JP2004004212A - 電子写真用移し絵転写材 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像サイズが大きくプリントコストが低減でき、繰り返し使用できることでゴミが少なく、環境に配慮した電子写真用移し絵転写材を提供する。
【解決手段】電子写真装置で得られたトナー画像を転写対象物へ転写するのに使用され、繰り返し使用可能な転写材で、基材1の表面側には、クッション性を有する高分子樹脂より成るクッション層3と、トナー画像を受け取り、これを転写するための転写層4が接着一体化されて積層されており、基材の裏面側には、離形性を有した材質より成る離形層5が設けられ、この転写層は、ポリビニルアルコールと撥水性樹脂と離形性樹脂を、相溶化剤を添加して混合して得た塗工液を塗工して形成されたもので、転写層の表面粗さ(十点平均粗さ)は1〜20μmである。基材1が紙である場合、基材とクッション層の間に、基材への水分の含浸を防止し得る高分子樹脂より成る含浸防止層2が設けられる。
【選択図】 図1
【解決手段】電子写真装置で得られたトナー画像を転写対象物へ転写するのに使用され、繰り返し使用可能な転写材で、基材1の表面側には、クッション性を有する高分子樹脂より成るクッション層3と、トナー画像を受け取り、これを転写するための転写層4が接着一体化されて積層されており、基材の裏面側には、離形性を有した材質より成る離形層5が設けられ、この転写層は、ポリビニルアルコールと撥水性樹脂と離形性樹脂を、相溶化剤を添加して混合して得た塗工液を塗工して形成されたもので、転写層の表面粗さ(十点平均粗さ)は1〜20μmである。基材1が紙である場合、基材とクッション層の間に、基材への水分の含浸を防止し得る高分子樹脂より成る含浸防止層2が設けられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写材が繰返し使用できることにより環境問題であるごみを低減し、かつ転写媒体(転写対象物)へのプリントのコストダウンを可能とし、転写材をロール状にする事でランニングコストを低減することができる転写材、更に詳しくは、従来よりも大きなサイズの電子複写手段を含む電子写真装置により得られたトナー画像を転写媒体へプリントできる事を可能とした転写材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から転写紙を利用して転写媒体に転写する事は公知とされている。例えば特開平8−305064号公報や特開平9−90667号公報等がある。これらの転写媒体ヘの転写方法は、電子写真装置によって、ポリビニルアルコールの混合塗膜上にトナー画像を形成した後に、トナー画像を含む混合塗膜を剥ぎ取り、転写媒体に正対する様に重ね合わせるものである。
【0003】
この場合、膜の裏面から加熱及び加圧を施すことで、トナー中の樹脂を軟化させ、転写媒体への接着力を得、この膜にエチルアルコール80%水溶液を付与して転写材を軟化させ、トナー画像との接着力を低下させた後、膜を除去する事で転写が終了する。
【0004】
このような方法は、薄膜を剥ぎ取ってから転写する為に曲面を有する媒体には適した方法と言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の転写材は、トナー画像を有する薄膜を剥ぎ取って、転写媒体に転写する為に剥ぎ取った薄膜が筒状にカールし、この膜を引き伸ばして転写媒体へ正対するとトナー画像がくずれ、媒体への転写を実施するには高度の技術を要求され良好なトナー画像が得られ無かった。又、薄膜を剥ぎ取る事により一度使用された残りの転写材は再使用できず、全てごみとなっていた。
そして、この様な従来の転写材が使用出来る電子写真装置のトナー画像の最大出力巾がA3サイズ(432×279mm)であり、これより大きなサイズのトナー画像のプリントは困難なものとされていた。このような現状から、個性を重視する今日において、そのデザインプリントも多品種、小ロット化する中、版を必要としない無版印刷の工業化が望まれている。
【0006】
従って本発明の課題は、従来よりも画像サイズより大きくランニングコスト、プリントコストを低減し、又、転写材を繰り返し使用することによりプリント時のゴミを低減することで環境に配慮した転写材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の電子写真用移し絵転写材は、電子写真装置により得られたトナー画像を転写対象物へ転写する際に使用され、転写対象物への転写を繰り返し実施することが可能な転写材であって、当該転写材を構成する基材の表面側には、クッション性を有する高分子樹脂より成るクッション層と、電子写真装置により画像を受け取り転写対象物への転写を実施するための転写層が接着一体化された状態で積層されて設けられており、上記基材の裏面側には、離形性を有した材質より成る離形層が設けられていること、上記転写層が、ポリビニルアルコールと撥水性樹脂と離形性樹脂とを混合する際に相溶化剤を添加して得た塗工液を塗工することにより形成されたものであること、及び、上記転写層の表面粗さが1〜20μmであることを特徴とする。
【0008】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記基材と前記クッション層との間に、当該間の層間接着強度を高め、かつ前記転写層の平滑性を保つために、前記基材への水分の含浸を防止し得る高分子樹脂より成る含浸防止層が設けられていることを特徴とするものでもある。
【0009】
更に本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記含浸防止層の厚みが2〜40μmであることを特徴とするものでもある。
【0010】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記クッション層を形成する高分子樹脂がウレタン樹脂であり、当該クッション層の厚みが10〜50μmであり、JISK 7127に従って測定された前記ウレタン樹脂の伸度が500〜1500%であることを特徴とするものである。
【0011】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記クッション層の引っ張り弾性率が1〜10MPaであることを特徴とするものである。
更に本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記相溶化剤がブチルセロソルブであることを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記離形層が、シリコーン樹脂を塗工することによって形成されたものであることを特徴とするものである。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明の電子写真用移し絵転写材Aの好ましい一例における層構成を示す断面図ある。符号1は、転写材Aの基材であって、一般的には、中質あるいは上質の普通紙、あるいはこれらの紙の片面または両面に目留め用のタルク、デンプン等からなる表層コートを施した紙、更にはポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムが用いられる。本発明において、基材1が紙である場合、坪量は200g/m2以下が好ましく、150g/m2以下がより好ましい。本発明では、基材1をロール紙とすることによって、転写媒体へのプリントのランニングコストを低減させることが可能である。
【0014】
又、図1における符号2は含浸防止層であって、基材1が紙である場合には必須であるが、基材1がプラスチックフィルム(例えばPET)である場合には不要である。図2には、基材1がプラスチックフィルムである場合の本発明の電子写真用移し絵転写材Aの一例における層構成を示す断面図が示されている。
本発明において、基材1が紙の場合に設けられる含浸防止層2は、基材1と後で塗工するクッション層3と転写層4が基材1との接着一体化を保ち、かつ転写材表面(転写層4表面)の平滑性を保つ上において重要な層である。つまり、この含浸防止層2の上に後で塗工されるクッション層3を形成する樹脂がエマルションである為に、基材1の紙へ水分が含浸してしまい、平滑性を失ってカール等の原因となり、含浸防止層2は、これを防止するために設けられた層である。このような含浸防止層2を構成する素材としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が使用可能であるが、クッション層3との接着性の点から溶剤タイプの樹脂の選択が好ましい。
本発明における含浸防止層2の厚みは一般的には2〜40μmであるが、3〜20μmが望ましく、5〜10μmがより好ましい。2μm以下では完全な防水効果を発揮できずところどころ水分が基材1に含浸してしまい、平滑性を損なう恐れがある。逆に40μm以上では、転写媒体への転写時に熱伝導性を害する恐れがある。
【0015】
次に、符号3で示されるクッション層は、転写媒体に転写を実施する上でクッションの役目を有する層である。詳しくは、転写媒体の表面には必ず凹凸がある為にこの凹凸部分に対して、電子写真装置において得られたトナー画像を凹凸部分に密着させ画像の転写を実施する層である。このことから、クッション層3に使用される樹脂は、トナーに含有される樹脂の軟化温度よりも低い樹脂を選択するのが好ましい。さらにこのクッション層3は、後で転写層4を形成する為に転写層と接着一体化しなければならず、転写層4との充分な層間接着強度が得られるクッション層3を構成する樹脂としてはウレタン樹脂が特に好ましい。これは、クッション層3を構成する樹脂としてアクリル樹脂やポリエステル樹脂を使用した場合、転写材を繰り返して使用していくうちに転写層4との層間剥離が起こることがあるためであり、アクリル樹脂やポリエステル樹脂は、転写層4に含有されるポリビニルアルコールとの接着性に劣ると考えられ、ウレタン樹脂の接着力はこれらの樹脂よりも大きい。その中でもエマルションタイプのウレタン樹脂が好ましく、カルボキシル基(COOH)を含有するウレタン樹脂が特に好ましい。このようなカルボキシル基を含有するウレタン樹脂は脱水反応により、転写層4に含有されるポリビニルアルコールとエステル結合することにより接着する。また、ポリビニルアルコールはヒドロキシル基(OH)をもっているので、カルボキシル基と水素結合をする為によりよく接着すると考えられる。
【0016】
本発明におけるクッション層3を構成するウレタン樹脂は、転写における適度なクッション性が得られるように、JIS K 7127に従って測定された伸度が500%以上1500%未満のものが好ましく、600%以上1000%未満がより好ましい。この際、伸度1500%以上では、伸度が高すぎる為に転写材を繰り返し使用していくうちにクッション性が低下し、複数回使用出来なくなる。逆に、伸度500%未満では樹脂弾性が低下し、転写媒体表面の凹凸部分にトナー画像が密着しにくくなり、転写が実施されない部分が発生する。よって、本発明では、クッション層3のウレタン樹脂の伸度は600%以上800%未満が最も好ましい。又、クッション層3の厚みは10〜50μmが好ましく、10μm以下ではクッション性にかけ、50μm以上では転写媒体への転写時のトナー画像への熱伝導性にかけ、転写が実施されない可能性がある。本発明では、クッション層3の厚みを20〜40μmに調整するのがより好ましい。
【0017】
又、本発明におけるクッション層3を形成するウレタン樹脂のクッション性を得るもう一つの要因は、クッション層3の弾性である。即ち、本発明における弾性は伸度や厚みと相互関係にあるが、本発明に好ましく使用されるクッション層3の厚み10〜50μmに対する引っ張り弾性率は、前述したJIS K 7127に従って測定された1〜10MPa(kgf/mm2)のものが好ましい。この場合における1〜10MPaは、クッション層3を形成するウレタン樹脂の硬度を示す数値である。1MPa以下では、柔らか過ぎるために複数回使用できなくなる。逆に10MPa以上では、硬すぎるために媒体への転写時の密着性に欠け、転写が実施できない部分がある。よって、本発明では、クッション層3の厚みに対する引っ張り弾性率は3〜8MPaが最も好ましい。
【0018】
次に転写層4について述べる。
本発明の転写材における転写層4は、電子写真装置により画像を複数回受け取り、転写媒体への転写を複数回実施しなければならない。つまり、電子写真装置内の熱圧力に耐え、転写媒体への転写を実施する転写機の熱圧力にも耐え、更には自然環境に対して影響されない事が要求される。
【0019】
本発明の転写層4においては、繰り返し転写材が使用できるように、撥水性樹脂と離形性樹脂の連結材として、造膜性に優れたポリビニルアルコールが使用され、これは、撥水性樹脂と離形性樹脂の二種類だけでは造膜性が欠ける為である。尚、ポリビニルアルコールを用いた転写材は従来から公知とされているが、本発明に使用するポリビニルアルコールは鹸化度99モル%以上重合度500のポリビニルアルコールが好ましい。公知の通り、ポリビニルアルコールは水で溶解する為に、自然環境において空気中の水分等の影響を受け、伸縮したり、また指で触れた部分等がしわになったりする問題が懸念され、転写材を繰り返し使用する目的からポリビニルアルコールだけでは、電子写真装置により得られた画像の鮮明さに欠け、ポリビニルアルコールに残留する酢酸ビニルアルコール部分がトナー画像と接着して転写媒体への転写時の離形性が悪くなるが、本発明では、これら3つの樹脂の併用と、樹脂混合時における相溶化剤の使用によって、上記の問題がいずれも解決される。
【0020】
即ち、転写層4を形成する撥水性樹脂、離形性樹脂は、ポリビニルアルコールとの相溶性が悪く、その混合液は分離した後、各樹脂層に沈殿し、この塗工液にて、形成された転写層表面はフッ素樹脂と離形性樹脂がブリードアウトし、平滑性に欠け、このような転写層では必要とされる鮮明なトナー画像が得られない。そこで本発明においては上記三種の樹脂を混合する際に相溶化剤が使用され、この相溶化剤としては、エーテル系溶剤のブチルセロソルブの使用が好ましく、親水性と親油性の両性をかね備え持つブチルセロソルブの使用がより好ましい。通常エーテル系の溶剤は、ポリビニルアルコールの消泡剤としてもっとも好ましく使用されている。つまり、ポリビニルアルコールの分子との界面に作用しフッ素樹脂、離形性樹脂の分子配列が規則正しくなることで、ブリードアウトを抑制し、平滑性を有すると考えられる。
【0021】
尚、本発明では、転写層4に含まれる撥水性樹脂によって、自然環境(特に空気中の水分)に影響されない転写層が形成でき、撥水性樹脂としてはフッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂は、その特性である撥水性と耐熱性に富んでいることから、電子写真装置内の熱、更には転写媒体への転写時の転写機の熱に耐え得る転写材として最も適した樹脂である。つまり、本発明の転写材は、繰り返し使用される為に、電子写真装置内の熱、圧力そして、転写媒体への転写時の転写機の熱、圧力との工程を複数回繰り返す事になり、撥水性樹脂であるフッ素系樹脂は加えられる熱によって転写層表面に撥水性を再生しつづけるのである。本発明に使用するフッ素系樹脂としては、カチオン基を含有するフッ素樹脂が好ましい。通常電子写真装置に搭載されているトナーは陰性にコントロールされている為に、転写層4表面を陽性にコントロールすることでより鮮明な画像を得る事が出来る。
【0022】
そして、本発明では転写媒体への転写を効率よく、スムーズに実施する為に、転写層4に離形性樹脂が含まれ、離形性樹脂としては水溶性のシリコーン系離形性樹脂、特にウレタン用シリコーン系離形剤が好ましい。本発明において離形性樹脂が転写層4に含まれる理由は、転写材を繰り返し使用しているうちに、転写層表面が消耗し、転写媒体への転写時にトナー画像が転写材から離形しにくくなって、これにより、転写媒体表面への転写が部分的に実施出来ない場合があるからである。本発明では、離形性樹脂もフッ素樹脂と同様に熱を与える事により、離形性を保つ事ができ、離形性樹脂を使用する事で転写層表面に離形効果が得られ、繰り返し使用しても、その転写媒体への転写効果は初回と何ら変わらずに使用出来る。この様に、本発明では、ポリビニルアルコール、撥水性樹脂、離形性樹脂を使用する事で転写材を繰り返し使用する事を可能とした。
【0023】
本発明の転写材にあっては、前述の層構成と、転写層4の平滑性によって、自然環境に影響されることなく、電子写真装置によるトナー画像も鮮明になり、繰り返し使用することができる。通常電子写真装置に通紙する場合、その紙の表面電気抵抗値は108〜1012の範囲で定められているのが公知とされている。しかしながら、市販のコピー用紙等は表面電気抵抗値が前記の範囲内であっても、平滑性の劣るコピー用紙等は画像が悪く、上質紙等の平滑性の優れるコピー用紙等は同表面電気抵抗値でも画像は良くなる。本発明の転写材の平滑性(表面粗さ)は、1μm以上20μm以下に調整されているが、1〜15μmが好ましく、10μm以下が特に好ましい。尚、本願明細書にて表された表面粗さはいずれも、JIS−B−0601に従って測定された十点平均粗さRzをいう。
又、本発明における転写層4の厚みは6〜25μmであり、8〜20μmが好ましく、10〜15μmがより好ましい。この際、転写層4の厚みが6μm未満では、層が薄いために転写媒体への転写時に転写層が露出する場合があり、逆に25μmを越えると、クッション層のクッション性が伝わりにくくなり、トナー画像が転写できない部分が発生する。
【0024】
尚、本発明の電子写真用移し絵転写材にあっては、図1及び図2に示されるように、基材1の裏面側に、離形性を有する材質より成る離形層5が設けられている。これは、本発明においては通常、基材1がロール紙であり、ある一定のテンションをかけて巻き取り、保存又は使用するために転写層表面と裏面の接着防止と、電子写真装置によって得られたトナー画像の保護、更に転写媒体への転写時の転写機との接着防止が必要とされるためであり、離形層5はこれらの機能を兼ね備えた層である。そして、この離形層5の材質としてはシリコーン樹脂が好ましく、中でも変性シリコーン樹脂がより好ましい。変性シリコーン樹脂としては、アルキル変性、メチルスチリル変性等が挙げられるが、本発明においてはポリシロキサンの側鎖にメチル基を導入したジメチルシロキサンのシリコーン樹脂が特に好ましい。本発明における離形層5は、有機溶剤で希釈したシリコーン樹脂溶液を塗工することによって形成され、この層の厚みとしては0.1〜1μmに調整するのが好ましい。
【0025】
次に、本発明の電子写真用移し絵転写材に適用可能な電子写真トナーについて詳述する。本発明の転写材に対しては基本的に、スチレン‐アクリル共重合体、スチレン‐ブタジエン共重合体、エポキシ、ポリエステル等の樹脂を主体とするバインダー樹脂にカーボンブラックの他、イエロー、シアン、マゼンタ等の染顔料を含む電子写真用トナーが使用可能である。その中でも特に、以下に示すカラートナーは、本発明の転写材の効果をより引き出すことが可能なものである。
【0026】
このカラー電子写真装置用のトナー粉は、熱を印加した際の溶融性及び混色性が良いことが必要で、軟化点が低く、且つ、溶融時間の短いシャープメルト性のトナーが好ましく、シャープメルトなトナーを使用することにより、複写物の色再現範囲を広め、原稿の多色カラー像に忠実なカラーコピーを良好に得ることができる。
【0027】
このようなシャープメルトなトナーは、例えばポリエステル樹脂またはスチレン‐アクリル樹脂のようなバインダー樹脂、着色剤(染料、昇華性染料)、荷電制御剤等を溶融混練、粉砕、分級してトナーを製造する。必要とあれば、トナーに各種外添剤を添加する外添工程を付加してもよい。
【0028】
電子写真装置用カラートナーは定着性及びシャープメルト性を考慮すると、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を使用したものが好ましい。シャープメルト性ポリエステル樹脂はジオール化合物とジカルボン酸とから合成される分子の主鎖にエステル結合を有する高分子化合物である。特に、次式:
【0029】
【化1】
【0030】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yは各々1以上の正の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)で代表されるビスフェノール誘導体もしくはその置換体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)とを少なくとも共縮重合したポリエステル樹脂がシャープな溶融特性を有するのでより好ましい。シャープメルト性ポリエステル樹脂の軟化点は60〜120℃が好ましい。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の電子写真用移し絵転写材の実施例を、比較例と共に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例の中の部は、いずれも重量部を示す。
【0032】
実施例1
坪量94g/m2の上質紙の両面を目止め処理した、いわゆるコート紙を基材として以下の処方にて、本発明の電子写真用移し絵転写材(基材とクッション層との間に含浸防止層が設けられた層構成を有するもの)を得た。
<離形層> シリコーン樹脂(KS830、信越化学製)50部、硬化触媒(CAT‐PL‐4、信越化学製)1部、トルエン400部からなる塗工液を用い、コーターにて膜厚0.3μmになるように上記基材の裏面に塗工し、離形層を形成した。
【0033】
<含浸防止層> アクリル樹脂(カバーコートレジンLo73HW、互応化学製)100部、トルエン60部、消泡剤(KS603,信越化学製)3部からなる塗工液を用い、コーターにて厚み6μmになるように層を形成した。
【0034】
<クッション層> ウレタン樹脂(伸度500%、ハイドランAP−20、大日本インキ製)160部、ウレタン樹脂(伸度2200%、ハイドランAP―70、大日本インキ製)30部、消泡剤(013B、ダウコーニング社製)3部、増粘剤(シックナー612,サンノプコ製)3部からなる塗工液を用いて25μmになるように上記含浸防止層の上にクッション層を形成した。このようにして形成されたクッション層の伸度を測定装置(LLOYD LRX株式会社、安田精機製作所製)を用いて測定したところ、伸度:789%、引っ張り弾性率:4.3MPaであった。
【0035】
<転写層> 高鹸化度ポリビニルアルコール(重合度500,鹸化度99%)クラレポバールRS4105水溶液100部、撥水性樹脂としてフッ素系樹脂(ダイキンフッ素TG410,ダイキン工業製)40部、離形性樹脂としてウレタン用シリコーン系離形材(KM9720,信越化学製)25部、相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)2部からなる塗工液を用いて、厚み12μmの層になるように上記クッション層の上に転写層を形成した。
このようにして得られた本発明の転写材の表面粗さを、表面粗さ測定装置(サーフコーダーSE−30K解析装置AY−31株式会社小坂研究所製)を用いて測定したところ約4μmであった。
【0036】
そして、上記の実施例1の転写材の転写層側にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、十分に良好なトナー画像が得られた。
【0037】
また、この転写材の撥水試験をJISP−8137−1976に準じて行ったところ、R9の十分なる撥水性を得た。この評価では、R0は水滴の流下の跡が連続に一様な幅であることを示し、R9は水滴の流下が小水滴状に散らばることを示す。
【0038】
このトナー画像を得た転写材を用意し、三菱レーヨン製のアクリル板(厚み3mm)に画像部分が正対するようにして重ね合わせ、図3に示されるようにして温度170℃、通過スピード400mm/分に設定した熱ロールプレス機に通過したところ、トナー画像がアクリル板に全て転写されることがわかった。また転写後の転写材にはトナー画像が残留することなく、再度、ザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、再び十分に良好なトナー画像が得られた。
このような工程を繰り返し6回行ったところ、いずれの場合においても転写材にトナー画像は残留することなく繰り返し使用できた。
【0039】
比較例1
ハイドランAP−20(伸度500%)60部、ハイドランAP−70(伸度2200%)を140部とする以外は実施例1と同様の方式で転写材を得た。この時のクッション層の伸度は1800%であり、引っ張り弾性率は0.8MPaであった。このようにして得られた転写材の表面粗さは約10μmであった。
【0040】
この転写材を実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、巻き取り時に伸度が増しているため部分的にクッション層の伸びによる、よじれが発生した。また、このトナー画像を得た転写材を実施例1と同じ方式でアクリル板に転写したところ、クッション層の流動が認められ、アクリル板上に満足するトナー画像は得られず、再度使用することは不可能であった。
【0041】
実施例2
ハイドランAP−20(伸度500%)を190部、ハイドランAP−70(伸度2200%)を10部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。この時のクッション層の伸度は600%であり、引っ張り弾性率は8MPaであった。又、このようにして得られた転写材の表面粗さは約6μmであった。
【0042】
この転写材を、実施例1と同様の方式にて試験したところ実施例1と同様の結果を得た。この転写材は、上記の転写工程を4回繰り返しても転写画像の低下はほとんど見られなかったが、転写工程5回目からは淡色のトナー画像部分が若干残留した。
【0043】
比較例2
含浸防止層と転写層については実施例1と同様の方式にて形成し、クッション層を下記の処方にて形成し転写材を得た。
ウレタン樹脂(伸度400%、ハイドランHW970、大日本インキ製)200部、消泡剤(013B、ダウコーニング社製)3部、増粘剤(シックナー612、サンノプコ社製)3部からなる塗工液を用いて25μmになるようにクッション層を形成した。この時のクッション層の伸度は398%であり、引っ張り弾性率は11MPaであった。このようにして得られた転写材の表面粗さは約8μmであった。
【0044】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ画像には問題なかったが、実施例1と同様にアクリル板に転写したところ、クッション層が硬いために1回目の転写工程でアクリル板にトナー画像が転写できない部分が発生した。
【0045】
実施例3
前記実施例1の転写層の形成における離形性樹脂(KM9720,信越化学製)を15部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約5μmであった。
【0046】
この転写材を実施例1と同様の方式にて試験したところ実施例1と同様の結果を得た。
【0047】
比較例3
前記実施例1の転写層の形成における離形性樹脂(KM9720,信越化学製)を0部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約7μmであった。
【0048】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、1回目の転写工程の転写画像については問題なかったが、2回目の転写工程以降から転写材にトナー画像の残留が認められた。
【0049】
実施例4
前記実施例1の転写層の形成における相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)を4部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約5μmであった。
【0050】
この転写材を実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、実施例1と同様の結果を得た。
【0051】
比較例4
前記実施例1の転写層の形成における相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)を0部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約25μmであった。
【0052】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、画像に斑が発生し、とても満足する画像は得られなかった。
【0053】
比較例5
含浸防止層と転写層については実施例1と同様の方式にて形成し、クッション層を下記の処方にて形成し転写材を得た。
ポリエステル樹脂(バイロン20SS、東洋紡績製)100部、ポリエステル樹脂(バイロン30SS、東洋紡績製)100部、消泡剤(KS603、信越化学製)4部からなる塗工液を用いて実施例1と同様に25μmになるようにクッション層を形成した。このようにして得られた転写材の表面粗さは約6μmであった。尚、このようにして得られたクッション層の伸度は1000%、引っ張り弾性率は5MPaであった。
【0054】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ画像には問題なかったが、実施例1と同様にアクリル板に転写したところ、1回目の転写において転写層が剥離し、再度使用することは不可能であった。
【0055】
【発明の効果】
以上の実験結果からもわかるように、本発明の電子写真用移し絵転写材は、繰り返し(一般的には5回以上)使用しても充分に鮮明な転写画像を転写媒体上へ転写することが可能であり、基材をロール紙とした場合にはより一層、転写媒体へのプリントのランニングコストを低減させることができ、繰り返し使用できることで、プリント時のゴミを低減することもでき、環境に配慮した優れた転写材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用移し絵転写材Aの好ましい一例における層構成を示す断面図ある。
【図2】基材1がプラスチックフィルムで、図1における含浸防止層2が存在しない本発明の電子写真用移し絵転写材の一例における層構成を示す断面図である。
【図3】本発明の移し絵転写材Aを用いて転写媒体6にトナー画像7を転写する際の状態を示す図であり、符号8はロールプレス機の熱圧力源ロールである。
【符号の説明】
A 電子写真用移し絵転写材
1 基材
2 含浸防止層
3 クッション層
4 転写層
5 離型層
6 転写媒体
7 トナー画像
8 熱圧力源ロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写材が繰返し使用できることにより環境問題であるごみを低減し、かつ転写媒体(転写対象物)へのプリントのコストダウンを可能とし、転写材をロール状にする事でランニングコストを低減することができる転写材、更に詳しくは、従来よりも大きなサイズの電子複写手段を含む電子写真装置により得られたトナー画像を転写媒体へプリントできる事を可能とした転写材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から転写紙を利用して転写媒体に転写する事は公知とされている。例えば特開平8−305064号公報や特開平9−90667号公報等がある。これらの転写媒体ヘの転写方法は、電子写真装置によって、ポリビニルアルコールの混合塗膜上にトナー画像を形成した後に、トナー画像を含む混合塗膜を剥ぎ取り、転写媒体に正対する様に重ね合わせるものである。
【0003】
この場合、膜の裏面から加熱及び加圧を施すことで、トナー中の樹脂を軟化させ、転写媒体への接着力を得、この膜にエチルアルコール80%水溶液を付与して転写材を軟化させ、トナー画像との接着力を低下させた後、膜を除去する事で転写が終了する。
【0004】
このような方法は、薄膜を剥ぎ取ってから転写する為に曲面を有する媒体には適した方法と言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の転写材は、トナー画像を有する薄膜を剥ぎ取って、転写媒体に転写する為に剥ぎ取った薄膜が筒状にカールし、この膜を引き伸ばして転写媒体へ正対するとトナー画像がくずれ、媒体への転写を実施するには高度の技術を要求され良好なトナー画像が得られ無かった。又、薄膜を剥ぎ取る事により一度使用された残りの転写材は再使用できず、全てごみとなっていた。
そして、この様な従来の転写材が使用出来る電子写真装置のトナー画像の最大出力巾がA3サイズ(432×279mm)であり、これより大きなサイズのトナー画像のプリントは困難なものとされていた。このような現状から、個性を重視する今日において、そのデザインプリントも多品種、小ロット化する中、版を必要としない無版印刷の工業化が望まれている。
【0006】
従って本発明の課題は、従来よりも画像サイズより大きくランニングコスト、プリントコストを低減し、又、転写材を繰り返し使用することによりプリント時のゴミを低減することで環境に配慮した転写材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の電子写真用移し絵転写材は、電子写真装置により得られたトナー画像を転写対象物へ転写する際に使用され、転写対象物への転写を繰り返し実施することが可能な転写材であって、当該転写材を構成する基材の表面側には、クッション性を有する高分子樹脂より成るクッション層と、電子写真装置により画像を受け取り転写対象物への転写を実施するための転写層が接着一体化された状態で積層されて設けられており、上記基材の裏面側には、離形性を有した材質より成る離形層が設けられていること、上記転写層が、ポリビニルアルコールと撥水性樹脂と離形性樹脂とを混合する際に相溶化剤を添加して得た塗工液を塗工することにより形成されたものであること、及び、上記転写層の表面粗さが1〜20μmであることを特徴とする。
【0008】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記基材と前記クッション層との間に、当該間の層間接着強度を高め、かつ前記転写層の平滑性を保つために、前記基材への水分の含浸を防止し得る高分子樹脂より成る含浸防止層が設けられていることを特徴とするものでもある。
【0009】
更に本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記含浸防止層の厚みが2〜40μmであることを特徴とするものでもある。
【0010】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記クッション層を形成する高分子樹脂がウレタン樹脂であり、当該クッション層の厚みが10〜50μmであり、JISK 7127に従って測定された前記ウレタン樹脂の伸度が500〜1500%であることを特徴とするものである。
【0011】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記クッション層の引っ張り弾性率が1〜10MPaであることを特徴とするものである。
更に本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記相溶化剤がブチルセロソルブであることを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明は、前述の特徴を有した転写材において、前記離形層が、シリコーン樹脂を塗工することによって形成されたものであることを特徴とするものである。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図面を用いて以下に説明する。
図1は、本発明の電子写真用移し絵転写材Aの好ましい一例における層構成を示す断面図ある。符号1は、転写材Aの基材であって、一般的には、中質あるいは上質の普通紙、あるいはこれらの紙の片面または両面に目留め用のタルク、デンプン等からなる表層コートを施した紙、更にはポリエチレンテレフタレート等の耐熱フィルムが用いられる。本発明において、基材1が紙である場合、坪量は200g/m2以下が好ましく、150g/m2以下がより好ましい。本発明では、基材1をロール紙とすることによって、転写媒体へのプリントのランニングコストを低減させることが可能である。
【0014】
又、図1における符号2は含浸防止層であって、基材1が紙である場合には必須であるが、基材1がプラスチックフィルム(例えばPET)である場合には不要である。図2には、基材1がプラスチックフィルムである場合の本発明の電子写真用移し絵転写材Aの一例における層構成を示す断面図が示されている。
本発明において、基材1が紙の場合に設けられる含浸防止層2は、基材1と後で塗工するクッション層3と転写層4が基材1との接着一体化を保ち、かつ転写材表面(転写層4表面)の平滑性を保つ上において重要な層である。つまり、この含浸防止層2の上に後で塗工されるクッション層3を形成する樹脂がエマルションである為に、基材1の紙へ水分が含浸してしまい、平滑性を失ってカール等の原因となり、含浸防止層2は、これを防止するために設けられた層である。このような含浸防止層2を構成する素材としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が使用可能であるが、クッション層3との接着性の点から溶剤タイプの樹脂の選択が好ましい。
本発明における含浸防止層2の厚みは一般的には2〜40μmであるが、3〜20μmが望ましく、5〜10μmがより好ましい。2μm以下では完全な防水効果を発揮できずところどころ水分が基材1に含浸してしまい、平滑性を損なう恐れがある。逆に40μm以上では、転写媒体への転写時に熱伝導性を害する恐れがある。
【0015】
次に、符号3で示されるクッション層は、転写媒体に転写を実施する上でクッションの役目を有する層である。詳しくは、転写媒体の表面には必ず凹凸がある為にこの凹凸部分に対して、電子写真装置において得られたトナー画像を凹凸部分に密着させ画像の転写を実施する層である。このことから、クッション層3に使用される樹脂は、トナーに含有される樹脂の軟化温度よりも低い樹脂を選択するのが好ましい。さらにこのクッション層3は、後で転写層4を形成する為に転写層と接着一体化しなければならず、転写層4との充分な層間接着強度が得られるクッション層3を構成する樹脂としてはウレタン樹脂が特に好ましい。これは、クッション層3を構成する樹脂としてアクリル樹脂やポリエステル樹脂を使用した場合、転写材を繰り返して使用していくうちに転写層4との層間剥離が起こることがあるためであり、アクリル樹脂やポリエステル樹脂は、転写層4に含有されるポリビニルアルコールとの接着性に劣ると考えられ、ウレタン樹脂の接着力はこれらの樹脂よりも大きい。その中でもエマルションタイプのウレタン樹脂が好ましく、カルボキシル基(COOH)を含有するウレタン樹脂が特に好ましい。このようなカルボキシル基を含有するウレタン樹脂は脱水反応により、転写層4に含有されるポリビニルアルコールとエステル結合することにより接着する。また、ポリビニルアルコールはヒドロキシル基(OH)をもっているので、カルボキシル基と水素結合をする為によりよく接着すると考えられる。
【0016】
本発明におけるクッション層3を構成するウレタン樹脂は、転写における適度なクッション性が得られるように、JIS K 7127に従って測定された伸度が500%以上1500%未満のものが好ましく、600%以上1000%未満がより好ましい。この際、伸度1500%以上では、伸度が高すぎる為に転写材を繰り返し使用していくうちにクッション性が低下し、複数回使用出来なくなる。逆に、伸度500%未満では樹脂弾性が低下し、転写媒体表面の凹凸部分にトナー画像が密着しにくくなり、転写が実施されない部分が発生する。よって、本発明では、クッション層3のウレタン樹脂の伸度は600%以上800%未満が最も好ましい。又、クッション層3の厚みは10〜50μmが好ましく、10μm以下ではクッション性にかけ、50μm以上では転写媒体への転写時のトナー画像への熱伝導性にかけ、転写が実施されない可能性がある。本発明では、クッション層3の厚みを20〜40μmに調整するのがより好ましい。
【0017】
又、本発明におけるクッション層3を形成するウレタン樹脂のクッション性を得るもう一つの要因は、クッション層3の弾性である。即ち、本発明における弾性は伸度や厚みと相互関係にあるが、本発明に好ましく使用されるクッション層3の厚み10〜50μmに対する引っ張り弾性率は、前述したJIS K 7127に従って測定された1〜10MPa(kgf/mm2)のものが好ましい。この場合における1〜10MPaは、クッション層3を形成するウレタン樹脂の硬度を示す数値である。1MPa以下では、柔らか過ぎるために複数回使用できなくなる。逆に10MPa以上では、硬すぎるために媒体への転写時の密着性に欠け、転写が実施できない部分がある。よって、本発明では、クッション層3の厚みに対する引っ張り弾性率は3〜8MPaが最も好ましい。
【0018】
次に転写層4について述べる。
本発明の転写材における転写層4は、電子写真装置により画像を複数回受け取り、転写媒体への転写を複数回実施しなければならない。つまり、電子写真装置内の熱圧力に耐え、転写媒体への転写を実施する転写機の熱圧力にも耐え、更には自然環境に対して影響されない事が要求される。
【0019】
本発明の転写層4においては、繰り返し転写材が使用できるように、撥水性樹脂と離形性樹脂の連結材として、造膜性に優れたポリビニルアルコールが使用され、これは、撥水性樹脂と離形性樹脂の二種類だけでは造膜性が欠ける為である。尚、ポリビニルアルコールを用いた転写材は従来から公知とされているが、本発明に使用するポリビニルアルコールは鹸化度99モル%以上重合度500のポリビニルアルコールが好ましい。公知の通り、ポリビニルアルコールは水で溶解する為に、自然環境において空気中の水分等の影響を受け、伸縮したり、また指で触れた部分等がしわになったりする問題が懸念され、転写材を繰り返し使用する目的からポリビニルアルコールだけでは、電子写真装置により得られた画像の鮮明さに欠け、ポリビニルアルコールに残留する酢酸ビニルアルコール部分がトナー画像と接着して転写媒体への転写時の離形性が悪くなるが、本発明では、これら3つの樹脂の併用と、樹脂混合時における相溶化剤の使用によって、上記の問題がいずれも解決される。
【0020】
即ち、転写層4を形成する撥水性樹脂、離形性樹脂は、ポリビニルアルコールとの相溶性が悪く、その混合液は分離した後、各樹脂層に沈殿し、この塗工液にて、形成された転写層表面はフッ素樹脂と離形性樹脂がブリードアウトし、平滑性に欠け、このような転写層では必要とされる鮮明なトナー画像が得られない。そこで本発明においては上記三種の樹脂を混合する際に相溶化剤が使用され、この相溶化剤としては、エーテル系溶剤のブチルセロソルブの使用が好ましく、親水性と親油性の両性をかね備え持つブチルセロソルブの使用がより好ましい。通常エーテル系の溶剤は、ポリビニルアルコールの消泡剤としてもっとも好ましく使用されている。つまり、ポリビニルアルコールの分子との界面に作用しフッ素樹脂、離形性樹脂の分子配列が規則正しくなることで、ブリードアウトを抑制し、平滑性を有すると考えられる。
【0021】
尚、本発明では、転写層4に含まれる撥水性樹脂によって、自然環境(特に空気中の水分)に影響されない転写層が形成でき、撥水性樹脂としてはフッ素系樹脂がより好ましい。フッ素系樹脂は、その特性である撥水性と耐熱性に富んでいることから、電子写真装置内の熱、更には転写媒体への転写時の転写機の熱に耐え得る転写材として最も適した樹脂である。つまり、本発明の転写材は、繰り返し使用される為に、電子写真装置内の熱、圧力そして、転写媒体への転写時の転写機の熱、圧力との工程を複数回繰り返す事になり、撥水性樹脂であるフッ素系樹脂は加えられる熱によって転写層表面に撥水性を再生しつづけるのである。本発明に使用するフッ素系樹脂としては、カチオン基を含有するフッ素樹脂が好ましい。通常電子写真装置に搭載されているトナーは陰性にコントロールされている為に、転写層4表面を陽性にコントロールすることでより鮮明な画像を得る事が出来る。
【0022】
そして、本発明では転写媒体への転写を効率よく、スムーズに実施する為に、転写層4に離形性樹脂が含まれ、離形性樹脂としては水溶性のシリコーン系離形性樹脂、特にウレタン用シリコーン系離形剤が好ましい。本発明において離形性樹脂が転写層4に含まれる理由は、転写材を繰り返し使用しているうちに、転写層表面が消耗し、転写媒体への転写時にトナー画像が転写材から離形しにくくなって、これにより、転写媒体表面への転写が部分的に実施出来ない場合があるからである。本発明では、離形性樹脂もフッ素樹脂と同様に熱を与える事により、離形性を保つ事ができ、離形性樹脂を使用する事で転写層表面に離形効果が得られ、繰り返し使用しても、その転写媒体への転写効果は初回と何ら変わらずに使用出来る。この様に、本発明では、ポリビニルアルコール、撥水性樹脂、離形性樹脂を使用する事で転写材を繰り返し使用する事を可能とした。
【0023】
本発明の転写材にあっては、前述の層構成と、転写層4の平滑性によって、自然環境に影響されることなく、電子写真装置によるトナー画像も鮮明になり、繰り返し使用することができる。通常電子写真装置に通紙する場合、その紙の表面電気抵抗値は108〜1012の範囲で定められているのが公知とされている。しかしながら、市販のコピー用紙等は表面電気抵抗値が前記の範囲内であっても、平滑性の劣るコピー用紙等は画像が悪く、上質紙等の平滑性の優れるコピー用紙等は同表面電気抵抗値でも画像は良くなる。本発明の転写材の平滑性(表面粗さ)は、1μm以上20μm以下に調整されているが、1〜15μmが好ましく、10μm以下が特に好ましい。尚、本願明細書にて表された表面粗さはいずれも、JIS−B−0601に従って測定された十点平均粗さRzをいう。
又、本発明における転写層4の厚みは6〜25μmであり、8〜20μmが好ましく、10〜15μmがより好ましい。この際、転写層4の厚みが6μm未満では、層が薄いために転写媒体への転写時に転写層が露出する場合があり、逆に25μmを越えると、クッション層のクッション性が伝わりにくくなり、トナー画像が転写できない部分が発生する。
【0024】
尚、本発明の電子写真用移し絵転写材にあっては、図1及び図2に示されるように、基材1の裏面側に、離形性を有する材質より成る離形層5が設けられている。これは、本発明においては通常、基材1がロール紙であり、ある一定のテンションをかけて巻き取り、保存又は使用するために転写層表面と裏面の接着防止と、電子写真装置によって得られたトナー画像の保護、更に転写媒体への転写時の転写機との接着防止が必要とされるためであり、離形層5はこれらの機能を兼ね備えた層である。そして、この離形層5の材質としてはシリコーン樹脂が好ましく、中でも変性シリコーン樹脂がより好ましい。変性シリコーン樹脂としては、アルキル変性、メチルスチリル変性等が挙げられるが、本発明においてはポリシロキサンの側鎖にメチル基を導入したジメチルシロキサンのシリコーン樹脂が特に好ましい。本発明における離形層5は、有機溶剤で希釈したシリコーン樹脂溶液を塗工することによって形成され、この層の厚みとしては0.1〜1μmに調整するのが好ましい。
【0025】
次に、本発明の電子写真用移し絵転写材に適用可能な電子写真トナーについて詳述する。本発明の転写材に対しては基本的に、スチレン‐アクリル共重合体、スチレン‐ブタジエン共重合体、エポキシ、ポリエステル等の樹脂を主体とするバインダー樹脂にカーボンブラックの他、イエロー、シアン、マゼンタ等の染顔料を含む電子写真用トナーが使用可能である。その中でも特に、以下に示すカラートナーは、本発明の転写材の効果をより引き出すことが可能なものである。
【0026】
このカラー電子写真装置用のトナー粉は、熱を印加した際の溶融性及び混色性が良いことが必要で、軟化点が低く、且つ、溶融時間の短いシャープメルト性のトナーが好ましく、シャープメルトなトナーを使用することにより、複写物の色再現範囲を広め、原稿の多色カラー像に忠実なカラーコピーを良好に得ることができる。
【0027】
このようなシャープメルトなトナーは、例えばポリエステル樹脂またはスチレン‐アクリル樹脂のようなバインダー樹脂、着色剤(染料、昇華性染料)、荷電制御剤等を溶融混練、粉砕、分級してトナーを製造する。必要とあれば、トナーに各種外添剤を添加する外添工程を付加してもよい。
【0028】
電子写真装置用カラートナーは定着性及びシャープメルト性を考慮すると、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を使用したものが好ましい。シャープメルト性ポリエステル樹脂はジオール化合物とジカルボン酸とから合成される分子の主鎖にエステル結合を有する高分子化合物である。特に、次式:
【0029】
【化1】
【0030】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yは各々1以上の正の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)で代表されるビスフェノール誘導体もしくはその置換体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)とを少なくとも共縮重合したポリエステル樹脂がシャープな溶融特性を有するのでより好ましい。シャープメルト性ポリエステル樹脂の軟化点は60〜120℃が好ましい。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明の電子写真用移し絵転写材の実施例を、比較例と共に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例の中の部は、いずれも重量部を示す。
【0032】
実施例1
坪量94g/m2の上質紙の両面を目止め処理した、いわゆるコート紙を基材として以下の処方にて、本発明の電子写真用移し絵転写材(基材とクッション層との間に含浸防止層が設けられた層構成を有するもの)を得た。
<離形層> シリコーン樹脂(KS830、信越化学製)50部、硬化触媒(CAT‐PL‐4、信越化学製)1部、トルエン400部からなる塗工液を用い、コーターにて膜厚0.3μmになるように上記基材の裏面に塗工し、離形層を形成した。
【0033】
<含浸防止層> アクリル樹脂(カバーコートレジンLo73HW、互応化学製)100部、トルエン60部、消泡剤(KS603,信越化学製)3部からなる塗工液を用い、コーターにて厚み6μmになるように層を形成した。
【0034】
<クッション層> ウレタン樹脂(伸度500%、ハイドランAP−20、大日本インキ製)160部、ウレタン樹脂(伸度2200%、ハイドランAP―70、大日本インキ製)30部、消泡剤(013B、ダウコーニング社製)3部、増粘剤(シックナー612,サンノプコ製)3部からなる塗工液を用いて25μmになるように上記含浸防止層の上にクッション層を形成した。このようにして形成されたクッション層の伸度を測定装置(LLOYD LRX株式会社、安田精機製作所製)を用いて測定したところ、伸度:789%、引っ張り弾性率:4.3MPaであった。
【0035】
<転写層> 高鹸化度ポリビニルアルコール(重合度500,鹸化度99%)クラレポバールRS4105水溶液100部、撥水性樹脂としてフッ素系樹脂(ダイキンフッ素TG410,ダイキン工業製)40部、離形性樹脂としてウレタン用シリコーン系離形材(KM9720,信越化学製)25部、相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)2部からなる塗工液を用いて、厚み12μmの層になるように上記クッション層の上に転写層を形成した。
このようにして得られた本発明の転写材の表面粗さを、表面粗さ測定装置(サーフコーダーSE−30K解析装置AY−31株式会社小坂研究所製)を用いて測定したところ約4μmであった。
【0036】
そして、上記の実施例1の転写材の転写層側にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、十分に良好なトナー画像が得られた。
【0037】
また、この転写材の撥水試験をJISP−8137−1976に準じて行ったところ、R9の十分なる撥水性を得た。この評価では、R0は水滴の流下の跡が連続に一様な幅であることを示し、R9は水滴の流下が小水滴状に散らばることを示す。
【0038】
このトナー画像を得た転写材を用意し、三菱レーヨン製のアクリル板(厚み3mm)に画像部分が正対するようにして重ね合わせ、図3に示されるようにして温度170℃、通過スピード400mm/分に設定した熱ロールプレス機に通過したところ、トナー画像がアクリル板に全て転写されることがわかった。また転写後の転写材にはトナー画像が残留することなく、再度、ザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、再び十分に良好なトナー画像が得られた。
このような工程を繰り返し6回行ったところ、いずれの場合においても転写材にトナー画像は残留することなく繰り返し使用できた。
【0039】
比較例1
ハイドランAP−20(伸度500%)60部、ハイドランAP−70(伸度2200%)を140部とする以外は実施例1と同様の方式で転写材を得た。この時のクッション層の伸度は1800%であり、引っ張り弾性率は0.8MPaであった。このようにして得られた転写材の表面粗さは約10μmであった。
【0040】
この転写材を実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、巻き取り時に伸度が増しているため部分的にクッション層の伸びによる、よじれが発生した。また、このトナー画像を得た転写材を実施例1と同じ方式でアクリル板に転写したところ、クッション層の流動が認められ、アクリル板上に満足するトナー画像は得られず、再度使用することは不可能であった。
【0041】
実施例2
ハイドランAP−20(伸度500%)を190部、ハイドランAP−70(伸度2200%)を10部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。この時のクッション層の伸度は600%であり、引っ張り弾性率は8MPaであった。又、このようにして得られた転写材の表面粗さは約6μmであった。
【0042】
この転写材を、実施例1と同様の方式にて試験したところ実施例1と同様の結果を得た。この転写材は、上記の転写工程を4回繰り返しても転写画像の低下はほとんど見られなかったが、転写工程5回目からは淡色のトナー画像部分が若干残留した。
【0043】
比較例2
含浸防止層と転写層については実施例1と同様の方式にて形成し、クッション層を下記の処方にて形成し転写材を得た。
ウレタン樹脂(伸度400%、ハイドランHW970、大日本インキ製)200部、消泡剤(013B、ダウコーニング社製)3部、増粘剤(シックナー612、サンノプコ社製)3部からなる塗工液を用いて25μmになるようにクッション層を形成した。この時のクッション層の伸度は398%であり、引っ張り弾性率は11MPaであった。このようにして得られた転写材の表面粗さは約8μmであった。
【0044】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ画像には問題なかったが、実施例1と同様にアクリル板に転写したところ、クッション層が硬いために1回目の転写工程でアクリル板にトナー画像が転写できない部分が発生した。
【0045】
実施例3
前記実施例1の転写層の形成における離形性樹脂(KM9720,信越化学製)を15部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約5μmであった。
【0046】
この転写材を実施例1と同様の方式にて試験したところ実施例1と同様の結果を得た。
【0047】
比較例3
前記実施例1の転写層の形成における離形性樹脂(KM9720,信越化学製)を0部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約7μmであった。
【0048】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、1回目の転写工程の転写画像については問題なかったが、2回目の転写工程以降から転写材にトナー画像の残留が認められた。
【0049】
実施例4
前記実施例1の転写層の形成における相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)を4部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約5μmであった。
【0050】
この転写材を実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、実施例1と同様の結果を得た。
【0051】
比較例4
前記実施例1の転写層の形成における相溶化剤(ダプロU99、サンノプコ製)を0部とする以外は実施例1と同様の方式にて転写材を得た。このようにして得られた転写材の表面粗さは約25μmであった。
【0052】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ、画像に斑が発生し、とても満足する画像は得られなかった。
【0053】
比較例5
含浸防止層と転写層については実施例1と同様の方式にて形成し、クッション層を下記の処方にて形成し転写材を得た。
ポリエステル樹脂(バイロン20SS、東洋紡績製)100部、ポリエステル樹脂(バイロン30SS、東洋紡績製)100部、消泡剤(KS603、信越化学製)4部からなる塗工液を用いて実施例1と同様に25μmになるようにクッション層を形成した。このようにして得られた転写材の表面粗さは約6μmであった。尚、このようにして得られたクッション層の伸度は1000%、引っ張り弾性率は5MPaであった。
【0054】
この転写材を、実施例1と同様にザイコンジャパン株式会社製chromapress500iの出力機にて画像を形成したところ画像には問題なかったが、実施例1と同様にアクリル板に転写したところ、1回目の転写において転写層が剥離し、再度使用することは不可能であった。
【0055】
【発明の効果】
以上の実験結果からもわかるように、本発明の電子写真用移し絵転写材は、繰り返し(一般的には5回以上)使用しても充分に鮮明な転写画像を転写媒体上へ転写することが可能であり、基材をロール紙とした場合にはより一層、転写媒体へのプリントのランニングコストを低減させることができ、繰り返し使用できることで、プリント時のゴミを低減することもでき、環境に配慮した優れた転写材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用移し絵転写材Aの好ましい一例における層構成を示す断面図ある。
【図2】基材1がプラスチックフィルムで、図1における含浸防止層2が存在しない本発明の電子写真用移し絵転写材の一例における層構成を示す断面図である。
【図3】本発明の移し絵転写材Aを用いて転写媒体6にトナー画像7を転写する際の状態を示す図であり、符号8はロールプレス機の熱圧力源ロールである。
【符号の説明】
A 電子写真用移し絵転写材
1 基材
2 含浸防止層
3 クッション層
4 転写層
5 離型層
6 転写媒体
7 トナー画像
8 熱圧力源ロール
Claims (7)
- 電子写真装置により得られたトナー画像を転写対象物へ転写する際に使用され、転写対象物への転写を繰り返し実施することが可能な転写材であって、当該転写材を構成する基材の表面側には、クッション性を有する高分子樹脂より成るクッション層と、電子写真装置により画像を受け取り転写対象物への転写を実施するための転写層が接着一体化された状態で積層されて設けられており、上記基材の裏面側には、離形性を有した材質より成る離形層が設けられていること、上記転写層が、ポリビニルアルコールと撥水性樹脂と離形性樹脂とを混合する際に相溶化剤を添加して得た塗工液を塗工することにより形成されたものであること、及び、上記転写層の表面粗さが1〜20μmであることを特徴とする電子写真用移し絵転写材。
- 前記基材と前記クッション層との間に、当該間の層間接着強度を高め、かつ前記転写層の平滑性を保つために、前記基材への水分の含浸を防止し得る高分子樹脂より成る含浸防止層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子写真用移し絵転写材。
- 前記含浸防止層の厚みが2〜40μmであることを特徴とする請求項2記載の電子写真用移し絵転写材。
- 前記クッション層を形成する高分子樹脂がウレタン樹脂であり、当該クッション層の厚みが10〜50μmであり、JIS K 7127に従って測定された前記ウレタン樹脂の伸度が500〜1500%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用移し絵転写材。
- 前記クッション層の引っ張り弾性率が1〜10MPaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電子写真用移し絵転写材。
- 前記相溶化剤がブチルセロソルブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用移し絵転写材。
- 前記離形層が、シリコーン樹脂を塗工することによって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真用移し絵転写材。
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002158568A patent/JP2004004212A/ja active Pending
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