JP2004003612A - シリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧シリンダのヘッド室とボトム室との流量差異を吸収するための油圧機器の数を低減でき、エネルギ損失量を低減できるシリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法を提供する。
【解決手段】油圧シリンダ(3)のボトム室の油を供給又は排出する第1のポート(B)と、ヘッド室の油を排出又は供給する第2のポート(H)と、タンク(5)の油の排出又は供給する第3のポート(T)との3つの吸入、吐出ポートを有し、第1のポート(B)の吸入量、吐出量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吐出量、吸入量の和とした油圧ポンプ(1)と、油圧ポンプ(1)を駆動する駆動源(2)とを備えた。油圧ポンプ(1)の吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御は、駆動源(2)の回転数及び回転方向の制御により、又は、前記油圧ポンプ(1)を両傾転型として該傾転角の制御により行なう。
【選択図】 図1
【解決手段】油圧シリンダ(3)のボトム室の油を供給又は排出する第1のポート(B)と、ヘッド室の油を排出又は供給する第2のポート(H)と、タンク(5)の油の排出又は供給する第3のポート(T)との3つの吸入、吐出ポートを有し、第1のポート(B)の吸入量、吐出量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吐出量、吸入量の和とした油圧ポンプ(1)と、油圧ポンプ(1)を駆動する駆動源(2)とを備えた。油圧ポンプ(1)の吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御は、駆動源(2)の回転数及び回転方向の制御により、又は、前記油圧ポンプ(1)を両傾転型として該傾転角の制御により行なう。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設機械、作業車両及び産業機械等に多く使われている油圧シリンダの流量を制御する方式の一つに、油圧ポンプの回転数及び回転方向を制御する方式と、両傾転型(斜軸式、斜板式等)油圧ポンプの傾転角度を制御する方式とが知られている。
【0003】
上記の油圧ポンプの回転数及び回転方向を制御する方式の従来技術として、例えば国際公開WO01/88381号に記載されたものがあり、図13には同公報に記載された駆動回路図の要部を示している。図13において、2個の油圧ポンプ41,42は電動機2で駆動され、第1の油圧ポンプ41の一方の出力ポートは、管路50を経由して油圧シリンダ3のヘッド室に、他方の出力ポートは管路51を経由して油圧シリンダ3のボトム室にそれぞれ接続されている。また第2の油圧ポンプ42の一方の出力ポートは管路51に、他方の出力ポートは開閉弁44及び管路53を経由してアキュムレータ43にそれぞれ接続されている。管路50は、第1の安全弁45a及び第1のチェック弁46aを経由し、管路52を介してアキュムレータ43に接続されている。また同様に管路51は、第2の安全弁45b及び第2のチェック弁46bを経由し、管路52を介してアキュムレータ43に接続されている。
【0004】
上記構成によると、油圧シリンダ3を縮小するときには、電動機2で油圧ポンプ41,42を縮小方向へ回転させると、ボトム室の圧油は管路51を経由して、一部の流量が第1の油圧ポンプ41に吸入され、この油圧ポンプ41から吐出されて管路50を経由してヘッド室に流入する。また、他の余分な圧油は第2の油圧ポンプ42に吸入され、この油圧ポンプ42から吐出されて開閉弁44及び管路53を経由してアキュムレータ43に蓄圧される。一方、油圧シリンダ3を伸長するときには、電動機2で油圧ポンプ41,42を伸長方向へ回転させると、第1の油圧ポンプ41はヘッド室の圧油を管路50を経由して吸入し、これを管路51を経由してボトム室に吐出する。このとき、ボトム室の流量不足分の圧油は、第2の油圧ポンプ42がアキュムレータ43から管路53及び開閉弁44を経由して吸入して吐出し、管路51を経由して流入する。油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室の受圧面積の差異により生じる各室の圧油の流入量及び流出量の差分を吸収する必要があるが、上記構成により、ボトム室とヘッド室の流量差分を2個の油圧ポンプ41,42とアキュムレータ43とで吸収することができるとしている。
【0005】
また、両傾転型油圧ポンプの傾転角度を制御する方式の従来技術として、実開昭60−122579号公報に記載された図14に示すようなシリンダ駆動回路がある。図14において、両傾転型の油圧ポンプ64の2つのポートは、制御用バルブ71を経由して油圧シリンダ61のボトム室及びヘッド室にそれぞれ接続されている。油圧シリンダ61のロッドは、プレス62のスライドに連結されている。また、パイロットポンプ65からパイロット油を供給されるレギュレータ66により、油圧ポンプ64の吐出方向の切換が制御されている。制御用バルブ71には、タンク73がパイプラインを介して連結している。また、油圧シリンダ61のボトム室(スライド下降側)とタンク73との間にはプレフィル弁72が設けてあり、プレス62の作動時に油圧ポンプ64からの送油量が追従できない時には、このタンク73よりプレフィル弁72を経由して油を供給するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術には次のような問題がある。
前記国際公開WO01/88381号に記載されたシリンダ駆動システムでは、油圧シリンダ3のヘッド室とボトム室との流量差分を吸収するために、2個の油圧ポンプ41,42及びアキュムレータ43を設けなければならず、従って配管作業時間が長くかかり、また製造コストが嵩む。
また、実開昭60−122579号公報に記載されたシリンダ駆動回路においては、同公報に詳細は記載されていないものの、スライド上昇時、油圧シリンダ61のボトム室から吐出された油はその一部(ヘッド室側容量よりも余分な油量)が制御用バルブ71からタンク73に戻される。このため、圧油の制御用バルブ71でのエネルギ損失が大きく、油圧シリンダによる効率的な作業ができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、油圧シリンダのヘッド室とボトム室との流量差異を吸収するための油圧機器の数を低減でき、しかもエネルギ損失量を低減できるシリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、油圧シリンダと、該油圧シリンダのボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポートと、油圧シリンダのヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポートと、タンクから油を排出する又は前記タンクへ油を供給する第3のポートとの3つの吸入・吐出ポートを有し、第1のポートの吸入量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポートの吐出量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する駆動源とを備えたことを特徴とするシリンダ駆動システムである。
【0009】
第1発明によると、油圧シリンダを伸張するときには、第2のポートからヘッド室の油を吸入して第1のポートからボトム室に吐出すると共に、ボトム室とヘッド室の流量差分を第3のポートでタンクから吸入し、また油圧シリンダを縮小するときには、第1のポートからボトム室の油を吸入して第2のポートからヘッド室に吐出すると共に、余分な油は第3のポートからタンクへ戻すことにより、1個の油圧ポンプでボトム室とヘッド室の流量差分を吸収して油圧シリンダを閉回路で駆動できる。この結果、国際公開WO01/88381号に記載の従来技術では2つの油圧ポンプとアキュムレータとを用いていたが、本発明ではこれが1個の油圧ポンプでよく、回路構成を簡単化できる。また実開昭60−122579号公報に記載の従来技術では制御用バルブ(切換弁)でのエネルギ損失が大きかったが、本発明では切換弁が不要となるので切換弁でのエネルギ損失を無くすことができ、さらに第1のポート及び第2のポートのいずれかの圧油で電動機を回転させるため、油圧ポンプでのエネルギ損失を低減できる。
【0010】
第2発明は、第1発明において、前記油圧ポンプの吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御は、前記駆動源の回転数及び回転方向の制御により、又は、前記油圧ポンプを両傾転型として該傾転角の制御により行なう構成としている。
【0011】
第2発明によると、前記油圧ポンプの吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御を駆動源の回転数及び方向の制御により行なうので、斜板や斜軸等の傾転角制御方式に比して回路構成を簡単化できる。また、前記油圧ポンプを両傾転型として該傾転角の制御により行なう場合には、吐出方向切換の制御の応答性がよく、方向切換を頻繁に行なう用途に有効であり、加えて、駆動源を一定方向回転で運転可能である。
【0012】
第3発明は、油圧シリンダのボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポートと、油圧シリンダのヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポートと、タンクから油を排出する又は前記タンクへ油を供給する第3のポートとの3つの吸入・吐出ポートを有し、かつ第1のポートの吸入量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポートの吐出量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプの回転数及び回転方向を、電動機で制御し、電動機を介して油圧ポンプの回生制動時の回生エネルギを回収することを特徴とするシリンダ駆動システムのエネルギ回生方法である。
【0013】
第3発明によると、1個の油圧ポンプで油圧シリンダ駆動システムの閉回路が構成でき、油圧シリンダの回生制動時の回生エネルギを電動機を介して回収できるので、エネルギ効率を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
まず、図1により、本発明に係るシリンダ駆動システムの基本回路を説明する。図1において、電動機2で駆動される両方向吐出型の油圧ポンプ1は3つの吸入、吐出ポートB,H,Tを有しており、ポートBは油圧シリンダ3のボトム室に、ポートHは油圧シリンダ3のヘッド室に、そしてポートTはタンク5にそれぞれ接続されている。ここで、油圧ポンプ1の3つのポートB,H,Tの流量をそれぞれQB,QH,QTとし、また油圧シリンダ3のボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shの比(Sb/Sh)をαとするとポートB,H,Tの流量の関係は、以下の2つの式を満たしている。
QB=QH+QT (1)式
QB/QH=Sb/Sh=α (2)式
【0015】
このような関係の3つのポートB,H,Tを有する油圧ポンプ1は、例えばピストンポンプによって構成することができ、図2は第1実施形態に係る該ピストンポンプの要部構成を表す斜視一部断面図である。
図2において、円筒形状のシリンダブロック11には軸線方向に平行な所定個数(n個)のシリンダが形成されており、該シリンダ内にそれぞれピストン12が組み込まれている。このシリンダブロック11の、ピストン12と反対側の端面には、それぞれのピストン12に連通する所定個数の外側ポートPoと内側ポートPiとが形成され、この端面はバルブプレート13に当接している。バルブプレート13には、軸心を中心にして一側にポートBをなす円弧状の長孔15Bが形成され、他側の外側にポートHをなす円弧状の長孔15H、その内側にポートTをなす円弧状の長孔15Tが周方向に並列に形成されており、前記長孔15Bは外側ポートPoと内側ポートPiに、長孔15Hは外側ポートPoに、そして長孔15Tは内側ポートPiにそれぞれ連通するようになっている。また、それぞれのピストン12は、図示しないポンプハウジングに所定の傾転角θ(以下、斜板角という)で固定されているスワッシュプレート14に摺動自在に当接している。シリンダブロック11は図示しないシャフトに取付けられており、このシャフト及びシリンダブロック11は前記ポンプハウジングに回動自在に支持されている。
【0016】
次に、図2を参照して上記ピストンポンプ型の油圧ポンプ1の作動を説明する。油圧ポンプ1のシャフトを回転させると、シリンダブロック11が回転し、シリンダブロック11に組み込まれたピストン12は前記斜板角θで傾いたスワッシュプレート14に追従して往復運動し、吸入、吐出のポンプ作用を繰り返す。この時、図示の矢印16の方向にシリンダブロック11が回転すると、バルブプレート13の長孔15B(ポートB)に接しているピストン12は吸入行程となり、長孔15H(ポートH),15T(ポートT)に接しているピストン12は吐出行程となる。電動機2によってシリンダブロック11を連続的に回転させると、連続的に、ポートBから油を吸入し、ポートH及びポートTから詳細は後述する所定比率で分流した油を吐出する。上記と反対の方向にシリンダブロック11を連続的に回転させると、連続的に、ポートH及びポートTから所定比率で油を吸入し、ポートBからその合流した油を吐出する。
【0017】
ここで、ピストンポンプの全シリンダ数をn、ポートHに連通する(即ち外側ポートPoに対応する)シリンダ数をnH、ポートTに連通する(即ち内側ポートPiに対応する)シリンダ数をnT、ポートBに連通する(即ち外側ポートPo及び内側ポートPiに対応する)シリンダ数をnBとすると、
n=nH+nT=nB (3)式
となる。また、前述のように油圧シリンダ3のボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shの比(Sb/Sh)をαとすると、(3)式より
α=n/nH=1+nT/nH
となるから、
nT/nH=α−1 (4)式
が得られる。
即ち、ポートHに連通するシリンダ数nH、及びポートTに連通するシリンダ数nTは、油圧シリンダ3の前記受圧面積比αに基づいて設定する必要がある。
【0018】
次に、いくつかの構成例を挙げて説明する。1番目の例として、前記受圧面積比α=2の場合、即ち「ボトム室受圧面積Sb=2×ヘッド室受圧面積Sh」の場合(一般的な油圧シリンダでは多い)には、(4)式よりnT/nH=1となるので、シリンダ数nH及びシリンダ数nTは等しく設定し、例えば全シリンダ数nを10個とすると図3に示すような配列のピストンポンプを構成すればよい。また、2番目の例として、前記受圧面積比α=3/2の場合、即ち「ボトム室受圧面積Sb=(3/2)×ヘッド室受圧面積Sh」の場合には、(4)式よりnT/nH=1/2となるので、例えば全シリンダ数nを9個として図4に示すような配列のピストンポンプを構成すればよい。なお、図3、図4のHはポートHに連通するシリンダを、TはポートTに連通するシリンダをそれぞれ表す。
【0019】
上記構成による作動を、図1及び図2を参照して説明する。
まず、電動機2により油圧ポンプ1を図2に示す矢印16の方向に回転すると、ポートBから油圧シリンダ3のボトム室の油を吸入し、その一部の、前記受圧面積比αに応じた流量の圧油をポートHから吐出してヘッド室に供給し、他の流量をポートTからタンク5へドレーンする。一方、油圧ポンプ1を図2に示す矢印16と反対方向に回転すると、ポートHから油圧シリンダ3のヘッド室の油を吸入するとともに、ポートTからタンク5の油を吸入し、両ポートの油を合流させて前記受圧面積比αに応じた流量の圧油をポートBから吐出してボトム室に供給する。
【0020】
上記のような構成としたので、次のような効果が得られる。
油圧シリンダのヘッド室とボトム室との受圧面積の差異による供給量と排出量との間の差分をバランスさせるために、油圧ポンプ1の吸入と吐出のポート数の比を油圧ポンプの回転方向に応じて1:2又は2:1とし、その吸入量と吐出量のそれぞれの総量を等しくし、かつボトム室に接続したポートの流量とヘッド室に接続したポートの流量との比をボトム室とヘッド室の受圧面積比αと等しくした両方向吐出型の油圧ポンプ1を用い、この油圧ポンプ1の回転数を制御して油圧シリンダ3への吐出量を制御するようにしたので、1個の油圧ポンプにより閉回路で制御可能となり、従来のように油圧シリンダのヘッド室とボトム室への流量をバランスさせるための他の油圧ポンプ、アキュムレータ等は不要となる。従って、回路構成が簡単になり、部品点数が減少するので、安いコストででき、また信頼性を向上できる。
【0021】
油圧ポンプ1と油圧シリンダ3との間に、前記実開昭60−122579号公報に記載されたシリンダ駆動回路の制御用バルブのような流量切換弁が無く、この流量切換弁でのエネルギ損失が無くなる。また、油圧ポンプ1のポートB又はポートHから吸入する圧油で電動機2を回転させ、回生エネルギを得ることができる。従って、駆動回路全体でのエネルギ効率を向上できる。
さらに、油圧ポンプ1の流量と吐出方向切換の制御を電動機2の回転数及び回転方向の制御により行なっているため、斜板角制御方式の場合のようなレギュレータやレギュレータ用パイロットポンプなどが不要となるので、簡単な構成でできる。
【0022】
なお、本発明に係る油圧ポンプ1の吐出方向の制御は、電動機2の回転方向を切り換えて行っているが、これに限定されず、油圧ポンプ1を両傾転型(斜板式、又は斜軸式)で構成して、その傾転角の制御により吐出方向を制御してもよいことは勿論である。
【0023】
次に、図5により、本発明に係るシリンダ駆動システムを建設機械の一例の油圧ショベルに適用した実施形態について説明する。図5は、本実施形態の回路ブロック図である。ブーム、アーム、バケットの各作業機毎に対応して油圧シリンダ3B,3A,3K(以下、特に区別しないときには単に油圧シリンダ3と記す)を備え、それぞれの油圧シリンダを駆動する油圧ポンプ1B,1A,1K(以下、同様に単に油圧ポンプ1と記す)、及び該油圧ポンプ1B,1A,1Kを回転駆動する電動機2B,2A,2K(以下、同様に単に電動機2と記す)を備えている。油圧ポンプ1は、前記図1に示した基本回路のものと同様の吸入、吐出量特性の3つのポートB,H,Tを有するものである。これらのブーム、アーム、バケットの各作業機に対応したシリンダ駆動回路CB,CA,CKは同じ構成であり、以下ではブームのシリンダ駆動回路CBについて述べる。
【0024】
油圧ポンプ1BのポートHは第1の開閉弁24a及び管路25aを経由して油圧シリンダ3Bのヘッド室に接続され、油圧ポンプ1BのポートBは第2の開閉弁24b及び管路25bを経由して油圧シリンダ3Bのボトム室に接続されている。油圧ポンプ1BのポートTはタンク5に接続されている。また、管路25aとタンク5の間には第1安全弁22a及び第1チェック弁23aが設けられ、管路25bとタンク5の間には第2安全弁22b及び第2チェック弁23bが設けられている。第1安全弁22a及び第2安全弁22bのソレノイドには、コントローラ20の安全弁設定圧信号が入力されている。
【0025】
また、本実施形態では、旋回軸は電動機2Rで直接(多くは減速機を介して)駆動されており、旋回駆動回路CRを構成する。なお、電動機2Rの出力軸に両吐出方向型の油圧ポンプを介して油圧モータを設け、この油圧モータにより旋回軸を駆動してもよい。
【0026】
各電動機2B,2A,2K,2Rは例えば三相誘導モータ等のACモータで構成され、インバータ4B,4A,4K,4R(以下、特に区別しないときには単にインバータ4と記す)によりそれぞれ速度制御されている。それぞれのインバータ4の電源入力端子は、エンジン6により駆動される発電機7の出力三相交流電圧を整流器7aで直流電圧に変換した直流電圧ライン29に接続されている。さらに、直流電圧ライン29には、バッテリやキャパシタ(大容量充放電可能な電池)等からなる2次電池8が接続されている。
【0027】
それぞれのインバータ4は、コントローラ20から各作業機の速度指令を入力し、この速度指令と各電動機2の速度センサからの速度信号との偏差値を零にするように、トルク(モータ電流)を制御する。また、インバータ4は、速度制御中に回生制動をかけている時(例えば、ブーム、アームを下降制御している時、又は旋回を制動停止している時など)には、各電動機2が回生した電気エネルギを直流電圧ライン29に送電している。この回生エネルギは2次電池8に充電されたり、又は他の作業機用の電動機2を駆動する際に消費される。
【0028】
本構成による油圧ショベルの作業機駆動回路の作動を説明する。
各油圧シリンダ3の伸縮速度及び伸縮方向の制御が、それぞれ対応する電動機2で油圧ポンプ1の回転数及び吐出方向を制御することによって行われるのは前記実施形態と同様である。油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室との受圧面積の差異による流量の差分は、油圧ポンプ1のポートBとポートHとの吸入量、吐出量の比により吸収される。
【0029】
管路25a内の油圧が第1安全弁22aの設定圧以上に上昇したときには、第1安全弁22aが開き、管路25aをタンク5に連通させて管路25a内の異常圧の発生を防止する。また、同様に管路25b内の油圧が第2安全弁22bの設定圧以上に上昇したときには、第2安全弁22bが開き、管路25bをタンク5に連通させて管路25b内の異常圧の発生を防止する。従って、掘削作業時に油圧シリンダ3のボトム室、ヘッド室に設定圧以上の異常圧が発生しても、設定圧以下に抑えられるので、油圧機器を保護できる。
また、油圧シリンダ3のボトム室又はヘッド室に異常圧が発生すると、その反対側のヘッド室又はボトム室には負圧(又は真空)が発生する。このとき、第1チェック弁23aはヘッド室とタンク5とを連通し、又は第2チェック弁23bはボトム室とタンク室とを連通して、負圧(又は真空)が発生したヘッド室又はボトム室に油を流入させ、負圧(又は真空)を防止する。これにより、油圧シリンダ3を安定して作動させることができる。
【0030】
また、油圧ポンプ1の回動を停止しているとき、作業機(ブーム、アーム、バケット)の自重によって油圧シリンダ3が伸縮する方向に、即ち作業機が下降する方向に外力を受ける場合がある。このとき、油圧シリンダ3のボトム室内の油、又はヘッド室内の油が油圧ポンプ1内を経由して反対側のヘッド室又はボトム室に移行しようとする。従って、第1の開閉弁24a及び第2の開閉弁24bを遮断することにより、上記のような作業機の自重による下降を防止する。
【0031】
本実施形態によると、以下の効果が得られる。
油圧ポンプ1の2つのポートB,Hの流量の比(即ち一方の吸入量と他方の吐出量の比)を、それぞれ油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室との受圧面積比に応じて構成し、この2つのポートB,Hを油圧シリンダ3のボトム室、ヘッド室にそれぞれ接続し、この吸入量と吐出量の差分を吸入又は吐出する他の1つのポートTをタンクに接続している。そして、該油圧ポンプ1の吐出量及び吐出方向を電動機2で制御すると、油圧シリンダ3を閉回路で駆動できる。このため、油圧ポンプ1のポートB又はポートHから吸入する圧油で電動機2を回転させ、回生エネルギを得ることができる。また、作業機の速度制御を行う、即ち油圧ポンプ1の吐出量制御を行う際、例えばブーム、アームの下降時や旋回の制動停止時などには、電動機2による回生制動が行われることになる。この結果、この回生したエネルギを2次電池に充電したり、他の作業機駆動時に消費することにより、エネルギを有効に活用でき、エネルギ損失が少なく、エネルギ効率を高めることができる。
【0032】
尚、上記閉回路における油量不足によるキャビテーションを防止するために、別途チャージポンプを使用して各油圧機器での漏れ分程度の油を閉回路中に補充するようにしても構わない。
また、上記実施形態では、各軸の電動機により速度制御を行なう例で説明したが、これに限らず、トルク制御等で行ってもよいのは云うまでもない。
【0033】
次に、図6〜図8により、第2実施形態を説明する。図6は第2実施形態に係る油圧ポンプの断面図、図7は同油圧ポンプの要部の斜視一部断面図、図8は同油圧ポンプのシリンダブロックの説明図である。
【0034】
図6において、斜軸ポンプ30は、ハウジング31内に駆動軸32を回動可能に支承し、該駆動軸32の一端部にディスク33を設けている。駆動軸32と反対側の前記ディスク33の面には、ハウジング31との間にシリンダ回転軸36が連結されており、該シリンダ回転軸36の軸心は前記駆動軸32の軸心に対して所定の傾転角度θだけ傾斜させて設けられている。シリンダ回転軸36の一端側は前記ディスク33の面の回動中心部に連結され、他端側はハウジング31に回動自在に支持されている。また、シリンダ回転軸36の外周部には、シリンダブロック35が回動方向に位置決めされた状態で嵌挿されている。図8に示すように、このシリンダブロック35には、前記シリンダ回転軸36の周りに略等間隔で、かつシリンダ回転軸36と平行に所定数のシリンダ穴38が形成されており、それぞれのシリンダ穴38内にはピストン34が挿入されている。ピストン34の先端部は前記ディスク33のシリンダ回転軸36側の面に摺動自在に連結されている。以上の構成により、駆動軸32の回転駆動によるディスク33の回動で、シリンダ回転軸36を介してシリンダブロック35がシリンダ回転軸36を中心に回動し、ピストン34がシリンダブロック35のシリンダ穴38内を往復運動するようになっている。また、シリンダブロック35の底面には、ハウジング31に固定されたバルブプレート37が摺動自在に当接している。
【0035】
シリンダブロック35に形成された各シリンダ穴38は、図8に示すようにそれぞれポートHとポートT(図1参照)に対応しており、本例では前記第1実施形態の図3に示したシリンダ構成と同じ構成としている。また、図6、図7に示すように、ポートHおよびポートTにそれぞれ対応した各シリンダ穴38の底部には、該シリンダ穴38とシリンダブロック35の底面とを連通させる外側ポートPoおよび内側ポートPiがそれぞれ形成されている。また、バルブプレート37には、軸心を中心にして一側にポートBをなす円弧状の長孔37Bが形成され、他側の外側にポートHをなす円弧状の長孔37H、その内側にポートTをなす円弧状の長孔37Tが周方向に並列に形成されている。そして、前記長孔37Bは外側ポートPoと内側ポートPiに、前記長孔37Hは外側ポートPoに、また前記長孔37Tは内側ポートPiにそれぞれ連通するようになっている。
【0036】
本実施形態においては、ポートHおよびポートTに対応するそれぞれのシリンダ穴38の径は、駆動対象の油圧シリンダのボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shとの比αに応じて設定されている。すなわち、前記(3)式のように「n=nH+nT」(本例では、全シリンダ数n=10、nH=nT=5である。)とし、ポートHに対応する各シリンダ穴38の受圧面積をそれぞれS1H、S2H、…SnHとし、ポートTに対応する各シリンダ穴38の受圧面積をそれぞれS1T、S2T、…SnTとすると、次の式を満たすように各シリンダ穴38の径が加工される。
α={(S1H+S2H+…+SnH)+(S1T+S2T+…+SnT)}/(S1H+S2H+…+SnH)=1+(S1T+S2T+…+SnT)/(S1H+S2H+…+SnH)
【0037】
なお、それぞれのシリンダ穴38の径は、ポートH、ポートT毎に同一としてもよいし、一部のみ異なる径としても構わない。図8では、5個のポートHのうち、2個のポートHのシリンダ穴38aの径を、他のポートHおよびポートTのシリンダ穴38bの径よりも小さい値に設定した例で示している。
【0038】
第2実施形態の構成によると、第1実施形態での効果に加えて、次の効果が得られる。
本実施形態では各シリンダ穴38の径の大きさを調整するので、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αに応じて、油圧ポンプのポートH,T間の吸入量または吐出量の比を精度良く設定できる。したがって、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる多種の油圧シリンダに容易に、精度良く対応できる。また、1ポンプでダブルポンプの機能を有するから小形化できるとともに、本発明を適用した斜軸ポンプによると高速化が可能となるため、コスト低減および車両搭載性の改善が図れる。さらに、各シリンダを容積効率最大で使用できるので、本油圧ポンプを効率良く使用できる。
【0039】
次に、図9により第3実施形態を説明する。図9は、第3実施形態に係るシリンダブロックの要部断面図である。
上記第2実施形態において、各シリンダ穴38の径を調整するのに穴径自体を目標の比αに応じて加工して調整していたが、本実施形態においては、シリンダ穴38内に、目標の比αに応じた所定の内径を有するスリーブ39を挿入することで調整するようにしている。目標の比αに応じた大まかな調整は前述の第1実施形態に述べたように、ポートHに対応するシリンダ数nHと、ポートTに対応するシリンダ数nTとの調整によって行い、細かな微調整を、内径を調整したスリーブ39を所定のシリンダ穴38に挿入して行う。
【0040】
シリンダ穴38の径として本油圧ポンプの適用範囲をカバーできるような最大径を予め有するシリンダブロックを共通部品とし、これを備えた油圧ポンプを在庫することが、在庫管理コスト、生産コストの点で好ましい。こうすることにより、スリーブ39の内径を油圧シリンダに適合させて調整してシリンダ穴38内に挿入するだけでよいので、汎用性が高まる。
【0041】
この構成によると、スリーブ39の内径を調整するだけでよいので、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αに適合させた、ダブルポンプ同等機能の油圧ポンプを容易に、かつ精度良く構成できる。また、スリーブ39を交換するだけで、ボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる他の油圧シリンダに適用できるので、汎用性を向上できる。さらに、上記オーバーサイズのシリンダ穴径を有するシリンダブロックを装着した油圧ポンプを共通化部品として在庫することができるので、在庫管理コスト、生産コストを安くできる。なお、その他の効果は前述までの実施形態と同様であるから説明を省く。
【0042】
次に、第4実施形態を説明する。図10は、第4実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。適用機として、第2実施形態の図6に示したものと同様の斜軸ポンプを例に説明する。なお、図6〜図8に示した構成と略同一の機能を有する構成には同一符号を付して、説明を省く。
【0043】
図10において、バルブプレート37は2つのプレート37a,37bを有し、一方のプレート37aには、前記ポートBをなす円弧状の長孔37Bと、前記ポートTをなす円弧状の長孔37Tとが形成されており、他方のプレート37bには、前記ポートHをなす円弧状の長孔37Hが形成されている。一方のプレート37aは、長孔37Bを設けた側に、シリンダブロック35と略同じ外径を有する略半円形状の大径部を有し、長孔37Tを設けた側に、長孔37Tの外径と長孔37Hの外径との略中間の外径を有する略半円形状の小径部を有している。また、他方のプレート37bは、シリンダブロック35と略同じ外径を有する外周円部と、上記プレート37aの小径部の外径よりもやや大き目の内径を有する内周円部とを備えた、半円環状をなしている。そして、2つのプレート37a,37bは、互いに前記小径部と前記内周円部とを周方向に摺動自在に当接させ、かつシリンダブロック35の底面を常に覆って油漏れがないように周方向端部に一部重複部を設けてある。なお、この重複部における両プレート37a,37b間の厚み方向の隙間を塞ぐために、両プレート37a,37bのいずれか一方に側壁部(図示せず)が形成されている。また、他方のプレート37bには、一方のプレート37aに対して所定角度だけ回転させ、位置決め可能とする電動モータ等の回動手段(図示せず)が設けられている。
【0044】
本実施形態の作用を説明する。2つのプレート37a,37bを周方向に相対的にずらすと、長孔37H(ポートH)と長孔37T(ポートT)との相対位置が変わるので、ずらしたポートHの吸入または吐出のタイミングが変わる。これによって、ポートHに対応するシリンダの容積効率が変化する、すなわち等価的に吸入または吐出の容積が変わることになる。したがって、目標の比αを満たすように長孔37H(ポートH)と長孔37T(ポートT)との相対位置を調整することによって、シリンダ容積が微調整される。
【0045】
これにより、第2実施形態での効果以外に、以下の効果が得られる。バルブプレート37を構成する2つのプレート37a,37bのポートH、Tの相対角度を調整することにより、任意に容積効率を変えて油圧シリンダに適合する比αになるように微調整ができる。したがって、同一の油圧ポンプを多種の油圧シリンダに適用可能となり、汎用性を向上でき、油圧ポンプを共通化できるため、在庫管理コストおよび生産コストを安くすることができる。
【0046】
次に、第5実施形態を、図11、図12により説明する。図11は、第5実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図であり、図12は、図11のA−A断面図である。適用機として、第2実施形態の図6に示したものと同様の斜軸ポンプを例に説明する。なお、図6〜図8に示した構成と略同一の機能を有する構成には同一符号を付して、説明を省く。
【0047】
バルブプレート37cは、ポートHをなす長孔37Hの周方向開口角度β1がポートTをなす長孔37Tの周方向開口角度β2よりも所定角度だけ小さく形成されている。そして、前記長孔37Hと同一半径の円周上に、前記長孔37Tと連通する円弧状の長孔37Taが形成されている。また、シリンダ回転軸36を挟んで長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tと反端側には、ポートBをなす円弧状の長孔37Bが形成されている。バルブプレート37c以外の構成は、前記第1〜第3実施形態と同様であるからここでの説明を省く。
【0048】
本実施形態の構成による作用を説明する。シリンダブロック35が回転している際、シリンダ穴38が外側ポートPoを経由して長孔37Hと連通しているときには、該シリンダ穴38のピストン34はポートH用として機能し、長孔37Taと連通しているときには、該シリンダ穴38のピストン34はポートT用として機能する。このため、長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tが油圧ポンプの吐出行程側にある場合には、外側ポートPoを有するシリンダ穴38の中の油の大部分が長孔37Hを経由してポートHから吐出され、その残りの油が長孔37Taおよび長孔37Tを経由してポートTから吐出される。一方、内側ポートPiを有するシリンダ穴38の中の油は、長孔37Tを経由してポートTから吐出される。なお、吸入行程の場合には、上記の逆の油流入方向となる。したがって、長孔37Hを通過する油量がポートHのシリンダ容量となり、長孔37Taおよび長孔37Tを通過する油量がポートTのシリンダ容量となるので、長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tのうち少なくともいずれか一つの周方向開口角度βや開口面積を調整することにより、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが調整される。
【0049】
これにより、第2実施形態での効果の他に、次の効果が得られる。すなわち、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αの大まかな設定は外側ポートPoを有するポートH用のシリンダ数nHと内側ポートPiを有するポートT用のシリンダ数nTとの調整によって行われ、この調整では困難な微調整をバルブプレート37cの長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tのうち少なくともいずれか一つの周方向開口角度βや開口面積の調整によって行うことができる。したがって、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる多種の油圧シリンダに容易に、精度良く対応でき、また、前記同様にポンプの小形化、高速化が可能となるため、コスト低減および車両搭載性の改善が図れる。
【0050】
なお、上記第2実施形態〜第5実施形態では本発明が適用される油圧ポンプの例として斜軸ポンプを挙げて説明したが、これに限定されず、斜板式ポンプに適用してもよいことは言うまでもない。
【0051】
以上説明したように、本発明により次の効果を奏する。
油圧ポンプの3つのポートが、第1ポートの吐出量(吸入量)は第2ポートと第3ポートのそれぞれの吸入量(吐出量)の和とし、第1ポートの吐出量(吸入量)と第2ポートの吸入量(吐出量)の比は油圧シリンダのボトム室とヘッド室の受圧面積比である関係を有するように構成される。この油圧ポンプの第1ポートをボトム室に、第2ポートをヘッド室に、第3ポートをタンクにそれぞれ接続し、該油圧ポンプの回転数及び回転方向の制御により吐出量及び吐出方向を制御することにより、1個の油圧ポンプで閉回路の駆動システムを構成できる。従って、回路構成が簡単で、安いコストで構成できる。また、流量制御用の切換弁を無くしてエネルギ損失を低減できるとともに、油圧シリンダのボトム室又はヘッド室の圧油で油圧ポンプを介して電動機を回転させるので、回生エネルギを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダ駆動システムの基本回路である。
【図2】第1実施形態に係るピストンポンプの要部の斜視一部断面図である。
【図3】ピストンポンプの第1のシリンダ構成例である。
【図4】ピストンポンプの第2のシリンダ構成例である。
【図5】本発明を油圧ショベルに適用した実施形態の回路ブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る油圧ポンプの断面図である。
【図7】同油圧ポンプの要部の斜視一部断面図である。
【図8】同油圧ポンプのシリンダブロックの説明図である。
【図9】第3実施形態に係るシリンダブロックの要部断面図である。
【図10】第4実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。
【図11】第5実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】第1の従来技術に係るシリンダ駆動回路図の要部である。
【図14】第2の従来技術に係るシリンダ駆動回路図である。
【符号の説明】
1,1B,1A,1K,1R…油圧ポンプ、2,2B,2A,2K,2R…電動機、3,3B,3A,3K…油圧シリンダ、4,4B,4A,4K,4R…インバータ、5…タンク、6…エンジン、7…発電機、7a…整流器、8…2次電池、11…シリンダブロック、12…ピストン、13…バルブプレート、14…スワッシュプレート、15B,15H,15T…長孔、16…矢印、20…コントローラ、22a,22b…安全弁、23a,23b…チェック弁、24a,24b…開閉弁、25a,25b…管路、29…直流電圧ライン、30…斜軸ポンプ、32…駆動軸、33…ディスク、34…ピストン、35…シリンダブロック、36…シリンダ回転軸、37,37c…バルブプレート、37a,37b…プレート、37B,37H,37T…長孔、38,38a,38b…シリンダ穴、39…スリーブ。
α…ボトム室受圧面積とヘッド室受圧面積の比、B,H,T…ポート、Po…外側ポート、Pi…内側ポート。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設機械、作業車両及び産業機械等に多く使われている油圧シリンダの流量を制御する方式の一つに、油圧ポンプの回転数及び回転方向を制御する方式と、両傾転型(斜軸式、斜板式等)油圧ポンプの傾転角度を制御する方式とが知られている。
【0003】
上記の油圧ポンプの回転数及び回転方向を制御する方式の従来技術として、例えば国際公開WO01/88381号に記載されたものがあり、図13には同公報に記載された駆動回路図の要部を示している。図13において、2個の油圧ポンプ41,42は電動機2で駆動され、第1の油圧ポンプ41の一方の出力ポートは、管路50を経由して油圧シリンダ3のヘッド室に、他方の出力ポートは管路51を経由して油圧シリンダ3のボトム室にそれぞれ接続されている。また第2の油圧ポンプ42の一方の出力ポートは管路51に、他方の出力ポートは開閉弁44及び管路53を経由してアキュムレータ43にそれぞれ接続されている。管路50は、第1の安全弁45a及び第1のチェック弁46aを経由し、管路52を介してアキュムレータ43に接続されている。また同様に管路51は、第2の安全弁45b及び第2のチェック弁46bを経由し、管路52を介してアキュムレータ43に接続されている。
【0004】
上記構成によると、油圧シリンダ3を縮小するときには、電動機2で油圧ポンプ41,42を縮小方向へ回転させると、ボトム室の圧油は管路51を経由して、一部の流量が第1の油圧ポンプ41に吸入され、この油圧ポンプ41から吐出されて管路50を経由してヘッド室に流入する。また、他の余分な圧油は第2の油圧ポンプ42に吸入され、この油圧ポンプ42から吐出されて開閉弁44及び管路53を経由してアキュムレータ43に蓄圧される。一方、油圧シリンダ3を伸長するときには、電動機2で油圧ポンプ41,42を伸長方向へ回転させると、第1の油圧ポンプ41はヘッド室の圧油を管路50を経由して吸入し、これを管路51を経由してボトム室に吐出する。このとき、ボトム室の流量不足分の圧油は、第2の油圧ポンプ42がアキュムレータ43から管路53及び開閉弁44を経由して吸入して吐出し、管路51を経由して流入する。油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室の受圧面積の差異により生じる各室の圧油の流入量及び流出量の差分を吸収する必要があるが、上記構成により、ボトム室とヘッド室の流量差分を2個の油圧ポンプ41,42とアキュムレータ43とで吸収することができるとしている。
【0005】
また、両傾転型油圧ポンプの傾転角度を制御する方式の従来技術として、実開昭60−122579号公報に記載された図14に示すようなシリンダ駆動回路がある。図14において、両傾転型の油圧ポンプ64の2つのポートは、制御用バルブ71を経由して油圧シリンダ61のボトム室及びヘッド室にそれぞれ接続されている。油圧シリンダ61のロッドは、プレス62のスライドに連結されている。また、パイロットポンプ65からパイロット油を供給されるレギュレータ66により、油圧ポンプ64の吐出方向の切換が制御されている。制御用バルブ71には、タンク73がパイプラインを介して連結している。また、油圧シリンダ61のボトム室(スライド下降側)とタンク73との間にはプレフィル弁72が設けてあり、プレス62の作動時に油圧ポンプ64からの送油量が追従できない時には、このタンク73よりプレフィル弁72を経由して油を供給するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術には次のような問題がある。
前記国際公開WO01/88381号に記載されたシリンダ駆動システムでは、油圧シリンダ3のヘッド室とボトム室との流量差分を吸収するために、2個の油圧ポンプ41,42及びアキュムレータ43を設けなければならず、従って配管作業時間が長くかかり、また製造コストが嵩む。
また、実開昭60−122579号公報に記載されたシリンダ駆動回路においては、同公報に詳細は記載されていないものの、スライド上昇時、油圧シリンダ61のボトム室から吐出された油はその一部(ヘッド室側容量よりも余分な油量)が制御用バルブ71からタンク73に戻される。このため、圧油の制御用バルブ71でのエネルギ損失が大きく、油圧シリンダによる効率的な作業ができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、油圧シリンダのヘッド室とボトム室との流量差異を吸収するための油圧機器の数を低減でき、しかもエネルギ損失量を低減できるシリンダ駆動システム及びそのエネルギ回生方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、油圧シリンダと、該油圧シリンダのボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポートと、油圧シリンダのヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポートと、タンクから油を排出する又は前記タンクへ油を供給する第3のポートとの3つの吸入・吐出ポートを有し、第1のポートの吸入量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポートの吐出量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプと、油圧ポンプを駆動する駆動源とを備えたことを特徴とするシリンダ駆動システムである。
【0009】
第1発明によると、油圧シリンダを伸張するときには、第2のポートからヘッド室の油を吸入して第1のポートからボトム室に吐出すると共に、ボトム室とヘッド室の流量差分を第3のポートでタンクから吸入し、また油圧シリンダを縮小するときには、第1のポートからボトム室の油を吸入して第2のポートからヘッド室に吐出すると共に、余分な油は第3のポートからタンクへ戻すことにより、1個の油圧ポンプでボトム室とヘッド室の流量差分を吸収して油圧シリンダを閉回路で駆動できる。この結果、国際公開WO01/88381号に記載の従来技術では2つの油圧ポンプとアキュムレータとを用いていたが、本発明ではこれが1個の油圧ポンプでよく、回路構成を簡単化できる。また実開昭60−122579号公報に記載の従来技術では制御用バルブ(切換弁)でのエネルギ損失が大きかったが、本発明では切換弁が不要となるので切換弁でのエネルギ損失を無くすことができ、さらに第1のポート及び第2のポートのいずれかの圧油で電動機を回転させるため、油圧ポンプでのエネルギ損失を低減できる。
【0010】
第2発明は、第1発明において、前記油圧ポンプの吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御は、前記駆動源の回転数及び回転方向の制御により、又は、前記油圧ポンプを両傾転型として該傾転角の制御により行なう構成としている。
【0011】
第2発明によると、前記油圧ポンプの吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御を駆動源の回転数及び方向の制御により行なうので、斜板や斜軸等の傾転角制御方式に比して回路構成を簡単化できる。また、前記油圧ポンプを両傾転型として該傾転角の制御により行なう場合には、吐出方向切換の制御の応答性がよく、方向切換を頻繁に行なう用途に有効であり、加えて、駆動源を一定方向回転で運転可能である。
【0012】
第3発明は、油圧シリンダのボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポートと、油圧シリンダのヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポートと、タンクから油を排出する又は前記タンクへ油を供給する第3のポートとの3つの吸入・吐出ポートを有し、かつ第1のポートの吸入量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポートの吐出量は第2のポート及び第3のポートのそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプの回転数及び回転方向を、電動機で制御し、電動機を介して油圧ポンプの回生制動時の回生エネルギを回収することを特徴とするシリンダ駆動システムのエネルギ回生方法である。
【0013】
第3発明によると、1個の油圧ポンプで油圧シリンダ駆動システムの閉回路が構成でき、油圧シリンダの回生制動時の回生エネルギを電動機を介して回収できるので、エネルギ効率を向上できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
まず、図1により、本発明に係るシリンダ駆動システムの基本回路を説明する。図1において、電動機2で駆動される両方向吐出型の油圧ポンプ1は3つの吸入、吐出ポートB,H,Tを有しており、ポートBは油圧シリンダ3のボトム室に、ポートHは油圧シリンダ3のヘッド室に、そしてポートTはタンク5にそれぞれ接続されている。ここで、油圧ポンプ1の3つのポートB,H,Tの流量をそれぞれQB,QH,QTとし、また油圧シリンダ3のボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shの比(Sb/Sh)をαとするとポートB,H,Tの流量の関係は、以下の2つの式を満たしている。
QB=QH+QT (1)式
QB/QH=Sb/Sh=α (2)式
【0015】
このような関係の3つのポートB,H,Tを有する油圧ポンプ1は、例えばピストンポンプによって構成することができ、図2は第1実施形態に係る該ピストンポンプの要部構成を表す斜視一部断面図である。
図2において、円筒形状のシリンダブロック11には軸線方向に平行な所定個数(n個)のシリンダが形成されており、該シリンダ内にそれぞれピストン12が組み込まれている。このシリンダブロック11の、ピストン12と反対側の端面には、それぞれのピストン12に連通する所定個数の外側ポートPoと内側ポートPiとが形成され、この端面はバルブプレート13に当接している。バルブプレート13には、軸心を中心にして一側にポートBをなす円弧状の長孔15Bが形成され、他側の外側にポートHをなす円弧状の長孔15H、その内側にポートTをなす円弧状の長孔15Tが周方向に並列に形成されており、前記長孔15Bは外側ポートPoと内側ポートPiに、長孔15Hは外側ポートPoに、そして長孔15Tは内側ポートPiにそれぞれ連通するようになっている。また、それぞれのピストン12は、図示しないポンプハウジングに所定の傾転角θ(以下、斜板角という)で固定されているスワッシュプレート14に摺動自在に当接している。シリンダブロック11は図示しないシャフトに取付けられており、このシャフト及びシリンダブロック11は前記ポンプハウジングに回動自在に支持されている。
【0016】
次に、図2を参照して上記ピストンポンプ型の油圧ポンプ1の作動を説明する。油圧ポンプ1のシャフトを回転させると、シリンダブロック11が回転し、シリンダブロック11に組み込まれたピストン12は前記斜板角θで傾いたスワッシュプレート14に追従して往復運動し、吸入、吐出のポンプ作用を繰り返す。この時、図示の矢印16の方向にシリンダブロック11が回転すると、バルブプレート13の長孔15B(ポートB)に接しているピストン12は吸入行程となり、長孔15H(ポートH),15T(ポートT)に接しているピストン12は吐出行程となる。電動機2によってシリンダブロック11を連続的に回転させると、連続的に、ポートBから油を吸入し、ポートH及びポートTから詳細は後述する所定比率で分流した油を吐出する。上記と反対の方向にシリンダブロック11を連続的に回転させると、連続的に、ポートH及びポートTから所定比率で油を吸入し、ポートBからその合流した油を吐出する。
【0017】
ここで、ピストンポンプの全シリンダ数をn、ポートHに連通する(即ち外側ポートPoに対応する)シリンダ数をnH、ポートTに連通する(即ち内側ポートPiに対応する)シリンダ数をnT、ポートBに連通する(即ち外側ポートPo及び内側ポートPiに対応する)シリンダ数をnBとすると、
n=nH+nT=nB (3)式
となる。また、前述のように油圧シリンダ3のボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shの比(Sb/Sh)をαとすると、(3)式より
α=n/nH=1+nT/nH
となるから、
nT/nH=α−1 (4)式
が得られる。
即ち、ポートHに連通するシリンダ数nH、及びポートTに連通するシリンダ数nTは、油圧シリンダ3の前記受圧面積比αに基づいて設定する必要がある。
【0018】
次に、いくつかの構成例を挙げて説明する。1番目の例として、前記受圧面積比α=2の場合、即ち「ボトム室受圧面積Sb=2×ヘッド室受圧面積Sh」の場合(一般的な油圧シリンダでは多い)には、(4)式よりnT/nH=1となるので、シリンダ数nH及びシリンダ数nTは等しく設定し、例えば全シリンダ数nを10個とすると図3に示すような配列のピストンポンプを構成すればよい。また、2番目の例として、前記受圧面積比α=3/2の場合、即ち「ボトム室受圧面積Sb=(3/2)×ヘッド室受圧面積Sh」の場合には、(4)式よりnT/nH=1/2となるので、例えば全シリンダ数nを9個として図4に示すような配列のピストンポンプを構成すればよい。なお、図3、図4のHはポートHに連通するシリンダを、TはポートTに連通するシリンダをそれぞれ表す。
【0019】
上記構成による作動を、図1及び図2を参照して説明する。
まず、電動機2により油圧ポンプ1を図2に示す矢印16の方向に回転すると、ポートBから油圧シリンダ3のボトム室の油を吸入し、その一部の、前記受圧面積比αに応じた流量の圧油をポートHから吐出してヘッド室に供給し、他の流量をポートTからタンク5へドレーンする。一方、油圧ポンプ1を図2に示す矢印16と反対方向に回転すると、ポートHから油圧シリンダ3のヘッド室の油を吸入するとともに、ポートTからタンク5の油を吸入し、両ポートの油を合流させて前記受圧面積比αに応じた流量の圧油をポートBから吐出してボトム室に供給する。
【0020】
上記のような構成としたので、次のような効果が得られる。
油圧シリンダのヘッド室とボトム室との受圧面積の差異による供給量と排出量との間の差分をバランスさせるために、油圧ポンプ1の吸入と吐出のポート数の比を油圧ポンプの回転方向に応じて1:2又は2:1とし、その吸入量と吐出量のそれぞれの総量を等しくし、かつボトム室に接続したポートの流量とヘッド室に接続したポートの流量との比をボトム室とヘッド室の受圧面積比αと等しくした両方向吐出型の油圧ポンプ1を用い、この油圧ポンプ1の回転数を制御して油圧シリンダ3への吐出量を制御するようにしたので、1個の油圧ポンプにより閉回路で制御可能となり、従来のように油圧シリンダのヘッド室とボトム室への流量をバランスさせるための他の油圧ポンプ、アキュムレータ等は不要となる。従って、回路構成が簡単になり、部品点数が減少するので、安いコストででき、また信頼性を向上できる。
【0021】
油圧ポンプ1と油圧シリンダ3との間に、前記実開昭60−122579号公報に記載されたシリンダ駆動回路の制御用バルブのような流量切換弁が無く、この流量切換弁でのエネルギ損失が無くなる。また、油圧ポンプ1のポートB又はポートHから吸入する圧油で電動機2を回転させ、回生エネルギを得ることができる。従って、駆動回路全体でのエネルギ効率を向上できる。
さらに、油圧ポンプ1の流量と吐出方向切換の制御を電動機2の回転数及び回転方向の制御により行なっているため、斜板角制御方式の場合のようなレギュレータやレギュレータ用パイロットポンプなどが不要となるので、簡単な構成でできる。
【0022】
なお、本発明に係る油圧ポンプ1の吐出方向の制御は、電動機2の回転方向を切り換えて行っているが、これに限定されず、油圧ポンプ1を両傾転型(斜板式、又は斜軸式)で構成して、その傾転角の制御により吐出方向を制御してもよいことは勿論である。
【0023】
次に、図5により、本発明に係るシリンダ駆動システムを建設機械の一例の油圧ショベルに適用した実施形態について説明する。図5は、本実施形態の回路ブロック図である。ブーム、アーム、バケットの各作業機毎に対応して油圧シリンダ3B,3A,3K(以下、特に区別しないときには単に油圧シリンダ3と記す)を備え、それぞれの油圧シリンダを駆動する油圧ポンプ1B,1A,1K(以下、同様に単に油圧ポンプ1と記す)、及び該油圧ポンプ1B,1A,1Kを回転駆動する電動機2B,2A,2K(以下、同様に単に電動機2と記す)を備えている。油圧ポンプ1は、前記図1に示した基本回路のものと同様の吸入、吐出量特性の3つのポートB,H,Tを有するものである。これらのブーム、アーム、バケットの各作業機に対応したシリンダ駆動回路CB,CA,CKは同じ構成であり、以下ではブームのシリンダ駆動回路CBについて述べる。
【0024】
油圧ポンプ1BのポートHは第1の開閉弁24a及び管路25aを経由して油圧シリンダ3Bのヘッド室に接続され、油圧ポンプ1BのポートBは第2の開閉弁24b及び管路25bを経由して油圧シリンダ3Bのボトム室に接続されている。油圧ポンプ1BのポートTはタンク5に接続されている。また、管路25aとタンク5の間には第1安全弁22a及び第1チェック弁23aが設けられ、管路25bとタンク5の間には第2安全弁22b及び第2チェック弁23bが設けられている。第1安全弁22a及び第2安全弁22bのソレノイドには、コントローラ20の安全弁設定圧信号が入力されている。
【0025】
また、本実施形態では、旋回軸は電動機2Rで直接(多くは減速機を介して)駆動されており、旋回駆動回路CRを構成する。なお、電動機2Rの出力軸に両吐出方向型の油圧ポンプを介して油圧モータを設け、この油圧モータにより旋回軸を駆動してもよい。
【0026】
各電動機2B,2A,2K,2Rは例えば三相誘導モータ等のACモータで構成され、インバータ4B,4A,4K,4R(以下、特に区別しないときには単にインバータ4と記す)によりそれぞれ速度制御されている。それぞれのインバータ4の電源入力端子は、エンジン6により駆動される発電機7の出力三相交流電圧を整流器7aで直流電圧に変換した直流電圧ライン29に接続されている。さらに、直流電圧ライン29には、バッテリやキャパシタ(大容量充放電可能な電池)等からなる2次電池8が接続されている。
【0027】
それぞれのインバータ4は、コントローラ20から各作業機の速度指令を入力し、この速度指令と各電動機2の速度センサからの速度信号との偏差値を零にするように、トルク(モータ電流)を制御する。また、インバータ4は、速度制御中に回生制動をかけている時(例えば、ブーム、アームを下降制御している時、又は旋回を制動停止している時など)には、各電動機2が回生した電気エネルギを直流電圧ライン29に送電している。この回生エネルギは2次電池8に充電されたり、又は他の作業機用の電動機2を駆動する際に消費される。
【0028】
本構成による油圧ショベルの作業機駆動回路の作動を説明する。
各油圧シリンダ3の伸縮速度及び伸縮方向の制御が、それぞれ対応する電動機2で油圧ポンプ1の回転数及び吐出方向を制御することによって行われるのは前記実施形態と同様である。油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室との受圧面積の差異による流量の差分は、油圧ポンプ1のポートBとポートHとの吸入量、吐出量の比により吸収される。
【0029】
管路25a内の油圧が第1安全弁22aの設定圧以上に上昇したときには、第1安全弁22aが開き、管路25aをタンク5に連通させて管路25a内の異常圧の発生を防止する。また、同様に管路25b内の油圧が第2安全弁22bの設定圧以上に上昇したときには、第2安全弁22bが開き、管路25bをタンク5に連通させて管路25b内の異常圧の発生を防止する。従って、掘削作業時に油圧シリンダ3のボトム室、ヘッド室に設定圧以上の異常圧が発生しても、設定圧以下に抑えられるので、油圧機器を保護できる。
また、油圧シリンダ3のボトム室又はヘッド室に異常圧が発生すると、その反対側のヘッド室又はボトム室には負圧(又は真空)が発生する。このとき、第1チェック弁23aはヘッド室とタンク5とを連通し、又は第2チェック弁23bはボトム室とタンク室とを連通して、負圧(又は真空)が発生したヘッド室又はボトム室に油を流入させ、負圧(又は真空)を防止する。これにより、油圧シリンダ3を安定して作動させることができる。
【0030】
また、油圧ポンプ1の回動を停止しているとき、作業機(ブーム、アーム、バケット)の自重によって油圧シリンダ3が伸縮する方向に、即ち作業機が下降する方向に外力を受ける場合がある。このとき、油圧シリンダ3のボトム室内の油、又はヘッド室内の油が油圧ポンプ1内を経由して反対側のヘッド室又はボトム室に移行しようとする。従って、第1の開閉弁24a及び第2の開閉弁24bを遮断することにより、上記のような作業機の自重による下降を防止する。
【0031】
本実施形態によると、以下の効果が得られる。
油圧ポンプ1の2つのポートB,Hの流量の比(即ち一方の吸入量と他方の吐出量の比)を、それぞれ油圧シリンダ3のボトム室とヘッド室との受圧面積比に応じて構成し、この2つのポートB,Hを油圧シリンダ3のボトム室、ヘッド室にそれぞれ接続し、この吸入量と吐出量の差分を吸入又は吐出する他の1つのポートTをタンクに接続している。そして、該油圧ポンプ1の吐出量及び吐出方向を電動機2で制御すると、油圧シリンダ3を閉回路で駆動できる。このため、油圧ポンプ1のポートB又はポートHから吸入する圧油で電動機2を回転させ、回生エネルギを得ることができる。また、作業機の速度制御を行う、即ち油圧ポンプ1の吐出量制御を行う際、例えばブーム、アームの下降時や旋回の制動停止時などには、電動機2による回生制動が行われることになる。この結果、この回生したエネルギを2次電池に充電したり、他の作業機駆動時に消費することにより、エネルギを有効に活用でき、エネルギ損失が少なく、エネルギ効率を高めることができる。
【0032】
尚、上記閉回路における油量不足によるキャビテーションを防止するために、別途チャージポンプを使用して各油圧機器での漏れ分程度の油を閉回路中に補充するようにしても構わない。
また、上記実施形態では、各軸の電動機により速度制御を行なう例で説明したが、これに限らず、トルク制御等で行ってもよいのは云うまでもない。
【0033】
次に、図6〜図8により、第2実施形態を説明する。図6は第2実施形態に係る油圧ポンプの断面図、図7は同油圧ポンプの要部の斜視一部断面図、図8は同油圧ポンプのシリンダブロックの説明図である。
【0034】
図6において、斜軸ポンプ30は、ハウジング31内に駆動軸32を回動可能に支承し、該駆動軸32の一端部にディスク33を設けている。駆動軸32と反対側の前記ディスク33の面には、ハウジング31との間にシリンダ回転軸36が連結されており、該シリンダ回転軸36の軸心は前記駆動軸32の軸心に対して所定の傾転角度θだけ傾斜させて設けられている。シリンダ回転軸36の一端側は前記ディスク33の面の回動中心部に連結され、他端側はハウジング31に回動自在に支持されている。また、シリンダ回転軸36の外周部には、シリンダブロック35が回動方向に位置決めされた状態で嵌挿されている。図8に示すように、このシリンダブロック35には、前記シリンダ回転軸36の周りに略等間隔で、かつシリンダ回転軸36と平行に所定数のシリンダ穴38が形成されており、それぞれのシリンダ穴38内にはピストン34が挿入されている。ピストン34の先端部は前記ディスク33のシリンダ回転軸36側の面に摺動自在に連結されている。以上の構成により、駆動軸32の回転駆動によるディスク33の回動で、シリンダ回転軸36を介してシリンダブロック35がシリンダ回転軸36を中心に回動し、ピストン34がシリンダブロック35のシリンダ穴38内を往復運動するようになっている。また、シリンダブロック35の底面には、ハウジング31に固定されたバルブプレート37が摺動自在に当接している。
【0035】
シリンダブロック35に形成された各シリンダ穴38は、図8に示すようにそれぞれポートHとポートT(図1参照)に対応しており、本例では前記第1実施形態の図3に示したシリンダ構成と同じ構成としている。また、図6、図7に示すように、ポートHおよびポートTにそれぞれ対応した各シリンダ穴38の底部には、該シリンダ穴38とシリンダブロック35の底面とを連通させる外側ポートPoおよび内側ポートPiがそれぞれ形成されている。また、バルブプレート37には、軸心を中心にして一側にポートBをなす円弧状の長孔37Bが形成され、他側の外側にポートHをなす円弧状の長孔37H、その内側にポートTをなす円弧状の長孔37Tが周方向に並列に形成されている。そして、前記長孔37Bは外側ポートPoと内側ポートPiに、前記長孔37Hは外側ポートPoに、また前記長孔37Tは内側ポートPiにそれぞれ連通するようになっている。
【0036】
本実施形態においては、ポートHおよびポートTに対応するそれぞれのシリンダ穴38の径は、駆動対象の油圧シリンダのボトム室受圧面積Sbとヘッド室受圧面積Shとの比αに応じて設定されている。すなわち、前記(3)式のように「n=nH+nT」(本例では、全シリンダ数n=10、nH=nT=5である。)とし、ポートHに対応する各シリンダ穴38の受圧面積をそれぞれS1H、S2H、…SnHとし、ポートTに対応する各シリンダ穴38の受圧面積をそれぞれS1T、S2T、…SnTとすると、次の式を満たすように各シリンダ穴38の径が加工される。
α={(S1H+S2H+…+SnH)+(S1T+S2T+…+SnT)}/(S1H+S2H+…+SnH)=1+(S1T+S2T+…+SnT)/(S1H+S2H+…+SnH)
【0037】
なお、それぞれのシリンダ穴38の径は、ポートH、ポートT毎に同一としてもよいし、一部のみ異なる径としても構わない。図8では、5個のポートHのうち、2個のポートHのシリンダ穴38aの径を、他のポートHおよびポートTのシリンダ穴38bの径よりも小さい値に設定した例で示している。
【0038】
第2実施形態の構成によると、第1実施形態での効果に加えて、次の効果が得られる。
本実施形態では各シリンダ穴38の径の大きさを調整するので、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αに応じて、油圧ポンプのポートH,T間の吸入量または吐出量の比を精度良く設定できる。したがって、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる多種の油圧シリンダに容易に、精度良く対応できる。また、1ポンプでダブルポンプの機能を有するから小形化できるとともに、本発明を適用した斜軸ポンプによると高速化が可能となるため、コスト低減および車両搭載性の改善が図れる。さらに、各シリンダを容積効率最大で使用できるので、本油圧ポンプを効率良く使用できる。
【0039】
次に、図9により第3実施形態を説明する。図9は、第3実施形態に係るシリンダブロックの要部断面図である。
上記第2実施形態において、各シリンダ穴38の径を調整するのに穴径自体を目標の比αに応じて加工して調整していたが、本実施形態においては、シリンダ穴38内に、目標の比αに応じた所定の内径を有するスリーブ39を挿入することで調整するようにしている。目標の比αに応じた大まかな調整は前述の第1実施形態に述べたように、ポートHに対応するシリンダ数nHと、ポートTに対応するシリンダ数nTとの調整によって行い、細かな微調整を、内径を調整したスリーブ39を所定のシリンダ穴38に挿入して行う。
【0040】
シリンダ穴38の径として本油圧ポンプの適用範囲をカバーできるような最大径を予め有するシリンダブロックを共通部品とし、これを備えた油圧ポンプを在庫することが、在庫管理コスト、生産コストの点で好ましい。こうすることにより、スリーブ39の内径を油圧シリンダに適合させて調整してシリンダ穴38内に挿入するだけでよいので、汎用性が高まる。
【0041】
この構成によると、スリーブ39の内径を調整するだけでよいので、油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αに適合させた、ダブルポンプ同等機能の油圧ポンプを容易に、かつ精度良く構成できる。また、スリーブ39を交換するだけで、ボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる他の油圧シリンダに適用できるので、汎用性を向上できる。さらに、上記オーバーサイズのシリンダ穴径を有するシリンダブロックを装着した油圧ポンプを共通化部品として在庫することができるので、在庫管理コスト、生産コストを安くできる。なお、その他の効果は前述までの実施形態と同様であるから説明を省く。
【0042】
次に、第4実施形態を説明する。図10は、第4実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。適用機として、第2実施形態の図6に示したものと同様の斜軸ポンプを例に説明する。なお、図6〜図8に示した構成と略同一の機能を有する構成には同一符号を付して、説明を省く。
【0043】
図10において、バルブプレート37は2つのプレート37a,37bを有し、一方のプレート37aには、前記ポートBをなす円弧状の長孔37Bと、前記ポートTをなす円弧状の長孔37Tとが形成されており、他方のプレート37bには、前記ポートHをなす円弧状の長孔37Hが形成されている。一方のプレート37aは、長孔37Bを設けた側に、シリンダブロック35と略同じ外径を有する略半円形状の大径部を有し、長孔37Tを設けた側に、長孔37Tの外径と長孔37Hの外径との略中間の外径を有する略半円形状の小径部を有している。また、他方のプレート37bは、シリンダブロック35と略同じ外径を有する外周円部と、上記プレート37aの小径部の外径よりもやや大き目の内径を有する内周円部とを備えた、半円環状をなしている。そして、2つのプレート37a,37bは、互いに前記小径部と前記内周円部とを周方向に摺動自在に当接させ、かつシリンダブロック35の底面を常に覆って油漏れがないように周方向端部に一部重複部を設けてある。なお、この重複部における両プレート37a,37b間の厚み方向の隙間を塞ぐために、両プレート37a,37bのいずれか一方に側壁部(図示せず)が形成されている。また、他方のプレート37bには、一方のプレート37aに対して所定角度だけ回転させ、位置決め可能とする電動モータ等の回動手段(図示せず)が設けられている。
【0044】
本実施形態の作用を説明する。2つのプレート37a,37bを周方向に相対的にずらすと、長孔37H(ポートH)と長孔37T(ポートT)との相対位置が変わるので、ずらしたポートHの吸入または吐出のタイミングが変わる。これによって、ポートHに対応するシリンダの容積効率が変化する、すなわち等価的に吸入または吐出の容積が変わることになる。したがって、目標の比αを満たすように長孔37H(ポートH)と長孔37T(ポートT)との相対位置を調整することによって、シリンダ容積が微調整される。
【0045】
これにより、第2実施形態での効果以外に、以下の効果が得られる。バルブプレート37を構成する2つのプレート37a,37bのポートH、Tの相対角度を調整することにより、任意に容積効率を変えて油圧シリンダに適合する比αになるように微調整ができる。したがって、同一の油圧ポンプを多種の油圧シリンダに適用可能となり、汎用性を向上でき、油圧ポンプを共通化できるため、在庫管理コストおよび生産コストを安くすることができる。
【0046】
次に、第5実施形態を、図11、図12により説明する。図11は、第5実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図であり、図12は、図11のA−A断面図である。適用機として、第2実施形態の図6に示したものと同様の斜軸ポンプを例に説明する。なお、図6〜図8に示した構成と略同一の機能を有する構成には同一符号を付して、説明を省く。
【0047】
バルブプレート37cは、ポートHをなす長孔37Hの周方向開口角度β1がポートTをなす長孔37Tの周方向開口角度β2よりも所定角度だけ小さく形成されている。そして、前記長孔37Hと同一半径の円周上に、前記長孔37Tと連通する円弧状の長孔37Taが形成されている。また、シリンダ回転軸36を挟んで長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tと反端側には、ポートBをなす円弧状の長孔37Bが形成されている。バルブプレート37c以外の構成は、前記第1〜第3実施形態と同様であるからここでの説明を省く。
【0048】
本実施形態の構成による作用を説明する。シリンダブロック35が回転している際、シリンダ穴38が外側ポートPoを経由して長孔37Hと連通しているときには、該シリンダ穴38のピストン34はポートH用として機能し、長孔37Taと連通しているときには、該シリンダ穴38のピストン34はポートT用として機能する。このため、長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tが油圧ポンプの吐出行程側にある場合には、外側ポートPoを有するシリンダ穴38の中の油の大部分が長孔37Hを経由してポートHから吐出され、その残りの油が長孔37Taおよび長孔37Tを経由してポートTから吐出される。一方、内側ポートPiを有するシリンダ穴38の中の油は、長孔37Tを経由してポートTから吐出される。なお、吸入行程の場合には、上記の逆の油流入方向となる。したがって、長孔37Hを通過する油量がポートHのシリンダ容量となり、長孔37Taおよび長孔37Tを通過する油量がポートTのシリンダ容量となるので、長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tのうち少なくともいずれか一つの周方向開口角度βや開口面積を調整することにより、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが調整される。
【0049】
これにより、第2実施形態での効果の他に、次の効果が得られる。すなわち、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αの大まかな設定は外側ポートPoを有するポートH用のシリンダ数nHと内側ポートPiを有するポートT用のシリンダ数nTとの調整によって行われ、この調整では困難な微調整をバルブプレート37cの長孔37H、長孔37Taおよび長孔37Tのうち少なくともいずれか一つの周方向開口角度βや開口面積の調整によって行うことができる。したがって、前記油圧シリンダのボトム・ヘッド間の受圧面積比αが異なる多種の油圧シリンダに容易に、精度良く対応でき、また、前記同様にポンプの小形化、高速化が可能となるため、コスト低減および車両搭載性の改善が図れる。
【0050】
なお、上記第2実施形態〜第5実施形態では本発明が適用される油圧ポンプの例として斜軸ポンプを挙げて説明したが、これに限定されず、斜板式ポンプに適用してもよいことは言うまでもない。
【0051】
以上説明したように、本発明により次の効果を奏する。
油圧ポンプの3つのポートが、第1ポートの吐出量(吸入量)は第2ポートと第3ポートのそれぞれの吸入量(吐出量)の和とし、第1ポートの吐出量(吸入量)と第2ポートの吸入量(吐出量)の比は油圧シリンダのボトム室とヘッド室の受圧面積比である関係を有するように構成される。この油圧ポンプの第1ポートをボトム室に、第2ポートをヘッド室に、第3ポートをタンクにそれぞれ接続し、該油圧ポンプの回転数及び回転方向の制御により吐出量及び吐出方向を制御することにより、1個の油圧ポンプで閉回路の駆動システムを構成できる。従って、回路構成が簡単で、安いコストで構成できる。また、流量制御用の切換弁を無くしてエネルギ損失を低減できるとともに、油圧シリンダのボトム室又はヘッド室の圧油で油圧ポンプを介して電動機を回転させるので、回生エネルギを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダ駆動システムの基本回路である。
【図2】第1実施形態に係るピストンポンプの要部の斜視一部断面図である。
【図3】ピストンポンプの第1のシリンダ構成例である。
【図4】ピストンポンプの第2のシリンダ構成例である。
【図5】本発明を油圧ショベルに適用した実施形態の回路ブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る油圧ポンプの断面図である。
【図7】同油圧ポンプの要部の斜視一部断面図である。
【図8】同油圧ポンプのシリンダブロックの説明図である。
【図9】第3実施形態に係るシリンダブロックの要部断面図である。
【図10】第4実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。
【図11】第5実施形態に係る油圧ポンプのバルブプレートの平面図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】第1の従来技術に係るシリンダ駆動回路図の要部である。
【図14】第2の従来技術に係るシリンダ駆動回路図である。
【符号の説明】
1,1B,1A,1K,1R…油圧ポンプ、2,2B,2A,2K,2R…電動機、3,3B,3A,3K…油圧シリンダ、4,4B,4A,4K,4R…インバータ、5…タンク、6…エンジン、7…発電機、7a…整流器、8…2次電池、11…シリンダブロック、12…ピストン、13…バルブプレート、14…スワッシュプレート、15B,15H,15T…長孔、16…矢印、20…コントローラ、22a,22b…安全弁、23a,23b…チェック弁、24a,24b…開閉弁、25a,25b…管路、29…直流電圧ライン、30…斜軸ポンプ、32…駆動軸、33…ディスク、34…ピストン、35…シリンダブロック、36…シリンダ回転軸、37,37c…バルブプレート、37a,37b…プレート、37B,37H,37T…長孔、38,38a,38b…シリンダ穴、39…スリーブ。
α…ボトム室受圧面積とヘッド室受圧面積の比、B,H,T…ポート、Po…外側ポート、Pi…内側ポート。
Claims (3)
- シリンダ駆動システムにおいて、
油圧シリンダ(3)と、
該油圧シリンダ(3)のボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポート(B)と、油圧シリンダ(3)のヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポート(H)と、タンク(5)から油を排出する又は前記タンク(5)へ油を供給する第3のポート(T)との3つの吸入・吐出ポートを有し、第1のポート(B)の吸入量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポート(B)の吐出量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプ(1)と、
油圧ポンプ(1)を駆動する駆動源(2)と
を備えたことを特徴とするシリンダ駆動システム。 - 請求項1記載のシリンダ駆動システムにおいて、
前記油圧ポンプ(1)の吐出量、吸入量、及び吐出方向の制御は、前記駆動源(2)の回転数及び回転方向の制御により、又は、前記油圧ポンプ(1)を両傾転型として該傾転角の制御により行なう
ことを特徴とするシリンダ駆動システム。 - シリンダ駆動システムのエネルギ回生方法において、
油圧シリンダ(3)のボトム室へ油を供給する又は前記ボトム室から油を排出する第1のポート(B)と、油圧シリンダ(3)のヘッド室から油を排出する又は前記ヘッド室へ油を供給する第2のポート(H)と、タンク(5)から油を排出する又は前記タンク(5)へ油を供給する第3のポート(T)との3つの吸入・吐出ポートを有し、かつ第1のポート(B)の吸入量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吐出量の和とし、又は第1のポート(B)の吐出量は第2のポート(H)及び第3のポート(T)のそれぞれの吸入量の和とした油圧ポンプ(1)の回転数及び回転方向を、電動機(2)で制御し、
電動機(2)を介して油圧ポンプ(1)の回生制動時の回生エネルギを回収する
ことを特徴とするシリンダ駆動システムのエネルギ回生方法。
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