JP2004003065A - 複合繊維不織布及びその複合不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】低融点成分と高融点成分の複合繊維をメルトブロー紡糸し、隣接する複数の複合繊維同士がコンベアベルト上に集積されるまでの間に接触し相互に熱接着することによって繊維塊を形成する。繊維塊は不織布上にランダムに多数の凸部を作り繊維塊周辺の繊維密度は低く、繊維塊のない部分は繊維密度は高くなる。低融点成分はポリブテン−1、高融点成分はポリプロピレンが好ましく用いられる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にステープル複合繊維を製造する溶融粘度をもつ熱可塑性樹脂を用いて、繊維の腰など繊維物性がステープル複合繊維と同等で、且つより微細なまたはより太い複合繊維を製造し、ステープル複合繊維を用いて不織布化するに際して、繊度の制限を生じるローラーカード等を使用せず、少なくとも直接開繊した繊維ウエブなどの繊維集合体または溶融接着して一体化した不織布とする、複合繊維が作れるメルトブロー法により繊維化と不織布化を行った複合繊維不織布とこれらを応用した複合不織布に関するものである。本発明は、特に従来からステープル繊維を作る上で、紡糸時に紡出繊維間で溶融接着することが問題であった、低融点や粘着性や表面硬度が軟質の樹脂を用いた複合繊維を自由に直接不織布化でき、繊維が細いため不織布化するに技術を要した細繊度繊維を含んだ不織布、そして、堅くて脆い樹脂や曳糸性が劣って単独では繊維化できない樹脂を用いた複合繊維の不織布を容易に作ることができ、できたこれらの複合繊維不織布とこれらを応用した複合不織布に関するものである。さらには、界面活性剤などの繊維処理剤を嫌うエレクトレット不織布などの用途向けの繊維処理剤剤レスの接着不織布及びエレクトレット不織布であって、ビル空調フイルター、吸塵カーテンやマスク素材等のエアフィルター用素材として有用であり、これらフィルターとして不織布を折り畳み成型加工しやすい不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二つの異なる成分からなる複合繊維で構成するメルトブローン不織布については特開平5−179511、特開平5−214655、特開平5−263307、特開2001−98453等の各公知文献において開示されている。これらはいずれも融点の異なる二つの熱可塑性樹脂をメルトブロー法により不織布を得る技術に関するものである。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明者は、特開2001−98453号でエレクトレット不織布を提案したが、厚みが薄くてロータリープリーツ折り機でプリーツ折りできない問題と、期待に反して不織布の圧力損失が高いという問題に突き当たった。現状のメルトブロー不織布は、その構成繊維が単一成分でなるため、ほとんどの該不織布が自己融着接着していないもので、リントフリー性に問題があり、且つ嵩が低くてペーパーライクで薄い不織布でしかなかった。前記したように、過半をメルトブロー法によって作った繊維で構成した本発明の不織布は、嵩と堅さが要求されるプリーツフイルターへの適応を主として考え出されたものであり、少なくとも嵩がある過半をメルトブロー法によって作った繊維で構成した不織布を提供することを目的の一つとしている。全てをポリオレフィン樹脂としたエレクトレット不織布では、その絶縁抵抗が大きくて、厚みを大きくするために不織布の目付を上げると、目付が90g/m2を超えると電界の貫通が急に不良となり、エレクトレット付与効果が急激に低下し、高捕集効率のエレクトレットフィルターを作ることが出来ないことも判明し、不織布の嵩高化と低圧損化が急務となった。また含浸ポリエステル繊維不織布を基布に貼り付けたエレクトレット不織布では、その目付が120g/m2でもエレクトレット化は容易であり、特に全てをポリオレフィン樹脂としたエレクトレット不織布で問題が深刻であった。このような問題に鑑み、市販のメルトブロー不織布を調査したが、メルトブローの噴出気流にそって各構成繊維がかなり整然と揃って集積されていることが分かった。すなわち、不織布を構成する繊維を細くすればするほど薄い不織布となり、圧力損失(圧損)の高い不織布となるのは自明で、この方法では不織布の嵩高さと低圧損化が達成できないのである。また上記の従来技術ではメルトブローン不織布はノズルから熱風によりコンベアベルト上になるべく均一に積層されるように製造されるので、得られる不織布は平滑であり、ペーパーライクなものになりがちであった。このような不織布はプリーツ折り機のギアロールにかかりにくく作業性が悪く、また不織布の目付に対する嵩が少なくフィルターとして補集効率を上げようとすると圧損が大きくなる欠点があった。またポリブテン−1樹脂はポリプロピレン樹脂より硬いため、本発明のポリプロピレン/ポリブテン−1複合繊維のメルトブロー不織布は、ポリプロピレン単独のメルトブロー不織布よりはるかに硬くて腰のある不織布であるが、プリーツ折りフイルターとして用いるに、もっと硬くて腰のある不織布にする問題があった。また、全てがポリオレフィン樹脂でなるエレクトレット不織布を作る場合、基布としてポリプロピレン製のスパンボンド不織布を用い、本発明のポリプロピレン/ポリブテン−1複合繊維を該スパンボンド不織布に吹き付けて熱接着させる不織布では、長期運転すると、一部が熱接着し、他は接着せず一体化していない不織布ではなく、全てが熱接着している不織布では、部分的に長手方向に連続した帯状に基布が溶融またはフィルム化する現象が発生し、当該部分の圧損が高くなり、幅方向の通気性や塵埃捕集効率などの品質むらが発生し問題であった。また、基布を含浸PET不織布とする既発明の不織布では、PET不織布との接着力が弱く、剥離しやすい問題があった。本発明の不織布はその構成層の大部分をメルトブロー手法により製造した複合繊維で構成した不織布であって、嵩高性であり、フィルターとして使用中に繊維の脱落が少なく、長期間の使用でも圧損が小さく、また十分なエレクトレット化が可能であり、上記のような問題点を解決することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
従来のメルトブロー法は、溶融樹脂をノズルから簾状に噴出させ繊維としてコンベア上に集積してから繊維同士を熱接着させてメルトブローン不織布とする方法を基本としていたが、本発明者らは溶融樹脂の噴出からコンベアへ落下するまでの間に、隣り合う複数本の繊維同士を部分的に接触させて、繊維が凝集し絡み合い熱接着した塊を積極的に発生させこれを部分的、局所的に偏在させることを実現して新規なメルトブローン不織布を得て上記課題を解決することができた。このようにして得られたメルトブローン不織布は繊維塊が不織布中に多数散在しており、繊維塊の部分はその分だけ不織布の厚みが大きくなっており、繊維塊の周辺は集積される繊維間の空隙を大きく作る構造になる。さらにその上から繊維を集積することで厚み方向に立体的な集積条件を作って密度を下げる繊維集積を積極的に行い、結果として繊維間間隙を広げて流体の通過性を向上させることができたのである。すなわち、圧損を下げる効果を生じさせると共に、嵩高化も達成できたのである。
【0005】
すなわち本発明は、融点が異なる2以上の熱可塑性樹脂成分からなり、低融点成分が繊維表面の大半を占めている複合繊維を構成繊維とするメルトブロー法により製造された不織布であって、構成繊維の複数本が部分的に凝集し融着した繊維塊が不織布中に多数存在して不織布表面に凸部を形成し、該繊維塊の周辺は繊維塊が存在していない部分より構成繊維の間隙が広がり繊維密度が低下していることを特徴とする、嵩高さ(厚さμm/目付g/m2)が8以上である複合繊維不織布である。
【0006】
上記複合繊維は平均繊維径(d:μm)が0.3<d<200、構成する複数の各熱可塑性樹脂成分が、その融点(Tm:℃)を60≦Tm<270、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、Tm≦200のとき230℃、200<Tmのとき290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である熱可塑性合成樹脂であることが好ましい。
【0007】
上記複合繊維の熱可塑性樹脂成分は、低融点成分が密度(D:g/cm3)を0.905≦D<0.930、融点(Tms:℃)を115<Tms<130とするポブテン−1であり、もう一つがポリプロピレンであることが好ましい。
【0008】
さらに本発明は上記ポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維不織布の少なくとも片面に繊維径が15μm以上の繊維からなる表面不織布層が配され、該複合繊維不織布を構成する複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着で一体化している複合不織布である。
【0009】
上記複合不織布の好ましい態様のひとつは目付が30〜400g/m2である複合不織布である。
【0010】
上記表面不織布層は、繊維がプロピレンを主成分とするホモポリマー、プロピレンを主体とする共重合体のうち1以上の樹脂からなるスパンボンド不織布であることが好ましい。
【0011】
上記表面不織布層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる繊維が樹脂含浸され、該樹脂で接着一体化された不織布であり、少なくともその1表面にポリオレフィン樹脂でなる繊維状の固着物が散在していることが好ましく、該表面に本発明の複合繊維不織布が配され、融着一体化して複合不織布とすることが好ましい。この繊維状の固着物としては例えばポリプロピレンスパンボンド不織布等からなる樹脂含浸不織布が好ましい。該樹脂としては例えばアクリル樹脂等が適用される。こうした構成により本発明の複合不織布は該樹脂による接着性が付与され不織布相互の剥離強力に優れた複合不織布と成り得る。
【0012】
さらに本発明は、上記ポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維は、平均繊維径(d:μm)が10<d<200である上記複合不織布の上にさらに平均繊維径(d:μm)が0.3<d<20の複合繊維を構成繊維とする上記複合繊維不織布が配され、各不織布層間は複合繊維の低融点成分により熱接着して一体化している複合不織布である。
【0013】
上記複合不織布の好ましい態様のひとつは目付が60〜400g/m2である複合不織布である。
【0014】
本発明の好ましい態様のひとつは、上記複合不織布がエレクトレット加工され、少なくともポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維がエレクトレット化されている複合不織布である。
【0015】
また本発明の好ましい態様のひとつは、表面不織布層は界面活性剤などの親水性化学物質が付着されていないポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維で構成されており、この表面不織布層が両面に配されている、上記ポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維不織布であって、該複合繊維不織布を構成する複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着で一体化している複合不織布であってエレクトレット化されているものである。
【0016】
また本発明の好ましい態様のひとつは、上記ポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維不織布の少なくとも片面に繊維径が15μm以上の繊維からなる表面不織布層が配され、該複合繊維不織布を構成する複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着で一体化している複合不織布の複合繊維不織布面側に繊維径が5μm以上のポリプロピレン繊維とレーヨン繊維とからなる親水性繊維層が積層され複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着により一体化しておりエレクトレット化されている複合不織布である。
【0017】
また本発明の好ましい態様のひとつは、上記ポリブテン−1とポリプロピレンからなる複合繊維不織布の少なくとも片面に繊維径が15μm以上の繊維からなる表面不織布層が配され、該複合繊維不織布を構成する複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着で一体化している複合不織布の少なくとも片面にレーヨン繊維層と活性炭素繊維層とポリプロピレンスパンボンド不織布層の3層からなる積層不織布が複合繊維の低融点の成分による熱接着で一体化しておりエレクトレット化されている複合不織布である。
【0018】
また本発明の好ましい態様のひとつは、メルトブローン不織布以外の不織布層の繊維は難燃化している上記複合不織布である。
【0019】
【発明の実施の態様】
本発明の不織布を構成する複合繊維は融点が異なる2以上の熱可塑性樹脂成分からなり、好ましくは図1に示すような2成分が鞘芯型、猫目型あるいは1成分が他の成分によって二つに分離された三層型のような断面構造をもち低融点成分が繊維表面の大半を占めている繊維である。また多芯型や3層型や1成分が少なくとも複数に区分され他の成分で区分けされた繊維断面が蜜柑型や風車型などの分割繊維型である繊維であり、繊維形状は円や楕円などの円型を基本とするが、角の取れた異型である場合も有り得る。
【0020】
このような複合繊維を形成する熱可塑性樹脂は一般的なステープル複合繊維を製造する溶融粘度のものを用いておりその溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、Tm≦200のとき230℃、200<Tmのとき290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である熱可塑性合成樹脂である。このような溶融流動性をもつ熱可塑性樹脂を使用してノズルから紡糸された複合繊維の隣り合う繊維同士を噴出中に部分的に空中で接触させて構造中に繊維塊をもつ不織布を形成する。
【0021】
ノズルから紡糸された複合繊維の隣り合う繊維同士を噴出中に部分的に空中で接触させて、部分的、局所的に偏在させた凝集し絡み合い融着接着させた塊を発生させる工程において、ノズルの吐出孔の間隔(円形の吐出孔の中心間の距離)が従来の3mm程度ではコンベアまで5〜20cm程度の高さの間に隣り合う繊維同士を作為的に、接触させるに無理があった。
【0022】
本発明者らは吐出孔の多いノズルを考案し、吐出孔間隔を1mm未満とすることで、作為的に、凝集し絡み合い融着接着させた塊を発生させることに成功した。すなわち、凝集し絡み合い融着接着させた塊が多い太繊維の不織布を作る時は、吐出量を多くし、わずかな熱風流速の低下とすると良く、凝集し絡み合い融着接着させた塊が少ない不織布を作る時は、吐出量を絞り、熱風流速を上げることで達成できる。これは樹脂のバラス効果を利用している。このようにして紡糸された複合繊維は実質的に連続しておりそれらの複数本が部分的に融着して融着部分となり、また一本づつの複合繊維として連続するのである。
【0023】
本発明の複合繊維の繊維径は、融着部分と非融着部分で繊維径が変化しており、太い部分は概ね200μm未満であり、実質的に連続したとは、なんらかの個別の理由で繊維が千切れない限り、製造条件としては千切れを意図していないことを言う。
【0024】
このようにメルトブローン不織布を製造することにより、従来のメルトブロー法による、同じ熱可塑性樹脂を用いて同様の目付のメルトブローン不織布より20〜100%の厚みのある不織布を得ることができた。
なお本発明において不織布の厚みはJISL−1913−6.1.2A法により測定した。
【0025】
本発明では、ハイフロー(低粘度)の熱可塑性樹脂よりも、高粘度の樹脂を使用するのが都合が良く、使用する樹脂のMFRを200g/10分未満とするのが都合良い。この点では5g/10分未満でも良い方向だが、繊維径5μm以下の繊維は作りにくくなる。
【0026】
熱可塑性樹脂の融点(Tm:℃)は、凝集し絡み合い融着接着させた塊を作る上で、その繊維表面の過半を覆っている樹脂が(その融点をTms:℃)低融点であることが好ましく、60≦Tms<170の範囲が都合が良い。融点が60℃未満では融着接着しすぎ、制御が困難なため好ましくない。また170℃以上では、繊維の芯成分となる熱可塑性樹脂との組合せに制限を受けるので好ましくない。芯成分の熱可塑性樹脂(その融点をTmc:℃)の融点は、使用するメルトブロー設備の温度的制約があり、あまり高いものを用いることは好ましくない。実用的範囲では270℃未満とが適当である。なお、前記した繊維表面の過半を覆っている樹脂(その融点をTms:℃)と芯成分樹脂の融点の関係については、Tms+20≦Tmcが好ましい。
【0027】
本発明にいう熱接着とは、低融点の熱可塑性樹脂が融点以上に加熱されて溶融し接着することをいうが、加熱温度が低いときは低融点成分は繊維表面の形状を保ったまま接触する隣接繊維に融着する。加熱温度が融点より高くなるほど低融点成分は完全に溶融して接着点に凝集し、接着点を覆って隣接する繊維同士が一層強固に接着して一体化するようになる。
【0028】
本発明のもう一つの特徴は、前記した様に用いる熱可塑性樹脂の溶融粘度が同じ樹脂でステープル繊維を製造する場合の樹脂の粘度範囲に一致している点にある。これは、本発明の不織布が、ステープル繊維の場合にはローラーカードなどの不織布化工程での各種制限を受けるより細い繊維を使用して不織布化することを主要な目的としていることにある。特にステープル繊維やマルチフィラメントなどでは紡糸中の繊維の融着が致命的であるが、この欠点を長所に用いて、特に繊維製造で融着接着し易い樹脂を鞘成分とする複合繊維を直接不織布化することをも主要な目的としている。
【0029】
したがって、従来のメルトブロー不織布の様に、低粘度の樹脂を用いてひたすら細繊度化を狙うのではなく、ステープル繊維の腰や固さの特徴を持った繊維からなる不織布を作ることにあるため、本発明に用いる樹脂は、ステープル繊維を製造する場合と同様の溶融粘度となっているのである。しかし使用する樹脂の融点があまり高温になるとノズル直下のコンベアが過熱され不織布形成上好ましくない。この点が繊維を溶融紡糸するときとは違って設備上の制約をうけることになり、使用する熱風の温度を無闇に上げることができず、270℃という限定を設けたのであって、設備上の制約がなければさらに高い温度、例えば350℃でも可能である。
【0030】
本発明に用いる樹脂の溶融流動性は、メルトフローレートで表現すると、5〜200g/10分の範囲にあり、その測定温度は、230℃で十分溶けているか否かで区分けしたのであり、実際の溶融紡糸時の溶融温度での溶融流動性とは一致していない場合もある。樹脂によって、溶融紡糸に好ましい溶融流動性は異なり、ポリエチレンテレフタレートやポリメチルペンテンの最も好ましい溶融流動状態は、100g/10分前後であり、ポリプロピレンは、これより低い。
【0031】
以上の理由で、本発明に用いる熱可塑性樹脂は、従来のステープル繊維に用いられている樹脂を工夫すれば概ね都合良く用いることができるので、詳細は個々には言及しないが、融点が60〜270℃の、ポリオレフィン樹脂、低融点エステル共重合体や脂肪属ポリエステルを含むポリエステル樹脂、ポリアミドやポリイミドなどのポノアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂や融点を流動開始温度に読み替えた熱可塑性エラストマー樹脂が便利に使用でき、これらの混合物、ポリマーアロイやグラフト重合や低温プラズマ処理などによる改質樹脂も含む。また、融点が60℃以上のものであれば例えば、融点が60℃のUCC社の微生物崩壊性ポリエステルTONE(商品名)も不織布とした後の冷却に工夫がいるが本発明に都合良く用いられる。
【0032】
特に、エレクトレット不織布向けには、ポリオレフィン樹脂が特に好ましく、エレクトレット素材としては、ポリブテン−1が特別好ましい。ポリブテン−1は結晶形態が軟質状態から硬くて脆い形態に経時変化する特異的な樹脂であるがポリプロピレンとの複合繊維として紡糸可能である。さらに低い融点の樹脂除外については、不織布の実用上の問題であって、別段理由はない。なお、本発明で言うポリプロピレンはエチレンなどの共重合体を含むことは言うまでもなく、ポリブテン−1も密度と融点を限定しているが、できるだけブテン−1過多なポリブテン−1がエレクトレット素材として好ましい意味であって用途によっては制限されない。特に繊維間融着しやすい樹脂としてはエチレンやプロピレンなどの共重合体や非晶質樹脂で、半溶融などの加熱下において柔軟性を示す樹脂が該当する。またプロピレンリッチのエチレンプロピレン共重合体やエチレン・オクテン共重合体や低密度ポリエチレンなどが好ましく用いられる。
【0033】
本発明の嵩高なメルトブローン不織布は具体的には、融点が異なる2以上の上記熱可塑性樹脂成分からなり、低融点成分が繊維表面の大半を占めている複合繊維を構成繊維とするメルトブロー法により製造された不織布であって、構成繊維の複数本が部分的に凝集し融着した繊維塊が不織布中に多数存在して不織布表面に凸部を形成し、該繊維塊の周辺は繊維塊が存在していない部分より構成繊維の間隙が広がり繊維密度が低下していることを特徴とする、厚さ(μm)/目付(g/m2)が8以上である複合繊維不織布である。
この場合太繊維であるから部分的に凝集し熱接着した繊維塊となるのではなく、メルトブロー手法での設備と繊維化工程を吟味することで、繊維塊は繊度に無関係に意図的に作成でき、望ましくは熱接着し易い樹脂を鞘成分に用いることで目的の達成が容易となるだけであって、工夫すれば、ポリエチレンを鞘成分とする繊維も同様にできた。低圧損のフイルター用途向けには、10μmより太い繊維からなる層とフイルター機能を主体として持つ20μmより細い繊維からなる層の少なくとも2層から構成する不織布が都合良く、無論太い繊維層を構成する繊維は細い繊維層を構成する繊維より太いのは当然である。
【0034】
上記複合繊維不織布はノズルからコンベアに直接メルトブローして集積したものを出口でコンベアベルトから剥離して得る。このときあらかじめコンベア上にスパンボンド不織布のような薄い基布を供給しつつこの上に複合繊維をメルトブローするとコンベアベルトからの不織布の剥離を滑らかにして都合がよい。また、基布はメルトブローン不織布を構成する繊維が延伸されておらず、繊維の配向結晶化が余り進行していないために繊維が脆くて低強力な点を補助するための、補強不織布としての役割と不織布の固さ、腰のつよさを増すためにも有効である。このような基布となる不織布は、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース加工不織布、熱接着不織布、ニードルパンチ不織布、樹脂含浸接着不織布が都合良い。中でもスパンボンド不織布は、エレクトレット不織布とした時のコンベアーからの剥離性を向上させる役割を兼ねており、特にエレクトレット化した不織布には好都合である。このような基布不織布は、繊維素材に限定はないが、エァーフィルター用途では、繊維密度が粗いのが都合がよく、本発明のメルトブローン不織布がポリオレフィン樹脂でなる場合は、その接着性を考慮し、ポリオレフィン樹脂でなる不織布が好ましいのであり、廃棄処分する上でも特に好ましい。
【0035】
エレクトレット加工する用途では、主としてフイルター用途のため、低圧損化の要求より、繊維径が15μmより太い繊維を使用することがよいが、より細い繊維でも用途により不都合でない。また、両面に不織布を配したエレクトレット不織布は、求塵用途のカーテンや壁掛けや壁紙を想定したものであり、本発明の複合繊維がポリオレフィン繊維の想定で、熱接着による一体化を達成する目的で熱接着する面にポリオレフィン繊維を少なくとも部分的に配している不織布を使用している。
【0036】
さらに嵩高化、すなわち高厚み化と低圧損化、そして基布との熱接着の簡易化を達成するため、基布に接する複合繊維不織布層の繊維を繊維径10〜200μmの太繊度の繊維とし、基布との接着を熱接着だけでなく、太繊維の物理交絡効果も追加して、基布が受ける熱量を低減させて基布のフィルム化を抑制し、かつ凝集し絡み合い融着接着させた塊を厚くさせて、高厚み化を達成したのである。
【0037】
基布に前記した太繊維の複合繊維不織布層を接着一体化させた複合不織布をエレクトレット加工すると、目付けが90g/m2を超えても強電界下で加工でき、さらに本発明の複合繊維不織布層を積層しても可能なことが判明した。また、太繊維の複合繊維不織布層を接着一体化させた複合不織布は、従来の複合不織布より腰があり、硬い不織布となり、プリーツ折り加工が容易で、形状保持効果も高くすることができた。
すなわち、異なる繊維径をもつ複合繊維を、繊維径が15μm以上の繊維からなる不織布(基布)層の上に配するのである。第一段階は、基布の上に、繊維径(d:μm)が10<d<200である本発明の太複合繊維を配するのであるが、繊維径が50〜10μmの太複合繊維からなる層を、メルトブローノズルと基布の間隔を近付けて噴出して目付けが5〜15g/m2となるように集積させ、次いで、所望の繊維径の太複合繊維を集積するのが最も好ましい。太複合繊維層を構成している太複合繊維は、従って複数種の繊維径の繊維の集積であってもなんら不都合はない。
【0038】
ノズルと基布の間隔は5〜25cm程度にするとよい。これは通常のメルトブロー紡糸工程におけるより近い距離である。近付けて噴出して集積する理由は、基布へ太複合繊維が浸入して、太繊維で物理的交絡するのを容易とし、基布繊維と該太繊維の融着接着効果を高めるためである。しかし、ノズルと基布の間隔は、基布がメルトブロー紡糸の熱風で溶けない間隔に設定するのは当然であるが、長時間運転を続けると、循環するコンベアベルトの温度が上昇し、基布の一部が溶融またはフィルム化する問題が発生し好ましくない。この現象を防止するには、前記した、目付けが5〜15g/m2の繊維径が50〜10μmの太繊維を用いる範囲が最も都合が良い。目付けが5g/m2未満では、基布との接着性が弱く、15g/m2を超えると溶融またはフィルム化する問題が発生しやすい。該太繊維の繊維径も50μmを超えると基布を構成する繊維の部分溶融を生じやすく、10μm未満であると基布表面への繊維集積効果が大きく、基布層への太繊維の浸入が少なくて太繊維の物理的交絡効果が減じられてあまり好ましくない。
【0039】
本来、太繊維ほど嵩高化、低圧損化および不織布の高硬さ化(不織布の高腰性と高プリーツ折り性が良い)に良いのであり、必要に応じて、より太い繊維をこれらの上に、繊維間を繊維の表面の過半を占めている低融点樹脂で融着接着または溶融接着させながら積層して接着一体化するのが極めて都合が良い。
フイルター用途に本発明の複合不織布を用いる場合、上記した基布と太複合繊維の集積層の上に、塵埃を主として捕集する機能を求める、本発明のより細い複合繊維層を積層してフイルターとしての機能を持たせる。そのより細い複合繊維の繊維径(d:μm)は0.3<d<20であり、目的によって繊維径を任意に選択する。
【0040】
なお、本発明でいう繊維径は、数平均の繊維径をいい、本発明の不織布は、熱接着性複合繊維を使用している、そして、恣意的に部分的に融着接着させているため、繊維径のばらつきや分布が広く、顕微鏡観察によって繊維径を割り出したため、数平均で記載した。融着接着した塊や繊維束は1本として計測した。
【0041】
なお、本発明での複合メルトブロー繊維は、特に凝集し融着接着した塊を散在させる方が凹凸方式による嵩高化には有利であり、太繊維を使用する場合は、複数回に分けて繊維集積するのが特に好ましい。また、細繊維層にあっても、エァーフィルター用途を想定するなら、目付けむらを回避するため、前記と同様に複数回に分けて繊維集積するのが特に好ましい。また、これらの繊維集積において、メルトブロー手法では繊維が一定方向へ揃い易いので、各層毎にできるだけ交差する様に積層するのが好ましく、本発明では、設備にこの点が配慮してある。上記した様に個々の層の必要目付けを考慮した上で、本発明の不織布の目付けは用途によるが、30〜400g/m2が好ましく、400g/m2を超えると熱風の貫通状況が悪くて、30g/m2未満では、必要な各構成層の目付けが確保できないので都合が良くない。プリーツ折りフイルター用途では、その剛性を考慮すると60g/m2以上が好ましい。
【0042】
本発明の複合不織布は使用する繊維を選択し様々な用途に応用することができる。例えばポリブテン−1/ポリプロピレンの複合繊維を中層とした両面が、界面活性剤などの親水性物質が付着していないオレフィン不織布で占められたエレクトレット不織布で、集塵カーテンなどに都合が良い不織布にも関する。
【0043】
また、本発明のメルトブロー不織布本体は炎が当たると速やかに孔が開く現象を生じ、難燃性に優れているが、ポリプロピレンスパンボンド不織布と張り合わせした複合不織布は、メルトブロー不織布側から炎を当てると良難燃性だが、スパンボンド不織布側からでは、難燃性に劣る結果を得ており、スパンボンド不織布を構成するポリプロピレン樹脂に、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の難燃効果剤フレムスタブCGL−116を少なくとも0.5重量%添加してスパンボンド不織布とした本発明のメルトブロー複合不織布は、どちらからの面から炎を当てても常に、難燃評価法JIS.L1091、A−1法で難燃3級を得ることができる様になるので、さらにエァーフィルター素材として最適となる。
前記した難燃効果剤CGL−116は、ポリプロピレンの通常の耐候安定剤であるハルス系安定剤の誘導体であり、該ハルス系安定剤や他の安定剤との併用でも、環境ホルモンや有害物質を含まないので大変環境に優しい。
【0044】
本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。図1は本発明による複合不織布の構成繊維である複合繊維の断面形状の例を示す図である。図1のAは一般に猫目と称される芯成分である断面形状で、高融点成分(1)が楕円形でその周囲を鞘成分である低融点成分(2)が取り囲んでいる構造である。Bは同心型の芯鞘構造で芯が高融点成分、鞘が低融点成分である。Cは高融点成分が低融点成分によって挟まれた三層構造である。
【0045】
図2は本発明の複合繊維不織布の側方断面を拡大した図である。複合繊維が部分的に熱接着している部分の繊維塊(3)の周囲は複合繊維は太い複合繊維(4)も細い複合繊維(5)も繊維の間隙が広く繊維密度が低く嵩高で不織布の凸部を形成している。これに対し繊維塊と繊維塊の中間部分は繊維密度が高い部分(6)になっている。
【0046】
次に本発明の効果実施例と比較例で具体的に説明する。なお、本発明の実施の1形態である鞘成分をポリブテン−1とし、芯成分をポリプロピレンとする複合繊維のメルトブロー不織布で、主に説明するが、他の形態の複合繊維不織布および複合不織布も実施例を参考にすれば、同様に容易に作ることができることは、言うまでもない。
【0047】
【実施例】
本発明のメルトブロー手法によって繊維化された複合繊維は、2台の押出機より個々の熱可塑性樹脂を押出し、ギャーポンプによって定量供給して、複合繊維を形成できる70cm弱の幅の850ホールの複合ノズルを用いて、オリフィスの列から高速加熱気流中に吐出すると同時に、該気流で細長化して基本的に連続している繊維とし、吸引設備が具備されたネットコンベアー上に集積するのであるが、該コンベアー上に140℃で予め熱処理させたポリプロピレンスパンボンド不織布を位置させ、該不織布上に、平均繊度が6〜10dTex(23〜38μmφ)の太複合繊維を15g/m2の目付けで集積し、ネットコンベアーの進行角度を一回毎に変化させて所望の目付けの太繊維または細繊維をそれぞれ複数層重ねて積層して本発明の複合繊維不織布を試作した。なお、各層は少なくとも30度の角度で交差させて集積した。
本発明に用いた樹脂は、表1の通りで、PPはポリプロピレン、PBはポリブテン−1(三井化学タフマー、密度D:0.92g/cm3)、PEはポリエチレン、PTはポリエチレンテレフタレート(常法の限界粘度IV値が0.64の樹脂を使用)、PMはポリメチルペンテン(三井化学TPX)、EPはプロピレン過多のエチレン・プロピレン共重合体を使用した。なお鞘と芯成分の複合比は1:1で、溶融流動性のMFRは、測定温度がPTとPMは290℃で他は230℃での値で、単位はg/10分である。Q値は重量平均分子量/数平均分子量の比である。
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例1〜7、比較例1〜2) 本発明の複合繊維メルトブロー不織布は、表1の樹脂を用い、前記の工程で表2の条件で不織布化した。なお紡糸温度とはノズル温度のことであり、同温度の高圧熱風を用いて噴出させ、これを噴出熱風量の5倍以上の吸引量で吸引して、15g目付けで約7dTexのスパンボンド不織布の上に集積して、実施例と比較例の複合不織布を得た。
表2中の繊径は、数平均の繊維径μmで、融着繊維は除外しており、各繊維層は少なくとも2回の集積回数のもので、その総目付けg/m2で表示し、厚みはJIS−L−1913−6.1.2A法により測定した。
比較例1は、実施例のノズルを3mmピッチのノズルとし、凝集して絡み合い熱接着した繊維塊の少ない不織布としたものである。
各実施例、比較例の使用した樹脂成分、複合繊維不織布の嵩高さ等を表2に示す。
【0050】
(実施例8) 実施例1で、ポリプロピレンスパンボンド不織布を使用せず、本発明の複合繊維メルトブロー不織布を積層したものを作成した。(見かけ)厚みは実施例1と同じであった。
(実施例9) 実施例2の不織布と2dTex、目付け40g/m2のポリプロピレンスパンボンド不織布を、140℃の熱風加工機で、バーを用いて擦る様に圧迫しながら張り合わせし、その後実施例1と同様にしてエレクトレット熱加工してエレクトレット不織布とした。大気塵を拡散させたボックス内に入れると、著しく大気塵を吸着して、表面のスパンボンド不織布が灰色ぽくなった。
(実施例10)目付けが60g/m2の6dTexレーヨンスパンレース加工不織布を、650〜700℃の無酸素下で焼成して得た活性炭素繊維不織布を、実施例1で使用した7dTexのスパンボンド不織布に乗せ、その上から、2dTexのレーヨン繊維の目付け30g/m2のウエッブを乗せて、スパンレース加工して、該レーヨン繊維で交絡一体化させたスパンレース加工不織布とし、該不織布を実施例1でのスパンボンド不織布の替わりとして、スパンボンド不織布層を上とし、実施例1と同様にしてメルトブロー不織布を積層し、複合不織布とした。該複合不織布は、少なくとも硫化水素を捕集する能力を保持していた。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例1〜7で得られた不織布を折り機かけてプリーツ折り加工したところギアロールの掛り具合がよく、順調にプリーツ折りができた。比較例1、2の平滑な不織布は掛りにくく作業性が悪かった
実施例、比較例の得られた不織布の内、鞘成分にPB用いた複合繊維の不織布は、120℃の熱風加工機内外に針を一定間隔で埋め込んだ直流高電圧印加装置で、加熱下と急冷下、共に、9Kvのマイナス直流印加し、静電気をアースして除いたエレクトレット不織布とした。これらを使用して大気塵の0.5μm粒子の捕集効率とその時の圧損を測定した。表2にその結果を示す。
なお、捕集効率の測定流速は5.3cm/sでJIS−B−9908に準拠し、フイルターユニットの替わりに、各実施例の不織布を装着し、濾過面を100mmφとして測定した。
各実施例の嵩高さの効果は圧損の低さに現れている。
【0053】
(実施例11)実施例1のポリプロピレンスパンボンド不織布を構成するポリプロピレン樹脂にチバ社の耐候安定剤944を0.1重量%、難燃効果剤CGL116を1.5重量%、燐系安定剤168を0.3重量%添加した複合不織布は常に良難燃性を示した。
【0054】
【発明の効果】
本発明の1つは、従来からステープル繊維で使用されてきた熱可塑性樹脂を用いた複合繊維をメルトブロー繊維化手法を用いて、直接不織布化した点にあり、ステープル繊維やマルチフィラメント繊維などの従来の繊維化手法では、極めて困難な問題となっていた、融着し易い熱可塑性樹脂を積極的に利用できる点にあり、特に好ましいのは前記した融着し易い樹脂を繊維表面に用いた複合繊維であるが、この融着現象を積極的に利用して、繊維の噴出中に繊維の部分融着を起こさせ、凝集して絡み合い融着接着した塊を散在させて、不織布面に凹凸を生じさせ、見かけの厚みを増やすことで、従来の単一繊維のメルトブロー不織布では達成しえなかった厚みのある不織布としたのである。この嵩高化により、従来はポリエステル樹脂接着不織布にメルトブロー不織布を接着した構成のエァーフィルターを主として原材料としていた、プリーツ折り機にも、問題なく掛かるエァーフィルター素材とすることができたのである。また複合不織布にあっては樹脂含浸処理することにより不織布相互の接着性を高め、剥離しやすい問題点も解消Dされる。
【0055】
また、焼却などの廃棄処分では、煤のでるポリエステル素材を全く使わない、オールポリオレフィン樹脂製のエァーフィルター素材を提供できる様になったのである。しかしながら、ポリオレフィン樹脂は電気絶縁性が高く、従来の様に、単にメルトブロー不織布を積層しても、その電気絶縁性のため、十分なエレクトレット加工ができない新たな問題を生じたが、従来手法で積層したメルトブロー不織布では不十分なエレクトレット加工しかできなかった目付けでも、本発明のメルトブロー不織布は、格段にエレクトレット特性を付与できる様になし得た。本発明のオールポリオレフィン樹脂製のエァーフィルター素材は、特に、廃棄処分が容易で、素材として、環境ホルモンや他の有害物を一切含まず、たとえ、火災に遭遇しても、煤や、塩化水素などの有害ガスを発生しないので、人と環境に配慮した不織布素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1のA、B、Cは本発明の複合不織布を構成する複合繊維の断面図の例である。
【図2】本発明の複合不織布の側方断面図の拡大図である。
【符号の説明】
1 高融点成分
2 低融点成分
3 繊維塊
4 太い複合繊維
5 細い複合繊維
6 繊維密度が高い部分
Claims (14)
- 融点が異なる2以上の熱可塑性樹脂成分からなり、低融点成分が繊維表面の大半を占めている複合繊維を構成繊維とするメルトブロー法により製造された不織布であって、該構成繊維の複数本が部分的に凝集し熱接着した繊維塊が不織布中に多数存在して不織布表面に凸部を形成し、該繊維塊の周辺は繊維塊が存在していない部分より構成繊維の間隙が広がり繊維密度が低下していることを特徴とする、嵩高さ(厚さμm/目付g/m2)が8以上である複合繊維不織布。
- 複合繊維は平均繊維径(d:μm)が0.3<d<200、構成する複数の各熱可塑性樹脂成分が、その融点(Tm:℃)を60≦Tm<270、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、Tm≦200のとき230℃、200<Tmのとき290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である熱可塑性合成樹脂である請求項1記載の複合繊維不織布。
- 複合繊維の熱可塑性樹脂成分は、低融点成分が密度(D:g/cm3)を0.905≦D<0.930、融点(Tms:℃)を115<Tms<130とするポリブテン−1であり、もう一つがポリプロピレンである請求項1又は2記載の複合繊維不織布。
- 請求項3記載の複合繊維不織布の少なくとも片面に繊維径が15μm以上の繊維からなる表面不織布層が配され、該複合繊維不織布を構成する複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着で一体化している複合不織布。
- 目付が30〜400g/m2である請求項4記載の複合不織布。
- 表面不織布層は、繊維がプロピレンを主成分とするホモポリマー、プロピレンを主体とする共重合体のうち1以上の樹脂からなるスパンボンド不織布である請求項4記載の複合不織布。
- 表面不織布層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなる繊維が樹脂含浸され、該樹脂で接着一体化された不織布であり、少なくともその1表面にポリオレフィン樹脂でなる繊維状の固着物が散在しており、該表面に請求項3記載の不織布が配され、融着一体化している不織布である請求項4〜6のいずれかに記載の複合不織布。
- 複合繊維は、平均繊維径(d:μm)が10<d<200である請求項4記載の複合不織布の上にさらに平均繊維径(d:μm)が0.3<d<20の複合繊維を構成繊維とする請求項1記載の複合繊維不織布が配され、各不織布層間は複合繊維の低融点成分により熱接着して一体化している複合不織布。
- 目付が60〜400g/m2である請求項8記載の複合不織布。
- 複合不織布がエレクトレット加工され、少なくとも請求項3の複合繊維不織布層がエレクトレット化されている請求項4〜9いずれか記載の複合不織布。
- 表面不織布層は界面活性剤などの親水性化学物質が付着されていないポリプロピレン繊維またはポリエチレン繊維で構成されており、該表面不織布層が両面に配されている請求項4記載の複合不織布であって、エレクトレット化されている複合不織布。
- 請求項4記載の複合不織布の複合繊維不織布面側に繊維径が5μm以上のポリプロピレン繊維とレーヨン繊維とからなる親水性繊維層が積層され複合繊維の少なくとも低融点の成分による熱接着により一体化しておりエレクトレット化されている複合不織布。
- 請求項4記載の複合不織布の少なくとも片面にレーヨン繊維層と活性炭素繊維層とポリプロピレンスパンボンド不織布層の3層からなる積層不織布が複合繊維の低融点の成分による熱接着で一体化しておりエレクトレット化されている複合不織布。
- メルトブローン不織布以外の不織布層の繊維は難燃化している請求項4〜11いずれか記載の複合不織布。
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