JP2004003696A - エンジン駆動式ヒートポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン駆動式ヒートポンプ自体に配管洗浄をする機能を持たせることで、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減できる技術を提案する。
【解決手段】エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備え、前記配管洗浄モードの運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量での運転を行なうとともに、建物の既設配管内洗浄完了の後は、自動的に通常運転モードに切換える。
【選択図】 図3
【解決手段】エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備え、前記配管洗浄モードの運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量での運転を行なうとともに、建物の既設配管内洗浄完了の後は、自動的に通常運転モードに切換える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプの設置における既設配管の洗浄に関するものであり、より詳しくは、配管洗浄モードを備えるエンジン駆動式ヒートポンプの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調機の施工においては、室外機や室内機のみを交換し、建物の既設配管はそのまま有効利用することで、配管工事に要する膨大な費用の削減を図っている。これは、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動する構成のエンジン駆動式ヒートポンプの設置においても同様であり、新規設置においては、既設配管の利用が積極的に行なわれている。
また、このエンジン駆動式ヒートポンプにおいて従来使用されていた「R22」等の冷媒(以下、「従来冷媒」とする)は、分子中に含まれる塩素が成層圏でオゾン層を破壊するため生産が規制されていることから、この従来冷媒の代替として、新冷媒(R407C)が使用されるようになっている。
【0003】
このことから、従来冷媒を使用していた既設の室外機を取外し、新冷媒(R407C)を使用するエンジン駆動式ヒートポンプ(室外機)を新たに設置する際には、両機において使用される冷凍機油が異なることから、既設配管の洗浄が行なわれる。
この既設配管の洗浄を行なうのは、従来冷媒に含まれる冷凍機油の残油は新冷媒(R407C)に殆ど溶解しないため、既設配管に付着した残油の除去を予め行なう必要があるからである。
【0004】
そして、この既設配管の洗浄は、室外機設置の前段階において、専用の洗浄装置を既設配管の管路に接続することにより、既設配管に付着した冷凍機油の残油等(油脂類・コンタミネーション)の除去を行なうものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した専用の洗浄装置における既設配管の洗浄では、図4(a)に示すごとく、室外機設置の前段階において、洗浄装置を設置しての作業行程を要することになり、設備施工のための工数が増え、また、洗浄装置の設備費・管理コストや、洗浄作業に要する人件費もかさむことになる。
このように、空調機の施工において、既設配管の洗浄を専用の洗浄装置によって行なうという考え方では、せっかくの既設配管の有効利用により得られる「施工コスト削減」といったメリットを少なくしてしまうことになる。
そこで、本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプ自体に配管洗浄をする機能を持たせることで、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減できる技術を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
即ち、請求項1に記載のごとく、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備えたことである。
【0007】
また、請求項2に記載のごとく、前記配管洗浄モードによる運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量とする小容量運転を行なうことである。
【0008】
また、請求項3に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプにおいて、配管洗浄モードによる建物の既設配管内洗浄完了の後、自動的に通常運転モードに切換えることである。
【0009】
また、請求項4に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプは、アキュームレータへの供給側管路に熱交換器を備え、該熱交換器にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータにて、冷媒ガスと、循環冷媒中の残油等とを気液分離することである。
【0010】
また、請求項5に記載のごとく、前記熱交換器は、エンジン排熱を熱源とすることである。
【0011】
また、請求項6に記載のごとく、前記アキュームレータには、循環冷媒中の残油等のドレン管を備えたことである。
【0012】
また、請求項7に記載のごとく、前記ドレン管には、制御装置により開閉を制御される電磁バルブを備えたことである。
【0013】
また、請求項8に記載のごとく、前記ドレン管の排出側に、回収タンクを着脱自在に配設したことである。
【0014】
また、請求項9に記載のごとく、エンジン駆動式ヒートポンプの冷媒配管におけるコンプレッサの吐出側に、オイルセパレータを着脱自在に配設したことである。
【0015】
また、請求項10に記載のごとく、前記回収タンク及びオイルセパレータは、一つの洗浄ユニットとして構成したことである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明のエンジン駆動式ヒートポンプの構成を示す冷媒回路図、図2は同じく洗浄ユニットを適用する実施例を示す冷媒回路図、図3は運転モードの切替のステップの概要を示すフローチャート、図4の(a)は、従来の専用の洗浄装置を用いての空調機の施工プロセスを示す図、図4の(b)は、本発明による空調機の施工プロセスを示す図である。
【0017】
まず、本発明に係るエンジン駆動式ヒートポンプ1の構成により行なう冷房サイクルと暖房サイクルについて説明する。
冷房サイクルでは、図1に示すごとく、コンプレッサ3により圧縮された冷媒は、高温高圧過飽和蒸気の冷媒となり、オイルセパレータ13、四方弁4を経由して室外熱交換器5・5に圧送される。冷媒は、室外熱交換器5の冷却フィンを通過する間に冷却ファン5fにより冷却されて、高温高圧過熱状態から高圧液相冷媒に変換される。
【0018】
室外熱交換器5・5にて高圧液相冷媒に変換された冷媒は、リキッドレシーバ6にて気液分離され、閉鎖弁15aに接続された建物室内側の配管、即ち、既設配管16内を通って、室内機9へ送られる。
この室内機9においては、電子膨張弁11にて蒸発し易い圧力まで減圧された後、室内熱交換器7にて室内空気から熱を吸収して蒸発することにより室内空気を冷却し、クーラーファン7fにより室内に送風して冷房効果をもたらすようにしている。
その後、室内熱交換器7にて気化した冷媒が、既設配管16内を通って、閉鎖弁15bを通過し、四方弁4を経由して戻り回路を通過し、アキュームレータ8に戻り、完全な気相となってコンプレッサ3に案内され、上述のサイクルを繰り返す。
【0019】
次に、暖房サイクルについて説明する。
コンプレッサ3により圧縮された冷媒は、高温高圧過熱蒸気の状態として、暖房方向に切換えられた四方弁4を経由して、既設配管16内を通って室内熱交換器7へ送出される。室内熱交換器7においては、高温高圧過熱蒸気状態の冷媒から室内空気に熱が放出されて、該冷媒は高圧液体状態となる。この熱放出により室内の暖房が行われる。
【0020】
高圧液体状態の冷媒は、リキッドレシーバ6を経由した後、電子膨張弁14・14にて急激に膨張して、低温低圧蒸気状態の冷媒となり、室外熱交換器5を通過する間に、外気より熱を得て加熱状態の蒸気となる。
そして、加熱状態の蒸気は、四方弁4を経由して戻り回路を通過し、アキュームレータ8に戻り、完全な気相となってコンプレッサ3に案内され、上述のサイクルを繰り返す。
【0021】
以上が、冷房サイクル及び暖房サイクルであり、このような冷房・暖房を通常運転として行なうエンジン駆動式ヒートポンプ1に、建物の既設配管16内の残油を除去する配管洗浄モードの運転モードを備える構成としたものが本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1である。
以下、この配管洗浄に関する構成について説明する。
【0022】
まず、図1に示すごとく、エンジン駆動式ヒートポンプ1は、アキュームレータ8への供給側管路に熱交換器17を備え、該熱交換器17にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータ8にて、冷媒ガスと、循環冷媒中の冷凍機油の残油等とを気液分離する構成とするものである。
前記熱交換器17においては、循環冷媒が過熱されることにより、循環冷媒中における液状態又は気液混合状態の新冷媒(R407C)は、気化して冷媒ガスとなり、アキュームレータ8に送られる。
一方、この新冷媒(R407C)は、既設配管16内を循環する間に、該既設配管16に付着した従来冷媒の残油等を剥離させ、この残油等を含んだ状態で熱交換器17にて加熱されるものであり、この残油等は気化せずに、液体(固体状態となったコンタミネーションを含む)のままでアキュームレータ8に送られる。
これにより、アキュームレータ8において、冷媒ガスと、残油等が気液分離されることになる。
【0023】
また、本実施例では、前記熱交換器17は、エンジン18の排熱を熱源とする構成とし、エンジン排熱を有効に利用できるようになっている。
【0024】
また、エンジン駆動式ヒートポンプ1には、制御装置10が備えられている。該制御装置10は、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管における冷媒圧力・温度を図示せぬセンサーの検出により認識可能としており、例えば、熱交換器17への入出口付近の冷媒圧力・温度を認識し、入出口での値の差を演算することにより、熱交換器17での加熱量を認識・モニタリングできるようにしている。
また、この制御装置10は、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管に配設される電子膨張弁14、及び室内機9に備える電子膨張弁11の開度を制御可能としており、冷媒配管内の冷媒循環量を制御可能としている。
【0025】
また、前記アキュームレータ8には、冷凍機油の残油等のドレン管21が備えられ、該ドレン管21には、前記制御装置10により開閉を制御する電磁バルブ19が備えられている。
そして、前記ドレン管21の排出口に、回収タンク22をエンジン駆動式ヒートポンプ1に対し着脱自在に配設し、該回収タンク22にて、アキュームレータ8にて分離された従来冷媒に含まれる冷凍機油の残油等を回収するようにしている。
この構成により、後述の配管洗浄モードにおいては、電磁バルブ19を開とし、回収タンク22へ残油等を排出するとともに、配管洗浄モードの終了後、回収タンク22をエンジン駆動式ヒートポンプ1から外部へ持ち出し、残油の入った回収タンク22を所望の位置まで移動して廃棄できるようになっている。
【0026】
また、前記コンプレッサ3の吐出側に、直列にオイルセパレータ13を、又は並列にオイルセパレータ13aを着脱自在に配設した構成としている。
本実施例では、直列に配設されるオイルセパレータ13を、標準仕様として位置付ける一方、並列に配設されるオイルセパレータ13aを、特に、配管洗浄モードの運転に対応する特別仕様として位置付けている。
この構成により、二つのオイルセパレータ13・13aで、冷媒中の冷凍機油を自動的に効率よく分離でき、特に、後述する配管洗浄モードによる運転時においては、冷媒中に含まれる従来冷媒の冷凍機油の残油等を確実に除去できるようになっている。
尚、上述したようにオイルセパレータ13aにおいては、特別仕様として位置付けており、後述の配管洗浄モードの運転終了後においては、取外すようにしてもよく、また、オイルセパレータの設置数の数は、本実施例に限定されず、三台・四台とさらに増設してもよい。
【0027】
また、図2に示すごとく、上記回収タンク22及びオイルセパレータ13aに関し、これらを一つの洗浄ユニット30として位置付け、後述の配管洗浄モード時にのみエンジン駆動式ヒートポンプ1に配設する構成としてもよい。
このように、後述の配管洗浄モードの運転時にのみ洗浄ユニット30を取付ける構成とし、洗浄終了後には既設配管16の残油等の回収に関する余分な装置を備えないものとして、エンジン駆動式ヒートポンプ1の構成を簡素化することができる。
また、一つのユニットとして取り扱えるので、設置時における作業者の作業性の向上も図ることができ、さらに、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置後、数日間は洗浄ユニット30を設置しておき、後日、都合の良いときに取外しに訪れるといった施工手順を組むことも可能である。
【0028】
以上が既設配管16の洗浄に関する構成であり、以下では、配管洗浄作業について説明する。
この配管洗浄作業は、従来冷媒を使用した空調機(室外機)が設置されている建物において、新たに、新冷媒(R407C)を使用する本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1を設置に際して行なうものであり、既設配管16内に付着した従来冷媒の冷凍機油の残油等を除去することで、新たに構成される新冷媒(R407C)の冷媒回路における異物(コンタミネーション)の発生に伴う、冷媒配管に備えられた電子膨張弁11・14の詰まりや、コンプレッサ3の損傷、ひいては、空調能力の低下を防止するものである。
【0029】
配管洗浄作業においては、まず、既設配管16とともに冷媒回路を形成していた既存の室外機を取外し、本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1を閉鎖弁15a・15bを介して既設配管16に接続する。また、既存の室内機を取外し、新たな室内機9を既設配管16に接続する。こうして、新たな室外機であるエンジン駆動式ヒートポンプ1と、新たな室内機9により新冷媒(R407C)による冷媒回路を構成する。
【0030】
そして、新冷媒(R407C)を適量充填し、操作パネル27a・27bによる操作により、配管洗浄モードの設定を行なう。
この配管洗浄モードでは、図3に示すごとく、前半の循環冷媒量を少量とする小容量運転が行なわれる初期洗浄時間33と、後半の循環冷媒量を最多量とする最大容量運転が行なわれる通常洗浄時間34の割り当てができるようになっており、前記操作パネル27a・27bにより、両時間を時間・分単位で任意に設定可能としている。
この時間の設定は、従来冷媒を使用していた既設配管16、及び空調機の使用年数や、既設配管16の配管の長さ等を考慮して行なわれる。
尚、設置されるエンジン駆動式ヒートポンプ1には冷媒が封入されており、アキュームレータ8等、低圧ガスラインに冷媒が貯まっている場合がある為、洗浄運転に入る前に、エンジン駆動式ヒートポンプ1のポンプダウン運転32を行い、冷媒を室外熱交換器5、又は、リキッドレシーバ6内に回収する。このポンプダウン運転32は、電子膨張弁11・14を開とし、閉鎖弁15a・15bを閉の状態にて、エンジン18・コンプレッサ3を運転することにより行われるものである。
【0031】
そして、配管洗浄モードの運転開始操作をすると、制御装置10は、エンジン18を起動し、コンプレッサ3による冷媒の圧縮が開始される。
これにより、新冷媒(R407C)が循環されるわけであるが、配管洗浄モードによる洗浄開始後の初期洗浄時間では、前記制御装置10により、それぞれ、室内機9、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管に備えられた電子膨張弁11・14の開度を調節することにより、少量の冷媒循環量での運転、即ち、小容量運転が行なわれる。
これは、エンジン始動直後のエンジン排熱の熱量が少ない状態においても、熱交換器17における冷媒の気化を確実に行ない、アキュームレータ8での気液分離をさせるためであり、洗浄開始後の初期洗浄時間では、前記制御装置10による制御により、電子膨張弁11・14の開度を調節し、冷媒循環量を上記熱交換器17の加熱量に応じたもの、つまりは、熱交換器17の熱量で気化され得る分だけの冷媒循環量とするものである。
尚、以上で述べた小容量運転においても冷媒の気化を確実に行なわせる観点から、小容量運転の初めにおいては、冷媒量を最少とする最小容量運転とすることが望ましい。
このような少量の冷媒循環量による運転により、洗浄開始直後においても、アキュームレータ8での気液分離が行なわれ、冷媒中の残油等を分離することができる。
また、洗浄開始直後からの残油の分離に伴い、コンプレッサ3から吐出される冷媒中の残油等の含有率を最小限に抑えることができる。これにより、オイルセパレータ13の分離効率が、残油等を分離することにより損なわれることもなく、配管洗浄モード終了後における通常運転においても、高い分離効率を発揮できるようになる。
【0032】
そして、制御装置10は、熱交換器17での加熱量をモニタリングしつつ、予め設定された初期洗浄時間の経過後、該加熱量の増加に応じて電子膨張弁11・14の開度を大きくし、最終的には全開とすることで、冷媒循環量を最大容量にまで増加させ、上述した初期洗浄時間に対する通常洗浄時間として、最大容量運転である配管洗浄モードの運転を実行する。
この最多量の冷媒循環により、既設配管16内での冷媒の流速を最大として、残油等の付着物を確実に剥離させることができる。
また、前記電子膨張弁11・14の開度を調節して冷媒を間欠に流すことで、付着している残油等をより確実に剥離させることもできる。
【0033】
また、この初期洗浄時間・通常洗浄時間中においては、制御装置10は、アキュームレータ8に備えたドレン管21の電磁バルブ19を開放し、アキュームレータ8で分離された残油等を回収タンク22に回収する。
【0034】
そして、制御装置10は、予め設定された初期洗浄時間・通常洗浄時間を経過すると、配管洗浄モードの運転を終了し、通常運転モードの通常運転35(図3)に切換る(冷房サイクル又は暖房サイクル)。
また、このモードの切換に際し、制御装置10は、ドレン管21の電磁バルブ19を閉じることで、通常運転モードにてアキュームレータ8で分離される新冷媒(R407C)中の冷凍機油を排出しないようにする。
このように、予め設定された配管洗浄モードの運転の終了後においては、自動的に通常運転モードの運転に切換えられることから、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置においては、作業者は、上述した操作パネル27a・27bによる配管洗浄モードの時間設定操作のみで、後は、配管洗浄モードの終了を待つことなく設置作業を完了することができる。
【0035】
以上のようにして、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置後、操作パネル27aによる操作のみで、既設配管16の洗浄を実行することができ、さらに、配管洗浄モードの終了後は自動的に通常運転モードに切換えられ、そのまま施工を完了させることができるので、図4の(a)に示す従来の施工プロセスとの比較で解るように、専用の洗浄装置に要する行程を省くことができ、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のごとく構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、請求項1に記載のごとく、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備えたので、エンジン駆動式ヒートポンプの設置時には、エンジン駆動式ヒートポンプに備える配管洗浄機能によって既設配管の配管洗浄が行なえ、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減できる。
【0037】
また、請求項2に記載のごとく、前記配管洗浄モードによる運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量とする小容量運転を行なうので、洗浄開始直後においても、アキュームレータでの気液分離が行なわれ、冷媒中の残油等を分離することができる。
また、洗浄開始直後からの残油の分離に伴い、コンプレッサから吐出される冷媒中の残油等の含有率を最小限に抑えることができる。これにより、オイルセパレータの分離効率が、残油等を分離することにより損なわれることもなく、配管洗浄モード終了後における通常運転においても、高い分離効率を発揮できるようになる。
【0038】
また、請求項3に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプにおいて、配管洗浄モードによる建物の既設配管内洗浄完了の後、自動的に通常運転モードに切換えるので、作業者は、上述した操作パネルによる配管洗浄モードの時間設定操作のみで、後は、配管洗浄モードの終了を待つことなく、設置作業を完了することができる。
【0039】
また、請求項4に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプは、アキュームレータへの供給側管路に熱交換器を備え、該熱交換器にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータにて、冷媒ガスと、循環冷媒中の残油等とを気液分離するので、アキュームレータで、既設配管に付着した従来冷媒の残油等を、冷媒中から除去することができる。
【0040】
また、請求項5に記載のごとく、前記熱交換器は、エンジン排熱を熱源とするので、エンジン排熱を有効利用できる。
【0041】
また、請求項6に記載のごとく、前記アキュームレータには、循環冷媒中の残油等のドレン管を備えたので、アキュームレータで分離された残油等を外部へ排出できる。
【0042】
また、請求項7に記載のごとく、前記ドレン管には、制御装置により開閉を制御される電磁バルブを備えたので、配管洗浄モードから、通常運転モードへの切換時において、該電磁バルブを開から閉とすることにより、通常運転モードにてアキュームレータで分離される新冷媒(R407C)中の冷凍機油を排出させないようにできる。
【0043】
また、請求項8に記載のごとく、前記ドレン管の排出側に、回収タンクを着脱自在に配設したので、該回収タンクにオイルを貯溜することができ、回収作業効率を向上できる。
【0044】
また、請求項9に記載のごとく、エンジン駆動式ヒートポンプの冷媒配管におけるコンプレッサの吐出側に、オイルセパレータを着脱自在に配設したので、冷媒中に含まれる従来冷媒の冷凍機油の残油等を確実に除去できる。
【0045】
また、請求項10に記載のごとく、前記回収タンク及びオイルセパレータは、一つの洗浄ユニットとして構成したので、配管洗浄モードの運転時にのみ洗浄ユニットを取付け、洗浄終了後には既設配管の残油等の回収に関する余分な装置を備えないものとして、エンジン駆動式ヒートポンプの構成を簡素化することができる。
また、ユニットとして取り扱えるので、設置時における作業者の作業性の向上も図ることができ、さらに、エンジン駆動式ヒートポンプの設置後、数日間は洗浄ユニットを設置しておき、後日、都合の良いときに取外しに訪れるといった施工手順を組むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジン駆動式ヒートポンプの構成を示す冷媒回路図である。
【図2】同じく洗浄ユニットを適用する実施例を示す冷媒回路図である。
【図3】運転モードの切換のステップの概要を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、従来の専用の洗浄装置を用いての空調機の施工プロセスを示す図である。(b)は、本発明による空調機の施工プロセスを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン駆動式ヒートポンプ
3 コンプレッサ
8 アキュームレータ
13 オイルセパレータ
17 熱交換器
19 電磁バルブ
21 ドレン管
22 回収タンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプの設置における既設配管の洗浄に関するものであり、より詳しくは、配管洗浄モードを備えるエンジン駆動式ヒートポンプの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調機の施工においては、室外機や室内機のみを交換し、建物の既設配管はそのまま有効利用することで、配管工事に要する膨大な費用の削減を図っている。これは、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動する構成のエンジン駆動式ヒートポンプの設置においても同様であり、新規設置においては、既設配管の利用が積極的に行なわれている。
また、このエンジン駆動式ヒートポンプにおいて従来使用されていた「R22」等の冷媒(以下、「従来冷媒」とする)は、分子中に含まれる塩素が成層圏でオゾン層を破壊するため生産が規制されていることから、この従来冷媒の代替として、新冷媒(R407C)が使用されるようになっている。
【0003】
このことから、従来冷媒を使用していた既設の室外機を取外し、新冷媒(R407C)を使用するエンジン駆動式ヒートポンプ(室外機)を新たに設置する際には、両機において使用される冷凍機油が異なることから、既設配管の洗浄が行なわれる。
この既設配管の洗浄を行なうのは、従来冷媒に含まれる冷凍機油の残油は新冷媒(R407C)に殆ど溶解しないため、既設配管に付着した残油の除去を予め行なう必要があるからである。
【0004】
そして、この既設配管の洗浄は、室外機設置の前段階において、専用の洗浄装置を既設配管の管路に接続することにより、既設配管に付着した冷凍機油の残油等(油脂類・コンタミネーション)の除去を行なうものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した専用の洗浄装置における既設配管の洗浄では、図4(a)に示すごとく、室外機設置の前段階において、洗浄装置を設置しての作業行程を要することになり、設備施工のための工数が増え、また、洗浄装置の設備費・管理コストや、洗浄作業に要する人件費もかさむことになる。
このように、空調機の施工において、既設配管の洗浄を専用の洗浄装置によって行なうという考え方では、せっかくの既設配管の有効利用により得られる「施工コスト削減」といったメリットを少なくしてしまうことになる。
そこで、本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプ自体に配管洗浄をする機能を持たせることで、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減できる技術を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
即ち、請求項1に記載のごとく、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備えたことである。
【0007】
また、請求項2に記載のごとく、前記配管洗浄モードによる運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量とする小容量運転を行なうことである。
【0008】
また、請求項3に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプにおいて、配管洗浄モードによる建物の既設配管内洗浄完了の後、自動的に通常運転モードに切換えることである。
【0009】
また、請求項4に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプは、アキュームレータへの供給側管路に熱交換器を備え、該熱交換器にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータにて、冷媒ガスと、循環冷媒中の残油等とを気液分離することである。
【0010】
また、請求項5に記載のごとく、前記熱交換器は、エンジン排熱を熱源とすることである。
【0011】
また、請求項6に記載のごとく、前記アキュームレータには、循環冷媒中の残油等のドレン管を備えたことである。
【0012】
また、請求項7に記載のごとく、前記ドレン管には、制御装置により開閉を制御される電磁バルブを備えたことである。
【0013】
また、請求項8に記載のごとく、前記ドレン管の排出側に、回収タンクを着脱自在に配設したことである。
【0014】
また、請求項9に記載のごとく、エンジン駆動式ヒートポンプの冷媒配管におけるコンプレッサの吐出側に、オイルセパレータを着脱自在に配設したことである。
【0015】
また、請求項10に記載のごとく、前記回収タンク及びオイルセパレータは、一つの洗浄ユニットとして構成したことである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明のエンジン駆動式ヒートポンプの構成を示す冷媒回路図、図2は同じく洗浄ユニットを適用する実施例を示す冷媒回路図、図3は運転モードの切替のステップの概要を示すフローチャート、図4の(a)は、従来の専用の洗浄装置を用いての空調機の施工プロセスを示す図、図4の(b)は、本発明による空調機の施工プロセスを示す図である。
【0017】
まず、本発明に係るエンジン駆動式ヒートポンプ1の構成により行なう冷房サイクルと暖房サイクルについて説明する。
冷房サイクルでは、図1に示すごとく、コンプレッサ3により圧縮された冷媒は、高温高圧過飽和蒸気の冷媒となり、オイルセパレータ13、四方弁4を経由して室外熱交換器5・5に圧送される。冷媒は、室外熱交換器5の冷却フィンを通過する間に冷却ファン5fにより冷却されて、高温高圧過熱状態から高圧液相冷媒に変換される。
【0018】
室外熱交換器5・5にて高圧液相冷媒に変換された冷媒は、リキッドレシーバ6にて気液分離され、閉鎖弁15aに接続された建物室内側の配管、即ち、既設配管16内を通って、室内機9へ送られる。
この室内機9においては、電子膨張弁11にて蒸発し易い圧力まで減圧された後、室内熱交換器7にて室内空気から熱を吸収して蒸発することにより室内空気を冷却し、クーラーファン7fにより室内に送風して冷房効果をもたらすようにしている。
その後、室内熱交換器7にて気化した冷媒が、既設配管16内を通って、閉鎖弁15bを通過し、四方弁4を経由して戻り回路を通過し、アキュームレータ8に戻り、完全な気相となってコンプレッサ3に案内され、上述のサイクルを繰り返す。
【0019】
次に、暖房サイクルについて説明する。
コンプレッサ3により圧縮された冷媒は、高温高圧過熱蒸気の状態として、暖房方向に切換えられた四方弁4を経由して、既設配管16内を通って室内熱交換器7へ送出される。室内熱交換器7においては、高温高圧過熱蒸気状態の冷媒から室内空気に熱が放出されて、該冷媒は高圧液体状態となる。この熱放出により室内の暖房が行われる。
【0020】
高圧液体状態の冷媒は、リキッドレシーバ6を経由した後、電子膨張弁14・14にて急激に膨張して、低温低圧蒸気状態の冷媒となり、室外熱交換器5を通過する間に、外気より熱を得て加熱状態の蒸気となる。
そして、加熱状態の蒸気は、四方弁4を経由して戻り回路を通過し、アキュームレータ8に戻り、完全な気相となってコンプレッサ3に案内され、上述のサイクルを繰り返す。
【0021】
以上が、冷房サイクル及び暖房サイクルであり、このような冷房・暖房を通常運転として行なうエンジン駆動式ヒートポンプ1に、建物の既設配管16内の残油を除去する配管洗浄モードの運転モードを備える構成としたものが本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1である。
以下、この配管洗浄に関する構成について説明する。
【0022】
まず、図1に示すごとく、エンジン駆動式ヒートポンプ1は、アキュームレータ8への供給側管路に熱交換器17を備え、該熱交換器17にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータ8にて、冷媒ガスと、循環冷媒中の冷凍機油の残油等とを気液分離する構成とするものである。
前記熱交換器17においては、循環冷媒が過熱されることにより、循環冷媒中における液状態又は気液混合状態の新冷媒(R407C)は、気化して冷媒ガスとなり、アキュームレータ8に送られる。
一方、この新冷媒(R407C)は、既設配管16内を循環する間に、該既設配管16に付着した従来冷媒の残油等を剥離させ、この残油等を含んだ状態で熱交換器17にて加熱されるものであり、この残油等は気化せずに、液体(固体状態となったコンタミネーションを含む)のままでアキュームレータ8に送られる。
これにより、アキュームレータ8において、冷媒ガスと、残油等が気液分離されることになる。
【0023】
また、本実施例では、前記熱交換器17は、エンジン18の排熱を熱源とする構成とし、エンジン排熱を有効に利用できるようになっている。
【0024】
また、エンジン駆動式ヒートポンプ1には、制御装置10が備えられている。該制御装置10は、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管における冷媒圧力・温度を図示せぬセンサーの検出により認識可能としており、例えば、熱交換器17への入出口付近の冷媒圧力・温度を認識し、入出口での値の差を演算することにより、熱交換器17での加熱量を認識・モニタリングできるようにしている。
また、この制御装置10は、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管に配設される電子膨張弁14、及び室内機9に備える電子膨張弁11の開度を制御可能としており、冷媒配管内の冷媒循環量を制御可能としている。
【0025】
また、前記アキュームレータ8には、冷凍機油の残油等のドレン管21が備えられ、該ドレン管21には、前記制御装置10により開閉を制御する電磁バルブ19が備えられている。
そして、前記ドレン管21の排出口に、回収タンク22をエンジン駆動式ヒートポンプ1に対し着脱自在に配設し、該回収タンク22にて、アキュームレータ8にて分離された従来冷媒に含まれる冷凍機油の残油等を回収するようにしている。
この構成により、後述の配管洗浄モードにおいては、電磁バルブ19を開とし、回収タンク22へ残油等を排出するとともに、配管洗浄モードの終了後、回収タンク22をエンジン駆動式ヒートポンプ1から外部へ持ち出し、残油の入った回収タンク22を所望の位置まで移動して廃棄できるようになっている。
【0026】
また、前記コンプレッサ3の吐出側に、直列にオイルセパレータ13を、又は並列にオイルセパレータ13aを着脱自在に配設した構成としている。
本実施例では、直列に配設されるオイルセパレータ13を、標準仕様として位置付ける一方、並列に配設されるオイルセパレータ13aを、特に、配管洗浄モードの運転に対応する特別仕様として位置付けている。
この構成により、二つのオイルセパレータ13・13aで、冷媒中の冷凍機油を自動的に効率よく分離でき、特に、後述する配管洗浄モードによる運転時においては、冷媒中に含まれる従来冷媒の冷凍機油の残油等を確実に除去できるようになっている。
尚、上述したようにオイルセパレータ13aにおいては、特別仕様として位置付けており、後述の配管洗浄モードの運転終了後においては、取外すようにしてもよく、また、オイルセパレータの設置数の数は、本実施例に限定されず、三台・四台とさらに増設してもよい。
【0027】
また、図2に示すごとく、上記回収タンク22及びオイルセパレータ13aに関し、これらを一つの洗浄ユニット30として位置付け、後述の配管洗浄モード時にのみエンジン駆動式ヒートポンプ1に配設する構成としてもよい。
このように、後述の配管洗浄モードの運転時にのみ洗浄ユニット30を取付ける構成とし、洗浄終了後には既設配管16の残油等の回収に関する余分な装置を備えないものとして、エンジン駆動式ヒートポンプ1の構成を簡素化することができる。
また、一つのユニットとして取り扱えるので、設置時における作業者の作業性の向上も図ることができ、さらに、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置後、数日間は洗浄ユニット30を設置しておき、後日、都合の良いときに取外しに訪れるといった施工手順を組むことも可能である。
【0028】
以上が既設配管16の洗浄に関する構成であり、以下では、配管洗浄作業について説明する。
この配管洗浄作業は、従来冷媒を使用した空調機(室外機)が設置されている建物において、新たに、新冷媒(R407C)を使用する本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1を設置に際して行なうものであり、既設配管16内に付着した従来冷媒の冷凍機油の残油等を除去することで、新たに構成される新冷媒(R407C)の冷媒回路における異物(コンタミネーション)の発生に伴う、冷媒配管に備えられた電子膨張弁11・14の詰まりや、コンプレッサ3の損傷、ひいては、空調能力の低下を防止するものである。
【0029】
配管洗浄作業においては、まず、既設配管16とともに冷媒回路を形成していた既存の室外機を取外し、本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ1を閉鎖弁15a・15bを介して既設配管16に接続する。また、既存の室内機を取外し、新たな室内機9を既設配管16に接続する。こうして、新たな室外機であるエンジン駆動式ヒートポンプ1と、新たな室内機9により新冷媒(R407C)による冷媒回路を構成する。
【0030】
そして、新冷媒(R407C)を適量充填し、操作パネル27a・27bによる操作により、配管洗浄モードの設定を行なう。
この配管洗浄モードでは、図3に示すごとく、前半の循環冷媒量を少量とする小容量運転が行なわれる初期洗浄時間33と、後半の循環冷媒量を最多量とする最大容量運転が行なわれる通常洗浄時間34の割り当てができるようになっており、前記操作パネル27a・27bにより、両時間を時間・分単位で任意に設定可能としている。
この時間の設定は、従来冷媒を使用していた既設配管16、及び空調機の使用年数や、既設配管16の配管の長さ等を考慮して行なわれる。
尚、設置されるエンジン駆動式ヒートポンプ1には冷媒が封入されており、アキュームレータ8等、低圧ガスラインに冷媒が貯まっている場合がある為、洗浄運転に入る前に、エンジン駆動式ヒートポンプ1のポンプダウン運転32を行い、冷媒を室外熱交換器5、又は、リキッドレシーバ6内に回収する。このポンプダウン運転32は、電子膨張弁11・14を開とし、閉鎖弁15a・15bを閉の状態にて、エンジン18・コンプレッサ3を運転することにより行われるものである。
【0031】
そして、配管洗浄モードの運転開始操作をすると、制御装置10は、エンジン18を起動し、コンプレッサ3による冷媒の圧縮が開始される。
これにより、新冷媒(R407C)が循環されるわけであるが、配管洗浄モードによる洗浄開始後の初期洗浄時間では、前記制御装置10により、それぞれ、室内機9、エンジン駆動式ヒートポンプ1の冷媒配管に備えられた電子膨張弁11・14の開度を調節することにより、少量の冷媒循環量での運転、即ち、小容量運転が行なわれる。
これは、エンジン始動直後のエンジン排熱の熱量が少ない状態においても、熱交換器17における冷媒の気化を確実に行ない、アキュームレータ8での気液分離をさせるためであり、洗浄開始後の初期洗浄時間では、前記制御装置10による制御により、電子膨張弁11・14の開度を調節し、冷媒循環量を上記熱交換器17の加熱量に応じたもの、つまりは、熱交換器17の熱量で気化され得る分だけの冷媒循環量とするものである。
尚、以上で述べた小容量運転においても冷媒の気化を確実に行なわせる観点から、小容量運転の初めにおいては、冷媒量を最少とする最小容量運転とすることが望ましい。
このような少量の冷媒循環量による運転により、洗浄開始直後においても、アキュームレータ8での気液分離が行なわれ、冷媒中の残油等を分離することができる。
また、洗浄開始直後からの残油の分離に伴い、コンプレッサ3から吐出される冷媒中の残油等の含有率を最小限に抑えることができる。これにより、オイルセパレータ13の分離効率が、残油等を分離することにより損なわれることもなく、配管洗浄モード終了後における通常運転においても、高い分離効率を発揮できるようになる。
【0032】
そして、制御装置10は、熱交換器17での加熱量をモニタリングしつつ、予め設定された初期洗浄時間の経過後、該加熱量の増加に応じて電子膨張弁11・14の開度を大きくし、最終的には全開とすることで、冷媒循環量を最大容量にまで増加させ、上述した初期洗浄時間に対する通常洗浄時間として、最大容量運転である配管洗浄モードの運転を実行する。
この最多量の冷媒循環により、既設配管16内での冷媒の流速を最大として、残油等の付着物を確実に剥離させることができる。
また、前記電子膨張弁11・14の開度を調節して冷媒を間欠に流すことで、付着している残油等をより確実に剥離させることもできる。
【0033】
また、この初期洗浄時間・通常洗浄時間中においては、制御装置10は、アキュームレータ8に備えたドレン管21の電磁バルブ19を開放し、アキュームレータ8で分離された残油等を回収タンク22に回収する。
【0034】
そして、制御装置10は、予め設定された初期洗浄時間・通常洗浄時間を経過すると、配管洗浄モードの運転を終了し、通常運転モードの通常運転35(図3)に切換る(冷房サイクル又は暖房サイクル)。
また、このモードの切換に際し、制御装置10は、ドレン管21の電磁バルブ19を閉じることで、通常運転モードにてアキュームレータ8で分離される新冷媒(R407C)中の冷凍機油を排出しないようにする。
このように、予め設定された配管洗浄モードの運転の終了後においては、自動的に通常運転モードの運転に切換えられることから、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置においては、作業者は、上述した操作パネル27a・27bによる配管洗浄モードの時間設定操作のみで、後は、配管洗浄モードの終了を待つことなく設置作業を完了することができる。
【0035】
以上のようにして、エンジン駆動式ヒートポンプ1の設置後、操作パネル27aによる操作のみで、既設配管16の洗浄を実行することができ、さらに、配管洗浄モードの終了後は自動的に通常運転モードに切換えられ、そのまま施工を完了させることができるので、図4の(a)に示す従来の施工プロセスとの比較で解るように、専用の洗浄装置に要する行程を省くことができ、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のごとく構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、請求項1に記載のごとく、エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備えたので、エンジン駆動式ヒートポンプの設置時には、エンジン駆動式ヒートポンプに備える配管洗浄機能によって既設配管の配管洗浄が行なえ、配管洗浄及び施工に必要な設備費・手間・時間を大幅に削減できる。
【0037】
また、請求項2に記載のごとく、前記配管洗浄モードによる運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量とする小容量運転を行なうので、洗浄開始直後においても、アキュームレータでの気液分離が行なわれ、冷媒中の残油等を分離することができる。
また、洗浄開始直後からの残油の分離に伴い、コンプレッサから吐出される冷媒中の残油等の含有率を最小限に抑えることができる。これにより、オイルセパレータの分離効率が、残油等を分離することにより損なわれることもなく、配管洗浄モード終了後における通常運転においても、高い分離効率を発揮できるようになる。
【0038】
また、請求項3に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプにおいて、配管洗浄モードによる建物の既設配管内洗浄完了の後、自動的に通常運転モードに切換えるので、作業者は、上述した操作パネルによる配管洗浄モードの時間設定操作のみで、後は、配管洗浄モードの終了を待つことなく、設置作業を完了することができる。
【0039】
また、請求項4に記載のごとく、前記エンジン駆動式ヒートポンプは、アキュームレータへの供給側管路に熱交換器を備え、該熱交換器にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータにて、冷媒ガスと、循環冷媒中の残油等とを気液分離するので、アキュームレータで、既設配管に付着した従来冷媒の残油等を、冷媒中から除去することができる。
【0040】
また、請求項5に記載のごとく、前記熱交換器は、エンジン排熱を熱源とするので、エンジン排熱を有効利用できる。
【0041】
また、請求項6に記載のごとく、前記アキュームレータには、循環冷媒中の残油等のドレン管を備えたので、アキュームレータで分離された残油等を外部へ排出できる。
【0042】
また、請求項7に記載のごとく、前記ドレン管には、制御装置により開閉を制御される電磁バルブを備えたので、配管洗浄モードから、通常運転モードへの切換時において、該電磁バルブを開から閉とすることにより、通常運転モードにてアキュームレータで分離される新冷媒(R407C)中の冷凍機油を排出させないようにできる。
【0043】
また、請求項8に記載のごとく、前記ドレン管の排出側に、回収タンクを着脱自在に配設したので、該回収タンクにオイルを貯溜することができ、回収作業効率を向上できる。
【0044】
また、請求項9に記載のごとく、エンジン駆動式ヒートポンプの冷媒配管におけるコンプレッサの吐出側に、オイルセパレータを着脱自在に配設したので、冷媒中に含まれる従来冷媒の冷凍機油の残油等を確実に除去できる。
【0045】
また、請求項10に記載のごとく、前記回収タンク及びオイルセパレータは、一つの洗浄ユニットとして構成したので、配管洗浄モードの運転時にのみ洗浄ユニットを取付け、洗浄終了後には既設配管の残油等の回収に関する余分な装置を備えないものとして、エンジン駆動式ヒートポンプの構成を簡素化することができる。
また、ユニットとして取り扱えるので、設置時における作業者の作業性の向上も図ることができ、さらに、エンジン駆動式ヒートポンプの設置後、数日間は洗浄ユニットを設置しておき、後日、都合の良いときに取外しに訪れるといった施工手順を組むことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジン駆動式ヒートポンプの構成を示す冷媒回路図である。
【図2】同じく洗浄ユニットを適用する実施例を示す冷媒回路図である。
【図3】運転モードの切換のステップの概要を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、従来の専用の洗浄装置を用いての空調機の施工プロセスを示す図である。(b)は、本発明による空調機の施工プロセスを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン駆動式ヒートポンプ
3 コンプレッサ
8 アキュームレータ
13 オイルセパレータ
17 熱交換器
19 電磁バルブ
21 ドレン管
22 回収タンク
Claims (10)
- エンジンで冷媒用コンプレッサを駆動するエンジン駆動式ヒートポンプにおいて、建物の既設配管内の残油等を除去する配管洗浄モードの運転モードを備えた、ことを特徴とするエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記配管洗浄モードによる運転において、運転開始時は、少量の冷媒循環量とする小容量運転を行なう、ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記エンジン駆動式ヒートポンプにおいて、配管洗浄モードによる建物の既設配管内洗浄完了の後、自動的に通常運転モードに切換える、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記エンジン駆動式ヒートポンプは、アキュームレータへの供給側管路に熱交換器を備え、該熱交換器にて循環冷媒を冷媒ガスに気化させ、前記アキュームレータにて、冷媒ガスと、循環冷媒中の残油等とを気液分離する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記熱交換器は、エンジン排熱を熱源とする、ことを特徴とする請求項4に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記アキュームレータには、循環冷媒中の残油等のドレン管を備えた、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記ドレン管には、制御装置により開閉を制御される電磁バルブを備えた、ことを特徴とする請求項6に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記ドレン管の排出側に、回収タンクを着脱自在に配設した、ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- エンジン駆動式ヒートポンプの冷媒配管におけるコンプレッサの吐出側に、オイルセパレータを着脱自在に配設した、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
- 前記回収タンク及びオイルセパレータは、一つの洗浄ユニットとして構成した、ことを特徴とする請求項9に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ。
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