本発明に係るカムシャフトまたはクランクシャフト加工機の斜視図である。
本機は、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルなどのワーク1を加工するミーリング加工機である。
ベッド60上の前面の左右両端部には、加工すべきワーク1(カムシャフトまたはクランクシャフト)の両端部を支持し、回転駆動モータ23,23により回転駆動させる2基の回転駆動装置20,20が設けられており、これら両回転駆動装置20,20には、その対向面に位置するチャック21a,21a、および該チャック21a,21aを駆動するクランプシリンダ21b,21bよりなる、ワーク1の両端部を支持するための支持装置21,21がそれぞれ設けられている。2基の回転駆動装置20,20は、左右の支持装置21,21の間隔をワーク1の軸方向長さに合わせるため、図示しないレール上をワーク軸と平行な方向に移動自在に構成されている。
【0022】
また、両支持装置21,21の間には補助サポータ24を設けており、この補助サポータ24には、前記レール上をワーク軸方向に移動自在とされ、ワーク1の中央部近傍の所定メインジャーナル位置に位置決め自在とされた補助サポータ本体24aと、この補助サポータ本体24aの上部に具備され、図示しない求心クランプにより前記所定のメインジャーナル部をワーク1の回転に対しぶれを生じさせることなくサポートする補助サポータ爪24bとを備えている。
【0023】
そして、両支持装置21,21およびワーク1の後方には、2基のカッタ駆動ユニット30,30が設置されており、これら2基のカッタ駆動ユニット30,30は、Z軸駆動モータ42a,42aとX軸駆動モータ41a,41aとにより、ワーク1の軸方向(Z軸)と軸直角方向(X軸)とにそれぞれ移動自在な、Z軸スライド42,42とX軸スライド41,41とで構成された左右1対のサドル40,40上にそれぞれ載置されている。
【0024】
また、2基のカッタ駆動ユニット30,30のZ軸方向の対向面側には、カッタ32,32としてそれぞれ、刃具31,31をその外周部に着脱可能に装着したフライスカッタ32a,32aが回転自在に設けられている。
そして、このフライスカッタ32a,32aは、歯車箱37,37内の減速歯車(図示せず)を介して、速度可変型カッタ主軸モータ33,33により、前記C軸に平行に設けられた、その軸心であるB軸回りに、回転速度変換自在にNC駆動される構成としている。
【0025】
なお、本実施例においては、本機をカムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルを加工するミーリング加工機として、そのカッタ32は外周面上に切刃を配した円盤型のフライスカッタ32aを採用したが、本機を研削機として採用し、そのカッタ32が外周面上に砥粒を切刃として配した円盤型の研削砥石32bであってもよい。
【0026】
以上、本発明に係るカムシャフトまたはクランクシャフトの加工機は、ワーク1の支持装置21を、ワーク1の両端を支持する両端支持、および両端駆動としたが、これをワーク1の一端側支持および片側駆動とし、他端側をテールストックによるセンタ支持とする方式としてもよい。
また、軸方向長さが短いワーク1の場合、一端側片持支持および片側駆動のみの方式も考えられる。
【0027】
さらに本機には、C軸回転駆動モータ23によりワーク1(カムシャフトまたはクランクシャフト)を、C軸回りに等速度で回転させるC軸回転駆動装置20と、このワーク回転に同期して、前記C軸と平行なB軸回りにそれぞれ速度変換自在に回転させ、かつX軸駆動モータ41aにより前記C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタ32,32とを使用し、ワーク1(カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナル)を切削中に、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるようにカッタ32,32の切削回転速度を変換する制御、または、それぞれの負荷の大きく変動する部分のみで前記それぞれのカッタ32,32の切削回転速度を上げる制御を行って、ワーク1を、それぞれの前記カッタ32,32で同時に加工するための制御装置(図示せず)を備えている。
【0028】
また、この制御装置は、左右のC軸回転駆動モータ23、23によるワーク1の回転の際に、ワーク1にトルク変動によるねじり変位が生じないよう、左右のC軸回転駆動モータ23、23を同期回転させるため、回転同期制御機能を備えている。
【0029】
次に、図1〜図3により、第1実施形態の加工機によるカム11aの加工方法を説明する。図2は本発明の第1実施形態に係るカムシャフトのカムの切削状態を示す図であり、図3は第1実施形態に係るカムシャフトのカムにおける切削面積の変化を示す図である。
【0030】
(1)先ず、カム11aを加工する前に、本機の制御装置に、カムシャフト11の諸元、例えば、カムシャフト11の全長、カム11aのプロフィル、カム11aの長手方向位置(Z軸位置)、カム11aの位相、およびカッタ32a,32aの半径(カッタ中心から刃具31の刃先位置までの距離)などの値を入力設定する。
また、他の事前設定として、2基のC軸回転駆動装置20,20をレールの上を移動させることにより、支持装置21,21の間隔をカムシャフト11の長さに合わせておく。
さらに、これら両支持装置21,21の間に設けた補助サポータ24を、レール上を移動させて、カムシャフト11の中央部近傍で所定のメインジャーナルの位置に移動し、補助サポータ爪24bのクランプ準備をしておく。
【0031】
(2)次に、加工対象カムシャフト11を、本機の両側の支持装置21,21内に搬入し、それぞれの図示しないチャック三つ爪で、カムシャフト11の両端のメインジャーナル部を把持すると共に、カムシャフト11のC軸の回転角度位相(θ角度)を、C軸回転駆動装置20で所定の位相原点に位置決めする。そして、切削負荷に抗するワークの曲げ剛性を上げるため、補助サポータ24の補助サポータ爪24bでカムシャフト11の中央部近傍のメインジャーナルをカムシャフト11の回転に対し回転自在に把持して補助サポートする。
【0032】
(3)続いて、カム11aの切削工程に入るが、まずカムシャフト11のカム11aにおけるカム面形状(プロフィル)の加工方法を図2,図3により説明する。図2において、カムシャフト11はC軸回転駆動モータ23によりそのカム11aの中心O1(C軸)回りに、切削送りのための所定低速で等速度回転される。一方、フライスカッタ32a,32aは、その中心O2(B軸)の回りに回転される。
【0033】
通常、カム11aの加工取代は、カムシャフト11を一定速度で回転させて切削加工した場合、例えば図2に示すように、C軸を所定の角度で小分割した1ブロック毎の切削面積S1,S2,S3…は、カム面11bの形状(プロフィル)に従って、カム11aの回転位相により変化(増減)する。また、この回転位相角度に対する切削面積の変化をグラフで表わすと図3に示すようになり、切削面積が大きく変化しているのがわかる。従って、フライスカッタ32a,32aをその中心O2の回りに、従来のように等速回転させた場合、その加工切削負荷は切削面積の増分に比例して、増加することになる。この結果、切削面積が大きく変化するのに伴い加工誤差が大きくなる。このため、従来は、この加工誤差をあるレベルに維持するため、最大負荷時のフライスカッタ32a,32aの1刃当りの取代を安全側に小さくとり、カムシャフト11の一定の回転速度を低く押さえることで、カム加工の生産性を犠牲にしていた。
【0034】
そこで、本発明の第1実施形態に係るカムシャフトのカム加工方法においては、カムシャフト11をその軸であるC軸回りに等速度で回転させ、このC軸回転に同期させて、2基のフライスカッタ32a,32aをこのC軸と平行なB軸回りにそれぞれ回転速度変化自在で、かつ前記C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした。そして、カムシャフト11のカム面11b,11bを切削中に、カムのリフトデータと取代とから、C軸を小分割し、所定の算式(例えば前述の従来例の特開平4−171109号公報に記載された算式)を用いて数値解析し求めた1ブロック毎の切削面積の変動値から、変動する切削負荷を求め、この変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一(すなわち、カッタの1刃当たりの、カム面上の送り長さが略均一)となるように、左右の速度可変型カッタ主軸モータ33,33で前記それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を、NCプログラム指示により最適制御して、カムシャフト11の2つのカム11a,11aを、それぞれの前記フライスカッタ32a,32aで同時に加工するようにした。
そしてこの加工方法によった結果、上記の問題点が大幅に改善された。
【0035】
次に実際の加工を説明すると、先ず、カッタ駆動ユニット30をZ軸移動させてフライスカッタ32a,32aを、カムシャフト11のいずれか所定の2つのカム11a,11aの加工位置にそれぞれ位置決めし、前記のようにそれぞれ速度可変型モータ33,33によりフライスカッタ32a,32aの回転速度を制御しながら、これらのカム11a,11aをそれぞれ独立に同時加工する。そしてこの加工後に、順次続けて、カッタ駆動ユニット30をZ軸移動させてフライスカッタ32a,32aを、他の2つのカム11a,11aの加工位置にそれぞれ位置決めし、これらのカム11a,11aを2個づつ順次同時加工し、すべてのカム11a,11aを加工して、カムシャフト11の加工を完了する。
【0036】
(4)次いで、カッタ駆動ユニット30をX軸およびZ軸方向に移動させてフライスカッタ32a,32aをカムシャフト11から離してそれらの原点位置に後退させると共に、カムシャフト11のC軸の回転角度位相(θ角度)を、C軸回転駆動装置20で所定の位相原点に位置決めし、チャック21aをアンクランプしてカムシャフト11の両端メインジャーナル部の把持を開放する。
そして、カム加工の完了したカムシャフト11をチャック21a内から取り出し、カムシャフト加工の全行程を完了する。
【0037】
なお、上記の第1実施形態のカム加工方法においては、カム面11b,11bを切削するのに、変動する切削負荷を求め、この変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一(カッタの1刃当たりの、カム面上の送り長さが略均一)となるように、フライスカッタ32a,32aの切削回転速度を、NCプログラム指示により最適制御して、2つのカム11a,11aを同時に加工する方法としたが、次のような別の加工方法によってもよい。
即ち、カムシャフト11のカム面11b,11bを切削中に、カムのリフトデータと取代とから、C軸を小分割し、所定の算式を用いて数値解析し求めた1ブロック毎の切削面積の変動値から、それぞれの切削負荷(すなわち切削面積)の大きく変動する部分のみ、前記速度可変型カッタ主軸モータ33,33でそれぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を上げる制御をNCプログラム指示により行って、カムシャフト11の2つのカム11a,11aをそれぞれのフライスカッタ32a,32aで同時に加工する方法である。
【0038】
さらに、上記の第1実施形態のカム加工方法においては、C軸を小分割し、この小分割ブロック毎の切削負荷を負荷検出手段により(例えば、速度可変型カッタ主軸モータ33,33の電流値などに基づき)検出し、この変動する検出切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一(カッタの1刃当たりの、カム面上の送り長さが略均一)となるように、それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度をそれぞれ速度可変型カッタ主軸モータ33,33により最適制御するか、またはそれぞれの検出負荷の大きく変動した部分のみ、それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を上げる制御を行って、2つのカム11a,11aを同時に加工する方法としてもよい。
【0039】
以上の、第1実施形態によるカムシャフト11のカム11aの加工方法においては、そのカッタ32をフライスカッタ32aとし、これを使用したミーリング加工方式として説明したが、これに限定されず、前記カッタ32として円盤型の研削砥石32bを採用し、研削加工方式としたカムシャフト11のカム11aの加工方法としてもよい。
【0040】
次に、図1,図4,図5および図6により、第2実施形態に係るクランクシャフト12のピンジャーナル12aの加工方法を説明する。ここに、図4は本発明の第2実施形態に係るクランクシャフトのピンジャーナルにおける切削状態を示す図であり、図5は第2実施形態に係るクランクシャフトのピンジャーナルにおける切削送り速度の変化の説明図である。また、図6は第2実施形態に係るクランクシャフトのピンジャーナルにおける切削送り速度の変化を示す図である。
【0041】
(1)先ず、ピンジャーナル12aの加工開始前に、本機の制御装置に、クランクシャフト12の諸元、例えば、クランクシャフト12の全長、ピンジャーナル12aの、長手方向位置(Z軸位置)、1/2ストローク(C軸中心O3からピンジャーナル中心O4までの寸法、図4中のE寸法)、半径、位相、およびフライスカッタ32aの半径(カッタ32中心O2から刃具31の刃先位置までの距離)などの値を入力設定する。
【0042】
また、他の事前設定として、2基のC軸回転駆動装置20,20をレールの上を移動させることにより、左右の支持装置21,21の間隔をクランクシャフト12の軸方向長さに合わせておく。
さらに、これら両支持装置21,21の間に設けた補助サポータ24を、レール上を移動させて、クランクシャフト12の中央部近傍の所定メインジャーナルの位置に移動し、補助サポータ爪24bのクランプ準備をしておく。
【0043】
(2)次に、加工対象のクランクシャフト12を、本機の両側の支持装置21,21内に搬入し、それぞれの図示しないチャック三つ爪で、クランクシャフト12の両端のメインジャーナル部を把持すると共に、クランクシャフト12のC軸の回転角度位相(θ角度)を、C軸回転駆動装置20で所定の位相原点に位置決めする。そして、切削負荷に抗するワークの曲げ剛性を上げるため、補助サポータ24の補助サポータ爪24bでクランクシャフト12の中央部近傍のメインジャーナルをクランクシャフト12の回転に対し回転自在に把持して補助サポートする。
【0044】
(3)続いて、ピンジャーナル12aの切削工程に入るが、まず、この加工方法を図4,図5により説明する。
図4において、クランクシャフト12はC軸回転駆動モータ23によりその図示しないメインジャーナルの中心O3(C軸)回りに、切削送りのための所定低速で等速回転され、加工対象であるピンジャーナル12aはその中心O4がC軸中心から偏芯量E隔たった状態で、C軸を中心に回転される。一方、フライスカッタ32a,32aは、その中心O2(B軸)の回りに回転される。
通常、クランクシャフト12のピンジャーナル12aの外周における平均送り速度Fは、C軸回転角度をα、C軸回転角度αに対する加工範囲をβ、カッタ32aのワーク(ここではクランクシャフト12)への接触角度をγとし、C軸回転角度αの角速度を一定とした場合、図4および図5に示すように、α=βではないので、変動する(図4に示す角度位置ではピンジャーナル12aの外周における送り速度は、C軸回りの回転速度より速い)。
【0045】
ここで、ピンジャーナル12aの外周における送り速度Fが変化する様子を、図5により詳しく説明する。
クランクシャフト12は、そのメインジャーナルの中心O3(C軸)回りに、加工対象であるピンジャーナル12aはその中心O4がC軸から偏芯量Eだけ隔たった状態で、所定速度で等速回転している。図5(a)は、ピンジャーナル12aのフライスカッタ32aによるクランクシャフト12の加工開始状態を示している。このとき、ピンジャーナル12aとフライスカッタ32aとの接点をA点とする。
次に図5(b)において、クランクシャフト12は、そのメインジャーナルの中心O3回り(C軸時計回り)に90°旋回し、ピンジャーナル12aとフライスカッタ32aとの接点はB点まで移動している。図中斜線を施した部分が加工済みのピンジャーナル12a外径部で、この部分は(90°−γ)の範囲が加工され、その送りは遅くなっている。
続いて図5(c)において、クランクシャフト12は、そのメインジャーナルの中心O3(C軸)回りにさらに90°旋回し、ピンジャーナル12aとフライスカッタ32aとの接点はC点まで移動している。この斜線部分はB点からC点までの加工済みのピンジャーナル12a外径部で、(90°+γ)の範囲が加工されており、その送りは先の(90°−γ)の範囲よりも速くなっている。
【0046】
以上述べた、ピンジャーナル12aの外周における送り速度の変化状態を、横軸にワーク1のC軸回転角度を、縦軸に所定角度位置での送り速度と平均送り速度との速度比をそれぞれとって表わすと、図6のようになる。即ち、送り速度はC軸1回転当たり1回の周期で増減しているのが解る。
【0047】
また、このピンジャーナル12aの外周における平均送り速度F0(mm/min)は、カッタ回転数をn(1/min)、カッタ外周の刃間隔をf0(mm/刃)、カッタの刃数をK(刃)とした場合、
F0=nf0K …(1)
式で表わされる。しかし、実際は、ピンジャーナル12aの外周における送り速度Fが変動するので、カッタ回転数nを一定とした従来の加工方法では、カッタ外周の刃間隔が同一であるのにもかかわらず、ピンジャーナル12aの外周における1刃当りの送り長さf(即ち切削負荷に相当)はF値に比例して変動することになる。
F=nfK …(2)
【0048】
以上の理由で、従来技術で述べたように、クランクシャフト12を等速回転させて加工した場合、上述の送り変動による切削負荷変動が生じるが、この変動に伴い加工誤差も大きくなるので、従来は、この加工誤差をあるレベルに維持するために、フライスカッタ32a,32aの一定の回転速度を低く押さえることで対応し、クランクシャフト加工の生産性をある程度犠牲にしていたのは否めなかった。
【0049】
そこで、本発明の第2実施形態においては、この改善対応策として、創意工夫して下記の加工方法を発明し、この問題を解決した。
即ち、図4において、クランクシャフト12をその軸であるC軸回りに、C軸駆動モータ23により、切削送りのための低速で等速度回転させ、このC軸回転に同期させて、2基のフライスカッタ32a,32aをこのC軸と平行なB軸回りにそれぞれ回転速度変化自在で、かつ前記C軸に直角方向のX軸にそれぞれ移動自在とした。そして、クランクシャフト12のピンジャーナル12a,12aを切削中に、C軸を小分割し、かつ所定の算式を用いて数値解析し求めた1ブロック毎の切削面積の変動値から、変動する切削負荷を求め、この変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一(カッタの1刃当たりのピンジャーナル12aの外周における送り長さが略均一)となるように、左右の速度可変型カッタ主軸モータ33,33で前記それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を、NCプログラム指示により最適制御して、クランクシャフト12の2つのピンジャーナル12a,12aを、それぞれの前記フライスカッタ32a,32aで同時に加工するようにした。
そしてこの加工方法によった結果、上記の問題点が大幅に改善された。
【0050】
次に実際の加工を説明すると、先ず、カッタ駆動ユニット30をZ軸移動させてフライスカッタ32a,32aを、クランクシャフト12のいずれか所定の2つのピンジャーナル12a,12aの加工位置にそれぞれ位置決めし、前記のようにそれぞれ速度可変型モータ33,33によりフライスカッタ32a,32aの回転速度を制御しながら、これらのピンジャーナル12a,12aをそれぞれ独立に同時加工する。そしてこの加工後に、続いて、カッタ駆動ユニット30をZ軸移動させてフライスカッタ32a,32aを、他の2つのピンジャーナル12a,12aの加工位置にそれぞれ位置決めし、これらのピンジャーナル12a,12aを2個づつ順次同時加工し、すべてのピンジャーナル12a,12aを加工して、クランクシャフト12の加工を完了する。
【0051】
(4)次いで、カッタ駆動ユニット30をX軸およびZ軸方向に移動させてフライスカッタ32a,32aをクランクシャフト12から離してそれらの原点位置に後退させると共に、クランクシャフト12のC軸の回転角度位相(θ角度)を、C軸回転駆動装置20で所定の位相原点に位置決めし、チャック21aをアンクランプしてクランクシャフト12の両端メインジャーナル部の把持を開放する。
そして、ピンジャーナル12aの加工完了したクランクシャフト12をチャック21a内から取り出し、クランクシャフト加工の全行程を完了する。
【0052】
なお、上記の第2実施形態のクランクシャフト加工方法においては、ピンジャーナル12a,12aを切削するのに、変動する切削負荷を求め、この変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、フライスカッタ32a,32aの切削回転速度を、それぞれ速度可変型モータ33,33へのNCプログラム指示により最適制御して、2つのピンジャーナル12a,12aを同時に加工する方法としたが、次のような別の加工方法によってもよい。
即ち、クランクシャフト12のピンジャーナル12a,12aを切削中に、C軸を小分割し、所定の算式を用いて数値解析し求めた1ブロック毎の切削面積の変動値から、それぞれの切削負荷(すなわち切削面積)の大きく変動する部分のみ、前記速度可変型カッタ主軸モータ33,33でそれぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を上げる制御をNCプログラム指示により行って、クランクシャフト12の2つのピンジャーナル12a,12aをそれぞれのフライスカッタ32a,32aで同時に加工する方法である。
【0053】
さらに、上記の第2実施形態のクランクシャフト加工方法においては、C軸を小分割し、この小分割ブロック毎の切削負荷を負荷検出手段により(例えば、速度可変型カッタ主軸モータ33,33の電流値などに基づき)検出し、この変動する検出切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一(カッタの1刃当たりの、ピンジャーナル12aの外周における送り長さが略均一)となるように、それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度をそれぞれ速度可変型モータ33,33により最適制御するか、またはそれぞれの検出負荷の大きく変動した部分のみ、それぞれのフライスカッタ32a,32aの切削回転速度を上げる制御を行って、2つのピンジャーナル12a,12aを同時に加工する方法をとってもよい。
【0054】
以上の、第2実施形態によるクランクシャフト12のピンジャーナル12aの加工方法においては、そのカッタ32をフライスカッタ32aとし、これを使用したミーリング加工方式として説明したが、これに限定されず、前記カッタ32として円盤型の研削砥石32bを採用し、研削加工方式としたクランクシャフト12のピンジャーナル12aの加工方法としてもよい。
【0055】
本発明は、上記実施形態のカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法により、次の特有の効果が得られる。
(1)本発明によると、カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法において、ワークをその軸回りに等速度で回転させ、このワーク回転に同期させて、このワーク軸と平行な軸回りに回転速度変化自在で、かつ、前記ワーク軸に直角の軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタを使用し、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルを切削中に、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御して、カムシャフトの2つのカム、またはクランクシャフトの2つのピンジャーナルを、それぞれの前記カッタで同時に加工する方法としたので、2基のカッタを使用して、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工でき、加工効率が上げられると共に、変動する切削負荷に対応して、加工個所毎に該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御し、切削加工条件の最適な制御を行うことから、その結果としてさらに加工能率の向上が図れる。
【0056】
また、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタの切削回転速度を制御して、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルにおいて、それぞれの等負荷切削が可能となり、負荷変動による機械系またはワークの振動、刃先のチッピングなどが発生することなく、極めて安定した切削加工ができるので、カム形状の加工精度が格段に良くし、ピンジャーナル12aの真円度が格段に良くなる。
さらに、等負荷切削を行うことから、従来のカッタ2頭式による機械の場合に発生していた負荷変動による工具刃先への悪影響がなく、極めて安定した切削加工ができるので、工具寿命の延長がはかれる。またこれにより、工具交換インターバルが長く取れることから、機械の稼働率の改善が期待できる。
【0057】
(2)また本発明によると、カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法において、ワークをその軸回りに等速度で回転させ、このワーク回転に同期させて、このワーク軸と平行な軸回りに回転自在で、かつ、前記ワーク軸に直角の軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタを使用し、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルを切削中に、それぞれの負荷の大きく変動した部分のみ、前記それぞれのカッタの切削回転速度を上げる制御を行って、カムシャフトの2つのカムまたはクランクシャフトの2つのピンジャーナルをそれぞれの前記カッタで同時に加工する方法としたので、特にカムシャフトのカム切削の場合のように、ワーク等速回転中に特定の位相部分にのみ切削負荷の最大値が存在するような加工条件の場合、その部分のみカッタの切削回転速度を上げて切削負荷を軽減するといった、極めて簡易な制御方法で、上記(1)記載の効果と同様な、加工能率の改善および加工精度向上が得られる。
【0058】
(3)また本発明によると、カッタにフライスカッタを採用することにより、カムシャフトのカムまたはクランクシャフトのピンジャーナルの加工に際し、これらワーク素材が鍛造または鋳物の黒皮状態の荒加工から、研削仕上げ加工前の中仕上げ加工まで一気に加工でき、その生産性を高くできる。
【0059】
(4)さらに本発明によると、カッタとして研削砥石を採用することにより、カムシャフトのカムにおける研削加工に際し、カムプロフィルの形状加工精度を向上でき、またクランクシャフトにおけるピンジャーナルの研削加工に際し、ピンジャーナルの真円度を大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカムシャフトまたはクランクシャフト加工機の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るカムシャフトのカムの切削状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るカムシャフトのカムの切削面積の変化を示す図である。
【図4】第2実施形態に係るクランクシャフトのピンジャーナルの切削状態を示す図である。
【図5】クランクシャフトのピンジャーナルの切削送り速度の変化の説明図である。
【図6】クランクシャフトのピンジャーナルの切削送り速度の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…ワーク(カムシャフトまたはクランクシャフト)、11…カムシャフト、11a…カム、11b…カム面、12…クランクシャフト、12a…ピンジャーナル、20…C軸回転駆動装置、21…支持装置、21a…チャック、21b…クランプシリンダ、23…C軸回転駆動モータ、24…補助サポータ、24a…補助サポータ本体、24b…補助サポータ爪、30…カッタ駆動ユニット、31…刃具、32…カッタ、32a…フライスカッタ、32b…研削砥石、33…速度可変型カッタ主軸モータ、37…主軸歯車箱、40…サドル、41…X軸スライド、41a…X軸駆動モータ、42…Z軸スライド、42a…Z軸駆動モータ、60…ベッド。
Claims (4)
- カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法において、カムシャフト(11)またはクランクシャフト(12)をそれぞれの軸であるC軸回りに等速度で回転させ、
前記C軸回転に同期させて、C軸と平行な軸回りにそれぞれ回転自在で、かつ、C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタ(32,32)を使用し、カムシャフト(11)のカム(11a,11a)またはクランクシャフト(12)のピンジャーナル(12a,12a)を切削中に、変動する切削負荷に対応して、該切削負荷が略均一となるように、前記それぞれのカッタ(32,32)の切削回転速度を制御して、カムシャフト(11)の2つのカム(11a,11a)またはクランクシャフト(12)の2つのピンジャーナル(12a,12a)をそれぞれの前記カッタ(32,32)で同時に加工する
ことを特徴とするカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法。 - カムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法において、カムシャフト(11)またはクランクシャフト(12)をそれぞれの軸であるC軸回りに等速度で回転させ、
前記C軸回転に同期させて、C軸と平行な軸回りにそれぞれ回転自在で、かつ、C軸に直角のX軸方向にそれぞれ移動自在とした2基のカッタ(32,32)を使用し、カムシャフト(11)のカム(11a,11a)またはクランクシャフト(12)のピンジャーナル(12a,12a)を切削中に、それぞれの負荷の大きく変動する部分のみ、前記それぞれのカッタ(32,32)の切削回転速度を上げる制御を行って、カムシャフト(11)の2つのカム(11a,11a)またはクランクシャフト(12)の2つのピンジャーナル(12a,12a)をそれぞれの前記カッタ(32,32)で同時に加工する
ことを特徴とするカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法。 - 前記カッタ(32,32)は、切刃をその外周面上に配した円盤型のフライスカッタ(32a,32a)を使用してフライス加工を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法。 - 前記カッタ(32,32)は、円盤型の研削砥石(32b,32b)を使用して研削加工を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のカムシャフトまたはクランクシャフトの加工方法。
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