JP2004009135A - 締結部品の製造方法及び締結部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】塑性加工時の成形体の割れを防止でき、成形性を向上することができる締結部品の製造方法及び締結部品を提供する。
【解決手段】形状記憶合金を伸線加工して伸線素材を作り、伸線素材を切断して素材片を作り、素材片を塑性加工する前に、素材片に焼なまし処理を行い、切断面にスケールを形成する。焼なまし処理は、素材片を大気中で873K〜1173Kに加熱し、10〜60分間保持し、徐冷してスケールを形成する。素材片を予備成形した後に、素材片に焼なまし処理を行うことも有効である。焼なまし処理により、素材片の両側の切断面にスケールを形成し、素材片の片側に圧造によりねじ頭部を成形し、素材片の他側に転造によりねじ部を成形する。形状記憶合金には、Ni−Ti系合金を用いる。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、めがね、医療機器、電気機器、自動車機器等に用いられる締結部品の製造方法及び締結部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Ni―Ti系形状記憶合金は、各種の形状記憶合金の中では最も広く実用化されている形状記憶合金である。形状記憶合金は、形状記憶特性、超弾性、振動吸収性及び高耐食性を示すことが良く知られており、医療機器や電気機器などの様々な分野へのより一層の応用が期待されている。
【0003】
しかし、形状記憶合金は、その性質から塑性加工性が悪いことも知られており、難加工材の一つとして挙げられている。殊に、材料を剪断変形させて切りくずを排出させる切削加工には不向きである。
【0004】
形状記憶合金としての用途には、ばね、パイプ継手、調整弁、めがねフレーム、歯列矯正用ワイヤ、ブラジャー用心材、携帯電話用アンテナなどが挙げられる。
【0005】
さらには、ねじやボルトなどの締結部品としての用途にも期待がかけられている。しかし、形状記憶合金からなる締結部品は、上述したように塑性加工が困難であることから、加工面からの様々な研究が行われている。
【0006】
図7は、形状記憶合金からなるねじの製造方法の一例として、特開平11−207525公報に記載されたものである。図示するように、締結部品としてねじ51は、一側にねじ部52を有し、他側に図示しないねじ頭部を有している。
【0007】
ねじ部52は、テーパ状の素材片50が丸形ダイス又は平形ダイスに押し付けられて成形されたものである。図示しないねじ頭部は、圧造により成形されるものと考えられる。
【0008】
素材片50は、形状記憶合金を図示しない線引きダイスに通し引き抜くことにより製作される。ねじ部52が成形される素材片50の先端側51aは小径をなし、根本側51bは大径をなしていて、研磨によりテーパ状に加工されている。このため、転造によりねじ部52を成形すると、先端側51aには完全なねじが形成されず、先端側51aから根本側51bに向かって除々にねじ山52aが大きく形成されるようになっている。
【0009】
このようにして成形されたねじ51は、呼び径3mm、ピッチ0.5mm、ねじ長5mmのねじである。このねじ51を図示しない相手部材やナットに螺合した際は、先端側51aの不完全なねじ山52aは相手部材と完全には螺合せず、根本側51bの完全なねじ山52aのみが相手部材と螺合する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のねじの製造方法では、解決すべき以下の問題点がある。
【0011】
先ず一つに、φ3mm程度の素材片50の一側を研磨によりテーパ状に形成しなければならず、加工の困難性に加えて、ねじ51の生産コストが高くなるという心配がある。
【0012】
すなわち、素材片50をテーパ状に加工することで、ねじ部52を成形する転造ダイスの摩耗が低減し、転造ダイスの寿命が向上したとしても、テーパ加工の際の加工コストが増加するため、総合的にみると生産コストが増加する心配がある。
【0013】
また一つには、ねじ51の先端側51aが不完全なねじ山52aであるため、有効なねじ山数が少なく、締結保持力が不十分となって、振動などによりねじ51が緩み、ねじ51が抜け出す心配がある。
【0014】
さらに、ねじ部52を成形する転造加工の際に、割れ等を生ずる心配がある。従来から、形状記憶合金からなるねじの塑性加工が困難である理由の一つとして、形状記憶合金の加工硬化による割れの発生が各方面で報告されているからである。
【0015】
本発明は、上記した点に鑑み、塑性加工時の成形体の割れを防止でき、成形性を向上することができる締結部品の製造方法及び締結部品を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、形状記憶合金を塑性加工することにより成形体を得る締結部品の製造方法において、前記形状記憶合金を伸線加工して伸線素材を作り、該伸線素材を切断して素材片を作り、該素材片を塑性加工する前に、該素材片に焼なまし処理を行い、切断面にスケールを形成することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、予め焼なまし処理をなされた形状記憶合金が線引きダイスを通され引き抜かれて所定の太さの伸線素材に成形され、この伸線素材を切断して円柱状の素材片が製作される。素材片は、後に行う塑性加工により軸方向に圧縮されるため、圧縮率を見込んだ長さに製作される。続いて、素材片の成形性を向上させるために、焼なまし処理が行われ、切断面にスケールが形成される。そして、塑性加工により所定の形状に成形される。
【0018】
スケールは、酸化物や窒化物を主成分とし、切断面に密着性良く付着していて、表面被覆処理剤や潤滑剤を保持するから、成形体に表面割れや中心割れが生ずることが防止され、欠陥のない成形体が得られる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の締結部品の製造方法において、前記焼なまし処理では、前記素材片を大気中で873K〜1173Kに加熱し、10〜60分間保持し、徐冷して前記スケールを形成することを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、素材片の切断面に形成されるスケールが、適度な膜厚に形成されて潤滑剤などの潤滑効果が維持される。また、軟化も十分となり成形性が向上する。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の締結部品の製造方法において、前記素材片を予備成形した後に、該素材片に前記焼なまし処理を行うことを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、据込み加工などの予備成形が行われた後に、焼なまし処理が行われることで、潤滑剤などの潤滑効果が維持されるとともに、加工硬化した素材片が軟化する。このため、割れなどが生ずることなく、次工程の本成形を行うことができる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の締結部品の製造方法において、前記焼なまし処理により、前記素材片の両側の切断面にスケールを形成し、該素材片の一方に圧造によりねじ頭部を成形し、該素材片の他方に転造によりねじ部を成形することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、素材片の両側の切断面にスケールが形成されることで、圧造及び転造加工中に割れを生ずることなく、ねじ頭部及びねじ部を成形することができる。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の締結部品の製造方法において、前記形状記憶合金には、Ni−Ti系合金が用いられることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、形状記憶合金がNi−Ti系合金であるから、伸線限界が向上し、伸線加工時の伸線性、圧造及び転造加工時の成形性が向上して、割れなどの欠陥がない成形体を得ることができる。
【0027】
また、請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の締結部品の製造方法にて成形されたことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、超弾性を有する締結部品を得ることができるから、相手部材を締結部品で締結した際に、締結部品に引張りの軸力が働き、ねじ面や座面の摩擦係数が高くなり、締付け保持力が向上して、締結部品の緩みが防止される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態の具体例を詳細に説明する。
表1には、組成の異なる4種類のNi−Ti系形状記憶合金の成分組成が示されている。この4種類の試料の中から成形性の最も良い試料が選択され、後述する締結部品としてのねじの加工に供される。従来技術の欄で述べたように、形状記憶合金からなるねじの加工は難しいため、成形性の最も良い材料を用いる必要があるからである。
【0030】
【表1】
Figure 2004009135
【0031】
表中の直径(diameter)は、伸線加工により線引きダイス25(図3)を通して引き抜かれた伸線素材10(図3)の引抜径dである。直径の測定には、精度の良いレーザースキャンマイクロメータが使用されている。
【0032】
伸線素材10は、複数回引き抜かれることで最終の引抜径dに整形されるが、1パス当たりの断面減少率(以下、R/Pという)は5〜10%に調整されている。R/Pを増加させると、形状記憶合金の形状回復力が低下し、伸線素材10が破断することがあるからである。
【0033】
図3に示すように、線引きダイス25には円すい形状のコニカルダイスが使用される。線引きダイス25は、導入部25aと、絞り部25bと、整形部25cと、逃げ部25dとからなっている。コイル状の素材が挿入される入口側の導入部25aは、潤滑剤の受け部の役目を果たしている。
【0034】
潤滑剤には、窒化硼素(BN)や二硫化モリブデン(MoS)などの極圧添加剤を加えた被膜剤と金属石鹸が使用されている。伸線加工においては、潤滑材の選択は殊に重要であり、選択を誤ると焼付きが生じて仕上げ面が荒れることがある。
【0035】
絞り部25bは、ダイス半角αで傾斜するアプローチ部であり、素材の絞りを行う部分である。ダイス半角αは任意であり、本実施形態では6゜に設定されている。ダイス半角αを小さくするほど引抜力が小さくなり、R/Pも小さくなる。
【0036】
整形部25cは、素材の整形を行う部分であり、ごく僅かの勾配に形成されている。整形部25cの長さは、引抜径dの1/4〜3/4に設定されている。逃げ部25dは、線引きダイス25の出口に相当し、素材に強度を持たせるための部分である。
【0037】
線引きダイス25は、十分な強さを有し、耐摩耗性が高く、焼付き等が生じないことが重要である。このため、本実施形態では、超硬合金(WC−Co系)の線引きダイス25が使用されている。なお、セラミックダイスやダイヤモンドダイスを用いることもできる。
【0038】
再び表1に戻って説明する。変態温度Msは、オーステナイト相(高温相)がマルテンサイト相(低温相)に変態するときの変態開始温度を示しており、変態温度Afは、マルテンサイト相がオーステナイト相に逆変態するときの変態終了温度を示している。
【0039】
変態温度は、予め773Kで焼なまし処理された形状記憶合金の変態温度である。変態温度の測定には、変態に伴う熱発生の変化を測定する示差走査熱量計が使用され、変態量と温度の関係から変態温度が測定されている。
【0040】
各種形状記憶合金の成分組成は、重量%で示されている。Ni量はTi量より5%程度多くなっている。このような成分組成の形状記憶合金を用いたのは、硬度が低く加工性の良いことが明らかにされているからである。なお、鉄を含まない3種類の試料は、僅かにNi量が異なっている。鉄を含むをNo.4の試料は、鉄が0.21wt%含まれている。
【0041】
図1には、表1のNo.1〜4の各試料についての、伸線限界(Drawing limit)が示されている。各試料の伸線限界は、図3に示す線引きダイス25を用い、潤滑剤にはステアリン酸ナトリウム石鹸を用い、R/P7〜9%の条件の下で調べられた。ここで、伸線限界とは、線引きダイス25を通して引き抜かれた伸線素材10が断線したときの断面減少率をいう。
【0042】
図示するように、Ni量が最も多くAf点が低いNo.1の試料は、伸線限界が40%程度と低い結果となっている。No.2〜4の試料は、50%以上の伸線限界を示している。Feを添加したNo.4の試料は、最も伸線限界が高く64%の伸線限界を示している。従って、ねじの加工には、No.4の試料が最も成形性が良いと考えられ、後述するねじの加工に供することとされた。
【0043】
次に、焼なまし処理における焼なまし温度と伸線限界の関係が、図2に示されている。この図は、No.2の試料で調べられたものである。試料は、大気中で773〜1173Kの温度に加熱され、30分保持され、除冷された後、図3に示す線引きダイス25で伸線限界が調べられた。なお、素材にスケールを付着させないアルゴン雰囲気中での焼なまし処理も試みられたが、ねじの加工中に割れの生じることが判明している。
【0044】
加工条件は、R/Pを10%とした。線引きダイス25による引抜きは、試料が断線するまで繰り返し行われた。その結果、処理温度が高くなるにしたがい伸線限界が向上し、873K以上では約50%の伸線限界が得られた。973Kを越えると、伸線限界曲線は横軸に水平となった。一方、硬さはばらついてはいるものの、硬さ曲線は伸線限界曲線に対して鏡面対称となり、処理温度が高くなるにしたがい硬さは低下した。
【0045】
従って、最適な焼なまし処理の下限温度は、伸線限界が50%を越え、かつ硬さが低くなる873K以上が適当であると判断された。他方、焼なまし処理の上限温度は、図2からは判断されないが、試料の酸化やスケールの厚みなどを考慮して、1173Kが最適であると判断された。1173Kを越えると、酸化が進行しスケールが厚くなりすぎ、試料の表面性状が悪くなるとともに、試料が脆くなるためである。焼なましの保持時間は、素材の硬さやスケールの密着性を考慮すると、10〜60分が適当であることが明らかにされている。
【0046】
次に、図3〜図6に基づいて締結部品としてのねじの製造方法について説明する。製造されたねじ15(図5)は、なべ状の頭部を有するメートル並目ねじであり、呼び径が2.5mmでピッチが0.45mmの小ねじと、呼び径が1.2mmでピッチが0.25mmの小ねじの2種類である。ねじ部の長さは、10mm程度である。ねじ頭部15aは、JIS B 1101相当の寸法に形成されている。ねじ頭部15aの端部には、図示しないすりわり(十字穴でもよい)が形成されていて、ねじ回しで回すことができるようになっている。
【0047】
先ず、線引きダイス25を通され引き抜かれた伸線素材10が、図示しない切断機により所定の長さに切断されて、円柱状の素材片11が製作される。続いて、素材片11が図示しないヘッダーマシンに供給され、ねじ頭部15a(図6)が圧造加工にて成形される。ヘッダーマシンは、素材片11を保持するダイス20及び予備成形用の第1のヘッダー21と本成形用の第2のヘッダー22とを備えている。2つのヘッダー21,22はダイス20に対して往復動作し、素材片11を軸方向に圧縮する。ヘッダー21,22の往復動作するストローク長は25mmに設定されている。
【0048】
圧造加工は、予備成形加工と本成形加工とからなっている。予備成形加工と本成形加工の間には、上述した条件で焼なまし処理が行われる。焼なまし処理では、素材片11に適度な膜厚のスケール16(図5)を形成するとともに、素材片11を軟質化する。スケール16は、素材片11の両側の切断面に形成される(片側のみを図示する)。
【0049】
焼なまし処理において、スケール16を切断面に形成し、圧造及び転造することが本発明の特徴である。スケール16は、表面被覆処理剤や潤滑剤を保持する効果があり、圧造時に表面割れや中心割れを生ずることを防止する。また、パンチとしてのヘッダー21,22と切断面との焼付きを防止して、ヘッダー21,22の寿命を向上させる。スケール16は、酸化物や窒化物を主成分とし、切断面に密着性良く付着する。なお、スケール16が厚く成りすぎると、素材片11が脆くなり、割れが生じるため、焼なまし処理を上述した条件で行うことが重要である。
【0050】
図4及び図5は、ヘッダーマシンにより行われた予備成形加工と本成形加工の加工状態をそれぞれ示したものである。図4に示すように、予備成形加工は、ダイス20から突出した素材片11の突端部12をヘッダー21で軸方向に一押しで圧縮する加工である。素材片11の他側端部13は、ダイス20に保持されており、圧縮された素材片11が座屈しないように支持されるようになっている。据え込み長さと素材片11の直径との比である据え込み比は、2.5〜3以下に設定されている。
【0051】
予備成形加工では、素材片11の突端部12が笠状になる程度で加工を一旦終了する。続いて、上述した焼なまし処理に続いて本成形加工が行われる。図5に示すように、本成形加工は、鍋状になるよう突端部12を圧縮するとともに、突端部12の端面にねじ回し用のすりわりや図示しない十字穴を打ち込む加工である。
【0052】
表2には、ヘッダー22の1分当たりのストローク数とねじ頭部15aの割れの関係を示したものである。表から明らかなように、ヘッダー22のストローク数が多くなるほど、言い換えるとヘッダー22の動作速度が早くなるほど加工割れの生じない加工を行えることが明らかにされた。
【0053】
【表2】
Figure 2004009135
【0054】
このようにして、割れを生ずることなくねじ頭部15aが成形される。ねじ15の頭部形状は、鍋状に限らずさら状や丸状などにもすることが可能である。また、突端部12の端面には、すりわりに変えて十字穴を形成することも可能である。さらに、リベットなどのように、突端部12の端面に凹みを形成しない場合には、素材片11を切断した後に、焼なまし処理を行い、予備成形と本成形を一度に行うことも可能である。
【0055】
図6は、一対の平形ダイス27,28を備えた図示しないローリングマシンにて、素材片11の他側端部13にねじ部15bを成形している状態を示したものである。転造では、一方の平形ダイス27を固定し、他方の平形ダイス28を長手方向に往復移動させて、一対の平形ダイス27,28の間に挿入された素材片11にねじ山を成形する。他方の平形ダイス28は、150mmのストローク長で往復動作する。平形ダイス27,28がねじに食い付いてから5〜6回転でねじ山が完成する。平形ダイス方式は、素材片11の供給と排出が容易に行われるため、小ねじの大量生産に適する。
【0056】
表3には、平形ダイス28の1分当たりのストローク数とねじ山の成形性の関係を示したものである。表から明らかなように、平形ダイス28のストローク数が多くなるほど、言い換えると平形ダイス28の動作速度が早くなるほどねじ山の成形性の良い加工を行えることが明らかにされた。
【0057】
【表3】
Figure 2004009135
【0058】
従来は、加工初期において素材片11に平形ダイス27,28を強く押し付けた際、又は加工終期において素材片11が加工硬化した際に、素材片11の端部において割れを生ずることがあったが、焼なまし処理にてスケールを素材片11の切断面に密着性良く形成することで、潤滑剤などの潤滑効果が保持されて、欠陥のないねじを成形することが可能となった。
【0059】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1記載の発明によれば、焼なまし処理にて密着性の良いスケールが素材片の切断面に形成されるから、表面被覆処理剤や潤滑剤がスケールによって保持される。従って、成形体に表面割れや中心割れが生ずることが防止され、欠陥のない成形体が得られる。また、ヘッダやダイスの焼付きが防止され、工具寿命が向上する。
【0060】
また、請求項2記載の発明によれば、素材片の切断面に形成されるスケールが、適度な膜厚に形成されて潤滑剤の潤滑効果が保持される。従って、素材片が脆くなることが防止されて、成形性が向上し、割れのない加工を行うことができる。
【0061】
また、請求項3記載の発明によれば、据込み加工などの予備成形が行われた後に、焼なまし処理が行われるから、潤滑剤の潤滑効果が維持されるとともに、加工硬化した素材片が軟化する。従って、割れを生ずることなく、すりわり加工や十字穴加工などの本成形を行うことができる。
【0062】
また、請求項4記載の発明によれば、素材片の両側の切断面にスケールが形成されることで、圧造及び転造の成形性が向上する。従って、割れを生ずることなく、ねじ頭部及びねじ部を成形することができる。
【0063】
また、請求項5記載の発明によれば、Ni−Ti系の形状記憶合金であるから、伸線限界が向上し、圧造及び転造加工時の成形性が向上し、形状記憶合金からなる締結部品を得ることができる。
【0064】
また、請求項6記載の発明によれば、超弾性を有する締結部品としての成形体が得られるから、締結部品に引張りの軸力が働き、ねじ面や座面の摩擦係数が高くなり、締付け保持力が向上して、締結部品の緩みが防止される。従って、締結信頼性の高い締結部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る締結部品の製造方法において、各形状記憶合金と伸線限界の関係を示すグラフである。
【図2】同じく締結部品の製造方法において、焼なまし処理温度と伸線限界の関係を示すグラフである。
【図3】同じく締結部品の製造方法において、形状記憶合金を線引きダイスに通し引き抜いた状態を示す断面図である。
【図4】同じく締結部品の製造方法において、形状記憶合金の素材片を圧造により予備成形している状態を示す断面図である。
【図5】同じく締結部品の製造方法において、形状記憶合金の素材片を圧造により本成形している状態を示す断面図である。
【図6】同じく締結部品の製造方法において、転造により形状記憶合金の素材片にねじ部を成形している状態を示す斜視図である。
【図7】従来の締結部品の製造方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
10    伸線素材
11    素材片
12    突端部
15    ねじ
15a   ねじ頭部
15b   ねじ部
16    スケール
20    ダイス
21    第1のヘッダー
22    第2のヘッダー
25    線引きダイス
27    一方の平形ダイス
28    他方の平形ダイス

Claims (6)

  1. 形状記憶合金を塑性加工することにより成形体を得る締結部品の製造方法において、
    前記形状記憶合金を伸線加工して伸線素材を作り、該伸線素材を切断して素材片を作り、該素材片を塑性加工する前に、該素材片に焼なまし処理を行い、切断面にスケールを形成することを特徴とする締結部品の製造方法。
  2. 前記焼なまし処理では、前記素材片を大気中で873K〜1173Kに加熱し、10〜60分間保持し、徐冷して前記スケールを形成することを特徴とする請求項1記載の締結部品の製造方法。
  3. 前記素材片を予備成形した後に、該素材片に前記焼なまし処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の締結部品の製造方法。
  4. 前記焼なまし処理により、前記素材片の両側の切断面にスケールを形成し、該素材片の一方に圧造によりねじ頭部を成形し、該素材片の他方に転造によりねじ部を成形することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の締結部品の製造方法。
  5. 前記形状記憶合金には、Ni−Ti系合金が用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の締結部品の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の締結部品の製造方法にて成形されたことを特徴とする締結部品。
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