JP2004006199A - 集積回路用コネクタと、集積回路装着用組立体 - Google Patents

集積回路用コネクタと、集積回路装着用組立体 Download PDF

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【課題】集積回路から発生する電磁波を遮断すると共に効率よく放熱を行い、小型化が可能なコネクタ及び集積回路装着用組立体を提供する。
【解決手段】集積回路装着用組立体1は、CPU2を回路基板3に着脱自在に装着するコネクタ4と、CPU2の上方に載置される放熱器5とからなる。コネクタ4は、内部ケース6と、その表面を覆いレバー8により前後方向に摺動する外部ケース7とを備える。外部ケース7にはCPU2の裏面側を覆うシールド10が設けられ、シールド10は当接部10dによって放熱器5に当接し、放熱器5は接地されている。CPU2はコネクタ4と放熱器5に囲まれているため、CPU2の作動により電磁波が発生してもシールド10と放熱器5とにより遮断される。また、CPU2から発生する熱は、放熱器5により直接放熱されると共に、その裏面側はシールド10によって熱が吸収され、当接部10dを介して放熱器5により放熱される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、CPU等の集積回路を着脱自在に装着する集積回路用のコネクタと、当該コネクタとCPU等の冷却を行う放熱器とを含む集積回路装着用組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン等に用いられるCPU等の集積回路は、作動時の発熱対策としてヒートシンク等の放熱器が取り付けられている。また、集積回路の作動時に発生する電磁波が外部に漏れないようにするために電磁波防止対策が行われている。この電磁波防止対策としては、集積回路と放熱器の周囲を金属製の箱体で覆うと共に、集積回路の裏面側の電磁波防止対策として、回路基板の裏面側から集積回路が取り付けられている領域を金属板で覆うことが行われている。
【0003】
また、一方でパソコン等の機器の小型化も求められている。しかしながら、従来のように放熱器を含めた集積回路の周囲を囲むような金属製の箱体を設けたり、回路基板の裏面側に金属板を設けたりすると、機器の小型化が困難となるという不都合がある。
【0004】
また、近年においてはCPUの作動周波数が日々急激に上昇しており、それに伴う発熱量の増大に対して、さらに効率のよい冷却方式が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、集積回路用のコネクタ及び集積回路装着用組立体の改良を目的とし、さらに詳しくは前記不都合を解消するために、集積回路から発生する電磁波を遮断すると共に小型化が可能なコネクタ及び集積回路装着用組立体を提供することを目的とする。また、集積回路を効率よく冷却することができると共に小型化が可能なコネクタ及び集積回路装着用組立体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の集積回路用コネクタは、回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着するコネクタであって、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有し、前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられ接地がなされた導電性のシールドを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の集積回路用コネクタによれば、前記集積回路を装着したときは前記回路部の裏面側に導電性のシールドが配設されるため、前記回路部の裏面側に放射される電磁波を前記シールドにより遮断することができる。この導電性のシールドとしては、金属の他、合成樹脂にカーボンや金属粉を混入した導電性樹脂を用いることができる。
【0008】
また、本発明の集積回路用コネクタにおいては、前記シールドは、前記集積回路の回路部の裏面に対向する領域に設けられていることが好ましい。このように前記回路部の裏面を前記シールドにより覆うことにより、集積回路の裏面全体が前記シールドにより覆われる。従って、従来のように回路基板の裏面側に金属板を設ける必要がない。
【0009】
また、前記摺動手段は、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方で幅方向に延設されると共に前記内部ケース及び前記外部ケースの側縁から側方に突出するカム軸と、前記カム軸と略直角となるように連結されて前記カム軸を回動させ前記集積回路が装着された状態では前記集積回路の側方に配設されるアーム部とを有し、導電性部材により形成されて接地されていることが好ましい。
【0010】
このように前記摺動手段を接地したときは、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方側に放射される電磁波が前記カム軸で遮断される。また、集積回路を装着した際には前記アーム部が前記集積回路の側面に配設されるので、集積回路の側面から放射される電磁波が前記アーム部により遮断される。
【0011】
また、前記内部ケースは前記摺動手段のカム軸を軸支する軸支部を備え、前記軸支部を含む前記内部ケースの後方に幅方向に向けて延設されて接地される導電性の後方シールド部が設けられていることが好ましい。このように前記内部ケースの後方に前記導電性の後方シールド部を設けることにより、コネクタの後方に向けて放射される電磁波を前記後方シールド部により遮断することができる。
【0012】
また、本発明の集積回路用コネクタにおいては、前記シールド又は前記摺動手段を非磁性体又は磁性体の金属で形成してもよく、その表面に非磁性体又は磁性体の金属メッキを施してもよい。
【0013】
前記シールド又は前記摺動手段に非磁性体の金属を用い、または非磁性体の金属メッキを施した場合は、集積回路に発生する電界を遮断することができる。また、強電界内で集積回路を使用しなければならない場合であっても、このような電界により集積回路が誤作動を起こすおそれがない。また、前記シールド等に磁性体の金属を用いた場合は、集積回路から生じる磁界を遮断することができる。また、強磁界内で集積回路を使用しなければならない場合であっても、このような磁界により集積回路が誤作動を起こすおそれがない。
【0014】
また、本発明の集積回路用コネクタにおいては、前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延設され前記外部ケースの表面に露出する接触部を有し、板状の天板とその周囲から下方に延設される側板とを有し前記集積回路が前記外部ケース上に装着された状態で前記集積回路を覆い前記側板が前記接触部に接触する金属製のカバーが設けられていることが好ましい。
【0015】
このように、集積回路の表面側を金属製のカバーで覆い、さらに前記カバーの側板を前記シールドに設けられた接触部に接触させることにより、前記カバーと前記シールドによって集積回路の周囲を囲むことができる。これにより、集積回路の周囲に放射される電磁波を前記カバー及び前記シールドにより遮断することができる。また、前記カバーは集積回路自体を覆うものであるため、従来のような放熱器を含めて集積回路を囲む箱体に比べて小型化することができる。
【0016】
また、前記カバーは集積回路を囲むものであるため、集積回路から発生する熱を外部に逃がすために前記カバーには表裏を貫通するスリットを設けることが好ましい。
【0017】
また、集積回路から発生する電界又は磁界を遮断し、外部の電界又は磁界による誤作動を防止するため、前記カバーを非磁性体又は磁性体の金属で形成してもよく、その表面に非磁性体又は磁性体の金属メッキを施してもよい。
【0018】
また、前記シールドを金属で形成した場合は熱伝導性が高くなる。また、前記シールドは前記放熱器に当接しており、或いはカバーを介して前記放熱器に当接しているため、集積回路の裏面側から熱を吸収し、前記放熱器によって放熱することができる。これにより、従来は集積回路の表面側からのみ行われていた放熱をその裏面側からも行えるため、集積回路の発熱量の増加にも対応することができる。
【0019】
また、本発明の第1の態様の集積回路装着用組立体は、回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、前記集積回路の回路部の表面に装着され前記端子部よりも幅広に形成され導電性を有して接地される放熱器とを有し、以下の特徴を備えている。
【0020】
まず、前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有する。また、前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられた導電性のシールドを備えている。そして、前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延びると共に屈曲されて上方に延設される起立部を有し、前記起立部が前記放熱器に当接して前記放熱器を介して接地されている。
【0021】
この第1の態様の集積回路装着用組立体によれば、集積回路の裏面側及び側面側は前記コネクタの外部ケースに固定されるシールドにより覆われるため、集積回路から放射される電磁波が前記シールドにより遮断される。また、集積回路の表面側は接地されている前記放熱器により覆われるため、集積回路から放射される電磁波が前記放熱器により遮断される。このように、第1の態様の集積回路装着用組立体では、前記コネクタと前記放熱器により集積回路の周囲に放射される電磁波を遮断することができる。また、前記シールドは前記放熱器を介して接地されているため、前記シールドを接地させるための接地回路を別個に設ける必要がない。
【0022】
第1の態様の集積回路装着用組立体においては、前記放熱器は前記端子部の表面に向けて送風を行い、又は前記端子部の表面近傍の空気を吸引する送風手段を備え、前記シールドは前記起立部の表裏を貫通する通気口を備えていることが好ましい。
【0023】
集積回路の作動により発熱する場合は主に回路部が発熱するが、回路部で発生した熱は端子部にも伝わるため、端子部の表面の温度が上昇する。本発明においては、前記放熱器から前記端子部の表面に向けて送風を行い前記端子部の表面に滞留している加熱された空気を除去する。また、前記端子部により加熱された空気は前記通気口から前記シールドの外部に排出される。このように本発明によれば、前記端子部の表面が前記放熱器からの送風で冷却される。一方、前記放熱器が前記端子部の表面近傍の空気を吸引してもよい。この場合は、前記端子部の表面に滞留する空気が前記放熱器により吸引され、前記通気口からシールドの外部の空気が前記端子部の表面に供給されるため、前記端子部の表面が冷却される。
【0024】
また、本発明の第2の態様の集積回路装着用組立体は、回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、前記集積回路の端子部よりも幅方向に狭く形成され導電性を有して接地され前記回路部の放熱を行う放熱器とを有し、以下の特徴を備えている。
【0025】
まず、前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有ている。また、前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられた導電性のシールドを備えている。また、前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延びると共に屈曲されて上方に延設される起立部を有している。そして、前記集積回路が装着された際に前記集積回路の回路部と前記起立部と前記放熱器とを連結する導電性の連結板が設けられ、前記シールドが前記連結板を介して接地されている。
【0026】
前記放熱器が前記集積回路の端子部よりも幅方向に狭く形成されている場合、前記シールドは前記端子部の外縁から外方に延びるものであるため、前記放熱器とは連結されない。本発明の第2の態様の集積回路装着用組立体においては、前記連結板が前記シールドの起立部と集積回路の回路部と前記放熱器とを連結するため、前記シールドと前記放熱器とは前記連結板を介して連結される。前記連結板は導電性を有するため、前記シールドは前記連結板と前記放熱器とを介して接地される。これにより、前記集積回路の端子部の表面側から放射される電磁波が前記連結板により遮断される。
【0027】
また、本発明の第3の態様の集積回路装着用組立体は、回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、前記集積回路の回路部の表面側に装着され導電性を有して接地される放熱器とを有し、以下の特徴を備えている。
【0028】
まず、前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有している。また、前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられ接地がなされた導電性のシールドを備えている。また、前記シールドは前記集積回路の端子部の外縁から外方に延設され前記外部ケースの表面に露出する接触部を有している。また、板状の天板とその周囲から下方に延設される側板とを有し前記集積回路が前記外部ケース上に装着された状態で前記集積回路を覆い前記側板が前記接触部に接触する金属製のカバーが設けられている。そして、前記カバーは前記天板が前記放熱器と前記回路部とに当接し、前記シールドと前記カバーとが前記放熱器を介して接地されている。
【0029】
この第3の態様の集積回路装着用組立体によれば、集積回路の裏面側は前記シールドにより覆われている。また、集積回路の表面側と側面側は前記カバーにより覆われている。これにより、集積回路から放射される電磁波が前記シールド及び前記カバーにより遮断される。また、前記シールドは前記カバーと接触し、前記カバーは前記放熱器に当接しているため、前記シールド及び前記カバーは前記放熱器を介して接地される。従って、前記シールド及び前記カバーを接地させるための接地回路を別個に設ける必要がない。
【0030】
また、前記カバーは金属製であるため熱伝導性が高い。従って、前記カバーにより集積回路の表面側から熱を吸収し、カバーを介して前記放熱器によって放熱することができる。
【0031】
第3の態様の集積回路装着用組立体においては、集積回路から発生する熱を外部に逃がすために前記カバーに表裏を貫通するスリットが設けられていることが好ましい。また、前記カバーにより電界又は磁界の遮断を行うために、前記カバーは非磁性体又は磁性体の金属で形成するか、或いはその表面に非磁性体又は磁性体の金属のメッキを施すことが好ましい。
【0032】
また、第1乃至第3の態様の集積回路装着用組立体においては、前記シールドは、前記集積回路の回路部の裏面に対向する領域に設けられていることが好ましい。このとき、前記シールドを金属で形成して前記集積回路の回路部の裏面に当接するようにしてもよく、前記集積回路の回路部の裏面と前記回路部の裏面に対向するシールドとに当接する熱伝導部材を備えるようにしてもよい。このように、前記シールド或いは熱伝導部材を前記回路部の裏面に当接させることにより、前記回路部の裏面から直接熱を吸収して前記放熱器に放熱できるため、集積回路の発熱量の増加にも対応することができる。
【0033】
また、第1乃至第3の態様の集積回路装着用組立体においては、前記摺動手段は、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方で幅方向に延設されると共に前記内部ケース及び前記外部ケースの側縁から側方に突出するカム軸と、前記カム軸と略直角となるように連結されて前記カム軸を回動させ前記集積回路が装着された状態では前記集積回路の側方に配設されるアーム部とを有し、導電性部材により形成されて接地されていることが好ましい。
【0034】
このように前記摺動手段を接地したときは、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方側に放射される電磁波が前記カム軸で遮断される。また、集積回路を装着した際には前記アーム部が前記集積回路の側面に配設されるので、集積回路の側面から放射される電磁波が前記アーム部により遮断される。
【0035】
また、第1乃至第3の態様の集積回路装着用組立体においても、集積回路から生じる電界又は磁界や外部からの電界又は磁界を遮断するために前記シールド又は前記摺動手段を非磁性体又は磁性体の金属で形成してもよく、その表面に非磁性体又は磁性体の金属メッキを施してもよい。
【0036】
また、第1乃至第3の態様の集積回路装着用組立体においては、前記シールドを金属で形成した場合は熱伝導性が高くなる。また、前記シールドは前記放熱器に当接しており、或いはカバーを介して前記放熱器に当接しているため、集積回路の裏面側から熱を吸収し、前記放熱器によって放熱することができる。これにより、従来は集積回路の表面側からのみ行われていた放熱をその裏面側からも行えるため、集積回路の発熱量の増加にも対応することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の集積回路用コネクタ及び集積回路装着用組立体の実施形態の一例について、図1乃至図13を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態である集積回路装着用組立体を示す分解斜視図、図2は外部ケースの拡大平面図及び断面図、図3は図2のIII−III線拡大断面図、図4は内部ケースにレバーを載置した状態を示す説明図、図5は内部ケースと外部ケースとによりレバーが軸支されている状態を示す説明的断面図、図6は第1の実施形態の集積回路装着用組立体によってCPUを回路基板に装着した状態を示す説明図、図7は第2の実施形態の集積回路装着用組立体によって回路基板に装着した状態を示す説明的一部断面図、図8は第2の実施形態の集積回路装着用組立体において送風ファンからの空気の流れを示す説明図、図9は第3の実施形態の集積回路装着用組立体を示す説明的一部断面図、図10は第4の実施形態の集積回路装着用組立体を示す一部拡大断面図、図11は第5の実施形態の集積回路装着用組立体を示す分解斜視図、図12はカバーの先端部の形状を示す説明図、図13は他の形状のレバーを用いたコネクタを示す説明図である。
【0038】
第1の実施形態の集積回路装着用組立体1は、図1に示すように、CPU(集積回路)2を回路基板3(図2b参照)に着脱自在に装着するコネクタ4と、このコネクタ4の上方に載置される放熱器5とからなる。そして、CPU2はこのコネクタ4と放熱器5との間に収納される。CPU2は、電子回路が内蔵されている回路部2aと、回路部2aの周囲を囲む端子部2bと、端子部2bから下方に突出するピン2cとを備えている。
【0039】
コネクタ4は、図1に示すように、回路基板3に固定される内部ケース6と、この内部ケース6の表面を覆い前後方向に摺動する外部ケース7と、この外部ケース7を前後に摺動させる摺動手段であるレバー8を備えている。
【0040】
外部ケース7は、図2及び図3に示すように、絶縁性の合成樹脂で形成されている樹脂部9と、銅合金の表面にニッケルメッキを施した金属製のシールド10(図2aにおける網掛け部分)とを備えている。樹脂部9は、CPU2が装着された際にCPU2の端子部2bの裏面に対向し、ピン2cが挿入される第1貫通孔11が設けられた端子装着部9aと、端子装着部9aの中央に設けられた方形の中央貫通孔9bとを備えている。
【0041】
シールド10は、樹脂部9の端子装着部9aに固定される網部10aと、中央貫通孔9bを覆う中央シールド部10bとを備えている。網部10aには樹脂部9の第1貫通孔11の周囲を囲む第2貫通孔10cが形成されている。このように、第2貫通孔10cは第1貫通孔11の周囲を囲んでいるため、第1貫通孔11の内周面は絶縁性の樹脂部9によって覆われている。また、中央シールド部10bは図2bに示すように断面視で波形に加工されており、表面積が大きくなっている。
【0042】
また、シールド10は、網部10aの周囲の側縁から上方に向けて延びると共に外方に向けて屈曲されている起立部10dを有している。この起立部10dは、上面が放熱器5に当接するものであり、放熱器5に当接した際に放熱器5に押しつけられるように上方に向けて斜め方向に延設されている。また、起立部10dはCPU2が装着された際にCPU2を囲むように、間隔を存して幅方向に複数分割されている。
【0043】
内部ケース6は、絶縁性の合成樹脂で形成されており、図1乃至図4に示すようにCPU2のピン2cが挿入される第3貫通孔6aが設けられている。また、内部ケース6の中央には外部ケース7と同様に中央貫通孔6bが設けられている。また、第3貫通孔6aには、図3に示すように、CPU2のピン2cと接続される端子12が装着されている。この端子12は、半田13により回路基板3の回路3aに接続される。また、内部ケース6の後方部分には、図4に示すように後述するレバー8のカム軸8aを軸支する軸支部14が設けられている。この軸支部14の表面には磁性体であるニッケルメッキが施されている(図1及び図4における斜線部分)。
【0044】
レバー8は、図4に示すように、内部ケース6の軸支部14に軸支されるクランク形状のカム軸8aと、このカム軸8aと一体に形成され、カム軸8aの軸方向と直角に屈曲されて内部ケース6の側面に延設されるアーム部8bとを備えている。カム軸8aは、内部ケース6に軸支される回動軸8cと、この回動軸8cから偏心され外部ケース7に当接して外部ケース7を前後方向に移動させる偏心軸8dとを備えている。このレバー8はステンレス製の棒部材にニッケルメッキを施したものを折り曲げることにより形成されている。
【0045】
内部ケース6と外部ケース7とレバー8とが組み立てられた状態では、図5に示すようにレバー8はカム軸8aの回動軸8cが内部ケース6の軸支部14に軸支されると共に、外部ケース7の裏面に当接している。また、この外部ケース7の裏面にはシールド10から延設されている接続部10eが露出している。また、内部ケース6の軸支部14にはメッキが施されている。これにより、軸支部14のメッキとレバー8とは接続部10eを介してシールド10に接続される。
【0046】
放熱器5はアルミ合金製のヒートパイプであり、平面視で外部ケース7の表面から突出する起立部10dの外縁よりも広く形成されている。
【0047】
次に、第1の実施形態の集積回路装着用組立体1によってCPU2を回路基板3に装着する場合について説明する。図3に示すように、コネクタ4は回路基板3に表面実装され、端子12は回路基板3に設けられている回路3aに半田13によってリフロー半田付けされている。これにより、内部ケース6が回路基板3に固定されている。また、外部ケース7は内部ケース6の側面に設けられた掛止爪6cに掛止溝7aが掛止されて上方への抜け止めがなされている。
【0048】
回路基板3に表面実装されたコネクタ4にCPU2を装着するときは、レバー8のアーム部8bを上方に向けて起立させる。すると、回動軸8cを中心にカム軸8aが回動され、偏心軸8dが起立する。偏心軸8dは外部ケース7に当接しているため、外部ケース7が偏心軸8dによって後方へ移動される。
【0049】
この状態で、外部ケース7の上方からCPU2をコネクタ4に装着する。CPU2が外部ケース7の表面から装着されると、CPU2のピン2cは、外部ケース7の第1貫通孔11に挿入されると共に、内部ケース6の第3貫通孔6aに挿入される。この状態からレバー8を前方に倒すと、カム軸8aが回動され偏心軸8dによって外部ケース7が前方に移動される。これに伴ってCPU2も前方に移動し、ピン2cが内部ケース6の第3貫通孔6a内に設けられている端子12に接続される。
【0050】
次に、この状態からCPU2の回路部2aの表面にシリコングリス15を塗布し、その上に放熱器5を取り付ける。このシリコングリス15は熱伝導性が高く、粘性を有しているため放熱器5をCPU2に取り付ける際に多く用いられている。
【0051】
さらに、この放熱器5は、図6に示すような固定器17によって回路基板上に固定される。この固定器17は放熱器5の上方に配設され放熱器5を回路基板3側に押しつける固定板17aと、固定板17aを回路基板3に連結する支持部材17bとを備えている。また、これらの部材は導電性を有しており、支持部材17bがアース回路(図示せず、以下に同じ)に接続されて接地されている。尚、本実施形態においては、従来から回路基板3の裏面に配設され、CPU2の裏面側から放射される電磁波を遮断するバックプレートは設けられていない。
【0052】
このように、集積回路装着用組立体1によってCPU2が回路基板3に装着されているときは、CPU2の裏面側にはシールド10の網部10aと中央シールド部10bが配設され、CPU2の側面にはシールド10の起立部10dが配設される。また、CPU2の表面には放熱器5が配設された状態となっている。また、CPU2の後面にはレバー8のカム軸8aが配設されると共に内部ケース6のメッキされた軸支部14が配設されている。さらに、放熱器5の表面には固定板17aが配設されている。このように、第1の実施形態の集積回路装着用組立体1によれば、CPU2の周囲がシールド10や放熱器5等で囲まれた状態となる。
【0053】
また、シールド10は、起立部10dによって放熱器5に当接しており、放熱器5は固定板17aに当接して支持部材17bを介して接地されているため、シールド10と放熱器5は固定板17a及び支持部材17bを介して接地される。また、レバー8はメッキがなされた内部ケース6に軸支されると共に、外部ケース7のシールド10に設けられた接続部10eと当接している。従って、軸支部14のメッキとレバー8もシールド10及び放熱器5等を介して接地されている。
【0054】
この状態で、CPU2が作動することにより電磁波が発生した場合は、その電磁波はシールド10と放熱器5とレバー8と軸支部14のメッキとにより遮断されて外部に放射されることはない。また、CPU2が作動すると回路部2aが発熱するが、回路部2aには放熱器5がシリコングリス15を介して取り付けられているため、回路部2aから発生した熱は放熱器5により放熱される。また、回路部2aから発生した熱は端子部2bにも伝達する。端子部2bに伝達された熱はシールド10の網部10aによって吸収され、起立部10dを介して放熱器5に伝達されて放熱される。また、回路部2aの裏面側に配設されている中央シールド部10bは断面視で波形に形成されているため、回路部2aの裏面側から発生する熱を効率よく吸収することができる。
【0055】
このように、第1の実施形態の集積回路装着用組立体1によれば、CPU2から発生する電磁波及び熱をコネクタ4及び放熱器5によって遮断することができる。また、シールド10は非磁性体である銅合金の表面に磁性体であるニッケルがメッキされているため、CPU2から発生する電界や磁界も遮断することができる。また、強電界内や強磁界内においてCPU2を作動させた場合であっても、CPU2が電界や磁界により誤作動を起こすおそれがない。
【0056】
従って、固定器17の外部をさらに金属製の箱体で覆う必要がなく、回路基板3の裏面にバックプレート等を設ける必要がない。また、シールド10は回路基板3と放熱器5との間に配設されるものであるため、放熱器5や固定器17は従来のものを用いることができる。このため、従来のコネクタを第1の実施形態のコネクタ4に変更するだけで、容易に装置全体の小型化を行うことができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態である集積回路装着用組立体1aについて図7及び図8を参照して説明する。第2の実施形態の集積回路装着用組立体1aは、図7に示すように、CPU2を回路基板3に着脱自在に装着するコネクタ4と、このコネクタ4の上方に載置される放熱器5とからなる。さらに、この放熱器5は、図7に示すような固定器17によって回路基板上に固定されている。
【0058】
放熱器5は、図7に示すようにアルミ合金製の放熱部5aと、放熱部5aに空気を送風する送風ファン5bとを備えている。放熱部5aは、CPU2に対面する位置にCPU2の端子部2bに向けて開口する複数の送風口5cを備えている。この送風口5cは、送風ファン5bに向けて拡径されている。また、端子部2bに向けては、図8に示すように吹き出された空気がCPU2の回路部2aの周囲を周回するように傾斜している(図7参照)。また、送風口5cは、その周囲が断熱性の合成樹脂により被覆されている。
【0059】
シールド10は、図8に示すように、起立部10dの内側に向けて表裏を貫通する通気口10hが設けられている。この通気口10hは、起立部10dの垂直部分を内側に打ち抜くようにして形成しており、横方向に向けて一方向のみが開口している。そして、本実施形態においては、開口部が図8において時計回りに並ぶように配列している。尚、その他の構成については、前記第1の実施形態と同様であるので、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
この第2の実施形態の集積回路装着用組立体1aにおいて、図7に示すようにCPU2を装着し、CPU2及び送風ファン5bの作動を開始すると、CPU2が発熱する。CPU2の回路部2aで熱が発生すると、シリコングリス15を介して放熱部5aに伝達する。放熱部5aに伝達された熱は、送風ファン5bによる送風により外部に放出される。
【0061】
このとき、送風ファン5bからの空気は、送風口5cを介して端子部2bの表面に向けて吹き出される。この第2の実施形態においては、図8に示すように端子部2bの表面に向けて複数箇所から送風が行われる。送風口5cは、端子部2bに向けて開口する部分が、図7において左側に傾斜しているため、送風口5cから吹き出せる空気は図8に示すように回路部2aの周囲を時計回りに旋回する。
【0062】
通気口10hは、図8に示すようにその開口部が時計回りに向けて開口しているため、送風口5cから吹き出されて旋回する空気により、シールド10の起立部10dの外部の空気が通気口10hから内部に吸い込まれる。一方、複数の起立部10dの隙間から起立部10dの外部に空気が吹き出される。このように、本実施形態においては、送風ファン5bから送風される空気により、端子部2bの表面とシールド10の起立部10dが冷却されるため、さらに効率よくCPU2を冷却することができる。
【0063】
また、送風口5cはその表面が断熱性の合成樹脂により被覆されているため、放熱部5aが回路部2aによって加熱された場合であっても、端子部2bの表面に吹き出される空気は加熱されない。このため、端子部2bには温度の低い空気が供給されるため、CPU2を効率よく冷却することができる。
【0064】
尚、第2の実施形態においては、送風口5cから空気を吹き出しているが、これに限らず、送風ファン5bを逆回転させて送風口5cから空気を吸引するようにしてもよい。このように送風口5cから空気を吸引することにより、端子部2bの表面近傍の空気を吸い込むことができるので、端子部2bの表面が冷却される。また、通気口10hの向きを図8において半時計回りに開口するようにしてもよい。この場合は、送風ファン5bから吹き出される空気が通気口10hから外部に流出する。
【0065】
次に、第3の実施形態である集積回路装着用組立体1bについて図9を参照して説明する。第3の実施形態である集積回路装着用組立体1bは、図9に示すように、CPU2を回路基板3に着脱自在に装着するコネクタ4と、このコネクタ4の上方に載置される放熱器5と、コネクタ4と放熱器5との間に介在する連結板10iとからなる。第3の実施形態においては、放熱器5にCPU2の端子部2bよりも幅方向に狭いヒートパイプを用いている。
【0066】
この第3の実施形態の集積回路装着用組立体1bにおいてCPU2を装着するときは、コネクタ4にCPU2を装着し、その後、シールド10の起立部10dの上から連結板10iをかぶせる。この連結板10iは、金属製の板状部材であり、CPU2の回路部2aにシリコングリス15を介して当接すると共に、起立部10dにも当接する。そして、その連結板10iの表面にシリコングリス15を介して放熱器5を装着する。尚、その他の構成については、前記第1の実施形態と同様であるので、同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
このように、CPU2が集積回路装着用組立体1bに装着されると、CPU2が作動することにより電磁波が発生した場合であっても、その電磁波はシールド10と放熱器5と連結板10iとにより遮断されて外部に放射されることはない。また、CPU2の回路部2aで熱が発生したときは、シリコングリス15を介して連結板10iに熱が伝達され、連結板10iからシリコングリス15を介して放熱器5に伝達されて放熱される。また、CPU2の裏面側に伝達された熱は、シールド10により吸収されて起立部10dを介して連結板10iに伝達される。そして、連結板10iから放熱器5に熱が伝達されて放熱される。
【0068】
このように、第3の実施形態の集積回路装着用組立体1bによれば、放熱器5がCPU2の回路部2aよりも幅方向に狭い場合であっても、連結板10iを用いることによりCPU2から発生する電磁波を遮断し、CPU2の冷却を効率よく行うことができる。尚、この連結板10iについても、電界や磁界を遮断するため、磁性体の金属や非磁性体の金属を用いてもよく、さらに非磁性体のメッキや磁性体のメッキを施してもよい。
【0069】
次に、本発明の第4の実施形態である集積回路装着用組立体1cについて図10を参照して説明する。第4の実施形態の集積回路装着用組立体1cは、図10に示すように、CPU2を回路基板3に着脱自在に装着するコネクタ4と、このコネクタ4の上方に載置される放熱器5とからなる。
【0070】
第4の実施形態におけるコネクタ4は、シールド10が金属により形成され、中央シールド部10bに上方に延設されるランス10Jが設けられている。このランス10Jは、中央シールド部10bに切り込みを入れて上方に曲げ加工することにより形成されている。また、ランス10Jは、図10に示すようにCPU2の回路部2aの裏面側に当接している。CPU2の回路部2aの裏面側には高速キャパシタ等の電子部品2dが表面実装されているが、ランス10Jはこれら電子部品2dに接触しないように形成されている。尚、その他の構成は、上記第1の実施形態と同様であるので、図中において同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
第4の実施形態におけるコネクタ4は、このようにCPU2の回路部2aの裏面側にランス10Jが当接しているため、CPU2の作動により回路部2aで熱が発生したときは、発生した熱がランス10Jを通じて中央シールド部10bに伝達され、中央シールド部10bから網部10a及び起立部10dを介して放熱器5に伝達されて放熱される。一方、回路部2aの表面側は放熱器5によって直接放熱が行われる。このように、第4の実施形態においては、回路部2aの表裏で放熱が行われるため、CPU2の発熱量の増加にも対応することができる。
【0072】
また、第4の実施形態においては、中央シールド部10bに設けたランス10Jにより回路部2aの裏面側の熱を吸収しているが、これに限らず、図10に示すように中央シールド部10bを上方に突出させて回路部2aの裏面側に当接させるようにしてもよい。このときも、上記ランス10Jと同様に、中央シールド部10bが電子部品2dと接触しないように、中央シールド部10bに凹部10kを設けることが好ましい。また、その際、中央シールド部10bの表面にシリコングリス等の熱伝導性グリスを塗布することにより、さらに熱伝導性を高めることができる。また、中央シールド部10bの表面に絶縁性の皮膜を設けることにより、回路部2aの裏面側に表面実装されている電子部品2d等との短絡を防止することができる。或いは、回路部2aの裏面側に絶縁性の被膜が設けられている場合も中央シールド部10bとの短絡が防止される。
【0073】
また、回路部2aの裏面側に直接当接するものであれば、図10に示すように、中央シールド部10bの表面から上方に突出する熱伝導部材として電子部品2dを避けて回路部2aの裏面に当接するスプリング10lを設けてもよい。このように、スプリング10lを設けることにより、回路部2aで発生した熱が、回路部2aの裏面側からスプリング10l等を介して中央シールド部10bに吸収され、網部10a及び起立部10dを介して放熱器5に伝達されて放熱される。
【0074】
或いは、図10に示すように、中央シールド部10bの表面に絶縁シート10mで覆われた金属綿10nを配設してもよい。或いは、雲母板又はクールシート等の一対のシート部材10pにより金属綿10nを挟み込むようにしてもよい。尚、クールシートとは、通常集積回路と放熱器とを熱的に結合する際に用いられるものである。このように、回路部2aの裏面と中央シールド部10bとの間に金属綿10nを介在させることにより、この金属綿10nを介して回路部2aで発生する熱を中央シールド部10bに伝達させることができる。
【0075】
次に、本発明の第5の実施形態である集積回路装着用組立体1dについて図11を参照して説明する。第5の実施形態の集積回路装着用組立体1dは、図11に示すように、CPU2を回路基板3に着脱自在に装着するコネクタ4と、このコネクタ4の上方に載置される放熱器5とからなる。
【0076】
コネクタ4は、図11に示すように、回路基板3に固定されている内部ケース6と、この内部ケース6の表面を覆い前後方向に摺動する外部ケース7と、この外部ケース7を前後に摺動させる摺動手段であるレバー8と、CPU2の表面及び側面を覆い外部ケース7の上方に装着されるカバー21とを備えている。第5の実施形態においては、内部ケース6とレバー8とは前記第1の実施形態と同様の構成を備えている。
【0077】
外部ケース7は、図11に示すように、絶縁性の合成樹脂で形成されている樹脂部9と、銅合金にニッケルメッキが施されたシールド10とを備えている。この外部ケース7は、第1の実施形態におけるシールド10の起立部10dが設けられていない。また、この起立部10dの代わりにカバー21と結するカバー連結部10fを備え、このカバー連結部10に連結溝10gが設けられている点で前記第1の実施形態と異なっている。その他の点については前記第1の実施形態における外部ケース7と同様の構成を備えている。
【0078】
カバー21は、銅合金製の板にニッケルメッキを施したものを加工したものであり、図11に示すように略正方形の天板21aとその天板21aの側縁から下方に延びる側板21bとを有しており、下方が解放された扁平な箱状となっている。また、カバー21には天板21aの中心部から外方に向かって放射状に側板21bの下端部まで延びるスリット21cが設けられている。
【0079】
次に、第5の実施形態の集積回路装着用組立体1dによってCPU2を装着する場合について説明する。まず、第1の実施形態と同様に、レバー8を起立させてCPU2を外部ケース7の上方から装着する。そして、レバー8を前方に倒して外部ケース7を前方に移動させ、CPU2のピン2cを内部ケース6の第3貫通孔6a内に設けられている端子12に接続する。
【0080】
次に、CPU2の上方からカバー21をかぶせる。このとき、CPU2の回路部2aの表面にシリコングリス15を塗布し、回路部2aにカバー21の天板21aを貼着すると共に、図12cに示すように、カバー21の側板21bの下端部をシールド10のカバー連結部10fに設けられた連結溝10gに装着する。そして、カバー21の上方に放熱器5を載置し、第1の実施形態と同様に固定器17によって回路基板3に放熱器5を固定する。
【0081】
このように、集積回路装着用組立体1dによってCPU2が回路基板3に装着されているときは、CPU2の表面及び側面にはカバー21が配設される。また、CPU2の裏面側にはシールド10が配設される。また、第1の実施形態と同様に、CPU2の後面にはレバー8のカム軸8aと内部ケース6のメッキされた軸支部14が配設され、さらに放熱器5の表面には固定板17aが配設される。このように、第5の実施形態の集積回路装着用組立体1dによれば、CPU2の周囲がカバー21及びシールド10等で囲まれた状態となる。
【0082】
また、シールド10はカバー21に当接し、カバー21は放熱器5に当接しており、放熱器5は固定板17a及び支持部材17bを介して接地されているため、シールド10とカバー21と放熱器5は固定板17a及び支持部材17bを介して接地される。また、内部ケース6のメッキされた軸支部14とレバー8もシールド10及びカバー21等を介して接地される。
【0083】
この状態で、CPU2が作動することにより電磁波が発生した場合は、その電磁波はシールド10とカバー21と放熱器5とレバー8と軸支部とにより遮断されて外部に放射されることはない。また、CPU2が作動すると回路部2aが発熱するが、回路部2aにはカバー21がシリコングリス15を介して取り付けられ、カバー21は放熱器5に当接しているため、回路部2aから発生した熱はカバー21を介して放熱器5により放熱される。また、回路部2aから発生し端子部2bに伝達された熱は、シールド10によって吸収されカバー21を介して放熱器5に伝達されて放熱される。
【0084】
この第5の実施形態の集積回路用コネクタ1dにおいては、カバー21の側板21bの先端部は、図12aに示すように面取りがなされている。このため、外部ケース7に載置された際には、図12cに示すように、シールド10のカバー連結部10fに設けられた連結溝10gに側板21bの先端部が差し込まれた状態となる。カバー21の先端部とカバー連結部10fとをこのような構成とすることにより、カバー連結部10fから効率よくカバー21に熱の伝達が行われる。また、このカバー21の側板21bの先端部は図12aに示す形状に限らず、図12bに示すように先端部を幅方向に狭めた形状としてもよい。
【0085】
このように、第5の実施形態の集積回路装着用組立体1dによれば、CPU2から発生する電磁波及び熱をカバー21を含むコネクタ4及び放熱器5によって遮断することができる。また、カバー21及びシールド10は非磁性体である銅合金の表面に磁性体であるニッケルがメッキされているため、CPU2から発生する電界や磁界も遮断することができる。また、強電界内や強磁界内においてCPU2を作動させた場合であっても、CPU2が電界や磁界により誤作動を起こすおそれがない。また、第5の実施形態においても、従来のコネクタを本実施形態のカバー21を含むコネクタ4に変更するに際して放熱器5や固定器17の変更をする必要がない。
【0086】
尚、前記第1乃至3及び第5の実施形態においては、シールド10の中央シールド部10bを断面視で波形に加工しているが、これに限らず、表面を粗くして表面積を大きくしたり、表裏を貫通する孔や溝を設けることにより表面積を大きくしてもよい。また、前記実施形態においてはシールド10には中央シールド部10bを設けているが、これに限らず、回路基板3の裏面側でCPU2の回路部2aの裏面側に別個にシールドを設け、中央シールド部10bを省略してもよい。
【0087】
また、前記第1乃至3及び第5の実施形態においては、シールド10及び軸支部14には磁性体であるニッケルメッキを施しているが、これに限らず非磁性体の金属をメッキしてもよい。また、第2の実施形態において、カバー21は非磁性体である銅合金に磁性体であるニッケルメッキを施しているが、逆に磁性体に金属の表面に非磁性体の金属をメッキしてもよい。また、シールド10又はカバー21を磁性体の金属または非磁性体の金属により形成してもよい。また、放熱器5にはヒートパイプを用いているが、これに限らず一般に広く用いられているヒートシンクとしてもよい。
【0088】
また、前記第1乃至第5の実施形態においては、シールド10と樹脂部9とを一体としてインサート成形しているが、これに限らず、シールド10を樹脂部9の表面に接着剤あるいはプレス等により固定してもよい。また、樹脂部9の表面に金属メッキを行うことによりシールドを形成してもよい。或いは、シールド10を導電性プラスチックで形成してもよい。
【0089】
また、前記第1乃至第5の実施形態においては、コネクタ4のレバー8は従来と同様の形状のものを用いているが、これに限らず、図13に示すような形状のレバー8’としてもよい。このレバー8’は、起立させた状態でCPU2を外部ケース7に装着し、その後に前方に倒すことでCPU2の端子部2bと放熱器5との間に配設され、CPU2を上方から保持するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である集積回路装着用組立体を示す分解斜視図。
【図2】外部ケースの拡大平面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】内部ケースにレバーを載置した状態を示す説明図。
【図5】内部ケースと外部ケースとによりレバーが軸支されている状態を示す説明的断面図。
【図6】第1の実施形態の集積回路装着用組立体によってCPUを回路基板に装着した状態を示す説明図。
【図7】第2の実施形態の集積回路装着用組立体によって回路基板に装着した状態を示す説明的一部断面図。
【図8】第2の実施形態の集積回路装着用組立体において送風ファンからの空気の流れを示す説明図。
【図9】第3の実施形態の集積回路装着用組立体を示す説明的一部断面図。
【図10】第4の実施形態の集積回路装着用組立体を示す部分拡大断面図。
【図11】第5の実施形態の集積回路装着用組立体を示す分解斜視図。
【図12】カバーの先端部の形状を示す説明図。
【図13】他の形状のレバーを用いたコネクタを示す説明図。
【符号の説明】
1…集積回路装着用組立体、2…CPU(集積回路)、3…回路基板、4…コネクタ、6…内部ケース、7…外部ケース、8…レバー(摺動手段)、10…シールド。

Claims (31)

  1. 回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着するコネクタであって、
    前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有し、
    前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられ接地がなされた導電性のシールドを備えていることを特徴とする集積回路用コネクタ。
  2. 前記シールドは、前記集積回路の回路部の裏面に対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集積回路用コネクタ。
  3. 前記摺動手段は、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方で幅方向に延設されると共に前記内部ケース及び前記外部ケースの側縁から側方に突出するカム軸と、前記カム軸と略直角となるように連結されて前記カム軸を回動させ前記集積回路が装着された状態では前記集積回路の側方に配設されるアーム部とを有し、導電性部材により形成されて接地されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集積回路用コネクタ。
  4. 前記内部ケースは前記摺動手段のカム軸を軸支する軸支部を備え、前記軸支部を含む前記内部ケースの後方に幅方向に向けて延設されて接地される導電性の後方シールド部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の集積回路用コネクタ。
  5. 前記シールド又は前記摺動手段が非磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  6. 前記シールド又は前記摺動手段が磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  7. 前記シールド又は前記摺動手段の表面に非磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項1,2,3,4又は6に記載の集積回路用コネクタ。
  8. 前記シールド又は前記摺動手段の表面に磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  9. 前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延設され前記外部ケースの表面に露出する接触部を有し、
    板状の天板とその周囲から下方に延設される側板とを有し前記集積回路が前記外部ケース上に装着された状態で前記集積回路を覆い前記側板が前記接触部に接触する金属製のカバーが設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  10. 前記カバーに表裏を貫通するスリットが設けられていることを特徴とする請求項9に記載の集積回路用コネクタ。
  11. 前記カバーが非磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項9又は10に記載の集積回路用コネクタ。
  12. 前記カバーが磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項9又は10に記載の集積回路用コネクタ。
  13. 前記カバーの表面に非磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項9,10又は12のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  14. 前記カバーの表面に磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の集積回路用コネクタ。
  15. 回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、
    前記集積回路の回路部の表面に装着され前記端子部よりも幅広に形成され導電性を有して接地される放熱器とを有する集積回路装着用組立体であって、
    前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有し、
    前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられた導電性のシールドを備え、
    前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延びると共に屈曲されて上方に延設される起立部を有し、前記起立部が前記放熱器に当接して前記放熱器を介して接地されていることを特徴とする集積回路装着用組立体。
  16. 前記放熱器は前記端子部の表面に向けて送風を行い、又は前記端子部の表面近傍の空気を吸引する送風手段を備え、
    前記シールドは前記起立部の表裏を貫通する通気口を備えていることを特徴とする請求項15に記載の集積回路装着用組立体。
  17. 回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、
    前記集積回路の端子部よりも幅方向に狭く形成され導電性を有して接地され前記回路部の放熱を行う放熱器とを有する集積回路装着用組立体であって、
    前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有し、
    前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられた導電性のシールドを備え、
    前記シールドは前記集積回路が装着された際に前記端子部の外縁から外方に延びると共に屈曲されて上方に延設される起立部を有し、
    前記集積回路が装着された際に前記集積回路の回路部と前記起立部と前記放熱器とを連結する導電性の連結板が設けられ、
    前記シールドが前記連結板を介して接地されていることを特徴とする集積回路装着用組立体。
  18. 回路部と板状の端子部と前記端子部の裏面から下方に延設される複数のピンとを備えた集積回路を回路基板に着脱自在に装着する集積回路用コネクタと、
    前記集積回路の回路部の表面側に装着され導電性を有して接地される放熱器とを有する集積回路装着用組立体であって、
    前記コネクタは、前記回路基板に固定される内部ケースと、前記内部ケースに対して前後方向に摺動自在に設けられる外部ケースと、前記外部ケースを摺動させる摺動手段とを有し、
    前記外部ケースは絶縁性の樹脂により形成されその表裏を貫通し前記ピンが挿入される第1貫通孔を有し、前記外部ケースに固定され前記第1貫通孔の周囲を囲む第2貫通孔を有し前記集積回路が装着された際に前記端子部の裏面に対向する領域に設けられ接地がなされた導電性のシールドを備え、
    前記シールドは前記集積回路の端子部の外縁から外方に延設され前記外部ケースの表面に露出する接触部を有し、
    板状の天板とその周囲から下方に延設される側板とを有し前記集積回路が前記外部ケース上に装着された状態で前記集積回路を覆い前記側板が前記接触部に接触する金属製のカバーが設けられ、
    前記カバーは前記天板が前記放熱器と前記回路部とに当接し、前記シールドと前記カバーとが前記放熱器を介して接地されていることを特徴とする集積回路装着用組立体。
  19. 前記カバーに表裏を貫通するスリットが設けられていることを特徴とする請求項18に記載の集積回路装着用組立体。
  20. 前記カバーが非磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項18又は19に記載の集積回路装着用組立体。
  21. 前記カバーが磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項18又は19に記載の集積回路装着用組立体。
  22. 前記カバーの表面に非磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項18,19又は21に記載の集積回路装着用組立体。
  23. 前記カバーの表面に磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
  24. 前記シールドは、前記集積回路の回路部の裏面に対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項15乃至23のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
  25. 前記シールドが金属で形成され、前記集積回路の回路部の裏面に当接することを特徴とする請求項24に記載の集積回路装着用組立体。
  26. 前記シールドが金属で形成され、前記集積回路の回路部の裏面と前記回路部の裏面に対向するシールドとに当接する熱伝導部材を備えていることを特徴とする請求項24に記載の集積回路装着用組立体。
  27. 前記摺動手段は、前記内部ケース及び前記外部ケースの後方で幅方向に延設されると共に前記内部ケース及び前記外部ケースの側縁から側方に突出するカム軸と、前記カム軸と略直角となるように連結されて前記カム軸を回動させ前記集積回路が装着された状態では前記集積回路の側方に配設されるアーム部とを有し、導電性部材により形成されて接地されていることを特徴とする請求項15乃至26のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
  28. 前記シールド又は前記摺動手段が非磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項15乃至27のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
  29. 前記シールド又は前記摺動手段が磁性体の金属で形成されているとを特徴とする請求項15乃至27のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
  30. 前記シールド又は前記摺動手段の表面に非磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項15乃至27又は29に記載の集積回路装着用組立体。
  31. 前記シールド又は前記摺動手段の表面に磁性体の金属のメッキが施されているとを特徴とする請求項15乃至28のいずれか1項に記載の集積回路装着用組立体。
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