JP2004002752A - ポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法並びに半導体装置、光学部品および有機電界発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低誘電率低屈折率樹脂を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、200℃以上、酸素濃度が1000ppm以下の雰囲気下で加熱することを特徴とするポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法。
(一般式(1)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はF、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。)
【選択図】 なし
【解決手段】一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、200℃以上、酸素濃度が1000ppm以下の雰囲気下で加熱することを特徴とするポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法。
(一般式(1)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はF、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和基含有脂環式イミドの重合体であるポリ(脂環式オレフィン)の熱処理等に関する。
【0002】
【従来の技術】
大規模集積回路(LSI)は、微細加工技術の進歩を反映して、高集積化、多機能化、高性能化が進んでいる。その結果、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量(以下、それぞれ「寄生抵抗」、「寄生容量」という)が増大して、消費電力が増大するだけでなく、デバイスの信号スピードが低下する大きな要因となっている。そのため、配線の周辺を低誘電率の層間絶縁膜で被って寄生容量を下げ、デバイスを高速化させようとしている。具体的には、従来の層間絶縁膜に用いられている酸化ケイ素膜を、より誘電率の小さい有機膜に替える試みがなされている。しかし、層間絶縁膜には、低誘電性とともに、実装基板製造時の薄膜形成工程や、チップ接続、ピン付け等の後工程に耐えられる優れた耐熱性及び機械特性を有することが要求される。代表的な低誘電性有機材料としてポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やノルボルネン系樹脂が知られているが、耐熱性や機械特性が不十分である。一方では、耐熱性や機械特性の優れた有機材料が知られているが、従来のポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の比誘電率は3.0〜4.0程度であり、低誘電性の面で満足できない。また、従来のポリイミドは誘電率の異方性が大きく、配線間方向と配線層間方向で比誘電率が異なるという問題がある。また、ノルボルネンイミド系ポリマーが知られている(例えば非特許文献1参照)が、電気特性(特に誘電率)及び機械特性に関する記載はない。
【0003】
すなわち、耐熱性、機械特性、低誘電性、誘電率の等方性を同時に兼ね備えた絶縁材料は、未だ見出されていないのが現状である。また、光通信関係、特に光導波路のクラッド材には低屈折率、低複屈折率であることが期待されている。
【0004】
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.200,338−347,1999
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低誘電性と耐熱性、低屈折性、誘電率の等方性(低複屈折率)および機械特性を同時に兼ね備えた絶縁材料、光学部品材料又は有機電界発光素子材料として有用なポリマーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基本的には以下の構成よりなる。即ち、
一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、100℃以上、酸素濃度が1000ppm以下の雰囲気下で加熱することを特徴とするポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法
である。
【0007】
【化4】
【0008】
(一般式(1)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はH、F、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)は、一般式(2)で表される不飽和基含有脂環式イミド化合物を、重合溶媒中、金属触媒下でビニル付加重合することにより得られる。
【0010】
【化5】
【0011】
一般式(2)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はF、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。
【0012】
単量体である不飽和基含有脂環式イミド化合物は、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物と一般式(4)で表される芳香族アミン化合物を有機溶媒中、反応温度20℃〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜150℃で0.5〜24時間反応させることにより得られる。
【0013】
【化6】
【0014】
一般式(3)において、lは1〜2の整数を示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0015】
【化7】
【0016】
一般式(4)において、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2を示す。R7、R8はH、F、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。
【0017】
また、R7、R8の少なくとも1つはCF3であることが、低誘電率化の点よりさらに好ましい。
【0018】
この反応に用いる溶媒の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、酢酸等のプロトン性極性溶媒等を挙げることができる。また、これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0019】
本発明で用いられる一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,3−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,−テトラフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,−テトラキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7−テトラメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7−テトラエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジシクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−メチル−7−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、、7,8−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジシクロヘキシル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0020】
本発明で用いることができる一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物としては、酸無水物部の立体配置がexo−体であることが、endo−体であることより、不飽和基含有脂環式酸無水物から得られる不飽和基含有脂環式イミド化合物の重合反応性が高いという点で好ましい。
【0021】
本発明で用いられる一般式(4)で表される芳香族アミン化合物の具体例としては、2−トリフルオロメチルアニリン、3−トリフルオロメチルアニリン、4−トリフルオロメチルアニリン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,4−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、2,3,4,5,6−ペンタキス(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−3−トリフルオロアニリン、2−フルオロ−4−トリフルオロアニリン、2−フルオロ−5−トリフルオロアニリン、3−フルオロ−4−トリフルオロアニリン、3−フルオロ−5−トリフルオロアニリン、2−メチル−3−トリフルオロアニリン、2−メチル−4−トリフルオロアニリン、2−メチル−5−トリフルオロアニリン、3−メチル−4−トリフルオロアニリン、3−メチル−5−トリフルオロアニリン、2−フェニル−3−トリフルオロアニリン、2−フェニル−4−トリフルオロアニリン、2−フェニル−5−トリフルオロアニリン、3−フェニル−4−トリフルオロアニリン、3−フェニル−5−トリフルオロアニリン、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、4−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、2−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、3−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、4−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、2−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,3−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0022】
前記一般式(2)で表される不飽和基含有脂環式イミドのビニル付加重合反応は、金属触媒を用いて行われる。反応温度は、0〜250℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃である。反応圧力は特に限定されず、通常、常圧で実施することができる。また、反応時間は、好ましくは0.5〜120時間であり、より好ましくは0.5〜48時間である。
【0023】
重合溶媒の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。また、これらの重合溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明で好ましく用いられる金属触媒は、通常、第4属あるいは第10属遷移金属触媒であり、その具体例としては、Cp2ZrCl2/メチルアルミノキノサン(以下、MAOと略す、なおCpはシクロペンタジエニル基を表す)、Cp2ZrCl2/メチルイソブチルアルミノキサン、PdCl3/MAO、Ni(acac)2/MAO(acacはアセチルアセナートを表す)、Ni(acac)2/EtAlCl2、Ni(acac)2・2H2O/EtAlCl2、Ni(acac)2/TiCl4、Ni(acac)2/BF3・Et2O、NiCl2(PPh3)2/AlCl3、Pd(acac)2/EtAlCl2、PdCl2(C6H5CN)2/EtAlCl2、PdCl2(C6H5CN)2/TiCl4、PdCl2(C6H5CN)2/BF3・Et2Oの組み合わせた触媒系、[(η3−allyl)PdX](X=BF4,SbF6,AsF6,PF6,CF3SO3 −)で表されるアリルPdイオン錯体、CpTiCl3、CpTiCl3のシクロペンタジエニル基にエーテル基を有するハーフチタノセン、CpTiCl3のシクロペンタジエニル基にエステル基を有するハーフチタノセン、等を挙げることができるがこれに限定されない。触媒の濃度は、反応原料に対して0.01〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜5モル%である。また、重合反応は触媒の失活を抑えるため、不活性ガス下で行うのが好ましい。
【0025】
また、不飽和基含有脂環式イミドは、他の不飽和基含有化合物と共重合しても良い。
【0026】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)は、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物を上記の方法で重合後、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物と反応させることで得ることもできる。
【0027】
また、一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)の前駆体を経由して本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)を得ることもできる。ポリ(脂環式オレフィン)の前駆体の例として、下記一般式(5)が挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
【化8】
【0029】
一般式(5)において、R9は、H、炭素数1〜10までアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも、異なっていてもよい。その他の記号については、一般式(1)で表される構造単位の前駆体であるので、一般式(1)と同じである。
【0030】
一般式(5)で表されるポリマーは、一般式(6)で表される単量体から得ることができるし、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物を上記の方法で重合後、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物と反応させることで得ることもできる。
【0031】
【化9】
【0032】
一般式(6)は一般式(5)の単量体であるので、一般式(6)中の記号は一般式(5)中の記号と同じである。
【0033】
以上のような重合反応により、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)を得ることができる。
【0034】
また、ポリマー中の残留触媒はNaBH4、活性アルミナ、HCl、HBr、水素、ヒドロシラン化合物を用いて除去することができる。
【0035】
本発明において、ポリ(脂環式オレフィン)組成物は、前記の通りのポリ(脂環式オレフィン)を少なくとも含む組成物である。本発明において、組成物の有機成分中に前記ポリ(脂環式オレフィン)は好ましくは30重量%以上(より好ましくは50重量%、更に好ましくは80重量%)である。
【0036】
本発明における組成物中のポリ(脂環式オレフィン)は酸化されやすいため、100℃以上(好ましくは150〜500℃、より好ましくは200〜450℃)で加熱処理する必要がある。なお前記加熱温度条件の数値範囲の下限値を下回るとポリ(脂環式オレフィン)組成物は耐熱性が向上する本発明の効果が十分に得られず、一方前記数値範囲の上限値を上回ると熱分解してしまうので、好ましくない。
【0037】
本発明のポリ(脂環式オレフィン)組成物はあらかじめ耐熱性樹脂に変換した後に塗布製膜が可能であるため、塗布溶剤が乾燥する温度で加熱することにより、耐熱性皮膜を形成できる。つまり、耐熱性皮膜を200℃付近の比較的低温の加熱で得ることができるため、耐熱性の高くない基板に対しても使用することができる。
【0038】
絶縁膜(半導体装置用等)や光学部品等への用途では、熱処理後の樹脂皮膜の耐熱性(重量減少率、分子量減少率)が重要である。機械特性は加熱処理時の酸素濃度の影響を受けやすく、前記加熱処理する際に、加熱処理雰囲気の酸素濃度が1000ppm以下(好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下)であることが必要である。そのため、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなど)雰囲気下で処理するのが好ましいが、さらに、ポリマーの酸化を防ぐために、加熱処理雰囲気に還元性ガスを含むことが好ましい。還元性ガスの例として、水素、メタン、エタン、プロパン、シラン、メチルシラン、硫化水素等が挙げられるが、特に水素を含むことが好ましい。これらを1種または2種以上のガスを用いても良い。還元性ガスの混合率は0.001〜100%であることが好ましいが、安全性の面で、爆発限界濃度以外で用いることが好ましい。例えば水素の場合、爆発限界濃度が4〜72.4%であるので、0〜4%または72.4〜100%であることが望ましい。
【0039】
一方、有機電界発光素子の絶縁膜や半導体素子基板の平坦化膜等への用途では、熱処理後の樹脂皮膜の耐熱性(重量減少率、分子量減少率)は上記用途に比べて重要ではなく、むしろ架橋がより進んだ緻密な膜が求められる。このため、酸化によりできるだけ架橋を進行させるのが好ましく、前記加熱処理する際に、加熱処理雰囲気の酸素濃度が1000ppm以下である必要はなく、100ppm以上(好ましくは1000ppm以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは20%前後(空気雰囲気))であることが好ましい。なお、酸素濃度が高過ぎると基板との接着性が低下するので酸素濃度は好ましくは60(より好ましくは40)%以下である。
【0040】
本発明の加熱処理の時間は好ましくは1分〜48時間(より好ましくは5分〜24時間、更に好ましくは30分〜12時間)である。前記数値範囲の下限値を下回るとポリマー薄膜中に塗布溶剤などの揮発成分やポリマー中の未硬化部分が多く残ることとなり、一方、前記数値範囲の上限値を上回ると工程が長くなりすぎるため、コストが高くなり好ましくない。又、本発明の加熱処理において、前半は余り高温にしない前加熱処理とすることが好ましくその場合の温度は好ましくは100〜200℃(より好ましくは120〜180℃)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので、好ましくない。又、前記前加熱処理の時間は、好ましくは1分〜4時間(より好ましくは5分〜2時間)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので、好ましくない。さらに、本発明の加熱処理の前に溶媒除去の予備加熱処理することも好ましくその場合の温度は好ましくは50〜180℃(より好ましくは60〜150℃)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生したりするので好ましくない。又、前記溶媒除去の予備加熱処理の時間は、好ましくは10秒〜10分(より好ましくは30秒〜5分)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので好ましくない。
【0041】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物の1%重量減少温度(Td1)は、工程上必要とされる耐熱性の点から、350℃以上が好ましく、より好ましくは400℃以上である。また、ガラス転移温度(Tg)は250℃以上が好ましく、より好ましくは300℃以上である。
【0042】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)の重量平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上である。本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)の誘電率(1kHz)は3.0以下、さらに2.7以下であることが好ましく、屈折率については平行方向、垂直方向のいずれの屈折率も1.75以下、好ましくは1.65以下であることが、必要とされる低誘電性の点から好ましい。さらに複屈折率は0.01以下であることが好ましい。
【0043】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)は架橋構造を形成させることができ、耐薬品性、耐熱性、機械特性を向上させることができる。架橋構造は、架橋構造を形成する化合物と一般式(1)で表される構造単位かつ/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)との共重合体かつ/または分散体から形成することができる。
【0044】
共重合する場合、例えば、架橋構造を形成する化合物を単量体の一部として用いて、架橋性基を有する共重合体を得ることができる。また、一般式(3)と、一般式(2)かつ/または一般式(6)とを共重合した後に、共重合体中の酸無水物と反応する架橋構造を形成する化合物(例えばアミノ基を有する架橋構造を形成する化合物)とを反応させて架橋性基を有する共重合体を得ることができる。
【0045】
分散させる場合はポリ(脂環式オレフィン)と架橋性化合物とを溶解する溶媒に溶解させれば良く、例えば、反応性基を有するポリ(脂環式オレフィン)(例えば、反応性基が酸無水物)を合成し、その反応性基と反応する基を2つ以上有する化合物(例えば、ジアミン化合物)を溶媒に分散させ、両者を反応させることで架橋構造を形成することができる。また、ポリ(脂環式オレフィン)と反応点を持たない架橋構造を形成する化合物を用いて、相互貫入型ポリマーとしても良い。
【0046】
本発明における架橋構造を形成する化合物の具体例としては、架橋構造を有する単量体として、架橋基を有するノルボルネンイミド誘導体(N−{4−エチニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{3−エチニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(トリメトキシシリル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(フェニルビニル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−ビニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−エチニルフェノキシ)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、2,5−ノルボルナジエン等が挙げられ、アミノ基を有する架橋構造を形成する化合物として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−アミノ−4’−エチニルジフェニルエーテル、2−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、3−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、4−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、2−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、2−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、3−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、4−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、4−アミノスチレン、4−アミノスチルベン、4−アリルアニリン等があげられるがこららに限定されない。また、前記ジアミン化合物の例として、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋構造を形成する化合物として、アルコキシシラン化合物(例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、ヘキサメトキシジシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、等)、エチニル化合物(例えば、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、9,10−ビス(フェニルエチニルアントラセン)、1,3,5−トリエチニルベンゼン、ジフェニルアセチレン、1,2−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,3−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,4−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、等)、ビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、等)、アリル化合物(例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等)、等があげられるがこれらに限定されない。上記架橋構造を形成する化合物は単独もしくは複数で用いることができる。
【0047】
架橋構造を形成する化合物は0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%とするのが良い。架橋構造を形成する化合物の添加量が少なすぎると架橋密度が不十分で耐薬品性や耐熱性が改善されない恐れがある。
【0048】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)は溶媒に溶解して、キャスト法、バーコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法などの方法で成膜することができる。好ましい溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、あるいはこれらの混合したもの、その他、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)が溶解するものを好ましく用いることができる。また、これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
また、本発明における(a)ポリ(脂環式オレフィン)に、(b)固体粒子を添加することで、機械特性の向上、低誘電率化、さらに組成物溶液の粘性を高めて塗布性を改善することができる。
【0050】
(b)成分である固体粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、セリア粒子などの無機酸化粒子やその分散ゲル、あるいはフラーレン粒子、カーボンナノチューブ、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンプロピレン共重合体やこれらの分散ゲルなどを挙げることができ、これら固体粒子の少なくとも1つを含有することで上記特性の改善を図ることができる。固体粒子は、化合物(a)成分100重量部に対して1〜100重量部添加することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。
【0051】
また、必要に応じてポリ(脂環式オレフィン)に基板との濡れ性を向上させる目的で界面活性剤を混合しても良い。
【0052】
さらに、下地との接着性を向上する目的で、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をポリ(脂環式オレフィン)のワニスに加えたり、基板を前処理することもできる。
【0053】
したがって、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物は本発明の処理方法により、プリント基板や半導体装置における層間絶縁膜やパッシベーション膜、光導波路のような光学部品のコア、クラッド材、半導体素子の保護膜や半導体素子基板の平坦化膜、有機電界発光素子などを搭載した表示装置における絶縁層等として極めて良好に使用することができる。また、本発明の加熱処理方法は一般の絶縁材料用途としての処理方法としても有用である。
【0054】
ここで、平坦化膜とは半導体素子が形成された基板表面の凹凸を埋めて、基板表面を平坦化するための薄膜である。特に、薄膜トランジスター(TFT)で駆動するアクティブ表示装置において、TFT基板表面の平坦化のために用いられる。
【0055】
また本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物を用いて表示装置に形成される絶縁膜は、基板上に形成された第一電極と、前記第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置に関するものであり、具体的には例えば、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機電界発光装置)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)、プラズマディスプレイ(PDP)などが該当する。有機電界発光装置とは、基板上に形成された第一電極と、第一電極上に形成された少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層と、薄膜層上に形成された第二電極とを含む有機電界発光素子からなる表示装置である。発光材料の違いにより、低分子材料を用いる低分子型と高分子材料を用いる高分子型に大別される。前者の低分子型の場合、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物により形成した樹脂被膜は、第一電極のエッジ部分に集中する電界を緩和するために、第一電極を部分的に露出せしめるように第一電極上に形成されるものである。また、後者の高分子型の場合、前者低分子型におけるエッジ部集中電界緩和の役割に加え、高分子発光材料を溶解せしめたインクをインクジェット方式にてパターン加工する際に、インクが打ち込まれる土手(バンク)としても好適に機能することもある。
【0056】
【実施例】
以下本発明をより詳細に説明するために、実施例および比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(特性の測定方法)
重量平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Model510(Waters社製))を用いて、ポリスチレン換算にて重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0057】
膜厚の測定
シリコンウエハー上の製膜した膜に傷を付け、その傷の深さを触針計サーフコム1500A(東京精密株式会社製)を用いて測定し、その深さを膜の厚さとした。
【0058】
比誘電率の測定
ポリ(脂環式オレフィン)膜の1kHzにおける静電容量を横川・ヒューレット・パッカード株式会社製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により比誘電率(ε)を求めた。
ε=C・d/ε0・S(但し、Cは静電容量(F)、dは試料膜厚(m)、ε0は真空中の誘電率、Sは上部電極面積(m2)である。)。
【0059】
屈折率の測定
プリズムカップラーModelPC2010(Metricon社製)のHe−Neレーザーの波長(633nm)を用い、プリズムカップラー法で20℃で測定し、膜面に対して平行方向の屈折率(TE)と垂直方向の屈折率(TM)およびそれらの差である複屈折率を求めた。
【0060】
ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計DSC−50(島津製作所株式会社製)により、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分で測定した。
【0061】
重量減少率(Td)の測定
熱重量測定装置TGA−50(島津製作所株式会社製)を用い、250℃1時間熱処理後、昇温速度10℃/分で加熱して400℃に到達した時点を100%とし、そのまま30分熱処理したときの重量減少率(%)を測定した。
【0062】
平坦化率の測定
凹凸のある基板上に樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上でプリベーク、クリーンオーブン中で加熱した。得られた基板に対し、図1の元の基板の凹凸の段差(x)、塗布製膜後の凹凸の段差(y)の値を(x−y)/x×100の式に代入し、平坦化率を算出した。なお、一般的に平坦化膜としては0.7以上の平坦化率が要求される。
【0063】
参考例1 exo−ナジック酸無水物の合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(exo−ナジック酸無水物)の合成
endo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(endo−ナジック酸無水物)100g(0.61モル)を、窒素下、200℃で6時間攪拌して熱異性化させた。反応物を120℃まで冷却し、トルエン100mlを加えた後、室温まで冷却すると淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶をトルエンで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を32.83g得た。
【0064】
参考例2 パラジウム錯体の合成
塩化パラジウム(II)2g(0.011モル)を塩酸(36%)5mlに加熱しながら溶解し、冷却後エタノール150mlを加えた。この反応液を濾過後、濾液に2,5−ノルボルナジエン2.31g(0.025モル)を加えたところ、黄色固体が析出した。濾過により固体を分離し、減圧下で乾燥し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド3.07gを得た。
【0065】
このビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド2.62g(0.0097モル)、炭酸ナトリウム0.88g(0.0083モル)にメタノール35mlを加え、窒素下、室温で2時間撹拌して反応させた。反応液を濾過により分離し、減圧下で乾燥したところ、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド二量体2.57gを淡黄色の粉末として得た。
【0066】
さらに、このビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド二量体をクロロベンゼンに溶解させた後、1.6等量のテトラフルオロホウ酸銀を加え、室温で15分撹拌し、目的とするパラジウム錯体の溶液を得た。この溶液を不飽和基含有脂環式イミドの重合触媒として用いた。
【0067】
参考例3 ナジイミドAの合成
N−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物6.85g(0.04モル)を氷酢酸34ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン10.19g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を11.62g得た。
【0068】
参考例4 ナジイミドBの合成
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物9.26g(0.06モル)を氷酢酸46ml(20w/v)に溶解した。この溶液に4−トリフルオロメチルアニリン10g(0.06モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を13.12g得た。
【0069】
参考例5 ナジイミドCの合成
N−[3−トリフルオロメチル−4−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物5.75g(0.04モル)を氷酢酸29ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3−トリフルオロメチル−4−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ}アニリン15g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を13.61g得た。
【0070】
参考例6 ナジイミドDの合成
N−(3,5−ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物5.75g(0.04モル)を氷酢酸29ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3,5−ジメチルアニリン4.84g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を9g得た。
【0071】
参考例7 ポリマーAの合成
窒素下、参考例2で得られたパラジウム錯体のクロロベンゼン溶液40.5mlに,参考例3で得られたナジイミドA3.64g(0.0097モル)を加え、室温で36時間反応させた。この反応液を濾過し、固体をNMP、水、メタノールで洗浄した後、減圧下にて乾燥しポリマーを得た。収量は、1.61gであった。このポリマー1.3gを酢酸エチル10gに溶解し、ポリマーA溶液とした。ジメチルフェニルシラン1gを加え、24時間攪拌した。析出した黒色沈澱(Pd)を濾過で取り除き、濾液をヘキサンに投入し白色沈澱を得た。この沈澱を濾取し、減圧下にて乾燥し、ポリマーAを得た。収量は1.2gであった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。重量平均分子量(Mw)は39000であった。
【0072】
実施例1
前述のポリマーA1gを2−ヘプタノン3gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、この溶液を6×6cmのAl基板上およびシリコンウエハー上に回転塗布し、ついで、ホットプレート(大日本スクリーン株式会社製SKW−636)を用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブン(光洋リンドバーグ株式会社製イナートオーブン)を用いて、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、透明な膜を得た。その後、Al基板上に形成したこのポリマー膜上にマスクをしてAlを真空蒸着し、上部電極を形成して比誘電率(ε)測定試料とした。その試料の誘電率を測定した結果、ε=2.36であり低い値であった。
【0073】
次に、ガラス上に形成したポリマー膜を用いて、屈折率を測定した。その結果、屈折率は、TE=1.4846、TM=1.4812、複屈折率は0.0034であり、屈折率、複屈折率ともに小さな値となった。
【0074】
また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0075】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
参考例8 ポリマーBの合成
参考例4で得られたナジイミドB6g(0.0195モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーBの固体を得た。収量は、4.66gであった。重量平均分子量(Mw)は19000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0077】
実施例2
前述のポリマーAをB1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液を調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.50、屈折率は、TE=1.5021、TM=1.4985、複屈折率は0.0036であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0078】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
参考例9 ポリマーCの合成
参考例5で得られたナジイミドC6g(0.0112モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーCの固体を得た。収量は、4.03gであった。重量平均分子量(Mw)は22000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0080】
実施例3
実施例1のポリマーAを前述のポリマーC1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.32、屈折率は、TE=1.5099、TM=1.5065、複屈折率は0.0034であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0081】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
参考例10 ポリマーDの合成
参考例6で得られたナジイミドD6g(0.049モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーDの固体を得た。収量は、4.66gであった。重量平均分子量(Mw)は55000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0083】
実施例4
実施例1のポリマーAを前述のポリマーD1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.65、屈折率は、TE=1.5646、TM=1.5607、複屈折率は0.0039であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出さなかった。
【0084】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
実施例5〜8、比較例1〜4
前記参考例のポリマーA〜Dから、実施例1の通りの処方で調製した溶液を用い、窒素+水素中(水素濃度3%、酸素濃度300ppm)、大気中の2水準で重量減少率を測定した。
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例9
厚さ1.1mmの無アルカリガラス表面にスパッタリング蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極膜が形成されたガラス基板を120×100mmの大きさに切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜をストライプ形状にパターニングした。このストライプ状第一電極は100μmピッチである。こうして、第一電極を形成した基板を作成した。
【0088】
次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液をスピンコート法により第一電極を形成した基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、絶縁層を得た。この絶縁層上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。絶縁層の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、絶縁層を第一電極のエッジを覆うように形成した。絶縁層の厚さは約1μmであった。
【0089】
次に、絶縁層を形成した基板を用いて低分子型の有機電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。なお、蒸着時の真空度2×10−4Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を600nm、基板有効エリア全面に蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0090】
さらに、シャドーマスクを用いて発光層を形成した。0.3重量%の1,3,5,7,8−ペンタメチル−4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)を21nm蒸着し、緑色発光層をパターニングした。
【0091】
次に、シャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせをして、1重量%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着して、赤色発光層をパターニングした。
【0092】
さらにシャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせをして、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビフェニル)ジフェニル(DPVBi)を20nm蒸着して青色発光層をパターニングした。緑色、赤色、青色それぞれの発光層はストライプ状第一電極の3本ごとに配置され、第一電極の露出部分を完全に覆っている。
【0093】
最後に、シャドーマスクを用いて、抵抗線加熱方式の真空蒸着法により第二電極を形成した。なお、蒸着時の真空度は3×10−4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源に対して基板を回転させた。発光層のパターニングと同様に、アルミニウムを240nmの厚さに蒸着して、第二電極をパターニングした。第二電極は、間隔をあけて配置された複数のストライプ状第一電極と直交する配置で、間隔をあけて配置されたストライプ状にパターニングされている。
【0094】
得られた上記基板を蒸着機から取り出し、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにしてITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることきた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0095】
実施例10
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例9と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0096】
実施例11
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例9と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0097】
実施例12
実施例9と同様にして、第一電極を形成した基板を作成した。
【0098】
次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液をスピンコート法により第一電極を形成した基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、バンク層を得た。このバンク層上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。絶縁層の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、絶縁層を第一電極のエッジを覆うように形成した。絶縁層の厚さは約3μmであった。
【0099】
次に、バンク層を形成した基板を用いて高分子型の有機電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、高分子発光材料を含む溶液をインクジェット法によりバンクの中に吐出した。その後、乾燥して溶媒を除去し、シャドーマスクを用いて第二電極のアルミニウムを形成した。
【0100】
得られた上記基板を、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにしてITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。バンク層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0101】
実施例13
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例12と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0102】
実施例14
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例12と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0103】
実施例15
ガラス基板上に薄膜トランジスター素子を形成し、アクティブマトリックス基板を得た。次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液を、スピンコート法によりアクティブマトリックス基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、平坦化膜を得た。この平坦化膜上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。平坦化膜の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、所望のパターンの平坦化膜を形成した。平坦化膜の厚さは約2μmであった。平坦化率は92%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0104】
実施例16
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例15と同様にして、アクティブマトリックス基板上に平坦化膜を作製した。平坦化膜の厚さは約2.5μmであった。平坦化率は89%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0105】
実施例17
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例15と同様にして、アクティブマトリックス基板上に平坦化膜を作製した。平坦化膜の厚さは約2.3μmであった。平坦化率は90%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0106】
【発明の効果】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物は本発明の処理方法により、低誘電率、耐熱性、低屈折率、低複屈折率、機械特性に優れた、プリント基板や半導体装置における層間絶縁膜やパッシベーション膜や、光導波路のような光学部品のコア、クラッド材、半導体素子の保護膜や半導体素子基板の平坦化膜、有機電界発光素子などを搭載した表示装置における絶縁層等として極めて良好に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平坦化率測定法の説明における断面図
【符号の説明】
1:平坦化膜
2:基板
3:段差構造体
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和基含有脂環式イミドの重合体であるポリ(脂環式オレフィン)の熱処理等に関する。
【0002】
【従来の技術】
大規模集積回路(LSI)は、微細加工技術の進歩を反映して、高集積化、多機能化、高性能化が進んでいる。その結果、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量(以下、それぞれ「寄生抵抗」、「寄生容量」という)が増大して、消費電力が増大するだけでなく、デバイスの信号スピードが低下する大きな要因となっている。そのため、配線の周辺を低誘電率の層間絶縁膜で被って寄生容量を下げ、デバイスを高速化させようとしている。具体的には、従来の層間絶縁膜に用いられている酸化ケイ素膜を、より誘電率の小さい有機膜に替える試みがなされている。しかし、層間絶縁膜には、低誘電性とともに、実装基板製造時の薄膜形成工程や、チップ接続、ピン付け等の後工程に耐えられる優れた耐熱性及び機械特性を有することが要求される。代表的な低誘電性有機材料としてポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂やノルボルネン系樹脂が知られているが、耐熱性や機械特性が不十分である。一方では、耐熱性や機械特性の優れた有機材料が知られているが、従来のポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の比誘電率は3.0〜4.0程度であり、低誘電性の面で満足できない。また、従来のポリイミドは誘電率の異方性が大きく、配線間方向と配線層間方向で比誘電率が異なるという問題がある。また、ノルボルネンイミド系ポリマーが知られている(例えば非特許文献1参照)が、電気特性(特に誘電率)及び機械特性に関する記載はない。
【0003】
すなわち、耐熱性、機械特性、低誘電性、誘電率の等方性を同時に兼ね備えた絶縁材料は、未だ見出されていないのが現状である。また、光通信関係、特に光導波路のクラッド材には低屈折率、低複屈折率であることが期待されている。
【0004】
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.200,338−347,1999
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低誘電性と耐熱性、低屈折性、誘電率の等方性(低複屈折率)および機械特性を同時に兼ね備えた絶縁材料、光学部品材料又は有機電界発光素子材料として有用なポリマーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基本的には以下の構成よりなる。即ち、
一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、100℃以上、酸素濃度が1000ppm以下の雰囲気下で加熱することを特徴とするポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法
である。
【0007】
【化4】
【0008】
(一般式(1)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はH、F、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。)
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)は、一般式(2)で表される不飽和基含有脂環式イミド化合物を、重合溶媒中、金属触媒下でビニル付加重合することにより得られる。
【0010】
【化5】
【0011】
一般式(2)において、lは1〜2、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2のいずれかを示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じでも異なっていてもよい。R7、R8はF、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。
【0012】
単量体である不飽和基含有脂環式イミド化合物は、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物と一般式(4)で表される芳香族アミン化合物を有機溶媒中、反応温度20℃〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜150℃で0.5〜24時間反応させることにより得られる。
【0013】
【化6】
【0014】
一般式(3)において、lは1〜2の整数を示す。R1〜R4はH、F、CF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。R5、R6はH、または炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0015】
【化7】
【0016】
一般式(4)において、m、n、oは0〜5の整数を示し、m+n≧1を満たす整数である。Xは直接結合、またはO、S、CH2、CO、SO、SO2を示す。R7、R8はH、F、CF3、OCF3、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも異なっていてもよい。
【0017】
また、R7、R8の少なくとも1つはCF3であることが、低誘電率化の点よりさらに好ましい。
【0018】
この反応に用いる溶媒の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、酢酸等のプロトン性極性溶媒等を挙げることができる。また、これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0019】
本発明で用いられる一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,3−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,−テトラフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,−テトラキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7−テトラメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7−テトラエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジシクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−メチル−7−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−7,7−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、、7,8−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサフルオロ−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサメチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,7,8,8−テトラエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6,7,7,8,8−ヘキサエチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジシクロヘキシル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジフルオロ−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ジメチル−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5,6−ビス(トリフルオロメチル)−7,8−ジフェニル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0020】
本発明で用いることができる一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物としては、酸無水物部の立体配置がexo−体であることが、endo−体であることより、不飽和基含有脂環式酸無水物から得られる不飽和基含有脂環式イミド化合物の重合反応性が高いという点で好ましい。
【0021】
本発明で用いられる一般式(4)で表される芳香族アミン化合物の具体例としては、2−トリフルオロメチルアニリン、3−トリフルオロメチルアニリン、4−トリフルオロメチルアニリン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,4−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリン、2,3,4,5,6−ペンタキス(トリフルオロメチル)アニリン、2−フルオロ−3−トリフルオロアニリン、2−フルオロ−4−トリフルオロアニリン、2−フルオロ−5−トリフルオロアニリン、3−フルオロ−4−トリフルオロアニリン、3−フルオロ−5−トリフルオロアニリン、2−メチル−3−トリフルオロアニリン、2−メチル−4−トリフルオロアニリン、2−メチル−5−トリフルオロアニリン、3−メチル−4−トリフルオロアニリン、3−メチル−5−トリフルオロアニリン、2−フェニル−3−トリフルオロアニリン、2−フェニル−4−トリフルオロアニリン、2−フェニル−5−トリフルオロアニリン、3−フェニル−4−トリフルオロアニリン、3−フェニル−5−トリフルオロアニリン、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、3−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、4−(3−トリフルオロメチルフェニル)アニリン、2−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、3−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、4−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]アニリン、2−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[3,4−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,3−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルチオ]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルフィニル]アニリン、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,4−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ビス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,4,6−トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−フルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ジフルオロ−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3−トリフルオロメチル−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)−4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルスルホニル]アニリン、等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0022】
前記一般式(2)で表される不飽和基含有脂環式イミドのビニル付加重合反応は、金属触媒を用いて行われる。反応温度は、0〜250℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃である。反応圧力は特に限定されず、通常、常圧で実施することができる。また、反応時間は、好ましくは0.5〜120時間であり、より好ましくは0.5〜48時間である。
【0023】
重合溶媒の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。また、これらの重合溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明で好ましく用いられる金属触媒は、通常、第4属あるいは第10属遷移金属触媒であり、その具体例としては、Cp2ZrCl2/メチルアルミノキノサン(以下、MAOと略す、なおCpはシクロペンタジエニル基を表す)、Cp2ZrCl2/メチルイソブチルアルミノキサン、PdCl3/MAO、Ni(acac)2/MAO(acacはアセチルアセナートを表す)、Ni(acac)2/EtAlCl2、Ni(acac)2・2H2O/EtAlCl2、Ni(acac)2/TiCl4、Ni(acac)2/BF3・Et2O、NiCl2(PPh3)2/AlCl3、Pd(acac)2/EtAlCl2、PdCl2(C6H5CN)2/EtAlCl2、PdCl2(C6H5CN)2/TiCl4、PdCl2(C6H5CN)2/BF3・Et2Oの組み合わせた触媒系、[(η3−allyl)PdX](X=BF4,SbF6,AsF6,PF6,CF3SO3 −)で表されるアリルPdイオン錯体、CpTiCl3、CpTiCl3のシクロペンタジエニル基にエーテル基を有するハーフチタノセン、CpTiCl3のシクロペンタジエニル基にエステル基を有するハーフチタノセン、等を挙げることができるがこれに限定されない。触媒の濃度は、反応原料に対して0.01〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜5モル%である。また、重合反応は触媒の失活を抑えるため、不活性ガス下で行うのが好ましい。
【0025】
また、不飽和基含有脂環式イミドは、他の不飽和基含有化合物と共重合しても良い。
【0026】
本発明における一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)は、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物を上記の方法で重合後、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物と反応させることで得ることもできる。
【0027】
また、一般式(1)で表される構造単位を含むポリ(脂環式オレフィン)の前駆体を経由して本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)を得ることもできる。ポリ(脂環式オレフィン)の前駆体の例として、下記一般式(5)が挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
【化8】
【0029】
一般式(5)において、R9は、H、炭素数1〜10までアルキル基、炭素数6〜20のアリール基のいずれかを示し、同じでも、異なっていてもよい。その他の記号については、一般式(1)で表される構造単位の前駆体であるので、一般式(1)と同じである。
【0030】
一般式(5)で表されるポリマーは、一般式(6)で表される単量体から得ることができるし、一般式(3)で表される不飽和基含有脂環式酸無水物を上記の方法で重合後、一般式(4)で表される芳香族アミン化合物と反応させることで得ることもできる。
【0031】
【化9】
【0032】
一般式(6)は一般式(5)の単量体であるので、一般式(6)中の記号は一般式(5)中の記号と同じである。
【0033】
以上のような重合反応により、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)を得ることができる。
【0034】
また、ポリマー中の残留触媒はNaBH4、活性アルミナ、HCl、HBr、水素、ヒドロシラン化合物を用いて除去することができる。
【0035】
本発明において、ポリ(脂環式オレフィン)組成物は、前記の通りのポリ(脂環式オレフィン)を少なくとも含む組成物である。本発明において、組成物の有機成分中に前記ポリ(脂環式オレフィン)は好ましくは30重量%以上(より好ましくは50重量%、更に好ましくは80重量%)である。
【0036】
本発明における組成物中のポリ(脂環式オレフィン)は酸化されやすいため、100℃以上(好ましくは150〜500℃、より好ましくは200〜450℃)で加熱処理する必要がある。なお前記加熱温度条件の数値範囲の下限値を下回るとポリ(脂環式オレフィン)組成物は耐熱性が向上する本発明の効果が十分に得られず、一方前記数値範囲の上限値を上回ると熱分解してしまうので、好ましくない。
【0037】
本発明のポリ(脂環式オレフィン)組成物はあらかじめ耐熱性樹脂に変換した後に塗布製膜が可能であるため、塗布溶剤が乾燥する温度で加熱することにより、耐熱性皮膜を形成できる。つまり、耐熱性皮膜を200℃付近の比較的低温の加熱で得ることができるため、耐熱性の高くない基板に対しても使用することができる。
【0038】
絶縁膜(半導体装置用等)や光学部品等への用途では、熱処理後の樹脂皮膜の耐熱性(重量減少率、分子量減少率)が重要である。機械特性は加熱処理時の酸素濃度の影響を受けやすく、前記加熱処理する際に、加熱処理雰囲気の酸素濃度が1000ppm以下(好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下)であることが必要である。そのため、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなど)雰囲気下で処理するのが好ましいが、さらに、ポリマーの酸化を防ぐために、加熱処理雰囲気に還元性ガスを含むことが好ましい。還元性ガスの例として、水素、メタン、エタン、プロパン、シラン、メチルシラン、硫化水素等が挙げられるが、特に水素を含むことが好ましい。これらを1種または2種以上のガスを用いても良い。還元性ガスの混合率は0.001〜100%であることが好ましいが、安全性の面で、爆発限界濃度以外で用いることが好ましい。例えば水素の場合、爆発限界濃度が4〜72.4%であるので、0〜4%または72.4〜100%であることが望ましい。
【0039】
一方、有機電界発光素子の絶縁膜や半導体素子基板の平坦化膜等への用途では、熱処理後の樹脂皮膜の耐熱性(重量減少率、分子量減少率)は上記用途に比べて重要ではなく、むしろ架橋がより進んだ緻密な膜が求められる。このため、酸化によりできるだけ架橋を進行させるのが好ましく、前記加熱処理する際に、加熱処理雰囲気の酸素濃度が1000ppm以下である必要はなく、100ppm以上(好ましくは1000ppm以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは20%前後(空気雰囲気))であることが好ましい。なお、酸素濃度が高過ぎると基板との接着性が低下するので酸素濃度は好ましくは60(より好ましくは40)%以下である。
【0040】
本発明の加熱処理の時間は好ましくは1分〜48時間(より好ましくは5分〜24時間、更に好ましくは30分〜12時間)である。前記数値範囲の下限値を下回るとポリマー薄膜中に塗布溶剤などの揮発成分やポリマー中の未硬化部分が多く残ることとなり、一方、前記数値範囲の上限値を上回ると工程が長くなりすぎるため、コストが高くなり好ましくない。又、本発明の加熱処理において、前半は余り高温にしない前加熱処理とすることが好ましくその場合の温度は好ましくは100〜200℃(より好ましくは120〜180℃)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので、好ましくない。又、前記前加熱処理の時間は、好ましくは1分〜4時間(より好ましくは5分〜2時間)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので、好ましくない。さらに、本発明の加熱処理の前に溶媒除去の予備加熱処理することも好ましくその場合の温度は好ましくは50〜180℃(より好ましくは60〜150℃)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生したりするので好ましくない。又、前記溶媒除去の予備加熱処理の時間は、好ましくは10秒〜10分(より好ましくは30秒〜5分)である。前記数値範囲の下限値を下回る、または、前記数値範囲の上限値を上回るとポリマー薄膜の平坦性が悪くなったり、クラックが生じたりするので好ましくない。
【0041】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物の1%重量減少温度(Td1)は、工程上必要とされる耐熱性の点から、350℃以上が好ましく、より好ましくは400℃以上である。また、ガラス転移温度(Tg)は250℃以上が好ましく、より好ましくは300℃以上である。
【0042】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)の重量平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは1000以上である。本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)の誘電率(1kHz)は3.0以下、さらに2.7以下であることが好ましく、屈折率については平行方向、垂直方向のいずれの屈折率も1.75以下、好ましくは1.65以下であることが、必要とされる低誘電性の点から好ましい。さらに複屈折率は0.01以下であることが好ましい。
【0043】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)は架橋構造を形成させることができ、耐薬品性、耐熱性、機械特性を向上させることができる。架橋構造は、架橋構造を形成する化合物と一般式(1)で表される構造単位かつ/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)との共重合体かつ/または分散体から形成することができる。
【0044】
共重合する場合、例えば、架橋構造を形成する化合物を単量体の一部として用いて、架橋性基を有する共重合体を得ることができる。また、一般式(3)と、一般式(2)かつ/または一般式(6)とを共重合した後に、共重合体中の酸無水物と反応する架橋構造を形成する化合物(例えばアミノ基を有する架橋構造を形成する化合物)とを反応させて架橋性基を有する共重合体を得ることができる。
【0045】
分散させる場合はポリ(脂環式オレフィン)と架橋性化合物とを溶解する溶媒に溶解させれば良く、例えば、反応性基を有するポリ(脂環式オレフィン)(例えば、反応性基が酸無水物)を合成し、その反応性基と反応する基を2つ以上有する化合物(例えば、ジアミン化合物)を溶媒に分散させ、両者を反応させることで架橋構造を形成することができる。また、ポリ(脂環式オレフィン)と反応点を持たない架橋構造を形成する化合物を用いて、相互貫入型ポリマーとしても良い。
【0046】
本発明における架橋構造を形成する化合物の具体例としては、架橋構造を有する単量体として、架橋基を有するノルボルネンイミド誘導体(N−{4−エチニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{3−エチニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(トリメトキシシリル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(フェニルビニル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−ビニルフェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−エチニルフェノキシ)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、2,5−ノルボルナジエン等が挙げられ、アミノ基を有する架橋構造を形成する化合物として、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノフェニルトリメトキシシラン、4−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−アミノ−4’−エチニルジフェニルエーテル、2−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、3−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、4−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、2−[(トリメチルシリル)エチニル]アニリン、2−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、3−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、4−[2−(2−ヒドロキシプロピル)エチニル]アニリン、4−アミノスチレン、4−アミノスチルベン、4−アリルアニリン等があげられるがこららに限定されない。また、前記ジアミン化合物の例として、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋構造を形成する化合物として、アルコキシシラン化合物(例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、ヘキサメトキシジシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、等)、エチニル化合物(例えば、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、9,10−ビス(フェニルエチニルアントラセン)、1,3,5−トリエチニルベンゼン、ジフェニルアセチレン、1,2−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,3−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,4−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、等)、ビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、等)、アリル化合物(例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等)、等があげられるがこれらに限定されない。上記架橋構造を形成する化合物は単独もしくは複数で用いることができる。
【0047】
架橋構造を形成する化合物は0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%とするのが良い。架橋構造を形成する化合物の添加量が少なすぎると架橋密度が不十分で耐薬品性や耐熱性が改善されない恐れがある。
【0048】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)は溶媒に溶解して、キャスト法、バーコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法などの方法で成膜することができる。好ましい溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−t−ブチル、酢酸−n−ブチル、酢酸−n−ヘキシル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、あるいはこれらの混合したもの、その他、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)が溶解するものを好ましく用いることができる。また、これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
また、本発明における(a)ポリ(脂環式オレフィン)に、(b)固体粒子を添加することで、機械特性の向上、低誘電率化、さらに組成物溶液の粘性を高めて塗布性を改善することができる。
【0050】
(b)成分である固体粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、セリア粒子などの無機酸化粒子やその分散ゲル、あるいはフラーレン粒子、カーボンナノチューブ、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンプロピレン共重合体やこれらの分散ゲルなどを挙げることができ、これら固体粒子の少なくとも1つを含有することで上記特性の改善を図ることができる。固体粒子は、化合物(a)成分100重量部に対して1〜100重量部添加することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。
【0051】
また、必要に応じてポリ(脂環式オレフィン)に基板との濡れ性を向上させる目的で界面活性剤を混合しても良い。
【0052】
さらに、下地との接着性を向上する目的で、シランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤をポリ(脂環式オレフィン)のワニスに加えたり、基板を前処理することもできる。
【0053】
したがって、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物は本発明の処理方法により、プリント基板や半導体装置における層間絶縁膜やパッシベーション膜、光導波路のような光学部品のコア、クラッド材、半導体素子の保護膜や半導体素子基板の平坦化膜、有機電界発光素子などを搭載した表示装置における絶縁層等として極めて良好に使用することができる。また、本発明の加熱処理方法は一般の絶縁材料用途としての処理方法としても有用である。
【0054】
ここで、平坦化膜とは半導体素子が形成された基板表面の凹凸を埋めて、基板表面を平坦化するための薄膜である。特に、薄膜トランジスター(TFT)で駆動するアクティブ表示装置において、TFT基板表面の平坦化のために用いられる。
【0055】
また本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物を用いて表示装置に形成される絶縁膜は、基板上に形成された第一電極と、前記第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置に関するものであり、具体的には例えば、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機電界発光装置)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)、プラズマディスプレイ(PDP)などが該当する。有機電界発光装置とは、基板上に形成された第一電極と、第一電極上に形成された少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層と、薄膜層上に形成された第二電極とを含む有機電界発光素子からなる表示装置である。発光材料の違いにより、低分子材料を用いる低分子型と高分子材料を用いる高分子型に大別される。前者の低分子型の場合、本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物により形成した樹脂被膜は、第一電極のエッジ部分に集中する電界を緩和するために、第一電極を部分的に露出せしめるように第一電極上に形成されるものである。また、後者の高分子型の場合、前者低分子型におけるエッジ部集中電界緩和の役割に加え、高分子発光材料を溶解せしめたインクをインクジェット方式にてパターン加工する際に、インクが打ち込まれる土手(バンク)としても好適に機能することもある。
【0056】
【実施例】
以下本発明をより詳細に説明するために、実施例および比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(特性の測定方法)
重量平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Model510(Waters社製))を用いて、ポリスチレン換算にて重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0057】
膜厚の測定
シリコンウエハー上の製膜した膜に傷を付け、その傷の深さを触針計サーフコム1500A(東京精密株式会社製)を用いて測定し、その深さを膜の厚さとした。
【0058】
比誘電率の測定
ポリ(脂環式オレフィン)膜の1kHzにおける静電容量を横川・ヒューレット・パッカード株式会社製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により比誘電率(ε)を求めた。
ε=C・d/ε0・S(但し、Cは静電容量(F)、dは試料膜厚(m)、ε0は真空中の誘電率、Sは上部電極面積(m2)である。)。
【0059】
屈折率の測定
プリズムカップラーModelPC2010(Metricon社製)のHe−Neレーザーの波長(633nm)を用い、プリズムカップラー法で20℃で測定し、膜面に対して平行方向の屈折率(TE)と垂直方向の屈折率(TM)およびそれらの差である複屈折率を求めた。
【0060】
ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計DSC−50(島津製作所株式会社製)により、窒素雰囲気中、昇温速度20℃/分で測定した。
【0061】
重量減少率(Td)の測定
熱重量測定装置TGA−50(島津製作所株式会社製)を用い、250℃1時間熱処理後、昇温速度10℃/分で加熱して400℃に到達した時点を100%とし、そのまま30分熱処理したときの重量減少率(%)を測定した。
【0062】
平坦化率の測定
凹凸のある基板上に樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上でプリベーク、クリーンオーブン中で加熱した。得られた基板に対し、図1の元の基板の凹凸の段差(x)、塗布製膜後の凹凸の段差(y)の値を(x−y)/x×100の式に代入し、平坦化率を算出した。なお、一般的に平坦化膜としては0.7以上の平坦化率が要求される。
【0063】
参考例1 exo−ナジック酸無水物の合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(exo−ナジック酸無水物)の合成
endo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(endo−ナジック酸無水物)100g(0.61モル)を、窒素下、200℃で6時間攪拌して熱異性化させた。反応物を120℃まで冷却し、トルエン100mlを加えた後、室温まで冷却すると淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶をトルエンで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を32.83g得た。
【0064】
参考例2 パラジウム錯体の合成
塩化パラジウム(II)2g(0.011モル)を塩酸(36%)5mlに加熱しながら溶解し、冷却後エタノール150mlを加えた。この反応液を濾過後、濾液に2,5−ノルボルナジエン2.31g(0.025モル)を加えたところ、黄色固体が析出した。濾過により固体を分離し、減圧下で乾燥し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド3.07gを得た。
【0065】
このビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド2.62g(0.0097モル)、炭酸ナトリウム0.88g(0.0083モル)にメタノール35mlを加え、窒素下、室温で2時間撹拌して反応させた。反応液を濾過により分離し、減圧下で乾燥したところ、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド二量体2.57gを淡黄色の粉末として得た。
【0066】
さらに、このビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン−パラジウムクロリド二量体をクロロベンゼンに溶解させた後、1.6等量のテトラフルオロホウ酸銀を加え、室温で15分撹拌し、目的とするパラジウム錯体の溶液を得た。この溶液を不飽和基含有脂環式イミドの重合触媒として用いた。
【0067】
参考例3 ナジイミドAの合成
N−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物6.85g(0.04モル)を氷酢酸34ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン10.19g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を11.62g得た。
【0068】
参考例4 ナジイミドBの合成
N−(4−トリフルオロメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物9.26g(0.06モル)を氷酢酸46ml(20w/v)に溶解した。この溶液に4−トリフルオロメチルアニリン10g(0.06モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を13.12g得た。
【0069】
参考例5 ナジイミドCの合成
N−[3−トリフルオロメチル−4−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物5.75g(0.04モル)を氷酢酸29ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3−トリフルオロメチル−4−{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ}アニリン15g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を13.61g得た。
【0070】
参考例6 ナジイミドDの合成
N−(3,5−ジメチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドの合成
exo−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物5.75g(0.04モル)を氷酢酸29ml(20w/v)に溶解した。この溶液に3,5−ジメチルアニリン4.84g(0.04モル)を滴下し、窒素下、120℃で8時間攪拌して反応させた。反応液を冷却後、水600mlに注ぐと淡黄色の結晶が析出した。さらに、この結晶を酢酸エチルで再結晶することにより無色透明の針状結晶を得た。濾過により、結晶を分離し、減圧下で乾燥し、目的の化合物を9g得た。
【0071】
参考例7 ポリマーAの合成
窒素下、参考例2で得られたパラジウム錯体のクロロベンゼン溶液40.5mlに,参考例3で得られたナジイミドA3.64g(0.0097モル)を加え、室温で36時間反応させた。この反応液を濾過し、固体をNMP、水、メタノールで洗浄した後、減圧下にて乾燥しポリマーを得た。収量は、1.61gであった。このポリマー1.3gを酢酸エチル10gに溶解し、ポリマーA溶液とした。ジメチルフェニルシラン1gを加え、24時間攪拌した。析出した黒色沈澱(Pd)を濾過で取り除き、濾液をヘキサンに投入し白色沈澱を得た。この沈澱を濾取し、減圧下にて乾燥し、ポリマーAを得た。収量は1.2gであった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。重量平均分子量(Mw)は39000であった。
【0072】
実施例1
前述のポリマーA1gを2−ヘプタノン3gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、この溶液を6×6cmのAl基板上およびシリコンウエハー上に回転塗布し、ついで、ホットプレート(大日本スクリーン株式会社製SKW−636)を用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブン(光洋リンドバーグ株式会社製イナートオーブン)を用いて、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、透明な膜を得た。その後、Al基板上に形成したこのポリマー膜上にマスクをしてAlを真空蒸着し、上部電極を形成して比誘電率(ε)測定試料とした。その試料の誘電率を測定した結果、ε=2.36であり低い値であった。
【0073】
次に、ガラス上に形成したポリマー膜を用いて、屈折率を測定した。その結果、屈折率は、TE=1.4846、TM=1.4812、複屈折率は0.0034であり、屈折率、複屈折率ともに小さな値となった。
【0074】
また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0075】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
参考例8 ポリマーBの合成
参考例4で得られたナジイミドB6g(0.0195モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーBの固体を得た。収量は、4.66gであった。重量平均分子量(Mw)は19000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0077】
実施例2
前述のポリマーAをB1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液を調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.50、屈折率は、TE=1.5021、TM=1.4985、複屈折率は0.0036であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0078】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
参考例9 ポリマーCの合成
参考例5で得られたナジイミドC6g(0.0112モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーCの固体を得た。収量は、4.03gであった。重量平均分子量(Mw)は22000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0080】
実施例3
実施例1のポリマーAを前述のポリマーC1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.32、屈折率は、TE=1.5099、TM=1.5065、複屈折率は0.0034であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出されなかった。
【0081】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
参考例10 ポリマーDの合成
参考例6で得られたナジイミドD6g(0.049モル)を単量体として用いた以外は参考例7と同様に重合行い、ポリマーDの固体を得た。収量は、4.66gであった。重量平均分子量(Mw)は55000であった。ポリマー中のPd濃度は0.1重量%以下であった。
【0083】
実施例4
実施例1のポリマーAを前述のポリマーD1gに変えた以外は実施例1と同様に溶液調製後、測定試料を作成した。その試料の比誘電率を測定した結果、ε=2.65、屈折率は、TE=1.5646、TM=1.5607、複屈折率は0.0039であった。また、ガラス転移温度は400℃まで検出さなかった。
【0084】
前記溶液の残りの一部を用い、窒素中(酸素濃度300ppm)で重量減少率を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
実施例5〜8、比較例1〜4
前記参考例のポリマーA〜Dから、実施例1の通りの処方で調製した溶液を用い、窒素+水素中(水素濃度3%、酸素濃度300ppm)、大気中の2水準で重量減少率を測定した。
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例9
厚さ1.1mmの無アルカリガラス表面にスパッタリング蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極膜が形成されたガラス基板を120×100mmの大きさに切断した。ITO基板上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。ITOの不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、ITO膜をストライプ形状にパターニングした。このストライプ状第一電極は100μmピッチである。こうして、第一電極を形成した基板を作成した。
【0088】
次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液をスピンコート法により第一電極を形成した基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、絶縁層を得た。この絶縁層上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。絶縁層の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、絶縁層を第一電極のエッジを覆うように形成した。絶縁層の厚さは約1μmであった。
【0089】
次に、絶縁層を形成した基板を用いて低分子型の有機電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、抵抗線加熱方式による真空蒸着法によって形成した。なお、蒸着時の真空度2×10−4Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を600nm、基板有効エリア全面に蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0090】
さらに、シャドーマスクを用いて発光層を形成した。0.3重量%の1,3,5,7,8−ペンタメチル−4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a、4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)を21nm蒸着し、緑色発光層をパターニングした。
【0091】
次に、シャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせをして、1重量%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着して、赤色発光層をパターニングした。
【0092】
さらにシャドーマスクを1ピッチ分ずらした位置の第一電極パターンに位置合わせをして、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビフェニル)ジフェニル(DPVBi)を20nm蒸着して青色発光層をパターニングした。緑色、赤色、青色それぞれの発光層はストライプ状第一電極の3本ごとに配置され、第一電極の露出部分を完全に覆っている。
【0093】
最後に、シャドーマスクを用いて、抵抗線加熱方式の真空蒸着法により第二電極を形成した。なお、蒸着時の真空度は3×10−4Pa以下であり、蒸着中は2つの蒸着源に対して基板を回転させた。発光層のパターニングと同様に、アルミニウムを240nmの厚さに蒸着して、第二電極をパターニングした。第二電極は、間隔をあけて配置された複数のストライプ状第一電極と直交する配置で、間隔をあけて配置されたストライプ状にパターニングされている。
【0094】
得られた上記基板を蒸着機から取り出し、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにしてITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることきた。絶縁層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0095】
実施例10
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例9と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0096】
実施例11
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例9と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0097】
実施例12
実施例9と同様にして、第一電極を形成した基板を作成した。
【0098】
次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液をスピンコート法により第一電極を形成した基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、バンク層を得た。このバンク層上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。絶縁層の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、絶縁層を第一電極のエッジを覆うように形成した。絶縁層の厚さは約3μmであった。
【0099】
次に、バンク層を形成した基板を用いて高分子型の有機電界発光装置の作製を行った。発光層を含む薄膜層は、高分子発光材料を含む溶液をインクジェット法によりバンクの中に吐出した。その後、乾燥して溶媒を除去し、シャドーマスクを用いて第二電極のアルミニウムを形成した。
【0100】
得られた上記基板を、基板と封止用ガラス板とを硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止した。このようにしてITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、良好な表示特性を得ることができた。バンク層の境界部分で薄膜層や第二電極が、薄くなったり段切れを起こすようなこともなく、スムーズに成膜されたので、発光領域内での輝度ムラは認められず、安定な発光が得られた。
【0101】
実施例13
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例12と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0102】
実施例14
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例12と同様にして、単純マトリクス型カラー有機電界発光装置を作製した。本表示装置を線順次駆動したところ、輝度ムラも認められず良好な表示特性を得ることができた。
【0103】
実施例15
ガラス基板上に薄膜トランジスター素子を形成し、アクティブマトリックス基板を得た。次に、参考例7で得られたポリマーA10gを2−ヘプタノン30gに溶解した。この溶液の一部を住友電気工業株式会社製四弗化エチレン樹脂製フィルター(ポアサイズ2μm)を用いて濾過した。つぎに、このポリマー溶液を、スピンコート法によりアクティブマトリックス基板上に回転塗布し、ついで、ホットプレートを用いて、80℃で3分、前乾燥し、さらにオーブンを用いて、大気下(酸素濃度:20%)で、140℃で0.5時間、250℃で1時間乾燥することにより、平坦化膜を得た。この平坦化膜上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によってパターニングした。平坦化膜の不要部分をエッチングして除去した後、フォトレジストを除去することで、所望のパターンの平坦化膜を形成した。平坦化膜の厚さは約2μmであった。平坦化率は92%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0104】
実施例16
参考例8で得られたポリマーBを用いた以外は、実施例15と同様にして、アクティブマトリックス基板上に平坦化膜を作製した。平坦化膜の厚さは約2.5μmであった。平坦化率は89%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0105】
実施例17
参考例9で得られたポリマーCを用いた以外は、実施例15と同様にして、アクティブマトリックス基板上に平坦化膜を作製した。平坦化膜の厚さは約2.3μmであった。平坦化率は90%を示し、良好な平坦化性能を示した。
【0106】
【発明の効果】
本発明におけるポリ(脂環式オレフィン)組成物は本発明の処理方法により、低誘電率、耐熱性、低屈折率、低複屈折率、機械特性に優れた、プリント基板や半導体装置における層間絶縁膜やパッシベーション膜や、光導波路のような光学部品のコア、クラッド材、半導体素子の保護膜や半導体素子基板の平坦化膜、有機電界発光素子などを搭載した表示装置における絶縁層等として極めて良好に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平坦化率測定法の説明における断面図
【符号の説明】
1:平坦化膜
2:基板
3:段差構造体
Claims (10)
- 一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、100℃以上、酸素濃度が1000ppm以下の雰囲気下で加熱することを特徴とするポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法。
- 前記組成物に、さらに架橋構造を形成する化合物が含まれることを特徴とする請求項1記載のポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法。
- 加熱処理雰囲気は還元性ガスを含むことを特徴とする請求項1または2記載のポリ(脂環式オレフィン)組成物の処理方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法で処理されたポリ(脂環式オレフィン)組成物よりなることを特徴とする絶縁膜。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の処理方法で処理されたポリ(脂環式オレフィン)組成物よりなることを特徴とする光学材料。
- 請求項4に記載の絶縁膜よりなることを特徴とする半導体装置。
- 請求項5に記載の光学材料よりなることを特徴とする光学部品。
- 有機電界発光素子であって、一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、100℃以上で加熱して得られた膜を有することを特徴とする有機電界発光素子。
- 半導体素子基板であって、一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(1)で表される構造単位の前駆体を含むポリ(脂環式オレフィン)組成物を、100℃以上で加熱して得られた平坦化膜を有することを特徴とする半導体素子基板。
- 請求項8に記載の有機電界発光素子よりなることを特徴とする有機電界発光装置。
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- 2003-03-26 JP JP2003084684A patent/JP2004002752A/ja active Pending
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