JP2004003492A - ガスタービン圧縮機、及び、ガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】抽気室16に向かう途中の抽気cfを、圧縮機後方ケースリング15の外周面15bに沿って流してから、抽気室16に導入する構成/方法を採用した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転時における動翼と圧縮機後方ケースリングとの間の最適なクリアランスを確保して圧縮機の効率の向上を可能とする、ガスタービン圧縮機と、ガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンプラントにおいては、ガスタービン圧縮機からの圧縮空気を燃焼器に導き、燃料とともに燃焼させて発生した高温ガスをガスタービンに導いて該ガスタービンを駆動する。そして、この時、前記圧縮空気の一部を抽気してガスタービン側の静翼及び動翼に導き、これら動翼及び静翼の冷却に利用する構成が一般的である。
【0003】
図3は、この種の従来のガスタービンプラントにおける、ガスタービン圧縮機及びガスタービン間の接続部分の一般的な構造を示す断面図である。同図に示すように、ガスタービン圧縮機1には、ケース2側のケースリング2a内に固定された複数枚の静翼3と、ロータ(図示せず)側に同軸固定された各ディスク4の周囲に取り付けられた複数枚の動翼5とが備えられており、これら静翼3及び動翼5は、前記ロータの軸方向に交互に配置され、前記ロータの回転によって圧縮空気を矢印f1方向に圧送する構成となっている。
このガスタービン圧縮機1から圧送された圧縮空気は、燃焼器6へと導かれ、該燃焼器6内で燃料と混合して燃焼することで燃焼ガスとなる。この燃焼ガスhgは、膨張しながらガスタービン7側の静翼8を通過し動翼9を回転させることにより、ガスタービン7側のロータ(図示せず)を回転駆動するものとなっている。
【0004】
一方、ガスタービン圧縮機1の内部を流れる圧縮空気のうちの一部(例えば主流の4〜10%)は、抽気f2となり、ケース2の内部に形成された抽気室2b内に一端取り込まれる。さらに、この抽気f2は、抽気室2bに連通するように設けられたフランジ2cを介してケース2外に取り出された後、ガスタービン7側の静翼8及び動翼9へと導かれてこれらを冷却する。
抽気室2bは、各ケースリング2aと、これらケースリング2aを周囲より覆うケース本体2dとの間に形成される環状空間であり、ガスタービン圧縮機1のロータの軸線方向においては、各ケースリング2a間の互いに向かい合う端面間部分に重なるように配置されている。すなわち、各ケースリング2a間の互いに対向する端面間の間隙が、主流である圧縮空気f1から抽気室2bに抽気するための抽気口2eとなっており、この抽気口2eを通って、前記ロータの半径方向に向かって抽気室2bに抽気f2が導入されるようになっている。そして、この抽気f2は、冷却のために、すぐさまフランジ2cより外部に導出されるものとなっている。
なお、この種の燃料ガス圧縮機の抽気構造の例としては、下記特許文献1,2にも開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−125199号公報
【特許文献2】
特許第2941748号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このガスタービン圧縮機1においては、起動時における各動翼5及びケースリング2a間の接触を避けるために、両者の間に所定寸法のクリアランスが保たれている。このクリアランスは、運転時に、ディスク4及び動翼5と、ケース2との間の熱膨張差により変化するが、あまり大きくなってしまうと、ガスタービン圧縮機1の圧縮機の効率を著しく低下させてしまう問題を引き起こすこととなる。このような観点から、前記熱膨張差を考慮して最適なクリアランス寸法を設計時に採用する必要がある。
【0007】
しかしながら、実際には、ケースリング2aの熱変形の仕方が複雑であるため、精度良く実状に合わせた設計が困難となっている。すなわち、各ケースリング2aのうち、ガスタービン圧縮機1の圧縮機の効率を特に大きく左右する圧縮機後方段位置(最下流位置)の圧縮機後方ケースリング2a1では、その内部を流れる主流(圧縮空気f1)の温度が、圧縮作用によるエンタルピー増加によって、例えば370℃から460℃まで著しく昇温する。
【0008】
このような大きな温度差により、圧縮機後方ケースリング2aは、熱膨張する際の全体形状が、圧縮空気f1の流れ方向に向かって末広がりに拡径するように熱変形する。すると、圧縮機後方ケースリング2aの内周面と各動翼5との間に形成されるクリアランスも、上流側から下流側に向かって徐々に広がるようになり、一様寸法とはならない。
したがって、運転時におけるクリアランス寸法が、圧縮機後方ケースリング2a1の軸線方向で一様にならないので、最適なクリアランス寸法を確保するための設計が困難となり、ひいてはガスタービン圧縮機1の更なる圧縮機の効率向上が困難とされていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、運転時における、圧縮機後方ケースリング内周面と動翼先端との間に形成されるクリアランス寸法を最適にして圧縮機の効率の更なる向上を可能とする、ガスタービン圧縮機と、そのクリアランス制御方法との提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載のガスタービン圧縮機は、ロータディスクの周囲に設けられて該ロータディスクと共に回転する複数枚の動翼と、これら動翼の周囲を囲って内部に圧縮流路を形成する圧縮機後方ケースリングと、該圧縮機後方ケースリングの周囲に設けられて前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気として導入する抽気室とを備えたガスタービン圧縮機において、前記圧縮機後方ケースリングと前記抽気室との間に、該抽気室に向かう途中の抽気を、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流す冷却流路が形成されていることを特徴とする。
上記請求項1に記載のガスタービン圧縮機によれば、圧縮機後方ケースリング内を流れる主流は、圧縮作用を受けるため、下流側に向かうにしたがって昇温し、内部より圧縮機後方ケースリングを加熱するが、冷却流路を流れる抽気が圧縮機後方ケースリングを周囲より冷却することにより、その軸線方向の温度勾配を小さくする。
【0011】
請求項2に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1に記載のガスタービン圧縮機において、前記冷却流路が、前記圧縮機後方ケースリングの軸線を含む断面で見た場合の前記軸線方向の範囲が、少なくとも、前記外周面の上流端位置から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含むことを特徴とする。
上記請求項2に記載のガスタービン圧縮機によれば、圧縮機後方ケースリングの軸線方向において、特にクリアランス制御に必要とされる範囲が確実に冷却されるようになる。
【0012】
請求項3に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1または請求項2に記載のガスタービン圧縮機において、前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気する抽気流入口を被うように環状又は分割型の環状スリーブを配し、前記抽気が、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流れるようにしたことを特徴とする。
上記請求項3に記載のガスタービン圧縮機によれば、圧縮機後方ケースリングを、その周囲より確実に冷却することができる。
【0013】
請求項4に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、前記冷却流路を前記主流の上流側より見た場合の形状が、凹凸形状とされていることを特徴とする。
上記請求項4に記載のガスタービン圧縮機によれば、冷却流路の伝熱面積が、単純な曲面形状とする場合に比較して大きくなるので、より高い冷却効果を得ることができるようになる。
【0014】
請求項5に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、前記圧縮機後方ケースリングが、低線膨張材を素材とすることを特徴とする。
上記請求項5に記載のガスタービン圧縮機によれば、同じメタル温度でも熱伸びを小さくすることができるので、圧縮機後方ケースリングの全体的な熱膨張量を小さくすることができるようになる。これにより、運転時における、圧縮機後方ケースリングの内周面と各動翼先端との間に形成されるクリアランスを、小さく抑えることができるようになる。
【0015】
請求項6に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスタービンにおいて、前記圧縮機後方ケースリングの内周面に、熱遮蔽コーティングが施されていることを特徴とする。
上記請求項6に記載のガスタービン圧縮機によれば、同じ境界条件(すなわち、同一の主流温度条件)であっても、主流からの入熱量が熱遮蔽コーティングによって低減されるようになる。これにより、圧縮機後方ケースリングのメタル温度を下げることができ、全体的な熱膨張量を小さくすることができるようになる。したがって、運転時における、圧縮機後方ケースリングの内周面と各動翼先端との間に形成されるクリアランスを、小さく抑えることができるようになる。
【0016】
請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法は、ロータディスクの周囲に設けられて該ロータディスクと共に回転する複数枚の動翼と、これら動翼の周囲を囲って内部に圧縮流路を形成する圧縮機後方ケースリングと、該圧縮機後方ケースリングの周囲に設けられて前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気として導入する抽気室とを備えたガスタービン圧縮機の、前記各動翼の先端と前記後方ケースリングの内周面との間に形成されるクリアランスを制御する方法であり、前記抽気室に向かう途中の抽気を、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流してから、前記抽気室に導入することを特徴とする。
上記請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法によれば、圧縮機後方ケースリング内を流れる主流は、圧縮作用を受けるため、下流側に向かうにしたがって昇温し、内部より圧縮機後方ケースリングを加熱するが、外周面を流れる抽気が圧縮機後方ケースリングを周囲より冷却することにより、その軸線方向の温度勾配を小さくする。
【0017】
請求項8に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法は、請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法において、前記外周面に対する前記抽気の流れ範囲は、前記圧縮機後方ケースリングの軸線を含む断面で見た場合に、少なくとも、該外周面の上流縁から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含むことを特徴とする。
上記請求項8に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法によれば、圧縮機後方ケースリングの軸線方向において、特にクリアランス制御に必要とされる範囲が確実に冷却されるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のガスタービン圧縮機、及び、ガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法の一実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。
本実施形態は、従来の技術において説明した従来のガスタービン圧縮機において、図3のA部に相当する部分が特に特徴的となっているので、この特徴点を中心に説明し、その他については従来と同様であるとして説明を省略する。
なお、図1は、本実施形態のガスタービン圧縮機を示す図であって、図3のA部に相当する部分拡大断面図である。また、図2は、同ガスタービン圧縮機の要部を示す図であって、図1のB−B断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のガスタービン11には、図示されないロータに同軸かつ互いに重ね合うように固定された複数枚のロータディスク12と、これらロータディスク12それぞれの周囲に固定され、これらロータディスク12と共に回転する複数枚の動翼13と、これら動翼13の周囲を囲って内部に圧縮流路14を形成する圧縮機後方ケースリング15及び他のケースリング15aと、該圧縮機後方ケースリング15及び他のケースリング15aの周囲に設けられて圧縮流路14内を流れる主流mf(圧縮ガス)の一部を抽気cfとして導入する抽気室16と、圧縮機後方ケースリング15内に固定された複数枚の静翼17と、圧縮機後方ケースリング15及び他のケースリング15aを内部に保持するケース本体18とが備えられている。
【0020】
なお、以下の説明においては、主流mfの流れ方向上流側(図1の紙面左側)を「上流側」とし、主流mfの流れ方向下流側(図1の紙面右側)を「下流側」として説明を行うものとする。また、前記ロータの軸線方向(図1の紙面左右方向)を「軸線方向」として説明を行うものとする。
【0021】
各ロータディスク12の外径寸法は、上流側から下流側に向かって徐々に大きくなっており、また、圧縮機後方ケースリング15及び他のケースリング15aの内径寸法は、軸線方向で一定となっている。これにより、両者の間に形成される圧縮流路14の形状は、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなる形状となっている。
各静翼17は、圧縮機後方ケースリング15及び他のケースリング15aそれぞれの内周面に対して、前記ロータの軸線を中心とする周方向に並んで固定されており、なおかつ、軸線方向で見た場合に、前記各動翼13と交互に配置されるようになっている。
【0022】
そして、前記ロータが回転することにより、各ロータディスク12及び各動翼13も回転するため、圧縮流路14内の空気を下流側に向かって圧送する流れ(主流mf)を生じせしめるものとなっている。
このガスタービン圧縮機11から圧送された圧縮空気は、図示されない燃焼器へと導かれ、該燃焼器内で燃料と混合して燃焼することで燃焼ガスとなる。この燃焼ガスは、膨張しながらガスタービン側の静翼及び動翼(図示せず)を回転させることにより、ガスタービン側のロータを回転駆動するものとなっている。
【0023】
抽気室16は、ケース本体18内部に形成された環状の凹所空間であり、主流mfの一部(例えば主流の4〜10%)を抽気cfとして一端導入されるようになっている。すなわち、圧縮機後方ケースリング15と、その上流側に隣接する他のケースリング15aとの間の、対向する端面間に形成される環状の隙間が、抽気流路19となっており、この抽気流路19を介して、抽気cfが抽気室16内に取り込まれるようになっている。
抽気室16に一端取り込まれた抽気cfは、抽気室16に連通するようにケース本体18に設けられたフランジ18aを介して外部に取り出された後、前記ガスタービン側の静翼及び動翼へと導かれてこれらを冷却する。
【0024】
そして、本実施形態のガスタービン圧縮機11では、圧縮機後方ケースリング15と抽気室16との間に、該抽気室16に向かう途中の抽気cfを、圧縮機後方ケースリング15の外周面15bに沿って流す冷却流路15b1を設けた点が、特に特徴的となっている。
この冷却流路15b1は、前記外周面15bと、前記他のケースリング15a側に固定された流れガイド部材20の内周面20aとの間に形成される流路であり、圧縮機後方ケースリング15の軸線を含む断面で見た場合の軸線方向の範囲R1が、外周面15bの上流端位置から、最下流位置の動翼13aに対応した位置にかけての範囲R2を含むようになっている。これにより、抽気流路19を入口として取り込んだ抽気cfが、外周面15bの上流側から下流側に向かって奥深くまで導くことが可能となっている。
【0025】
図2に示すように、冷却流15b1は、主流mfの上流側より見た場合の形状が、流れガイド20によって被われる、後方ケースリング15の外周面15bが、前記軸線を中心とした周方向に凹凸形状(scalloped shape)となっている。このような形状を採用することにより、冷却流路15b1の伝熱面積が、単純な曲面形状とする場合に比較して大きくなるので、より高い冷却効果を得ることができるようになる。
同様に、この冷却流路15b1に対向する、ケース本体18の内周面18bの一部も、凹凸形状(scalloped shape)となっている。この凹凸形状により、冷却流路15b1の奥までたどり着いてさらに抽気室16に向かって折り返す際の抽気cfを、乱れのない流れに整流することが可能となっている。
【0026】
圧縮機後方ケースリング15は、例えば、SUS410などの低線膨張材を素材とする環状部品であり、その半径方向に拡径可能にケース本体18内部に取り付けられている。さらに、この圧縮機後方ケースリング15の内周面15cには、熱遮蔽コーティング15c1が施されている。このような材質の選定ならびにコーティングの施工により、圧縮機後方ケースリング15の熱変形量が最小とされている。
【0027】
すなわち、低線膨張材の採用により、同じメタル温度でも熱伸びを小さくすることができるので、圧縮機後方ケースリング15の全体的な熱膨張量を小さくすることができるようになる。さらに、熱遮蔽コーティング15c1を施工したことにより、同じ境界条件(すなわち、同一の主流温度条件)であっても、主流mfからの入熱量が熱遮蔽コーティング15c1によって低減されるようになる。これにより、圧縮機後方ケースリング15のメタル温度を下げることができ、全体的な熱膨張量を小さくすることができるようになる。
したがって、運転時における、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cと各動翼13の先端との間に形成されるクリアランスを、小さく抑えることができるようになる。
なお、熱遮蔽コーティング15c1を施工する個所としては、内周面15cの全面に施すことも考えられるが、この内周面15cの平滑度を保つことを考慮して、図1に示すような、特に主流温度が高くなる部分に限定して施すことが好ましい。
【0028】
前記ガイド部材20は、例えばSUSなどの薄いシートで良く、前記他のケースリング15aに対して、ボルト20bで固定されていて、前記範囲R1から前記範囲R2を被うように形成された環状スリーブ又は分割型の環状スリーブで良く、その被い面は滑らかで球面をなしている。そして、このガイド部材20により、抽気cfを、直接的に抽気室16に向かわせず、冷却流路15b1に向かわせるようになっている。なお、このガイド部材20としては、前記他のケースリング15aと別部品としても良いし、もしくは、一体部品としても良い。さらには、抽気室16内への流入口を傾斜させ、ガイド部材20の被い面に流れの一部を当接させるようにしても良い。
【0029】
以上説明の構成を有するガスタービン圧縮機11によれば、抽気室16に向かう途中の抽気cfを、圧縮機後方ケースリング15の外周面15bに沿って流してから、抽気室16に導入することで、運転時における各動翼13の先端と内周面15cとの間のクリアランス寸法を最小に制御できるようになる。すなわち、圧縮機後方ケースリング15内を流れる主流mfは、圧縮作用を受けるため、下流側に向かうにしたがって昇温し、内部より圧縮機後方ケースリング15を加熱するが、冷却流路15b1を流れる抽気cfが圧縮機後方ケースリング15を周囲より冷却するため、その軸線方向の温度勾配が小さくなるように制御される。
【0030】
以上説明の本実施形態のガスタービン圧縮機11、及び、そのクリアランス制御方法の効果を以下にまとめる。
すなわち、本実施形態では、圧縮機後方ケースリング15と抽気室16との間に、該抽気室16に向かう途中の抽気cfを、圧縮機後方ケースリング15の外周面15bに沿って流す冷却流路15b1が形成されている構成/方法を採用した。これによれば、冷却流路15b1を流れる抽気cfが圧縮機後方ケースリング15を周囲より冷却して、その軸線方向の温度勾配を小さくすることができる。これにより、熱膨張時の圧縮機後方ケースリング15は、その軸線方向の各位置における径方向の伸びが略均等になるので、熱変形の仕方が把握しやすくなり、最適なクリアランスを確保するための設計が容易に行えるようになる。したがって、運転時における、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cと各動翼13の先端との間に形成されるクリアランス寸法を、最適にすることができるようになり、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、冷却流路15b1の、圧縮機後方ケースリング15の軸線方向の形成範囲が、外周面15bの上流端位置から、最下流位置の動翼13aに対応した位置にかけての範囲を含む構成/方法を採用した。これによれば、運転時における、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cと各動翼13の先端との間に形成されるクリアランス寸法を、より確実に最適寸法に確保することが可能となる。したがって、より確実に圧縮機の効率の向上が可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、冷却流路15b1の形状を、凹凸形状とする構成を採用した。この構成によれば、冷却流路15b1の伝熱面積が、単純な曲面形状とする場合に比較して大きくなるので、より高い冷却効果を得ることが可能となる。
また、本実施形態では、圧縮機後方ケースリング15が低線膨張材を素材とする構成を採用した。この構成によれば、運転時における、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cと各動翼13の先端との間に形成されるクリアランスを小さく抑えることができるので、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0033】
また、本実施形態では、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cに、熱遮蔽コーティング15c1を施す構成を採用した。この構成によれば、主流mfからの入熱量が熱遮蔽コーティング15c1によって低減されるので、運転時における、圧縮機後方ケースリング15の内周面15cと各動翼13の先端との間に形成されるクリアランスを小さく抑えることができるようになり、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のガスタービン圧縮機は、圧縮機後方ケースリングと抽気室との間に、該抽気室に向かう途中の抽気を、圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流す冷却流路が形成されている構成を採用した。この構成によれば、冷却流路を流れる抽気が圧縮機後方ケースリングを周囲より冷却して、その軸線方向の温度勾配を小さくすることができる。これにより、熱膨張時の圧縮機後方ケースリングは、その軸線方向の各位置における径方向の伸びが略均等になるので、熱変形の仕方が把握しやすくなり、最適なクリアランスを確保するための設計が容易に行えるようになる。したがって、運転時における、圧縮機後方ケースリング内周面と動翼先端との間に形成されるクリアランス寸法を最適にすることができるようになり、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0035】
また、請求項2に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1に記載のガスタービン圧縮機において、前記冷却流路の、圧縮機後方ケースリングの軸線方向の範囲が、少なくとも、外周面の上流端位置から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含む構成を採用した。この構成によれば、運転時における、圧縮機後方ケースリング内周面と動翼先端との間に形成されるクリアランス寸法を、より確実に最適寸法に確保することが可能となる。したがって、より確実に圧縮機の効率の向上が可能となる。
【0036】
また、請求項3に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1または請求項2に記載のガスタービン圧縮機において、抽気流入口を被う環状スリーブを配し、抽気が圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流れるように構成した。この構成によれば、圧縮機後方ケースリングを、その周囲より確実に冷却することが可能となる。
【0037】
また、請求項4に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、前記抽気室内の冷却流路の形状が、凹凸形状とされている構成を採用した。この構成によれば、冷却流路の伝熱面積が、単純な曲面形状とする場合に比較して大きくなるので、より高い冷却効果を得ることが可能となる。
【0038】
また、請求項5に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、圧縮機後方ケースリングが低線膨張材を素材とする構成を採用した。この構成によれば、運転時における、圧縮機後方ケースリングの内周面と各動翼先端との間に形成されるクリアランスを小さく抑えることができるので、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0039】
また、請求項6に記載のガスタービン圧縮機は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスタービンにおいて、圧縮機後方ケースリングの内周面に、熱遮蔽コーティングを施す構成を採用した。この構成によれば、主流からの入熱量が熱遮蔽コーティングによって低減されるので、運転時における、圧縮機後方ケースリングの内周面と各動翼先端との間に形成されるクリアランスを小さく抑えることができるようになり、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0040】
本発明の請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法は、抽気室に向かう途中の抽気を、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流してから、抽気室に導入する方法を採用した。この方法によれば、圧縮機後方ケースリングの外周面を流れる抽気が圧縮機後方ケースリングを周囲より冷却して、その軸線方向の温度勾配を小さくすることができる。これにより、熱膨張時の圧縮機後方ケースリングは、その軸線方向の各位置における径方向の伸びが略均等になるので、熱変形の仕方が把握しやすくなり、最適なクリアランスを確保するための設計が容易に行えるようになる。したがって、運転時における、圧縮機後方ケースリング内周面と動翼先端との間に形成されるクリアランス寸法を最適にすることができるようになり、圧縮機の効率の更なる向上が可能となる。
【0041】
また、請求項8に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法は、請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法において、前記外周面に対する抽気の流れ範囲が、少なくとも、外周面の上流端位置から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含める方法を採用した。この方法によれば、運転時における、圧縮機後方ケースリング内周面と動翼先端との間に形成されるクリアランス寸法を、より確実に最適寸法に確保することが可能となる。したがって、より確実に圧縮機の効率の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスタービン圧縮機の一実施形態を示す図であって、図3のA部に相当する部分拡大断面図である。
【図2】同ガスタービン圧縮機の要部を示す図であって、図1のB−B断面図である。
【図3】従来のガスタービン圧縮機の要部を示す図であって、ロータの軸線を含む断面で見た場合の部分断面図である。
【符号の説明】
13・・・動翼
14・・・圧縮流路
15・・・圧縮機後方ケースリング
mf・・・主流
cf・・・抽気
16・・・抽気室
11・・・ガスタービン圧縮機
15b・・・外周面
15b1・・・冷却流路
15c1・・・熱遮蔽コーティング
Claims (8)
- ロータディスクの周囲に設けられて該ロータディスクと共に回転する複数枚の動翼と、これら動翼の周囲を囲って内部に圧縮流路を形成する圧縮機後方ケースリングと、該圧縮機後方ケースリングの周囲に設けられて前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気として導入する抽気室とを備えたガスタービン圧縮機において、
前記圧縮機後方ケースリングと前記抽気室との間には、該抽気室に向かう途中の抽気を、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流す冷却流路が形成されていることを特徴とするガスタービン圧縮機。 - 請求項1に記載のガスタービン圧縮機において、
前記冷却流路は、前記圧縮機後方ケースリングの軸線を含む断面で見た場合の前記軸線方向の範囲が、少なくとも、前記外周面の上流端位置から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含むことを特徴とするガスタービン圧縮機。 - 請求項1または請求項2に記載のガスタービン圧縮機において、
前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気する抽気流入口を被うように環状又は分割型の環状スリーブを配し、
前記抽気が、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流れるようにしたことを特徴とするガスタービン圧縮機。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、
前記冷却流路を前記主流の上流側より見た場合の形状が、凹凸形状とされていることを特徴とするガスタービン圧縮機。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスタービン圧縮機において、
前記圧縮機後方ケースリングは、低線膨張材を素材とすることを特徴とするガスタービン圧縮機。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスタービンにおいて、
前記圧縮機後方ケースリングの内周面には、熱遮蔽コーティングが施されていることを特徴とするガスタービン圧縮機。 - ロータディスクの周囲に設けられて該ロータディスクと共に回転する複数枚の動翼と、これら動翼の周囲を囲って内部に圧縮流路を形成する圧縮機後方ケースリングと、該圧縮機後方ケースリングの周囲に設けられて前記圧縮流路内を流れる主流の一部を抽気として導入する抽気室とを備えたガスタービン圧縮機の、前記各動翼の先端と前記後方ケースリングの内周面との間に形成されるクリアランスを制御する方法であり、
前記抽気室に向かう途中の抽気を、前記圧縮機後方ケースリングの外周面に沿って流してから、前記抽気室に導入することを特徴とするガスタービンのクリアランス制御方法。 - 請求項7に記載のガスタービン圧縮機のクリアランス制御方法において、
前記外周面に対する前記抽気の流れ範囲は、前記圧縮機後方ケースリングの軸線を含む断面で見た場合に、少なくとも、該外周面の上流縁から、最下流位置の動翼に対応した位置にかけての範囲を含むことを特徴とするガスタービンのクリアランス制御方法。
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