JP2004002546A - インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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平岡 英輔
Yoshiro Yamashita
山下 嘉郎
Mihoko Tani
谷 美穂子
Shunkaku Yui
由井 俊殻
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Abstract

【課題】微小ノズルを用いた記録ヘッドにおいても、目詰まりが発生せず、吐出安定性および吐出回復性に優れたインクジェット記録用インク、および、これを用いたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも水と染料と2種以上の水溶性有機溶媒とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記水溶性有機溶媒が、少なくともスルホランを含み、前記インクジェット記録用インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が、100ppm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インク。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式の記録装置に用いられるインクジェット記録用インク、およびインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等の記録媒体に記録を行うものである。このようなインクジェット記録用インク(以下、「インク」と略す場合がある)を吐出する方法については、静電誘引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電荷制御方式、ドロップオンデマンド方式としてはピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる圧力パルス方式、高熱により気泡を形成・成長させることにより生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆる熱インクジェット方式等、各種の方式が提案されており、これらの方式を利用することにより、極めて高精細の画像を得ることができる。
【0003】
かかるインクジェット記録方式に使用されるインクとしては、各種の水溶性の染料を水と水溶性有機溶剤とからなる液状媒体に溶解させた水性染料インク、各種の顔料を水と水溶性有機溶剤とからなる液状媒体に分散させた水性顔料インク、油溶性染料を有機溶剤に溶解させた油性染料インク等が知られている。これらのインクの中でも、水性染料インクおよび水性顔料インクは、主溶媒が水であるため安全性に優れており、インクジェット記録用インクの主流となっている。
【0004】
インクジェット記録用インクには様々な特性が要求されており、このような特性としては、(1)インクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」と略す場合がある)のノズルにおいて目詰まりを起こさないこと、(2)吐出安定性(周波数応答性)に優れていること、(3)長期放置後の吐出回復性が良好であること、(4)長期間保存しても析出物などを発生しないこと、(5)記録ヘッドなどのインクと接触する部材を腐食劣化させないこと、(6)良好な印字品質が得られること、(7)安全で不快な臭いがないこと等が挙げられる。
【0005】
近年では、写真に近い品質の印字画像が形成できることが、インクジェットプリンティング技術にも求められており、微小ドロップの吐出が可能なインクジェット記録方法による印字画像の高解像度化が進んでいる。このようなインクジェット記録方法においては、使用される記録ヘッドのノズルが微細化され、そのノズル径が小さくなることから、ノズルにおける目詰まりや吐出安定性(周波数応答性)、および、長期放置後の吐出回復性が問題となってくる。
【0006】
特に、少なくとも染料を着色成分として含む水性インクを用いた際の、インクジェット記録用ヘッドにおけるノズル目詰まり、および、長期放置後の不吐出は、主に記録ヘッドのノズル近傍にて、インク組成物である水およびその他の成分が蒸発することにより、次に説明するような現象が起きるためであると考えられる。
まず、一つには、インク中の染料が凝集・析出してノズルを閉塞または詰まらせることが挙げられ、もう一つには、インク中の保湿剤または粘度調整剤として含まれる水溶性有機溶剤の濃度が高くなり過ぎることによりインクの粘度が急激に高くなり、インクをノズルから吐出するために大きなエネルギーが必要となることが挙げられる。
【0007】
このような現象の発生を防止するためには、インク組成物である水およびその他の成分の蒸発を抑制することが必要であり、水およびその他の成分の蒸発を抑制するためには、インク中に含まれる高沸点の水溶性有機溶媒の添加量を増やすことが効果的である。しかし、この場合、インクの粘度が増加してしまうため、結果としてノズル目詰まりが発生しやすくなったり、吐出安定性が不良になってしまう。
【0008】
これらの問題を解決するために、インクの改良が試みられてきており、例えば、特開昭61−37753号公報に記載の技術では、スルホラン誘導体を特定の割合で含有するインクを用いることにより、吐出安定性、吐出応答性を改善する方法が提案されている。また、特開平6−248211号公報に記載の技術では、特定の染料と特定の溶媒とスルホランとを組合せた組成のインクを用いることにより目詰まりを改善する方法が提案されている。
【0009】
このように、スルホランがインク組成物として用いられる理由としては、以下に説明するようなメリットがあるためであると考えられる。
すなわち、1)スルホランは、インクジェット記録用インクに用いられる多くの染料に対して、良好な相溶性を示すことから、水およびその他の成分が蒸発した際も、染料の凝集・析出を抑制する効果があること、2)スルホランは高沸点であり、常温でも粘度が低いために、それ自身が蒸発することはなく、水およびその他の成分が蒸発したインクの粘度が急激に高くなることもない。そのため、ノズル目詰まりの発生防止や長期放置後の吐出回復性の改善に効果があること、以上の2つが挙げられる
【0010】
しかし、従来技術によるスルホランを含有するインクを、高解像度化の要求に対応するために、より微小なドロップ吐出が可能なより微細化されたノズルに対して適用しても、目詰まりの発生や、長期放置後の吐出回復性等の改善効果は不充分であった。
さらに、このようなインクを用いて、一般のオフィスや家庭等で大量にプリントした際には、前記インク中に含まれる硫黄化合物に起因する独特の異臭も問題となっていた。
【0011】
以上に説明したように、微細ノズルを用いた記録ヘッド(以下、「微細ノズルヘッド」と略す場合がある)に対して、目詰まりすることなく、且つ、目詰まり以外の種々の性能も満足させるインクジェット記録用インクは得られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、微小ノズルを用いた記録ヘッドにおいても、目詰まりが発生せず、吐出安定性および吐出回復性に優れたインクジェット記録用インク、および、これを用いたインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 少なくとも水と染料と2種以上の水溶性有機溶媒とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、
前記水溶性有機溶媒が、少なくともスルホランを含み、前記インクジェット記録用インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が、100ppm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクである。
【0014】
<2> 前記スルホランの純度が、96重量%以上であり、前記スルホランの濃度が80重量%であるスルホラン水溶液の導電率が、25×10−4S/m以下であることを特徴とする<1>に記載のインクジェット記録用インクである。
【0015】
<3> 20℃におけるpHが、5.0〜8.5範囲内であることを特徴とする<1>または<2>に記載のインクジェット記録用インクである。
【0016】
<4> 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、および/または、グリコールエーテルを含むことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
【0017】
<5> 前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2,2’−チオジエタノールから選ばれる少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする<4>に記載のインクジェット記録用インクである。
【0018】
<6> 前記グリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする<4>に記載のインクジェット記録用インクである。
【0019】
<7> 前記インクジェット記録用インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が3〜40重量%の範囲内であり、前記水溶性有機溶媒中のスルホランの重量比率が15〜70重量%の範囲内であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクである。
【0020】
<8> <1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法であって、
前記インクジェット記録用インクの吐出量が、液滴1ドロップ当り20ng以下であることを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、インクジェット記録用インクと、インクジェット記録方法と、に分けてこの順に詳細に説明する。
<インクジェット記録用インク>
本発明は、少なくとも水と染料と2種以上の水溶性有機溶媒とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、前記水溶性有機溶媒が、少なくともスルホランを含み、前記インクジェット記録用インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が、100ppm以下であることを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記したようなインク組成を有するため、スルホランを含む従来のインクにおいても十分に解決することができなかった目詰まりの発生を防止でき、吐出安定性および吐出回復性を改善することができる。
このような効果は、従来のスルホランを含むインクと比べて、特に、インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が極めて低いことにある。
【0023】
本発明者らは、上記した本発明を考案するにおいて、従来のスルホランを含むインクにおいて、目詰まりが発生したり、吐出安定性や吐出回復性が不充分である原因について鋭意検討した。その結果、インクに用いられるスルホランに含まれているt−ブチルカテコールがこれらの問題に関与しているものと推定した。これは以下の2つの理由による。
【0024】
まず第1に、一般的に、インクに用いられるスルホランの工業的製法は、ブタジエンと二酸化硫黄とを反応させ、スルフォレンとした後、このスルフォレンに水素添加することによりスルホランとする合成方法が利用されているが、この合成方法において、t−ブチルカテコールは、原料であるブタジエンの重合防止剤として主に使用され、また、ブタジエンと二酸化硫黄とを反応させる際の触媒として使用されることが挙げられる。
従って、t−ブチルカテコールは、このようなプロセスを経て合成されたスルホランには必ず含まれており、合成後のスルホランを精製しても十分に除去しきれずに、ある程度の量がスルホラン中に残留していることが多い。
【0025】
第2に、t−ブチルカテコールは、酸化され易い性質を有し、酸化された際に、水に対して難溶のハイドロキノンを生成する。このような酸化によるハイドロキノンの生成反応は、スルホランを含むインク中でも起こり、このインクを長期間保存すると、前記インク中に水に対して難溶のハイドロキノンが生成されることが挙げれる。
従って、このようなハイドロキノンを多く含むインクを、微小ノズルベッドを利用してインクジェット記録を行った場合、ノズルの目詰まりが発生したり、吐出安定性や吐出回復性が低下したりしやすくなる。
【0026】
以上に説明したようなことから、本発明者らは、インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度を小さくすることが、上記したような特性の改善に極めて重要であることを見出した
このような観点から、本発明のインク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度は、100ppm以下であることが必要あるが、50ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることがより好ましい。
t−ブチルカテコールの濃度が、100ppmよりも大きい場合には目詰まりを防止できず、十分な吐出安定性や吐出回復性を得られない。
【0027】
また、本発明のインクは、スルホラン以外の水溶性有機溶媒を必ず1種類以上含む必要がある。インクに用いられる水溶性有機溶媒がスルホラン1種類のみである場合には、インクの保湿性が弱くなり、水分が蒸発しやすくなり、結果として、目詰まりを起こしやすくなる。
【0028】
なお、本発明において「インクジェット記録用インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度」とは、実質的に前記インクジェット記録用インクを調整した直後における濃度を意味する。なお、前記濃度としては、勿論、インク調整直後のインク中におけるt−ブチルカテコールの濃度を測定した値を用いることができるが、インク調整直前のスルホラン中のt−ブチルカテコールの濃度を測定し、この濃度と調整後のインク中に含まれるスルホランの割合とから算出した値を用いることもできる。
また、本発明のインクを調整する際に用いられるスルホランは、t−ブチルカテコールが酸化することにより発生するハイドロキノンを実質的に殆ど含まないものが用いられる。なお、スルホラン中にインクとして調整した際に目詰まり等の問題を引き起こす程のハイドロキノンが含まれているかどうかは、本来、透明無色であるスルホランを目視で観察した時に褐色に着色しているかどうかで簡単に見分けることができる。このため、インク調整時には褐色に着色したスルホランを用いないことが好ましく、定量的な観点からは、インク調整時に用いられるスルホラン中に含まれるハイドロキノンの含有量は、100ppm以下が好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。
【0029】
−スルホランの純度および導電率−
また、本発明のインクに用いるスルホランは、その純度が96重量%以上であり、前記スルホランの濃度が80重量%であるスルホラン水溶液の導電率が、25×10−4S/m以下であることが好ましい。
【0030】
スルホランは、それ自身が含硫黄化合物であるため、多少の臭いを有するが、市販のスルホランには不純物として、合成の際に残った微量の未反応物質が含まれることが多く、このような未反応物質等の不純物がスルホラン以上に異臭を有している。
このため、これら異臭の原因となっている不純物を、精製することで取りのぞけば良く、精製によりスルホランの純度を96重量%以上としたスルホラン(以下、「精製スルホラン」と略す場合がある)をインク調整時に用いることが好ましい。精製は、減圧蒸留等を施せばよく、一般に知られている方法で行えばよい。また、純度を96重量%以上とすることにより目詰まり等の原因となるt−ブチルカテコールの含有量も少なくすることができる。
【0031】
但し、上記したような精製スルホランを用いてインクを調整しても、臭いの発生が抑えられない場合がある。これは、精製スルホラン中に含まれる不純物中に異臭の原因となる物質が多く含まれているためであると考えられる。このような精製スルホラン中に含まれる異臭発生の原因となる物質の量は、導電率に比例する傾向にあることから、精製スルホランの濃度が、80重量%であるスルホラン水溶液の導電率が、25×10−4S/m以下であることが好ましい。
【0032】
純度が96重量%未満であるスルホランを用いたり、精製スルホラン濃度が80重量%であるスルホラン水溶液の導電率が、25×10−4S/mよりも大きい場合には、異臭が発生する場合がある。
【0033】
−インクのpH−
また、本発明のインクは、20℃におけるpHが、5.0〜8.5の範囲内であることが好ましく、6.5〜8.0の範囲内であることがより好ましい。インクのpHを5.0〜8.5の範囲内に調整することで、さらに染料との相溶性が良好となり、ノズル目詰まりの防止や長期放置後の吐出回復性の向上に効果が現れる。
【0034】
インクのpHが5.0より低いと、インク中における染料自身の溶解性が低下し、凝集・析出の原因となる。また、pHが8.5より高いと、本発明以外のインク組成からなるインクにおいては、染料自身の水溶性は良好となるのであるが、本発明のインクのようなインク組成では逆に悪化してしまう傾向があるため、ノズル目詰まりが発生したり、吐出安定性や吐出回復性が低下してしまう場合がある。
【0035】
インクのpH調整方法としては、インクにpH調整剤を添加することが好ましく、このようpH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、ホウ酸、リン酸、亜リン酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の塩基、およびリン酸塩、シュウ酸塩、アミン酸塩やアミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、アセトアミドグリシン、N−カルバモイルメチルイミノジ酢酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンをはじめとするグッドバッファー等の各種緩衝剤を挙げることができる。
なお、本発明において、インク中の上記pH調整剤の含有量は、インクpHを5.0〜8.5の範囲内に調整するために必要な量であれば特に限定されない。
【0036】
−スルホラン以外の水溶性有機溶媒−
本発明のインクは、既述したように水溶性有機溶媒として、少なくともスルホランを含むものであるが、さらに、多価アルコール、および/または、グリコールエーテルを含有してもよい。
これら水溶性有機溶媒がインクジェット記録用インクに含まれることにより、インクの保湿性及び染料等の色材の溶解性がさらに良好となるため、目詰まりの発生防止や、吐出安定性を維持するこができ、さらにインクを長期間保存した場合においてもインク中の色材の凝集・析出を防ぐことができる。
【0037】
特に、インク中の染料等の色材の溶解安定性の点から、前記多価グリコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2,2’−チオジエタノールが特に好ましい。
また、インクの紙への浸透性、及び、インク中の染料等の色材の溶解性の点からは、前記多価グリコールエーテルとして、グリコールエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
これら列挙した水溶性有機溶媒は、1種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。また、このような水溶性有機溶媒の他にも、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類を添加しても良い。
【0038】
また、本発明のインクは、少なくともスルホランを含む2種以上の水溶性有機溶媒を用いるものである。この際の特に好ましい水溶性有機溶媒の組み合わせとしては、インク中の色材との溶解性を高め目詰まりを防止する効果をより一層高める観点から、スルホランとグリセリンとの組み合わせや、スルホランとジエチレングリコールとの組み合わせが挙げられる。
【0039】
インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、3〜40重量%の範囲内であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量が、3重量%未満では、インクが乾燥、析出しやすくなり、ノズル目詰まりが発生したり、吐出安定性や吐出回復性が低下する場合がある。一方、40重量%を越えると、インクの紙への定着性が悪く、また、インクの粘度が高くなり吐出安定性や吐出回復性が低下する場合がある。
なお、インク中の水溶性有機溶剤の含有量は、ノズル目詰まりの発生防止と、吐出安定性と、のバランスから、10.0〜35.0重量%がより好ましい。
【0040】
さらに、水溶性有機溶媒中のスルホランの重量比率は、15〜70重量%であることが好ましい。
水溶性有機溶媒中のスルホランの重量比率が15重量%よりも小さい場合には、インクにスルホランを添加することによる効果、すなわち、ノズル目詰まり防止や長期放出後の吐出回復性の改善効果が得られない場合がある。また、70重量%よりも大きい場合には、インク中に含まれるスルホランの量に比例して増加する、t−ブチルカテコールの濃度の増加のために目詰まり等が発生したり、スルホラン中の不純物に起因する異臭が発生する場合がある。
【0041】
−染料−
本発明に用いられる染料は、水溶性染料が好ましい。水溶性染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料等のいずれでも良いが、より好ましくは、酸性染料、直接染料及び反応性染料である。
このような染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック−2、−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194、−195;C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−112、−142、−165、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236、−287、−307;C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189、−227;C.I.ダイレクトバイオレット−1、−7、−9、−12、−35、−47、−51、−66、−93、−95、−98、−99、−100、−106、−107;C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−58、−86、−87、−88、−132、−142、−144、−173;C.I.フードブラック−1、−2;C.I.アシッドブラック−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−156、−172、−194、−208;C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−83、−90、−102、−104、−111、−185、−249、−254;C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−110、−144、−180、−249、−257、−289;C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−18、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76、−78、−79、−122;C.I.リアクティブブラック−1、−4、−5、−8、−13、−14、−27、−30、−31、−34、−39、−43、−45、−46;C.I.リアクティブブルー−3、−4、−5、−13、−14、−15、−18、−19、−21、−25、−26、−27、−28、−38、−41、−49、−59、−71、−77、−104、−109、−113、−114、−120、−140、−160、−163、−171、−172、−194、−198、−203、−221、−222、−231;C.I.リアクティブレッド−1、−2、−3、−11、−12、−21、−22、−23、−24、−29、−31、−33、−35、−40、−43、−45、−49、−58、−74、−76、−101、−106、−120、−141、−147、−152、−159、−180、−194、−195、−198、−222、−227、−250;C.I.リアクティブイエロー−1、−2、−3、−4、−7、−15、−17、−18、−22、−23、−24、−25、−27、−37、−42、−44、−46、−77、−81、−84、−85、−86、−105、−116、−125、−135、−145、−154、−160、−167等が挙げられる。これら染料は単独でも使用できるが、2種以上混合することにより、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の他に、赤、青、緑等のカスタムカラーに調色してもよい。
【0042】
本発明のインクに含まれる上記染料の含有量は、0.1〜15.0重量%の範囲であることが好ましい。染料の含有率が、0.1重量%未満だと画像濃度が低くなる場合があり、染料の含有率が、15重量%を越えると染料が凝集・析出しやすくなる。さらに、ノズル目詰まり防止の点から、染料の含有率は、0.3〜8重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0043】
−水−
本発明のインクに用いる水は、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水が好ましく、多価カチオンの含有量が少なく、微生物等の混入がなく、インクとした場合における保管安定性や、目詰まり防止の点で、超純水が特に好ましく用いられる。
【0044】
−その他の成分−
本発明のインクは、上記した成分以外のその他の成分を含有してもよく、これらの成分の種類および添加量は、特に制限なく目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、界面活性剤をインクに含有させると、この界面活性剤がインクの紙への浸透性を促進するだけでなく、前記界面活性剤と色材分子とが相互作用を生じることにより、色材をインク中に安定に溶解・分散させることができる。その結果、ノズル目詰まりの発生や、インクの吐出安定性の劣化を防ぎ、さらに長期に渡る保存に対しても色材の凝集・析出を防ぐことができる。また、色材の紙繊維に対する濡れ性を向上させ、色ムラなどによる画質の劣化、色調の劣化を防止することができる。
【0045】
このような界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることができ、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤から選ばれる少なくともいずれか1種、もしくは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等の、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等を用いることができる。
【0046】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、そのエステル塩等を用いることができる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン、スルホベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリドンベタイン等を用いることができる。
【0047】
本発明においては、これらの界面活性剤の中でも、イオン性の色材や、本発明のインクの基本構成成分である水、染料および水溶性有機溶媒以外のイオン性の成分との相互作用を起こしにくいノニオン性界面活性剤が好ましく、特に、熱的な安定性と純度の点でポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
これらの界面活性剤のインク中の含有量としては、0.005〜5重量%の範囲内であること好ましく、0.01〜2重量%がより好ましい。
【0048】
さらに、上記したような界面活性剤以外の添加成分として、必要に応じて尿素、チオ尿素、アセトアミド等の可溶化剤、物性調整剤としてピロエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、セルロース誘動体等、にじみ防止用増粘剤としてアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、キチン、キトサン、カラギーナン等、シクロデキストリン、ポリシクロデキストシン、大環状アミン類等の包接化合物、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の防カビ剤、PROXEL(ICI社製)、DOWICIL(ダウケミカル社製)等の殺菌剤、及び導電剤、防錆剤、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をインク中に含有させることも可能である。
【0049】
<インクジェット記録方法>
次に、上記に説明した本発明のインクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用インクの吐出量が、液滴1ドロップ(液滴1個)当り20ng以下であることが好ましい。
インクの吐出量が、液滴1ドロップ当り20ngよりも大きい場合には、より高解像度の精緻な印字画像を得ることが困難になる場合がある。本発明のインクジェト記録方法は、本発明のインクを用いるために、ノズル目詰まりを生じることなく高品質の印字画像を得ることができる。なお、より高品質の印字画像を得るには、インクの吐出量は、液滴1ドロップ当り10ng以下が好ましく、5ng以下がより好ましい。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(スルホラン)
<スルホランの精製および準備>
まず、インクの調合に用いたスルホランについて説明する。インクの調合に用いたスルホランとしては、市販のスルホラン(和光純薬社製)を精製したスルホラン(以下、「スルホラン(A)と略す」)と、市販のスルホラン3種類(以下、「スルホラン(B)」、「スルホラン(C)」、「スルホラン(D)」と略す)と、を準備した。
なお、スルホラン(A)は、フラスコに入れた市販のスルホラン(和光純薬社製)500gを減圧蒸留装置内に設置し、フラスコを真空ポンプで吸引しながらオイルバスにて徐々に昇温し、初留分を分離した後、主留分を取り出し、この主留分を「スルホラン(A)」とした。なお、主留分を取り出した後のフラスコ内には、微量の残さが確認された。
このようにして準備したスルホラン(A)〜(D)は、いずれも完全に無色透明であり、以下に示すような方法により、t−ブチルカテコールの濃度、純度、および、導電率を測定した。
【0051】
<スルホラン中のt−ブチルカテコール濃度の測定>
スルホラン(A)〜(D)中のt−ブチルカテコール濃度の測定は、インク調整直前に、分光光度計(UV−2500PC、島津製作所社製)を用いて実施した。なお、スルホラン(A)〜(D)(以下、「スルホラン原液」と略す場合がある)中に含まれるt−ブチルカテコール(以下、「TBC」と略す場合がある)の濃度の測定は以下の手順にて実施した。
まず、スルホラン原液5mlをホールピペットで100mlのメスフラスコに採取し、スルホラン原液5mlの重さを測定した。次に、このメスフラスコに更に純水約90gを加えてよく振り混ぜた後、5%塩化第二鉄溶液5mlを加え、よく振り混ぜることにより、スルホラン希釈液を作製し、さらに純水でメスアップし、約10分間放置した。
【0052】
次に、このスルホラン希釈液を光路長10mmのセルに注ぎ、純水をリファレンスとして、波長425nmにおける吸光度を測定した。また、ブランク溶液として、100mlのメスフラスコに5%塩化第二鉄溶液5mlを採取し、純水でメスアップしたものを用いた。
このようにして測定されたスルホラン(A)〜(D)のスルホラン希釈液およびブランク溶液の吸光度から、数水準の濃度が異なるt−ブチルカテコール標準溶液を用いて予め作成しておいた検量線を用いて、スルホラン希釈液中のTBCの含有量(μg)を求めた。最後に、下式(1)により各スルホラン原液中のTBCの濃度(ppm)を計算して求めた。結果を表1に示す。
・式(1) TBCの濃度(ppm)=TBCの含有量(μg)/スルホラン原液5mlの重さ(g)
【0053】
<スルホランの純度測定>
スルホラン(A)〜(D)の純度の測定は、ガスクロマトグラフィーを用いて実施した。
測定は、ガスクロマトグラフィー装置としてGC−17A(島津製作所社製)を用い、カラムとしてCBP1−M50−025を用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、検出器はFIDを用いて実施した。得られた結果より、主ピーク面積と全ピーク面積の比(<主ピーク面積>/<全ピーク面積>×100)を算出し、純度とした。結果を表1に示す。
【0054】
<スルホランの導電率測定>
スルホラン(A)〜(D)各々に対して超純水を加えることにより80重量%のスルホラン水溶液を作製し、これらスルホラン水溶液の導電率を、20℃、50%RHの環境下において、導電率計(電気化学計器社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004002546
【0056】
(インクの調合およびインク組成・pH)
表1に示すような特性を有するスルホラン(A)〜(D)と、スルホラン以外の水溶性有機溶媒と、染料と、これら以外の添加剤と、を表2に示すような割合で混合溶解した後、0.45μmのフィルターにて加圧濾過することにより実施例1〜8および比較例1〜7のインクを得た。
また、表1に示したスルホラン(A)〜(D)中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度と、各実施例・比較例のインク中に含まれるスルホランの割合から、インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度を算出した結果を表2の最下段に示した。なお、表2は、インク組成と、インク中のt−ブチルカテコールの濃度と、インクのpHについて示したものであり表2中、染料、水溶性有機溶媒、添加剤、および、イオン交換水の項目は重量部を表し、t−ブチルカテコールの項目はppmを表す。
【0057】
【表2】
Figure 2004002546
【0058】
<インクのpH測定>
表2に示すインクのpHは、20℃、50%RHの環境下において、pHメーター(オリオン社製)により測定した。
【0059】
(インク性能の評価)
<記録ヘッドおよびプリンター>
表2に示す各実施例および比較例のインクの各種評価は、記録ヘッドとしては、微小ノズルを有する記録ヘッド(試作ヘッド)を用いた。また、インクジェットプリンターは、解像度800dpiのインクジェットプリンター(試作プリンター)を用い、記録ヘッドとして前記試作ヘッドを用いた。なお、以下に説明する各種のインク性能の評価に際しては、全て同一仕様の試作ヘッドを用いた。
【0060】
<インクドロップ量>
各実施例および比較例で作製したインクを用いた評価では、微小ドロップ量で評価されていることを確認するために各インク毎にインクドロップ量を測定した。
インクドロップ量の評価は、20℃、50%RHの環境下において、試作ヘッドを用い、周波数1.8kHzで1/4tone(662×80)を5回吐出させ、インクをインク吸収体の小片に受けて重さを測定することにより、1pulse当たりの吐出量を、インク吐出前後のインク吸収体の重量差を計算することにより求めた。結果を表3に示す。
【0061】
<耐目詰まり性評価>
耐目詰まり性の評価は、各実施例および比較例のインクを、前記インクジェットプリンターを用いて、20℃、50%RHの環境下において、所定の時間、試作ヘッドを外気に開放した状態で放置した後、吐出テストを行い、以下の基準で評価を行った。結果を表3に示す。
○:300秒放置で吐出可能な状態。
△:180秒放置で吐出可能な状態。
×:180秒放置で吐出不可能な状態。
【0062】
<吐出安定性(周波数応答性)評価>
吐出安定性(周波数応答性)の評価(印字周波数に対するインク吐出時の追随性評価)は、各実施例および比較例のインクを、前記インクジェットプリンターを用いて、FX−L紙(富士ゼロックス社製)にベタ画像を印字し、このベタ画像を目視にり観察することにより画像中の白抜け評価を行った。
なお、評価判定基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
○:ベタ画像中に白抜けがなく、均一な画像である。
△:ベタ画像中に若干の白く抜けた部分がある。
×:ベタ画像中に大きく白く抜けた部分がある。
【0063】
<吐出回復性評価▲1▼(長期放置の影響)>
長期放置後の吐出回復性評価は、各実施例および比較例のインクを、前記試作ヘッドに充填し、10℃、15%RH(低温低湿環境)、及び、30℃、85%RH(高温高湿環境)の雰囲気中で2ヶ月放置した。
次に、この放置後の試作ヘッドを前記インクジェットプリンターに取り付け、吸引ポンプでの回復操作を行った後印字させ、正常な印字ができるかを以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
○:低温低湿および高温高湿環境下において、回復操作3回以内で正常印字可能である状態
△:低温低湿および高温高湿環境下において、回復操作4回〜8回の範囲内で正常印字可能である状態
×:低温低湿および高温高湿環境下において、回復操作8回で正常印字不可能である状態
【0064】
<吐出回復性評価▲2▼(環境変動の影響)>
インク保管時の環境変動に対する吐出回復性の評価は、各実施例および比較例のインクを、前記試作ヘッドに充填した後、以下▲1▼〜▲4▼に示す環境下で順次保管するサイクルを4セット繰り返した。
−インクを充填した試作ヘッドの保管環境−
▲1▼40℃で48時間保管。
▲2▼20℃で24時間保管。
▲3▼−10℃で48時間保管。
▲4▼20℃で24時間保管。
次に、4セットの繰り返し保管を終えた試作ヘッドを前記インクジェットプリンターに取り付け、吸引ポンプでの回復操作を行った後印字させ、正常な印字ができるかを以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
○:回復操作3回以内で正常印字可能である状態
△:回復操作4回〜8回で正常印字可能である状態
×:回復操作8回で正常印字不可能である状態
【0065】
<臭い評価▲1▼>
臭い評価▲1▼は、各実施例および比較例のインクを、100ccビーカーに約50cc取り、ビーカーから20cmぐらいの距離に鼻を近づけた際に、臭いが気になるかどうかについて官能評価を行った。なお、臭いの評価に際しては、任意に選んだ20人をモニターとした。結果を表3に示す。
○:80%以上の人が、臭いが気にならない。
△:50%以上の人が、臭いが気にならない。
×:50%を超える人が、臭いが気になる。
【0066】
<臭い評価▲2▼>
臭い評価▲2▼は、各実施例および比較例のインクを、前記インクジェットプリンターを用いて、FX−L紙(富士ゼロックス社製)にベタ画像を印字し、印字直後の画像から15cmぐらいの距離に鼻を近づけた際に、臭いが気になるかどうかについて官能評価を行った。なお、臭いの評価に際しては、任意に選んだ20人をモニターとした。結果を表3に示す。
:80%以上の人が、臭いが気にならない。
:50%以上の人が、臭いが気にならない。
×:50%を超える人が、臭いが気になる。
【0067】
【表3】
Figure 2004002546
【0068】
表3に示される結果から、実施例1〜8のインクジェット記録用インクは、微細ノズルを有する記録ヘッドに対しても目詰まりすることなく、周波数応答性に優れ、長期放置後の吐出回復性に優れていることが判明した。また、その臭いも不快な物ではなかった。
これに対して、比較例1〜7のインクジェット記録用インクでは、これらの特性の劣ったものであり、特に、耐目詰まり性、周波数応答性、長期放出後吐出回復性、および、環境変動安定性に関しては、インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が高かったり、あるいは、インク中に含まれる水溶性有機溶媒がスルホラン1種類のみであったため、実施例と比較例との間で顕著な差が見られた。
【0069】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、微小ノズルを用いた記録ヘッドにおいても、目詰まりが発生せず、吐出安定性および吐出回復性に優れたインクジェット記録用インク、および、これを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも水と染料と2種以上の水溶性有機溶媒とを含有するインクジェット記録用インクにおいて、
    前記水溶性有機溶媒が、少なくともスルホランを含み、前記インクジェット記録用インク中に含まれるt−ブチルカテコールの濃度が、100ppm以下であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. 前記スルホランの純度が、96重量%以上であり、前記スルホランの濃度が80重量%であるスルホラン水溶液の導電率が、25×10−4S/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 20℃におけるpHが、5.0〜8.5範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記水溶性有機溶媒が、多価アルコール、および/または、グリコールエーテルを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記多価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、2,2’−チオジエタノールから選ばれる少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用インク。
  6. 前記グリコールエーテルが、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用インク。
  7. 前記インクジェット記録用インク中の前記水溶性有機溶媒の含有量が3〜40重量%の範囲内であり、前記水溶性有機溶媒中のスルホランの重量比率が15〜70重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インク。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法であって、
    前記インクジェット記録用インクの吐出量が、液滴1ドロップ当り20ng以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
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