JP2004007948A - ハイブリッド車駆動装置及び駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハイブリッド車駆動装置において、コントローラは、エンジンを操作するアクセル開度とバッテリーの充電率に応じてエンジン及びモータジェネレータを制御するための複数の運転モードを有しており、バッテリーの充電率が低いときは、エンジンを車及び前記モータジェネレータの駆動源として運転し該モータジェネレータで発電された電力をバッテリーに回収するエンジン走行発電モードとし、バッテリーの充電率が高くかつアクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率が大きいときはエンジン及びモータジェネレータを車の駆動源として運転する加速モードとし、バッテリーの充電率が高くかつアクセル開度が小さいときはエンジンのみを車の駆動源として運転させるエンジン走行モードとする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータ/ジェネレータの双方を駆動源とするハイブリッド車の駆動装置及び駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平9−65508号公報に記載されているように、エンジンの発電機を駆動して電力を発生させ、その電力で走行用モータを駆動して走行するハイブリッド車両が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のハイブリッド車において、燃費低減及び排気浄化は、走行状態に応じ適切に駆動源を切り換える、例えば排気ガスが問題となる発進、加速時にモータ駆動とすることなどにより行なわれている。また、アイドリング時にエンジンを停止させることも、排気ガス対策として、有効な方法である。
【0004】
しかし、ハイブリッド車において、バッテリーに十分な電力を確保して走行距離の延長を図りながら、かつ良好な運転特性の維持を図るためには、まだ、解決すべき問題がある。
【0005】
排気ガス対策として、例えば、信号待ち時のように車両が一時停止した時にエンジンのアイドリングを停止させて有害排気ガスの排出量を低減させようとするものにおいて、エンジンを一旦停止させた後、エンジンを再始動させようとしてもバッテリーに十分な電力が確保されていなければ、スムーズにエンジンを再始動させ加速運転を行わせることが出来ない。また、車両の一時停止時にエンジンの冷却水温等の環境条件が適切な範囲にないと、その直後にエンジンをスムーズに再始動させることができない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を克服し、バッテリーに常時十分な電力を確保しつつ運転特性にも優れたハイブリッド車の駆動装置及び駆動方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、排気ガス対策として車両の一時停止時にエンジンのアイドリングを停止させて有害排気ガスの排出量を低減させる場合に、アイドリング停止後の再始動や加速運転をスムーズに行わせることが出来るハイブリッド車の駆動装置及び駆動方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、該エンジンに連結されたモータ/ジェネレータと、該モータ/ジェネレータに電力変換器を介して接続されたバッテリーと、車の運転状態に応じて前記エンジンや前記モータ/ジェネレータを制御するコントローラとを備えたハイブリッド車駆動装置において、前記コントローラは、前記エンジンを操作するアクセル開度と前記バッテリーの充電率に応じて前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを制御するための複数の運転モードを有しており、前記バッテリーの充電率が低いときは、前記エンジンを車及び前記モータ/ジェネレータの駆動源として運転し該モータ/ジェネレータで発電された電力を前記バッテリーに回収するエンジン走行発電モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率が大きいときは前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを車の駆動源として運転する加速モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度が小さいときは前記エンジンのみを車の駆動源として運転させるエンジン走行モードとすることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の特徴は、前記コントローラが、キースイッチがオン、アクセルがオフで車の速度が所定値以下、かつ前記バッテリーの充電率が所定値以上の場合には、エンジン停止モードとして、前記エンジンを停止させることにある。
【0010】
本発明の他の特徴は、前記コントローラが、前記停止条件に加えて、エンジンの冷却水温度が所定値TS以上でかつ停止状態の車体の傾斜角度が所定値θ以下の場合に、エンジン停止モードとすることにある。
【0011】
本発明の他の特徴は、エンジンと、該エンジンに連結されたモータ/ジェネレータと、該モータ/ジェネレータに電力変換器を介して接続されたバッテリーと、車の運転状態に応じて前記エンジンや前記モータ/ジェネレータを制御するコントローラとを備えたハイブリッド車の駆動方法において、前記バッテリーの充電率が低いときは、前記エンジンを車及び前記モータ/ジェネレータの駆動源として運転し該モータ/ジェネレータで発電された電力を前記バッテリーに回収するエンジン走行発電モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率が大きいときは前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを車の駆動源として運転する加速モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度が小さいときは前記エンジンのみを車の駆動源として運転させるエンジン走行モードとすることにある。
【0012】
本発明によれば、ハイブリッド車の燃費低減や加速などの運転特性の改善を図ることか可能となる。特に、キースイッチがオンでも、アクセルがオフになると所定の条件でエンジンのアイドリングを停止させるため、排気ガス対策として車両の一時停止時にエンジンのアイドリングを停止させて有害排気ガスの排出量を低減させることができ、かつ、一時停止時の運転操作が簡単になると共に、その停止後の再始動や加速運転をスムーズに行わせることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の第一の実施例になるハイブリッド車駆動装置の全体構成図を示すものである。図1において、1はコントローラであり、車の運転状態に応じてエンジン2やモータ/ジェネレータ3等を制御する。モータ/ジェネレータ3とトランスミッション10の間にクラッチ9が設けられている。自動変速機構を採用する場合、クラッチ9は省略される。モータ/ジェネレータ3は、インバーター4を介してメインバッテリー5から電力の供給を受けると共に、モータ/ジェネレータ3により発電された電力がインバーター4を介してメインバッテリー5に所要の電圧で充電される。7Aは比較的高い電圧を電源とするのに適した負荷、例えばエンジン2のインジェクタの電磁コイルや給排気弁駆動用電磁バルブ等である。
【0014】
モータ/ジェネレータ3のローター31はエンジン2のクランク軸21に直結されている。32はモータ/ジェネレータ3のステーター、33は永久磁石である。なお、モータ/ジェネレータ3のローター31とエンジン2のクランク軸21とは、歯車などの動力伝達機構を介して連結しても良い。
【0015】
6はランプ等の負荷7Bに電力を供給する補機バッテリーであり、スイッチング素子(例えばFET素子)8を介してメインバッテリー5に接続されている。補機バッテリー6は、スイッチング素子8を約100KHZの周波数でオンオフ制御してメインバッテリー5から充電される。メインバッテリー5の電圧は60V以下でかつ補機バッテリー6よりも高い電圧、例えば48Vや36Vに制御される。エンジン2の燃料噴射弁を駆動する電磁コイル等の電源をメインバッテリー5とすることにより、例えば燃料噴射弁の応答性を高くすることができる。一方、補機バッテリー6の電圧はメインバッテリー5の電圧よりも低い値、例えば12Vまたは24Vに制御される。
【0016】
メインバッテリー5の電圧が低いために感電害が回避出来ることから、メインバッテリー5と補機バッテリー6のマイナス(アース)ラインは共通とし、特別の配線を省略することが出来る。ただし、必要に応じて、メインバッテリー5と補機バッテリー6のプラスラインとマイナス(アース)ラインを個別に設ける二線方式としても良い。
【0017】
コントローラ1は、車の運転状態やメインバッテリーの充電状態に応じてエンジン2やモータ/ジェネレータ3等の動作を制御する。車の走行中モータ/ジェネレータ3により発電され、メインバッテリー5に貯蔵された電力は、排気ガスが問題となる発進、加速時や動力不足時等に、エンジンに替えてあるいはエンジンを補助する動力源として、モータ/ジェネレータ3を駆動するのに利用される。また、得られた電力はランプその他の補機電装品に使用しても差し支えない。ただし、メインバッテリー5の貯蔵量が予め決めた値以下の場合には、補機への電力供給は行わない。
【0018】
図2に、コントローラ1の詳細構成例を示す。コントローラ1は、統合制御ユニット11、モータ/ジェネレータコントローラ12、エンジンコントローラ13、補機バッテリーコントローラ14から構成される。
【0019】
統合制御ユニット11は、運転モード判定処理部を有しており、キースイッチ、アクセルスイッチ(アクセルのオンオフ)、アクセル開度センサー、ブレーキスイッチ、車速センサー、傾斜スイッチ、バッテリー電圧センサー等の各情報が入力される。統合制御ユニット11はこれらの情報をもとに車の運転モードを判定し、運転指令NMG*、τMG*、τNE*、VBs*、S*の演算をおこない、各運転指令をモータ/ジェネレータコントローラ12、エンジンコントローラ13、補機バッテリーコントローラ14、変速機8にそれぞれ出力する。
【0020】
モータ/ジェネレータコントローラ12は、運転指令NMG*、τMG*、とモータ/ジェネレータ3の回転数や電流の情報から、インバーター4を制御するPWM信号を生成し出力する。なお、モータ/ジェネレータは、運転指令τMG*が+のときは電動機、運転指令τMG*が−のときは発電機として機能する。
【0021】
エンジンコントローラ13は、運転指令τNe*とエンジン回転数Nに基づいて、燃料の噴射量や点火時期、給排気弁の開閉を制御する。
【0022】
補機バッテリーコントローラ14は、補機バッテリーの電圧が指令VBs*に一致するように、PWM信号を生成出力し、スイッチング素子8をチョッパ制御し、補機バッテリーの充電率を所定値に維持する。
【0023】
図3に、モータ/ジェネレータコントローラ12の詳細構成例を示す。モータ/ジェネレータコントローラ12は、idiq検出手段124、id、iq電流制御手段125、2/3相変換手段121、PWM制御手段122及び位相演算手段120、速度演算手段123を備えている。速度演算手段123は、エンコーダ15に接続され、位相演算手段120は磁極位置検出手段16に接続されている。モータ/ジェネレータコントローラ12はさらに、トルク指令生成部128、Iq制御手段127及びId制御手段126を備えている。
【0024】
トルク指令生成部128には、運転指NMG*または目標トルク指令τMG*が入力される。エンジンのクランキング時のように、モータ/ジェネレータの回転数を所定値に正確に制御したい場合には、モータ/ジェネレータの回転数NMGを直接指示する運転指令NMG*が与えられる。また、加速運転時のように、モータ/ジェネレータに所定トルクを発生させたい場合には、直接、目標トルク指令τM*が与えられる。さらに、モータ/ジェネレータを発電機として作用させる場合には、与えられる目標トルク指令τMG*の値が負となる。
【0025】
運転指令NMG*が与えられた場合、トルク指令演算部128は、運転指令NMG*とエンコーダ15からのパルス信号から速度演算手段123で演算した回転数をもとに、トルク指令値τMG*を演算する。このトルク指令値τMG*または直接与えられた目標トルク指令τMG*をもとに、Iq制御手段127において、トルク分電流に相当するq軸電流の指令値Iq*を算出する。一方、d軸電流の指令値Id*は、Id制御手段126において、トルク指令値τMG*と速度演算手段123で演算した回転数をもとに、損失最小となるId*を算出する。このようにして、モータ/ジェネレータコントローラ12は、モータ/ジェネレータ3の高効率制御に必要な電流指令値Iq*,Id*を算出する。
【0026】
IdIq検出手段124は、電流検出器17で検出した電動機電流の3相交流電流について3相/2相の座標変換してd、q軸電流Id,Iqを処理し算出する。これらの検出値と指令値Iq*,Id*をもとにIdIq電流制御手段125は、比例あるいは比例積分電流制御処理を行い、電圧指令値Vq*,Vd*を算出する。
【0027】
さらに、2/3相変換手段121において、2相/3相の座標変換をして3相交流電圧指令値VU*,VV*,VW*を算出する。PWM制御手段122はこの電圧指令値VU*,VV*,VW*から三角波信号の搬送波信号との比較処理を行って、インバータ4のPWM信号を発生し、インバータ4を駆動する。このようにしてモータ/ジェネレータ3にPWM制御された電圧を印加することにより、電動機電流を電流指令値Iq*,Id*に制御する。
【0028】
なお、2/3相変換処理121、IdIq検出手段124の座標変換処理で使用する位相角θ1,θ2は、位相演算手段120において、モータ/ジェネレータ3の誘起電圧と同位相の信号を出力する磁極位置検出器16、回転角度信号(パルス信号)を出力するエンコーダ15の各出力から算出する。
【0029】
このような処理を行って、モータ/ジェネレータ3はトルク指令値τM*のトルクで、かつ損失最小の高効率で制御される。
【0030】
図4に、エンジンコントローラ13及びこのエンジンコントローラ13で制御されるエンジンの構成例を示す。
【0031】
20は、吸入空気の量を制御する絞弁を備えた絞弁組立体すなわちスロットルボディであり、21にはエアクリーナ、出口にはエンジン26の各気筒に空気を分岐供給する複数の吸気分岐管22が接続されている。23は吸気分岐管22に取付けられた電子制御式の燃料噴射弁である。エンジンの吸込側には電磁弁25で駆動される吸気弁24があり、吐出側には電磁弁30で駆動される排気弁29が設けられている。排気管28にはO2センサ31が設けられている。エンジンコントローラ13には、水温センサ32,カム角センサ18,吸気分岐管22の圧力センサ,絞弁の開度を検知するスロットルセンサ等の各出力を入力として、燃料噴射弁23、イグニッションコイル27,ISCバルブ、燃料ポンプ32等に対して制御信号を出力する。31は燃料ポンプリレーである。30は燃料室であり、燃料は、燃料ポンプ32により吸い出され、燃料配管33を経てプレッシャーレギュレータで調圧された後、燃料噴射弁23に至る。燃料噴射弁23の適正な噴射量は、各種センサからの入力を基にエンジンコントローラ13により算出されて決定される。
【0032】
コントローラ13は、入力回路131、A/D変換部132、中央演算部133、ROM138、RAM139、及び出力回路136を含んだコンピュータにより構成されている。入力回路131は、入力信号130(例えば、運転指令τNE*や冷却水温センサやスロットル開度センサ等からの信号)を受け付けて、該信号からノイズ成分の除去等を行い、当該信号をA/D変換部132に出力する。A/D変換部132は、該信号をA/D変換し、中央演算部133に出力する。中央演算部133は、該A/D変換結果を取り込み、ROM138等の媒体に記憶された燃料噴射制御プログラムやその他の制御のために所定の制御プログラムを実行することによって、前記各制御を行う機能を備えている。
【0033】
なお、演算結果及び前記A/D変換の結果は、RAM139に一時保管されると共に、該演算結果は、出力回路136を通じて制御出力信号137として出力され、燃料噴射弁23、イグニッションコイル27,ISCバルブ、電磁弁25、30及び燃料ポンプ32等の制御に用いられる。電磁弁25、30の開閉のタイミングは、カム角センサ18の出力をもとに演算される。
【0034】
なお、燃料噴射弁23、電磁弁25および電磁弁30の電力は、バッテリ5から供給される。
【0035】
本発明のハイブリッド車駆動装置は、図5に一例を示すような、所定の運転モードに基づき駆動される。すなわち、あらかじめ設定された複数の運転モードのいずれかを車の運転状態、例えばアクセル開度や変速機の状態などにもとづいて選択し、各運転モードに応じて、車両の目標トルクや車両速度などの走行条件を決定し、有害排気ガスの低減や燃費の向上の観点から最適な駆動源を選定する。車両の駆動装置が出力すべき目標トルクは、例えば演算により求められる。
【0036】
図5に示すように、運転モードとしては次のようなものがあり、これらは、車両のアクセルやクラッチのオン、オフに応じて、いずれかが選定される。
【0037】
(1) 始動モード1
キースイッチがオンでかつ、スタータースイッチがオンの時、モータ/ジェネレータを回転させ、エンジンを起動させる。運転指令として、エンジン回転50〜100RPMに相当するNMG*を出力する。なお、τNE*=0、VBs*=OFF、S*=OFFとする。モータ/ジェネレータの代わりにスターターモータ(図示せず)を用いても良い。
【0038】
(2) 始動モード2
キースイッチがオンのまま、エンジンが一旦停止した後、アクセルスイッチがオン、クラッチがオフの状態で、モータ/ジェネレータまたはスターターモータによりエンジンを始動させる。運転指令NMG*は、始動モード1の場合と同じ。
【0039】
(3) アイドリングモード
エンジン始動後に、キースイッチがオン、アクセルスイッチがオフで、かつ、エンジン停止モードが成立しない場合、エンジンをアイドル回転させる。バッテリーの充電率が高いときは、運転指令として、エンジンのアイドリング回転数600〜700rpmに相当するNMG*を出力する。なお、τMG*=0、VBs*=OFF、S*=OFFとする。ただし、メインバッテリーの充電率が低い、例えばバッテリー電圧VBMが所定値以下の場合には、所定のτNE*を出力し、(τMG*>0)、モータ/ジェネレータを回転させて、メインバッテリーの充電も行う。
【0040】
(4) エンジン走行発電モード
メインバッテリーの充電率が所定値VBMH(例えば70%)に達していない場合、モータ/ジェネレータを発電機として使用し、バッテリーを充電しながら走行する。アクセル開度が大きいとき(目標トルクTA以上)は、メインバッテリーの充電率が所定値VBMS(例えば40%)以下で、エンジン走行発電モードとする。このときは、運転指令S*=ON、VBs*=ONとする。また、τMG*として、アクセル開度に対応したエンジン回転数相当値に、モータ/ジェネレータを駆動するためのトルク相当値を加算して出力する。モータ/ジェネレータは、例えば、48Vで3KW〜4KWの出力を発生する。τNE*は、モータ/ジェネレータが所定の定格電力を発生するような値とする。
【0041】
(5) 加速モード
バッテリーの充電率が所定値VBMSを超えている場合で、かつ、アクセル開度が大きいとき(目標トルクTA以上)、エンジンのみならず、モータ/ジェネレータも車の加速のための動力源として利用する。運転指令S*=ONとする。また、エンジンとモータ/ジェネレータによりアクセル開度に対応した加速トルクが出力されるように、τMG*、τNE*を決定し、出力する。なお、VBs*=OFFとするのが望ましい。
【0042】
(6) エンジン走行モード
バッテリーの充電率が所定値(VBMH)を超えている場合で、かつ、アクセル開度が大きくないとき(目標トルクTA未満)、エンジンのみで運転する。運転指令S*=ONとする。また、τMG*=0とし、τNE*はアクセル開度に対応したエンジン回転数相当値を出力する。
【0043】
(7) 回生モード
キースイッチがオン、アクセルスイッチがオフで、かつ、車の速度が0より大きく、かつ、バッテリーの充電率が所定値(VBMH)に達していない場合、モータ/ジェネレータを発電機として使用し、バッテリーを充電しながら減速走行する。運転指令S*=ON、VBs*=ONとし、τNE*=0とする。τMG*は負として、モータ/ジェネレータが所定の定格電力を発電するような値とする。ブレーキスイッチがオンの場合は、τMG*を増加させて制動力を増加させる。バッテリーの充電率が所定値以上のときは、τMG*=0とする。
【0044】
(8) エンジン停止モード
次の(a)または(b)のいずれかの条件が成立するとき、エンジンを停止させる。
【0045】
(a)キースイッチがオフ。
【0046】
(b)キースイッチがオン、アクセルスイッチがオフで、かつ、車速が0、バッテリーの充電率が所定値以上(またはバッテリ電圧が所定値VBMS以上)である。要件として、さらに、エンジンの冷却水温度が所定値TS以上、停止状態の車体の傾斜角度が所定値θ以下であり、エアコンなどの補助機器類のスイッチがオフになっている場合などを付加してもよい。
【0047】
エンジン停止モードでは、運転指令S*=OFF、VBs*=OFF、τNE*=0、NMG*=0とする。
【0048】
エンジン停止モードを設定するのは、車の再スタートや安全に配慮したものである。例えば、バッテリ電圧が低かったりエンジンの冷却水温度が低いと、一時停止の後の再スタートの際、エンジンの始動が困難になる。そこで、エンジンの再始動に適さない状態のときは、アクセルスイッチがオフとなった後も若干の時間エンジンのアイドリンク運転を継続し、バッテリーを充電したりエンジンを温めておく。また、傾斜地に一時的に停止する場合、車が自重で走り出さないように、エンジンのアイドリンク運転を継続して必要なトルクを確保する。さらに、補機バッテリの電圧がエアコンなどの補助機器類の運転を継続させるのに十分でないときは、アイドリンク運転を継続して必要な動力を確保する。
【0049】
次に、図6は、コントローラ1の動作フローの概要を示す図である。キースイッチがオンの場合、起動モード1で運転を開始する。初期設定として始動モード1の設定を行い、モータ/ジェネレータ3の運転指令NMG*を出力し、モータ/ジェネレータ3のみで運転する(ステップ602、604)。ただし、メインバッテリー5の貯蔵量(充電率)が予め決めた値以下の場合には、貯蔵量を確保するための必要な手段をとる。つぎに、アクセルの開度、クラッチ、キースイッチなどの状態を検知する。また車両速度、エンジン回転数、エンジンの冷却水温度、傾斜センサ、補助機器類のスイッチのオン、オフ状態も検知する(ステップ606)。
【0050】
さらに、メインバッテリー5や補機バッテリー6の電圧により、バッテリーの貯蔵量(充電率)を求める(ステップ608)。
【0051】
そして、検出した各種値から、運転モードの変更が必要か否か判断する(ステップ610)。もし、運転モードを変更する必要がある場合、運転モードの変更を行う(ステップ612)。次に、設定された運転モードに従って前記検出値に基づき運転指令NMG*又はτMG*、NE*、VB*、S*の演算を行い、出力する(ステップ614)。この処理を、キースイッチがオフになるまで繰り返す。キースイッチがオフになれば、運転停止の処理を行う(ステップ616、618)。
【0052】
図7は、図1のハイブリッド車駆動装置による、走行時の運転条件と各駆動源の動作状態との関係の一例を示している。キースイッチがオン(T0)となり起動状態となった後、まず、モータ/ジェネレータ3をエンジンクランキング用のモータとして機能させてエンジンを始動させ、燃料噴射を開始する。さらに、エンジンが始動しアイドリング回転数に達した(T2)後、クラッチ9をオンにし、車に駆動力を伝達する。アイドリング時にバッテリーの充電率が低いときは、モータ/ジェネレータ3を発電機として駆動し、バッテリーを充電する。
【0053】
アクセルがON状態すなわちアクセルが踏み込まれた(T3)後は、アクセル開度に応じて、エンジンの回転数も増大し、車速が増大する。バッテリーの充電率が高く、アクセル開度すなわち目標トルクが大きいときは、加速モードとなり、メインバッテリー5に蓄えられた電力によりモータ/ジェネレータ3をモータとして駆動し、車の加速を助ける。
【0054】
バッテリーの充電率が高く、かつ、車速がSAを超え、かつアクセル開度が比較的小さいときは(T4)、モータ/ジェネレータ3を停止させ、エンジンのみで運転する(エンジン運転モード)。
【0055】
バッテリーの充電率が低いときは(T5−T6)、エンジン走行発電モードとなり、エンジンの余力を利用してモータ/ジェネレータ3を発電機として駆動し、主バッテリーや補機バッテリーを充電する。バッテリーが十分に充電されたときは、モータ/ジェネレータ3の駆動を停止する。
【0056】
ブレーキがONとなりアクセルがOFF状態すなわちアクセルの踏み込みが停止された(T6)後は、減速状態となる。減速時にバッテリーの充電率が低いときは、回生モードとなり、モータ/ジェネレータ3は、車の慣性エネルギーを利用した発電機として機能し、メインバッテリー5に電力を回収する。バッテリーが十分に充電されたときは、モータ/ジェネレータ3の駆動を停止する。
【0057】
アクセルがOFF状態で車の速度が所定値、例えばゼロまで減速したとき(T7)、エンジン停止モードが成立するか判定する。キースイッチがオンでも、アクセルスイッチがオフで、かつ、車速が0、バッテリ電圧が所定値VBS以上である場合、エンジン停止モードが成立するので、エンジンを停止させる。エンジン停止モードの条件として、さらに、エンジンの冷却水温度が所定値TS以上、停止状態の車体の傾斜角度が所定値θ以下であり、エアコンなどの補助機器類のスイッチがオフになっているなどの条件を付加してもよい。
【0058】
もし、(T7)でエンジン停止モードが成立しない場合には、アイドリングモードを継続しエンジンの回転を持続させる。その間に、エンジンの冷却水温度の上昇などエンジン停止モードが成立する状態になれば(T8)、エンジンを停止させる。
【0059】
エンジンの停止後、キースイッチがオンのままで、アクセルスイッチが再びオンになれば(T9)、始動モード2によりエンジンの始動を行い(T10)、アクセル開度に応じた加速運転を行う(T12)。
【0060】
キースイッチがオフになれば(T13)、エンジン停止モードが成立するので、エンジンを停止させる。
【0061】
このように、バッテリーの充電率と走行時の運転条件とに基づいて、各駆動源の動作状態の関係を適正に制御することにより、ハイブリッド車駆動システム全体としての燃費や運転特性の向上を図りつつ、有害排気ガス成分の排出量の低減を図ることが出来る。
【0062】
図7の上記例で、(T6)が信号機の前での減速、(T7)〜(T9)は信号待ちの状態とした場合、(T8)〜(T9)の期間は、エンジンのアイドリングを停止させ、有害排気ガスの排出量を抑制することが出来る。また、(T7)〜(T8)の期間で、バッテリ電圧やエンジンの冷却水温度の維持に配慮しているので、(T9)では、アイドリングを停止した後であるにもかかわらず、スムーズにエンジンを再始動させることが出来る。
【0063】
次に、補機バッテリーコントローラ14は、図8に示すように、ディューティ演算部141と、PWM制御部142とを備えている。ディューティ演算部141は、メインバッテリー5の充電率(電圧VBM)に対して所定の関係にある指令VBs*と補機バッテリーの電圧VBsとから、ディューティαを演算する。図9に示すように、電圧VBMが大きくなるほど、ディューティαは小さくなる。PWM制御部142は、ディューティαに対応したPWM信号を生成し、スイッチング素子8をチョッパ制御する。
【0064】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ハイブリッド車の燃費低減や加速などの運転特性の改善を図ることか可能となる。特に、キースイッチがオンでも、アクセルがオフになると所定の条件でエンジンのアイドリングを停止させるため、排気ガス対策として車両の一時停止時にエンジンのアイドリングを停止させて有害排気ガスの排出量を低減させることができ、かつ、一時停止時の運転操作が簡単になると共に、その停止後の再始動や加速運転をスムーズに行わせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例になるハイブリッド車駆動装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1のコントローラの詳細構成例を示す図。
【図3】図2のモータ/ジェネレータコントローラの詳細構成例を示す図。
【図4】図2のエンジンコントローラ及びこのエンジンコントローラで制御されるエンジンの構成例を示す図。
【図5】本発明のハイブリッド車駆動装置の運転モードの例を示す図。
【図6】図1のコントローラの動作フローの概要を示す図。
【図7】図1のハイブリッド車駆動装置による、走行時の運転条件と各駆動源の動作状態の関係の一例を示す図。
【図8】図2の補機バッテリーコントローラの構成例を示す図。
【図9】ディューティαと主バッテリーの電圧VBM及び補機バッテリーの電圧VBsの関係を示す図。
【符号の説明】
1…コントローラ、2…エンジン、3…モータ/ジェネレータ、4…インバーター、5…メインバッテリー、6…補機バッテリー、8…スイッチング素子、11…統合制御ユニット、12…モータ/ジェネレータコントローラ、13…エンジンコントローラ、14…補機バッテリーコントローラ。
Claims (11)
- エンジンと、該エンジンに連結されたモータ/ジェネレータと、該モータ/ジェネレータに電力変換器を介して接続されたバッテリーと、車の運転状態に応じて前記エンジンや前記モータ/ジェネレータを制御するコントローラとを備えたハイブリッド車駆動装置において、
前記コントローラは、前記エンジンを操作するアクセル開度と前記バッテリーの充電率に応じて前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを制御するための複数の運転モードを有しており、前記バッテリーの充電率が低いときは、前記エンジンを車及び前記モータ/ジェネレータの駆動源として運転し該モータ/ジェネレータで発電された電力を前記バッテリーに回収するエンジン走行発電モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率が大きいときは前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを車の駆動源として運転する加速モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度が小さいときは前記エンジンのみを車の駆動源として運転させるエンジン走行モードとすることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。 - 請求項1記載のハイブリッド車駆動装置において、前記コントローラは、キースイッチがオン、アクセルがオフで車の速度が所定値以下、かつ前記バッテリーの充電率が所定値以上の場合には、エンジン停止モードとして、前記エンジンを停止させることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項2記載のハイブリッド車駆動装置において、前記コントローラは、前記停止条件に加えて、エンジンの冷却水温度が所定値TS以上でかつ停止状態の車体の傾斜角度が所定値θ以下の場合に、エンジン停止モードとすることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項2または3に記載のハイブリッド車駆動装置において、前記コントローラは、前記アクセルがオフでかつ前記エンジン停止モードが成立しない場合には、前記エンジンのアイドリング運転を継続し、その後、前記エンジン停止モードが成立した場合に前記エンジンを停止させることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項2または3に記載のハイブリッド車駆動装置において、前記エンジンの始動時、前記モータ/ジェネレータをエンジンクランキング用のモータとして所定回転数の運転指令を与えることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項2または3に記載のハイブリッド車駆動装置において、前記加速モード時に、前記アクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率に応じたトルク指令を前記モータ/ジェネレータに与えることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項2または3に記載のハイブリッド車駆動装置において、前記キースイッチがオン、前記アクセルがオフで、かつ、車の速度が0より大きく、かつ、前記バッテリーの充電率が所定値に達していない場合、回生モードとして、前記モータ/ジェネレータを発電機として使用し前記バッテリーを充電することを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項7に記載のハイブリッド車駆動装置において、前記ブレーキスイッチがオンの場合は、前記モータ/ジェネレータに対するトルク指令を増加させて制動力を増大させることを特徴とするハイブリッド車駆動装置。
- 請求項1に記載のハイブリッド車の駆動装置において、前記エンジンのインジェクタや給排気弁を駆動する電磁コイルの電源を前記メインバッテリとしたことを特長とするハイブリッド車の駆動装置。
- エンジンと、該エンジンに連結されたモータ/ジェネレータと、該モータ/ジェネレータに電力変換器を介して接続されたバッテリーと、車の運転状態に応じて前記エンジンや前記モータ/ジェネレータを制御するコントローラとを備えたハイブリッド車の駆動方法において、
前記バッテリーの充電率が低いときは、前記エンジンを車及び前記モータ/ジェネレータの駆動源として運転し該モータ/ジェネレータで発電された電力を前記バッテリーに回収するエンジン走行発電モードとし、
前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度もしくは該アクセル開度の変化率が大きいときは前記エンジン及び前記モータ/ジェネレータを車の駆動源として運転する加速モードとし、前記バッテリーの充電率が高くかつ前記アクセル開度が小さいときは前記エンジンのみを車の駆動源として運転させるエンジン走行モードとすることを特徴とするハイブリッド車の駆動方法。 - 請求項10記載のハイブリッド車の駆動方法において、キースイッチがオン、アクセルがオフで車の速度が所定値以下、前記バッテリーの充電率が所定値以上、エンジンの冷却水温度が所定値TS以上でかつ停止状態の車体の傾斜角度が所定値θ以下の場合に、エンジン停止モードとして、前記エンジンを停止させることを特徴とするハイブリッド車の駆動方法。
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