JP2004003057A - 印刷用塗被紙 - Google Patents
印刷用塗被紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004003057A JP2004003057A JP2002160206A JP2002160206A JP2004003057A JP 2004003057 A JP2004003057 A JP 2004003057A JP 2002160206 A JP2002160206 A JP 2002160206A JP 2002160206 A JP2002160206 A JP 2002160206A JP 2004003057 A JP2004003057 A JP 2004003057A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- printing
- calcium carbonate
- coated paper
- mass
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
【解決手段】原紙の少なくとも片面に、平均粒子径が0.5μm以下である微細な顔料と、平均粒子径が1.1〜2.5μmの範囲にある重質炭酸カルシウムとを含有する下塗り塗被層を設け、当該塗被層に重ねて特定な平均粒子径を有し、粒度分布が狭い重質炭酸カルシウムを含有する上塗り塗被層を設ける。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を2層以上設けた印刷用塗被紙に関するものであって、さらに詳しくは、白色度、平滑性並びに印刷光沢に優れ、しかもインキセット性ないしはインキ乾燥性に優れた印刷用塗被紙に係る。
【0002】
【従来の技術】
一般に印刷用塗被紙は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗被液を塗布乾燥して製造され、塗被液の塗工量や塗被紙の仕上げ方法によって、キャストコート紙、アート紙、コート紙、微塗工紙等に分類される。これら塗被紙は、これに多色印刷又は単色印刷を施して、チラシ、パンフレット、ポスター等の商業用印刷物として、あるいは書籍、雑誌等の出版物として広く使用されている。近年、印刷物のビジュアル化、カラー化が進み、印刷用塗被紙の白色度や平滑性等の外観が以前にも増して重要視されている。
【0003】
印刷用塗被紙の白色度を高くする手段としては、塗被層に蛍光染料を配合することや、塗被層に使用する白色顔料に白色度の高いものを選択することなどが知られている。また、平滑性に富んだ印刷用塗被紙を得るための手立てとして、先ず原紙上に下塗り塗被層を設けて原紙の凹凸をあらまし均し、次いでこの下塗り塗被層の上に上塗り塗被層を設ける手法も知られている。この方法によれば、原紙上に上塗り塗被層を単層で設けた場合よりも、一般に、平滑性に優れた印刷用塗被紙を得ることができる。
【0004】
印刷用塗被紙の塗被層は、白色顔料と接着剤が主成分であって、その顔料としては、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン等が使用されている。これらのなかでも、重質炭酸カルシウムは、白色度が高いことに加えて、安価であり、しかも、接着剤要求量が少なく、流動性に優れた塗被液を調製できることから、塗被紙用の白色顔料として多用されている。
塗被層の顔料に重質炭酸カルシウムを使用した場合、当該塗被層を最外層に有する印刷用塗被紙の性状は、重質炭酸カルシウムの粒子径と粒度分布に左右される。重質炭酸カルシウムの粒子径が、塗被層用顔料として通常使用される範囲にある場合、その粒子径が細かくなるにつれて、印刷用塗被紙の白紙光沢、平滑性等は向上する傾向にある。しかし、重質炭酸カルシウムの粒子径を徒に細かくしたのでは、塗被層形成に使用する塗被液の流動性が悪化するばかりでなく、接着剤要求量も増大する不都合があり、却って印刷光沢を低下させる。
一方、重質炭酸カルシウムの粒度分布について言えば、平均粒子径が同一である重質炭酸カルシウムでは、その粒度分布が狭いほど、印刷用塗被紙の印刷光沢、白色度、不透明度等は向上する傾向にある。
【0005】
こうしたことから、重質炭酸カルシウムを塗被層用顔料として使用する場合には、重質炭酸カルシウムを粉砕・分級し、粒子径及び/又は粒度分布を整えるのが通例である。例えば、特開昭54−129040号公報には、重質炭酸カルシウムを粉砕した後、分級することにより、粒子径0.2μm未満の微粒分含有量が15重量%以下である重質炭酸カルシウムを取得し、これを塗被層用顔料として使用することが提案されている。また、特開昭59−204662号公報には、重質炭酸カルシウムを粉砕・分級して、粒子径0.2μm未満の以下の微粒子分が10%以下であり、粒子径1μm未満の粒子分が50〜70%ある重質炭酸カルシウムを顔料として使用することが提案されている。さらに、特開昭62−280265号公報には、粉砕・分級によって得られる特定な粒度分布の重質炭酸カルシウムを、塗被層用顔料として使用することが提案されている。
さらにまた、特開2000−34120号公報には、平均粒子径が0.5〜2μmの範囲にあり、固形分濃度及び粘度が特定な範囲にある重質炭酸カルシウム水性スラリーを、一旦遠心分離して粗粒分を取り除いた後、残部を再度遠心分離に付して微粒分を取り除くことにより、平均粒子径が0.5〜2μmの範囲にあり、粒度分布測定曲線の50重量%の粒子径と10重量%の粒子径との比(D50/D10)が1.5〜2.5の範囲にある重質炭酸カルシウム水性スラリーを調製することと、この水性スラリーを紙塗工に使用することが提案されている。
【0006】
上記したような重質炭酸カルシウムの粉砕・分級によれば、白紙光沢、平滑性、白色度、不透明度等に優れた印刷用塗被紙を得る上で好個の塗被層用顔料を取得することができるが、分級に際して取り除かれた重質炭酸カルシウムの粗粒分や微粒分については、その有効利用が未だ図られていないのが当業界の実情である。ちなみに、粗粒分は再度これを粉砕・分級することで、塗被層用顔料に使用することが可能であるが、微粒分を塗被層用顔料として有効利用した例がない。印刷用塗被紙の製造において使用できる顔料としての歩留まりが低下し原材料を効率的に使用できないことや、そのためにコスト高となる問題がある。
重質炭酸カルシウムの微粒分が印刷用塗被紙の製造に活用できないことは、塗被紙製造における重質炭酸カルシウムの歩留まりを低下させ、これが印刷用塗被紙のコスト高を招く一因になることは否めない。
【0007】
ところで、平滑性が良好な印刷用塗被紙を得る方策の一つとして、原紙に下塗り塗被層を設け、当該塗被層の上に上塗り塗被層を設ける手法が公知であることは先に説明したが、下塗り塗被層は塗被紙の表面に露呈しないことから、当該塗被層の顔料として、従来は比較的粒子径が大きく、安価な重質炭酸カルシウムが使用される場合が多い。しかし、近年における塗被紙の高品質化に伴い、下塗り塗被層に使用する顔料にもそれなりの配慮が必要であって、特に、印刷用塗被紙の白紙光沢、平滑性、白色度、不透明度等を向上させる目的で、上塗り塗被層に粒子径が細かく、粒度分布も狭い重質炭酸カルシウムを使用した場合には、当該上塗り塗被層のインキセット性ないしインキ乾燥性は必ずしも充分ではないので、これを下塗り塗被層で補償しなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、重質炭酸カルシウムを顔料として含有する塗被層を、原紙の少なくとも片面に2層以上設けた印刷用塗被紙の改良を目指して、上塗り塗被層(最外層)に配合する重質炭酸カルシウムの平均粒子径及び粒度分布を規制することにより、平滑性、白色度、不透明度、印刷光沢等に優れた印刷用塗被紙を提供することにある。
本発明の目的の他の一つは、最外層と接する下塗り塗被層に配合する顔料として、比較的粒子径が細かい顔料、とりわけ重質炭酸カルシウムを、比較的粒子径が粗い重質炭酸カルシウムと併用することにより、上記上塗り塗被層のインキセット性ないしインキ乾燥性を補償すると共に、塗被紙製造に従来活用されていなかった重質炭酸カルシウムの有効利用を図ることにある。
従って、本発明によれば、平滑性、白色度、不透明度、印刷光沢等に優れ、インキセット性ないしはインキ乾燥性にも富んだ印刷用塗被紙が提供される。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る印刷用塗被紙は、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を2層以上設けた印刷用塗被紙において、塗被紙の最外層に配される上塗り塗被層に、平均粒子径が0.5〜1.2μmの範囲にあり、粒度分布測定曲線における75質量%に該当する粒子径(D75)と、25質量%に該当する粒子径(D25)との比、D75/D25が1.5〜3.3の範囲にある重質炭酸カルシウムを、当該上塗り塗被層に含まれる全顔料の10〜90質量%に相当する量で含有させ、さらに、塗被紙の最外層に接する下塗り塗被層に、平均粒子径1.1〜2.5μmの重質炭酸カルシウムを、当該下塗り塗被層に含まれる全顔料の50〜95質量%に相当する量で含有させ、かつ、平均粒子径が0.5μm以下である顔料を、当該下塗り塗被層に含まれる全顔料の5〜50質量%に相当する量で含有させたことを特徴とする。
本発明の印刷用塗被紙においては、その上塗り塗被層(最外層)に含まれる全顔料の平均粒子径が0.35〜1.0μmの範囲にあり、しかも、全顔料の70質量%以上の粒子径が0.2μm以上であることが好ましい。
また、本発明の印刷用塗被紙は、その下塗り塗被層が当該塗被層に含まれる全顔料の0.5〜12質量%に相当する水溶性接着剤を含んでいることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、顔料粒子に関して言う平均粒子径は、(株)島津製作所製のセディグラフ5100を使用して描かれる粒度分布測定曲線の50累積質量%に該当する粒子径(D50)を意味する。また、顔料粒子の粒度分布は、前記粒度分布測定曲線の75累積質量%に該当する粒子径(D75)と、25累積質量%に該当する粒子径(D25)との比、D75/D25で規定される。
本発明に係る印刷用塗被紙の上塗り塗被層は、平均粒子径及び粒度分布が下記のような特定範囲にある重質炭酸カルシウム(以下、この重質炭酸カルシウムを重炭“M”と呼ぶ)を、上塗り塗被層に含まれる顔料全量の10〜90質量%に相当する量で含有する。
重炭“M”の平均粒子径(D50)=0.5〜1.2μm
重炭“M”の粒度分布(D75/D25)=1.5〜3.3
念のため付言すると、粒度分布測定曲線の75質量%に該当する粒子径(D75)と、25質量%に該当する粒子径(D25)の比(D75/D25)は、その値が小さいほど、粒度分布が狭いことを意味している。ちなみに、一般的に市販されている重質炭酸カルシウムのD75/D25は、3.7〜5程度である。
【0011】
上塗り塗被層中の顔料全量の10〜90質量%を占める重質炭酸カルシウムの平均粒子径が、0.5μm未満の場合は、印刷光沢の低下や接着剤要求量の増加が問題となり、1.2μmを越える場合は、白紙光沢や平滑性が問題となる場合があるので好ましくない。また、顔料全量の10〜90質量%を占める重質炭酸カルシウムの粒度分布(D75/D25)が、上記の範囲を逸脱した場合は、所期の印刷用塗被紙を得ることができない心配がある。
【0012】
上塗り塗被層に含まれる顔料の残部、すなわち、上塗り塗被層中の顔料全量の10〜90質量%は、重炭“M”以外の顔料で占められる。重炭“M”以外の顔料としては、重炭“M”以外の重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料を使用することができる。
【0013】
本発明の印刷用塗被紙では、上塗り塗被層に含まれる全顔料、即ち顔料全体の平均粒子径が、0.35〜1.0μmの範囲にあり、しかも、当該全顔料の70質量%以上が粒子径0.2μm以上であることが、良好な印刷光沢や不透明度を得るうえで好ましい。この好個の条件が満たされる場合において、上塗り塗被層に含まれる重炭“M”の量が、顔料全量の10質量%未満である場合は、印刷用塗被紙の白紙光沢、白色度、平滑性、不透明性などを目論見とおり向上させることができない。また、90質量%を上回る場合は、塗被層の形成に使用する塗被液の流動性が低下し、塗被液の塗工適性が損なわれる心配があるとともに、インキセットないしはインキ乾燥性が悪化する虞もある。
【0014】
一方、下塗り塗被層について言えば、下塗り塗被層の顔料には、従来比較的粒子径が大きい重質炭酸カルシウムが使用されているが、本発明では下塗り塗被層に含まれる顔料全量の50〜95質量%を、平均粒子径が1.1〜2.5μmの範囲にある重質炭酸カルシウム(以下、この重質炭酸カルシウムを重炭“N”と呼ぶ)で構成させ、残りの5〜50質量%を平均粒子径が0.5μm以下である顔料で構成させる。
平均粒子径が0.5μm以下である微粒顔料を、上に規定した配合割合で下塗り塗被層に配合することにより、印刷用塗被紙の平滑性を改善できるばかりでなく、インキセット性ないしはインキ乾燥性等の印刷作業性を改善することができる。そして、この微粒顔料を下塗り塗被層に比較的多量配合する場合でも、上記の重炭“N”が共存する関係で、接着剤要求量の増加が小さい。微粒顔料を配合しても接着剤要求量が増加し難い理由については明らかではないが、塗被層が形成される際に、比較的大きい粒子径の顔料間に微粒の顔料が適度に充填され、接着剤が効率よく使用されるためと考えられる。
微粒顔料の配合率が5質量%未満であると、印刷用塗被紙に充分なインキセット性ないしはインキ乾燥性を付与することができない。また、微粒顔料の配合率が50質量%を越え、重炭“N”の配合率が50質量%を下回る場合は、下塗り塗被層形成に使用する塗被液の流動性が悪化することに加えて、接着剤要求量が急激に増加する不都合があるほか、印刷用塗被紙に印刷強度などの所期の性能を具備させることが難しい。
【0015】
下塗り塗被層に含まれる顔料の5〜50質量%を占める微粒顔料としては、重炭“N”以外の重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料のほか、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料が使用可能である。しかし、重質“N”以外の重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
【0016】
本発明の印刷用塗被紙で使用される重炭“M”及び重炭“N”は、天然の石灰石を粉砕・分級する方法で調製することが勿論可能であるが、粉粒体として入手できる市販の重質炭酸カルシウムを、必要に応じて粉砕・分級してこれに充当させることができる。
ここで言う粉砕には、例えば、ロールミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機等の乾式粉砕機による粉砕、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミル等の湿式粉砕機による粉砕が挙げられ、これらの粉砕機を適宜組合せて使用する。また、分級方法としては、例えば、共振振動ふるい、ローヘッドスクリーン、電磁スクリーン等のふるい分け、ミクロンセパレーター、サイクロン等の乾式分級、デカンタ型遠心分離機、液体サイクロン、ドラッグ分級機等の湿式分級が挙げられるが、分級精度や分級範囲の点で湿式分級機が好ましく、特にデカンタ型遠心分離機を使用して分級するのが好ましい。
【0017】
分級に供する重質炭酸カルシウムとしては平均粒子径が0.3〜2μmの範囲にあるものの使用が好ましい。これを、例えばデカンタ型遠心分離機にて分級する場合を例にとると、使用する重質炭酸カルシウムの平均粒子径が比較的小さい場合には、微粒子分の多い軽液を分離し、粗粒子分の多い重液を回収することで、重炭“M”として利用することができる重質炭酸カルシウムが得られる。また、軽液に含まれる重質炭酸カルシウムは、下塗り塗被層に含ませる顔料の5〜50質量%を占める微粒顔料として使用することができる。一方、遠心分離機に供給する重質炭酸カルシウムの平均粒子径が比較的大きい場合には、先ず粗粒子分の多い重液を分離して微粒子分の多い軽液を回収し、次いで、回収した軽液をさらに分級して微粒子分の多い軽液を分離して粗粒子分の多い重液を回収することで、重炭“M”として利用できる重質炭酸カルシウムが得られる。また、2段目の分離操作で分離した軽液に含まれる重質炭酸カルシウムは、上記と同様に、下塗り塗被層に含ませる顔料の5〜50質量%を占める微粒顔料として使用できる。なお、分離した粗粒子分は、粉砕・分級工程に戻し、有効活用を図ることができる。
上記の遠心分離によって得られる軽液は、カオリン等の分散媒としても利用できる。また、この軽液に含まれる重質炭酸カルシウムは粒子径が細かいので、カオリンの特性を損なうことがなく、上塗り塗工層用顔料としてカオリンを使用する場合には、粒子径が細かい重質炭酸カルシウムは、カオリンの増量材としての効果をも発揮する。
【0018】
上塗り塗被層及び下塗り塗被層の形成には、顔料と接着剤を主成分とした水性塗被液が使用される。この塗被液に配合される接着剤としては、例えば、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール等の合成樹脂接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体等の水溶性接着剤、さらには、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の1種又は2種以上が使用可能である。
【0019】
水性塗被液に配合する接着剤の量は、特に限定されないが、上塗り塗被層用塗被液については、顔料100質量部当たり5〜20質量部、好ましくは8〜15質量部配合する。また、下塗り塗被層用の水性塗被液にあっては、顔料100質量部当たり、接着剤を5〜20質量部、好ましくは10〜16質量部配合する。そして、下塗り塗被層用の水性塗被液には、顔料100質量部当たり、0.5〜12質量部の水溶性接着剤を配合することが好ましい。この理由については明らかではないが、水溶性接着剤は、微粒顔料を効果的に接着するためと考えられる。なお、水溶性接着剤の配合量が12質量部を越えるとインキセットないしはインキ乾燥性が低下する虞がある。
上記の水性塗被液には、必要に応じて、青系統或いは紫系統の染料や有色顔料、蛍光染料、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電処理剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
【0020】
本発明の印刷用塗被紙に使用する原紙は、特に限定されるものではないが、一般的には、坪量が30〜300g/m2程度の範囲にある原紙が、目的に応じて適宜選択して使用される。原紙自体の抄造条件についても、特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ性抄紙等のいずれの方式でも良いが、近年、紙の保存性が要求されることから、中性抄紙により抄紙された原紙が好ましい。勿論、澱粉溶液等をサイズプレスすることもできる。
【0021】
原紙に下塗り塗被層及び上塗り塗被層を設ける際に使用する水性塗被液の塗工装置にも、特に限定はない。当業界で一般的に使用されているトレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、チャンプフレックスコーター、ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スプレーコーター等の塗工装置が適宜使用できる。勿論、これらの装置はオンマシンでもよく、オフマシンであってもよい。
【0022】
水性塗被液の塗被組成物の塗被量にも特に限定はないが、一般に、下塗り塗被層及び上塗り塗被層とも乾燥重量で片面当たり3〜15g/m2程度とし、得られる印刷用塗被紙の白紙品質、印刷品質および印刷適性、さらには塗被紙製造時の乾燥能力等を考慮して、下塗り塗被層及び上塗り塗被層を合わせて片面当り10〜30g/m2程度の範囲とすることが望ましい。なお、湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
【0023】
本発明の印刷用塗被紙について、これまでは塗被紙の最外層に配される上塗り塗被層と、この最外層に接する下塗り層の2層構成を中心に説明をしてきたが、本発明では更にかかる下塗り層に接する第三の塗被層を原紙との間に形成するなどして3層以上の構成とすることもできる。かかる第三の塗被層の組成および塗被量については特に限定するものではなく、任意の顔料と接着剤を主成分とする水性塗被液を、乾燥重量で片面当り0.5〜10g/m2程度となるようにゲートロールコーター等で塗工し、乾燥すればよい。
【0024】
本発明の印刷用塗被紙の製造に際しては、上塗り塗被層の形成後に、各種キャレンダー装置にて平滑化処理が施されるが、かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールである。弾性ロールはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。
なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗被紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組合せて使用することも勿論可能である。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、部および%とあるのは、それぞれ固形分質量部、固形分質量%を示す。
【0026】
各実施例及び比較例で得られた印刷用塗被紙を、下記の方法で評価し、その結果を表に示した。
【0027】
〔塗被紙の白紙光沢度〕:JISP8142に準拠し、光沢度計(GM−25/村上色彩技術研究所製)を用いて75°光沢度を測定した。
【0028】
〔塗被紙の平滑度〕:J.TAPPI No.5に準拠し、王研式平滑度計(旭精工製)を用いて測定した。
【0029】
〔塗被紙の印刷光沢度〕:RI印刷試験機にて、印刷インキ(東洋インキ社製)を0.6cc使用して印刷を行い、23℃、相対湿度50%の雰囲気で2日間放置してインキを乾燥させ、光沢度計(GM−26D/村上色彩技術研究所製)を用いて60°光沢度を測定した。
【0030】
〔塗被紙のインキセット性〕:RI印刷試験機にて、印刷インキ(東洋インキ社製)を0.6cc使用して印刷を行い、3分後に白紙と印刷面を重ねて、再度RI印刷試験機にてニップし、白紙に転写したインキの濃度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。5(優:濃度低)−1(劣:濃度高)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0031】
〔塗被紙の印刷表面強度〕:RI印刷試験機にて、印刷インキ(東洋インキ社製)を0.4cc使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。評価は次の5段階評価で行った。5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0032】
実施例1
<原紙の調製>
酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLBKP95部(CSF500ml)と、酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたNBKP5部(CSF500ml)とからなるパルプスラリー100部に、填料として軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−121/奥多摩工業社製)を原紙灰分が10%となるように添加した後、パルプスラリーの全固形分に対して硫酸アルミニウム0.5部、カチオン澱粉(エースK−100/王子コーンスターチ社製)0.5部、アルキルケテンダイマーサイズ剤(サイズパインK−287/荒川化学社製)0.1部、ポリアクリルアミド(ポリストロン851/荒川化学社製)0.02部を順次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサイズプレス装置で酸化澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)を両面で1.5g/m2(固形分)塗布して実量64.7g/m2の原紙を調製した。
【0033】
<下塗り用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、平均粒子径が1.21μmの重質炭酸カルシウム(FMT−65/ファイマテック社製)80部、平均粒子径が0.47μmの軽質炭酸カルシウム(ブリリアントS−15/白石工業社製)20部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)6部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)6部および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度60%の下塗り用塗被液を得た。
【0034】
<上塗り用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)60部、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)40部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)1.5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC−104HS/サンノプコ社製)0.2部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度63%の上塗り用塗被液を得た。
なお、上塗り用水性塗被液に使用した重質炭酸カルシウム(スーパーコート95)およびカオリン(ウルトラホワイト90)の平均粒子径と、粒子径0.2μm以上のフラクションの分量は、次のとおりであった。
また、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95)のD75/D25の値は2.4であった。
さらに、上塗り用塗被液中に含まれる全顔料の平均粒子径は0.64μmであり、粒子径0.2μm以上のフラクションの分量は、82.5質量%であった。
【0035】
<塗被紙の製造>
上記塗被液を上記条件で抄紙した原紙に、下塗り用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り10g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り10g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量104.7g/m2の印刷用塗被紙を得た。この印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0036】
実施例2
<重質炭酸カルシウムの調製>
固形分濃度40質量%に調整した市販の重質炭酸カルシウム(FMT−95/ファイマテック社製:平均粒子径0.63μm)を、デカンタ型遠心分離機に毎分60リットル供給し、1800Gの遠心力で重液と軽液に分離(重液:軽液=85:15の固形分比で分離、重液の固形分濃度は75%、軽液の固形分濃度は11%)し、該重液を固形分濃度75質量%に調製して重質炭酸カルシウムAを得た。また、該軽液を固形分濃度50質量%に濃縮して重質炭酸カルシウムBを得た。
この重質炭酸カルシウムAの平均粒子径は0.86μmであり、D75/D25の値は2.8であった。そして、重質炭酸カルシウムAに含まれる粒子径0.2μm以上の粒子の分量は92.1質量%であった。
また、重質炭酸カルシウムBの平均粒子径が0.13μmであった。
【0037】
<カオリンスラリーAの調製>
上記の重質炭酸カルシウムを調製する際に生成した軽液(固形分濃度11質量%)5部に、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部および水を添加し、更にカオリン(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)を添加して、固形分濃度70質量%のカオリンスラリーAを得た。このカオリンスラリーAに含まれる顔料粒子の平均粒子径は0.31μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の64.7質量%であった。
【0038】
<下塗り用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリンスラリーA10部、重質炭酸カルシウムB20部、平均粒子径が1.21μmの重質炭酸カルシウム(FMT−65/ファイマテック社製)70部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)6部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)6部および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の下塗り用塗被液を得た。
【0039】
<上塗り層用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、上記重質炭酸カルシウムA40部、カオリンスラリーA60部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC−104HS/サンノプコ社製)0.2部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度63%の塗被液を得た。
上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.53μmであり、粒子径0.2μm以上の粒子の分量は全顔料の75.7質量%であった。
【0040】
<塗被紙の製造>
上記塗被液を実施例1で抄紙した原紙に、下塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り10g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り10g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量104.7g/m2の印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.23g/cm3であった。
【0041】
実施例3
実施例2の<上塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムA40部の内、20部をハイドロカーブ90(備北粉化工業社製)に置換えた以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。この印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に使用した重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ90)の平均粒子径は0.81μmであり、D75/D25の値は3.8であり、粒子径0.2μm以上の粒子の分量は86.2質量%であった。そして、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.52μmであり、粒子径0.2μm以上の粒子の分量は74.5質量%であった。
【0042】
実施例4
実施例2の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムBを40部、平均粒子径が1.21μmである重質炭酸カルシウム(FMT−65/ファイマテック社製)を50部とした以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0043】
実施例5
実施例2の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する接着剤をスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)10部とし、澱粉を配合しなかった以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0044】
実施例6
実施例2の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する接着剤を澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)10部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)5部とした以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0045】
実施例7
実施例2の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する接着剤を澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)14部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)2部とした以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0046】
実施例8
実施例2の<上塗り用水性塗被液の調製>において、配合する顔料を、重質炭酸カルシウムA40部、カオリン(アマゾンSD/カダム社製)60部とした以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。この印刷用塗被紙の緊度は1.23g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に使用したカオリン(アマゾンSD)の平均粒子径は0.26μmであり、粒子経0.2μm以上の粒子の分量は60.0質量%であった。そして、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.36μmであり、粒子径0.2μm以上の粒子の分量は全顔料の72.8質量%であった。
【0047】
比較例1
実施例1の<下塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する軽質炭酸カルシウム(ブリリアントS−15/白石工業社製)をFMT−65(ファイマテック社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は1.22g/cm3であった。
【0048】
比較例2
実施例2の<下塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムBをFMT−65(ファイマテック社製)に変更し、<上塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムAをセタカーブHG(備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.23g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に使用した重質炭酸カルシウム(セタカーブHG)の平均粒子径は0.37μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は70.1質量%であった。また、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.33μmであり、粒子径が0.2μm以上である顔料の分量は66.9質量%であった。
【0049】
比較例3
実施例2の<下塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムBを60部、FMT−65(ファイマテック社製)を30部に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.23g/cm3であった。
【0050】
比較例4
実施例2の<下塗り層用水性塗被液の調製>において、配合するFMT−65をハイドロカーブ90(備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は1.23g/cm3であった。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例9
<原紙の調製>
実施例1の<原紙の調製>において、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−121/奥多摩工業社製)を、原紙灰分が5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にして実量75g/m2の原紙を得た。
【0053】
<下塗り用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)5部、重質炭酸カルシウムB20部、重質炭酸カルシウム(FMT−65/ファイマテック社製)75部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)6部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)6部を順次加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%の下塗り用塗被液を得た。
【0054】
<上塗り層用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、重質炭酸カルシウムA80部、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)20部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)10部を順次加え、更に水を加えて固形分濃度63%の塗被液を得た。
なお、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.76μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の86.9質量%であった。
【0055】
<塗被紙の製造>
上記塗被液を上記条件で抄紙した原紙に、下塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り11g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り8g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量113g/m2の印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
【0056】
比較例5
実施例9の<下塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムBをFMT−65(ファイマテック社製)に変更し、<上塗り層用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムAをハイドロカーブ90(備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.71μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の82.2質量%であった。
【0057】
比較例6
実施例9の<上塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムAを100部に変更した以外は、実施例9と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.87μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の92.1質量%であった。
【0058】
比較例7
実施例9の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムBをFMT−65(ファイマテック社製)に変更し、<上塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムAをハイドロカーブ60(備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例9と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に使用した重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60)の平均粒子径は1.29μmであり、D75/D25の値は4.7であり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、89.5質量%であった。そして、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は1.10μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の84.8質量%であった。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例10
<下塗り層用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、重質炭酸カルシウムB20部、重質炭酸カルシウム(FMT−65/ファイマテック社製)80部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)1部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)8部および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度64質量%の下塗り用塗被液を得た。
【0061】
<上塗り用水性塗被液の調製>
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム0.1部を添加した水溶液に、カオリン(ミラグロス/エンゲルハード社製)20部、軽質炭酸カルシウム(TP−221GS/奥多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(スーパーコート95/ファイマテック社製)40部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤として澱粉(エースA/王子コーンスターチ社製)2部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(T−2561C/JSR社製)10部、滑剤としてステアリン酸カルシウム(ノプコートC−104HS/サンノプコ社製)0.3部、および消泡剤、染料などの助剤を順次加え、更に水を加えて固形分濃度62%の塗被液を得た。
なお、上塗り用水性塗被液に使用したカオリン(ミラグロス)および軽質炭酸カルシウム(TP−221GS)の平均粒子径は、それぞれ0.31μmおよび0.45μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、それぞれ66.0質量%および88.0質量%であった。そして、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.59μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は、全顔料の85.8質量%であった。
【0062】
<塗被紙の製造>
実施例9と同じ原紙に、下塗り用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り11g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、上塗り層用水性塗被液を、乾燥重量が片面当り8g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量113g/m2の印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
【0063】
比較例8
実施例10の<下塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムをハイドロカーブ90(備北粉化工業社製)100部に変更し、<上塗り用水性塗被液の調製>において、配合する重質炭酸カルシウムをハイドロカーブ90(備北粉化工業社製)に変更した以外は、実施例10と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印刷用塗被紙の緊度は1.10g/cm3であった。
なお、上塗り用水性塗被液に含まれる全顔料の平均粒子径は0.57μmであり、粒子径が0.2μm以上である粒子の分量は全顔料の82.9質量%であった。
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】
表1〜3の結果から明らかなように、本発明の印刷用塗被紙は、印刷光沢、インキセットおよび表面強度がバランスよく改善された塗被紙であった。
Claims (3)
- 原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を2層以上設けた印刷用塗被紙において、塗被紙の最外層に配される上塗り塗被層に、平均粒子径が0.5〜1.2μmの範囲にあり、粒度分布測定曲線の75質量%に該当する粒子径(D75)と25質量%に該当する粒子径(D25)との比、D75/D25が1.5〜3.3の範囲にある重質炭酸カルシウムを、当該上塗り塗被層に含まれる全顔料の10〜90質量%に相当する量で含有させ、塗被紙の最外層と接する下塗り塗被層に、平均粒子径1.1〜2.5μmの重質炭酸カルシウムを、当該下塗り塗被層に含まれる全顔料の50〜95質量%に相当する量で含有させ、かつ、平均粒子径が0.5μm以下である顔料を、当該下塗り塗被層に含まれる全顔料の5〜50質量%に相当する量で含有させたことを特徴とする印刷用塗被紙。
- 上塗り塗被層に含まれる全顔料の平均粒子径が、0.35〜1.0μmの範囲にあり、その70質量%以上を占める顔料の粒子径が、0.2μm以上であることを特徴とする請求項1記載の印刷用塗被紙。
- 上記下塗り塗被層が、これに含まれる全顔料の0.5〜12質量%に相当する水溶性接着剤を含有することを特徴とする請求項1記載の印刷用塗被紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002160206A JP3755597B2 (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 印刷用塗被紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002160206A JP3755597B2 (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 印刷用塗被紙 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004003057A true JP2004003057A (ja) | 2004-01-08 |
JP3755597B2 JP3755597B2 (ja) | 2006-03-15 |
Family
ID=30429702
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002160206A Expired - Lifetime JP3755597B2 (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 印刷用塗被紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3755597B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006512487A (ja) * | 2002-12-27 | 2006-04-13 | イメリーズ ピグメンツ インコーポレイテッド | 紙コーティング顔料 |
JP2008038036A (ja) * | 2006-08-07 | 2008-02-21 | Nippon Zeon Co Ltd | 中空重合体粒子の水分散液、中空重合体粒子を含む多層フィルム及びその製造方法 |
JP2015074860A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙の製造方法 |
JP2015074859A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙 |
JP2015074858A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙 |
CN115341406A (zh) * | 2022-09-02 | 2022-11-15 | 东莞建晖纸业有限公司 | 一种白底白涂布纸背涂涂料及其制备方法 |
-
2002
- 2002-05-31 JP JP2002160206A patent/JP3755597B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006512487A (ja) * | 2002-12-27 | 2006-04-13 | イメリーズ ピグメンツ インコーポレイテッド | 紙コーティング顔料 |
JP4789469B2 (ja) * | 2002-12-27 | 2011-10-12 | イメリーズ ピグメンツ インコーポレイテッド | 紙コーティング顔料 |
JP2008038036A (ja) * | 2006-08-07 | 2008-02-21 | Nippon Zeon Co Ltd | 中空重合体粒子の水分散液、中空重合体粒子を含む多層フィルム及びその製造方法 |
JP2015074860A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙の製造方法 |
JP2015074859A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙 |
JP2015074858A (ja) * | 2013-10-11 | 2015-04-20 | 王子ホールディングス株式会社 | 塗工白板紙 |
CN115341406A (zh) * | 2022-09-02 | 2022-11-15 | 东莞建晖纸业有限公司 | 一种白底白涂布纸背涂涂料及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3755597B2 (ja) | 2006-03-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0377983B1 (en) | Newsprint | |
US20070054100A1 (en) | Coated paper | |
JPH09291497A (ja) | 常温硬化に適切なロール印刷紙およびその製造方法 | |
AU721381B2 (en) | Coated printing paper and method of manufacture | |
KR101098261B1 (ko) | 인쇄용 도피지 | |
JP3755597B2 (ja) | 印刷用塗被紙 | |
JP2003171893A (ja) | 印刷用塗工紙 | |
JP2008075200A (ja) | 印刷用塗工紙およびその製造方法 | |
JP4344930B2 (ja) | 印刷用塗被紙 | |
JP2002088679A (ja) | グラビア印刷用塗工紙 | |
JP2000170093A (ja) | 塗工軽量印刷紙の製造方法及び塗工軽量印刷紙 | |
JP2991251B2 (ja) | グラビア用中質塗工紙 | |
JP4631690B2 (ja) | オフセット印刷新聞用紙 | |
JP4030259B2 (ja) | オフセット印刷用多層塗工紙 | |
JP4452482B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JP3552007B2 (ja) | オフセット輪転印刷用塗被紙 | |
JP4477368B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JP4452481B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JPH0665897A (ja) | オフセット印刷用塗工紙 | |
JP2005154931A (ja) | 印刷用塗工紙 | |
JP4452480B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JP2005284214A (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JPH0770986A (ja) | 印刷用塗被紙およびその製造方法 | |
JP4477366B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート | |
JP4477367B2 (ja) | 湿式電子写真用記録シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040702 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051110 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051130 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051213 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3755597 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090106 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100106 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100106 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110106 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110106 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120106 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120106 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130106 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130106 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140106 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |