JP2004004294A - 感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造方法及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A1)ガラス転移温度が125℃以上のバインダポリマ、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来プリント配線板の製造分野において、エッチング、めっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物およびそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。プリント配線板は、感光性エレメントを銅基板上にラミネートして、パターン露光した後、硬化部分を現像液で除去し、エッチング又はめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上から剥離除去する方法によって製造されている。感光性エレメントは、近年のプリント配線板の高密度化に伴い、従来の感光性エレメントに比べて高解像性・高密着性に関する要求がますます高くなっている。
また、一方では、作業性の向上という点から、高感度、低めっき浴汚染性の感光性樹脂組成物が望まれており、これらの特性は、使用される光重合開始剤の種類及び量に依存するものである。高感度の光重合開始剤は、ドイツ特許第2,027,467号明細書、ヨーロッパ特許公開第11,786号公報、ヨーロッパ特許公開第220号明細書、ヨーロッパ特許公開第589号明細書、特開平6−69631号公報等に記載されているが、これらはめっき浴汚染性を有するという欠点がある。
【0003】
この他に、めっき浴汚染性の少ない、光重合開始剤である2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体と、水素供与性化合物を組み合わせ高感度にした感光性樹脂組成物が、米国特許第3,479,185号明細書に記載されているが、要求される感度に調整した場合、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体の使用量を増量すると、レジストの線幅が太るという欠点があり、水素供与性化合物の使用量を増量すると、銅との密着性及び保存安定性が劣るという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用な感光性樹脂組成物を提供するものである。請求項2、3及び4記載の発明は、請求項1記載の発明の効果を奏し、さらに解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用な感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
請求項5、6、7記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明の効果を奏し、さらに耐スカム発生性及び剥離特性が優れ、プリント配線の高密度化に有用な感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
請求項8記載の発明は、感度、解像度、耐スカム発生性、耐めっき性、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用な感光性エレメントを提供するものである。
【0007】
請求項9記載の発明は、感度、解像度、耐スカム発生性、耐めっき性、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用なレジストパターンの製造法を提供するものである。請求項10記載の発明は、感度、解像度、耐スカム発生性、耐めっき性、作業性及び生産性が優れ、プリント配線の高密度化に有用なプリント配線板の製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A1)Tgが125℃以上のバインダポリマ、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに(A2)単独重合体のTgが120℃以上の単量体を必須の単量体として共重合して得られるバインダポリマ、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらにバインダポリマの重量平均分子量が、5,000〜120,000である前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに(B)光重合性化合物がビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする前記感光性樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、(B)光重合性化合物が分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物及び分子内に少なくとも2つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を必須成分とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(C)光重合開始剤が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を必須成分とする前記感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、半導体パッケージ基板用である感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメントに関する。
また、本発明は、前記感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法に関する。
また、本発明は、前記レジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
前記(A)バインダポリマは、複数種類のラジカル重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。ポリマの共重合の形態としてはブロック、ランダムを問わない。
【0011】
前記(A)バインダポリマは、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると接着性及び解像度が低下する傾向がある。但し、本発明における重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定し、標準ポリスチレン換算した値を使用したものである。
前記(A)バインダポリマの重量平均分子量は、5,000〜120,000であることが好ましく、20,000〜80,000であることがより好ましい。重量平均分子量が20,000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、120,000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
前記(A)バインダポリマのガラス転移温度は125℃以上である必要がある。ポリマのガラス転移温度Tgp(K)は、ポリマを構成する各単量体の重量分率Wn及び各単量体の単独重合体のガラス転移温度Tgn(K)から、次式のように求められる。
1/Tgp=Σ(Wn/Tgn)
前記(A)バインダポリマは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有させることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0012】
前記(A2)の必須成分である単独重合体のガラス転移温度が120℃以上の単量体としては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、モルホリルアクリルアミド、カルボキシフェニルメタクリルアミド、メトキシカルボニルフェニルメタクリルアミド、メチルクロロアクリレート、イソプロピル−α−クロロアクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、メチル−α−フェニルアクリレート、ヘキサフルオロプロピレン、4−トリメチルシリルベンゾイルオキシエチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ヨードスチレン、2−メトキシカルボニルスチレン、2−ブトキシカルボニルスチレン、2−イソブトキシカルボニルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、3−ヒドロキシメチルスチレン、4−ヒドロキシメチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−(4−ビフェニル)スチレン、4−クロロ−2−メチルスチレン、4−クロロ−3−フルオロスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−4−イソプロピルスチレン、α,β,β,トリフルオロスチレンなどが挙げられる。上記単量体としてはジシクロペンタニルメタクリレートが特に好ましい。
【0013】
他の共重合成分としては(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、スチレン誘導体などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、これらの構造異性体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記スチレン又はスチレン誘導体を共重合成分として、密着性及び剥離特性を共に良好にするには、3〜30重量%含むことが好ましく、4〜28重量%含むことがより好ましく、5〜27重量%含むことが特に好ましい。この含有量が3重量%未満では密着性が劣る傾向があり、30重量%を超えると剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
【0014】
前記(A)成分の酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、45〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、200mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。また、現像工程として溶剤現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。
また、必要に応じて前記バインダポリマは感光性基を有していてもよい。
【0015】
これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダポリマとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダポリマ、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダポリマ、異なる分散度の2種類以上のバインダポリマなどが挙げられる。また、特開平11−327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマを使用することもできる。
前記(B)分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β′−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又は分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0016】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0017】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名UA−11等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名UA−13等が挙げられる。
【0019】
なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。
前記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0020】
前記(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N′−テトラアルキル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、密着性及び感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体がより好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
前記(A)バインダポリマの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜80重量部とすることが好ましく、45〜70重量部とすることがより好ましい。この配合量が40重量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に、塗膜性が劣る傾向があり、80重量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
前記(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、20〜60重量部とすることが好ましく、30〜55重量部とすることがより好ましい。この配合量が20重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60重量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0022】
また、(B)光重合性化合物中の必須成分である前記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物の配合量は、(B)成分中3〜90重量%であることが好ましく、5〜70重量%であることがより好ましい。この配合量が3重量%未満では解像度が劣る傾向があり、90重量%を超えるとレジストの剥離時間が長くなる傾向がある。
前記(C)光重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。この配合量が0.1重量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、20重量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0023】
前記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物等)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0024】
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60重量%程度の溶液として塗布することができる。
前記感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0025】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
上記感光性エレメントは、例えば、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得ることができる。上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2重量%以下とすることが好ましい。
【0026】
これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
また、前記感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層、支持体及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0027】
前記感光性エレメントは、例えば、そのまま又は感光性樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際支持体が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0028】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することも可能である。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
【0029】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、レーザー直接描画露光法にも使用される。
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0030】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
【0031】
現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング、めっき等の公知方法で処理する。上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっきなどがある。次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10重量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。上記剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレイ方式等が挙げられる。また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1〜5及び比較例1〜3
表1に示す材料を配合し、感光性樹脂溶液を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
以下に表1で使用した材料を示す。
TMPT21E(日立化成工業(株)製サンプル名):下記式で表されるトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリメタクリレート。
【0036】
【化1】
FA−321M(日立化成工業(株)製商品名):下記式で表される2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン。
【0037】
【化2】
M−113(東亞合成(株)商品名):下記式で表されるノニルフェニルエチレンオキサイド変性アクリレート。
【0038】
【化3】
FA−MECH(日立化成工業(株)商品名):下記式で表されるg−クロロ−b−ヒドロキシプロピル−b’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート。
【0039】
【化4】
【0040】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を、16mm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥器で10分間乾燥して、感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の膜厚は、15mmであった。
一方、三井化学(株)製スパッタ銅基板エッチャーフレックスSUSF2(銅厚0.25mm、下地ポリイミドフィルム厚50 mm)を80℃に加温し、その銅表面上に、前記感光性樹脂組成物層を、110℃に加熱しながらラミネートした。次に、高圧水銀灯ランプを有するオーク(株)製平行光線露光機EXM1201を用いて、ネガとしてストーファー41段ステップタブレットを試験片の上に置いて60mJ・cm−2、120mJ・cm−2、240mJ・cm−2、480mJ・cm−2で露光した。
【0041】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1重量%炭酸ナトリウム水溶液を20秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去した。さらに、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の感度を評価し、41段ステップタブレット(DO.D.=0.05)の14段を硬化させるのに必要な露光量(mJ・cm−2)を感度とした。その結果を表3に示した。数字が低いほど高感度である。現像後のパターンを観察し、ライン・アンド・スペースとして残ったライン幅(mm)から解像度(mm)を求めた。
剥離時間は以下のように測定した。それぞれの感度に相当する露光量(21段/41)を照射した試料を、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像した。1昼夜放置後、3重量%水酸化ナトリウム水溶液を45℃に保ち撹拌子により撹拌しながら、浸漬し剥離が始まる時間(sec)を測定した。剥離時間は短いほうが好ましい。
【0042】
次に未露光のフィルム0.5m2を1リットルの1重量%炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、その溶液を30℃で90分間スプレー現像機で循環させた。2分間放置後、現像機の壁面に付着した油状生成物を観察し、以下に示す基準によりスカム発生性の評価とした。数字が大きいほうが特性上好ましい。
3:油状生成物無し
2:油状生成物少量
1:油状生成物多量
耐めっき性の評価は以下のように行った。それぞれの感度に相当する露光量(21段/41)をマスクを用いて露光し、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像した。この試料を脱脂、水洗し、3.0A/dm2で30分間硫酸銅めっきし、水洗・ホウフッ化水素酸浸漬後、1.5A/dm2で10分間半田めっきし水洗した。エアブラシで水分を除き、粘着テープ(積水化学製、24mm巾)を密着させ急激にはがし、剥離の有無を調べた。
〇:剥離なし
×:剥離あり
実施例1〜5および比較例1〜3について評価結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】
請求項1記載の感光性樹脂組成物は感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項2記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項3記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項4記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項5記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項6記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項7記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項8記載の感光性樹脂組成物は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項9記載の感光性エレメントは、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
請求項10記載のプリント配線板の製造方法は、感度、解像度、耐スカム発生性及び耐めっき性が優れ、プリント配線の高密度化に有用である。
Claims (10)
- (A1)ガラス転移温度が125℃以上のバインダポリマ、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物。
- (A2)メタクリル酸以外に少なくとも1種類以上の単独重合体のガラス転移温度が120℃以上の単量体を必須の単量体として、共重合して得られるバインダポリマ、(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物。
- 単独重合体のガラス転移温度が120℃以上の単量体がジシクロペンタニル(メタ)アクリレートである請求項2記載の感光性樹脂組成物。
- バインダポリマの重量平均分子量が、5,000〜120,000である請求項1〜3記載の感光性樹脂組成物。
- (B)光重合性化合物がビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を必須成分とする請求項1〜4記載の感光性樹脂組成物。
- (B)光重合性化合物が分子内に1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物及び分子内に少なくとも2つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を必須成分とする請求項1〜5記載の感光性樹脂組成物。
- (C)光重合開始剤が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を必須成分とする請求項1〜6記載の感光性樹脂組成物。
- 半導体パッケージ基板用である請求項1〜7記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜8に記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメント。
- 請求項9記載のレジストパターンの製造法により、レジストパターンの製造された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法。
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